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【墓】 ニア――これは、少女の恋が花開くまでの過程。その一端。 この夢を覗く不躾なあなたへ、 ほんの少しだけお披露目しましょう。 ❀ 初め、少女はかの青年のことが嫌いでした。 あれも嫌これも嫌、嫌いなものばかりの少女ですが―― その中でもいっとう、優しい人が嫌いなのです。 ぽつんと座る、不機嫌な女の子をわざわざ気にかけるような 優しい人のことが、世界でいちばん嫌いなのです。 だから、突き放してそれでおしまい。そのつもりでした。 けれど、そうはならなかった。 青年が踏み込んだのではありません。 少女が歩み寄ったのでもありません。 青年の持つ技術が少女には好都合だった―― ――ただ、それだけのはじまりです。 少女は、壊れた弓を持っていた。 少しばかり薄暗い経緯で手に入れた武器を。 その日のうちに、青年は約束を守りました。 弓の修理を請け負った彼は、少女の部屋へ訪れたのです。 (→) (+6) 2021/04/23(Fri) 15:13:19 |
【墓】 ニアそこで、ふたりはいくらかの話をしました。 青年の手は幾度も、少女の頭を撫でました。 少女がそれを拒まなかったのは、彼がこう言ったからです。 ――僕、寂しがり屋なんで。人に構うのが趣味なんですよ。 それだけ。優しさなんかじゃない、これは打算です。 優しさを厭いながら、焦がれる少女に―― ……いいえ。優しさに焦がれるあまり厭うことしかできない、 不器用で意地っ張りな、途方もない寂しがりに。 その言葉はひどく甘く響きました。 ❀ 少女は幾人かについたのと同じ嘘を吐きました。 行方不明になった兄さんの代わりに、ここへ来た。 犯人に復讐したい。そんなしらじらしい大嘘を。 ――ああ、でも。 誰かに言った『事件に関する情報を集めている』。 これはまるっきり嘘というわけでもありません。 少女はたしかに集めていました。 探していました。無意識のうち、求めていました。 とっても悪い子な自分を見つけてくれる、誰かのことを。 あの男への痕だって、だから刻んだのです。 ……話が逸れましたね。 とにかくその日はそれでおしまいでした。 (→) (+7) 2021/04/23(Fri) 15:14:48 |
【墓】 ニアそれから、いくらかの時が経って。 青年は弓の修理のため、ふたたび少女のもとへ訪れました。 少女がこの部屋で直してくれと頼んだからです。 目の届かないところへやりたくないと。 盗品なのだから、当然のことです。 ――しかし、結局。弓が直されることはありませんでした。 ❀ 青年は知っていました。少女がとっても悪い―― 『殺したいから殺す』と嘯いてあっさり人の命を奪うような、 とってもとっても悪い子であることを。 青年は知りませんでした。 少女が明るく真っ直ぐなとある冒険者を殺したことを。 青年と親しかった、ひとりの女性の命を散らしたのが、 他ならぬ目の前の少女であることを。 それを少女の口から聞かされた青年は――――。 ❀ ……これより先は、ふたりだけの秘密です。 少女の口から語られることはないでしょう。 ただ、ひとつ言うのなら。 少女はようやく出会えたのです。 餓え焦がれていたものを、手に入れたのです。 (→) (+8) 2021/04/23(Fri) 15:18:02 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア 少女はパチリと瞼を開く。 薄紫が光を宿す。 ――そこは街外れの深い森。 鬱蒼と茂った木々の中、伸びる道の途中に立っていた。 目を瞬かせ、首を傾げる。 高く二つに結った黒髪がさらりと揺れて頬を掠める。 ぱちりと瞬きをして、視線を下ろす。 ――外したはずの上着も、タイツも、 首元のリボンもきちんと身につけられている。 少女はこれまで通りの姿でそこにある。 ただひとつ、違うのは。白いブラウスの襟から覗く、 細い首に刻まれたシータの痕――の、紛い物。 少女は顔を上げ、道の続く正面を、 霧に包まれた背後を、…………誰の姿もない、傍らを見て。 あてどなく、歩みはじめた。 「――――しとぅら、」 (+11) 2021/04/23(Fri) 18:33:53 |
ニアは、歩き出した。 (c13) 2021/04/23(Fri) 19:39:15 |
ニアは、恋をしている。 (c14) 2021/04/23(Fri) 19:39:51 |
【独】 村人 ニアアクション下手芸人をかましてしまったわ わたしっていつもそう アクションがド下手なの 終わったあとに…もっといい使い方が思いつくのよ 精進するわ (-222) 2021/04/23(Fri) 20:40:51 |
