情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
【人】 中等部 バラニ今日も日課のように食堂にいる生徒の数を数える。 足りない人数は昨日までは一人、今日は……四人。 「まさか、ね……」 独り言のような呟きを零してから。 頭を振って、悪い考えを振り払うように。 「……こんな日でも朝食は、しっかりと食べないと。 私も配膳をする珍しい機会かもしれないけれど…… 誰か、他には手伝ってくれる良い子はいないかね?」 なんて声を掛けながら、いつもならばテラがする仕事をやり始めた。 (3) 2022/05/02(Mon) 21:28:49 |
【人】 中等部 バラニ「ありがとう、クロノくん」 配膳を手伝ってくれる下級生に優しく感謝の言葉を。 不安がっているのなんてその表情を見ればすぐにわかったから。 少しでもそれを和らげることができたらと思って、明るく振る舞って見せる。 (6) 2022/05/02(Mon) 21:43:16 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニトレイの上のスープが、ミルクが冷めてゆく。 少女の表情もまた、不安げに沈んで。 「……う、ん」 「ロッテも、気を付けて探してみるね」 掠れた声は、気落ちしていつもより更に。 それでも、あなたがそうやって気遣ってくれるから。 少女はぎこちなくもどうにか笑顔を作り、朝食の片付けを済ませたところで、あなたと別れた。 (-7) 2022/05/02(Mon) 21:47:01 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテあなたがクラスメイトに視線を向ければ。 明るく振る舞ってはいるものの、ふとした瞬間には不安そうな様子を垣間見せていた。 視線には気が付かないまま、配膳の仕事や下級生の様子を見るのに精いっぱいになっていたが。 ちょうど、浮かない表情をしているときにこちらを見つめる視線に気が付いて、なんとか励ますように微笑みを浮かべてみるのだった。 (-14) 2022/05/02(Mon) 22:28:20 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ不安なのだ、あなたも。 いつも気遣ってくれて、元気付けてくれて。みんなを引っ張ってくれて。 それでもあなただって、少女と同じ年頃の男の子。 それでも懸命に、率先して前に立ってくれている。 そうやってじっと見つめていたら、ようやく、目が合って。 あなたが微笑んでくれたから、ぎゅっと胸が苦しくなった。 刹那。 日常に影を落とす異変への不安とは、別の感情で。 どうしてか、泣きそうになってしまった。 きゅ、と。眉が歪む。 ▼ (-21) 2022/05/02(Mon) 23:18:16 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「アオツキ先生」 どこか重苦しい空気を漂わせながらの朝食も終わった。 その中で姿の見えないテラの代わりに配膳係を買って出ていたバラニが、こっそりとあなたに近寄ってきた声を掛けてくる。 「少し、伺いたいことが……神隠しのことなのですけども。 以前からここに居た先生なら、何かご存知ではありませんか?」 (-24) 2022/05/02(Mon) 23:22:58 |
バラニは、トットに「気を付けたまえよ」と言葉をかけて、見送った。 (a5) 2022/05/02(Mon) 23:32:55 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「あらあら〜 バラニくん?」 「ええ、――噂についてはよおく知ってますよ」 アオツキには実習生として一つのルールがあった。 自分からは積極的に生徒に話しかけない。 勉強のこと、仕事のこと、頼まれ事があるときのみ対応をする。 そして、嘘をつかないことだ。 「神隠しは、昔から伝わる出鱈目です」 やわらかな話し方と、あまり表情のない固い顔。 ちぐはぐだが、イシュカと対比すれば愛想は良い方なアオツキは普段通りに答えた。 「根も葉もある、夜の森で人が怪我をしないようにさせる 大切な噂です。ちょっと怖がる子が多いのは難点ですが、 おかげで目立った事故は少ないと聞いていますね〜。 ……他に聞きたいことがありますか?」 こんな答えが欲しいわけではないだろう、だが模範的な答えを返さなければいけない立場だ。 「知っている事であれば答えられますよ〜。 例えば、今日顔を店に来なかった彼らは神隠しで消えていなくなったわけではない、とか」 (-29) 2022/05/03(Tue) 0:17:45 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「出鱈目……」 ならばここ数日、生徒がいなくなっているのは神隠しの仕業ではないということ。 あなたの語って聞かせた内容は、小さな子供たちを守るためにあるいかにもなもので、バラニもどこかで似たような話を聞いた覚えもあった。 「ほ、本当ですか? ならば……どうしてみんなは姿を見せないのですか、神隠しでないのなら、何故……」 食い入るようにあなたに問いかける。 まるで餌を与えられた動物のようにいとも簡単に。 (-33) 2022/05/03(Tue) 0:43:11 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ不安なのを隠すように笑う……お互いに。 その笑顔は綺麗だと思うけれど、本当に見たいのはそんな無理してつくるものではなくて。 感じる義務感以上に、その笑顔はこの状況を何とかしたいと思わせるには充分なもので。 ちっぽけな決意をひとつ、胸に抱きながら。 朝食の場では苦しみを隠すような笑顔を向け合ってから、しっかりと朝食を摂っていた。 そして朝食のすぐ後、バラニはその場にもいた教育実習生に何やら尋ねているようだったが。 ▼ (-42) 2022/05/03(Tue) 1:26:59 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「シャルロッテくん」 それからしばらく時間は経ち、バラニはあなたの姿を見つけて名前を呼んで。 「先程はありがとう、配膳を手伝ってくれて…… 君やクロノくんのお陰で、皆に早く食事を行き届けることができたよ」 「ええと……少し、私の散歩に付き合ってはくれないかな。 