【人】 裁判官 リーベルト[僕は携帯電話とリモコンを間違えたりはしない。 色も形も、重さも全く異なっている。 あれがデザインの敗北などという不名誉な代名詞>>20を付けられてしまうのなら、そのうち彼は台本と間違えて六法全書を持ち出しかねない。 いっそ獣耳付きの立体カバーを携帯に取り付けたらどうだろう。 嫌でも間違えそうにないやつ。 食品サンプル製のカバーも目立つけれど、今度は朝食のトーストを携帯電話と間違えるかもしれない。 そもそもあんなに精巧な描写が出来る観察眼を持っていて、何故取り違えてしまうのか。 余程疲れてたんじゃなければ、彼なりの整理整頓術の敗北ではないですかね。] まぁ……正論ですね。 君がそういうスタンスを貫くなら、 止めはしません。 [我が強いからこそ、役者が務まるのかもしれない。 興行主、劇団にとっては売り上げが全て。 故により多くチケットを捌ける役者に、大役が付きやすいのだと聞いた。 あくまでも舞台上の演技で勝負したい彼自身は不服かもしれないが、残念ながらルックスでファンになる人も居るだろう。 そして大半のファンは、おそらく女性と思われる。 割り切っている客は気にはならないものなのだろうか。 文字通り余計なお世話なのかもしれない。 実際、上手くはいっているようだし。 一人息子の心配をする母親とは、もしかするとこういう気持ちなのかもしれない。] (107) 2019/04/13(Sat) 23:58:56 |
【人】 裁判官 リーベルト[昔は立場が逆だった。 小言を繰り広げていたのもむしろ、ヴィクの方だったように思う。 ヴィク、知ってるか。 家庭用お掃除ロボット様は繊細なんだ。 自分で障壁を乗り越えることは出来ない。 床まで物が散らばり放題な君の家では、可哀想に彼はホームベースである充電基地にも帰れない。 どんなに優秀なバッターでも、球場整備の園芸師さん達なしではぬかるみに足を取られてしまうだろう。 それこそ飛んだブラック環境だ。 製造元に帰らせて頂きますしたくもなるだろう。 君の家から家出したお掃除ロボットは今頃きっと、降りしきる雨の中そっと傘を差し出してくれるような心優しい飼い主に拾われているよ。 仮に家出してなかったとしても、君は三日坊主だったろう。 サイコロステーキ500gを賭けてもいい。] (108) 2019/04/14(Sun) 0:00:07 |
【人】 裁判官 リーベルト[涼やかな外見とは裏腹に、熱い想いを秘めた男。 他人の為に感情を動かし、心から笑い、怒り、心から泣ける人間。 思えば、彼は元々そういう奴だった。 ヴィクが引き篭ってしまう前。 あれは司法試験の合格祝いだったか、それとも修習を終えて判事補としての第一歩を歩み始めた頃か。 一緒に行った居酒屋での出来事>>21が印象深い。 絡んできた酔っ払いは非常にタチが悪かった。 とはいえ、売られた喧嘩をストレートに買ってしまっては解決するものも解決しない。 トラブルは回避するに越したことはないのだ。 酒の力もあったのだろうか、激情した彼を宥めた。 学生時代はどちらかと言うと肝が座っている印象だったから、血気盛んな対応に驚いた。] 『 落ち着いてください。 ……君らしくもない。 貴方も。良い大人が公の場で大人げない。 威力業務妨害及び侮辱罪で逮捕されたくなければ、 酒に吞まれるのはお止めなさい。 3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金ですよ。 』 [通報する振りをしながら、一触即発のトラブルを仲裁した。 悪質な酔っ払いが最初にターゲットとしたのは僕の方だったのに、僕よりも君の方が怒っていたのが不思議だった。 ――今なら、 あの時の君の気持ちが判る気がする。] (109) 2019/04/14(Sun) 0:02:30 |
【人】 裁判官 リーベルト[正式に劇団への入団が決まった時。 君はとても嬉しそうにしていた。 在学中からバイトと並行して劇団でも活動して、学業も人並みにこなしていた。 対する己は、週2、3回のバイトが限界だった。 彼の頭脳と高いコミュニケーション力があれば、一般企業への就職も容易かったろう。 平坦な人生を敢えて捨てて夢を選んだ彼は、格好が良かった。 初舞台>>22は末席から観させてもらった。 初めてとはいえこれまでの地道な積み重ねが活かされた、心の伝わる丁寧な芝居だった。 主役の座を射止めた時の子どもみたいなはしゃぎようも、昨日のことのように憶えている。] (110) 2019/04/14(Sun) 0:04:00 |
