【独】 軍医 ルーク/* お返事にとてもわあわあなりながら、思ったことがあってふと… もしかしてシュゼット、地上から送り込まれてきたという可能性…?? (身寄りがなさそう、記憶がない、地上の記憶らしきもの) 最初は何かの記憶が入ってきてるのかとも思ったけど… 真相とかほんと気になるし凄い、すてき。 そしてとても好き。 (-37) 2020/05/19(Tue) 3:00:34 |
【独】 軍医 ルーク/* それだと、思い出してはいけない気がする、とか、記憶を取り戻したら今の自分は…のところがつながってしまう気がして。 上の日記で一番わああってなったの、書き残していきたい、のフレーズだったから…(普通の言い回しとしても取れるけど) その可能性も考えて書くとすると…此方の地上から来た子の話は早めに開示して問題ないやつだから、先に出したほうが色々良さそうな気がする。 よし、その子の容貌はぼかしておこう。耳尻尾の有無とか。 (-38) 2020/05/19(Tue) 3:10:41 |
【独】 軍医 ルーク/* いややっぱりその可能性あるのでは? 歌を昔に聞いたことある気がする、とか、 周りと「違う」の意味とか> < そしてもし当たってたとしたら、ルウの父親の死因is… 現段階での予想だけど、うん…! (-39) 2020/05/19(Tue) 3:17:03 |
【人】 軍医 ルーク ―― 医務室 ――[ 扉が開き、現れたうさぎは、 此方を見てほっとした顔をした。>>119 一瞬、怪訝な顔をしてしまった。 医務室に“葬儀屋”がいてほっとした顔をするだとか、 何処か頭でも打ったんじゃなかろうか。 あれから戦闘はなかったはずだけれど、日々の訓練とか。 けれど、直ぐにその理由を察し、ああ――と納得する。 カルテを捲れば、昨日どのような処置が施されたかは 記録が残されていた。 そう、治療というよりは“処置”。 また、気づかないうちに表情が険しくなる。] ぺんぎんを診察? まさか、どちらかというと、 此奴の方が医学に目覚めようとしているところ。 ……君、何か失敬な事を考えている? そういう顔をしている。 [ 包帯ぐるぐる巻きのぺんぎんを眺めるのが趣味か――なんて、 そんなことを考えているとはさすがに分からないけれど。 何んとなく、そんな風に感じて言い返してやる。 もし口にされていたら、 そうだなあ、ぺんぎんよりはもっと大物の方が 見ごたえがありそうだね、とわるいかおをして、 戸口の兎にじーっと視線を向けてやったに違いない。] (138) 2020/05/19(Tue) 13:05:19 |
【人】 軍医 ルーク[ 悪戦苦闘するぺんぎんは、 首に包帯がかからない限りは一先ずそのままにして、 診察用の椅子にかけるうさぎに向き直る。 戦闘の傷、義手の力を使ったこと。 其方の経過の方は、特に問題がないようだ。 返される答えをさらさらとカルテに記していく。 ほぼ完治とみてよいだろう。] 副作用は最悪…… 具体的には? 症状が出た個所、程度、収まるまでの時間。 毎日飲んでいる方は――…、 そう。 [ 効果がないものなら、取りやめを考えることも出来る。 けれど、脳波の測定結果は、回復の兆候を示している。>>86 それなら、薬の投与を中断する合理的な理由もないし、 結果を焦る上層部の指示で、 目に見える効果を求めて薬を追加した他の連中の判断は、 理解は出来る。 出来る、のだが。 膝の上で握ったり開いたりする手の動きを見ながら、 手のしびれか、と見当付けた。 もし本人の返答があったなら、それも書きこんで。] (139) 2020/05/19(Tue) 13:06:30 |
【人】 軍医 ルーク副作用が強いなら、数を減らそう。 TTS-731、RIV1603―― 他の連中は阿呆か、新薬をいっぺんに試すって、>>119 それでどれが効いたか分かるのか。 効いたら、それを全部続ける心算か? [ また気付かないうちに、表情と声に険が宿る。 ペンを握る手の力が、強くなる。 さて、どれを削るべきか。 理由は、抑々の軍務に支障が生じるレベルの副作用には 問題がある、ということで差し支えあるまい。 当の本人は、ぺんぎんのことが余程気になっていたのか、 包帯に捕獲されてもがいていたそいつを助けて、 ほどいてやっている。] (140) 2020/05/19(Tue) 13:08:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 何故、これほどまでに上層部は結果を急ぐ? 