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【鳴】 corposant ロメオ「おう、いいよ。なる早でやっとく。 スマホもねえのは不便だろうさ。 お前の事、他に心配してる奴いるんじゃねーの?」 公衆電話だけで知人とやり取りするのは余りに不便だろう。 友人も多いだろう貴方のそういう不自由はやや不憫に感じた。 「なんでもいいよ、頼ってくれんなら。 金は貰う事になるけどそれは勘弁な。安くはしとくよ」 個人的にやったっていいのだが、他の人間と連携を取る以上仕事の客として扱った方が勘ぐられもされずに済むだろうと思っての事だ。自分もだが、相手の立場は守らねばなるまい。 詐欺としてやるなら別だが今回はそうではないので。 「家だよ。いいよ、今来る? なんもねーけど……30分くれない? 身支度とか終わらす」 来てくれるのは純粋に嬉しい。素直に快諾して、話しながらようやっとベッドから起き上がる。 場所ならこの間連れて帰ってきたときに覚えてもらっている筈だ。 「なんなら迎えに行くけど……足あんの? 近場?」 (=5) 2023/09/29(Fri) 21:54:04 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ「……win-winなのか」 こちらはこちらでその言葉に少し訝しげになる。 あのときは冷静でも何でもなかったが、今思えば相当お互いにおかしかったのだ。 それが、何故か。自分はともかく目の前の男までも。 今態度が変わらないことを含めても、やはり違和感を感じる。 無条件に人に尽くそうだなんて思わない。 たとえそれが娯楽として行われていたとしても理由があるはずなのだ。 「……ああ、寂しがりやだなあ」 「お前と揃いで嬉しいよ、ずっと似ていると思ってた」 だからここは素直に告げてやって。 「なあロメオ。 お前は一体何がそんなに不安なんだ?」 「何が欲しい。 言えんのだったら俺はあのときのことを聞き直してやる」 水気を帯びた砂を蹴って、貴方を振り返った。 #ReFantasma (-234) 2023/09/29(Fri) 22:18:59 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「不安?」 ……足を止めた。 潮風で揺れる前髪が、深みのある翠の瞳を隠しては現す。 「オレは別に……」「いや」 「不安じゃないって言えば嘘ですけど。うん」 うろ、と視線が惑った。考えに迷っている時の癖だった。 自分の心について語るのは苦手だった。 誰にとってもどうでもいいもので在って欲しいから。 不安。欲しいもの。言ってどうなる。けれど問われている。 「……欲しいものなんかいっぱいありますよ。 でもオレは弁えてるんだ。 オレは聞き分けのいいゴミでいたい」 「そら使ってほしいのが一番だよ。 オレを使ってくれる人はいっぱい居る。いいことだ。 オレは便利な物か畜生扱いでいい。 利用価値があったら捨てられないでしょ……」 とつとつと、ぼそぼそと、 それでも波音には掻き消されないくらいの声。 内容はいつか貴方に話した、在り方の続きだった。 #ReFantasma (-242) 2023/09/29(Fri) 23:30:54 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「けど……どうせだったらさ」 「やっぱり好きな人に使われたいですよ。役に立ちたい。 オレを求めてくれる人が居たら嬉しい。 オレだって大事なものを大事にさせて欲しい」 「オレはゴミだが悲しいことに心がある。嫌だね。 贔屓 が出来ちゃうから……情があんだよ」「なくなったら嫌なものにしがみついちゃうんだよな」 みっともなくてすみませんね。 眉を下げて、へらりと笑った。 あんまり答えになっていなかった気もするが、 不安と欲求の種はこれなのだ。 「だからオレ、なんでもするんです」 人というには烏滸がましい。 でもゴミにも畜生にもなり切れない。 居場所にさせてくれる人が欲しくて、 型落ちの用済みになるのが不安だった。 #ReFantasma (-243) 2023/09/29(Fri) 23:33:42 |
ロメオは、ひとのかたちをしている。 (a20) 2023/09/29(Fri) 23:35:07 |
