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【人】 風来人 ユピテル「──おうとも、シェルタンの独り占め計画は成功だ〜!」 野うさぎのようにぴょんと跳ねて、一際に軽やかに風は吹く。 参加者達の首飾りの蜜は気付けば忽然と姿を消していて。 「さて、私の勝利は仲間の勝利!勝者への景品は予定通り 作戦の立案者であるかわいい妹分に進呈するとしような!」 (2) 2022/03/28(Mon) 22:39:28 |
ユピテルは、楽しんだ人は皆勝者だ!いえーい! (a2) 2022/03/28(Mon) 23:10:47 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「はいはい、時間はあるからゆっくり思い出して〜」 あいも変わらず賑やかな声に呑気な返事をしながら。 場所の指定には了承の意を返し、 支払いを済ませ、店主から受け取った品を手渡して、 贈られた花に込められた意味は知らないけれど。 まあ、知らなくたって何とかなるし、後から知るのも面白い。 そして知る事に遅いという事はない。 つまりはこれもまたそういうことだ、そうは思わない? 「うん?ああ、慣れないと若干難しいかもだ? オッケー、ちょっとじっとしてて!」 手を引かれ、イヤーカフを受け取って。 少し屈んで、金具を耳朶に掛け、少し位置を調整して、… 「……はいできた、もういいよ! うん、いい感じじゃない?似合ってると思う!」 離す直前、その縁を指先で一撫でして、するりと手を離して 耳元を飾る、ささやかな対比の色に満足気に笑った。 (-9) 2022/03/29(Tue) 2:41:24 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「さってと、次はどうしようかな…」 それからよいせと立ち上がって、暫し考える間。 悩む為の時間はまだあるけれど、 行きあたりばったりに探すばかりも何だしな。 そこまで考えて、あ、そうだ。 「──いいこと思い付いた! もう少し行った所に知り合いのやってる工芸店があってさ。 私はあそこの彫金細工が結構好きなんだけど… 確か時計なんかも取り扱ってた気がするんだよな」 見に行くだけでもどうだろう? そう提案して、また片手を差し出した。 その提案に乗るなら、案内された先は小さな工芸店。 旅人の話を聞いて店主が取り出したのは、 名も知れぬ花の意匠の揃いの懐中時計。それが二つ。 蓋を飾るのはとろけるような深い蜜の色のアンバー。 曰く、ある国では。 アンバーを贈る事が、幸運を贈るという事を表すのだと。 (-10) 2022/03/29(Tue) 2:42:34 |
【秘】 風来人 ユピテル → 異邦人 サルガス色の変わり始めた液体をストローで軽くかき混ぜた後。 不思議な色合いの、少しだけあなたに似ている液体を一口。 優しいハーブをベースに、蜂蜜とレモンの甘酸っぱさ。 「うん、いいね!きっと君にとってこの数日は 殊更にたくさん得るものがあったんだろうな。 知らない事が知ってる事になるのは、楽しいこと! 今まで知らなかった事を知れば知るほど、 自分がまだ知らない事があるってことに気付くんだよな」 今まではただ目に留まっていなかっただけの事も、 それから人々の手で作り出された未知も日々増えている。 全てを知る日というのは、なかなか来ないもので。 「私もけっこう長いこと旅をしているけどさ。 案外、まだまだどこに行っても発見は尽きないものだよ。 それに人々のことだってまだまだ全部はわからない」 「だからそう、 君がそう過ごせる時間も長いものになるんだろうな。 その中で今のように、きれいだったと思える事も たのしかったと思える事もきっとたくさんある。 このお祭りが終わっても、この街以外の何処であっても。」 「君の友人として、そうである事を祈っているよ!」 難しい理屈は得意じゃないから、ただ単純な願いを。 魔法でも何でもないただの言葉と、屈託のない笑顔に乗せて。 春の昼下がりのひとときが、穏やかに流れていく。 (-11) 2022/03/29(Tue) 5:03:30 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「ええ?何だって? 急げって言ったり止まれって言ったり今日は随分──」 曲がり角を曲がった、瞬間。 「どわあああ〜〜っ!!!!!」 ごちーん! と音がしそうな勢いでぶつかって来たのは、今や見覚えのあるものになってしまった茶色のふわふわ頭。 ぶつかり盛大によろめいて、目をぱちくりと瞬かせた後。 