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【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優昼休みか、どこかの時間。 僕は数日前に訪れたきりのお昼寝スポットを訪れていた。 ここは静かだから、逃げてきたのかもしれない。 日常の儚さに、何だか嫌気が差していたから。 牛丸さんがいてもいなくても、構いはしなかった。 あの時彼女がそうしていたように、寝転んでいる。 流石に、眠れそうにはなかったけど。 (-49) 2021/11/04(Thu) 23:46:05 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親あなたがそこに寝転んでからすこしして足音が聞こえてくる。 あたりを伺うようにして、そしておそらくあなたの姿を見つけて一度立ち止まる。 それはほんの一瞬のことで、寝転んでいるあなたの隣に腰を下ろす音が聞こえるだろう。 「朝日先輩。 ここ、気に入りました?」 いや、気に入ったかもとは言ってましたっけ。 ここは静かだから声がよく通る。 (-115) 2021/11/05(Fri) 7:23:43 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「……牛丸さんか。また君の昼寝の邪魔するね」 目を開く。 前髪の下だから、閉じていたことすら分からなかっただろうけど。 「気に入ったよ。ここは静かだし。 休むのにも考え事するのにも、丁度良い」 だけどここは僕の縄張りというわけじゃない。 どちらかと言うと、牛丸さんの縄張りだ。 (-116) 2021/11/05(Fri) 8:26:05 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「どうも。 あんまり気にしなくていいですよ、今からでも寝ようと思えば先輩を無視して寝れます。 しませんけど」 異能を使えば。 夢もなく微睡む心地よさを味わうことができる。 「先輩はここに人を呼んだりするタイプじゃないでしょう。 好きにしていいと思いますよ」 ここ数日、この学園で何かが起きている。 グラウンドで先輩の……暴走した姿も見た。 怖くて、怖くて、追いかけられなかった。 (-117) 2021/11/05(Fri) 9:05:42 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「それこそ気にしないでいいのに。 昼寝に来たんなら、気にせず寝ていいよ」 転がったままも悪いかな。 体を起こして、そのまままた空を仰ぐ。 「そりゃあ、まあ。 折角の静かな場所だし。 あんまり人が来ると勿体ない」 チチ、とまた鳥が飛んでいく。 それを眺めた僕は、牛丸さんに視線を移した。 「……考え事、してたんだけどさ。 聞いていい? 牛丸さん、自分の異能は好き?」 (-119) 2021/11/05(Fri) 9:58:22 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「じゃあ今日は先輩がいないかなって期待しながら秘密の場所に来た健気な後輩ということにしておいてください」 雑なことを言いながら、半分は嘘でもないなと思う。 元気そうでよかった。 「……自分の異能が好きか、ですか? 便利だとは思ってますよ。友達にもテスト前とか大会前とか頼まれます。 考えたことなかったな」 自分の一部であって、生まれつきある手足のようなもの。 物理的に存在するものではないから制御はできても削ぎ落とすこともできない。 考えたことがないというのは、すこしだけ嘘だった。 (-121) 2021/11/05(Fri) 10:16:55 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「それは健気だね。 期待された分の成果くらいはお見せしたいとこだけど」 まあ、無理だろうな。 僕は特別面白い人間でもないし。 そんな事は自覚もしている。 「考えた事ないくらいが丁度いいのかもしれないけどね。 ……新薬の噂は、知ってる? あれ、噂だけじゃなくて本当に存在しててさ。 最近立て続けにそれ関連の暴走とかに巻き込まれてて。 ────中には自分から飲んだやつも居るんだよ。 バカげてるよね」 自分がそうとは言わなかった。 でも何よりもその言葉は、僕自身に向けられている。 僕が薬を飲んだことなんて、牛丸さんは知らないと思っている。 (-122) 2021/11/05(Fri) 10:23:31 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「期待通り話せたので期待した分は回収できたとしましょう」 会えて話せて無事を確認できたのでそれでよし。 