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【妖】 セレン何とも思っていなかった……かな、 そこに売られた時は、少し安心しただけの場所。 お腹は膨れるし、怪我は治して貰えたし、 寒くて震えながら眠れない夜を過ごすことも無くなった。 自分だけの寝台も初めてだったし、 服だって、破れていない古着を貰えたから。 [ 裏を返せばそれまでは常に飢え、怪我もし、 寒さに震えて眠れる夜は少なく眠る場所などなかった。 服だって襤褸なだけで服と呼んでいいものかどうか ] ($6) 2019/04/16(Tue) 0:22:43 |
【妖】 セレン言われるままに生活していれば打たれなかったし、 逆らわなければ、折檻されたりもしなかった。 誰もぼくを見ないし、触れもしない。 ぼくに生贄となること以外の期待していないから、 そういうものだとずっと思っていたくらい。 [ 記憶の限りを辿って綴る生活は、 古城の主には悪くないものだと感じるだろうか。 それとも、己には知り得ない憐憫を誘うのだろうか。 手が伸びて僅かに身を竦めたのは反射だった。 抗いはなく無抵抗でありながら怯えの残る仕草は、 彼が言葉を継いだころには失せさせはしたけれど ] ($7) 2019/04/16(Tue) 0:24:35 |
【妖】 セレンぼくと話しをしようとしてくれたのは、 あそこでは変わり者だった……あの子だけ。 周りのみんなのように一緒に何かをしたりとか、 そういうこともなかったから……。 生贄として育てた価値がやっと芽吹いたって そうじゃなければただの……ただの、何だったかな? [ つまりはずっとひとりきり。 飢えなくなったし怪我も治されたし生活できた、 その幸運を享受する生贄として育てられただけの場所。 記憶から消していた言葉を探るように黙って暫し、 漸く思い出したそれを、 無感動に受け止めた証として躊躇いなく口にして ] ($8) 2019/04/16(Tue) 0:41:00 |
【妖】 セレンただの気味の悪いガキとかそういう……? 気味の悪い化け物だったかなぁ、 そこはあんまり覚えてないや、ごめんね。 だから、村は、ぼくにとってはどうでも良かった。 何にもないぼくに価値を付け足してくれたけれど、 ニクスさまは、それを要らないっていうから…… [ 価値がないのは自分の方だとまでは綴らずに。 これでいいのかなと伺うような視線で紅い瞳を覗く ]* ($9) 2019/04/16(Tue) 0:43:39 |
【妖】 セレンない、……ぼくには、なにも…… だって…たいせつなもの……は…… [ 喉が震えて上手く音にならない言葉を辛うじて束ね、 俯いたまま顎だけを濡らして頭を横に振る。 静かに訊ねられた答えを、 己は今までいちども持ってはいなかった。>>$13 生き延びるだけが精一杯で、 それ以外のものを諦めた身からすれば、 命というのが最も近いかったのかもしれない。 けれどこの夜の居城は未来の終わりで、 そこにすら居場所がないのだと知らされて、 幕引きのためだけの価値を見出されたと理解して。 従順にその命すら諦めた子供に問う静かな響きが、 辛うじて保たれた輪郭を崩し、溢れさせたのは何なのか ] ($20) 2019/04/16(Tue) 4:53:22 |
【妖】 セレンぼくの届く場所には…… 何も……なかった、から…… [ だから、今まで価値がなかったのだろうか。 理解は唐突に染み入って唇をきつく噛み締めた。 幾度も噛んでしまったそこはとうとう壊れて傷ついて、 鉄錆のような味が広がり――それすら気付かない。 たいせつなものどころか意志もない。 正しく空虚で、人間らしさの欠片もない異端の存在。 想いの欠片は人のものではなくとも、 たいせつなものを知る彼の方がよほど人間らしい、 そんな理解すらも、今更のようにじわりと広がって ] ($21) 2019/04/16(Tue) 5:02:35 |
【妖】 セレン[ 陽に焼けた肌がひりひりと痛む。 震える瞼を鎖して留めた滴では冷やすに足りない。 泣いてるのかな、泣いてるんだろう。 なんで泣いたのかは、今なら理解ができる―――… ] ($22) 2019/04/16(Tue) 5:04:54 |