最初の襲撃の生存者だから。 その記憶が重要だから。 その理由は、確かに分かる。 けれど、あの怪物の情報という点では、 後続の襲撃後に残される残骸の解析から、 少しずつ分かり始めたこともあるのに。 最初の襲撃は特別だった? いや、それとも―― 特別なのは、もしかしたら、このうさぎ自身が? 他の者は扱えない義手を扱えること、 記憶、身体能力、痛覚の障害。 自身の安全さえ考えないならば、 ひどく戦闘に特化したかのような…… だからこそ一人生き残ったのだろうと、 そう考えることも出来るけれど。 最初の襲撃があったあのとき、何があったのだろう。 それとも…… それは好奇心でもなければ不審でもない、純粋な思考だ。 しいて言うなら、上層部への不審ではあるけれど。 ――ふと、何か思いつきそうになったことが あったような気がした。] (141) 2020/05/19(Tue) 13:09:42 |
【人】 軍医 ルーク[ けれどもそれは、嬉しそうにきゅー、と鳴いたぺんぎん声に 中断される。 包帯からようやく抜け出し、やったあ、と羽ばたきをして、 差し出された飴にきらきらと目を輝かせる。 ぺたぺたと小走りに机を離れ、さっそく口に放り込もうとして、 けれどもやめた。 そのままうさぎの方を見上げたところを見ると、 ちゃんと診察を見届けてから、と考えているようだ。 そんな風に考え事をしていたものだから、 うさぎの驚いた様子に、きょとんとしてしまう。] ――顔? 悪いが、生まれつきこういう顔だよ。 何か気にくわないところがあったら済まないが、 診察が終わるくらいまでは目を瞑って…… あー。 [ 途中で、何を言わんとしているかに気付く。 転んだといったところで、相手は兵士だ。 胡麻化せるはずもないだろう。] (142) 2020/05/19(Tue) 13:11:49 |
【人】 軍医 ルークどう…と言われても、 しいて言うなら、 痕が残る殴り方をするのは阿呆だな、とは思った。 その点、腹をお勧めしたかったんだけど、 生憎そこまで話す余裕がなかったんだ。 まあ、この程度で済むと思うなとは言っていたから、 上手くすれば、君は近いうち苦い薬とはおさらばだ。 彼の検討を祈っておいてくれ。 [ 痛みは人並みに感じる。 頬はそろそろじんじんと熱を持って脈打ち、 これは随分腫れることだろう。 でも検査の続きには差し支えないよ、と言おうとしたのに、 うさぎはぺんぎんを伴って、冷蔵庫を開けに行く。 止めはせずに、不思議そうにその様子を見遣る。 後ろを向くと尻尾が見えるなあ、なんて、 そんなことを考えていた。 冷蔵庫には、冷暗所で保管する必要がある薬品が入っている。 ぺんぎんがここ、と背伸びして氷を指し示した。] (143) 2020/05/19(Tue) 13:12:58 |
【人】 軍医 ルークん、手伝ってくれるのかい? それは有難いな、 丁度頼みたいと思っていたことがあったんだ。 じゃあ、検査が終わったら。 [ もし氷を差し出されたなら、 何をしろと言われているかくらいは理解は出来る。 まあ、視界が効かないくらい腫れあがったら 明日の仕事に差し支えはするだろう。 ぺたりと袋を頬に当て、少しの間冷やす。 とはいえ、手がふさがっていては脳波の測定が出来ない。] こっちも、検査が終わったら。 [ そういうことに、しようと思った。] (144) 2020/05/19(Tue) 13:16:00 |
【人】 軍医 ルーク ―― 外壁の外 ――[ その後、医務室で検査の続きややり取りがあったとして、 それが終わったなら、『頼み事』を切り出した。 もし頷いてくれたなら、外壁の『外』へと出る。 夜の時間帯、ぽつり、ぽつりと天に輝く光を、 ふっと見上げて、目で追う。 ――… 糸でつなぐように、目を細めた。 けれど、直ぐに前を向き、説明を続けながら歩き出す。] わたしが探しに行きたいのは、 前回の襲撃で怪物が、 何かを残していないか、ということ。 具体的には――通信機。 個人的な予断だから、勝手に探しに行こうと思って。 順を追って話すね。 最初の襲撃から現在まで、幾度も降下があったけれど。 残骸はより専門的な設備がある街に運び込まれて 解析が続いてる。 わたしも、それに立ち会ったことがある。 [ ゆっくりと歩きながら、天の大穴を見上げる。 足元には、ぺんぎん。 少し距離を歩くから置いていこうかとも思ったけれど、 うさぎと離れるのが名残惜しいのか、頑として頷かない。 好きにするといいよ、と、此方が折れることにした。 歩き疲れたなら、自分が持てばいい。] (145) 2020/05/19(Tue) 13:19:03 |
