情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
【赤】 灯守り 立春うんっ! ままはおりょーりじょーず! まちゅり、ままのつくゆはんばーぐが だいしゅきなんだぁ。 おいち? ねえね、おいち?? きょうのは『じしんさく』なの! えへん!! い〜っぱいたびてね! [目をきらきら輝かせながら何度も何度も飽きずに繰り返し 同じ素材から錬成された『おりょーり』を 提供する小さなシェフ。 お姉ちゃんはよく飽きずに付き合ってくれたなって思う。 もっとお姉ちゃんが喜ぶごはんを、 泥と草でできた食べられないごはんじゃなく 本当に食べられるごはんを作れるようになりたくて 積極的にママのお手伝いをするようになった。] (*68) 2022/01/22(Sat) 9:39:23 |
【赤】 灯守り 立春[お姉ちゃんが持ってきてくれた絵本の読み聞かせをせがむと お姉ちゃんが特に嬉しそうな顔をする気がして、嬉しかった。 物語をすっかり憶えてしまっても、 この絵本がお気に入りなのだと繰り返し繰り返し 同じ本を選び取ってはお姉ちゃんの手を引いた。 大好きな声をもっとずっと聴いていたいのに 重くなってしまった瞼を閉じるときには、 腕をがっちりとホールドして眠るのがお決まりだった。 眠っている間にお姉ちゃんが 手の届かないどこかへ行ってしまわないように。] (*69) 2022/01/22(Sat) 9:39:37 |
【赤】 灯守り 立春ねえね、あのね。こえ、もらってくれゆ……? ねえねのにがおえ。 まちゅりがかいたんだよ。 ねえね、だ〜〜〜いしゅき!! いちゅもまちゅりと あしょんでくえてあいがとお! [ある日のこと。 いつも遊んでくれて素敵なものをプレゼントしてくれる お姉ちゃんに、自分も何かを贈りたい。 そうママに相談して 『絵を描いてみたらどうかしら?』と言われたのを 素直に聞き入れた娘は、大きな画用紙に 自分と手を繋ぐお姉ちゃんの絵(のつもり)を 一生懸命クレヨンで描いて 押し付けるようにプレゼントした。 お姉ちゃんが喜んでくれることを期待して 期待どおりの反応に味を占めた妹は、 その後もせっせといろんな絵を描いては贈った。] (*70) 2022/01/22(Sat) 9:39:47 |
【赤】 灯守り 立春[ずっとこんな楽しい日々が 続いたら良いなと思っていたし、その頃には お姉ちゃんはずっと傍に居てくれるものと信じきっていて 連れて行こうとしたこわいひとのことも 綺麗さっぱり忘れていた。 私の知らないところで私を取り込もうとする 怖ろしい大人たちの思惑と、 お姉ちゃんがひそかに闘っていたことは 呑気にも欠片も知らないままで。]* (*71) 2022/01/22(Sat) 9:39:59 |
【人】 灯守り 立春─ 会合前 ─ そっか、良かったぁ。 わっとと! ごめんね私ったら……! 大丈夫? すぐ直る?? 帯締めるのお手伝い、する? [慌てて身体を離して改めてお姉ちゃんを見つめるも 着物は教本のお手本のようにきっちりと着付けられている。 素人目には着崩れはどこにも見当たらなくて ほっと胸を撫で下ろすと同時に見とれてしまった。 妹視点、どこから見ても洗練された和装の淑女。 服装ばかり大人ぶってみても 中身が子どものままな自分とは大違い。 葵ちゃんに着付けてもらっても お姉ちゃんの隣に並べるくらいに 着物を素敵に着こなせる気がしない。 数十年時が経ってお姉ちゃんの歳になっても、 自分が落ち着きというものを持てる気もしない。 そしてそんな自分のままで居て良いのだと、 全力で肯定してくれるような人がここにいる。] (79) 2022/01/22(Sat) 10:16:56 |
