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【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「逆に問いますが、何故貴方はそんなにも機嫌が良さそうなのですか」 機嫌良さそうな姿を見て、眉間に皺を刻み苦い顔をした。 文句を言うでもなく、教えを授ける者が立つべき教壇に落ち着いた貴方を捉える。 「どうも、栗栖」 自分と貴方、ふたりきり。口煩い教師も賑やかなクラスメイトもどこかに行ってしまって、学校が終わった後特有の漠然とした開放感と静けさが入り混じる空気。 日常の延長線に、確かに自分達は立っていて。 けれど。 「こんなところだからこそ、いつもみたいじゃないですか?」 終わりを告げるのも、不変を壊すのも。 延長線の端を見出すのも。 「栗栖」 「話をしましょう。いつもみたいに」 「いつもと違うお話を」 ──他ならない自分達だ。 「先程伝えたように。貴方の話を聞いて、少しだけ理解したことを話しますね」 (-209) 2022/07/13(Wed) 16:33:20 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「……たいへん俗っぽい言い方になりますが。 そーゆー、性癖という奴なのでしょうか」 こんな野暮な言い方をしては認めるものも認められないのではと思いはしたが、生憎少女の引き出しに気の利いた言葉は無かった。 抱きつかれれば、腕の動きに注意しつつも好きなようにさせる。なんなら髪も優しく梳き始めた。 「死ぬなら全てがどうでもいい、なんてことは無いのですよ。死ぬ理由があったから死ぬだけで」 見上げる貴方を、どこまでも深い黒色がじぃっと射抜いている。 「拙は頭の出来がよくありません。 ですから、明日香の綺麗な言い回しの意図もきちんと把握できないのです。 "元気"とは、どんな状態を言いますか?心身共に万全な状態なのですか?」 ▽ (-210) 2022/07/13(Wed) 16:48:04 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「そうですね。とても我儘です」 怒るわけでも嫌悪するわけでもなく、静かに答えた。自分でも分かりきっていたことだから。 「明日香にしてほしいのは意見です。肯定ではありません。 ……拙は今、どうすべきか迷っています。今まで流されて生きていたから、自分で考えて答えを出すということが非常に難しいのです。 ですから、自分で自分が納得できる答えを出す為に。判断材料として一つでも多くの意見が欲しい」 両腕をずらし抱き寄せる。腕の中の温もりを大切に囲いながら、はっきりとした口調で言い切った。 「現在の自分にとって友達と過ごす"今"が何より大切で、 どうしてもどうしても寂しくて仕方がなかったとしても。それでも、人生を辞めない方がいいのでしょうか」 「生き続けて、環境が変わり酷い寂しさに襲われて。そうしてもなお生き続けて何になるというのです?」 責めるつもりは無いし、怒っているわけでも無いのは柔らかな声音から読み取れるだろうか。 ただ純粋な疑問を、貴方にぶつける。 (-211) 2022/07/13(Wed) 16:48:16 |
【秘】 奔放 クリス → 傷弓之鳥 マユミ「きみのはらわたが見えたからかな」 だから、ただそれだけでは。つまらないと思ってしまうから。 それが、相馬栗栖だ。悪魔ではない。悪魔は、道を示すのだ。 相馬栗栖は、 「うん、どうぞ聞かせてくれ」 「きみの諦めを、きみの否定を」 「きみの、迷いをね!」 フフフ、と。笑いにもならない笑いを。 だからまだ足りない。 どうぞ、悪魔にその願いを囁くように。 猿の手が、その指を手折る様に。 禄でもない結末を、そっと。ただ、ちょっとだけマシな結末に辿り着けるように。 (-212) 2022/07/13(Wed) 17:02:58 |