まだ姿が見えない子たちを探すのも兼ねて、なのだが……」 断られてしまったらどうしようかと、内心では少し緊張しながらも尋ねる。 姿が見えない子を探すと言うのも本当で一緒にいたいというのも本当。 良い答えが返って来てくれることを祈りながら、あなたの返事を待っている。 (-43) 2022/05/03(Tue) 1:27:30 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「何故…… それは 誰かと大切なお話をしている、らしいですよ」 池の中に石を投げ込むように、波紋を作る。 「ですが私も経験したこともなければ、 同級生の皆に聞いても同じ答えが返ってきたことがないんです。 だから気になったら帰ってきた子達に聞いてみるのが一番です。 私は実習生として、先生に近い存在ですが 全てを知っているわけじゃありません。 不確定な情報を告げて、君たちを不安にさせたくもないんです。 半日もすれば戻って来ていたと思いますが……、 噂に尾びれがついて神隠しと言われるようになったんでしょう。 大丈夫ですよ。落ち込んでいたり、様子が変わっていたりして 姿を見せてくれないことが多いですけれど、 居なくなって消えてしまうわけじゃありませんから」 嘘はついていない、事実だ。 ただ、どうして皆は姿を見せないのか。 その答えは明確には出していない、だって、"知らない"のだから。 → (-45) 2022/05/03(Tue) 1:44:14 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「それでも、――聞いてみたいですか?」 「昔神隠しに遭ったと言われた子達が何をされて戻ってきたのか」 「聞いたら怖くなって泣いてしまうかも知れませんよ〜」 (-46) 2022/05/03(Tue) 1:44:44 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「大切な話……?」 疑問は尽きない。 いったい誰と、そんな朝食に参加できないほどなのだろうか。 不確定な情報で自分たちを不安にさせたくないと言う気持ちもわかる。 けれど、このまま何もわからないまま不安でいることのほうが、バラニにとっては耐えがたいことだった。 「……だ、大丈夫なものですか! 落ち込んでいることも、様子が変わっていることも……! 居なくならなかったからよかったなんて、そんなもの……」 憤る感情を滲ませるも、それをぶつけるべき相手はあなたでもない。 そのまま行き場のない感情を握った拳を開いて、逃がしながら。 ▼ (-47) 2022/05/03(Tue) 2:10:48 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「……泣いてしまうかも知れないほど、恐ろしいと言うのならば」 「私はそれから逃げずに向き合い、乗り越えなくてはならないさ」 呟く言葉には、強い使命感のようなものが籠る。 何か理由があるのか、バラニは不安や恐怖のようなものに抗おうとする姿勢をよく見せる。 それは、まさしく今のような状況に変わりはなくて。 「……聞かせてください。 不確定だとしても、先生が知っていることで構わないので」 (-48) 2022/05/03(Tue) 2:14:40 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「あら〜 そうですか。 それなら教えてあげましょう、彼らがなんと言っていたのか」 「内緒ですよ?」 「帰ってきた彼らの、殆どは言っていました。 彼らのおかげで抱えていた不安や病が治ったのだと」 「いいことで、よかったですね」 → (-50) 2022/05/03(Tue) 3:04:01 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「『そのために撫でるだけでは足りなかったのでしょうか? 一部では無理矢理押さえつけながら、薬を打ちました。 精神に対して訴えかける術をかける為、何時間にも渡り 身も心も溶かすように干渉し続けました。 他人との会話をさせないための隔離などもしたそうです。 具体的ではないって? 体験したことはありませんからね。 でも、自分がまるで変わってしまうようだったと聞きました。 それは、確かに必要なことだったのでしょう。 事実彼らは以前と変わらず、あるいはそれ以上に安定した生活を取り戻したからです』」 「昔の話ですよ、全員が全員ではありません。 現に私が知りませんからね〜。 それは、闘病する上で必要な辛いこととされていました。 今はどうなったのかわかりません。 ただ"大切な話"をしていると、聞かされていますから。 私は信じていますよ? 無事に彼らが戻ってくることを」 相変わらず、穏やかな口調に抑揚のない声。 淡々とというにはあまりに違和感のある音は、望んでいた。 無事に彼らが戻ってくることを信じて、最悪を恐れずに、 今起っていることを正しく見極めようとしていた。 (-51) 2022/05/03(Tue) 3:14:20 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニあなたに励ましてもらうばかりではいけない。 自分だって、しっかりしなければ。 それは不安を覆い隠そうとする笑顔ではあったけれど、きっと。 無理矢理にでもそうすることが、『いつも通り』を取り戻してくれると信じたかった。 いつもあなたがそうであるように、誰かの、あなたの支えになれると信じたかった。 座り込んでしまいそうになるのを、どうにか留めてくれると信じていた。 それでも食欲は湧かなくて、いつもより少ない食事を摂って。 それからしばらく。 あなたに名前を呼ばれると、少女は振り返った。 ▼ (-74) 2022/05/03(Tue) 12:30:53 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ「ううん、いつでも何でも率先してくれるのは、バラニだよ。 だからみんな真似して動けるし、ロッテも手伝えるの。 ありがとう」 やわらかく笑み、あなたを見つめる。 次いで行われた提案にも、嫌な顔などする筈もない。 「うん、もちろん。 みんな、早く顔を見たいな……」 「今朝、先生と話してなかった? なにか言ってた? 先生も、知らないのかな……」 これまでの反応や、今日はその先生の片方も姿が見えないこと。 それらから、望みは薄いとわかっていても、なにかを口にせずにいられないといった様子で。 (-76) 2022/05/03(Tue) 12:31:36 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「…………」 あなたの話を静かに黙って聞いている。 何事かを考えているのか、それとも言葉を失ってしまっているのか。 いずれにせよ、その話はあなたが恐ろしくて泣いてしまうかもしれないと称するに値するものだと、バラニは自分でもすんなりと受け入れることができたのだが。 「もしも、今でもそれが続いていたとしたら…… 先生はそれを、受け入れることができるのですか? ……不安や病気が取り除かれるとは言っても、それは」 僅かに目を潤ませながら、じっとあなたを見つめて問う。 不安や病がなくなるのは喜ばしいことだ。 それでも、落ち込んでいたり様子がおかしくなって帰ってくることになるのは、どうにも飲み込み難いものがあった。 病気が治ったのなら、本当はその事をしっかりと喜べないといけないはずだと。 (-80) 2022/05/03(Tue) 14:11:08 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「そ、そうかね……? 私も……君や、皆がいるからこそ動けているのもあるのだから。 ありがとう、こちらこそね……」 こちらに向けられる笑みが、気分を和らげてくれるようだった。 嫌な顔もせず快諾してくれたことに安堵しながら、再びお礼の言葉を述べて。 さっそく行こう、と他愛もない会話を続けながらゆっくり歩みを進める。 「うむ、アオツキ先生と少しね…… 私も気になって聞いてみたのだ、何か知らないかと」 そこで一度、言葉は止まって。 続けるかどうか、少しばかり悩むような素振りを見せてから。 「……皆が姿を見せないのは、神隠しとは無関係だと……先生が」 (-81) 2022/05/03(Tue) 14:24:52 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ互いに支え合うことができているなら、それが何よりだ。 少女はあなたに気遣ってもらうことの方が多いように思うけれど――これからはもっと、助けになれるといい。 こんな風に、不安なときだからこそ。 あなたに促され、少女も歩き出す。 「……そっ、か。 神隠しって、ただの噂、だもんね……」 とは、答えても。 ただの噂と断ずるには。 「……でも」 「神隠しじゃなくても」 「こんな風に大勢の姿が見えなくなるのは、へん」 (-87) 2022/05/03(Tue) 15:49:39 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……そうだね、君の言う通りだ」 「誰かと大切な話をしている、らしい……とも聞いた。 先生も、何でも知っているわけじゃないと言っていたから…… 本当のことかどうかは……私にもわからないけれども」 ひとつひとつ、先生から聞いたことを慎重に伝えていく。 その様子はいつもとは同じようでいて、少し違ってもいる。 いずれにせよこの恋心とは無関係とも言い難いものだった。 「シャルロッテくんは…… 何か方法があれば、いますぐにでも自分の病気を治したいと思うかね」 不意に、そのような事を尋ねる。 この学び舎にいる子供は、誰しも何かしらの事情を抱えている。 それを取り除くためにこうして生徒同士のふれあいを通してじっくり向き合っていくのが、このギムナジウムの姿だけれど。 バラニの言葉は、まるでその以外に夢のような特効薬があるかのよう。 (-92) 2022/05/03(Tue) 16:32:16 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ大切な話。 ここで誰かと大切な話をするというなら、実習生の先生よりももっと上の――それこそ、大人の先生だろうか。 わからないなりに思考を巡らせていると、ふと。 あなたが口にしたのは、唐突にも思える言葉。 「…………病気」 ぽつりと繰り返す。 ここにいるこどもたちは、誰しも事情を抱えている。 それは、少女も例外ではない。 けれど。 「ロッテはね、いいこになるためにここに来たの。 大人の先生たちにいろんなことを教わって、いいこになって、家族のところに帰らなきゃ」 「でもそれは、すぐにはできないよ。 勉強すること、たくさんあるもん」 ――少女は、自身の病状を理解していない。 それに、『病気』だと言われたから、あなたとおしゃべりができるのだ。 「……バラニは?」 「バラニは、すぐに治りたい?」 けれど、例えばルームメイトのように。 神経質な上級生のように。 苦しいことがあるのなら、治るのはきっと、いいことだ。 (-99) 2022/05/03(Tue) 18:28:09 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……治るものなら、治したいと思うよ」 「この病がある限り…… 私は、家督を継ぐ者としては不適当な軟弱者だと。 生涯消えない烙印を押され続けることになってしまうのだから」 いつもは明朗なその調子にも、わかりやすく不安の色が滲む。 それは、貴族の子であるからこその悩み。 本来ならば、このギムナジウムにいることなどなかっただろうバラニがここにいる理由。 バラニの抱える事情は、とある貴族の跡取りとなるにあたり酷く不都合なものだった。 病気を治すことを彼だけでなく、彼の家族も強く望んでいる。 そしてその想いは、ある意味バラニを蝕む圧力のひとつでもあったが。 ▼ (-101) 2022/05/03(Tue) 19:27:22 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……けれど、病気を治す……それだけではいけないのだ」 「ただ病気を取り除くだけでなくて…… 何者に負けないような強い勇気を持つ、跡継ぎに相応しい男に」 「真にならなければならないのだと、私は思っている……」 簡単な道を選んで得たものは、すぐに失われてしまうものだ。 勇気ある挑戦の先にこそ、本当に大切なものを得ることができる。 バラニが特別好む物語から得た教訓、少年に勇気を与えてくれる教え。 病気を治すことが目的ではない、心の弱さこそがその原因なのだから。 「私にも、しなければならないことはたくさんある……! 勉強も、皆の為になることも……だから、まだ治らなくていい」 その分だけ、君とも一緒にいられるだろうから。 