面白くなくたって心地よい、そんな時間があったっていいだろう。 「噂だけなら……と言いたいところですけど、 何かが起きてるのは本当みたいですね」 あなたの言葉に、返す言葉を紡ぐ。 立ち尽くしていた自分が蘇る。 「自分から飲んだなら、それに関する責任も取るってことでしょう。 バカみたいな薬でも頼るほど、むちゃくちゃしたかったのか異能を変えたかったのかはわかんないですけど。 先輩、巻き込まれて怪我とかしませんでしたか。 かなしいとか、つらいとか……ちゃんと我慢せずに思えてますか。そっちのが一番心配です」 (-124) 2021/11/05(Fri) 11:25:40 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「巻き込まれた」という言葉だけを信じるなら、この言葉は過剰な心配だろう。 あの時の先輩なら記憶になくたっておかしくない。 怪しまれることになるかもしれない。 牛丸沙優は、案外あなたと、あなたと過ごす時間が好きなのかもしれなかった。 (-125) 2021/11/05(Fri) 11:32:46 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「────見ての通り、五体満足してるよ。 怪我はないかな。少なくとも、体には」 頭や心はその限りじゃない。 でも僕は、自分のことを見て見ぬふりするのは得意だった。 傷つこうが苦しもうが、目を向けずに麻酔さえしてしまえば普段と同じだ。 「えらく心配してくれるけどさ。 ……もしかして、牛丸さん、 一昨日、グラウンドに居た? 」あの日のことは覚えてはいる。 ただ興奮状態にあった僕は、自分の周りの数名にしか意識を向けていなかった。 そうでなければ匂いででも気付けただろう。 あのすぐ側に、牛丸さんがいたことくらい。 獣にとって、そう気付くのは造作もないことだった。 (-127) 2021/11/05(Fri) 14:03:42 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「体はって言い方すっごく不穏ですね。 心は傷ついてますって言ってるようなものじゃないですか」 そういう時は寝るのが一番だと牛丸は思っている。 夢は現実の半分も恐ろしいことができないから。 「 ゔ。 ……まあ、こんな言い方したらバレますよね。 遠くで見てただけです。 先輩がおとなしく誰かに連れられて保健室に行くんだろうな、ってところまで、見てただけで。 すみません」 だからまあ、何もできなかったし、そも元々の知り合いでもない自分が押しかけるのもやめておいた。 今日元気な姿が見られてよかったなあ、と思っている。 そのようなことをしどろもどろ話す。 (-134) 2021/11/05(Fri) 15:04:49 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「不穏、かな。分からないんだよ。 かなしいかどうか。つらいかどうか。 そんな事考えるより、もっと建設的なことがあるような気さえして」 分からないから前を向く。 見て見ぬふりは意識的に行わずとも身についていた。 僕は、自分のことには酷く 無頓着 だ。「……そう。見てたの。 でも元気でよかったって思ってくれるんだ。 あれだけ人に迷惑かけ続けたのにね、僕」 見て見ぬふりは、ただ事実をありのまま受け止める。 「怖かったでしょ。 近寄らないのは正解だよ。 あの時は、他人を気遣う余裕なんてなかったから」 (-158) 2021/11/05(Fri) 19:55:59 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「自分のことを大事にすることの、何が不毛なんですか。 自分がどう思ったのか、今何をしたいのか…… 大事にしてくださいよ」 痛みを当たり前としてしまえば、いずれ歪みが生じる。 どのような形であっても。 「……正直言うと、怖かったです。 異能を使えば先輩を怪我させずに落ち着かせられるかと思ったけど、近寄ることすらできなかった」 「先輩は……あの騒ぎで、何かを得られたんですか。 それだけ教えてください」 怖い思いを(勝手に)した者としての要求です、と続けた。 (-174) 2021/11/05(Fri) 21:28:57 |