【人】 裁判官 リーベルト[陽が照れば照るほど、影は色濃く地を覆う。 光ある限り、 生きている限り、 影が離れることは無い。 たとえ世界の果てまで逃げたとしても。 光の道を志すならば、どうしたって影と向き合う必要がある。 ──けれど、 影在ればこそ、光はより強く輝いて見える。 それは、人によっては「深み」と呼ばれるモノなのかもしれない。] (111) 2019/04/14(Sun) 0:06:37 |
【人】 裁判官 リーベルト─ 回想・友が挫折していた頃 ─ [逃げるように郊外へと隠居した彼>>25を探し出すのは、案外容易かった。 僕に連絡してくる人間が後を絶たなかったからだ。 彼の消息を知らないか、と。 直接本人に訊けば良いのに、何故僕に訊くのだろう。 僕自身はというと、連絡が無いのは多忙からだと思っていた。 当時はまだまだ駆け出しの青二才で忙殺されており、他に目を向ける余裕が無かったとはいえ、呑気なものだった。 新居は面識のあった劇団員から聞かされて知った。 自ら連絡を寄越さなかった彼に憤りすら感じた。 知られたくなかったか。 それとも話す価値さえない程、己に信用がなかったか。 まさか、自分に限らず人との面会に恐怖を覚えているとは、思いもしなかった。 仕事の合間を縫って、何故足繁く彼の家に通ったのか。 唯一とも言える友人が万が一にも変な気を起こしたらどうしようと、そういった恐怖もなくはなかった。 想像していた以上に、裁判所を訪れる被告の大半は、人生に追い詰められた人々だった。] (112) 2019/04/14(Sun) 0:08:18 |
【人】 裁判官 リーベルト[僕は愚かだった。 ああなって初めて君のプライドの高さと、臆病な脆さに気付いた。 閉ざされた玄関扉は、彼の心そのもののように思えた。 仮に扉が開かれたとして、どう声をかければ良いのだろう。 出来ることは何も無いのかもしれなかった。 彼の望むような慰め方>>26を知らない。 優しい言葉なんて、尚更わからない。 孤独も苦悩も、推し量ることは出来ても完全理解には程遠い。 国語は模範解答が全てで、登場人物へいちいち感情移入するのは時間の無駄だとさえ思っていた学生時代を心から悔やんだ。 ただ、これだけははっきり言えた。 君は決して一人ではない。 それを態度で示すことしか、僕には思い付かなかった。 差し当たり彼には美味い飯と十分な睡眠が必要だと思った。 まさか電話越しに子守唄を歌う訳にもいかないし、そもそも受話器を取ってくれなかっただろう。] (113) 2019/04/14(Sun) 0:10:10 |
【人】 裁判官 リーベルト[君の家からの、帰路の車内。 差し入れ分とは別に包んでもらったコロッケは、時間の経過と共にしっとりべちょべちょになってしまっていた。 お察し>>27の通りついでの購入ではなかった。 が、南瓜味を選んだのは無意識。 「あらぁこんにちは。元気にしてたかい。 よく一緒に来ていたあの子はどうしてる?」 店主のおばちゃんに声を掛けられて、初めて思い出した。 学生時代よく世話になった、懐かしい馴染みの店。 確かに、彼は南瓜味をよく買っていた。 好物を口にすれば少しは元気が出るだろうかと、安易な発想に至ったのだった。 立ち去った家から嗚咽>>28を漏れ聞いて、 そうかそうか、泣くほど美味かったか…… などと一人得心する程度には、僕は人の気持ちが読めなかった。 それから暫くは南瓜コロッケを積極的に差し入れたように思う。 表に出てきてくれたなら、もっと温かい食事もご馳走出来るのに。その点は、天の岩戸が開かれるのを待つしか無かった。] (114) 2019/04/14(Sun) 0:12:44 |
【人】 裁判官 リーベルト[そんなだったから、 ヴィクの意識が、感情が、変化し始めたことにも気付かなかった。 己自身の変化にさえも。 それまでの自分なら、彼と疎遠になっていたと思う。 面倒事からは一目散に距離を置いていた。 何度目かの訪問時、ドアの内から聞こえた声>>29に耳を疑った。] ……え? [いつもの様に「帰れ」と言われるのだと思っていたから。 身を翻そうとして、ぴたりと止まった。 ドアノブに手を掛ければ、鍵が開いていた。] ……っ、 [声を失った。 扉の向こう側の彼は、役者どころか人生まで投げ出そうとしているような姿だった。 法廷でよく目にするような、覇気のない表情。 諦め。落胆。そして絶望。 ゆっくりと歩み寄って、話を聴こうと耳を傾けたのだったか。]* (115) 2019/04/14(Sun) 0:14:32 |