【独】 村人 ニアところでシトゥラは魔術師じゃなかったのね メレフとラサルハグ…わたし…魔術師にあまりにもつれなかったわね…あの、違うのよ 一度振っておいて、その翌日にでも、もっとお喋りする機会をこちらから投げようかと思っ (-223) 2021/04/23(Fri) 20:48:09 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>@3 真っ直ぐ前を見て歩いていた少女は、進む先から声をかけられ。 、、、、、、、、、、、、 それでようやく気がついた、という顔をして、 その人物の姿を目に映す。 かつてその手で命を摘み取った、一番槍だった彼女を。 「ごきげんよう。 ――ねえ、あのひとがどこにいるのか、知らない?」 顔色ひとつ変わらない、淡々とした問い。 『あのひと』が誰を示すのか、考えなくたって分かるはずだ。 (+12) 2021/04/23(Fri) 21:24:57 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア (+13) 2021/04/23(Fri) 21:43:55 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>@5 「……見つかるかしら」 手を引く。これは目の前の女性だからではない。 ただ、この手に触れていいのはたったひとり、それだけのこと。 けれど、その動きは緩慢で。 捉えようと思えば、簡単にその手を掴むことが出来るだろう。 今の彼女は、夢から覚めたばかり。 『仮想世界』のことも『テスト』のことも、 それから自身への『課題』も未だ認識できてはいない。 ……ついでに言うのなら、少女の餓えは未だ満たされず。 これまでよりもいっそう強く、その心を蝕んでいる。 まるで、バグのよう。 (+14) 2021/04/23(Fri) 22:55:22 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>@6 強く握られた痛みに、わずかに顔を顰めて。 引かれるままに、駆けていく。 「……? どこに、行くの? ――ええ、やっと……やっと、見つけたの。 …………見つけて、もらった……――、? アピール 、って、なんのこと……?」きっと息を切らしながら。手を引く彼女はきっと、今度は―― 少女の歩調を気にしてくれはしないだろうから。 (+15) 2021/04/23(Fri) 23:49:30 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>@7 「ああ……これ、そうね、そうだったかしら」 掴まれたのとは反対側の手でそっと首元に触れ、 歪に抉れた痕を指先でなぞる。 「でも、これだけは特別。あのね、」 ――お揃いなの。 ひそやかに、淡い想いを打ち明けるように。 まるでふつうの女の子みたいに、少女は微笑んだ。 今の少女の興味の対象は、ただひとり。 それ以外は眼中に無い。少女 のデータ はそういうふうに壊れた。 (+16) 2021/04/24(Sat) 0:25:41 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 肌に触れられるたび、少女の身体が小さく震える。 毒を吐き損ねた唇から漏れるのは、吐息だけ。 意地の悪い毒を浴びせたかと思えば、 次の瞬間には甘やかすような蜜を垂らす。 そんな青年の言葉に、少女は容易く翻弄される。 「悪趣味なのね。それとも被虐趣味?」 その声に、さっきほどの力は無い。 寂しがりの少女は名前を呼ばわれることに、すこしばかり弱い。 それが少女の心に触れる青年の声なら、なおのこと。 「怒ってなんか――」 なおも意地を張りかけて、口を噤む。 しかし、素直に言葉にするには少女はまだまだ子どもで。 口を引き結んで、うろ、と視線を彷徨わせることしかできない。 (-311) 2021/04/24(Sat) 1:45:03 |
【秘】 村人 ニア → 裏方 サダル 少女のポケットから、星が還る。 もっと世話を焼きたくなってしまいそうになる、と。 妹に似ている、と。 大切な子だと、言ってくれたひとの元へ。 それに触れれば―― 赤にも似たピンク色の、鮮烈な光を放って。少女の声が届く。 (→) (-336) 2021/04/24(Sat) 2:31:28 |