【人】 軍医 ルーク君も聞いたことがあるかもしれないけれど、 テオドール第二研究所で爆発事故があった。 あれは、そんな残骸が引き起こしたもの。 可能性はいくつもある。 作業員が間違った操作をした、 一定時間が経つとそうなる仕組みだった。 けれど、もしかしたら…… “あれを送り込んでくる勢力が、 情報の漏洩を防ぐために爆破した” その可能性もあると、わたしは考えてる。 ……機密レベルの関係で、言えないけれど、 根拠もなくはない。 そして、もしそうだとしたら、 此処にある機獣―― ああ、研究所ではあれをそう呼んでいたんだけれど―― あれの状態を把握する術を、 彼らを送り込んでくる勢力は、 何かしら持っているんじゃないだろうか。 [ 研究所、爆破事故。 その単語を口にしたとき、ずきり、と無い足が痛む。 幻肢痛、ないはずのものをあると感じて、脳が錯覚を起こす。 ――… かつてはあったものの、記憶。 自分にとっては、痛みは、そういうもの。 顔を顰め、立ち止まる。 そうして、また歩き出す。] (146) 2020/05/19(Tue) 13:20:16 |
【人】 軍医 ルークああ、わたしは歩くのが遅いから、 まどろっこしいなら、 先に行って探してくれても構わないよ。 回収した部品でそれらしいものは 見当たらなかったのだけれど。 形状も、わたしが前に見た物と同じとは限らないし、 あるかないかも分からない。 もしかしたら、戦闘で壊れてしまったかも。 ただ、そういった類の部品は、 機体が破損しても残りやすいように、 設計、配置されてる可能性が高い。 しかも性質上、機体を離れても、 そう簡単には見つからない場所に、隠されているかも。 [ このうさぎに声をかけたのは、戦闘の際にその場にいたから。 敵の動きや、何処にいたかを把握しているだろう。 それに、明日になればまた勤務が始まる。 夜のこの時間しか空いていない。 夜目が効く者でなければ頼めない。 いや、そもそも自分に頼まれて頷きそうな者なんて、 この基地には他にはいない。 ひとりで来ようと思っていたのだけれど、 折良く丁度良いものが現れたから巻き込んでしまったのだ、 ぐるっと。]** (147) 2020/05/19(Tue) 13:23:19 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a17) 2020/05/19(Tue) 13:29:40 |
【人】 軍医 ルーク ―― 検査の前日:明け方の見張り台 ――[ それは医務室でうさぎの検査をして、 外壁の外に探し物に行く、前日のこと。 明け方の見張り台で、今日も『天』の大穴を見ている。 夜が白み始める。 『月』の稼働時間が終わり、 『太陽』の時間に切り替わり始めたということだ。 そんな移り変わりの中で、天の大穴は、 ただぽっかりとした巨大な虚ろとして、 遥か高く頭上にあって、 この地上を静かに見下ろしていた。 見張り台を去ろうとする。 もう一度あのタブレットを開くつもりはなかった。 誰かが記録をとるために使っているのだから。 けれど、扉を開けて中へと踏み込もうとした足が、 ひたりと止まる。] ―――… [ ただ一方的に謝りっぱなしで、それきりにするのは、 それはそれでどうか。 向こうが怒っているなら、それは読むべきだ。 日記の続きがあるなら、読まないように気を付ければいい。 そんな風に考え、踵を返す。 もしこれ以上読まれることを厭うなら、 置き場所かパスワードが変わっているだろう。 むしろ、そうなっているに違いないと思っていたのに。] (167) 2020/05/19(Tue) 20:10:58 |