病気を治さなければならない跡取りとしては間違いだとしても、バラニの気持ちとしてはそう思ってしまうところもあった。 (-102) 2022/05/03(Tue) 19:30:00 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナトそれは日が空高く登る頃か、それとも彼方に沈もうとする頃か。 いずれにせよ、ルームメイトとしてあなたと同じ部屋で過ごすひとときの出来事。 「なあ、エルナトくん……」 名前を呼んであなたに声を掛ける。 バラニにしては珍しく、どこかぼんやりとした様子のまま。 「これは……そう、例えばの話なのだが…… ものすごぉく……おいしくないけれども、 どんな病でも治る魔法のような薬があったとすれば…… 君は飲みたいと思うかね……?」 なんて、突拍子のないような問いかけをあなたにする。 その視線の先には、いつもあなたが飲んでいるような薬。 今でもそれを飲む姿には、どこか苦しそうなものがあると思っているからこそ、そんな問いかけをするのかもしれない。 (-124) 2022/05/03(Tue) 22:29:03 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ陽が沈みゆき、人々も寝息を立てる時間。 少年二人も、寝支度を整えて。 寝間着に着替えた状態で、互いの布団の上。 少年は施設から支給された小瓶の中の液体を、今日も飲む。 透明な時は、ほとんど何の躊躇もなく。 それが紅色や黄色がかっていた時、白色の時は、嫌そうに眉を顰める。 それでも、飲む。 飲んだ後はほう、と一息ついて。 僅かに顔を上気させる。 「なぁに、バラニ。もう寝ぼけてる?」 「そんなにぼんやりして、らしくないよ。」 なんて、かけられてる言葉には揶揄い交じりにそう言って。 小瓶をサイドデスクにことりと置いて、君を見る。 それから、言われたことに思案を走らせて。 「……うーん…………」 「…まぁ、飲むかなぁ………病によるかもしれないけど。」 「ほら、僕は普通のご飯が食べられないから。」 「それを我慢したら、美味しいご飯を食べられるようになる、と思ったら……頑張れるかも。」 異食症。 人間が通常摂取する食事から、栄養が取れなくなる病。 エルナトは、食堂に顔は出すものの、一口たりともご飯を口にすることはない。 いつも、ただ眺めるだけだ。 「君はどう?」 飲む?と首を傾げて。 (-128) 2022/05/03(Tue) 22:52:24 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「続いていたら、 どうでしょうか。 それが事実だとして、私の夢は変わらないでしょうね」 どうだっていい。否、どうすることもできない。 このときの言葉だけは特段冷たくなって。 「私が先生としてここに居続けること」 「学生の頃からの夢でした。 この場所<ギムナジウム>を、生徒達の為の空間にするって」 不安そうなその言葉に答えるように、君の頭を優しく撫でた。 (-136) 2022/05/03(Tue) 23:31:18 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「こうして君たちがおびえるような恐ろしい噂を無くして。 病気を治したい子はできるだけ早く、 ゆっくりと向き合わなければいけない子には丁寧に。 そんな風に"ここ"を変える先生になりたいんですよ〜。 ですが、」 足を曲げて視線を合わせる。 本当に怖がら、夢を見させるだけになってしまうことが。 ただただ、空しい。 「今の私には、こうして君たちの言葉を聞いて 知っていることを言うだけしか出来ません。 何が起きていようと、苦しんでいようと――」 見ているだけしかできない。無力だ。 受け入れることを拒んでも、飲み込まされ続けるだけ。 それを不幸であると、君たちに感じて欲しくも強いたくはない。 片手で自分の服の裾を強く握りしめる。 「だからもし、 何か辛いことが起きたらこうして伝えて下さい。 私は君たちを変える先生に、まだなれていませんが、 ――君たちが喜べないことが起きたとき。 時には物言わぬ壁になって、時には言葉を返す友になります。 君が君の願うままが叶うことを"私たち"は望んでいます。 我慢をしないで下さいね、私はいつだって生徒が大事なんです」 (-137) 2022/05/03(Tue) 23:35:59 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「……私は、飲まない」 「もちろん、病気は治したいと、思ってはいるけれど…… 本当に治さなければいけないのは、心の弱さのほうなのだからね」 病気だけを治しても、何の意味はないと言うように。 「……エルナトくんは、そうやってらしくないと言うけれど。 不安はあるし、皆が思っているほど私は強いわけではなくて。 ここに来るより前には、泣き虫だとよく揶揄われてたりしてね」 どこかアンニュイな姿を見せながら、少しずつ過去の欠片を零していく。 今のバラニに結びつかないような『泣き虫』というワードを一緒にして。 どうやら察するに、バラニの病気には心の動きが大きく関わっているようだが。 ▼ (-139) 2022/05/03(Tue) 23:48:28 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「確かに……美味しいご飯を食べられないのは辛いものだものな」 「私も君と同じ境遇ならば、また違った選択をしたかもしれない」 普通のご飯が食べられない苦しみ。 普段から当たり前にしていることがそうできない苦しみ。 少し想像しただけでも、あなたの苦労の一端を味わうことは容易いと思って。 「……そうだ!今から治ったら何を食べたいか考えておきたまえ」 「君がいつかこのバラニを祝ってくれるというのならば、 このバラニもまた君を祝わなければ不公平というものだろう?」 「幸いなことに私は貴族…… つまり、大概のものは振る舞えるのだ。 その時は遠慮なく、君の食べたいと望むものを振る舞おうではないか」 咄嗟に思いついたようなことをあなたに提案してみる。 つい先ほどまでの"らしくない"バラニはどこへやら、いつものように明るい表情で。 ▼ (-143) 2022/05/03(Tue) 23:51:40 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「ところで……いつも飲んでるそれは……薬、なのかね?」 