【人】 裁判官 リーベルト体型維持も健康管理も、どちらも大事です。 加えて道行く人々を観察したり、 役作りの為に読書や発声練習をしたり、 体力作りをしたりもするのかなと。 [主役ともなれば、舞台上に居る時間も長いだろう。 体調の悪そうな役者には、鑑賞より心配が勝ってしまう。 楽しむことに集中出来る気がしない。] そうですね。 折角お金を出すんですから、 客としては万全の状態のショーが観たい。 ……ありがとうございます。 留意しておきますね。 [失言を重ねがちな己にもヴィクは優しい。 >>30赦すように撫でられたなら、素直に甘えた。 見なし労働時間制の為、うちでは残業代は出ない。 人によって裁量が違う為で、旅行までに済ませられなかったのは自分の落ち度なのである。 そぞろ神の物につきて心をくるはせとはよく言ったものだ。] (116) 2019/04/14(Sun) 0:46:27 |
【人】 裁判官 リーベルト[第三者から見ればきっと、どちらも等しく激務。 不毛な争いを起こしてしまうこと自体、疲れている印だ。 飯の用意は、別に毎日でなくていい。 余裕のある時に出来る範囲の手料理が頂けたなら嬉しい。 家に帰れば君が待っている。 それだけで、僕は幸せなのだから。 旅行だって、 本当は行き先など何処だって構わない。 誰と一緒に行くか、だ。] (117) 2019/04/14(Sun) 0:48:58 |
【人】 裁判官 リーベルト利用時間決まってるんですよ。 24時間いつでも使えるって訳じゃないんです。 深夜のプールって背徳感はありますけどね。 不法侵入は良くないです。 [飛び込む余裕のあるプールは、十中八九お子様向けではない。 遊具など持ち込もうものなら白い目で見られてしまう。 だからこそ、宿泊先の自由度の高そうなプールが楽しみなのだ。 「僕とプールとどっちが大事なんですか」なんて、あまりにも子どもっぽいから口にはしない。 けれど、この会話>>31をした時、僕は心に決めた。 長い旅の終わりに君が訪れるのは、 温水プールではなく我が家のバスルームだ。 両足を思い切り伸ばせる広々とした浴槽を御提供しよう。] (118) 2019/04/14(Sun) 0:51:09 |
【人】 裁判官 リーベルトなら、良かったです。 まぁお肉料理も多少はあるでしょう。 朝からステーキという方もいらっしゃるそうで…… 野菜もちゃんと食べるんですよ。 [栄養の偏りに不安が過ぎった。 大食漢にも関わらず食に飢えていた頃を知っているだけに、旅行中はたんとお食べ……なんて思わず慈愛のまなざしを向けてしまった。 母親を通り越しておばあちゃんかもしれない。 ] (119) 2019/04/14(Sun) 0:51:48 |
【人】 裁判官 リーベルト─ そして現在・車中 ─ ……ん。 どうかされました? [不意に覗き込まれて>>37首を傾げた。 熱は無い。あったとしても旅行は押し通す。 触れられた箇所がまた熱くなってしまうのを感じながら、「大丈夫ですよ」と手を握ってみせた。 愛車の必要最低限の操作マニュアルを伝えておこうと思ったのだけれど、いまいち伝わっていないのを感じた。 その時々で改めて伝えた方が良いかなと悟った。 車は好きだ。 言わば、移動の出来る秘密基地。 乗り心地が良いに越したことはない。 アクセルを軽く踏んだだけで気持ちよく進んで欲しいし、外装とインテリアの隙のない美しさには痺れる。 セーフティ機能は勿論、パーキングアシストも付いている。 ドライバーの注意力が落ちれば警告音とディスプレイで休憩を促してくれる機能まで搭載されているのだ。 新車の購入を検討していると知ったなら、喜んであれこれ推薦しただろう。] (120) 2019/04/14(Sun) 0:53:50 |
【人】 裁判官 リーベルト……あ、良いですね。 次は遊園地に行ってみましょうか。 [家族の話を振った時、 不自然な沈黙が流れたのには気付いた。 今までの僕であれば信じてしまいそうな、ごく自然な演技。 此方から無闇に踏み入ることはしない。 いずれ挨拶をすることになるのなら、事前にリサーチしておきたいと思った迄。 職業柄、「普通の家庭」が如何に恵まれたものであるかは知っている。うちだって世間一般から見ればきっと、相当変わった家庭なのだから。] (121) 2019/04/14(Sun) 0:58:05 |