【人】 軍医 ルーク……あった。 [ 奇妙なことに、タブレットは同じ引き出しにあった。 一拍の躊躇い。 指が、あのパスワードをなぞってするりと動く。 画面が切り替わり、タブレットが開く。 ああ、もしかしたらあの後まだ使っていなくて、 此方が読んでしまったことに、気付いていないのかも。 そう思い、一度は納得したのだけれど、 画面にはひとつの『変化』がある。画像だった。 それを開き、目を瞠った。 指先がひとつ、ふたつ、躊躇うように画面に触れる。 そうして、思い切ってノートを開いた。 自分が書いた文章の次に、続きがあった。 職業柄、速読には慣れている。 けれど、視線はゆっくりと、一字一句、 記された文章を読んでいく。] (168) 2020/05/19(Tue) 20:13:27 |
【人】 軍医 ルーク[ 予想外なことに、日記を見てしまったことに対する 苦情や怒りは、そこには記されていなかった。 書かれていた内容に、暫し沈黙する。 苦情や怒り、どころか。] ……どうやらわたし、 余程のお人好しの持ち物を、 見てしまったみたいだ。 [ じーっとこちらを見上げるぺんぎんにそう言って、 机の横にしゃがみ込む。 綴られる言葉たちを、幾度も読み返す。 正体の分からない何かに、自分の中の空洞が、 ぎしりと音を立てて軋んだ。] (169) 2020/05/19(Tue) 20:14:24 |
【人】 軍医 ルーク……書き残していきたいと、思う。 [ そう、此処だ。 日記としてはごく普通の言い回しかもしれない。 けれど、その箇所を読むと無性に何かがざわついたのは、 気のせいだろうか。 気のせいだと、“思いたい”。 瞼に浮かび上がる名も知れぬ誰かは、 後でゆっくり読み返そうとのんびり日記を綴る、 そんな姿をしてはいなかった。 姿かたちも知らない、誰か。 目を離すと、ふっとその姿が揺らいでしまうような気がして。 どうしてか、息が苦しい。 書かれている内容は、とても不思議なものだった。 無人の見張り台に、朝の光が差し込んで、 舞い散る埃だけが静かに揺蕩っている。 ――指が動いた。]* (170) 2020/05/19(Tue) 20:16:19 |
【妖】 軍医 ルークいま、このタブレットを使ってくれている、あなたへ メッセージを読んでくれて、ありがとうございます。 そして、タブレットを譲ると言ってくれて。 けれど、どうかこれは、あなたが持っていてください。 父は、そうだなあ、 生前はそれはとても困ったひとでした。 興味の赴くままに世界中を飛び回り、遺失技術を調査して、 母に苦労を掛けてばかりで。 わたしが星のはなしを知っていたのは、父が発掘した本を 母が読み聞かせてくれたからです。 けれど、きっともし父なら、 迷いなく、あなたに使ってもらいたいと笑ったと思います。 勝手に日記を読んでしまったのに、 あなたは、わたしのことを気遣ってくれました。 そして、大事な話を聞かせてくれると。 わたしは、あなたが誰かはわからないけれど、 きっと、とても大事な話なのだと思います。 あなたが何処から来た誰だったとしても、 きっと、優しいひとなのだと。 ($6) 2020/05/19(Tue) 20:18:07 |
【妖】 軍医 ルーク夢は記憶を整理するものだと、聞いたことがあります。 実際に見た光景かもしれないし、 誰かから聞いた話や、伝えられたもの、 あるいは本で読んだ情報が、 再構成されたものかもしれない。 けれど、きっとそれは、 夢を見た誰かの心を、映し出すもの。 妄想が生み出した、意味がないものじゃないのだと、 わたしは、そう思います。 硝子で描かれた絵も、風化した建物の構造も、 差し込む光も、倒れている誰かのはなしも。 “ほし”の話のように、 何か思い当たることがないかと思い出そうとしても、 わたしには、わからなかったのだけれど。 そういう光景の中に一人でいることを想像するのは、 不思議で、とても寂しい。 夢の中の話に、このようなことを言うのは 少しおかしいかもしれないけれど、 わたしもせめて、そこで話す相手にでもなれたらと、 そう思ったから。 だから、せめて、こうして話を聞かせてもらえるなら。 わたしは、嬉しいと感じるのだと思います。 ありがとう。 ($7) 2020/05/19(Tue) 20:19:33 |
