【墓】 充実 バレンタインやはり不安はとめどなく湧いているけれど、 それを表現する方法は今のところ奪われた。 選択肢が無くなってしまったら、 考えることが少なくなって済む。 消極的な、ポジティブ的思考だけを頼りに。 これがもたらされた治療の結果で。 バレンタインに与えられた、 “病と、ギムナジウムに対して最適な形”だ。 (+3) 2022/05/06(Fri) 21:38:00 |
バレンタインは、僕も自分の何もかもが嫌いなわけじゃなかった。 (c4) 2022/05/06(Fri) 22:07:31 |
バレンタインは、少なくとも、永遠にこのままなわけじゃないらしいから、それでよしとした。 (c5) 2022/05/06(Fri) 22:08:31 |
【墓】 充実 バレンタイン結局、それほどひどいことをされたとは思っていない。 治療の内容に納得してしまっているから。 不安を溢れさせてしまう不出来な容れ物には蓋が必要だ。 ただ、会う人会う人皆なぜか悲しそうな顔をする。 自分を心配性とからかった生徒だって。 自分を寝坊助だと叱った先生だって。 『……』 僕を担当してくれた、あの人だって同じ。 いつものように中庭の木陰で休んでいても、 頭の上に花冠が乗っている、なんてことはない。 ああ、なら早く治らなきゃな。 皆が見たいのは、多分病が完治したバレンタインだ。 (+9) 2022/05/07(Sat) 14:56:13 |
バレンタインは、眠っているかのようにそこにいる。たまに歌を口遊みながら。 (c8) 2022/05/07(Sat) 18:42:09 |
【墓】 充実 バレンタイン>>7 エルナト 『───もちろん、起きてるよ。 もう眠気に頼らなくてよくなっちまったし』 伸ばした前髪の隙間からは変わらず青い瞳が覗き。 見つめていると、僅かに瞬きのような震えをする。 『本は…… ─── 途中まで読んでたし、最後まで読もうとしてたけど。 ごめん、暫くはそうできそうにねえや』 僅かに視線を逸らす様子は、 図書室で気まずそうに頭を下げた、 あの時の面影をありありと残していて。 『愛や恋の力で奇跡とか起きるんなら、 それに越したことはなかったんだけど。 どうやら僕にはやっぱり、夢みたいな話だったな』 無機質に喋りかける偽りの声は、 それでもどこか皮肉気なニュアンスがこめられていた。 (+10) 2022/05/07(Sat) 19:12:44 |
【墓】 充実 バレンタイン>>9 エルナト 『うん…… ───今はそう思う』 『想像して、勝手に鬱屈として、塞ぎ込んでしまうよりは。 最後まで読んじまった方がいいんだろうな』 『不安は今でさえずっと湧いてくるけれど、─── 希望を持つことだって、今だからこそできるから』 だから、君もそんな顔をするなよ。 渦中の僕が言った所で、どうにもならないんだろうけど。 ここが物語の最後のページではないことは、 いくら自分でも分かっているから。 『あー……その手があった。 何で思いつかなかったんだか。 部屋に置いてあるけれど、───うーん……』 『読みかけの本が結構、そこらに置いてあるから。 エルナトがそれを見て、気をやらないといいが』 (+11) 2022/05/07(Sat) 19:57:00 |
バレンタインは、小麦の香りを感じた。一度たりとも顔に出したことはないけど、食事は結構好きだったな。 (c9) 2022/05/07(Sat) 19:58:42 |
バレンタインは、読みかけの本をあらぬところに置く悪癖がある。その先を読めなくても、忘れないために。 (c10) 2022/05/07(Sat) 20:16:28 |
バレンタインは、君から渡された本は、きっと、ベッドの上に置いてあるだろう。 (c11) 2022/05/07(Sat) 20:37:07 |
充実 バレンタイン(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/07(Sat) 20:56:26 |