【鳴】 corposant ロメオ「おう。用意出来たら出来たって言うわ。 スマホに掛けたら繋がらないのは心配させるだろ、 早く安心させてやらねえとさ」 ついでにスマホも登録しておいてやろうかな、 なんて企みは口には出さないでおこう。 「そ? わかった、徒歩なら気を付けて来いよ。 ──あ。そうだ、猫」 それならこっちも色々用意できるな、とズレかけた思考は、 『猫』という単語ですぐに戻った。 「あのさ。飼ったわ、猫。家に居る」 「貰ったんだよ。白猫……」 だから大丈夫、と一言。 いつぞやは自分では飼わないと言った覚えがあるが、 結果として今、家に一匹いらっしゃるのだった。 (=7) 2023/09/29(Fri) 23:48:35 |
【人】 corposant ロメオ>>84 フィオレ 「アハ、それもいい。 余ったら家に持って帰って食えばいいしな〜」 すっかり機嫌が直った様子にこっちも気を良くして、 今から何を買ってやろうか計画立てて。 自分もキャップを被り直せば、 バックミラーの位置を調節してハンドルを握った。 「OK〜。んじゃ、行くか」 そうして車は走り出し、きっとどこかの店にでも そのまま向かうのだろう。 自分のカローンとしての役目も これで果たされた。 一つの銃声の犯人を連れて、リボン舞う青空からは遠ざかる。 仕事はきっと、これで終わりだ。 #BlackAndWhiteMovie (85) 2023/09/30(Sat) 0:00:19 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ「……そういうことかあ」 この化け物じみた努力ができる男がやっと人間らしく見えてきた。 自分から道具や畜生になろうとしたらこうもなるか。本当に涙ぐましい心意気と言えよう。 「俺もなあ、利用価値があれば捨てられんと思ってた。 便利で都合の良い人間になることが自分の為にも周りのためになるとも思ってたんだ」 「……半分ぐらいそれで上手くいくんだがなあ? もう半分はどうしようもなくてな」 知ってしまったのだ、必要とされる喜びを。 本当に好いている人に求められる時間は有象無象の何かを超えた満足感が得られるということを。 「あと俺はわかりにくい嘘はつかない主義でなあ」 あの時の自分も、自分自身なのだ。 本心しか言わない、馬鹿ほど素直で、おかしくなった姿だ。 「……はー」 言ったことも本当にしたいことで嘘も一つもなくて。 ただ心配だったのはそこに貴方の心があったのかどうかだけ。 誰かに言われた一人だけという言葉が脳裏に浮かぶ。 確かに、こんな事を言う相手人生に二人もいてたまるかも思った。 ▼ #ReFantasma (-246) 2023/09/30(Sat) 0:01:17 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ (-247) 2023/09/30(Sat) 0:02:26 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「え」 口からぽろっと零れたのは動揺の一音。 「……な」「なんで? 今なんて?」 それから疑問。 見た事無い仕草は、欲しかった言葉に添えられている。 理解が追い付いていない。確かに欲しいものを言った。 何故この場で、貴方からそれが与えられたのか。 これはめいっぱいに目を開いて驚いて、どっと汗をかいた。 嫌ではない。嬉しいはずだ。 与えられた言葉の一言一句は望んでいたものだ。 ただそれを、あまりにも簡単に貰ってしまったものだから。 「んで急に、 は? なんでもしてやるって言った?」 「オレに? いや、冗談なら……」「違、あ」「その」 「本気? マジで言ってる? オレだぞ? いや、あー」 「オレ別に見返りを求めてるわけじゃ……そうじゃない、 分かってる。嬉しいんだけど、嬉しいんだけどさあ、 使ってくれんの……? 欲しいの? オレを?」 誰にも見せた事無いくらい狼狽えた様子で、 それでも落ち着こうとしきりに後頭部をパシパシと叩いて。 ▷ #ReFantasma (-250) 2023/09/30(Sat) 1:02:31 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「……………………あの……」 「……クーリングオフ期間付けますけどお……」 「それ言われるとオレ本気にするんで……マズいから」 丁寧に飲み下して、本当に本気か、とそれでも問う。 言葉の杭が欲しいのは相変わらずだ。 #ReFantasma (-251) 2023/09/30(Sat) 1:03:25 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ「あの日にあれだけ言ったのに……。 