【妖】 軍医 ルーク追伸: 今回の夢でひとつだけ思い当たること。 総司令の色眼鏡は、度の入った偏向のミラーグラスですが、 遺失技術の応用。 硝子を加工する技術や絵を描くという発想は、 わたしたちにはなくても、もしかしたら。 もうひとつ、追伸: 写真をありがとうございます、 楽しんでもらえたみたいで、よかった。 わたしもやってみます、でもきっと、 センスの点では負けていないことになってしまいそう。 ($8) 2020/05/19(Tue) 20:21:35 |
【妖】 軍医 ルーク[ 増えていたファイルの写真には、 『夜』の中に輝く草花を繋いだ線が、描かれていて。 そのひとが、星を繋ぐことを楽しんでいてくれたのだと、 伝わり来るようだった。 もうじき見張りが帰ってきてしまう、 あまりたくさんのことを書いてはいられない。 だから、急いで外の、明るくなりかけた空を撮って。 目を凝らせば見える、草花の明かりの名残を、線で結んだ。 そうして写真を隣に一枚増やしておいた。 浮かび上がってくる線は、実に不器用で 絵心がないのがよくわかるものだったろうけれど、 形はなんとか伝わるだろう。 一羽の、ぺんぎん。 タブレットを戻し、 ぺんぎんと共に見張り台を去りながら思う。 あの記録の主の夢が、父から聞かされた話と 何処か呼応するものがあるというなら、 何か役に立てる話は、出来ないだろうか。 今日は時間がなかったけれど、わたしの知っていること、 もしかしたら、聞くだけでも良いのかもしれないけれど。] ($9) 2020/05/19(Tue) 20:23:19 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a19) 2020/05/19(Tue) 20:29:46 |
【人】 軍医 ルーク ―― 医務室にて ――[ 名を呼ばれ、噤まれた言葉の先を追うことはしなかった。>>215 何が言いたかったのだろうと、軽く首を傾げただけ。 薬のことで他の医者を阿呆と呼んだところだったから、 口が悪いとかそういうところだろうか? などと 見当付けて置く。 けれど、それを今このうさぎが口にするようにも思えなくて。 考えても分からなかったし、 分からないなりに、話が先に進んでしまう。] 少しでも早く最初の襲撃の情報を、か。 わたしも、そういうことだとは 聞かされているけれど。 [ けれど、自分に与えられている情報は制限されている。 此処に来る前の研究所で起きた“出来事”を思えば、 当然のことだ。] (235) 2020/05/20(Wed) 2:08:27 |
【人】 軍医 ルーク[ さて、痣のことに気付かれてからは大変だった。 検査があったから冷やせなかったというわけでもないし、 問題がなければ放っておこうと思っていたというか―― などと、反論する間もなく、 医務室に響いた大声に、ただ不思議そうに首を傾ける。 このうさぎも声を荒げることがあったのか……という、 奇妙な感心だった。 言っていることを三回ほど繰り返して考えた後、 不思議そうに口を開く。 “なぜ心配するのか”とは言わなかった。] わたしの勘違いじゃなければ、君、 その言い方だと、 わたしがいない方がいいとは思っていないように、 聞こえてしまうのだけれど。 [ やっぱり聞き違いだよなあ、と眉を顰める。 返答を聞いてようやく、 自分が“心配”されているのだと理解した。 その怒りが、自分を殴った相手に向いているということも。 たっぷり五秒ほど押し黙り、] ええ…? [ 思わず変な声が出た。] (236) 2020/05/20(Wed) 2:11:57 |
【人】 軍医 ルーク[ なんだこのうさぎ。 部下の事だとか、ひとのことを気遣ってばかりだと 思っていたら、 まさかの相手にまでその対象が向いている。 恐らく自分は今、驚きを感じているに違いない。] 驚いた。 [ 礼を言うべきだったのだろうか、と気づいたのは、 それから随分後になって、検査も終わり、 タイミングをすっかり逃してからの事だった。] (237) 2020/05/20(Wed) 2:14:24 |