【秘】 陽葉 シロマ → 傷弓之鳥 マユミ「──だったら、マユちゃんはどうする?」 しん、と風の音が止んだ。 潜めた声は、確かに貴方の鼓膜を揺らす。 「私は、皆の意思を尊重したい。 犯人を明かして、罰を与えようと。 たとえ犯人を突き止めない選択をしようともだ」 まるで、その口振りは犯人を知っているかのようだった。 しかし今は言えない、と。 まだ庇うという姿勢にも捉えることができる。 「……その幽霊についていく意思を見せようとも、ね」 (-214) 2022/07/13(Wed) 17:31:51 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「拙は」 ぽつり、音が溢れる。 「未だ、迷っています。 幽霊についていけば、一緒にいられる。けれど、それで本当に己が満たされるのかと指摘されてから心がもやもやするのです」 「ですから肯定でも否定でもない複数人の話を聞いて、考えて、答えを出すつもりです。 既に明日香には話しました。そして今、貴方に。この後は、栗栖に」 「話を聞いて、自分がどうしたいのか見極めるつもりです」 ▽ (-224) 2022/07/13(Wed) 21:14:12 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「……ああ、でもひとつだけ。 幽霊がいたとして、その子について行くかどうかはさておき。 拙は、その子を罰するつもりはありませんよ」 「……梢」 「梢はどうなのですか?」 大きな瞳が、真っ直ぐ貴方を射抜く。 「梢は拙達の意思を尊重すると言いますが、 貴方の意思は、どこにあるのです?」 (-225) 2022/07/13(Wed) 21:14:24 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 傷弓之鳥 マユミ『おかしな事言うね』 『結局俺は大人になれないまま終わっちゃったのにさ』 「────大人になったら、」 そんないつかの終わりが来る前に、全ては終わってしまった。 『俺がそうかはわからないけど』 『俺は会いに行こうと思って来たわけじゃないんだ』 『多分、呼ばれただけ』 『皆が居た事は俺がここに来た要因の一つだろうけど』 『誰かにとかじゃなくて』 『この場所そのものが呼んだようなものなのかも』 古くから異界の地、或いは神域とされる山のほど近く。 今や人の営みの痕跡だけが残り、打ち棄てられ寂れた廃校。 行き場のない幾多の想いが吹き溜まり、滞り、蟠る。 人ならざるものの時間である夜半の、そんな場所だから。 そんな場所に、鳥飼が皆を連れて来てしまったから。 だからきっと、こうして確かにここに居て。 死者の声が、死者の手が、君達に届いてしまう。 そこにあるから、諦めきれず手を伸ばしてしまう。 皆にまた会えた事は、あの日をやり直す機会を得られたのは。 確かに嬉しかったけれど、そうあるべきではなかったとも思ってはいた。 今となっては、何もかも全て、ほんとうに今更なのだけど。 (-228) 2022/07/13(Wed) 21:38:05 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 傷弓之鳥 マユミそうして、ゆっくりと流れていく文字を見る。 君達が自分から来てくれたら、それが一番だとは思っていて。 けれど、そう簡単に頷いてはくれないだろうな、とも思っていた。 自分が君達に向ける好きと、君達の好きが同じとも限らないから。 この時点では、ただそれだけ。 そこにどんな理由が、どんな想いがあろうとも。 人は生と死を天秤に掛ける時、そうすんなりとは決断できないのだと。 それを正しく理解するのは、もう少し後の事だった。 『どっちを選んでも きっと完全には納得できないよ』 『納得できなかったでしょ、今までも』 『俺達はそれを納得できるようにはできてないんだよ』 『どうやったって昔には戻れない 今は今のままだけど』 『それでも 一緒に来てくれたら、俺達は傍に居てあげられる』 『生きてる限り、ずっとは無いけど 俺達ならそれができる』 『今を手放した後に、麻弓ちゃんの傍に居てくれる人は居るの?』 今を引き延ばして繋ぎ留めて、そうして作った世界というものは いつかはきっと澱んで膿んでいく。永い時は死者をも狂わせる。 けれど、そうだとしても、それでも。 寂しがり屋はそんな停滞をどうしようもなく愛してしまったから。 『答えは次の時に聞ければいいからさ』 『待ってるよ』 (-229) 2022/07/13(Wed) 21:41:01 |