信じてくれてなかったのかあ?」 態とらしく落ち込んだ口調で呟けばふいっとそっぽを向いて口の端を機嫌よくあげた。 ああやっぱり少しはあるんだな、好感が見えるその姿で優越感に浸れてしまう。 この男がなにかに慌てふためくところなんて見たことがなかった。 もう滅多に見られないだろうがそれでも嬉しいものは嬉しい。 だから、誰かのものになってしまう前に欲しくなるのは仕方無いじゃないか。 「使ってもやるし、褒美もやる。 出来るだけ寂しがらせんが、俺が寂しがったらなんとかしろ。 お前が良いんだよ。傍に居るだけなら誰でも良いが それでも、俺の"相手"ができるのは、本当に都合がいいお前ぐらいしかおらんのだ」 たとえそこにどんな感情があるかわからなくとも、 確実に自分の役に利益になる物を手元に置きたがるのが俺だ。 大金よりもっと価値がある、そんな男が眼の前にいるのだから。 やはりこの口は口説かざるを得ない。そういうことにした。 そういうことにしておかないと、今まともに顔を合わせられない気がした。 ▼ #ReFantasma (-280) 2023/09/30(Sat) 6:56:19 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ「……それともお前は。 この色男のことを遠慮すると?」 「そうというのなら、勝手に一人で歩いてくたばるかもなあ。 俺はそのせいで何人もの人間が悲しもうと気にしないぞ。 身勝手で自由気まま放蕩息子で銘打ってるんで」 きっとその時は、また誰かのように念入りに準備をして、何かをやらかそうとするのだけれど。 今はそんなことは関係なく。 ただ、裏切ることの許されない約束がそこにかわされるかだけ。 「なあ。俺を欲しがってくれよ、ロメオ」 #ReFantasma (-281) 2023/09/30(Sat) 6:59:33 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「や」「う……」「は? ズル……何?」 ぐう、と色々を噛み殺した声。 言葉の合間合間に挟まるのは返事にも満たない、 口の中だけで完結したもごもごとした言葉。 急にそんな事を言うのもずるいし、 あの日を引き合いに出すのもずるい。 あれはあの日の頼み事の通りにしただけで、 あの時だけだと自分に言い聞かせてきたのに。 恋でもない、愛でもない、けれどただ本当に好ましかった。 確かに期待をしたのだ。 所有してくれるかもしれないと思ったのだ。 尊敬していた。信頼があった。心を許していた。 この人の頼みなら本当に何でもできると思っていた。 だけど自分から手を伸ばせない。人畜生にその権利はない。 せめて道の行く末がどうか善きものになるようにと、 自分はずっとその手伝いをしていようと思っていたのに。 「……遠慮ぉ…………?」 喜んでいる筈なのに、 きっと自分は今随分苦しそうな顔をしているんだろう。 ▷ #ReFantasma (-300) 2023/09/30(Sat) 10:41:49 |
【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「そんなの」「そんなの許されるんならしませんよ」 「そんな事もさせませんよ、 あんたが居なくなんのが嫌でこっちは、」「……はあ」 噛みつくみたいにそう言って、深く息を吐く。 都合よく誰かの岸辺にある船のようなものでいたかった。 これからもきっとそう在る事は変わらない。 けれど、錨を降ろすのはここがいい。そうしていいのなら。 心の裏側を焦がされるような後ろめたさは今は無かった。 きっと自分がこのままでいいからだ。 これはあの時とはまた別の『許し』だった。 「……欲しがっていいなら」 「そうします。遠慮なく」 裏切るだなんて、可能性の欠片もこれには元より無い。 波の音がやけに遠く感じた。 #ReFantasma (-301) 2023/09/30(Sat) 10:45:33 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「ズルいってなんだ、変なやつだな」 この空いてる距離が少しもどかしいな、 普段なら丁度良いと思えるのだが。 貴方が手を差し伸べられないというのならまた一歩近づいてやろう。 もう、あなたの言葉からは問題ないと思ってはいるのだが。 触れ合ってやるのもいいかと思って。 「俺はこの間のことで引かれてないかと心配していてな。 そんな様子もなかったんで、もう、いい。