「以前から気になっていたが、色々と種類があるようだけれど」 透明なものと、色の着いたもの数種類。 一緒の部屋で過ごしていれば何度も目にする機会もあって、中には眉を顰めながら飲んでいるものがあることも知っている。 けれども、それが何なのかまでは今まで深くは尋ねたことはなくて。 良い機会だとでも言うように、続けて尋ねてみるのだった。 (-144) 2022/05/03(Tue) 23:52:10 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ「心………。」 呟く。 君の病の話は、まったく聞いたことがない。 そもそも、公言していたり目に見えて分かるものでもない限り、 そういう話題にはあまり触れない。 誰もが抱える傷だから、容易には触れられない。 「想像できないなぁ……泣き虫か。」 「……でも、それはそれで可愛いかも。」 想像して、少しくすりと笑う。 君の知らない一面が知れると、嬉しかった。 「じゃあ今は、頑張って気丈に振舞っているの?」 「……病のために?」 問いかけを零す。 ▼ (-145) 2022/05/04(Wed) 0:08:51 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニそれから、齎された言葉にはきょとんと眼を開いて。 まさか、こちらが祝われるなんて思ってもなかったものだから。 「……あははっ!それはいいね。」 「うーん、でも、何がどんな味なのかってあんまり知らないんだ。」 「だから、その時は。」 「君の好きなものをご馳走してもらおうかな?」 微笑んで。 人の食事なんて殆ど取ったことがない。 食べたいもの、なんて浮かぶはずもなく。 強いてあげるなら、それは。 『友人が美味しそうに食べるもの』だから。 明るい姿。 君のその姿はやっぱり好きだ。 きっとか弱い姿も好きだけれどね。 ▼ (-146) 2022/05/04(Wed) 0:09:17 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ最後の言葉には。 うーん、と少し思案してから、小瓶に触れる。 1日1本。握れば見えなくなるくらいの小さな瓶。 「薬じゃないよ。」 「これはね、僕のご飯。」 結局、隠したって仕方ないと告げる。 一日一食。小瓶程度の食事しか得られないから。 いつもお腹をさすってる。空腹を誤魔化すように。 「何だと思う?」 中身の話。 (-147) 2022/05/04(Wed) 0:09:55 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナトバラニも病気について、努めて漏らさないようにしているのだ。 初等部からこのギムナギウムにいた事実を、中等部も終わりに差し掛かろうとする今まで明かさないほどには。 隠し通さなくてはいけない理由が貴族の子であるバラニにはあった。 裕福なだけではなく、貴族の家に生まれたからこそ生じる悩み事だ。 その中でこうして友人であるあなたに零す言葉は、ひとつひとつが特別なものでもあるのだが。 「よ、止したまえよ! 可愛いなどと!」 相応しい言葉ではないと、語気を強めながら抗議する。 跡継ぎとして立派な男にならねばならないのだから、この手の自身のイメージに関わる言葉には少し過敏に反応してしまう。 どうにも、今さら手遅れなところはあるだろうが。 「うむ……まあ、そういう事になるね」 「病は気から……というのは少し違うかもしれないけれども。 気丈に振る舞うことで、本物に近付いていけるような気がするのだよ」 「……英雄譚の主人公のようにね」 バラニは、勇ましい英雄譚を好んで読むことはあなたもよく知っているだろう。 泣き虫のバラニがそれらに勇気を借りて気丈に振る舞うことで、今があるのだ。 ▼ (-157) 2022/05/04(Wed) 1:32:15 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「ほほう、私の好きなもの……」 「いいだろう、その時は私の好物を存分に振る舞ってあげようではないか」 「願わくば、エルナトくんもそれを気に入って欲しいものだね」 同じものを好きになってくれればいいと、ちっぽけな願いを抱きながら。 いつかの未来である、その時を祝うための準備を今から進めてその一歩。 神隠しなどと、重苦しい空気が漂っているここ数日だけれども。 こうして、将来の希望や明るい未来について語らっていると少しは気分も晴れやかになってくるものだ。 ▼ (-158) 2022/05/04(Wed) 1:32:58 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「食事、なのかね……?」 「ふうむ……」 食事だと聞いて、その中身が何かと問われて考える。 握れば見えなくなるほど小さなそれの中にある液体。 考えてみても、おおよそ妥当と思えるような答えは見つからず。 「……ダメだ! 皆目見当もつかない!」 「果実から搾ったものだとか、そういうものでもなさそうだしね……」 思い浮かんだものをひとつ挙げてみるものの、降参だと言わんばかりに両手を挙げて見せた。 (-160) 2022/05/04(Wed) 1:33:29 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキふわふわとした金の髪は、頭を撫でる手を緩やかに押し戻すように。 優しく撫でられたことに、安心感を覚えながらも少し不服そうにも眉を顰めるも。 それだけ。 その手を強引に跳ね除けたり、優しさに全てを委ねるわけでも、どちらでもなく。 「そう、ですか……」 変わらないと、そう答えたあなたにそれだけの言葉を返して。 ▼ (-161) 2022/05/04(Wed) 1:56:49 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「……」 「ありがとう、ございます……先生」 「私には…… 訳あって、簡単に頼ったりはしたくない気持ちがあるのだけれど」 「善処は、するようにします……我慢をするつもりはありませんから」 バラニは、貴族の子だ。 貴族の子には、貴族の子であるが故に抱え込まなくてはならないものもある。 それが素直にあなたたち大人に近いものを頼ることの障害になっているけど。 「また、何かあれば相談させてください、先生……信じていますから」 それでも、信じて頼る先がいるのは心強いこと。 