【秘】 陽葉 シロマ → 傷弓之鳥 マユミ「どこにも無いさ。私の意思は、もうどこにも」 ぽつり、音が溢れる。 「でも、感情はある。 だから罰するつもりが無いと聞いて安心したよ」 鍵盤へ手を伸ばす。ゆっくりと、主旋律だけを奏でる。 それ先程演奏されていた、失われた校歌だった。 「できれば深雪にも聞いてくれるかい、その話。もう聞いていたらすまないね」 軍歌のような拍子で音色を刻んでいく。 その旋律を聞く横顔は、どこか虚しさを孕んでいた。 時折音が欠けるのは予定調和で、ご愛嬌。 ……弾き終えれば、だらんと腕を下げる。 「強いて言うなら、それが私の意思だ」 ▽ (-235) 2022/07/13(Wed) 22:19:15 |
【秘】 陽葉 シロマ → 傷弓之鳥 マユミ「将来の夢はあるかい」 少女は教師を志していた。 今となっては、諦めた夢だ。 「叶えたい願いはあるかい」 さて、願いなどという崇高なものは抱いていただろうか。 少なくとも、今は、見当たらない。 「それはこの少年時代を捨ててでも、掴みたいものかい」 モラトリアム。青年期にだけ与えられる、停滞の時間。 尤もそれは、誰に対しても与えられるものではない。 否応なく大人にならざるを得ない子供もまた、存在する。 「正直な所、君は生き辛そうに見えるから。 君が彼についていくのなら、私は止めないよ」 (-236) 2022/07/13(Wed) 22:19:49 |
【独】 傷弓之鳥 マユミ>否応なく大人にならざるを得ない子供もまた、存在する。 シロマも幽霊枠か!?!みんな幽霊に見えるな!?と思ってたけど これ読んでたらなんか 幽霊っていうよりも 何? 和崎節全開の恐ろしい人間の醜さで固められた生々しい背景ありそうだな 梢の意思なく孕まされたとか、売られたとか、政略結婚的な奴とか、そういうのかな (-246) 2022/07/14(Thu) 6:18:08 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「例えば直接傷つけたとか、そうでなくても唆したとか。他の人を脅かすというのは怒られる行為です。 けれど、もし犯人が恨み以外……例えば、寂しかったからとか。そういったものであれば。少なからず理解はできますから。拙からきちんと怒ることは、出来ないでしょうね」 もし自分が幽霊だとしたら。きっと、自分と同じ立場になってほしいと願ってやまなかっただろうから。 どうして、その者たちを責められよう。 「深雪ですか?分かりました。忘れず、きちんと聞いておきます」 少女はしっかりと言葉を覚えていたのだが、それよりも早く件の夢色の彼自らが少女に連絡を入れたのは……もう少し先の話。 ▽ (-247) 2022/07/14(Thu) 6:26:29 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「梢」 多くを取り落としてしまったような虚ろを見る。 「どうしてそんなに、自分が蚊帳の外にいるような口ぶりなんですか」 意思がないとはっきり言われた。 夢も、願いも問われた。なんだかそれも、自分にはもう無いと言っているように聞こえた。 「まるでもう、少年時代から踏み外してしまったか、或いはもう抜け出してしまったかのよう」 犯人を断定したわけでも無いのに「彼」と呼ぶことについて気になったが、それよりも貴方が静かに紡ぐ内容のほうが気にかかった。 「拙は、拙はただ…… …………皆と、ずっと一緒に楽しい時間を過ごしていたい。 ………………ただ、それだけです」 (-248) 2022/07/14(Thu) 6:27:00 |
【秘】 不知 ミナイ → 傷弓之鳥 マユミ誰かは死ぬ理由がある、なんてこと。 わかってる。 「……心は疲れてるかも。 でも身体はとても動かせるようになった。元気にさせられている」 手術によっててにいれた心は返せない、 否、何度絶とうとしたか思い出せない。 「ボクは健康で皆の成果を示す状態になることを望まれてる、 笑顔になって、健康にならないと……。 ボクのために何人もの努力や想い、たくさんのお金も動いてる。 返さないと、返したいんだよ」 それは、自分のわがままだけど。 勿論さ、君たちのことも入ってるんだよ。 一緒に遊びたかったんだからさ。 「じゃあ意見かぁ、なら、まず、ひとつ」 すうと、息を吸って。 自分にいいきかせるようにその言葉を。 「今、生きていても死んだとしても。 君の思う寂しくならないなんてことは、ないよ。 何故なら、今死んでも満たされる感情を理解していないからだ」 死んでも、生きても良いなんて、寂しいね。すごく、寂しいね。 (-249) 2022/07/14(Thu) 7:13:19 |