【人】 灯守り 立春えへへ、ありがとお姉ちゃん。 優秀な蛍さんたちのおかげで 今はなんとかやれてるけど…… ……実は昨日の夜もいっぱいいっぱいで、 またお姉ちゃんに頼ろうとしちゃったんだ。 いつまでもお姉ちゃんに 甘えっぱなしじゃいけないな、って 一応、思ってはいるんだよ? 思ってはいるんだけど…… お姉ちゃんの顔を見たら安心して なんかそういうの吹っ飛んじゃった。 [甘えられるか、られないか、じゃない。 幼い頃から甘えるのが当然になりすぎていて 最早身体に染みついた習慣になっている。 あれこれ考えるより先に、身体が動いてしまうのだ。] (80) 2022/01/22(Sat) 10:17:10 |
【人】 灯守り 立春何の不安も抱かず胸に飛び込めるのは それだけお姉ちゃんを信頼しきっている証。 幾つになっても変わらず同じ振る舞いが出来るのは、 お姉ちゃんの方も変わらず妹に接してくれるからこそであり] そっちの心配してたの? ふふ、やだなあ。 お姉ちゃんに 「みっともないからもうやめなさい」って 止められない限りは甘えちゃうよ、きっと。 [ちなみにお姉ちゃん卒業の予定は妹には一切ない。 灯守りとして、統治者として経験と年齢を重ねて 風格と威厳ある大人になれる日が来たとしても、 やっぱりお姉ちゃんの前ではただの妹になってしまうと思う。] (81) 2022/01/22(Sat) 10:17:16 |
【人】 灯守り 立春[成人して良い大人なのだから もうお姉ちゃんに甘えるのはやめなさい、なんて言われて 突き放される日が来ようものならこの世の終わりだ。 けれど底抜けに妹に甘くて優しいお姉ちゃんは 妹を拒む台詞はまあ口にしないだろうと妹は信じきっている。 お姉ちゃんが『猫さん』を拾って 傍に置いていると知ったときには、 いつもお姉ちゃんの傍に居られる『猫さん』を 心の底から羨みながら、それでも お姉ちゃんに甘えることをやめようとはしなかった。 真剣に自重を考えないといけない日が もしもいつかくるとしたらそれは、 お姉ちゃんに子どもが生まれたときだと思う。 子どもの前でもお姉ちゃんに甘え続けていたら きっとその子を不安にさせてしまうから。 子どもは、子どもの気持ちがよくわかる。 でもどうかな。 本当にお姉ちゃんに娘や息子が生まれても、 やっぱり大人げなく張り合うように お姉ちゃんに甘えてしまうかもしれない。] (82) 2022/01/22(Sat) 10:17:25 |
【人】 灯守り 立春[成長して出来ることが増えてゆくにつれて お姉ちゃんが自分にいろいろとしてくれるように 自分もお姉ちゃんに何かしたい、と思うことも増えた。 泥と草のごはんはちゃんと食べられるお菓子になり、 ごっこ遊びの時間はお勉強の時間になり お世辞にも上手いとは言い難かった似顔絵はいつしか 手作りのポーチやバッグといった実用品に姿を変えた。 最近では、紅茶を添えてお菓子を贈りつけたり 百貨店で可愛い小物を見つけては二つ買って 一つを贈って『お揃い』にしたりしている。 部屋中に溢れかえるぬいぐるみをはじめとした ありとあらゆる雑貨やアクセサリー、衣類の 半分くらいはお姉ちゃんから贈られてきたものだ。 使い古してくたくたになってしまったり サイズが合わなくなってもう着れない服だったりしても、 どうしても捨てられずに大切に取ってある。] (83) 2022/01/22(Sat) 10:17:32 |
【人】 灯守り 立春芒種域は蒸し暑いもんね。 立春域は、芒種域に比べたら 乾燥してて寒いはずなんだけど…… 最近はあんまり寒く感じないんだ。慣れたのかな? [長く立春の土地に身を置くことで馴染んだのか、 灯守りを継いで魂が変質したことで平気になったのか。 どちらの要因で寒さを感じにくくなったのか 自分でも判別は付かないけれど] 幾つまででも。 幾つになっても、私はこのままだよ。 [不意に浮かびあがった不安に蓋をして 自分に言い聞かせるように手のひらを握り返す。 妹を気遣って先手を打とうとした、 お姉ちゃんの意図にも相変わらず気付かないままに] だから、お姉ちゃんも ずうっと元気で私に甘えさせてね。 (84) 2022/01/22(Sat) 10:17:47 |