【人】 裁判官 リーベルト[そうして、どれくらい眠っていただろうか。 ほんの少しの間だったかもしれないし、小一時間経過してしまっていたかもしれない。] 身を賭して、は……大袈裟…… ふ……、はは…………、 精々頑張ってくれたまえ!! …………んむ。 [ドライバーに休憩を促すアラート音で目が醒めた。 一番近いサービスエリアで、少し休まないかと提案してみる。 悪態>>36はまったく聴こえていなかった。 寝顔をじっと眺められていたことにも、勿論気付かない。 自覚はなかったが、疲れは溜まっていたらしい。 これでも泣く子も黙る鬼判事補様だ。 だから先の年末年始も、所長直々に特命を下されてしまった。] (122) 2019/04/14(Sun) 1:00:45 |
【人】 裁判官 リーベルト……ふぁ……すみません。 つい、心地良くて。 ……夢を、見てました。 懐かしい、 君と出会った頃の夢です。 [彼の印象がまだ、 " クソ生意気な目立ちたがり屋 " だった頃の。おそらくは、向こうも己に対して良い印象は持っていなかっただろう。今でこそ刎頸の交わりだけれど。 ( あの頃は、 旅行どころか食事さえ、 共に出来る気がしなかったな。 ) 小さく笑みが零れた。 車を降りて外の空気を吸えたなら鼻歌交じりに手を引いて、ご当地ソフトクリームでも買い求めにゆこうか。]** (123) 2019/04/14(Sun) 1:13:23 |
裁判官 リーベルトは、メモを貼った。 (a25) 2019/04/14(Sun) 1:19:24 |
【独】 裁判官 リーベルト/* \駄目じゃないよ〜〜〜!!!/ って脳内で応援上映の掛け声が始まってしまう…… 人の心に疎い僕には何が出来るだろう……( º﹏º。 ) (-63) 2019/04/14(Sun) 3:58:28 |
【独】 裁判官 リーベルト/* めっちゃなでなでよしよししたい ダブル主演はそういう緊急事態に対応するためのものでもあるので、舞台自体は多分なんとかなったと思いますよ…… (-64) 2019/04/14(Sun) 4:10:10 |
【秘】 舞台役者 ヴィクトル → 裁判官 リーベルト[ かつて冗談めかしたプロポーズの話をしていた時の返事は、 普段の微笑みとは違った──……どこか迷いが含まれた、 影を帯びていたかのような笑顔だった。 ……一瞬、不安が襲い掛かる。 絶望から這い上がり、再び舞台の上に戻れたとはいえ、 役者が安定しない職であることは誰もが知っている。 数年、十年後も第一線で活躍出来る役者といえば 天文学的な数字といっても大袈裟では無い。 一方、リーは現段階で既に輝かしい将来が約束されている。 経済力の高さは言うまでも無く、知識に社会的地位。 奴の隣に立っても見劣りしない、一流の役者になるべく 努力はしているが、将来のことを考えれば…… ──やはり役者を辞め、安定した職に就くべきでは、と 考えたことは一度や二度では無い。] (-85) 2019/04/14(Sun) 17:31:01 |
【秘】 舞台役者 ヴィクトル → 裁判官 リーベルト[ 奴の迷いはまだ知らない。 偶然にも、似たような迷いであることを。 しかし不安に襲われたとて、リーの想い、心を疑うことは無い。 性格も職業も真面目で、知識も豊富だからこそ、 色々と危惧するものはあるのだろう。 その点、一流の大学を出たとはいえ、大卒後劇団に入り、 普通の社会人経験のない俺が、楽観的な考えに寄るのは必然。 もし奴の迷い、不安を知り得たならば。 「お前は光に照らされた、輝かしい未来を歩む存在だ。 俺のような奴と共に居てはいけない」 と、以前の俺なら、再び距離を置こうと考えていただろう。 だが──今は違う。 ] (-86) 2019/04/14(Sun) 17:31:08 |
【秘】 舞台役者 ヴィクトル → 裁判官 リーベルト[ 俺の最大の幸せは、リーベルトが隣に居てくれること。 リーベルトが存在しなければ、俺の人生に意味が無いことに 気付いたから。 奴が抱くその不安を知ることが出来たならば。 『 ──俺は、あの時お前に生かされた。 お前のお陰で、俺は今ここに居る。 だから、お前が救った俺を信じてくれ。 ……いや、 信じろ! 』 と。[ 過去、奈落の底へと堕ちた俺を、リーが救い上げたように。 今度は俺が道標となり、手を引き歩んで行くつもりである。 俺がリーを不安にさせてしまうのならば それを取り払うのは俺の役目だ。 だが、目の前から消える、身を引くという選択肢は無い。 それにより、俺が幸せになる未来は、存在しないから。] (-87) 2019/04/14(Sun) 17:31:39 |
