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【秘】 巡査長 清和 → 花守みんなが海で遊んだ日の夕暮れ時。 カナカナ、と鳴くヒグラシの声を掻き消すように、 風を切って走るバイクのエンジン音が轟いて、花守の耳にも届いた。 「おまたせ」 バイクから降りてヘルメットを取り、気安く手を振る。 金色の髪がふわりと舞って、夕陽に照らされる。 まるで、秋の稲穂の色で染まってどこまでも続く広野のようだ。 (-3) 2021/08/14(Sat) 21:02:14 |
【独】 花守/* あれ!?あれっ!?あっっれ!?あの一人称茜ちゃんじゃなかったの!?ボブの勘違い?ボ違いしちゃった!? 誰?ねえ、だれなの?こわいよお! (-12) 2021/08/14(Sat) 21:18:24 |
【置】 花守──夢を、夢を見た。 薄ぼんやりと映る景色のなか。 手入れのされていない雑木林。 寂れた木造の建物。 独りぼっちが。 迷いびとに甘い夢をみせて。 優しく包み込んで。 寂しくないように。 そう囁いて。 此処こそが自分達の還る場所で。 いつまでも、どこまでも居ていい場所で。 きっとまだ迷い込んていないみんなも、来たがっている。 だからみんなを…… それから……それから…… 「…………ぼんぼこ、ぼん?」 (L0) 2021/08/14(Sat) 22:04:10 公開: 2021/08/14(Sat) 22:30:00 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和とっくに出る用意はできていたようで、懐かしいエンジン音が聞こえれば、そう待たせることもなく玄関から出てきた。 夕陽に照らされたあなたを、目を細めて出迎える。 よく煌めくその髪に、何度目を奪われたことか。 それ故に、"彼"が染めてきた時は心底驚いた。 「もう来たんだ ねえ、今日はどこに連れてってくれんの?」 あの頃の、あのままの口調で出迎える。 いまから彼女は、少女となって約束の続きを演じる。 だから、目の前にいるのは"良いことができる人"になった恩師じゃなくて、素行の悪かった自分に根気よく付き合って、よくよく世話を焼いてくれた2つ上の先輩なんだと。 今日だけは、今だけは。 (-22) 2021/08/14(Sat) 22:33:13 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守すぐ玄関から出てきた花守に、もうひとつのヘルメットを投げ渡す。 煌めくような金の髪。 外からやってきた清和だけが持っていた、特別と異端の象徴だった。 "彼"が清和に憧れて、清和と同じになった。その時までは。 清和がこの田舎にもたらしたものは、良くも悪くもたくさんあった。 宵闇も、御山洗も、添木も、そして花守も、 この男がいなければまったく違う道を歩んでいたことは想像に難くない。 そんなあなたの初恋の相手は、ずっと手の届かないような場所から、 手の内を明かすことなく、涼しげな顔であなたの様子を見て言うのだ。 「あの頃みたいに、近くの隣町…… いや、もっと遠くがいいか……誰にも知られないような、遠い場所」 ほら、乗れよ。と後ろに乗るように促す。 準備ができればご褒美を上げるのに相応しい場所にバイクを走らせる。 ひとりで走るときよりも、ゆっくりと。後ろの人間を気遣うように。 「……都会に出て、いい男とかいなかったのか?」 その道すがら、ふたりきりで秘密の会話を交わしながら、ふと尋ねて。 (-28) 2021/08/14(Sat) 23:50:43 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和同乗を促されれば、「うん」とだけ言って、渡されたヘルメットをかぶって腰に掴まって、エンジン音が響いていった。 身体を預けると、漠然とした不安や苛立ちが落ち着くようで、あなた や、"彼" の後ろに掴まって乗せてもらうのが好きだった。けれどずっとお荷物でいるのも厭で、憧れもあって、真似をするように父親の原付を駆るようになって、そのお陰かもっと世界が拓けて。 ほんの少しだけきつく抱き直す。 「だれも、みんな私を見てくれなんだもん。 勝手な理想とか妄想押し付けてさ、そんなのヤだったから振ってやった。 大人しくて無垢な少女だって、きもちわるっ」 ロクに成長しなかったせいで、そういう男にウケる容姿に、不本意ながらなってしまった悩み。 (-29) 2021/08/15(Sun) 0:48:36 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守響くエンジン音と共に背中に感じるのは、温かく確かな存在感。 ふたりを乗せたバイクは風を切り、遠くに見える街灯りに誘われていく。 誰も、お荷物だなんて思ったことはない。 他の誰よりも前を進んできた。ずっと背中を見せてきた。 自分がそうしたい、そうありたいと思ったからしてきた生き方。 だけど、そんな生き方も、いつまでも続けてはいられなかった。 それを痛感させられたのは、花守と『約束』を交わす、少し前の事。 「ふふ、そうかそうか……大人しくて無垢な少女、か。ふふ……」 面白いことを聞いた。と、おかしそうに笑う声が微かに聞こえてくる。 花守を知ってれば、とてもそんな風に称することはできないだろう。 そして、今まで自分がみんなに見せてきたものとはまさしく、 理想や妄想を押し付けられるような『清和瑠夏』の姿だと思った。 「つまり、縁ちゃんは自分のことを見てくれる人と一緒になりたいと。 大変だな。そんなヤツ、探してもなかなか見つからないだろうに。 お医者様なんて、特にいい顔してないといけないだろうしな」 将来を案じるような声色で、ぶつぶつと呟いて。 ──街灯りは、まだ遥か遠く。 (-33) 2021/08/15(Sun) 2:32:22 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和そうあろうとした(清和瑠夏)の仮面の下に隠した 瞳の色 を自分は知った。それは本性の一部に過ぎないのだろうけど、それを知った上で誘って煽った。 ここから先は誰にも知られない二人だけの時間、仮面を着けたままでも、脱ぎ去っても、どちらでも良い。 くつくつと笑う背中をヘルメットで小突いた。 「べつに面白くないんだけどっ」 偽りの自分を、それとわかっていても見てくれる人。 偽らざるとも、それでも良いとしてくる人。 そんなものを求めるのは、単なる我儘だろうか。 都会で息苦しさを感じるたび、郷愁に駆られた。 不平や不満はあったけれど、求めていたものがあった気がするから。 「オトナって大変だよね、生きづらくってさ。 寂しくなりたくないだけなのに、そんなのも難しいし」 (-42) 2021/08/15(Sun) 14:27:06 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守ずしん、と背中に感じる、少し重くて硬い感触。 バイクに乗っているというのに、やんちゃで困るなと思いながらも。 「ははは、悪い悪い……へそ曲げないでくれよ?」 なんて、いつものように軽い謝罪の言葉を返す。 万が一、へそを曲げられたとしてもこの状況では逃げられまい。 こんなやり取りも、いつまでも続けばいいのになと思う。 懐かしくて、面白くて、暖かい。だからこそ、大切に思った。 「……しかしそれが、"オトナ"になるってことなんだろう。 寂しくっても、生きづらくっても、飲み込んで生きていく。 そうする上で何を拠り所にするのか、しっかり持っとかないと…… まあ、寂しさや生きづらさをなくそうとするのも、選択のひとつだが」 都市開発が始まって、いつまでも田舎には残っていられなくなった。 寂しさと生きづらさを飲み込んで生きていくことを、清和は選んだ。 ならば、清和の拠り所とは? 「……遠いな、まだまだ」 ふ、と漏らすように呟く。どれだけ走っても街灯りは遠くのまま。 当然だ、ここは"田舎"なのだから。"都会"になど行けるはずがない。 (-47) 2021/08/15(Sun) 16:57:06 |
【人】 花守「……とおいね」 一向に街に辿り着かないことの違和感はあった。 最初はあなたがわざと遠回りしてるのではと疑ったが。 違った。 恐らく、先ほどからずっと"同じ道を走り続けている" それでも切り出せずにいた、切り出さないでいいと思った。 都会の蜃気楼を追いかけて延々と走り続けて、この刻を永遠にしてしまえばいいと思った。 「じゃあ、センパイはどうやって飲み込んだの? どうして"オトナ"でいられるの?」 花守縁は"オトナ"になれなかった。 (17) 2021/08/15(Sun) 17:57:34 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和「……とおいね」 一向に街に辿り着かないことの違和感はあった。 