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【人】 内科医 カナ[心療内科は誤解と偏見が蔓延している。 人の心を分かった気になり踏みにじる人が 患者の気持ちを遠ざけて。 心を閉ざした患者は心療内科から逃げ惑い、 行く宛を無くした先に待つのは……… 鉄格子に囲まれた廃材置き場。 ] (0) 2022/06/14(Tue) 2:20:29 |
【人】 内科医 カナいまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、 いや、癈人《はいじん》という刻印を 額に打たれる事でしょう。 人間、失格。 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。 (1) 2022/06/14(Tue) 2:21:22 |
【念】 内科医 カナ[診察室の中へとあなたを通せば どうぞと手のひらで椅子を指し示す。 先程までの穏やかな声色は 今になればその深刻さも伝わってくるもので。 途端に曇っていく姿を、 目を逸らすことなく、私は受け止めようとする。] (!2) 2022/06/14(Tue) 2:28:34 |
【念】 内科医 カナ[瞳を覗き込むようにあなたを見つめながら 私はその頬へと手を伸ばして。 それが叶えば、どうか落ち着くようにと その頬を優しく撫ぜると。] 気持ちが沈んだ時には ハーブティーが良いの。 薬に頼らなくても 気持ちを落ち着かせられるから、ね? [診察室に似つかわしくないティーポッドと マグカップを取り出すと、診察室中に 爽やかなミントの香りを漂わせて。 あなたが受け取るかどうか ハーブティーの入ったマグカップを差し出す。] (!4) 2022/06/14(Tue) 2:34:29 |
【念】 内科医 カナ[どれだけの時間を要したのか。 決して焦らせたりすることはなく。 あなたが椅子へと座ってくれたのなら 私はハーブティーに口を付けて。] 今も…大変そうだね。 W佐々岡くんW [問診とは名ばかり。 あの日の続きを、私から切り出して。 先程の仕草からOverride Syndromeを疑いながら 慎重にあなたの心の問題に触れるように。 あの日の過去をなぞりながら、微笑ってみせた。]* (!5) 2022/06/14(Tue) 2:35:14 |
【人】 内科医 カナ[当たり前のように得ていた幸福。 望まずともレールから外れない 安全で、楽で、不安定な人生設計。 そこには自分の手で掴み取った幸福なんて 何ひとつありはせず。 誰かに依存し、施しを受けて得た幸福は そのW誰かWが消えれば簡単に崩れ去り その先に待ち受ける未来は、破滅しかない。 結局全ておこぼれにすぎないんだって、 いつも心の奥底で、怯えていた。] (24) 2022/06/16(Thu) 0:26:06 |
【人】 内科医 カナ[大学時代に彼を襲った悲劇。 その一部始終を見ていた私は今も忘れられない。 あの出来事には、身が竦む思いだったのだから。] (25) 2022/06/16(Thu) 0:26:52 |
【人】 内科医 カナ[何かの拍子に未来が変われば 私がW佐々岡 嗣朗Wになっていたかもしれない。 それはたらればの話であっても 現実的に充分有り得る話。 私は彼とも、Override Syndromeに苦しむ W可哀想Wな患者たちと大して変わらないのだ、と。 私の平和は何かの拍子に簡単に壊れるものだと、 奥底に眠る薄汚れた感情と恐怖は、 燻り続けて消えることを知らなかった。] (26) 2022/06/16(Thu) 0:28:07 |
【人】 内科医 カナ[いつからのことだろう。 Override Syndromeに苦しむ人達を 救おうと日々奮闘する傍らで、 彼らを見ると酷く気分が落ち着いてしまう。 W私はまだマシなんだ。W W私より不幸な人がいるんだ。W 痩せこけた自尊心を満たすために 私には彼らが……不幸な人達が、必要だった。] (27) 2022/06/16(Thu) 0:29:37 |
【念】 内科医 カナ[解像が整えば整うほど明らかになる。 あの頃をなぞっているようで、全く違う世界。 ハーブティーとコーヒーが異なるように 私が見ていたあなたと、あなたの知るあなたは 全く別の存在のようで。 花柄のティーカップは 清涼の役割を果たすことも出来なかったみたいだ。] (!13) 2022/06/16(Thu) 0:34:57 |
【念】 内科医 カナそう。それは残念。 [どんな形であれ、拒絶は日常的。 この仕事をしていれば慣れたもの。 あなたに拒絶されてしまった ティーカップの縁を指先でなぞると。] コーヒーはW心療内科Wには あんまり似合わないかもね。 [あの日約束したまま終わった事を思い出す。 コーヒーは、心療内科としてじゃなくて 普通の一人間として嗜みたいものだから。 ハーブティーをテーブルの隅に置くと 今度は問診票に目を通して、首を傾ける。] (!14) 2022/06/16(Thu) 0:35:53 |
【念】 内科医 カナそう…?ここに来たからには 大変なんだと思ってた。 大学の時の佐々岡くんも なんだか無理してそうだったから。 [だとしても言ってはくれないだろうか。 それとも本当に自覚がないのだろうか。 より事態が悪化しているとすれば後者の方。 あなたの言葉がどっち側の言葉なのか 私としては気にならずにいられない。] (!15) 2022/06/16(Thu) 0:37:45 |
【念】 内科医 カナ[私は『OS疑い有、要検診』と書かれた 問診票をテーブルに置き直すと 気を引き締めるようにグッと背筋を伸ばして それから深呼吸を済ませて。] ならW心療内科Wのカウンセリングは やめておきましょうか。 W個人的Wにも あなたに聞きたいことがあるし。 [形式張った問診の終わりを告げると ハーブティーを一度片付けて。 棚に仕舞われた病室に似つかわしくない クッキーやチョコレートの数々を取り出すと 最後にドリップコーヒーを見せて。] (!16) 2022/06/16(Thu) 0:41:15 |
【念】 内科医 カナ*** [コーヒーがそこにあったかどうかはさておき。 問診の時間から個人的な時間へと移すと。 私はあの日聞きたかったことを尋ねる。 そういえば。 ]あの日も、今も、背景に転がるイヤホンが 妙に気がかりで目についていた。 今にして思えば、そういうことなのだろうか。 あの日の論文、私も後から読んだんだ。 でもあなたから直接聞きたくて。 佐々岡くんからその話を聞けなかったのが ずっとずっと、心残りだったの。 [あなたに見せたのはあなたの論文のコピー。 研究者として書かれたあなたじゃない名前は 怒りと共にペンで激しく塗りつぶされていて。 その上の空白の欄に 自分であなたの名前を書き記していた。]* (!19) 2022/06/16(Thu) 0:46:02 |
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