【人】 アジダル[ とりわけ機械やキーボードの扱いに秀でているわけでなければ、自然と電子上のやり取りは口数が少なくなる。そもそも筆まめな性分でもない限り同世代の人間はそんなものだろう。よっぽどの理由がない限り男とて万年筆を取り上げたりなどしなかった。 その手紙でさえ、宛先の住所を記されず 丁重に封をされて鞄の底に眠るばかり。 そんな時代に取り残された男と、同じく最先端とは言い難い口下手な奴とのメッセージ履歴は無味乾燥と称するに相応しい。顔文字や絵文字の類は一切なく、砂漠のオアシス程の確率で感嘆符が芽生える程度だ。>>77 まあ無理に気分を上げなくていい、という意味では楽なのだが。 白と黒としか並ばないメッセージルームにもう一粒『自分が食いたいもん買ってきな』と砂粒を落とす。水の一滴すら与えられないその場所に花が咲く光景などかえって想像したくもない。 もし彼が、あの場所で出会った友人たちにスタンプだの絵文字など教わっり、あろうことかこちらに送り付けてこようものなら大笑いしそうな予感はある。 閑話休題、あるいは脱線事故。 ] (80) 2020/09/28(Mon) 3:48:26 |
【人】 アジダルいや、思ったんだけどね。 それだけ近寄ってもいいって存在なら、 むしろその人本人で慣れていくのがいいと思うぜ、 僕はね。 [ さんざ抱き寝ておきながら掌を返すように言い放つ。肩を竦めた苦笑は誤魔化す時お得意の振る舞いだ。 同じ枕に頭を乗せるような仲を己は家族や恋人と呼ぶ。遥か昔に命運を共にしたファミリーの仲間もかぞくと呼んだ。 その理屈で言えば、己にとって彼は家族──に限りなく近い存在ではあるのだろう。眠れないとぐずるなら甘やかしてやりたいと願う程度には大切な。 だからそういう聞こえの悪い冗談を言うんじゃねえ素面でしょお前。 妙に神妙な調子でつぶやいた彼の頭を軽く叩き、露骨に眉を顰めた。 ] (82) 2020/09/28(Mon) 3:49:11 |
【人】 アジダル[ 別段色めいた冗談が嫌いというわけではない。 寧ろ男とてネタにして積極的に言ってきた方だ。 だがとある致命的な大事故()により男は彼に唇を押し当て、 あろうことか濃厚な口づけ()を捧げた。 嘗て妻子を持った身の上かつ、 手段としての受け身の褥を死に物狂いで拒んでおきながら。 直後、逃げるようにして体を離した男の腕を掴んだのは 恨みがましい目をした彼であったし、 その後どうなったのかはweb限定有料記事である。 それ以来男は彼のさり気無い一言に 過敏に反応するようになったとかなっていないとか。 主張しておくと男はヘテロである。ほんとうに。信じて! ] (83) 2020/09/28(Mon) 3:50:08 |
【人】 アジダル[ 彼の手から荷物を取り、勝手に摘まみを開いて机に並べる。そんなことよりさ、と続けて冷蔵庫に向かい、冷え切ったグラスを取り出して机に置いた。並べていた瓶の一つを取って注げば一方を彼に差し出して ] 親父さんの手がかりとか見つかった? あれから僕もツテの探偵とかに聞いてみたけど [ あたかも世間話をするかのような態度で、飲みながら椅子に腰かけた。 ]** (84) 2020/09/28(Mon) 3:50:13 |
アジダルは、メモを貼った。 (a11) 2020/09/28(Mon) 3:55:34 |
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