「……あれ、テレベルム? こんな所で奇遇だね──じゃなくて。 うっかりしてた、大丈夫…大丈夫じゃなさそう?」 やや困惑気味な様子を隠しもせず問うけれど、 多分この状況に於いて、一番困惑しているのはあなたの方と思う。 何はさておくとして。 さてあなたがその手に抱えていたものは無事だろうか? 無事じゃない?無事じゃないかも…… (-19) 2022/03/29(Tue) 10:32:22 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「ありゃ、ほんとだ…… 拾うの手伝うよ、放っておくのも何でしょ? パンは逃げ…るかもだけど、また今度行けばいいし」 少しずれた髪飾りを直す傍らに、 坂の方を見遣れば無常にも転げ落ちていく果実が見える。 拾いに行くと言ってすぐ、やや早足に坂の方へ向かった。 ──花飾りは、今日も変わらず髪の上で揺れている。 それに構わず背を向けてしまえばこの場はそれで終わり。 とはいえ途中であなたが姿を消せば、 旅人は付近を片っ端からあたって探しに行くだろう。 残念ながらそういう奴なのだと、想像に難くないはずで。 「……あ、そういえばさ」 そうして転がっていったものを拾い集めた後。 あなたがまだ近くに居れば、 実に他愛ない雑談のような調子で話を振った。 「もうそろそろ約束の日だよな。 君、次はどの方面に出立する予定なんだっけ? 思えば君の故郷がどの辺りか聞き忘れてたなって。それと」 「何か思い出せた事はあった?」 (-30) 2022/03/30(Wed) 6:55:43 |
【人】 風来人 ユピテル足取りは跳ねるように軽く、街行く人々に声を掛けて回る。 今日も春風は穏やかで、優しく背を押すように吹いていた。 ──祭りの記念に皆で絵を、と。 そんな裁縫屋の子の楽しげな催しの話をして回った。 絵に自信はなくとも、見に行くだけでもどう?なんて言って。 それから、ひとつ、ふたつと空を彩る花を見て。 ぱっと瞳を輝かせて、きれいだね、なんて 道行く人と顔を見合わせて笑ったりもして。 これもまた、もう少しだけ話をして回った。 (16) 2022/03/30(Wed) 8:42:23 |
【置】 風来人 ユピテル得てして風というものは、色々なものを運ぶもので。 そして何より、ユピテルという旅人は。 人々が、皆が、誰かが楽しそうにしている様子が好きだ。 そうして見付けた、自分が好きだと思ったものを どこまでも遠く離れた地の人にも知って欲しいと思っている。 だから旅をして、人の輪に紛れ、同じものを見聞きして。 話を聞いて、話をして、 自分と誰かの"好き"を増やしては集めて。 また旅に出ては、それを遠く離れた地の人へ伝えるのだ。 (L2) 2022/03/30(Wed) 8:43:22 公開: 2022/03/30(Wed) 8:45:00 |
【人】 風来人 ユピテルそんなこんなをした後に。 再び広げられた紙の見える場所へと戻ってきて。 どれ進みはどうかと覗き込めば、 真っ白だった紙は少しずつ色鮮やかに彩られ始めた頃か。 その中には見覚えのある絵もあって。 ──さて。 (17) 2022/03/30(Wed) 8:43:46 |
【人】 風来人 ユピテル「言うなればこの絵は皆で作るものなわけだ。 ならここに私がちょいと手を加えるとしたら──」 「まあ、やっぱりこれだよな!」 言いながら、荷物を少々ごそごそとやって。 徐に取り出したのは──インクを付けて押すタイプのスタンプ。 絵の具を混ぜて青と紫の中間のような色を作って、ぽん。 (18) 2022/03/30(Wed) 9:05:47 |
ユピテルは、端の方にスタンプをぽん。 うさちゃんマーク 。 (a15) 2022/03/30(Wed) 9:06:43 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「おや、へえ。ちょうど良いね? 件の人には感謝した方が良いのかもしれない。 時に──君って天気予報は聞く方?」 ふと、白銀の合間から覗く暖かい色が目に留まって。 それから、出立が遅れるという言葉に一度目を瞬かせた。 続いてそれを、災難、ではなく、幸運な出来事のように言う。 「当然聞くだろうね。何せ旅をするんだから。 でもずっと先の予報まではそうそう聞けないだろ? 大抵はどんなに風や空を読むのが上手くたって限度がある。 この街では私は予報士の仕事はしていないしね」 この旅人とて、路銀の為にたまに仕事をしている。 たまに。 そしてそれは、大半が風を読む類の仕事だった。 その中で予測を外した事は、これまでに一度も無い。 「つまり。その方面の空模様は、 この祭りが終わってすぐは少しばかり荒れるらしい。 