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【秘】 巡査部長 鬼走 → 警部補 添木祭のエリアでようやく一息つく。混雑に仕事上慣れていても、嬉しいものではないしこの格好だと落ち着かない上に窮屈だ。 「何年付き合ってると思っているんだ。大体10から15年程度はいるからそれくらい読み取れる」 余り読み取れて良い事がと言うとまるでないが。 「言い方に物申したい事はあるが、ないと救えるものも救えないのも確かだ。家族を失うなら村を離れる事になろうが迷いはなかった。今似たような状況になって、何かを選ぶ必要があっても俺は躊躇なく家族を選ぶ。うんざりするほど生きろよ。そうして欲しかったのに叶わなかった人を二人も見送った」 金の為、と言いつつ実際は母親の治療費の為なのを当然知っているだろう。家族の為なら夢でも何でもこの男は捨てて選べる。多分今でもそれは変わらない。それくらい“家族”は大切なものだから。 「それもそうなんだが……お前の口からそういう言葉が出る度に感慨深くなるだけだ」 りんご飴を買う落ち着きが無さすぎる26歳児を見つつ、不意に昔を思い出した。祭りに来ても自分は誰かを見ているだけで、誰かの隣はそうなかったから。 (-48) 2021/08/21(Sat) 7:44:56 |
【秘】 警部補 添木 → 巡査部長 鬼走「はいはい、そうですか。フフッ」 楽し気に笑いながら、のんびりと進む。 「……ああ、わかってるよ。あんたは金に踊らされる側じゃあないもの」 目を伏せて、困ったように笑う。 うんざりするほど長い生。 生きるべきだった人、生きたかった人は亡くなってしまって。 金なんてもので、それが多少是正できるのなら、それは良い事だ。 「あはは。感慨深い?そう。まあそういうのが出るようになったの……」 目を細めて、 持っていたりんご飴を相手の唇にぺちんと当てた。 「あんたのお陰さ。面倒見てくれてるの、感謝してる。」 (-59) 2021/08/21(Sat) 18:52:03 |
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