最初はあなたがわざと遠回りしてるのではと疑ったが。 違った。 恐らく、先ほどからずっと"同じ道を走り続けている" それでも切り出せずにいた、切り出さないでいいと思った。 都会の蜃気楼を追いかけて延々と走り続けて、この刻を永遠にしてしまえばいいと思った。 「じゃあ、センパイはどうやって飲み込んだの? どうして"オトナ"でいられるの?」 花守縁は"オトナ"になれなかった。 (-55) 2021/08/15(Sun) 18:03:28 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守決して辿り着くことのない、都会への道を走り続けている。 清和もきっと、すでに違和感に気づいているはずなのだ。 だというのに、その事を切り出すようなことはしなかった。 いつかはあの街灯りの下に戻らなければならない。向かっている。 それでも辿り着けないのなら。それは、仕方がないことだから。 「この田舎を、この村のみんなを愛してるから」 自らが"オトナ"でいられる理由を何のためらいもなく言った。 「……縁ちゃんとあの『約束』する、ちょっと前か。 俺とヒサシ、バカみたいにボコられて帰ってきたの、憶えてるか? あの時なあ、思ったんだよ……何か起こってからじゃ遅いって。 絶対にみんなを守る。その為なら"オトナ"にならないとってな」 飲み込んだ理由、飲み込めた理由。 寂しさ、生きづらさ。そんなものは、何の役にも立ちやしないから。 「……だから、俺は『公安』になったんだ。 どんな汚いことしたとしても、絶対にみんなが平和に暮らせるように」 これ、誰にも言うなよ? と、珍しく強く咎めるような口調で言って。 (-70) 2021/08/15(Sun) 20:07:40 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和憶えている。 ふたりとも、今までに無いような有様で、でもどうしてそうなったのか聞けなかった出来事。 立ち入ってしまったら、何かが崩れててしまうような、そんな恐怖があって、ほとぼりが冷めるのを、何も気にしてないように装って心配していたから。 「……あのとき、何が起こってたの」 今なら聞いてもいいかもしれない、聞かせてくれるかもしれない、だって今は"故郷"と"都会"の狭間の一本道。 「私以外、誰にも聞こえないから」 (-81) 2021/08/15(Sun) 21:00:22 |
【人】 花守花守は、連なる屋台を抜けた先、神社へ至る石階段を数段登った所で腰を下ろしている。 家には何故か浴衣が用意されていたけれど、着ることはなくワンピース姿のまま、子供達を、大人達を、喧騒を眺めている。 「こなくても、よかったなあ……」 (41) 2021/08/15(Sun) 21:27:18 |
【神】 花守>>G24 添木 あまりに無邪気に、子供のようにカレーをかき込むものだから、ちょっと驚いて、でも美味しいと言われて顔が綻ぶ。 「カタチが悪いのそっちいってた? やだ、こっちに選り分けたつもりだったのに、お皿反対だったかな」 そんな事はない、食材を使い切らなければいけなかった都合上、全部入れざる負えなかったのだから、混入していて当然。 「でもよかった、そうやってると髪染めて来る前みたい」 髪を染めてきたときは大層驚いた、似合わないとイジっで怒らせてケンカになったっけ、ちゃんと謝ったか記憶に自信がない。 金髪から黒髪に"変わった"というより、"戻った"と言ったほうがしっくりくる。 10年よりもっと前に、この家であなたの祖母に料理をご馳走になった記憶が、ほんのり重なる。 (G28) 2021/08/15(Sun) 21:55:39 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守「俺たちふたりが、バカやって、隣町まで行ってワルやって…… ヤバいことに巻き込まれて、鬼走さんたち警察に助けて貰った。 ……それだけ」 簡潔に、ただ要点だけを並べて、あの時に何があったのかを語る。 だが、清和 と"彼" にとっては人生を変えるほどの出来事だったのだと、静かに語る口調からは、うかがい知ることができるだろう。 「……このままじゃ、ご褒美上げられないかもな」 いつまで経っても街灯りに辿り着かないので、そんな事を呟いて。 (-90) 2021/08/15(Sun) 22:00:30 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和「そっか、でも、そうやって"オトナ"になる決心つけていくんだな、みんな。 あーあ、私だけ、ずぅっと"コドモ"のままだ……」 人にはそれぞれ、人生を変える岐路に立たされることがある。 あなたはきっとそこで正しい選択をして、人生を変えることができたのだろう。 彼女は、その選択を誤り続けて今日まできてしまった。 だから自分の拠り所が、居場所が見つけられずにいた。 「うん、いいよ、ホントは私、受け取る権利なかったから」 花守は、『嘘つきウソ守』だ。 (-94) 2021/08/15(Sun) 22:29:27 |
