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【人】 オネエ ヴィットーレ……解放の通達は突然に。 牢に捕まった立場も年齢も性別も違う何人もの"冤罪人"達は、 蜘蛛の子を散らすようにその場を離れていった。 ヴィットーレの怪我は随分酷くて、一人では動けそうも 無かったから、きっと誰かに支えられ、病院まで行ったことだろう。 ……そうして、病院に着くや否や治療を受け。 丸一日と少しの後、手術室から病室へと移される。 両手は爪が疎らに剥がされ、利き腕だった右手はさらに 指先の粉砕骨折や、ガラスでできた粗い裂傷。 肉ごとぐちゃぐちゃに潰されていたそれらは、今は ぐるぐると巻かれたギプスによって覆い隠されている。 神経まで細かに千切るその負傷は、 とても後遺症無し、で済むようなレベルではないだろう。 ヴィットーレは右手の痺れを感じながら、ベッドで座っていた。 #病室 (39) 2023/09/27(Wed) 20:26:29 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「大丈夫よ、アリーチェ。 もう痛くはないわ。」 何度も言ってきた"大丈夫"の言葉。 病院に運ばれるその時ですら、うわ言の様に 貴方に呟き続けていた言葉。 ……今はしっかりとした意識で、安心できる声色で、 きちんとそれを伝える。 少なくとも、眉根を顰めるような激しい痛みは今はない。 視線を貴方から外して、反対側にある窓の方へ。 「……そうね。耐えてたかいがあったわ。 ……アタシたちの勝ちね。良かった……本当に……」 少なくとも、自分にとって大切な人々は皆大なり小なり怪我こそすれど生きている。捕まらずに済んだ子達も大勢いる。 ……腕一本失った対価としては、申し分ない結果だ。 「……退院出来たら、お店を立て直しながら…… ……あの子達のこと、ちゃんと探さないとね。」 (-40) 2023/09/27(Wed) 21:25:13 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「ふふ、ごめんなさいね。 つい、昔からの癖で………」 スラムで生きてきた頃は、弱みを見せないように。 孤児院に居た頃は、心配させないように。 院長であった頃は、遠慮させないように。 常に元気に振舞う必要があったものだから、 ついつい染みついてしまった"大丈夫"の癖。 …これからはちゃんと弱さも見せられるよう、 少しずつ頑張っていきたいなと思う。 「えっ!?捕まってたの!? 大丈夫!?怪我は!?酷い事されなかった!?」 そうしてあなたから零れた言葉を聞けば、 牢の中ではほとんど意識が朦朧としていたヴィットーレは それはもう慌てて、貴方に寄り詰めようとしてベッドの上で よろけたりしたことだろう。 怖かったわね……なんて眉を下げて労わる様は、 やっぱり昔から変わらないお兄ちゃんの姿だ。 そんな顔も、貴方からの打ち明け話にはぴし、と固まる。 貴方にはいつも柔らかな表情を見せていたヴィットーレも、 この時ばかりは渋い顔をして。 「……マフィアは優しい世界じゃないのよ。 昨日まで喋ってた人は死ぬかもしれないし、 マフィアってだけで酷い事もされるかもしれない。 酷い仕事だってたくさんしなきゃいけないの。 アタシは………反対だわ。」 (-68) 2023/09/28(Thu) 8:15:27 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ腕に痣、と聞けばすこし悲しそうに顔を歪めるけれど、 でも、尾を引くものじゃないと分かれば安心したように。 きちんと座り直して、大したことじゃないわ、と笑う ヴィットーレは、昔からずっと変わらない、 貴方の、みんなのお兄さんのまま。 名を言い直した貴方には少し首を傾げたりしつつ。 「……それでもアタシは、貴方にマフィアには なってほしくないわ。それは、マフィアという職業が 危ないからというのもそうだけれど…… …もし何かがあった時、何かをする時、 同じ視点であるよりも、それぞれが違う視点を 持っていた方が、対応幅が広がると思うの。 ……人探しという面でも。」 同じ立場では、同じ手段しか取れない。 もしもの時に手が届かない、守る手段がない、 そうなってしまう可能性がないとも限らない。 今回の件だってきっと、マフィアか警察、 どちらかだけではこんなに早く解決しなかっただろう。 貴方を側で守りたい、という気持ちはあるけれど…でも。 やっぱり貴方には、法に守られた場所で。 今までの仲間と共に過ごしてほしい、そう思う。 「……それでも不安なら、そうね……」 ヴィットーレはそう呟いて、少し思案して。 それから顔を上げて。 (-168) 2023/09/29(Fri) 6:07:20 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「……一緒に住む?それなら少しは安心かしら。」 孤児院で、他の家族と住むのと同じような、 そんな気軽な口調で。 そう言ってのけた。 (-169) 2023/09/29(Fri) 6:08:46 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「不思議な諜報ルート……?……わっびっくりした。」 テレビのチャンネルみたいにころっと表情が変わった 貴方に驚いて声をあげて。 昔だって、交流会の時には1日お泊りしたりしたのだし。 だったら一緒に住むのも大丈夫かな、と思ったのだけれど。 やっぱりもう大人だし、そういうのは嫌なのかしら?と 首をかしげて……… 「……あら!ふふ。よかったわ。 帰っても誰もいない生活ってちょっと寂しかったのよ。 疲れて帰った時にアリーチェが出迎えてくれたら、 アタシ、今よりもっと頑張れちゃうわ♡」 もちろん、貴方の帰りが遅くなった時は ちゃんと出迎えてあげるからね、とウィンクして。 一つ屋根の下、きっと色々なこともあるだろう。 ……乙女の貴方には少し、大変な日々となるかも。 「それじゃあ、退院したら貴方の荷物を運び出さないと。 アタシのお家も片付けて……素敵なお家にしましょうね。 何か要望があったら遠慮なく言ってね。アタシだって」 「アリーチェの……愛する家族の味方なんだから。」 手を伸ばしてよし、と頭を撫でようとするヴィットーレは、 やっぱり昔と変わらない。 貴方にとってはきっと少し物足りないくらいに。 これがその心持ちを変えるにはやっぱり…… "3つ"の重荷を下ろす必要があるのだろう。 きっとこれから、長い戦いになるはずだ。 (-299) 2023/09/30(Sat) 10:33:16 |
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