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【墓】 こどもの アルレシャ>>17 スピカが封を閉じると、何者かが軽く手紙を咥えるような感覚がしました。手を離せば手紙は宙に浮いたまま動き出します。四つ足の何かが、手紙を咥えて運んでいるかのように。 手紙が動く度に、かろん、かろん、とベルの音が鳴りました。細い糸もその後を追います。 暫くして、階段の踊り場で手紙は止まりました。糸もその場に留まります。 ひとりでに手紙の封が開きました。途端に手紙は姿を消し、括り付けられていた糸が床に落ちてゆきます。 (+6) 2022/01/26(Wed) 19:16:39 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ踊り場に足を投げ出し、階段に腰掛けていたアルレシャはベルの音色に顔を上げました。 山羊の郵便屋さんが、アルレシャ宛の手紙を持って来てくれたのです。糸が括り付けられている理由はわかりませんが、そっと手紙を受け取ります。 「……スピカ!」 封筒を見て直ぐ、差出人に思い当たりました。 糸がはらりと床に落ちます。意にも介さず手紙を取り出しました。 ――――わたしが、わたしたちおとなが、がんばるから。 ――――少しさびしいかもしれないけれど、どうか待っていてね。 ――――あなたをちゃんと、守るから 「…………」 視界が霞み、涙が頬を伝います。瞳から溢れ落ちた雫は、手紙をすり抜けて床を濡らしました。 (-32) 2022/01/26(Wed) 19:18:29 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ「……スピカ」 名前を呼びます。透明な声では届かないと、知っていながら。 「……スピカ」 何年も、何年も、何年も前から探し求めていた 何か が、見えた気がしました。知らない筈の感傷に、ただの文字が染み渡るのです。訳もわからず、背中を丸め泣きました。 「スピカぁ……!」 アルレシャは、待ち続けます。 再びみんなと、話せる刻を。 (-33) 2022/01/26(Wed) 19:19:00 |
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