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【秘】 路地の花 フィオレ → オネエ ヴィットーレ「解放されたら、今度は一緒に一から選びに行きましょうね」 「ヴィーのお店、楽しみにしてる人達のために…もっといいお店を作らなきゃ」 失ったものはまた取り返せる。 きっとあなたが解放される日はそう遠くない。信じている。 だから前向きでいようと思うのだ。 「そんなヴィーにみんな甘えてきたんだもの」 「こんな時くらい、気を抜いたっていいのよ。一番辛いのはあなたなんだから」 抱き締めてあげられたらいいのに。今までしてもらった分を返してあげられる位。 あなたと自分を隔てるものは、見た目以上に分厚い。 「……ありがとうね」 「皆の事、私もちゃんと大事な家族だと思ってるわ」 こんな私でも認めてくれる。 出来る仕事を仕込んでくれて、甘えさせてくれて。 だからこそ、もっと役に立てればと思う。…そのためにもやっぱり、ここで止まるわけにはいかないから。 「うん、気を付けるわ。それで、ちゃんと迎えに来るから」 待っていてね。ガラスにこつんと額をくっつけた。 (-76) 2023/09/24(Sun) 3:28:12 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレぶじゅ、ぶじゅ、と滲んで吹き出す血。 その速度に呼応するように伸びやかに飛び出した悲鳴。それを、男はまるで気に入りの歌を聞くように口角を上げて享受した。 歩く指先は軽くなり、ステップを踏むようですらいた。全て、全て、貴方の視界の外側での話。 貴方の頬に涙が流れるのを男は見た。 それが室内灯を跳ね返すのを見た。また笑った。 ────自分と同じ図体をしていた生き物が、あんなにも飄々としていた生き物が、自分より縮こまって自分より下で惨めに蹲って泣いている! それは強者の高揚。 上下の関係の錯覚。 歴史の中で幾度と繰り返されたきた、醜悪な勘違いのひとつ。 「もうシェイカーは握れないな」 「関係ないか。お前はマフィアだし」 「偽る道具がなくなった方が人のためだ」 上機嫌に紡ぐのはそんな言葉。 男の瞳は輝いて室内を物色した。 探している。探しているのは最早、貴方の罪ではない。 貴方を痛めつける材料を、より大きく鳴かせる道具を探しているだけ。 ▽ (-78) 2023/09/24(Sun) 3:29:41 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ ────ぱりん。 ガラスが割れる音 が耳に届いたのは、貴方が呪詛を吐いてから幾らか後のこと。当然まだその指先は痛むのだろう。それでもその耳はきちんと音を聞き分けたはずだった。 きっと貴方もよく聞いたことのある音。 空の酒瓶を誤って落とすと、そういう音がする。 (-80) 2023/09/24(Sun) 3:30:27 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 路地の花 フィオレ「ふふ、お買い物デートね♡ 楽しみにしてるわ。前よりいいお店にしちゃうんだから。」 未来の約束を結ぶ。 未来を手に入れてみせるという覚悟を暗に示す。 その約束は、決して今の状況には負けない、屈しないと、 己を奮い立たせる燃料となって。 「……貴方は本当に優しい子ね。ありがとう。 貴方みたいな子のお友達で、アタシは幸せものだわ。」 一つ一つの優しさが、傷ついた心に染み渡る。 ガラス越しの体は抱きしめられないけれど、 心には何も隔てるものはなく、貴方の言葉に抱きしめられた。 「……うん、頑張って。そして迎えに来て。 ……待ってるわ、アタシの可愛い家族……」 ぴとり、ガラス越しにこちらも額を当てる。 冷たいガラスが、2人分の体温で温まった。 あんまり長く話すと、貴方も疑われちゃうかも、 なんて眉を下げて苦笑を零しながら添えて。 (-109) 2023/09/24(Sun) 6:18:04 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ痛みに耳がキンキンする。 貴方の言葉を上手く噛み砕けない。 自分の指がどうなってるかの確認も出来ないまま、 ただ痛みに耐えるように丸くなる。 惨めな姿だ。大の男が縮こまって。 惨めな惨めな─── か弱い姿だ。 