何も春の嵐、というほどではないし、 少し出立を遅らせればまったく問題無い程度だけどね。」 (-35) 2022/03/30(Wed) 11:55:33 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「で、ここまではちょっとした親切心。 なんでって言ったらそりゃあ、もしも行き先が同じなら 旅の連れ合いは多い方が当然楽しいだろ? 何より私も次は向こうの港街に行くつもりだったんだ。」 何せとりあえず港に行けば遠くへ行けるし仕事もある。 旅人は、毎年春は決まってこの街に来るけれど。 他の季節の行き先は案外一定していない。 「もしかして君、 私が君は一人じゃやっていけないんじゃないかって そんなふうに心配してると思ってる?」 「もしそうなら、それはちょっと思い違いをしているな。 君は私が居なくとも何処にだって行けるし、 私も君が居なくとも何処にだって行ける。 少なくとも私はきっとそうだと思っているよ?」 実際の所。 旅人はあなたがしたい事がある場合、大抵それに乗る形だったし。 あなたの頼みや約束は聞くけれど、それ以外は自由にやっていた。 それがいいと思ったら、その提案に乗った。それだけの話。 (-36) 2022/03/30(Wed) 11:56:40 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「それでもこうしてあれこれ予定を聞くのは。 やっぱり旅の連れ合いは多い方が楽しいと思うからだ。 話し相手の居る旅は、いつだって楽しいものだからだ。」 「旅先で、何かを見聞きして思った事を。 その場ですぐに誰かと話し合えるのは。 連れ合いの居る旅でなきゃできない事に違いないしさ?」 別に、できなくたって、死にやしないけど。 でもやっぱり、一人でそっと胸にしまっておくよりは。 やっぱりその方が性に合うんだよな。なんて続けた後。 「思い出せたかどうか聞いたのは、まあ一応。 そのままでも君が生きていく事に支障は無いだろうけどさ、 覚えてないって聞いたからには気になるものじゃない? それに、寝ぼけてるよりは起きてる方がいいだろ?」 目覚めた直後の微睡みは、心地良いものかもしれないけど。 まあそれはそれとして。 「それで、あとは、そうだな。 強いて言うとすれば。 旅の道すがら、もう少し君と他愛ない話がしたいってだけ。」 「なあ友よ、私はいつだって私のしたいようにしているよ。 それで今、たまたま君と足並みが揃うというだけの話さ」 (-37) 2022/03/30(Wed) 11:57:21 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「……まさか聞いてないの?…まあ、それは一旦置いといて。 私の旅路はいつだって良いものだとも。 たとえ一人であっても。一人ではできない事もあるだけでさ」 空を、風を読む事はできるけれど。それは読んで初めてわかる事。 だから先の事を知っているからつまらないなんて事も無い。 行きあたりばったりに風に吹かれて、 行きあたりばったりに雨に濡れる事もある。 案外、この風の子は人と同じような旅路を歩んでいる。 「にしても…あの時のまま、あの時のまま、か。 なあテレベルム、本当に何一つ変わってないと思う? 私は君の記憶の中のある一点で、君の記憶の中の私のまま 今も立ち止まったままで居るのかな?」 「世界は案外、日々知らない事が増えているものだよ。 形の遷ろうものもあれば、新たに作り出されるものもある。 どんなものも、全てを知り尽くす日はそうそう来やしない。 もしも何一つ変わっていないように見えるとしたら、それは。 きっとまだ君が知らない側面があるという事を知らないからだ」 つらつらと問い、それから続く言葉を投げ掛けながら。 一歩、二歩、そちらへ歩み寄って、両手を伸ばして── (-47) 2022/03/31(Thu) 9:39:16 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「──つまり、私も少しは進歩してるってこと!」 白いフードをがっしり掴んで、ぐっと引っ張り寄せて。 サプライズを仕掛けた子供じみていたずらに笑ってみせた。 いくら人ならざるものとて、数十年もあれば。 多少の人の情緒は理解が及ぶようになってきた頃だ。 そして、ただ気紛れに吹く風というばかりでもない。 こうして何かを捕まえる事も、まあたまにある。 「とはいえまだまだ勉強中の身だという事も確かなことだ。 たとえば私は君達の"寂しい"はまだわからないけど、でも わからないって事はこれから知るってことでもあるだろ? だから君が教えてくれよ、テレベルム。 