【人】 裁判官 リーベルト── 回想・数年前、友の家 ── [使命感とか正義感から来訪を続けていたのではない。 どちらかと言えば、罪悪感。 生存確認に終始しても、反応がたった一言の拒絶であっても、声が聞こえただけで安堵した。 彼にとって扉一枚がどれほど重いのか、残念ながら僕にはわからなかった。 こんな状態がいつまで続くか、先行きも見えなかった。 ただ、たとえ何年掛かったとしても、 彼は必ず立ち直れる男だと信じていた。 そして、少なくとも今の彼を、 絶対に一人にしてはいけないと思っていた。] …………久方ぶりです。 [感情表現と他人の心情理解が苦手というだけで、何も無感動という訳ではない。 喉に詰まった空気を吐き出して、彼の第一声>>132に返答した。 座れと指差された先には、座布団すらない。 自分基準、あまり美しいとは言い難い室内。 普段ならすぐさま掃除を申し出るところだが、それさえ躊躇われるほど、彼自身が闇に飲まれて見えた。] (176) 2019/04/14(Sun) 20:06:04 |
【人】 裁判官 リーベルト……団長さんと、団員さん達が。 居場所を教えてくれました。 [絨毯を小さく払って、腰を下ろした。 時計の音がやたらと耳についた。 静かだった。 時折小鳥の囀りが遠くから聴こえてくる以外、世界から取り残されたかのような静けさだった。 彼の声は、そんな静寂の中であっても、聴き逃してしまいそうな弱々しい声>>134だった。] …………、 僕の知る限り、 君は誰よりも頑張ってました。 [同じような台詞を吐いた被告には今まで、何の訓戒もしないか、問答無用の叱責を行ってきた。 友人である彼を前にして、事の仔細も聞かされていて。 とても同じようには振る舞えなかった。] (177) 2019/04/14(Sun) 20:06:14 |
【教】 裁判官 リーベルト[初主演決定の報>>/2が届いたのはほんの数ヶ月前だった。 入団から僅か1年というのがどれくらい凄いことなのか、己にはよくわからなかった。 地道な努力が大輪の花を咲かせたに他ならない。 得るべくして得た、むしろ遅すぎるくらいの抜擢だと思った。 悲願の夢を実現しようとしていた彼は眩しかった。 友人としても誇らしかった。 彼ならばきっと、舞台を立派に成功へと導くだろう。 周囲の反発や風当たりの強ささえも、天真爛漫かつ穏便に乗り越えられるだろう。 足を引っ張りたがる輩など放っておけばいい。 くだらない嫉妬に費やす時間を自身の成長の為に使えない時点で、彼等は所詮そこまでなのだから。] 『へぇ……! 凄いじゃないですか。 是非観に…… ……あ…………、 …………すみません。 その日は、どうしても抜けられない 仕事があって……』 [電話越しにも、弾けんばかりの笑顔が見えるようだった。 断るのは心苦しかった。] (/7) 2019/04/14(Sun) 20:06:50 |
【教】 裁判官 リーベルト[それまで、彼の出演した作品は全て観に行かせてもらっていた。 どんなに端役であろうとも、都合を付けていた。 それなのに丁度その日に限って、どうしても予定を空けることが出来なかったのだ。 慢性的な人手不足を補う為の長期出張。 判事補である己まで駆り出されるほど、引く手数多な時期だった。] 本当に申し訳ないです。 ええ。 次は――是非。 (/8) 2019/04/14(Sun) 20:07:38 |
【教】 裁判官 リーベルト[ 『次』があると信じて疑わなかった。 そんなもの、 何の保証もないというのに。 どんなに大金を積んだって、 過去には戻れないというのに。 ] (/9) 2019/04/14(Sun) 20:10:42 |
【教】 裁判官 リーベルト[もっと連絡が取れていたなら。 顔色の悪いのに気付けたかもしれない。 過剰な稽古を止めることは出来ずとも、睡眠を促すことくらいは出来たのかもしれない。 舞台の開演予定時刻。 晴れ舞台の成功を祈りながら開廷して、 閉廷したのは終演予定時刻。 きっと拍手喝采を浴びている頃だろうと思っていた。] 『初主演、お疲れさまでした。 念願の花形、存分に楽しめましたか? 落ち着いたらお祝いに、 ステーキでも食いに行きましょう。』 [会話アプリでメッセージを送信した。 返事がなくても、返信する暇さえなくなるくらいに評判が良かったのだろうと決めつけていた。 ……というより、 返信が無いのに数日間気付かないほど、此方にも余裕がなかった。 連絡先を交換させられていた劇団員からのしつこいメッセージを『またか』と開いて、初めて君が本番中に倒れたことを知った。] (/10) 2019/04/14(Sun) 20:11:54 |