【人】 灯守り 立春[いつまでこんな風に甘えていられるんだろう。 私は幾つまで生きられるだろう? お姉ちゃんはいつまで私に甘えさせてくれるだろう。 考えても仕方のない問いは、それでいて 一度考え出してしまったら果てを知らない。 大先輩の灯守りさんたちみたいに ずっと長く生きるのかもしれないし、 力の影響で早くに灯宮に還るのかもしれない。 師匠が居なければ、私はここには居なかった。 本来あるはずのなかった与えられた今だから 力を使って灯りを削ることに何の抵抗もない。 必要と判断すれば止められても力を使うし 要請があればなおさら躊躇はしない。 自分の身を顧みずに人々を笑顔にしていく師匠は、 大好きだった絵本の王子様に重なって見えた。] (85) 2022/01/22(Sat) 10:17:54 |
【人】 灯守り 立春[ サファイア の瞳や身体を覆う金箔 を惜しみなく分け与えて街の人々を幸せにしていく心優しい王子様。 持てるものすべてを与えきってすっかりみすぼらしくなって 行いを誰に知られるでもなく心ない人々に捨てられて、 王子様の願いを聞き届けようとしたつばめも 渡りの季節を逃し力尽きて死んでしまう。 悲しいお話なのに、 最後に満足したように微笑むふたりが 子ども心にとても美しく思えた。 小さな頃からお姉ちゃんに憧れていた。 お姉ちゃんみたいに強くて優しい大人になりたかった。 灯守りになりたかったわけじゃないし、 芒種を継ぎたいと望んでいたわけでもない。 ただ、お姉ちゃんの喜んでくれそうなことを お姉ちゃんの役に立てそうなことをいつも探していた。 だから師匠に出逢って命を救われたときに、 『僕の弟子にならないか?』という師匠の提案を 悩むことなくすんなりと受け容れられたのだと思う。 たとえそれが単なる自己満足に過ぎなくても、 一番笑顔を見たかった人の表情を曇らせる結末を 迎えてしまう日がいつか訪れるとしても。 信じて進む道に、迷いはなかった。] (86) 2022/01/22(Sat) 10:18:16 |
【人】 灯守り 立春うん、急がなきゃ……! やった〜! お姉ちゃんの役に立てて嬉しい! [早く早く、と急かすように手を引く妹は 草履であるがゆえの歩幅の小ささや つい先刻気にしたばかりの着崩れの可能性を考えない。 昔と変わらずぐいぐいお姉ちゃんの手を引きながら、 ママ譲りの天真爛漫さで春の陽だまりのように笑う。] もし誰かに何か言われたらそのときは 素直に白状するよ。 緊張が止まらなくて不安だから私が頼んだんだ、って。 だって本当のことだもん! お姉ちゃんの手を握ってると落ち着くの。 本当は会合中もずっと握っててほしいけど…… [座席は変えられないし、 夏至さんと小満さんに交代してほしいなんて言えないし 立春席と芒種席とじゃちょっと距離があるしね。 席は離れていても円卓だからほぼ正面。 顔を上げればすぐお姉ちゃんの顔が見えるとなれば こんなにも心強いことはない。] (87) 2022/01/22(Sat) 10:18:27 |
【人】 灯守り 立春あっ、でもね、今回はちゃんと しっかり準備したから大丈夫なはずだよ! 資料作りはお姉ちゃんも葵ちゃんも手伝ってくれたし。 [穏やかなやすらぎのひとときはあっという間で 会合の開かれる部屋と開始時間が刻々と近付いてくる。 いつも通りの平静に見える姉を 凄いなぁ流石お姉ちゃんだなぁと改めて尊敬する妹は 当の姉が、会合ではなく別の理由で 平常心を失っていたことにはまるで気付かない。] そうだねぇ、最後に一緒に入ったのは 師匠に弟子入りすることになって家を出る前……かな? 弟子入りした後も一度だけ 師匠に連れられて一緒に温泉に行ったっけ。 お風呂楽しみだな〜!! 私がんばるから、見ててね! [どうかなって思った提案は想像以上にあっさり受け容れられて 久し振りに会っても変わらないお姉ちゃんに胸が軽くなる。 会場の前まで辿り着けば名残惜しむように手を離して、 周囲の目を気にせずもう一度むぎゅーっと抱きついてから 円卓の定められた座席へと向かった。] (88) 2022/01/22(Sat) 10:18:38 |