【秘】 村人 ニア → 裏方 サダル ――わたし、 こんなことをしてしまうの 他の誰だってしないようなことだわ ほら、わたし、悪い子でしょう? 叱ってちょうだい! 諭してちょうだい! 悪いことだと教えてちょうだい! 誰でもいい、 誰だっていいから お願いよ、 ――――わたしを見て!!!! それは死を選んだ少女が手放したもの。 いつかこの星を寄越した誰かが知りたがっていた、 少女が『あるはずない』と嘯いた、人を殺す理由。 少女にとって、殺すことは。 自分を見てもらうための唯一の方法だった。 探してほしかった。 わたしを見つけてほしかった。 その餓えは少女の内側を食い荒らしていた。 ……殺さなければ、生きられないほどに。 (-337) 2021/04/24(Sat) 2:33:20 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア 少女に与えられた役割は「餓狼」。 強すぎる承認欲求。倫理観の著しい欠如。 それは今、壊れて。ただひとりへの渇望へ成り代わっている。 ゆえに少女はただひとりにしか興味を向けられず、 ――目の前の人物が誰なのか、その目にはっきりと映すまでに とてもとても時間がかかった。 (+19) 2021/04/24(Sat) 18:24:21 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>@10 >>+19 「メ、サ……?」 少女の体から力が抜ける。 進めなくなった足がもつれる。転ぶ。 膝を擦りむいて血が滲み、タイツが少し破れた。 「……わたし、え、あれ……?」 目の前の彼女を見上げて、少女は問いかける。 その小さな唇も、地面を掻く細い手もひどく震えている。 「わたしたち、どうして、死んでないの……?」 あの日、穴に飛び込んだ兎は。 餓えた獣の役割を与えられた、 ただの『村人』になりたかった女の子は。 歯車の狂った、機械仕掛けの甘い夢から―― いっとき、目を覚ます。睫毛がふるりと震える。 薄紫を驚愕と悲嘆と絶望に染めて―― 少女はその手で犯した罪を、正しく理解した。 「ぁ――」 幽かな呟きは、風に攫われる。 (→) (+20) 2021/04/24(Sat) 18:25:16 |
【秘】 NIA[NPC]<β>★村人≪観≫θ ニア → アタシは メサ ……現実世界の少女は、普通の女の子だった。 ただ、ちょっと変わった特技があった。 あの日、兎は穴を見つけた。 Data Center"orion"の、セキュリティホールを見つけたのだ。 寂しがりな女の子は、βテストに潜り込んだ。 NPCに紛れて、参加者をちょっとばかり揶揄ってやろうと思って。 ――本当は、意地っ張りで可愛くない自分を束の間だけでも捨てたくて。 ――そして本当の本当は、 どこかの誰かが悪い子の自分に気づいてくれないかしらと、 たったそれだけ。それだけの理由で、ハッキングに手を染めた。 その後の少女が、何に成り果てたのか。 この世界で何をしてしまったのか。 ……それはもう、他ならぬあなたがよく知っている。 (-510) 2021/04/24(Sat) 18:29:03 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+20 「わたし……ひとを、……あんたを、……ころし、」 ナイフのグリップの太さ。さくり、突き立てる感触。 そこからくるりと軽く捻れば人は簡単に死ぬ。 人の命を摘み取る瞬間を、この汚れ切った手が覚えている。 薄寒いほどの無感動を、心が覚えている。 「…………めさ、……」 少女はかつて殺したひとを見上げて、名を呼んだ。 それ以上は、なにも。かける言葉を持たない。 後悔も懺悔も何もかも、今となっては意味をなさない。 目に映れば、理解する。……それだけの話。 少女に届いたのは ■■ 。祝いは、届かなかった。 (+21) 2021/04/24(Sat) 18:34:40 |
【墓】 村人 ニア>>@14 髪を掴まれ上へと引っ張られる。 痛みに顔を歪める。じわりと滲んだ涙で視界が歪む。 「そんな、つもり……」 なかったと言い切れないことに愕然とする。 だって――覚えている。なにもかも、ぜんぶ。 この優しいひとを殺してしまおうと思った瞬間のことを。 守ってくれる背中を 嬉しく 頼もしく 憎く思ったのを。背後からナイフを刺したことを覚えている。 心臓のある位置を。 手首を捻ると中身が抉れたことを。 感触を。においを。色を。 彼女の声を。リボンを引かれたことを。 息が細くなっていく彼女を見下ろして、 首元の痕をじっくりと眺めていたあの景色を。 「――――った、わ…………」 どちらの答えを口にしたかったのか、分からない。 縋るように首元の『お揃い』に触れる。 顔を下げられないまま、目を伏せて。 少女は今にも折れそうな、か細い声で呟いた。 「……ごめんなさい、」 (+22) 2021/04/24(Sat) 21:03:15 |
村人 ニアは、メモを貼った。 (c15) 2021/04/24(Sat) 21:27:25 |
村人 ニアは、メモを貼った。 (c16) 2021/04/24(Sat) 21:31:06 |
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