我慢をやめた」 ▼ #ReFantasma (-332) 2023/09/30(Sat) 19:21:43 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「もう俺には遠慮はいらん」 同時に貴方にだけは遠慮をやめよう。 諸刃の剣かもしれないがなんとなくうまくいく気はしている。 現に、何も気にせず話せるような友人たちはできたのだ。 ほんの少し秘密や頼み事が多い縁であるだけ、 たまに、ティラミスを溶かしてしまうかもしれないほどの。 「俺はお前に……楽にして欲しい。 それでいて、お前を大事にしてやりたいと思った。 本物の役立たずになるまでは俺の宝だぞ? そうならないようにするんだったら、」 「俺を離すな、幾らでも求めていい」 「そうしたいほどお前のことが好きだ」 顔を覗き込むように貴方を見上げ、変わらぬ笑みを携えて。 波の音に混ぜるように言葉が、どれほどシンプルでも通じるだろう。 自分はもうこれ以上ないほどに信頼してしまっているのだ。 #ReFantasma (-334) 2023/09/30(Sat) 19:23:16 |
【鳴】 L’ancora ロメオ>>=8 「いや〜、人間心変わりってするもんだよ。 きっかけさえありゃあ人間なんでもするんだね。 猫用のおやつはあるから分けてやるよ。んじゃな」 ぴ、と電話の切れた音。 さて、とりあえず顔を洗わなければ。 適度に取っ散らかった床も片付けて、それから…… ◇ 「はあい、はいはい、はーい……」 近所のガキみたいだな、なんて思わず笑みが零れる。 早足で玄関まで行けばすぐに扉を開いた。 貴方に会う時はいつも髪を結んでいたけれど今日はそのまま。 勿論眼鏡もかけていなかった。 「入んな〜。飲み物、用意してるから」 扉を開け放ち貴方を家の中へ迎え入れる。 ロメオの家は一階建てのこじんまりとした家で、それほど部屋は多くない。けれど物が少ないから少し広く見えるのだった。ガラスのローテーブルを挟んで一人掛けの白いソファと椅子代わりにもなる大きなクッションが置いてあり、窓際には白猫が丸まって眠っていた。 「近所の店にマリトッツォ売ってたから買ってきたわ。 これ二人で食べよ」 心なしかそわそわと嬉しそうにおやつの用意をしながら、 「好きなとこ座んな」と促した。 (=9) 2023/09/30(Sat) 20:11:42 |
【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「……ズルいでしょ、だって」 「引いて無いよ……オレだって、嬉し、かったし」 いつか貴方に齎した甘言の分が返って来ているような心地。 本当に欲しい言葉を、貴方は全部くれていた。 一歩分の足音に、近付いた距離に、 いつの間にか足元をうろついていた視線を上げる。 その拍子にころりと一滴だけ、涙の粒が零れた。 泣いたのは久しぶりだった。何年泣いていなかったろうか。 涙の出し方を忘れていたようで、たった今思い出したようでもあった。 「……宝なんて」「初めて言われた」 ぱち。また目を閉じる。また零れる。 白い砂に吸い込まれて、涙の粒は消えていく。 「オレにね、そんな事言っちゃダメですよ。 本当にそうなるんだからさ……」 ゆるりと貴方の右手を掴んだ。 両手で手のひらを持って、強く握るでも握手をするでもない。 緩く握って、指の形を確かめて、手の甲を撫でて。 手のひらを揉んで、それから包んだ。 それから恐る恐る貴方の顔を見て。 「あは、」と蕩けるみたいに笑った。 初めてこんな笑い方をした気がした。 #ReFantasma (-346) 2023/09/30(Sat) 20:36:43 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「はい、かっこいいろーにいです」 かっこいいだろ。はずかしげもなくおふざけの延長でそう言って、 貴方の腕の中の子猫を見れば「かわいっ」と笑った。 「おう。折角だから一緒に何か食べたいだろ」 「オレも朝飯まだだったし……丁度よかったな〜」 朝飯にしては甘いが、見たら食べたくなってしまったのだ。 気付いたら2個買っていた次第だ。 飲み物は何がいいか聞いて、その通りにグラスに注げばマリトッツォと一緒にテーブルへ並べる。 隣に座りたい様子があれば、 クッションをソファの横に持ってきて横並びに。 自分はクッションの方に座ろう。 「まあなー。もちろん違法だけど」 「………………ノッテの人間だからね。慣れてるよ」 これだけ言えばあなたには伝わるだろうと思った。 