【人】 灯守り 立春[会合が始まる前には両隣の雨水さん、大寒さんに一礼して 挨拶しそびれていた春の統治域を持つ皆様にも 改めて心を込めたご挨拶をした。 その姿だけを見れば、灯守りとなった 妹の成長ぶりを感じ取れたかもしれない。けれど、 席に着いて資料が配られてやがて会議が始まっても 円卓を挟んでほぼ反対側に座るお姉ちゃんと目が合えば 小さく手を振ったり目配せしたりしただろう。 立春に向けての諸連絡は 手帳にメモを取って頷きながら真剣に聴き、 その後の中央から見た世界情勢報告も、 聞き取れなかったりわからなかった単語は飛ばしながら ふんふん、と真剣に聴いて…… いざ立春域の報告の番となれば 気合を入れて作ってきた資料を手にきりっと背筋を伸ばして、 練習通りにすらすらと途切れなく 報告書を読み上げてみせた。]** (89) 2022/01/22(Sat) 10:18:56 |
【人】 灯守り 立春[前日ぎりぎりまで準備していた書類と 優秀すぎる蛍さんのおかげで、 昨年よりはずっとまともに統治者らしく出来たと思う。 一番の緊張の種は自統治域内の近況報告だった。 だから、それさえ無事に終わってしまえば] ──立春域の報告は以上です。 来たる立春の祝いに際しましては 皆様方の御協力を賜りたく、 ご不便ご迷惑をお掛けすることもあるかと存じますが 何卒よろしくお願い申し上げます。 何かご希望やご質問がありましたら…… [一気に、肩の力がすとんと抜けた。] (96) 2022/01/22(Sat) 17:11:38 |
【人】 灯守り 立春[抑揚のない小難しい単語の羅列は 子守歌よりも強力に抗い難い眠気を誘う。 緊張が解ければ忘れていた食欲を思い出して、 お腹の虫がそこはかとなく元気になってくる。 大先輩方の前で新人が船を漕ぐわけにはいかない、 ましてやお腹を鳴らすわけにもいかない。 この場にあるお茶でなんとか堪えきらなければ。 起きなきゃ。そう、例えば指をペンで刺してでも。 ゆっくりと霞みだそうとする意識と闘いながら 円卓に着席する錚々たる面子を改めて順番に眺めてみた。 お隣の雨水さんはちゃんと卒なく会合に参加している。 流石巷で大物と噂される雨水さん、謎の貫禄が既にある。 啓蟄さんと蝶さんの才色兼備な御二方は安定したお仕事ぶりで 要点もわかりやすくて得るものが多かった。 春分さんと雀さんの可憐で華やかな御二方には、元々 カフェ『陽だまり』で度々お会いしていた。 春分さんは春の統治域全体のお姉さんのような存在で 灯守りとしてはもちろん個人的な相談までお世話になっていたし、 雀さんとも、歳が近そうということで 顔を合わせる度に会話を試みていたから こうして畏まった場で同席させていただくと 改めて凄い方々なのだと思い知る。] (97) 2022/01/22(Sat) 17:11:50 |
【人】 灯守り 立春[──ところで、小満さんをはじめとして 思ったより眠そうな方が多くないですか? 気のせいかな?? 私も寝ていいかな??? 小雪さんが私を落ち着かせようと話してくれた 先代様のお話が頭を過ぎる。 こういう会合に真面目に参加しそうな葵ちゃんさえ 後半に差し掛かるにつれて心なしか眠たそうに見える。 円卓を挟んでちょうど真向い、 自然と視線のゆく立秋さんとは何度か目が合っただろうか。 立春立夏立秋立冬、同じく"はじまり"を冠する立場同士 会合の場以外で何かとご一緒する機会も多いから お顔と名前は一致してもらえているものと信じている。 そのお隣の処暑さんはいっそ 清々しいほどにやる気が見当たらない。 その更にお隣、今は白露域を治めているローザちゃんが 居住まいを正すのが目に留まれば慌てて背筋を正した。 親友をお姉ちゃんと慕うローザちゃんは 僭越ながら私にとっても妹のような可愛い存在だ。 今回が会合初参加という彼女の前で 情けない姿は晒したくないと思ったら、 自然と眠気に打ち勝つことができた。] (98) 2022/01/22(Sat) 17:13:32 |
