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【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ祭りの喧騒は、遥か遠く。 何も変わっていないはずなのに、ただぼんやりと光るあなたのうなじだけ、確かな変化を示している。 本来、聖女にとってその変化は喜ばしいことのはずだ。 この世界からあなたたちは―――あなたは、出て行かずにいてくれる。 でも、光らずにいてくれても、よかったのだ。 ううん。光らない方が良いのだと、聖女は知っていた。 あなたはそれを、望んでいるんだって。 (-47) 2024/02/10(Sat) 10:31:29 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ「 ………… 」 だから。 あなたの言葉には、ほんの一瞬、言葉を失って。 微かに下がった眉尻。それでも、すぐに力なく、笑って。 ……―――"やっぱり"。 どうしても。そう浮かぶことだけは、止められない。 (-48) 2024/02/10(Sat) 10:33:45 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ「 ――― ええ そう。 ファリエの いうとおり 」 あのときと同じ、諦めを帯びたかお。 「 帰って ほしく なかったわ。 ずっと。 みんな。 ……誰も 」 何年も。何十年も。何百年も。 聖女祭りが繰り返される毎、いなくなってゆくひとたちの顔は今も忘れない。 誰もがみんな、帰りたいって願っていた。 あなたと、おんなじ。だから、だから聖女は、 (-49) 2024/02/10(Sat) 10:36:35 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエルールを決めたのは、確かに自分。 決して誰かに強制されたわけじゃない。 すべて、自分の意思。 ううん、本当はひとつだけ、"例外"は確かにあったけれど。 「 でも みんな 帰りたいのよね 。 みんなは この世界が きらいなの 」 「 …… だから それなら、 もっともっと、いい世界にしないと 」 光った痣を、"聖女の祝福"にしてしまって。 みんなから「おめでとう」って言ってもらえたら、悪くないなって思ってくれるかしら。 手伝ってくれる人達の願いを叶えれば、今よりもっと住み良い世界になってゆくかしら。 帰らなくてもいいって、思ってくれるかしら。 「 ――――…… でないと 」 (-50) 2024/02/10(Sat) 10:37:57 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ―――ねえ、ファリエ。 それでも、わたしはやさしいかしら。 みんながほんとうに帰りたいってこと、知っているのよ。 だって行かないで、って言っても、誰もここにいてくれないの。 ……わかってるの。わかっているのに。 わたしは、このお祭りを失くしてしまうことができないの。 そうやって、みんなの願いを潰えさせてきたの。 (-52) 2024/02/10(Sat) 10:42:34 |
【教】 聖女 リッカむかし、むかし。 まだ聖女とも呼ばれてもいなかったその子供は、 その力でひとつの世界を創り上げました。 ――― 幾星霜のメモワール。 その世界を模したことだって、 何の意味もないわけではありません。 だってその世界は、誰もが知るほど愛されているはずでした。 …… 愛されている、 はず だったのです。 (/0) 2024/02/10(Sat) 10:50:20 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ誰とも遊んだことなんてないくせに、 見よう見まねで世界を創った創造者。 みんなと遊びたかっただけ。 みんなと過ごしたかっただけ。 ―――ひとりぼっちで、いたくなかっただけ。 自分を好きになって欲しいなんて、 きっと、思ったこともなかった。 それ以前の、問題だったから。 (-61) 2024/02/11(Sun) 10:37:51 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエあなたの言葉に、そう思って。 聖女はまたあわく微笑んでいた。 いつか自分も、誰かに愛してもらえるかしら。 でもいまはまだそのときじゃないって。 だけど、聖女はみんなを愛していた。 いなくなったひとりひとりの顔も忘れないほど。 だから、―――ううん、その中でも、聖女は。 (-62) 2024/02/11(Sun) 10:39:05 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ「 ファリエ 」 濡れた涙に、聖女の指先が 触れた 。この冷たい冬の夜空の下、そんなものも感じさせない暖かな手だった。 聖女がそう望んだから。 だからこの手は、そんな、子供みたいな体温の手。 「 ファリエは ひとりぼっちじゃ ないわ 」 「 ――― だって わたしが いるもの 」 そのままあなたの頬に手を添え微笑うのだ。 あなただけは。ひとりぼっちじゃないよって。 (-63) 2024/02/11(Sun) 10:41:30 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ星空を見上げた、ちいさな転生者。 そのすがたに何かを重ねて、聖女はその夜自らの姿を露わにした。 "それ"が、何だか知っていたから。 "それ"は、とても寂しいと知っていたから。 "それ"を、放っておけないと、そう思ったから。 だから、あなたは"聖女のお気に入り"。 ……あなたと聖女は、おんなじだったから。 「 わたしが いるわ。 ……ファリエ 」 ダメ押しのようにまた告げて。 ふわりと浮いた身体は、あなたと視線を合わせている。 淡く光る聖女の身体と、あなたの痣と。 その上に、星々が一面に瞬いている。 きっと、あの日とおんなじに。 (-64) 2024/02/11(Sun) 10:42:43 |
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