「……っ……何する気? 人間は…………そんなに丈夫じゃないわよ……」 割れた音、ガラス瓶の音。 昔落とした瓶を拾った時に、指を切ってしまった ことを思い出す。 乱雑に割れたガラスは……刃物と何ら変わりは無い。 (本当に…………ここで死ぬかもしれないわね…… ごめんなさい……フィオレ……アリーチェ…… 約束、守れないかもしれないわ……) 心の中で懺悔して。 後は、痛みが限界を超えて飛びかけになる意識の中、 貴方の楽しむ声と施す内容を、ただ恐怖と共に待つのみだった。 (-111) 2023/09/24(Sun) 6:25:34 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレそのざまは男にとって甘露のようだった。 可笑しくて可笑しくて仕方がなかった。 割れた破片を手に持った男は、それで僅か手を切ったことさえ、高揚感で気にならなかった。 もしこの場にもう一人だけでも人間がいれば、男がこうまですることはなかったのだろう。 怯えせないように、或いは自分がけだものと見られないように、理性を保とうと努めたのだろう。 けれど、そうはならない。 ここには自分とマフィアしかいない。 結果の分かりきった、ここは極小の蠱毒だ。 そのために作られた空間だった。 かつり。かつり。 惑わせようとすることすらもうない。それは侮りであって逸りだ。 蹲った貴方は死に体で、這いずって逃げる様子すらないのだろう。 それが男は楽しい。 愉しいのだ。普遍的で醜悪な人間の内面の体現。さて。 貴方には分からないだろうが、もう時間は来ている。 被疑者を死なせてはさすがにまずい。一定の時間が経てば当然確認は来るもので。 だからこれが、男が与える最後の責め苦になる。 ▽ (-157) 2023/09/24(Sun) 15:05:40 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレまず貴方が感じるのは 柔らかさ。 それが唇の感触だと気づいただろうか。 あろうことか、この生き物は貴方の額に口付けた。 血と膿に濡れて乾いた布地を少し下ろして。 次に感じるのは、 冷たさ。 それはつるりと硬質で、尖った部分があって。 きっと破片なのだろう。貴方の唇に押し当てられた。 僅かに、薄い肉が裂けるかもしれない。 「ああ」 「違うな、駄目だ」 「話せなくなる」 けだものにも少しなら脳はあるらしい。 それから貴方が次を感じるまでには間があった。 当てずっぽうの反撃も今なら当たるかもしれない。男は、近くにいる。 ▽ (-159) 2023/09/24(Sun) 15:06:53 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレけれど、貴方が。そう、しないなら。 最後に感じるのは────やはり、 痛み だ。貴方の手を、先程鈍器で殴りつけたのをは別の手を開かせて。 そうしてそこに何かを──何か? 明白だ──を握らせて。 「ヴィットーレ」 「プレゼントをやろう」 「しっかり握って離すなよ」 「握手で始めたんだ。最後も握手で終わらないとな」 ぎゅう。 外側から強く握れば。 内側から裂けるはず。 (-160) 2023/09/24(Sun) 15:07:12 |
【秘】 路地の花 フィオレ → オネエ ヴィットーレ「だから、ここにいる間……お店のイメージ、考えておいてよねっ」 「こんな家具置きたいとか、こういう食器揃えたいとか」 そういう事を考えていれば、何かあったとしても。 希望になる。決して折れることのない支えになると信じている。 「お互い様。私も、ヴィーの友達でほんとに幸せよ」 「あなたがいるから、私は女の子でいられるんだもの」 にこりと微笑んで。 「……もう、行くわね。 そう簡単には、私は捕まってあげないんだから」 ガラス越しに当てた額に、体温を感じたような気すらして。 穏やかに笑って。 あなたの言う通り、まだ収容者の少ない時期に長居をしていれば不審者だと思われてしまいかねない。 名残惜しそうにはしつつも、ガラスからは一歩距離を取って。 「もう少しだけ……待っててね」 (-280) 2023/09/25(Mon) 2:29:10 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオまず感じたのは、額に濡れた感触。 