牛丸紗優は、今日のお昼はどでか肉まんだった。購買部にある数量限定メニューらしい。 (a38) 2021/11/05(Fri) 21:30:47 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「……大事に、か」 嫌いな異能と共にある自分を大事にできる気は余りしない。 ずっとそうだったし、そう簡単に変えられる気もしないと思う。 それにそれ以上に、自分を押し殺して以外の生き方を僕は知らない。 自分のしたいこと、なんて言われても直ぐには思いつかないものだ。 「得られたものなんかないよ。 自棄になってもいい事なんかないな、とは思うけど。 ……って、思ってたんだけどな」 僕は短く息を吐くと、また空を見上げた。 同じ動物なら、鳥になれた方がずっと良かったのに。 「案外さ、僕が思う以上に人は異能で人のことを見ていないんだなって思った。 気味悪いとか、そんな風に思われるとばかり思ってたから」 死肉を漁るハイエナ。 そして、牛丸さんを怖がらせるくらいには、制御を手放すと危険な異能でもある。 それでも誰も、そのようにはしなかった。 異能を隠していてばかりでは、知ることのなかったことだ。 「それにこの異能だから出来ることもある。 クソ喰らえって思うけどね。 でも、使えるものは使ってやらないと」 「……って、ここ数日で。 思うことができるようには、なったかな」 (-180) 2021/11/05(Fri) 21:59:08 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「急にああしろこうしろって言われても難しいのは……まあ、そうですね。 手始めに好きなおやつを食べてお昼寝することをおすすめします」 提示するのは雑な解決法だ。 いつかの自分は、そうして長い夜の先を――朝を待ったものだった。 「異能は先輩の一部だけど先輩の全てじゃない。 そりゃあ制御を失っていた時は怖かったけど、そんなの他の人だって同じことです。 私の異能だって、暴走したら人をばったばった眠らせて事故を誘発したりするかもしれない。 ……なんだ、ちゃんとわかってるんじゃないですか」 他人からどう思われているのか。 つまりはあなたはきちんと大事に思われていて、それに自負を持つべきなのだ。 それを伝えたいのに、言葉というものはややこしくてもどかしい。 「悪いことばっかりじゃないですよ。 生きてたら、いいことあります」 (-190) 2021/11/05(Fri) 22:55:55 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「好きなおやつ、ね。やってみてもいい、けと。 特にないんだよね。オススメとかある?」 何せ廃棄パンで食費を浮かせていた僕だ。 ちなみに浮かせた食費は何に使うかも分からない、雑多なジャンルのデザインの本に消えている。 「やっとわかるようになった、って感じかな。 わかる前と後じゃ、大違いだよ」 この異能のことは、好きにはなれない。 それは変わらない。 でも少しくらい、異能と僕が同一でないとは思うことができるようにはなったつもりだ。 「そう思うんなら牛丸さんも薬には気を付けてね。 僕はそう言われても自分で飲んだ馬鹿だけど。 ……どうやら今日も、何だか騒がしいみたいだから」 嘆息した僕は、空を見上げる。 ああいうのは、治験なんかに手を出さずに市販品になってから手を出すくらいで丁度いい気さえした。 青い空を雲が流れていく。 ぼんやりと見つめた僕は、囁かな声で一言だけ漏らした。 「 ……生きていたら、か 」その言葉に、見て見ぬふりの一番底、蓋をするように封じ込めた何かが疼いたような気がした。 (-193) 2021/11/05(Fri) 23:14:41 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「 え……好きなおやつがない……? え、ええと、牛乳とカステラとかどうですかね。 意外と合うんですよこれが」 本当に今までで一番信じられないものを見る目をした。 運動部とはご飯食べるのが大好きな生き物なのだ。ちょっと嘘。 「本当はね、最初のうちは薬のうわさ聞いて……飲んでみたいなって思ってたんです。興味本位で。 先輩の暴走騒ぎを見て、ああこれは本当に怖いものなんだってよく身に染みたので。 もし持ちかけられたとしても全力で逃げてみせますよ」 空を見上げるあなたの隣で牛丸もまた空を見上げる。 鳥はいつだって自由に飛んでいく。 羨ましいことに。 「先輩にもいいことありますよ。 明日くらいに」 何の根拠もない言葉だった。 そうなればいいな、と思っている。 (-201) 2021/11/06(Sat) 0:01:58 |
