【人】 灯守り 立春─ 回想・会合前、葵ちゃんと>>84 ─ すっごく綺麗……!! とっても可愛いし似合ってるよ! えっ、わ、私……? 私にも着れるかな? 葵ちゃんやお姉ちゃんみたいに 素敵に着こなせるかな…… [正直、前々から着物に憧れはあった。 お忍びで百貨店を訪れる度に、上品な色合いの訪問着や 繊細な花模様の描かれた帯、小さな美術品みたいな帯留めを 眺めては可愛いなあと思っていた。 「リボンを通せば髪飾りにも出来ますよ!」なんて 店員さんの口車に上手く乗せられて、 ただただ可愛かっただけで使いもしないのに誘惑に負けて 買ってしまった帯留めだけが部屋にいくつか眠っている。 着物と帯、それから足袋や草履その他諸々は 一から探し集めないといけないけれど…… 葵ちゃんが手伝ってくれるなら百人力だ。 断る理由がない。] (198) 2022/01/20(Thu) 20:57:09 |
【人】 灯守り 立春……ほんと? 手伝ってくれる? うん、来年は着てみたい! 葵ちゃんは着付けも出来るんだね。凄いなぁ……! [誰に教わったのかな。 もしかして先代の霜降様かな? 葵ちゃんと普段通りに他愛ない話をしていると、 ここが中央域でこれから会合が始まるんだってことを うっかり忘れてしまいそうなくらいに緊張が解けていく。] そうだね! パーティーがあるんだよね。 葵ちゃんは何が食べたい? 私はね────…… [きっと円卓に着けばどうしたって畏まってしまう。 だから今だけは、少し肩の力を抜いて]* (199) 2022/01/20(Thu) 20:57:15 |
【赤】 灯守り 立春 「──やぁ。ふむふむ、成る程成る程。 君が紫明の話していた蛍さんだね。 僕は"立春"の灯守り、蘭花。 蘭の花と書いて蘭花。以後お見知りおきを。 あはは! そう畏まらなくて良いよ、葵ちゃん。 こんなに愛らしいお嬢さんなら大歓迎さ。 甘い物は好きかい? ちょうど椿餅を作ったところでね、 君さえ良ければ是非とも味見して 忌憚のない感想を聴かせて欲しい。 うん? 紫明の分? ないよ、そんなの。 僕は料理は可愛い子の為にしかしないって決めてるんだ。 僕の作るお菓子がどうしても食べたければ 可愛らしく生まれ変わって出直してきてくれたまえ?」 (*38) 2022/01/20(Thu) 21:18:35 |
【赤】 灯守り 立春[蘭の花びらのように滑らかな白い肌。 目鼻立ちのはっきりした華やかな美人。 涼やかな空色の髪は短く切り揃えられていて 一見して性別がどちらかはわからない。 春の陽射しを閉じ込めたような明るい色の瞳が、 挨拶に訪ねてきた少女を柔らかく見つめただろう。 自分が食べるより作って食べさせる方が好きで、 自分が喋るより話を聴く方が好き。 いつでも穏やかな笑みを絶やさない、とても優しい人だった。] (*39) 2022/01/20(Thu) 21:18:43 |
【赤】 灯守り 立春[私が師匠から立春を継承したのは 雪が徐々に解けて日々大地が目覚めゆく啓蟄の頃だった。 その年の立春の大役を終えた後、 祝福を受けた生命が活き活きと芽吹いていくのと相反して 師匠は──蘭花様は、目に見えて衰弱していった。 雨水の季節が終わる頃にはもう 身を起こすことも難しくなっていて、 黄鶯さんが付きっきりでお世話をしていた。 師匠の傍から離れたがらない私を引き剥がすように、 氷魚さんが私を連れて日々の業務を代行していた。 自分の弱っている姿を他の灯守りたちに見せたくない、と 師匠は最期まで頑なに元気な振りをしていたから 余程注意深く見ていなければ、師匠が弱っていたのは 亡くなる直前までわからなかっただろうと思う。 親しかったご友人の皆様や 近しく親交も深かった春の統治域を持つ皆様にさえ 「それじゃ、僕は念願叶って山奥に楽隠居するから 愛弟子をよろしく頼んだよ☆」 なんていつもの調子で別れてから床に臥せられた。 報せが遅くなってしまったのは、 それが師匠の遺言だったからでもあった。] (*40) 2022/01/20(Thu) 21:18:59 |
【赤】 灯守り 立春「そんなに悲しそうな顔をしないでおくれ、東風ちゃん。 僕はもう十二分に生きた。 そろそろ休みたいな、って、思っていたんだ。 ……以前話した話、憶えているかな。 僕らが司るのは"立春"、すべての始まりの暦…… 長く厳しい冬を越えて暖かな春を迎える 希望を象徴する季節でもある。 人が心折れてしまうのは希望を失くしたときだ。 だからね、君は俯かないで。顔を上げて、前を向いて。 どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れないで。 これからは、君自身が 此処に住まう人々の希望になれるように。 僕はいつだって君を見守っているよ。」 (*41) 2022/01/20(Thu) 21:20:01 |
【赤】 灯守り 立春[そう言い遺して去っていった師匠の手前、 どんなに悲しくても、辛くても、淋しくても 少しでも気を抜くと泣いてしまいそうでも、 人前で泣くことだけは絶対に出来なかった。 だから、 何も言わずに葵ちゃんがただ私を抱きしめてくれた時に それまで押し込めていた感情がぐちゃぐちゃに溢れ出て、 両目を酷く腫らしてしまったあの日の思い出は 二人だけの秘密にしておいて。]* (*42) 2022/01/20(Thu) 21:20:11 |
(a41) 2022/01/20(Thu) 22:25:33 |
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