【教】 裁判官 リーベルト[ヴィクと同じ劇団に所属する彼女からのメッセージは、大体が茶や食事の熱心な誘いだった。 ろくに会話もしていないのに、一体何がお気に召したのか。 ヴィクに近付くための足掛かりとしたいならばお門違いだし、仮に己に気があるとしても相手をしている暇はない。 かと言って、彼の同僚であるから無下にも出来ない。 誘われる度仕事を理由に断っていた。 画面に記された文面はこうだ。] 『貴方のお友達は気の毒だったわ。 相当疲れを溜め込んでいたのね……、 ダブル主演だったとはいえ、 やっぱり新人にはまだ少し 荷が重かったんじゃないかしら。 あたしが主役の公演は、観に来てくれるわね? 完璧な舞台をお届けしてみせるわ。』 [あの自信は一体どこから来ていたんだろう。 今までは適当にスタンプを投げていたが、その時ばかりは携帯電話ごとソファに投げ付けてしまったのをよく覚えている。 その日も仕事がありますのでと断りかけて、舞台を観るかわり、情報の提供を求めた。 ヴィク本人と連絡が取れなかったからやむを得まい。 何と声を掛け直せば良いか悩むうち、君は音信不通の行方知れずとなっていた。] (/11) 2019/04/14(Sun) 20:16:47 |
【教】 裁判官 リーベルト[どんなに取り繕っていても、 演者本人の性格や癖はどうしたって仮面の端から滲み出る。 彼女の芝居は成程完璧で、確かに巧かった。 でも、それだけ。 心動かされることは無かった。 彼の芝居で、この作品を観たかったと思った。 もう少し早く彼女からの連絡を確認していれば、もっと気の利いた言葉が掛けられていただろうか。 団長さんはいい人だった。 僕の姿を見つけるなり、ヴィクと連絡が取れているか、可能なら様子を見に行ってやって欲しいと声を掛けてきた。 新居を教えてくれたのも、団長さんだった。]* (/12) 2019/04/14(Sun) 20:18:16 |
【人】 裁判官 リーベルト[口を開きかけるや否や幼子のように泣き崩れてしまった彼>>135に、僕は狼狽えた。 何も責めにやって来たのではない。 鞄からハンカチを取り出して差し出しながら、落ち着くのを待った。 彼のこんな表情を見るのは初めてだった。] ……僕が何をして、どうなるかは。 僕自身が決めることです。 君が決めることじゃありませんし、 何より、 君に腐らされるような僕じゃありません。 [だから、己の将来を君が案ずることはない。 此方が勝手に心配で通い詰めていたのだから、何も気にしなくて良いのだ。] ……正直なところ、 君の辛い気持ちを 完全に理解してあげることは、 きっと僕には出来ません。 推し量ろうとしても、 見当違いかもしれません。 (178) 2019/04/14(Sun) 20:22:13 |
【人】 裁判官 リーベルト……それでも、 決して君の元を離れたりはしません。 力になりたいと思っています。 君が、助けを望んでくれるなら。 [ひとつひとつ慎重に吟味した言葉を、 ゆったりとした口調で、語りかけるように発した。] 家に入れてくれて、 顔を見せてくれて、 ありがとうございます。 [そっと背に手を回して、子どもをあやすように何度も頭を撫でた。] (179) 2019/04/14(Sun) 20:22:46 |
【秘】 裁判官 リーベルト → 舞台役者 ヴィクトル( ……誰にも助けを求められず、 薬や盗みに手を出してしまう人も大勢いる中。 君は僕に助けを求めることが出来た。 その強さがある限り、何度でもやり直せる。 僕は、 ――君に会えて、良かった。 ) (-105) 2019/04/14(Sun) 20:24:11 |
【人】 裁判官 リーベルト君は一人じゃありません。 団長さんも、団員さん達も、 何より僕が付いてます。 victory 『ヴィクとリー』、 二人揃えば向かうところ敵なしです。 [あんなに真剣に言葉を選んで紡いだのは、初めてだったかもしれなかった。 生きてるだけで表彰ものなのだ。 よく頑張ったと全力で褒めてやりたかった。] 立ち上がる元気が戻ってきたら また少しずつ、歩いてゆけばいい。 今は泣きたいだけ泣いて、 頑張りすぎだった君を休ませてあげてください。 [胸元に縋りつかれる>>136まま、 彼の涙が止まるまで、背を撫で続けた。 そうして雨が降り止んだ頃、 お腹空いてませんかと南瓜コロッケを差し出したのだった。]** (180) 2019/04/14(Sun) 20:26:50 |
【独】 裁判官 リーベルト/* 12枚を短く感じる(麻痺) 仕事終わりに駆け付けたらもう一人の主演さんがセンターに立ってて『えっ……?』ってなる流れも考えたけどよくよく考えたらダブル主演って主演格がふたりいることだからもう一人の主演さんは肩代わりできないんでした……!!すみません!!! 代役立てられるほど大きな劇団じゃなかったんだなぁ…… きっとこのもう一人の主演女優さんはこれをきっかけに『だからダブル主演なんてやめておいた方が良かったのよ』とか言って単独主演を勝ち取ったんだ……許せん……!!(( (-106) 2019/04/14(Sun) 20:52:39 |