【人】 灯守り 立春[そんな折、不意に号を呼ばれて>>1:219、 声の主の方へと視線をやれば] はっ、はい!! …………っ …………!! [それまで緊張のあまり視野が狭くなっていて、 大寒さんの影にもなっていて見えていなかったのだ。 まあるい、ぽてぽてすべすべの、 いつか餌付けして捕まえようとしてしまった 抱きしめたくなるような愛くるしいボディが。] 灯りの融通ですね、たしかに [じいい。 じいいいいいいい。 じいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。] ……たしかに、立春承りました。 [ぴょんと跳ねたゆきうさぎに釘付けになって お返事が94秒ほど遅れた。] (99) 2022/01/22(Sat) 17:13:49 |
【人】 灯守り 立春[冬至さんのお隣の方もお可愛らしい。 初めて見るお顔だけれどお可愛らしい。 可愛い×可愛いすなわち最強、今ばかりは配席に感謝したい。 座席から察するに大雪さんかな? 残りの会合は、お姉ちゃんを中心に 皆様のお顔を眺めているうちに終わった。] あっ、あの……!! 今度のお祭りで振る舞う予定の和菓子を 皆様に味見していただきたくて。 もし甘い物が苦手でなければ、よろしければ 召し上がってご感想をいただけると嬉しいです。 こちらに置かせていただきますね。 [そう言って取り出したのは 春らしい桜色が綺麗な桜餅、 桜餅と似ているけれど椿の葉で道明寺を挟んだ椿餅、 邪気を払うとも言われる黒豆をふんだんに練り込んだ大福。 どれも師匠直伝のレシピで作った 立春特製、新春を祝う定番のお菓子だ。 どうか皆様のお口に合いますように。 祈るように和菓子の行方を見守りながら、 自分はオレンジジュースdrinkを手に取った。]** (100) 2022/01/22(Sat) 17:14:28 |
【赤】 灯守り 立春─ 回想・大寒さんとの出逢い ─ はっ、初めまして……! ああありがとうございます! お気遣い痛み入ります恐悦至極でありますですっ! この度先代立春から立春を引き継がせていただきまして 不束者ですがこのとおりこちらこそ是非とも なにとぞなにとぞよろしくお願い致します!! [ご挨拶周りのために用意した台本が、 ご本人を前にして綺麗さっぱりすっ飛んだ。 緊張しなくてもいい、と優しい言葉を掛けていただいても 高速で脈打つ心臓を落ち着かせることは簡単にはできなくて。 自分でも何を口走っているのかよくわからなくなりながら 恐縮しきりでご挨拶したのを憶えている。 ただ、先代の立春──師匠が大寒さんのことを とても気に掛けて可愛がっていたのを知っていたから。 師匠が大寒さんにさえ別れの言葉を告げずに去ったことを 淋しそうにしてくださる様子が見受けられたなら、 弟子の私は師匠の分までもっとしっかりしなくては、と 少しばかりの落ち着きを取り戻せた。] (*103) 2022/01/22(Sat) 20:25:10 |
【赤】 灯守り 立春『様』などとつけないでくださいどうか……! 西も東もわからぬ若輩者ですゆえに ご指導ご鞭撻のほどをっ 私の方が様をつけるべきでして なんとお呼びすれば! 大寒様でよろしいでしょうか! [そんなごく普通の(?)ご挨拶から始まって 鍵の使い方、灯りの送り方、手続きの仕方といった 基本的なお仕事のお話をうかがっていたはずが 気付いたらお姉ちゃんの話を聴いてもらっていた。>>*19 なぜだ。なにがおこった。おかしい。 いくら緊張して我を見失っていたからって 当初の予定ではこんなはずじゃ…… 一度語り始めればどこまでも枝分かれして 延々と伸びていってしまう最愛の姉語りが ひと段落ついたところで漸く、本来の目的を思い出した。 貴重なお時間を割かせて無遠慮に付き合わせてしまったのを 申し訳ないと謝ろうとしたら、 大寒さんは心から楽しんでくださっていたようだった。] (*104) 2022/01/22(Sat) 20:25:16 |