花守は、嘘をついていた。 (a16) 2021/08/15(Sun) 22:31:01 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守「……今も相変わらずか、お前は」 仕方がないやつだな、と困ったように笑った。 咎めるつもりはない。ただただ、可愛い妹分の面倒を見るだけだ。 あの頃と同じように。 「次は、何が必要なんだ? 上げられるものなら、渡せるものなら……」 そこで言葉は止まる、あなたの言葉を、答えを待つようにして。 (-104) 2021/08/15(Sun) 23:26:25 |
【秘】 花守 → 巡査長 清和バイクを路肩に停めてもらってから、後部座席を降りる。 そして、誰に打ち明けるつもりも無かった"真実"を語って聞かせた。 「だって……」 だって。 「だって私、本当は約束、果たせなかったんだ」 ここへ来てから彼女は一度も 医学部に合格した とも、医師免許を取った とも、自身が研修医だ とも言っていない。事実を重ねると、総合病院のHPに乗っている名前も、『花守縁(はなもり ゆかり)』ではなく、同姓同名の『花守縁(はなもり えにし)』なる男性のもの。 「都会に出て、一生懸命勉強したよ、ここじゃちょっと頭がいい方だったけど、それだけじゃ通用しないって思ったから、必死に。 でもさ、合格出来なかった……」 それも、1度や、2度ではなく。 「何年も、何年も、何年もっ! 8年間ずぅっっとっ!!! 家族に見捨てられて、生活費と学費を稼がなきゃいけなくなって、勉強時間が削れても、オトナたちを見返したかったから、アイツと対等でいたかったから、センパイに認めて貰いたかったからっ! それで全部不意にして、あれから10年経って、私には何も残ってなくて………… もう、疲れちゃって…………」 夜の虫の声が煩い、青々とした稲葉が風を受けてさざ波だっている。 俯いて、それ以上の言葉は出て来ない。 頬を夜露のような雫が零れる。 (-108) 2021/08/16(Mon) 0:34:07 |
【秘】 巡査長 清和 → 花守「……そうか」 打ち明けられる"真実"に耳を傾ける。 そして、励ますわけでもなく、慰めるわけでもなく、そう呟いて。 「やっぱり、俺と同じなんだな。縁ちゃんは…… 意地っ張りで、見栄っ張りで、嘘吐きで……本当の事を言えない子」 俯いて、それ以上の言葉を出せない花守をそっと優しく抱き締める。 恋人にするようなものでもなく、親愛を示すようなものでもなく、 小さくか弱いものを慈しむような、優しく包み込むような抱擁。 「……疲れたなら、休んでもいいんだ。 本当の事を言えない苦しさも……俺は、よくわかってる。 辛いこと、苦しいこと、悲しいこと。全部、吐き出して泣いて…… 今は、それでいいんだ。俺が受け止めてあげるから……おいで」 こうしていれば、きっとこの服も花守の涙で濡れてしまうだろう。 だが、そんなことの何を気にする必要があろうか。 気がすむまで、清和はずっとこうして優しく抱き続けているだろう。 (-110) 2021/08/16(Mon) 1:11:20 |
【神】 花守>>G48 添木 懐かしい、どれもこれも憶えている。 しょうもない事をする娘だと、あまり大人達からの評判が良くなかった彼女に、随分良くしてくれたお婆ちゃん。 こんにちは。いいんですか。いただきます。ありがとう。 彼女も、あなたの祖母が大好きだった。 「はいお粗末様でした。 ……人に食べてもらうって、なんかいいね。 最初がヒサシでよかったわ」 食器を片づけながらそんな事を思って零す。 思い付きでやってやろうかな程度の事だったけれど、人に何かを褒めてもらえるのは矢張り嬉しい。 「戻る気ないわよ? せっかくなんだから今日は付き合って貰わなきゃ。 それともあんた私置いて旅館戻る気? まだアレも開けてないんだし、お風呂上がったらあんたん部屋で第2ラウンドよ」 24入り1ケースのアレ、今日でなくいつ飲み明かそうというのか。 (G59) 2021/08/16(Mon) 11:57:46 |