【人】 裁判官 リーベルト── 現在・車中 ── [サービスエリアでの休憩を提案した後。 他者視点起きてるのだか寝てるのだか判らないであろう寝ぼけまなこで、デジタル時計に目をやった。 まさかの、出発してから早数時間が経過していた。 時計が狂ったのかと思った。 愛車の乗り心地の良さは身をもって知っていたが、これほどまでとは。 ドライバーが運転上手だからだろうか。 ラジオの音量が下げられていた気遣いに気付くと、礼とともに元に戻した。 気持ち良くぐっすり快眠を得ることが出来たのは、他ならぬ彼が色々と気を使ってくれた>>161おかげであったに違いない。 軽快なサウンドが車内を包み込む。 クリアな高音質が自慢のスピーカーから聴こえてくるのは、どこかで聞き覚えのある、太陽のような明るい声。] 『こんにちは〜!! お昼のあなたをもっちもちにする もちもちアフタヌーンのお時間です! 本日のゲストはこちら! 最近気になる謎の集団・司法戦隊サバクンジャーの――』 [飲みかけたペットボトルを吹き出しそうになった。] (222) 2019/04/15(Mon) 1:14:20 |
【教】 裁判官 リーベルト 『お前さんにはさあ、 人情っつーもんがなんか足りねーんだよなァ…… 被告の未来少しでも考えたことあるか? 勿論、冷静さは大事だよ。 平然としてられるからこそ仕事が早くて、 結果出世出来てる訳だがね』 [昨年の年末、慌ただしい師走の半ばのこと。 所長から突然のお呼び出しを食らい、直々に何を言われるのかと思えば開口一番これだった。 法に照らし合わせ判例を参考にして、妥当な判決を下しているつもりだと答えた。罪人に慈悲はない。 「何か問題が?」と尋ねると、所長は何か思案するように顎に手を添えた。] 『ん〜……いや。何も。 そういや面白い仕事があるんだが、 手の空いてる奴が居なくてな。 お前さん、やってみねえか?』 (/13) 2019/04/15(Mon) 1:14:25 |
【教】 裁判官 リーベルト仕事でしたら。 僕で宜しければ、何なりと。 [よく確認もせず常の業務と変わらないものと思い込み、受けてしまったのが全ての発端だった。 渡された資料にレインボーポップ体で踊る、 『 司 法 戦 隊 ・ サ バ ク ン ジ ャ ー 随所に散りばめられたもちっとした狸のイラストは、マスコットキャラクターのつもりであるらしい。 面食らって思わず糸目が点になってしまったあの日を、僕は一生忘れないだろう。] (/14) 2019/04/15(Mon) 1:14:30 |
【人】 裁判官 リーベルト[そういえば弟が、何かのラジオ番組に呼ばれたと言っていた気がする。 兄さんが自分で出ればいいのにと文句を言っていた。 この国で裁判員制度が始まって、早10年。 認知度を高め国民に周知させるための広報活動として、これまで様々な試みがなされてきた。 Webでの解説やパンフレットの作成。 映像作成。TVCM。そして――そう、ゆるキャラだ。 公式キャラクターが存在しないがために各裁判所はそれぞれに工夫を凝らし、裁判所毎に異なるキャラクターが乱立する事態となっていた。 そしてとうとう我が裁判所も、ゆるキャラ戦国時代の荒波に乗り込むことになった。 裁判所というどうしたってお堅いイメージを緩和させ、国民の皆々様にも司法にご興味を持って頂き、当事者意識を高めゆくゆくは犯罪率の低下へと繋げてゆくのが制度の目的だ。 取っ付きやすいモチーフとして選ばれたのが、戦隊モノだったという訳だ。 当初はまさか仲間が出来るなんて思っていなかった。 密林の研究施設に単身乗り込んだりした。 ところがあれよあれよと仲間が増え、色が決まり通り名が決まり、優秀なマスコットと心優しい愉快な仲間たちの力添えを得て、気付けば立派な戦隊モノのリーダー・ ギルティグリーン となっていた。彼らは純粋に戦隊モノの戦隊モノらしさを楽しみ、僕とともに、年末年始に蔓延する " 餅食べたいシンドローム " と闘ってくれた。 「実は裁判所PRの一環だったんです……」なんて、 とても言い出せない雰囲気になっていた。 何より、いつの間にか活動を楽しんでいる僕が居た。 今こうして共に旅をしているヴィクトルも、勧誘を受けてくれたメンバーの一人・ エクスキュートブルー なのだ。今回の旅の目的には、皆へのお土産の購入も含まれている。] (223) 2019/04/15(Mon) 1:14:53 |