こちらに視線を合わせてくれた瞳に、まっすぐと眼差しを返す。 あなたを信じていると、頼ることのできる人間と見なしていると伝えるように。 (-162) 2022/05/04(Wed) 1:58:03 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニそんなことない、と言おうとして、口を噤む。 少女にとってあなたは、とても目映い素敵な男の子。 けれど、家族に出来損ないを詰られる気持ちは、少しだけわかる。 『シャルロッテ』はそうじゃない、と何度も言われたから。 けれど、少女がそうやってまごついている間に、あなたは。 やっぱりまぶしいな、と思う。 まっすぐな言葉。 誘惑に縋らない強い心。 あなたはちゃんと、大切なことを知っている。 ▼ (-163) 2022/05/04(Wed) 2:03:04 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニちらと視線を落とす。 その先には、隣を歩くあなたの手。 少女は勇気を出して、そっと、その手を取った。 「……うん」 「バラニが家を継ぎたいなら、そのために病気を治すことが必要なら、ロッテも早く治ればいいなって思う」 「でも」 「病気さえ治れば上手くいく訳じゃないって、それだけではだめだって言えるバラニは、とっても強い」 「きっとね、バラニが立派な大人になったとき。 いろんなことを勉強して、今よりもっと素敵になったとき。 そのときには、病気もよくなってるんだと思う」 それは、もう少しこのままでいたいという少女の身勝手な願いかもしれなかった。 それでも。 特効薬のようなもので一足飛びに解決するより、今、ふたりで歩いているみたいに、ゆっくりと変わっていけばいいと思った。 (-164) 2022/05/04(Wed) 2:04:06 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニよほど隠さなければいけない理由。 心に起因するものともなれば、やはり体裁等に係るものだろうか。 とくに家柄の良い人達は、完璧主義であると聞く。 健やかで、一縷の非もなく、誰もの模範になる者。 そうでなくてはいけない という思想。…窮屈そうだなぁ、なんて庶民の少年は思う。 「あははっごめんごめん。」 「でも、やっぱりバラニは可愛いよ。」 「どこかの貴族の跡取りじゃない、僕の友達のバラニはね。」 だから、せめて自分の傍では自由であってほしいな、と思う。 どこでも完璧だなんて、それこそ心の負担になってしまいそうだから。 止まり木の一つにでもなれたら、と。 「……そっか、うん、応援するよ。」 「でも、英雄譚の主人公にも、仲間は居るんだよ。」 「一人で抱えて頑張りすぎないようにね。」 穏やかに、優しく柔らかく。 いつも通りの声色と微笑みで、そう告げた。 ▼ (-168) 2022/05/04(Wed) 2:10:02 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ「うん、ありがとう。俄然楽しみだ。」 「早く治療したいな。治るといいけれど。」 誰かと一緒に食べるなら、少しは美味しくも感じるだろうと。 ささやかな未来を思い描いて、笑い合う。 子供の夢。無垢で、眩しいくらいの夢。 それがこの狭い鳥籠の中の、太陽であった。 それから、瓶の中身を考える君を眺める。 多分、分からないだろうなと思っていた。 別に、君を馬鹿にしているわけではなくて。 ただ。 君は純粋そうだから。 「わからないかぁ。」 「残念、僕は果実も食べられないんだ。」 くすくす、挙げられた答えに、指でバツを作って。 「じゃあ、ヒントをあげよう。」 「これはね、君も作り出せる物だよ。」 「透明なものも、 紅色 も。」「 黄色がかったもの も、………多分、白色 も。」「ぜーんぶ君が作り出せる。」 わかるかな?と。 ………少し怪しく光る眼で、君を見た。 (-170) 2022/05/04(Wed) 2:11:28 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「シャ、シャルロッテくん……!?」 不意に手を取られて、驚いたようにそちらに向いた。 どきどきと、胸が高鳴っているのが否応なくわかる。 こうしてみたいと願うことはあったけれど、心の準備ができていない内にそうなってしまうと緊張ばかりを感じてしまう。 「すっ、すまないね! 大きな声を出してしまって…… ええと、うむ、ありがとう……嬉しいよ……とっても」 言いたいこと、伝えたい気持ちはたくさんあるのだけど、出てくるものはその切れ端ばかり。 顔がとても熱くて、熱に浮かされているのようだと、これこそ病のようではないかと思って。 このまま、まっすぐに君の顔を見ることも難しいとも、思うのだけれど。 ▼ (-173) 2022/05/04(Wed) 3:06:44 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「…………」 まだひとつ。こんな幸せがあっても、幸せだからこそ、拭いきれぬ不安がある。 慎重に言葉を選んで話をした、まだ言ってはいないこと、不確かなことだけど。 「シャルロッテくん」 「今から私の言うことは……まだ、本当かどうかもわからないことだから……」 「全部信じなくてもいい、私もわからないし、そうかもしれないというだけで」 曖昧な言葉とは裏腹な険しい顔をしながら、君をしっかりと見つめて。 「……昔の話だけど、神隠しに遭ったと言われる子は病気の治療のために…… 酷いことをされていた、らしい。それで、結果的には病気は治るのだけれど それは、今でも続いている……かもしれない、まだ本当かわからないのだが」 「アオツキ先生に、そう、教えて貰ったのだ……内緒だと、言われていたけど」 「君には……どうしても、伝えて置きたい理由があって……」 内緒だと言われていたにも関わらず、声を震わせながら自分の知りうることを伝える。 不確かな情報しかないけれど、その可能性があることにバラニは耐えられない理由があった。 「わ、私は──」 ▼ (-174) 2022/05/04(Wed) 3:07:28 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「──君が、好きなんだ……!」 「友人ではなくひとりの 女性 として……君を、愛おしいと思っている!」ああ、言ってしまった。 こんな不安から逃れるような告白など、彼女の言ってくれた立派な大人には程遠いのに。 