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【秘】 →「 わたしは だれなんだろう 」 思わず綴った文字。 これを書いたのがやよい≠ネら、 わたしはやよい≠カゃないのかもしれない。 「 こないだユキちゃんとやくそくしたの、 やよいちゃん? きのうのしゅくだいしてくれたの、 やよいちゃん? …‥ わたしは だれなんだろう 」 自分の名前に「ちゃん」を付けるのも変な気がしたけど…… 繰り返すように文字を書いて、猫の絵を添えた。 またお返事が来るのかな? それはきっと、空白の時間の後なのかなって、 わたしはなんとなく気が付いていた。** (-76) 2023/02/12(Sun) 8:20:33 |
【秘】 →気づいたら私はいろんな人に囲まれていた 知らない顔、見たことのある顔、 同じ通学路の子、 大丈夫?と聞かれてはじめて、 私が不意にぼんやりとして、 下校中の地面に座り込んでいたことを知る ここはどこ? いまはいつ? そんなことよりも、 私は確かめなければいけないことがあった 私は家まで走る。 どきどきしながら、わくわくしながら そうして家に着いて真っ先にしたことはただ一つ (-78) 2023/02/12(Sun) 8:57:57 |
【秘】 → どうやらその子は、 自分が誰なのか、わからないみたい 彼女も桧垣やよいだなんて 私は到底考えもつかない それよりも、 本当にお返事が返ってきたのが うれしくて、まだどきどきしていて (-80) 2023/02/12(Sun) 8:58:28 |
【秘】 →それからすこし鉛筆を置いて 考える 視線の先には、今月のカレンダーがあった お父さんとお母さんの日記で、見たことがある やよいは、本当は三月に生まれるはずだったんだって だけど、お母さんのおなかが気持ちよくって、 四月の頭まで、出てきてくれなかったんだって 三月だから、やよいちゃんにするはずだった むつき、きさらぎ、やよい。 昔は月をそんなふうにあらわしたのだ、って テレビでみたことがある。 (-82) 2023/02/12(Sun) 9:00:59 |
【秘】 →手にしていた箸からジャガイモが落ちた。 どうやらご飯中だったみたい。 今日の晩ご飯は肉じゃが。 ご飯を作ってくれたのは遠い親戚らしいけど、 一緒に食卓を囲む相手はいない。 「 ご馳走様! 」 誰も答えてくれないって分かっていてもそう口にして お皿を流しに下げると、部屋へと駆け込んだ。 目的はもちろん、あのノート。 (-95) 2023/02/12(Sun) 18:08:23 |
【秘】 →やよいちゃんが私に名前をくれた。 それよりさらに嬉しかったのは、 もうひとつの一文だった。 わたしと、友だちになってくれますか (-97) 2023/02/12(Sun) 18:08:34 |
【秘】 →もらったばっかりの名前を添えると、 すごく特別な気持ちになった。 それから少しずつ、毎日の出来事や 体験してる不思議を共有していった。 国語のノートは先生に見られちゃいけないから、 別のノートを探して、やり取りを続けた。 まるで秘密の交換日記。 わたしに起こる不思議も、 次第に楽しみなものになった。 (-99) 2023/02/12(Sun) 18:08:49 |
【秘】 →特別で、不思議で、大好きなお友達。 周りにはやよいちゃん≠チて呼ばれても 彼女だけがわたしをはづきちゃん≠チて わたしだけの名前で呼んでくれたの。** (-100) 2023/02/12(Sun) 18:09:00 |
【秘】 →私にできた秘密のお友だち。 私は、彼女をはづきちゃんだと疑わなかった ううん、本当の名前があったのだとしても 彼女がまさかやよい≠ナあるなんて これっぽっちも思わなくて ──── それがどれだけ残酷なことなのか 私は、知ることもなく生きてきた (-102) 2023/02/12(Sun) 19:12:33 |
【秘】 →秘密の交換日記には互いのことを書いた 今日起きたこと、今日見聞きしたこと。 わからない宿題のプリント、 はづきちゃんに聞いてみようとしたけれど どうやらはづきちゃんにもわからないようで 空けておいた空欄は、空欄のまま残ってた そんなこともあったな。 (-104) 2023/02/12(Sun) 19:12:58 |
【秘】 →どうやら、私が不思議な感覚に陥ってる間、 はづきちゃんが私の代わりをしているのだ、 そう気づいたのは、小学生も高学年になったあと 友だちは相変わらずあんまりいなかったし 親戚の家も居心地はよくなかったけれど 私には、はづきちゃんが居たからがんばれた。 私に起こる不思議を、 今か今かと待つ私がいた そんな時には犬のぬいぐるみを抱きしめて どうか奇跡が起こりますように、って。 目が覚めると、猫のぬいぐるみを抱いていたから それもなんだか不思議のひとつだったけど やがてノートがスマホのメモに変わっても、 私たちの不思議は、変わらなかった。 (-105) 2023/02/12(Sun) 19:13:15 |
【秘】 →不思議なことが起こらない日は、 私がはづきちゃんの代わりをするものなんだ、って 私たちが大きくなるうちに随分と理解していた。 (-106) 2023/02/12(Sun) 19:13:28 |
【秘】 →例えば日記には、 斜め後ろの席の愛智くんのことが書いてある。 明日は一緒に放課後勉強をする約束をした、とか 来週土曜日に図書館で待ち合わせ、とか。 はづきちゃんが、 日曜に、朔也くんとカフェに行く約束をしてることとか ほら、そういうことが綴られてることもあった。 私がはづきちゃんの代わりに行ったのに まるで「私と約束をした」みたいに接してくる不思議も なんとなくそういうものかな、って 気づかないふり。 (-107) 2023/02/12(Sun) 19:13:53 |
【秘】 →例えば高校に入って、 幼馴染と再会したときのこと。 こんなふうに、綴られている。 「 今日は、びっくりすることがありました。 高校で私の幼馴染だという子に出会ったの。 名前は、結城朔也くん。 といっても私、昔のことは憶えてなくて 朔也くんのことも、実はアイマイ。 雨なのに傘がなくって、財布を落として、 さらに道に迷ってたんだ。そんなことある? 今日は朔也くんが友だちになってくれたこと 私、とてもうれしかったんだ。 いつか、はづきちゃんのことも、 朔也くんに紹介できたらいいな。 やよい 」 (-109) 2023/02/12(Sun) 19:14:45 |
【秘】 →私は、彼からわたし≠ェ 花束みたいなキャンディと、 テディベアの小さなぬいぐるみを 受け取ったことを、知ることはできた? それともそれはふたりの秘密かな。 (-110) 2023/02/12(Sun) 19:15:22 |
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