【人】 裁判官 リーベルト[閑話休題。 家族の話は、旅行の最後にでも語ろう。 彼の愛車の現状>>158を知ったなら、 費用も多少なら援助するから、新しいのを買えと促しただろう。 年数が経てばパーツの生産終了で修理が難しくなったり莫大な費用が掛かったりするし、もらい事故時に未来の大俳優の身に何かあってからでは遅い。 助手席が壊れているなら、運転席も時間の問題だろう。 異音など言語道断である。 安全への対策は、合って困ることはない。 うちに住むようになれば、車はかえって邪魔かもしれない。 それでも車が必要な時はあるだろう。 僕が使わない時なら貸せるけれど、二人とも多忙な身、予定が被る可能性は高い。 そう。 ファンは常に見ているぞ。>>160 故に、遠くない未来に 「ヴィクトルさんの為なら車の1台や2台買ってあげるわ!」 なんて言う強力なパトロンが付く可能性はある。 希少なコーンフラワーブルーサファイアの原石は環境に削られ磨かれ、その美しい輝きを如何なく発揮しようとしているのだから。 白皙の美青年なんて麗しい形容詞>>161は、そのままお返ししよう。] (224) 2019/04/15(Mon) 1:15:13 |
【人】 裁判官 リーベルトいや〜…… 本当に気持ち良く寝てしまいましたね……、 寝るつもりなかったんですけど。 きっと運転手が良いからですね。 よく分かりましたね。 それだけ根に持たれている、 ということでもありましょうか…… [夢の内容を当てられて>>163苦笑が漏れた。 文字通り彼と腕を噛みちぎり合っている夢も見た。] 他にも、僕が先輩を泣かせてしまったのとか。 発注数に意見して怒らせてしまったりとか、 愛想の悪さを君が庇ってくれた時とか。 シュークリームのデコレーションの仕方を 教えてくれた時のこととか、ですね。 [自分にはそんなつもりは無かったのに、己の物言いは人には酷く冷たく聴こえるらしかった。 泣かせた女ならぬ、泣かせた同僚は数知れず。 アンケート用紙のクレームは一気に増え、店への電話の半分は嫌がらせの悪戯電話かクレームとなったらしい。 一部では疫病神とまで呼ばれていたそうだ。] (225) 2019/04/15(Mon) 1:15:27 |
【人】 裁判官 リーベルト[そんな不愛想な悪鬼が何故解雇を受けなかったかというと―― ――なまじ法の知識があったこと。 勤務態度自体は真面目だったこと。 そして何より、 『なぜか客足も増えていたから』だった。 ホールにもキッチンにも置けないからとバッグヤードに回された時。気の毒にも僕の指導係を任されたのがヴィクだった。 デコペンを使い、男二人で黙々とシュークリームに絵を描いた。 平和を象徴する鳩の絵を量産しているとはとても思えないような、緊張感に満ちた現場だった。 彼が店長に泣きつかれて派遣されてきたとは知らない。 仏頂面かつ手先の不器用な僕にもわかりやすく、ヴィクは懇切丁寧に教えてくれた。 神か仏かと思う程に辛抱強かった。] (226) 2019/04/15(Mon) 1:15:33 |
【教】 裁判官 リーベルト[何せ僕は、初めて彼が渋々声を掛けてきてくれた時、] お役目ご苦労ですね。 店長の忠犬君。 [最初から喧嘩腰での挨拶をした。 一発殴られても何の文句も言えまい。 今は共通の笑い話である、懐かしい昔話だ。]* (/15) 2019/04/15(Mon) 1:15:41 |
【人】 裁判官 リーベルト―― サービスエリア売店 ―― ヴィクは蜜柑ソフトクリームですか。 美味そうですね。 後でちょっと分けてください。 僕は…… すみません。 嫁入りおいりソフト 、ひとつください![売店のお姉様に注文したのは、メニュー一覧表を眺めていて気になったもの。 成人男性が単身注文するには些か愛らしすぎるソフトクリーム。 他にも多種多様なソフトクリームが揃っていた。 しそ昆布を煮ただし汁で作ったという佃煮ソフトクリームや磯の風味豊かなわかめソフト、うどんアイスetc。 にも拘らず 天の神様がこちらを推薦してきた のだから仕方ない。結婚式の引き出物として用いられるカラフルなあられがトッピングされたフォトジェニックな一品を手に取ると、 「食べてみます?」なんてスプーンを差し出してみせた。]** (227) 2019/04/15(Mon) 1:16:29 |
裁判官 リーベルトは、メモを貼った。 (a36) 2019/04/15(Mon) 1:30:43 |
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