「だからこそ、だからこそ……君には、酷い目に遭って欲しくないんだ……」 「君が酷い目に遭わないように……私が、君を……守ってあげたいんだ……」 私は今どのような顔をしているだろう。 せめて、涙を流すような酷い顔をしていないといいのだけれど。 このままずっと、君の顔を見てなんていられなかったから、俯いて隠してしまう。 (-175) 2022/05/04(Wed) 3:08:09 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ嫌だったかな、と不安がよぎる。 あなたは優しいから、きっと、振り払うことはできない。 慌てるあなたを見る。 けれど、どうやらそうではないらしい。 うれしいと言ってもらえると、少女もまた、うれしくなって。 ——はにかむように笑んだのも、束の間のこと。 ▼ (-189) 2022/05/04(Wed) 12:26:40 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ『神隠しに遭った子供は治療のために酷いことをされる』 『今でも続いているかもしれない』 『あなたは“女の子”の“シャルロッテ”が好き』 ▼ (-190) 2022/05/04(Wed) 12:27:09 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ胸が軋む。 掠れた呼気が漏れる。 この喉は今、変声期を迎えている。 それはいずれ自然と治るもので、けれど。 そのとき、かつてのようなソプラノの声は永久に喪われるだろう。 あなたの愛する『少女』の寿命は、もう、幾許も無い。 少■は眉を歪めた。 あなたは絶対に『少女』を守ることができない。 恐ろしい治療からではなく、時の流れから。成長の痛みから。 「…………バラニ、」 ——あなたに愛される資格を得るためには、どうすれば。 それはきっと、『シャルロッテ』が願ってはいけないことだ。 『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。 『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。 見ないふりをした呪縛に足を掴まれる。それなのに。それでも。 少■は震える声をこぼした。 「…………わ、たし、は」 「……バラニのことが、」 好きになってしまった。 あいしている。 けれどそれを今ここで告げるのは、あなたを騙すのとおんなじだ。 息が詰まる。……どうすれば。 ▼ (-191) 2022/05/04(Wed) 12:28:39 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ「————ぁ、……お、」 「先生は、酷いことなんて、しないよ」 「『お父さん』は、いつでも正しい」 初めて繋いだ手は、呆気なく離れてしまった。 少■が離した。 嘘をつき通す勇気も、本当のことを伝える勇気もなかったからだ。 じりじりと後退り、そのまま、背を向けて駆けてゆくだろう。 (-192) 2022/05/04(Wed) 12:29:19 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「止したまえと言っているだろうに……」 「まったく困ったものだね、我が友人の悪戯好きには」 悪態じみた言葉を吐きながらも、その調子は気安いもの。 本気で困っているわけでもない、いつものじゃれ合いと同じ線の上にあるようなやりとり。 貴族か、庶民かであることに関わず、同年代の友人としてのかけがえのない関係で。 あなたがバラニにとって、大切な止まり木のひとつなのは間違いないのない事実だ。 「ふふ、なんだか賢者の忠言のようだな、エルナトくん。 そうだね‥‥…英雄譚は決してひとりでは成し得ないものばかりだものな」 「私だけで太刀打ちできそうになければ、誰に頼れるよう肝に銘じておくよ」 告げられた言葉に対して、どこか楽しげな調子でからからと笑う。 確かに友人からの言葉を胸に刻みつけて、しっかりとした声色で応える。 ▼ (-219) 2022/05/04(Wed) 19:53:56 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「そうか……果物もいけないのだね」 指でバツを作る姿を真剣に見つめながら、だとすれば何をと少し考えて。 そうしているとあなたからヒントが与えられる。曰く、自分でも作り出せるものだというではないか。 「私にも作り出せるもの……」 透明なもの、紅色のもの、黄色がかったもの、白色のもの。 小瓶に入るような液体らしきものと考えて、紅色に心当たりがひとつ。 「も、もしかして……紅色のものは、血液かい……?」 だとしたら、黄色がかったもの、白色のものは…… まだ正解は判明していないけれど、連鎖的にとある可能性を思い浮かべてしまって思わず苦い顔を浮かべてしまった。 (-220) 2022/05/04(Wed) 19:54:41 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「っ、ま、待って、シャル────」 それ以上、声が出なかった。 手を伸ばすことができなかった。 背を向けて駆けていく君を追いかける一歩も、踏み出すことができなかった。 この手に僅かに残ったぬくもりが、空気に融けて消えていく。 伝えるべきではなかったのだろうか……この想いも、不確かな情報も。 そこに残ったものは、君との関係が修復不可能になるかもしれない不安と、とても大きな後悔の念。 「おとう、さん……」 「ひとりで舞い上がり、先走って……私は……」 溢れて零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、絞り出すように独り言ちる。 あなたの背がとっくに見えなくなっても、バラニはその場に立ち尽くしていた。 歩き出せるようになったのは、それからしばらく経ってからのことだった。 (-225) 2022/05/04(Wed) 20:08:31 |
【人】 中等部 バラニ「…………」 この日、お昼を過ぎた頃からどこか浮かない顔のままふらふらとこの学び舎を歩き回っているバラニがいた。 いつものような明朗さはどこへやら、ぼんやりとしていた心ここに在らずと言った具合で。 何をしているのかと尋ねれば、姿が見えない子を探していると答えるが、きっとそれだけだろう。 (50) 2022/05/04(Wed) 20:11:57 |