【妖】 セレン夢はね、抱くことは無かったから。 眠る夢を見ることも殆どなかったから。 [ 俯くままに綴る言葉は不安定に揺れて、 淡々と続く彼の世界に鑢掛けされる錯覚に息を吐く。>>$24 繋いだ掌は冷たく遠い。 繋げて理解した感覚はきっと正確なのだろう。 “己の手にも何もなかった” 知って居たはずで認めていた筈のそれに、 まだ何かが残されているのかもしれない空想を。 何もないことを理解しきって、 ふふ、と笑う顔は恐らく柔らかかっただろうか。 俯いた顔は誰へも見せないけれど。 今だけは目を背けていた現実を口にする子供は、 何もなかった空洞に虚ろな笑いを溢すだけ ] ($26) 2019/04/16(Tue) 16:45:13 |
【妖】 セレンぼくはモノだったんだ、今までね。 大切なものなんてないから、 自分にとって何が大切かも分からない。 だからそれが欲しかっただけの、 心のない怪物みたいなものだった……それだけ。 [ 繋いだ掌をそっと解放し、 視線は交わらないままに椅子から辞して足は床の上。 借り物の服に靴。 己のモノなど何一つなく、子供はただ唇で笑うだけ。 足元に控えていて見上げる狼だけは、 流した涙がもう枯れたことを知るだろうけれど ] ($28) 2019/04/16(Tue) 17:05:49 |
【妖】 セレン[ 日誌の場所は知っているのだろうから、 己の諦めを城の主たる彼に告げて笑いはそのまま。 ただ、彼が口にした言葉が真実だとするなら>>$12>>$13 かれの孤独を埋めるには、互いを知らなさ過ぎて ] 貴方の傍にしか居場所はなかったけれど 貴方の傍にもぼくは居場所がないように思うんだ。 生贄も気味の悪い子供も要らないなら、 話すたびにぼくが要らない子だと知られてしまうから。 [ 相互不理解の螺旋が続く限りはきっとこのまま。 ならば要らない子のまま彼を殺した方がきっと楽だろう。 今なら恐怖に怯えることなく、 彼を殺した後に自ら心臓を突くことも出来る気がして ] ($30) 2019/04/16(Tue) 17:35:52 |
【妖】 セレン何もかも、かもなだったのかな…… 大切なものを持ってる貴方を羨ましいと思う。 その大切なものに繋がった根源が…… セレスが、眠る場所へ行ってぼくが会うのは、 貴方の大事なものを土足で踏み荒らす気がして。 [ 顔を上げたまま、掌を上げて眼前の胸板へと添えた。 冷たい夜の鼓動は触れた掌に伝わらないのだろうか。 それでも指先は心悸を促すべく、トン、と柔らかく叩き ] ($36) 2019/04/17(Wed) 6:22:37 |
【妖】 セレン彼女の墓所への鍵を教えてくれたことは、 墓荒らしへの道標だと思ったんだけどね。 貴方が人のように生きたいと願うなら、 その人の心が痛むようなことはしたくなかった。 それに、ほんの少しだけ。 日誌の彼女を読む限り、 会えばあなたを殺せる勇気が挫けそうかなって。 ($37) 2019/04/17(Wed) 6:25:44 |
【妖】 セレン[ 眇める眸に笑ってみせるもぎこちなく、 笑顔ってこんなに難しいのかと自覚ののちに。 暫し思案の間を置いて、視線を泳がせ窓へ向く。 陽が落ち夜の帳に包まれた闇を見通すことは出来ずとも、 けれど方向は、子供を切り売りする村の方角だった。 彼の古城に贈られた子供たちがひと時の故郷とする、 闇深い――村の名は興味がなかったせいで憶えてないが ] ($38) 2019/04/17(Wed) 6:42:36 |
【妖】 セレンニクスさまはセレスやぼくたちの村を……、 住んでた場所のこと、あまり知らなかったんだよね。 なら、ぼくらの住んでた村を、 夜の間にこっそりと見に行くのはどう………? 案内はできるよ、貴方が興味があるなら。 ここに来ることが決まった子供のお墓があるし、 どういった場所で育ったかもぼくの言葉より伝わりそう。 順番がくるとお墓がつくられるとか、 どういう場所だったかなんとなく分かるかもだけど。 [ 彼が移動する手段を持つか否かで、 散策に出るにしても今すぐか明日か未来か。 その選択の権限は己にではなく、彼にあるのだろうけれど] ($39) 2019/04/17(Wed) 6:50:14 |
【妖】 セレンそれとも、日々を変わりなく、 陽と夜を越えて恙なく過ごす方が互いを知れる? でもそれだと結局、 他の子供たちと変わらない気がするから。 [ 結局の所、伝えたいのはひとつだけ。 綴る言葉の逡巡を夜に融かして躊躇いを脱ぎ捨てて ] ($40) 2019/04/17(Wed) 7:05:26 |
【妖】 セレン――ひと月。 区切らないと貴方もきっと苦しいだろうから、 知る為に過ごすひと月後にもう一度だけ聞かせて。 それでも、ぼくに、殺してほしいのか。 ** ($41) 2019/04/17(Wed) 7:09:07 |
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