【人】 軍医 ルーク[ 検査を終えて頼みごとをして医務室を出ようというとき、 応えそびれていた問いがあったことを、思い出す。 言葉を返そうとしたところで、 相手が絡まったぺんぎんを見かねて手を出して、 返事をする機会を失ってしまっていたからだ。>>216] そういえば、さっきの話。 君が忘れている記憶の事だけれど、 それが最初の襲撃の情報、という意味なら、 ……知りたいと思っていることは、あるよ。 けれど、それは、君の記憶だ。 最初の襲撃の話しだけじゃない、 すべてをひっくるめて、ね。 ひとが何かを忘れることには、理由があるんだ。 逆さにして振れば 記憶が降って来るというわけじゃない。 上の方は、相応の理由があると言うのだろうけれど、 本人の心身を無視してまで、 引きずり出そうとしてどうする。 (238) 2020/05/20(Wed) 2:15:52 |
【人】 軍医 ルーク[ 例えば、耐えられないと思うほどの衝撃を受けたとき。 痛みが身体を守るように、忘却が心を守ることがある。 本人が望むよりも先んじて、無理に暴いてまで 何かを知りたいかと言われれば、 戦局をつかさどる上層部は、イエスと答えるのだろう。 けれど自分はそうではなく、医者だ。 患者に無理を強いる状況に異を唱えるのは当然のこと。 その答えで、間違いはないはずなのだ。 他の誰が患者の立場であったとしても、 自分は同じことを主張する。 けれど、いま目の前にいるのは“他の誰か”ではなくて、 自身がこのような目に遭いながら、 誰かのために身を投げ出すような、 あろうことか、目の前の“葬儀屋”にまで 心配の対象を広げてしまうような、 とびきり莫迦のうさぎだ。 『患者』ではなくて、このうさぎの記憶のことを、 検査のことを考えたとき、 ペンを握る指先に力が入った理由も、 自分がそうしたことさえも、知らない。 ――けれど、] (239) 2020/05/20(Wed) 2:17:40 |
【人】 軍医 ルーク ―― 外壁の外で ――[ 外壁から遠ざかり、大穴の下へと歩く。 元々はひとが住んでいた場所だが、 度重なる機獣との戦闘でひどく荒れている。 それでも、道なりに視線を巡らせ、耳をすませば、 植物の影にある小動物の姿だとか、虫の声が聞こえてくる。 普段外壁の外まではあまり出ない自分は、 彼の身に着けている武器が、護衛のためのものだとは 最初気付かずに、 外に出るなら装備は身につけるものか、と、 疑問に思うことはなかったけれど。 周囲に視線を向けながら、 警戒を忘れずに歩いている様子を見れば、 そういうことか――と、気づきもする。 脚の痛みに歩みを止めたことを案じてくれているとは、 やはり、気付けないままであったけれど。>>232] (241) 2020/05/20(Wed) 2:19:48 |
【人】 軍医 ルーク 楽しい…? ああ、確かに耳に新しい情報も、あったかもね。 わたしも君と話すのは“楽しい”。 前にも言ったかな、 君を見ていると時折、こう、 わざと苦いものを出したくなったりとかそういう。 ほんとうに、君くらいだろうな。 こうしてわたしと歩いて話をしていて、 これといって嫌そうなそぶりも見せないのは。 非番の夜中に物探しに引き摺り出されたのに。 変わってる。 [ にい、と笑みの形を作って見せる。 実際のところあれは、薬が嫌だったら無理をするな、 という意味合いが殆どだけれど。 飲んで涙目になっているところを見ると、 擽られるものがあるというのも嘘ではなく云々。 変わってる、という言葉は、 考えたことをそのまま述べたものだった。 その言葉を言ったときの声は、 苦いものの話をしていたときのような、 揶揄い交じりのものではない。 構えたところも皮肉もない、ただ、肯定的なもの。] (242) 2020/05/20(Wed) 2:21:26 |
【人】 軍医 ルーク[ ランタンの明かりが示す先を見ながら、先導に従って歩く。 道すがら、探し物の形状の予想は伝えた。 このくらいの大きさの箱のようなもの――と、 両手で大きさを示す。 ぺんぎんもまた、二つの人影の間のあたりをてちてちと。 うさぎが取り出した包みに気付けば、 頭の上にぴこん! と明かりでもともすような顔をして、 わあい、と飛び跳ねた。 なんだろう、と思っていると、 此方にも紫の包みが飛んでくる。 放物線を描いてゆるやかに掌に収まったそれは] 飴? [ そうか、さっきぺんぎんにあげていた。 確かぶどうの飴だったか。 うさぎがそれを口に入れるのと一緒に、 ぺんぎんもまた器用に羽で包みを解いて、 大事そうに取り出した飴玉を口に放り込む。 ほわああ、と幸せそうな顔をして、 その場でぺたぺたと足踏みをするぺんぎん。] (243) 2020/05/20(Wed) 2:23:13 |