【秘】 不知 ミナイ → 傷弓之鳥 マユミ「一番環境が変わるのは、時間が止まることだよ。 楽しい時間が続く奇跡なんてずっとは、ないんだ」 「遺された先が辛くないなんて思わないさ。 でも死んだ彼らは楽しそうだったかな、 生きたこの先に楽しいことがひとつもないなんてことはないけれど、死んだ先には、保証は誰もしてくれないよ」 「ひとつも、ほしいものはない? 本当に、後悔も、やりたいこともない? 全部がなくなった、こんな疑問もなくなった時は ボクも麻弓くんをみんなに会わせてみせるさ。 だから、選ぶことが出来たらその時は報せてくれると嬉しいな」 「だって、なにも言わずにいなくなるのは寂しいからさ」 (-250) 2022/07/14(Thu) 7:31:06 |
【秘】 陽葉 シロマ → 傷弓之鳥 マユミ蚊帳の外。 これは正しい指摘だと、少女は思う。 「生きたまま、ずっと楽しい時間が過ごせれば最高だ。 だけど現実はままならない。 もしかすると、常世も似たようなものかもしれないよ」 少年時代から抜け出してしまったかは、わからない。客観的に見れば、きっと自分は未熟な小娘のままだ。 貴方の問いに答えることなく、光の失せた瞳を向ける。 何故『彼』と呼んだのか、その説明もしないまま。 「ただ…… 常世は、これ以上悪くはならない 」現実は、これから更に良くなる可能性がある。 しかし同じくらい、悪化する可能性もある。 卒業、就職、結婚。 人生には、数多くの分岐点が控えている。 「きっと世間はさ、何があっても生きていくことを美談とするのだろうけれど……私は、そうは思わない」 病気、事件、 事故 。加えて──数多くの予定外が、そこら中で息を潜めて狙いを定めている。 困難を乗り越えられるかは運次第。 私達は努力が報われないことくらい、もう知っている年頃だろう? 「君の未来に、何か希望があるのなら。 生きるべきだね」 「無いのなら、死んでしまっても構わないだろうよ。それを咎める資格は、誰にも無いのだから」 (-251) 2022/07/14(Thu) 10:46:02 |
【秘】 甚六 カナイ → 傷弓之鳥 マユミ「んぁ、 ……んふ。 まぁ、だ」きみの耳朶を打つのは、ぽそぽそと内気な、 親愛をぎゅっと詰め込んだ声。 その声も、 転んで膝をつく、短パンからひょろりと伸びた脚も、 「ねーちゃんまた、転んじょった…」 前髪とフード越しにへにゃりと笑う顔も、下がる眉も、 「す、すまね」 おずおずときみの手に触れて重なる、長袖から覗く指も。 いつも通りに、いつかと同じで。 齎された不可逆を示すのは、その体温。 熱をどこかにうっかり、置いてきたみたい。 (-252) 2022/07/14(Thu) 12:13:41 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「はい。拙ですよ」 いつも通り、にしては何処か少し、噛み締めるような低い声音。 ぽそぽそと内気な、親愛をぎゅっと詰め込んだ声。 転んで膝をつく、短パンからひょろりと伸びた脚も、 前髪とフード越しにへにゃりと笑う顔も、下がる眉も、 おずおずと自分の手に触れて重なる、長袖から覗く指も。 いつも通りに、いつかと同じで。 ……嗚呼、けれど。 触れる体は、もういつも通りじゃない。 「ふふ、相変わらずですね。転んでもいいですよ、拙が何度だって手を貸しますから」 それでもいい。貴方が貴方であるのなら、自分は。 ▽ (-256) 2022/07/14(Thu) 14:30:25 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「その代わり」 少女はさらさらと流れる黒髪を揺らしてそっと両腕を広げた。 そのまま小柄な貴方を囲うように、腕を回して閉じ込めて。 「…………今だけ、こうさせてください」 縋るように、或いは何かから隠れるように。 貴方の肩口に、力なく顔を埋めた。 熱はない。いのちの欠片が何処にもない。いつも通りと一緒に、何処かに置き去りにしてしまったのだろう。 けれど、貴方が貴方である証はいくらでもある。 声を、華奢な体を、詰め込まれた親愛を。 