【独】 牛丸紗優中学三年のインターハイ、大会当日の故障。 そう言ってしまえば 「ありふれた」「かわいそうな」「将来有望だった」 人間になるのが嫌だった。高跳びが好きだ。 鳥のように空を飛び、浮遊し、落下。 その一瞬の感覚のために全てを投げ打って生きてきた。 その全ては、あの日に失った。 故障の代償は一年の静養。 走る、ましてや高跳びなど以ての外。 でも、陸上は好きだった。 嫌いになりたくなかった。 たとえ他の何を失っても、自分が好きなものを憎んでしまいたくなかった。 だから、これからも何があっても陸上が好きで、陸上部が好きで、 この学園が好きで、…… 体育祭が終われば静養期間も終わる。 本格的な検査をすれば、手術だって言われるかもしれない。 でも大丈夫だと思う。 なんてったって生きてるし、たとえ何があろうと私は陸上が好きだからだ。 (-203) 2021/11/06(Sat) 0:11:22 |
牛丸紗優は、そう信じているし、そうなるように祈っている。 (a40) 2021/11/06(Sat) 0:12:48 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「 そんなに驚くこと? 牛乳とカステラか……まあ、試してみるよ。 聞いといて試さないのも何だし」 釈然とはしないけど。 残り物、別に美味しくはないから味にこだわりはないんだよね。 「ああ、そう。 それはよかった。僕としては複雑だけどね。 まあ、暴れた甲斐も少しはあったのかな」 反面教師にされた僕は、昨日2回目を口にしたわけだけど。 カッとなると後先考えないんだよね。 「余計な責任なんて、負わない方がいいに決まってるしね」 それでも2回目については後悔していない。 そもそも牛丸さんは、そんなものが存在することだって知らないだろうけど。 「いい事、か。 ……あるといいけど。」 波風立たない平穏な生活が今の僕の望みだ。 それくらいには暫くのことで疲れきった自覚もある。 心休まる場所を見つけられた事は、そんな中でもかなりいい事に近かったけど。 「それなら、まあ。明日を楽しみに、していようかな」 (-205) 2021/11/06(Sat) 0:20:33 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「 めちゃくちゃびっくりしました…… じゃあ、これからたくさん試せますね。 いろんなおやつ食べて一番が決まったら教えてください」 牛丸は食べるのが好きだし、皆と好物を交換するのも好きだ。 いつか先輩のおやつをとっておきのおやつと交換してやろうと企んでいる。 「荒療治にもほどがありますけど。 私も先輩も、それで何かが変わったということで手を打ちましょう」 勝手に反面教師にしてしまったことは少し申し訳なく思う。 それでもこれ以上嘘をつくのも嫌で、素直に話すことにした。 「ありますよ。あるったらあるんです。 なかったらそれはチャージ期間なんで」 明日が楽しみだ。明後日もその次の日も。 やさしい人たちにたくさんいいことが起きるといい。 そんなことを考えながら、お昼寝スポットの穏やかな時間は過ぎていく。 (-247) 2021/11/06(Sat) 7:15:24 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「ん、その時はまた、ここに来るよ」 おやつを持ってね、と軽く笑う。 そんなものが見つかるかは分からないけど、見つかるといいとも思う。 「チャージ期間はずるいな。 もうなんでもありじゃないか」 肩を竦めた僕だったけど、こういう軽口は嫌いじゃない。 結局僕も、この場所で牛丸さんと話す時間は結構好きらしい。 長閑な時間が過ぎていく。 暴走騒ぎなんて、まるで嘘みたいに。 でも、嘘なんかじゃないことは僕こそよく知っている。 だからこそ、この長閑さに安らぎを覚えるんだろう。 (-261) 2021/11/06(Sat) 9:40:13 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「その時はこっちもとっておきを用意しておきます。 びっくりするくらいおいしいやつを」 先輩が和菓子派か洋菓子派か、はたまたスナック菓子に走るのか。 いつか来るその時は、もっと笑ってくれるといいな。 「なんでもありでいいんですよ。 こういうのは言ったもん勝ちで、いいことがあるって言い続けることが大事なんです」 あなたがお腹いっぱいご飯を食べて、布団をかぶって眠って、それがつつがなく為されるように誰かが気にかけてくれて、幸せであれるように。 いつだっていいことがありますように、と。 暴走騒ぎはまだ終わっていない。 この長閑な時間だって休み時間が過ぎれば終わってしまう。 そんな今だからこそ、穏やかに笑いあえたことが嬉しかった。 (-288) 2021/11/06(Sat) 15:28:26 |
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