【赤】 灯守り 立春[その時に、初めて知った。 大寒さんは物凄く聴き上手な御方なのだ。 きっと師匠も大寒さんを可愛がるように見せかけて 他愛のない話を色々と聴いてもらっていたんでしょう。 それをきっかけに度々お話を聴いてもらうようになり 私も大寒さんのお話も聴きたがるようになって、 文通をされているとの情報を得てからは 折に触れて立春域の絵葉書や押し花を送るようになった。 今日の私が無事にお役目を 果たせたかどうかはご存知の通り。 練習通りに一度も噛むことなく読み上げられたのは、 すぐ隣の大寒さんが会合の直前に そっと私の背を押すように 微笑みかけてくださったおかげでもあるんだろう。] (*105) 2022/01/22(Sat) 20:25:57 |
【人】 灯守り 立春[大寒。 冬を越え、春が来る。 おわりがあるから、はじまりがくる。 どんな希望も終着点がなくては叶わない。 あなたがいるから、私は新年を寿げる。]* (113) 2022/01/22(Sat) 20:26:30 |
【人】 灯守り 立春─ 少し前・会合にて ─ [まるくて、ちいさくて、しろいものは皆かわいい。 それは世界の真理と言っても過言ではないと思う。 やわらかそうで、もちっとした見た目ならなお良い。 そして可愛いオブ可愛いの条件を重ね掛けした、 一瞬で見る者を狂わせるような いつか 追い回した ………………、ふふっ…… [じいい。 じいいいい。 じいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。 会合の真っ最中であることも立場も完全に忘れて まるで時が止まったかのようなたっぷり94秒間。 ゆきうさぎを灼熱の太陽より熱く見つめ続けたその間 誰に止められることも先を促されることもなかった不自然に 立春の灯守りは疑問を抱かない。更には、 そんな様子をお隣の雨水さんに しっかり見られている>>109のにも気付かない。] (146) 2022/01/22(Sat) 22:43:42 |
【人】 灯守り 立春[その謎のゆきうさぎは、 フォルムに留まらず擬音までもが愛くるしい。 ぴょんぴょんと健気に跳ねる姿を見る度に高鳴る胸。 ぽてぽて懸命に進む足取りを眺めては 形容しがたい感情に襲われる。 ──あのゆきうさぎを、 てのひらにそっと乗せてみたい。 すべすべぷにぷにボディを撫で回してみたい。 抱きしめたい、連れて帰りたい、 ベッドに連れ込んで眠りたい…… そのときめきは、初めて出逢ったころから変わらない。 気配を消すでもなく堂々と凝視する熱視線と 徐々にエスカレートする邪な念に、 可哀想にきっと本能的に身の危険を察知したんだろう。 死に物狂いで逃げ出さねばならなかった気の毒なゆきうさぎ、 もとい冬至さんを 怯えさせた張本人もまた簡単に諦めはしなかった。 標的をどこまでも追い掛けて逃がさない。 当時はまだ先代立春の蛍、『東風』だった犯人の姿は 文字通り『初春に吹く暴風』のようだったという。 後に、追い回したゆきうさぎがただのゆきうさぎではなくて 冬至さんの操る端末であると知って、 菓子折りを手に土下座するに至ったのだけれど。 条件反射的に愛でたくなってしまうこの想いは 初めて出逢ったころから今まで変わらない。] (147) 2022/01/22(Sat) 22:43:51 |
【人】 灯守り 立春和菓子は好きかな? 粒あんとこしあん、どっちがすき? どっちもかな? 三種類ともほしい?? あっ、葉っぱはとった方がいいのかな? そのままでも大丈夫? 食べられる? 桜餅の葉っぱは塩漬けにしてあるから食べていいけど、 椿餅の葉っぱはただの飾りだからぺってするんだよ。 うんうん、たんとお食べ…… 食べ終わったらちょーっと、ちょっとだけで良いから 撫でさせてくれると嬉しいなぁ……? [結果的に賄賂を贈るような心地で 望まれるままに亜空間へと和菓子を送り出す。 そんな一幕もいつからか、日常と化して久しい。]** (149) 2022/01/22(Sat) 22:44:54 |
(a38) 2022/01/22(Sat) 22:59:26 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新