【秘】 花守 → 公安警察官 清和泣いた。 泣いた。 長い年月堰き止められていた分、全部決壊して。 あなたの胸の中で、幼い子供の様に泣き腫らした。 「悔しかった……でも私じゃ、どうする事も出来なかった……っ 立ち止まって、嘘になんてしたくなかった……時間ばっかりが過ぎていって、決意だけじゃどうしよもなくって……目指す意味がわからなくなって……現実がどんどん覆い被さってきて、必死で押し返してたら……理想はどんどん離れてって…… いまさら、いまさら止まれないのに私は、もう…………」 情熱は覚めきって、炉は冷えきって。 休んでしまったら、灯火さえも点けるのが難しくなってしまいそう。 (-131) 2021/08/16(Mon) 13:17:35 |
【秘】 公安警察 清和 → 花守「……俺は、絶対に見捨てたりなんかしないよ。 助けが必要なら飛んでいくし、お金が必要なら工面することもできる。 止まってしまって。何もできない縁ちゃんになってしまってもな」 公務員だからな、金持ちなんだ。と気を紛らわせるように言う。 「だけど、寂しくならないようにずっと傍にいることはできない。 いつ死んでもおかしくない。本当は、誰にも明かせない仕事だから。 歳だけ食って"オトナ"になりきれずに大きくなっちまったやつ、 縁ちゃんだけじゃなくって、いっぱいいるよ。残念だけどな。 すっぱり諦めて別の道に進むか、意地でもその道を進み続けるか。 どっちにしても、今までやってきたことを後悔にしてしまうのか、 あんなこともあったけど、って笑えるようにするのは縁ちゃんだ。 その寂しさと生きづらさは……縁ちゃん自身で乗り越えないと」 静かに諭すように言って聞かせる。 はたして、こんなことを言っても救いになるのか、わからない。 ひどく挫折した人間に対しては、ただの耳障りな音かもしれない。 「意地っ張りで、見栄っ張りで、嘘吐きの花守縁…… あの時の言葉を本当にしてやれるのは、お前だけだ…… あの時の約束は無駄じゃなかったって言えるのもそうだ。 だからまた、頑張れ。酷なことを言うようで、悪いけどな……」 だが、そう言わずにはいられないのだ。 清和が望むのは、この平和な世の中で、みんなが幸せに生きること。 (-133) 2021/08/16(Mon) 14:41:38 |
【秘】 花守 → 公安警察 清和たくさん泣いて。 たくさん吐き出して。 静かに諭されて。 暫く黙って。 胸を押して離れて。 背を向けて空を仰ぐ。 月明かりに照らされる中、雲一つない満点の星空が、それでも滲んでみえる。 「……頑張れ、か…… 頑張れ……かあ。 センパイも酷いなあ……」 夏の湿度をはらんだ空気をめいっぱい吸い込んで、ゆっくり吐き出して。 「じゃあ勇気をください。 きっともうすぐ醒めてしまうこの夢の中で、もう少しだけ付き合って、帰らなきゃいけなくなった時に、私が大丈夫って言える様に、もう少しだけ」 (-136) 2021/08/16(Mon) 16:37:57 |
【秘】 公安警察 清和 → 花守「……みんなからそう言われるよ。ずるい、ひどい。ってな」 そういう人間だって自覚もある、困ったように肩を竦めて小さく笑った。 その姿は背を向けた花守からは見えないけれど、想像するのは容易い。 「もちろん。 縁ちゃんが大丈夫だって言えるようになるまで、いつまでも」 何のためらいもなく、そう答える。いつだって、そう応えただろう。 懐から手帳を取り出し、すらすらとペンを走らせ、頁を破り捨てる。 「だけどもし、夢の中でだけで大丈夫にならなかったら、 現実に返って、どうしても助けが欲しくなったときは…… ……いつでも、俺に頼ってきてもいい」 小さく折り畳んだ、破られた手帳のページを手渡そうとする。 「……本当は、誰にも内緒なんだけどな。 この先、縁ちゃんにそれが必要がなくなったら…… 綺麗さっぱり全部忘れて、記憶の中から消してくれ」 「『約束』できるか?」 (-143) 2021/08/16(Mon) 19:35:13 |
花守は、諦めて、諦めなかった。 (a34) 2021/08/16(Mon) 20:59:00 |
花守は、ウソをホントにする、きっと。いつか。 (a36) 2021/08/16(Mon) 20:59:57 |
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