バラニは、珍しく勉強会に参加する気分にはなれなかった。 (a35) 2022/05/04(Wed) 20:13:08 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニくすくす、じゃれ合いはいつまでも続いてしまう。 そうして寝るタイミングを失う事も多々ある。 今もそう。 でも別に、それが嫌なわけでもないから困り所だ。 この狭い箱庭で、ただ普通の子供として過ごせる時間が、 果たしてどれくらいあるだろうか。 貴重な時間をくれるこの部屋が好きだ。 明日も明後日も、続くといいな。 「あはは、確かに僕は賢者のポジションかも。」 「勇者を導いてあげようかな。」 だからぜひ頼ってね、と。 にっこり、笑ってみせて。 ▼ (-226) 2022/05/04(Wed) 20:16:33 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニエルナトは、人の食事が取れない。 一定のものからしか栄養が取れないし、 美味しいとも感じない。 悩む様を、にこにこと眺めて。 そうして、君が。 その答えの一端にたどり着けば。 変わらぬ表情で、鷹色の目を君にまっすぐ向けて。 「───正解。」 誰に聞かれてるわけでもないのに、小さく囁いた。 苦い顔を浮かべる君に、くすくすと笑い声をあげる。 「大人から支給してもらってるんだ。」 「でも、やっぱり足りないな。お腹が減っちゃう。」 「かといって、色付きの奴はあんまり、食べたくないんだよね。」 量を増やしてほしい、と言って、 色付きのものが増やされたらいやなので、 この量に甘んじているのだと肩を竦めて見せる。 美味しいと感じるとしても、やはり人らしい感性はあるから。 紅も、黄も、白も、口に含むのには抵抗がある。 普通の人間からすれば、透明のものだってそうであろうけど。 それはもう、慣れてしまった。 ただ美味しいとしか感じない。 「お腹が空いて仕方ないんだ。」 「君が食べさせてくれる?」 まっすぐ、君を見つめたまま。 変わらぬ微笑みの中、問いかけた。 (-228) 2022/05/04(Wed) 20:24:21 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「ありがとうございます。 信じられている分一生懸命働きますよ〜」 立場も抱える者も違う生徒達が理想とするギムナジウムの形が 同じではないことは、もうわかっている。 だから、皆の声を聞けるようになるべきなのだ。 「――……私は君たちの成長を邪魔したいわけでもありません。 できる限り皆が我慢をしない生活が望ましいです。 様々なものをかかえているでしょうが、どうぞ時には利用すると思って。 頑張りすぎないで下さい」 指を唇に当てて一息。 表情は相変わらずだが、そのときだけはどこか和らげで。 「たった少しのきっかけで、いつも通りが変わることだってあるんです。 それじゃあ、気をつけて。 バラニくん。」 踵を返して、背を向け暫くすれば見えなくなるだろう。 一つ一つ、今のギムナジウムが変わっていく。 たった数年前と今がちがう。あと数年で、また変わる。 壊れていく。壊していく。その崩壊の音を楽しみに待った。 (-232) 2022/05/04(Wed) 20:47:56 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナトまっすぐに、微笑みながらこちらを見つめる姿。 いつものような穏やかな調子のはずなのに、どこか怪しげなものを感じて、ぞくりと寒気のようなものが背筋を走った。 「っ、できることなら、君の助けになりたいとは……思う。 私にとって、エルナトくんは大切な友人なのだから……」 ▼ (-234) 2022/05/04(Wed) 20:52:13 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト「けれど……すまない。 そのお願いには……やっぱり、少し考える時間が欲しいよ」 普通の食事を摂って生活している人間にとってそれは。 すぐに受け入れるには、やはり抵抗があるものだった。 食べることもそうだけれど、食べさせることにも抵抗はある。 それでも、あなたの力になりたい気持ちも本当だ。 だからこそ、バラニは決断をする時間が欲しいとあなたに求めるのだった。 (-235) 2022/05/04(Wed) 20:52:43 |
【置】 中等部 バラニ──消灯時間もとっくに過ぎた頃。 ルームメイトのふれあいで寝るタイミングを失い続けながらも。 それが落ち着き、ようやく静かに寝床に着く時間がやってくる。 ……だというのに、バラニはずっと眠れずにいた。 色々な事があって疲れていたのだから、すぐに寝付くことができてもおかしくないのに。 思い出さないように、考えないようにしていた不安や恐怖が、静かな夜にはゆっくりと忍び寄ってくる。 それを感じていると、ぞわぞわと身体が疼いて仕方がなくて。 まるで抑え込むようにしながら、自らの腕を掴んで気分を落ち着かせようとしている。 けれどこのまま、じっ、としていてはどんどん膨らんで行きそうで、何より恐ろしい。 こんな時間に部屋の外を出歩くのはいけないことだともちろん理解はしている。 だから、少し気分転換をしたいと願ったこの気持ちは……ちっぽけな出来心だ。 すっかり寝ているはずルームメイトを起こさないようにそっ、と部屋を出て行って。 (L5) 2022/05/04(Wed) 20:53:37 公開: 2022/05/04(Wed) 20:55:00 |
バラニは、それから、部屋の外に出た後に誰かと出会った。 (a43) 2022/05/04(Wed) 20:55:34 |
バラニは、とある貴族の跡取りだ。その病気を治療することを、強く求められている。 (a44) 2022/05/04(Wed) 20:55:54 |
バラニは、けれども、そんな方法で病気を治療したいと思ってはいなくて。 (a46) 2022/05/04(Wed) 20:56:11 |
バラニは、けれど、それを許されるような人間ではなかったのだ。 (a48) 2022/05/04(Wed) 20:56:49 |
バラニは、その夜……部屋に帰ることはなかった。 (a49) 2022/05/04(Wed) 20:57:57 |
[1] [2] [3] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新