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【人】 火澄 七瀬「 …… そういうのなら。 瀬名が禎光を好きになっても、 禎光が瀬名を好きになっても、 どっちも不思議じゃないじゃないですよね。 」 探るような会話を交わします。 まるで綱渡りをするような。 何かをきっかけに奈落の底へ落ちてしまいそうな 危ういやり取りでした。 (18) 2023/05/11(Thu) 17:57:05 |
【人】 火澄 七瀬「 七瀬が瀬名を好きになったら、 貴女は不思議に思うでしょう? 」 ぴたりと刃を自身の胸元にあてたなら、 泣きそうな顔で微笑みました。 ********* (22) 2023/05/11(Thu) 17:58:47 |
【人】 火澄 七瀬神様が、言ったのです。 この世界には存在できる人数が決まっているんだと。 人口密度とかそう言う話はなくて。 この世界が許容できる魂の数。 ただ、たまにあるそうです。 ひとつの魂がふたつに分かれて生まれてくることが。 彼らは双子として世界に受け入れられて、 健やかに育てられます。 それでも、期限は決まっていました。 (23) 2023/05/11(Thu) 18:27:32 |
【人】 火澄 七瀬神の子として見逃されるのは、齢14までの話。 15歳を迎えた魂は、別々の人の子として数えられます。 そして許容量を超えて溢れた魂を、 世界が許すことはありません。 ──── そうなれば、どうなるのか? 消えるのです、人知れず。 存在が、痕跡が、人々の記憶から。 まるで最初からいなかったかのように。 …… 決して珍しい話ではないそうですよ。 私達が認識できていないだけで。 今日もどこかで、存在を許されなかった誰かが、 人知れず消えているのかもしれません。 (25) 2023/05/11(Thu) 18:28:05 |
【人】 火澄 七瀬「15歳の誕生日を迎えたら、お前の妹は消えるよ。」 …… だから半年前の雨の日。 神様が私に声をかけたのは、 ほんの気まぐれだったそうです。 男かも女かも、日本語かどうかもわからない 脳を揺さぶるような、不思議な声でした。 私が何をしても、しなくてもいい。 成功しても失敗しても構わない。 単なる愉快な見世物なのだと、 かの存在は、笑いながら言いました。 (26) 2023/05/11(Thu) 18:29:04 |
【人】 火澄 七瀬与太話だと笑い飛ばすことも出来ました。 いいえ。そうするべきだったのでしょうね。 なのに、私はどうしようもなく理解してしまいました。 それは確かに神様で、その話は真実なのだと。 実の妹への想いを抱えて不安定だった私の精神は、 あの瞬間。どうしようもなく狂ってしまったのです。 別に私が消える側でも構わないそうです。 それでも世界の天秤は、問題なく釣り合うから。 そうですね。選択肢がそれしかなければ、 ………… きっと私も、間違えなかったのに。 (27) 2023/05/11(Thu) 18:29:59 |
【人】 火澄 七瀬ごめんなさい。お父さん、お母さん。 私は車のブレーキに細工をして、 貴方たちを殺してしまいました。 死ぬ必要なんてなかったのに。 ごめんなさい。禎光。 私は貴方が大切でした。 でも貴方のことを殺そうとしました。 ごめんなさい。瀬名。 …… 馬鹿なお姉ちゃんで、ごめんね。 (30) 2023/05/11(Thu) 18:31:10 |
【人】 火澄 七瀬歌を褒められれば、気恥ずかしさはありましたが。 嬉しい気持ちもありました。 姉である手前、あまり表には出しませんが。 私は案外単純なんです。 先程のつまらなさは、 くすぐったい物へと変わっていました。 思慮深く、他者を配慮を欠かさない禎光は、 いつだって私達の欲しい言葉をくれるのです。 (46) 2023/05/12(Fri) 10:56:57 |
【人】 火澄 七瀬「 …… やるかは、わからないけど。 いつか禎光も含めた3人で。 一緒に歌えたら、楽しそうだとは思うよ。 」 ***** (48) 2023/05/12(Fri) 10:57:17 |
【人】 火澄 七瀬飛び込んでくる何者かの気配。 思わずびくりと肩を震わせた頃には、 その顔は、思いのほか近くにありました。 刃を掴む手のひらからは、 紅の鮮血が滴り落ち、花びらを濃く染め上げます。 それが誰なのか。 今さら確認するまでもありません。 …… ひとりとひとりだった私達は、 貴方と出会ったことで、 さんにん、となったのですから。 (49) 2023/05/12(Fri) 11:29:17 |
【人】 火澄 七瀬思わずナイフを取り返そうとしましたが、 しっかりと刃を掴んだ指は、 私の力ではびくともしませんでした。 「 ……禎光。 」 あんなに小さかったのに。 あんなに身体が弱かったのに。 そこにいたのは 立派に成長した、ひとりの男の子だったのです。 (50) 2023/05/12(Fri) 11:30:52 |
【人】 火澄 七瀬ナイフから彼の指を剥がすことは難しかったでしょう。 ならばと私は、貴方の腕ごとを掴んで動かします。 貴方の手の分、隠れた刃。 胸を貫くには、深さが足りなくなっていました。 ならばと、刺すのは別の場所と。 「 …… 大好きですよ、禎光。 瀬名のこと、よろしくお願いしますね。 」 ──── それが、最期でした。 私は自身の喉に、刃の切っ先を突き刺しました。 (53) 2023/05/12(Fri) 11:35:30 |
【人】 火澄 七瀬吹き出す鮮血の熱が、鉄錆の匂いが、 貴方の手や顔を覆ったかもしれません。 人を貫く感触も、こびり付いて離れない。 …… 最後まで私は、 貴方にひどいことしかしませんでした。 でも見逃して貰えると嬉しいです。 全て忘れてしまうのですから。 最初から、全部無かったことに。 (55) 2023/05/12(Fri) 11:36:25 |
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