何度も感じたことのあるそれは、なにをされたかなんて 一瞬で察することが出来た。 ぞわっ、と嫌悪感が身体中から沸き起こる。 憎い相手に愛情表現をされるほどおぞましい事など、 この世には存在しないのではないだろうか。 「いっ………………!」 それから、やわく少し盛りあがった唇の肉が、 プツリと音を立てて薄く切れ、まだ新鮮な赤い血が滴る。 神経の一層集まったそこの痛みは、麻痺しかけた体にも 鮮明に痛みを伝えてきた。 獣が、僅かばかりの理性で止まり。 少しの間。男は反撃をしない…………できない。 痛みによる恐怖が、腕を振り回すよりも脇を固めて 外部からの暴力に耐え忍ぶよう形をとる。 腕を開けばその分無防備になってしまう。 …………それが、怖い。 さてそうして、施される行為に。 (-298) 2023/09/25(Mon) 6:17:01 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ「ッあァァ!!ぐぅ…………!!」 手のひらにざっくり刺さる破片。 肉を、血管を、神経を引き裂き骨まで到達するガラス。 ぶしゃ、と鮮血が迸りまた床を汚す。 痛みに腕が痙攣して、あなたに握られたまま ビクビクと魚のように跳ねる。 まともな治療を受けなければ、この手はもう 使い物にならないかもしれない。 何を握ることも、撫でることも、抱きしめることも。 きっともう出来なくなるだろう。 撫でて抱きしめたい愛する家族達を守った、その代償として。 (-299) 2023/09/25(Mon) 6:21:50 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 路地の花 フィオレ「ふふ、前よりずっと素敵なお店にしてみせるわ♡」 未来に希望を持って今を耐え忍ぶ。 きっと今の状況で、何より大切な事だった。 貴方がそれをくれたから、ヴィットーレはまだ、折れずに済む。 先の見えない未来に向けて、歩くことが出来る。 「……貴方はいつだって、素敵な女の子よ。 えぇ、またね、キャシー。体には気をつけて。」 あなたに合わせてこちらも距離をとる。 今の己にできるのは、あなたの無事を祈ること、ただそれだけ。 「……待ってるわ。アタシの可愛い家族のこと。」 じゃあね、ゆるりと鎖のついた手を振るのであった。 (-300) 2023/09/25(Mon) 6:27:10 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ男は貴方を愛していない。 ただ、男はわかっている。 こうすれば人の心と尊厳は傷つけられる。 それは本能的な知覚。蹂躙者の思考回路。 それに加えて、なんだか、とても。 弱った貴方に、くすぐられたので。 ふっくらとした唇の肉が裂けるのを見ていた。 貴方が怯えから身を小さくするのを見ていた。 歪めさせて絶叫を溢れさせる口元を見ていた。 不自然にがくがくと痙攣する身体を見ていた。 「あっはは、ははは!」 男は笑った。高らかに笑った。 けだものは、弱者を嬲る歓びを覚えた。 ▽ (-324) 2023/09/25(Mon) 12:14:42 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ舌なめずりをした男は、そのまま。なんだか堪らなくなったように貴方の身体を掻き抱く。 貴方は暴れたかもしれない。遂に、ようやく、何とか反撃を加えようとしたかもしれない。しかし既に遅い。それらはもう、大した威力ではないだろう。 男はそれ以上何もしなかった。時間が来ていた。 だから出来なかった? 否、充分だった。 ただ血と汗と、傷口の化膿する嫌なにおいが充満している。 暫くして。 終わりを告げるノックがあるだろう。男は静かに応じ、扉が開かれる。 そうして入ってきた警官に、何か言われる前に。 「こいつが。」 「意識を飛ばしかけていたので、介抱を。」 男は薄く笑って、酷く冷静にそう言ったのだと。 それも全て、全て。貴方の視界の外の話だった。 (-325) 2023/09/25(Mon) 12:15:11 |
ヴィットーレは、痺れて感覚のないままの片手を撫でた。 (c38) 2023/09/26(Tue) 13:40:48 |
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