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【置】 Niente ラウラ青空が、広がっている。 果てのない青空だ。 下は水面のようで。 その上に、女は立っていた。 「………また、ひとり ですね」 誰に言うでもなく零した言葉は。 空に溶け、消えていく。 "誰か"の体に回した腕は、もう。 ──熱を感じない。 「…………さみしい、」 先程の言葉をもう一度口にして。 応えの返らない呟きに、胸が痛んだ。 ──視線が、落ちていく。 足元に広がる波紋は、ひとり分だけ。 だとすればあの人は。 …………。 …………………………。 ▽ (L0) 2022/08/24(Wed) 22:27:17 公開: 2022/08/24(Wed) 23:00:00 |
【置】 Niente ラウラ「ふっ………………」 漏れた声は、確かに女のものだろう。 けれどきっと、生前には零さなかったもの。 「…………ふふっ」 その表情は、どんなものだったか。 分からない。それを見たものはいない。 己でさえも……………………。 ぱしゃり、と音を立ててその場に座り込む。 沈むことはない。 ただ、波紋が広がっていくだけ。 「…………ラウラのお願い、ようやく 叶いました」 約束や願いが叶わないと知って尚。 それでも手放せなかったのは、きっと。 ──いつか叶うと、信じていたから。 笑ってください。 ラウラは、皆様の笑顔が大好きですから。 ▽ (L1) 2022/08/24(Wed) 22:27:53 公開: 2022/08/24(Wed) 23:05:00 |
【置】 Niente ラウラ「………………マウロ様、…ラウラは」 言うべきことは沢山あった。 言いたいことも沢山あった。 けれどそれら全てを語るのは。 きっと野暮で──だから。 「……ラウラは、血の掟を行いました。 ですから、マウロ様よりも 少し前を行きます」 傷のついた親指を見て、静かに呟く。 アソシエーテではなく、メイドマンとして。 だから早く、貴方は更に上を目指してください。 貴方の優しさをきっと、他にも気づける人がいますから。 ラウラにはもう、お傍で支えることは叶いませんが。 「……お慕いしております、から。 ──心から、願いましょう」 ──月桂樹の名において。 この先の貴方の未来に。 " 栄光 "と"勝利 "が訪れますように。▽ (L2) 2022/08/24(Wed) 22:28:38 公開: 2022/08/24(Wed) 23:10:00 |
【置】 Niente ラウラ「…………リカルド様。 ラウラに、"好き"を教えて下さり。 ……ありがとう、ございました」 違いを正しく理解するには。 ──やはり、他者の存在が必要だった。 「それから」 「…それから、……約束。 守れなくて、ごめんなさい」 傍にいた時には告げることのなかった、謝罪の言葉。 貴方は、光だったのだろう。 暗い迷路の中でさ迷っていた、女にとっての。 そんな貴方との約束。 守れなかったことが、酷く悔しい。 「………………行ってらっしゃいませ」 どうか、長く生きてください。 そうして互いに、知ることが出来ればいい。 その手はもう、誰にでも届くのだから。 握りしめる必要はない──きっと、大丈夫。 ▽ (L3) 2022/08/24(Wed) 22:29:05 公開: 2022/08/24(Wed) 23:15:00 |
【置】 Niente ラウラぽつ、ぽつり。波紋がひとつ、ふたつ。 弾けて、広がる。 震える喉が、吐息を零す。 答えを知ったことは、今の状況では酷く残酷にも思える。 声にならない声で、彼の名を呼ぶ。 本当は、その手を取りたくて。 幸せに、なりたくて。 それでも、望めなかった。 望みたかった。ただ一人の、人間として。 もっと素直になれたなら、貴方に。 「……………全てが終わった、その時に」 なんて、夢物語は 紡がれない。 あの日言えなかったこの言葉は、飲み込むべきだから。 落ちていく雫はやはり拭われることもなく。 静かに、静かに波紋に変わる。 もう、慰める手はここにはない。それはきっと。 ──その手はきっと、代わりに 別の誰かを救うだろう。 ▽ (L4) 2022/08/24(Wed) 22:29:46 公開: 2022/08/24(Wed) 23:20:00 |
【置】 Niente ラウラ「………………貴方は、」 貴方の傍には、 マウロ様とリカルド様がおります から。 どうか。 ──どうか、言葉を飲み込まないで。 「…………貴方は、孤独ではありません から。 ラウラは、……ラウラ は、」 貴方の幸せを──願い続けましょう。 身勝手に、無責任に。 だからどうか貴方も。 「──貴方自身の幸せを望んでください」 いつかにあの人が唇をつけた指先へと口付けを落とす。 そこに、"赤"が染みることはない。 ここにあるのは、どうにもならない虚しい感情だけだ。 未練がましく、あの人を想って。 ただひとり──嗚咽を堪えて 泣き続けていた。 叶わないかもしれない約束や願いでも。 最後に何か叶えば、いつかの傷は癒やされていくはずだ。 「──そうでしょう、ツィオ様」 (L5) 2022/08/24(Wed) 22:30:59 公開: 2022/08/24(Wed) 23:25:00 |
【置】 Niente ラウラ貴方の傷を癒したかった。 貴方に傷を癒して欲しかった。 残された"証"に後悔はない。 貴方に触れられて──確かに、幸せだった。 貴方となら何処へでも。 貴方となら何処までも。 その命が果てる、その時まで。 貴方を、愛しています──ツィオ様。 (L6) 2022/08/24(Wed) 22:31:58 公開: 2022/08/24(Wed) 23:30:00 |
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