今回の騒動で仲間が牢屋に入れられたのだと。 自分は運が良かっただけだと。 「ごめん。黙ってて」「怖がらせるかなって……」 (=11) 2023/09/30(Sat) 23:43:55 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「今度からはいくらでも聞かせやれるぞ。 俺は酔ったら口が滑る」 別件でもあまり見せてなかったか、と酒飲みをする知人達を思い出す。 確かに自分は年上とばかり飲んでいた気がするし、目の前の同僚には少し格好つけばかりしていた。 あまり隠しているつもりはなかったのだが。一応は。 一瞬だけ目を離しかけた時に貴方の瞳から零れる涙に視線が奪われてぎょっとする。 何度目だろう、このシチュエーションは。 ここ数日で何人の人間を泣かせてしまったのか片手ほど行きそうなことに、自分でも困惑してしまう。 そこまで女性を泣かせた記憶もないのだ、ましてや成人男性も。 「え。だ、大丈夫か……? だってお前が変なことを言うから。 こんなに最高の男がゴミ畜生ならこの世界に居る人間の大半は一体何なんだ。 チリかカスとでも名乗らせればいいのか、結構な言い分だぞ。 自己評価を少しは改めろ、直ぐに変えろとは言わんがお前ならできるだろう?」 #ReFantasma (-375) 2023/10/01(Sun) 6:21:58 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → L’ancora ロメオ「たとえそこにあった人生が薄汚れたモンでも 俺が磨いて誰にでも認められる存在にしてやる」 掴まれた右手が撫でられ、弄られ、包まれて、まるで大事なもののように扱われる。 なんだか不思議な既視感を感じるのだが、貴方のその表情で憂いはないし、余計なことは消え去った。 そのまま少しだけ体を傾けて、その指先に口づけを落としてやる。 「俺の隣に居るのならそれぐらい、な」 いかないで、傍にいて、置いていかないで。 あの日に言った弱音がまた頭に過って、今は格好つかないと飲み込んで笑い返す。 不安に思っていたことが同じだったとわかってしまえば、もう全て受け入れてしまえばいい。 そして、いつかのその日は――何処までも一緒に連れて行ってしまおうと一人で決めて。 答えは分かり切っているのに、断らないで欲しいと願うのだ。 きっと誰かには文句は言われるだろうが、仕方ない。 みんな俺に気に入られる程価値があるのが悪いのだ。 #ReFantasma (-376) 2023/10/01(Sun) 6:22:28 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「お前の事こっちのゴタゴタに巻き込みたくないし」 「どうせだったら マトモ な部分だけ見て欲しくて……」貴方をそういう世界に触れさせたくはなかった。 無かったけれど、貴方がそうやって許すから、 正直に言おうと思えたのだ。 それでもこれは言い辛そうにしていたけれど。 「え」 ──伸ばされる両腕に、ぽんと抱き寄せられる。 抱えられた頭を、自分よりも小さな手が撫でている。 「あ」「…………」「フ、フレッド」 「オレ、」 これは途端に驚いた顔をして、何回も瞬きをし。 ふと弱弱しく名前を呼んで、貴方の胸に頭を押し付ける。 弟に甘えるなんて思っても無かったけれど。 「……きらわれなくてよかった」「安心した……」 「…………あは。オレもお前の事は好きだよ」 今は抱き締め返すよりも、この時間を享受していたかった。 穏やかに目を閉じて、ぽつりと「よかった」とまた言って。 「お前……これからどーすんの」 「他に手伝う事無いの。オレやるから……」 (=13) 2023/10/01(Sun) 6:30:29 |
【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「へ。なんだそれ、酔ったあんたに褒めちぎられるって? それも面白いかもなぁ……」 今まで生きていた分よりお釣りが出るくらいに、 これからも貴方に言葉を貰うのだろうか。 それもそれでむず痒い話だった。 粒になって転がる涙はすぐに止まって、 自分でも不思議な気持ちになった。 目尻を手で拭って、スン、と鼻を鳴らす。 「や……これ嬉し泣きなんで。オレ泣けたんすね、初めて知った。 俺がゴミなのは……多分元からだし……」 「直せって言われるなら直します。うん」 「あんたが磨いてくれるなら、もうゴミじゃないな」 指先に落ちる口付けを見て、口の端をきゅっと上げて笑む。 気持ちが落ち着けば言葉は素直に受け止められるようになっていた。それでもまだ、不思議な気持ちはあるけれど。 嬉しかった。なんだか自分の今までが、報われてしまった気分だ。 自分は人畜生だけれど、大事にしてくれる人がいるらしい。 それなら一層報いたい。応えたい。 「……ね、ルチアーノさん」 ▷ #ReFantasma (-383) 2023/10/01(Sun) 11:44:56 |