【墓】 充実 バレンタイン『124ページ目、「太陽には烏、月には兎─── ……“センセイ”もそうだったのかな』 少し考え事をすれば、 独り言みたいに頭のてっぺんから声が出る。 これだけは余計なお世話だな、とさらに独り言ちて。 さらに遡り、自分の両親のことも考える。 彼らだっていつか愛のもとに集まったはずなのに、 傷だらけになったり、いなくなったりするものだから。 『…… ─── ───』 バレンタインは、睡眠そのものはあまり好きじゃない。 けれど、夢を見るのは好きだった。 大抵は叶わないものだということを知っているからこそ、 それを不安に思う必要も、何も無いから。 (+12) 2022/05/07(Sat) 21:05:29 |
バレンタインは、でも、叶うかもしれない、と信じることくらいはしてみようと思った。 (c12) 2022/05/07(Sat) 21:08:41 |
バレンタインは、それで不安になっても、表現するものがないから、いっそ。 (c13) 2022/05/07(Sat) 21:08:53 |
【墓】 充実 バレンタイン>>14 エルナト 『124と125ページの間…… の、どこかまでは忘れちまったから、 その頭から読んでくれたら大丈夫。──ありがとう』 君が離れてから身体は微動だもしていない。 肉声も、表情すらもないけれど、 内側には気持ちが色々、沢山籠っている。 それを伝える手段がないのが心惜しいだけ。 『動けるようになったら……すぐに、── いやすぐには保証できないな。ともかく、 ずっとこのままなわけじゃねえし。 筋肉が衰えないようにと起こされた時に、 身体が大丈夫そうだったら戻しに行くよ』 車椅子を進めて、ちょっとだけ距離を詰める。 『あ』と短く声をあげれば、少しの沈黙が挟まれて。 『……読み切ったら、でいいかな。 もっと時間がかかるかもしれないけど』 (+13) 2022/05/07(Sat) 21:48:42 |
バレンタインは、反応を返すことはできないが。目はずっと本の文字を追っていた。 (c14) 2022/05/07(Sat) 22:21:22 |
【墓】 充実 バレンタイン夕暮れ。物語を反芻する。 特別なものはなにもない、 愛が成就する、普通の結末を。 きっとそういうものだ。 夢みたいなものなのは、愛それ自体であって、 普通の幸せを得ることはそれほど難しいことじゃない。 不安の病を患っていても、同じことだ。 ましてやどんでん返しで不幸になることなんて、 そうそうあるはずもない。なるべくしてなるもの。 僕のこの身体も、彼の語った恋の結末も。 『僕たちは、──望み過ぎたんですよ。 もっと普通でいいんです、センセイ。 身の丈に合った幸せと向き合わなくちゃ─── それ以上は手に入らないだけだったんだ』 誰かに話しかけるように。 手紙もまた認めなくっちゃな。 (+15) 2022/05/08(Sun) 0:04:06 |
【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタインちなみに、道中にて。 「…ねぇねぇ、バレンタインくん。」 「君の体って、動きはしないけど……」 「汗とか、泣いたりとか……トイレとか」 「そういうのも、完全に機能してないの?」 そんな質問をしたことだろう。 (-118) 2022/05/08(Sun) 0:47:08 |
【秘】 充実 バレンタイン → 司書 エルナト『藪から棒に……まあエルナトにならいいか。 人形にされたわけじゃないから、 そういう代謝?とかはきちんと働いてるみたい。 おむつとか履かされたの何年振りだって話。 あまり言いふらさないでくれよな。 恥ずかしいって思う気持ちだって残ってるし』 顔には全く出せなくなったけど。 (-124) 2022/05/08(Sun) 1:27:39 |
【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタイン「へぇ……そうなんだ。」 「……そうなんだ……………」 と、相槌を打つ声は。 少しばかりの熱を帯びて。 絶対に逃げない餌がここにいる。 じゃあ次、我慢できないくらいお腹が減ったら。 「……おむつとか変えてあげようか?」 「……なんてね。ふふ………」 ドキドキと高鳴る鼓動。 きっと君に聞こえることはないまま、食堂までの道を歩いた。 (-129) 2022/05/08(Sun) 1:45:10 |
バレンタインは、冗談言うなよ……とげんなりした。それが本気であるとは露知らず。 (c17) 2022/05/08(Sun) 2:01:33 |
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