別れを惜しむ気持ちはわかるから、もう一歩のはずなんだ」 ──強いて言うなら好きなものは楽しいこと、 ──楽しいことは知らないものを知ること! そうして人を知って、人を理解して、同じ点を見付けて。 何となく気付き始めた頃ではあった。 世界には、連れ合いの居ない気儘な旅雀である限り 決して知る事のできない事もあるのだと。 「それに、それにだ。そもそもの話だけど… 『君と話がしたい』 という望みを君以外の誰かが叶えられると思う?」 (-48) 2022/03/31(Thu) 9:39:51 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「もちろん、答えはノーだよな! つまるところ、君と旅路を共にして その中で他愛ない話をしたい、という事は、必然的に。 君だから、君でなければ──という事になるんじゃないかと 私はそう思うんだけど、君はどう思う?」 なんて、問い掛けの形にしてはいるけれど。 あなたが何と言おうと、この旅人の中ではそういう事になった。 何も全てが揃いではないとしても、 決して揃いのものがそれだけとも限らない。 つまりは何を言ったとしても、 私はそうは思わないけどね、で終わる事。 勝手に期待をされたなら、こちらも勝手を返すだけ。 「それに、確かに風というものは気紛れなものだけどさ。 私達はただ気紛れに吹く風というだけのものじゃない。 それぞれに意思があり、言葉によって意思の疎通ができる。 そして私は引き留められれば留まる質ではあるし──」 「そうでなくとも、もしも気紛れを起こしたくなった時は。 私が楽しそうだと思った方に君も引き摺って行くさ。 それが嫌なら、気紛れを起こさないよう捕まえててよ!」 ぱっと手を放し、あっけらかんとそう言い放って。 あいも変わらず髪の上では白と青の花飾りが揺れた。 (-49) 2022/03/31(Thu) 9:40:38 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「なるほど、そうだな…… ──じゃあ、また一つ。"約束"ということにしようか?」 ユピテルという旅人は、約束は守るたちだ。 それが単なる口約束であったとしても、 多少の不手際はあっても。約束そのものは破りはしない。 毎年春にはこの街を訪れると決めてはいた。 それはあなたと約束を交わす以前からの事で、それでも。 絶対にこの街でなければならないような理由は無かった。 気が向けば、いつでも他の街に行く事はできた。 それでも、約束を交わしたあの日から。 この街を訪れなかった春は一度もなかった。 つまるところ、この風の子はそういう奴だった。 「たとえば何処に行きたいだとか、何かしたいと思った時は。 私は行動に移す前に、ちゃんと君にも意見を尋ねる事にする。 それで、君も何か行動する前には提案という形で伝えてくれよ。 これなら君も私も置いてけぼりにはされないだろ?」 互いに互いの考えを聞いた上で、異なる道を行くとすれば。 それは互いに納得した上で、違う道を選ぶという事だ。 まあ何も、いずれそうなる時が来るとは限らないのだけど。 (-59) 2022/04/01(Fri) 17:03:29 |
【秘】 風来人 ユピテル → 行商人 テレベルム「だから、出立の日が決まったらちゃんと教えてくれよ? 置いていかせるなよ、なんて言った以上はさ。 何なら今ここで指切りでもしようか!」 なんて、苦笑いにいたずらな笑みを返して。 投げ掛ける言葉は、あくまでも冗談じみたもの。 事ここに至ってなお一人で行ってしまうとは思っていない。 どのみち、街を発つ者が居れば、きっと。 親切な"風のうわさ"が教えてくれるだろうから。 そういう意味でも、何一つとして心配してはいない。 「君の土産話が一つでも多くなるように、 そして私の楽しみが一つでも多くなるように。 ──我が友よ、なあテレベルム! 互いに退屈する間も無い旅にしようじゃないか!」 そう言って浮かべた笑顔はもう既に随分楽しげなもので。 穏やかな春風がまた一つ、坂の上から下へ吹き抜けていった。 (-60) 2022/04/01(Fri) 17:04:09 |
ユピテルは、きっと来年も『ただいま』を言いに来る。 (a21) 2022/04/02(Sat) 20:58:53 |
ユピテルは、だから街を出る時に言う言葉は、『行ってきます』。 (a22) 2022/04/02(Sat) 20:59:11 |
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