残っているいつも通りをよすがにして、少女は貴方に体を寄せる。 「……」 「…………」 「ねーちゃん……」 ぽつり。 それは、いつも通りじゃない声は、貴方の服に吸い込まれた。 今まで一度も、そんな呼び方をしたことがない。けれど、いつも通りじゃない今だからこそ、少女はその呼び方を音にした。 少女は一度も、貴方を「だめだめなねーちゃん」だと思ったことなどなかった。 気弱でも優しくて、一緒に過ごしてくれた大切なお友達。 寄り掛かりたいと思う、素敵なねーちゃん。 (-257) 2022/07/14(Thu) 14:30:52 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「常世はこれ以上悪くはならない、ですか」 ……果たして、本当だろうか。 自分たちが思考できる存在である以上、精神という不確かな機能を持つ以上、意識があるうちは永い時が毒となり得ることもあるかもしれない。 少女はそう、考え始めている。 「希望とはなんでしょうね。 今まできちんと考えてこなかった拙には、むつかしい話です」 ほんの少しだけ瞼を下ろした。豊かな睫毛に縁取られた瞳は影を帯び、仄暗い色を湛えて手元の白と黒の世界を見つめる。 卒業よりも、引っ越しよりも、大人になるよりも。それらよりも遥かに深い溝によって、既に道は違えてしまった。 未来を歩む為の星が、見えないままだ。 「……今のままでは、あまりに欠けすぎています。もうだいぶ休みましたし、そろそろ人と話をしてきます」 鍵盤の欠けたピアノをひと撫でしてから少女は立ち上がる。呼び止めなければ、そのまま音楽室を後にするだろう。 ▽ (-270) 2022/07/14(Thu) 18:30:13 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「梢」 扉をくぐる直前。少女は貴方を見向きせずに音をこぼした。 「拙の質問に答えなかったのは、意図的ですか」 答えないことが、もう答えのような気がした。 意思がなく、常世について語り、がらんどうのまま生者たる自分に忠告を与えてくれる。 「梢」 「……意思も何も無いのなら。 せめて、貴方の辛さ苦しさを聞いて、抱えたかったです」 貴方ではなく歩む先を見つめたまま、紡ぎ続ける。 「話してどうにもならないことだから話さなかったのでしょうか。 他人に余計なものを持たせたくなかったから話さなかったのでしょうか。 ……それでも、拙は。 貴方の一部になったもの、なってしまったものを持っていたかったです」 そう呟いた後、「いってきます」とだけ告げて進み始めたのだった。 控えめな足音が、少しずつ遠ざかっていく……。 (-271) 2022/07/14(Thu) 18:30:59 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「え、と……。明日香は、その。元々体が弱くて、色んな人から色々提供してもらって回復した……ということでしょうか」 断片的に話される貴方の事情に、俄かに驚いたように口が半分開いていた。 「返したいのなら、それが明日香の意思ならば、拙は……止めません」 理不尽でままならない世の中だからこそ、最も尊重されるべきは自分自身の意思だと、少女は考えている。 ▽ (-282) 2022/07/14(Thu) 20:41:42 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「死んでから満たされる感情を知ることだって……、 ………………」 意見を聞いて、真っ先にそんな言葉が出たけれど。すぐに口を噤んだ。 不変を望んで死のうとしていたのに、死後の世界に不変を望んでいたのに、変化を求めているなど都合が良すぎる。 「結局、何処に行こうと、誰も何も保証してくれない。 未来だって誰かがきっちりレールを敷いてくれるわけでもなくて、死後の世界を明確に照らしてくれる人もいない」 くしゃりと、顔が歪む。貴方を強く掻き抱いた。 『面白いことというのは起こる、じゃなくて見出す、だよ 』 誰かの言葉が頭の中で響くのを聞きながら、 「明日香。この世界は、 目がみえない人にとって、とてもいきにくいですね」 ぽつり、呟いた。 ▽ (-283) 2022/07/14(Thu) 20:42:14 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「……今の拙は何も見出せません。 何処に行っても、まっくらです」 暫くしてから、腕の力を緩めて貴方から離れようとする。 「欲しいものが本当に無いのか、後悔も、やりたい事もないのか。 もう少し動き回って、色々見渡して、探してみようと思います」 「その時にまた、お話をしますね」 (-284) 2022/07/14(Thu) 20:42:34 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「悪趣味」 言い切って捨てた。余計に機嫌が斜めに曲がる。こちらはそちらの腹の下なぞ、めくりあげることができた試しがないのに。 とはいえ、へそも口も曲げていては話が進まないので適当なところで仕切り直しとばかりに咳払いをひとつ。 「まず、少し前に栗栖が出した宿題は『分かっている自分を話してくれ』でしたね。 拙はずっと、『何も難しいことを考えずに無邪気に楽しい時間だけ過ごせる、子供のまま皆とずっと一緒にいたい』と思っていました。 学校を卒業してしまったら、大人になってしまったら、皆バラバラの道を歩むでしょう?今生の別れにならない者だっているでしょうが、大人になれば今よりずっと不自由で窮屈な時間を過ごすことになる。 拙はそれが嫌だったんです。何も余計なことなど考えず、好きな人と好きなことだけをしていたい」 あまりに稚拙であまりに我儘で、あまりに困難を極めた願い。 子供の時間を、子供のように無邪気なフリをして現実から逃げて夢見ていた。 ▽ (-286) 2022/07/14(Thu) 20:58:06 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「でも流石に拙も本物の馬鹿にはなれなくて。抱える願いは叶えるのが難しいと分かっていました。 でも、だからといってどうすることも出来なくて。夢を見続けたまま遊び呆けて現実に目もくれず、後ろ向きのまま前進し続けていたのですよ」 きっと、逃れられない別れの時が来てしまったならば。虚しさと寂しさを抱えたまま流されるだけ流されるつもりだっただろう。 「……それなのに」 かたん、と。少女の座っていた椅子が軽い音を立てて後ろに下がった。 「栗栖。貴方は拙が願いを叶えたとしても満足出来ないだろうと言ってのけた」 かすかな衣擦れの音を連れながら、少女は大股で教卓へ。 「そして。拙もまた、その可能性は否定しきれないと思ってしまった。貴方のついさっき放ったばかりの言葉で、長い間抱えた願いがぐずぐずに崩れようとしているのですよ」 「長い間思い続けてきた願いが、そんなあっさりと砕けることってあります? 結局それは、その程度だったということなのでしょう」 教卓を挟んで、その向こう側。 相馬栗栖ただ一人を、黒黒とした双眸が真っ直ぐ射抜いている。 ▽ (-288) 2022/07/14(Thu) 20:58:38 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「だから、本当は自分が何を求めているのか考えました。色んな人の話も聞いたんですよ。 生きても死んでも、今の拙では変わりなく寂しいままだから、本当にやりたいことがないか考えろと教えてくれた子がいました。 無理して生きることが必ずしも美談ではないし、死を選んでも誰にもその人を咎める資格は無いと言ってくれた子がいました。 本当に皆とずっと一緒にいる事を望む子から、死んで不変を手にしようとも誘われました」 「皆が皆、それぞれ道を歩もうとするなら背中を押してくれるのです」 はぁ、と。 ため息ひとつ。同時に視線が机へと落ちた。 「でも、今の拙は。 何がしたいか、自分ですら分かりません」 「考える必要のなかった過去ばかり見つめ続けて。 未来にも死後にも、 ──何も見出せていません」 「拙はきっと、歩く理由が欲しかった。 がらんどうを埋めるものが欲しかった。 ……きっと、そうだと思います」 話し終えて、顔を持ち上げる。これで満足したかとばかりに、くりりと大きな瞳に貴方を映した。 (-289) 2022/07/14(Thu) 20:58:58 |
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