ロメオは、「オレの事拾ってくれて、ありがと」 (a40) 2023/10/01(Sun) 11:45:18 |
【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「こんな色男に拾われて幸せだよ、オレ」 「首輪でも付ける? アハハ……」 くい、と貴方の手を引いた。 もう少しこの海辺を歩いていたかった。 ロメオはどこか吹っ切れたような、晴れ晴れとした顔をしていた。 この空には不釣り合いに澄んだ気持ちだった。 波の音。遠くに響く鴻鵠の声。 二人分の足跡は、じきに波に攫われ消えるんだろう。 共に結んだ約束だけは、 ずっと消えないように掴んでいようと思った。 いずれ来る最期の日まで。 #ReFantasma (-384) 2023/10/01(Sun) 11:46:28 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「え。街出んの? 近場? てか今そんな事になってんの? 難儀だな……。 遠かったらやだな……会いに行けなくなる」 街を離れる事については、素直に寂しそうな顔をした。 きっとパン屋で会える事も今よりずっと少なくなるかもしれない。 死人が歩いていちゃあいけない理屈は分かっているけれど。 腕が緩まれば距離は少しだけ離れる。 何を言うつもりなのだろうかと見上げればきっと目が合って。 「………………」 「なんだ。オレが断ると思ってんの?」 にま、と笑った。 そういう事ならお安い御用だ。むしろ嬉しくもある。 いつか話していたお泊り会が、 ちょっと長めに開催されるようなもの。 ロメオはそのまま身体を起こして、今度は貴方に手を伸ばす。 叶うならそのまま、むぎゅっと抱きしめて。 「いいよ。泊まりなよ、オレの家は自由に使いな。 鍵も渡しとくかな……あ、落とすなよ。色んな意味で危ない」 「あと夜帰り遅かったりとか……他の人が来ても良いタイプ? 多分たまに来たりすると思うから……」 そうやって撫でくりまわしながら、注意事項の確認。 (=15) 2023/10/01(Sun) 19:04:28 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「……そっか。そっかあ、ならいいや。 オレが会いに行ける所ならどこでも…… あ。治安いい所にしろよ」 オレが言う事じゃねえけど!なんて付け足した。 髪を撫でられている間は、やっぱり目を閉じて嬉しそうに。 せっかく兄弟が出来たってのに、すぐにお別れなんて嫌だったのだ。会いに行けるなら、顔を見に行けるなら、それならいいかな。 包むようなハグはちょっと力が強くて、 それでも苦しくはないくらい。温かい体温は変わらないまま。 「言うよ。相手がお前なら猶更」 「帰ったら猫とお前が居るのか……嬉しいな。 ホントに家族みたいだな。アハハ……」 想像をしたらどうしようもなく嬉しくなった。 貴方が旅立つ時に離れ難くなっていたらどうしようか。 『フレッド』としての新たな再出発を、 自分は笑顔で見送っていたいのだ。 「……うん。こちらこそよろしく、フレッド」 頼みまーす、と笑って返して、背に回した腕を離す。 こうして一緒に居る時間が限られているのなら、 それまではこうやって家族らしくしていよう。 本当の家族じゃないけれど、本当の家族みたいに。 ▷ (=17) 2023/10/01(Sun) 20:28:13 |
【鳴】 L’ancora ロメオ「……マリトッツォ溶けるわ」 食おうぜ、と促して朝食と称した甘味を手に取る。 まずはゆっくりお互い休もう。 これから文字通りきっと、新しい一日が始まるんだから。 (=18) 2023/10/01(Sun) 20:30:29 |
【独】 L’ancora ロメオ窓から差す朝日を浴びながら、クリームを頬張って。 ひとのかたち は。これを幸せって言うんだろうな、と思った。 (-423) 2023/10/01(Sun) 20:31:10 |
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