【人】 軍医 ルーク[ 少しの躊躇いの後、包みをあけて、口に入れてみる。 ころり、と、硬い感触がした。 苦いものを甘いと言って渡すような悪戯はしないだろう。 だから、この飴は本当に甘いのだろう。 “甘いもの”、というのだから。 ――なんて答えたら正解なのだろう? あまい? ぶどうの味? 戸惑いに眉を寄せて考え込みながら、 先に飴を食べていたふたりの顔を見る。 ぺんぎんは、それはもう幸せそうな様子で、 ほわほわと甘味を楽しんでいるようだ。 うさぎのへらりとした笑みが見えた。 最初から三つ持って来たのだと、そう言って。] (244) 2020/05/20(Wed) 2:24:36 |
【人】 軍医 ルーク[ それを見ているうちに、自然と言葉が出た。] ……、 悪くないね。 [ 顔を上げる。 ああ、よかった――この答えなら、嘘じゃない。 我知らず浮かべた表情は、 混ぜ損ねた絵の具のようないつものそれでもなければ、 時折このうさぎに向けるような、物騒なものでもなくて。 夜目が効くその赤眼には、ふっと無防備に零れたような、 柔らかで微かな微笑みが、見えたことだろう。]** (245) 2020/05/20(Wed) 2:25:25 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a24) 2020/05/20(Wed) 2:33:42 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a25) 2020/05/20(Wed) 2:35:32 |
【人】 軍医 ルーク……もしあの薬を飲むのが嫌だと思うなら、 義手を使うな。 戦闘のことは領分の外、君の判断ではあるけれど、 それでも、だよ。 [ けれど、“使うな”と口にするときは真顔になる。 これまで何度言ったか覚えていない。 分かっては、いるのだ。 先の戦闘でこのうさぎがあの義手を使わなければ、 被害はより甚大なものになっていた。 もしかしたら、死傷者が出ていたかもしれない。 それを思うなら、ほんとうに、 自分が口を挟めることではないのだけれど。 それでもどうしても口に出してしまう。] (312) 2020/05/20(Wed) 22:01:22 |
【人】 軍医 ルーク記憶を取り戻せたら…… [ その言葉を、繰り返す。 それは、喜ばしいことのはずだ。 けれど、その言葉を口にしたときの彼の表情は、 いつものゆるやかな笑顔ではなくて、強張って。 ――まるで、何かを恐れているようにも見えて。 思考が一呼吸、遅れる。 呼吸をひとつ、忘れる。 記憶を無くしたものが取り戻すことを不安に思うのは、 理解出来ない心情ではない。 自分も知らない自分への不安、 いまの自分自身の存在を不安定に思う心理。 そんな一般論が頭を過り――… “変わってる僕は、少しは、マトモになるかも” 聞こえたその言葉に、口を開きかけ、噤む。 ……自分は、何を言おうとしていたんだろう。 ただ、何処かが酷く、痛んだ。 その正体も分からないまま、彷徨いかけた指先を握り込む。 変なことを言ったと謝られても、 首を横に振ることしか出来なかった。] (314) 2020/05/20(Wed) 22:02:13 |
【人】 軍医 ルーク[ 道すがら、飴を貰ったときのこと。 返って来た言葉に、くすりと笑う。] はは、それが魂胆かい? こういう味、かあ。 同じ味を作るのは難しいから、 そこは期待しないでおいて。 ああ、でも…… [ そろそろ、棚の中の瓶詰の果実は出来上がっている。 よく滅菌した瓶に詰めておけば、日持ちもする。 直接薬に混ぜ込むというわけにもいかないけれど、 薬の後にでも水で割って飲めば、 少しは後味もましなことだろう。 ――渡す心算なんてなくて、 きっと捨ててしまうのだろうと思っていて。 ただ、返された微笑みに、ふと。] あとで、いつでも都合がいい時でいいから。 お返しは、するよ。 [ そんな風に、口をついて出た。] (315) 2020/05/20(Wed) 22:03:01 |
【人】 軍医 ルーク[ 目的の場所に到着する。 激しい戦闘の痕跡を残した荒れ地は、 直に目にするとそれは酷い有様で、 其処彼処に崩れた瓦礫や、建物の残骸が飛び散っている。 硝子窓の欠片を靴の先でつつき、ぺんぎんを持ち上げる。 尖った破片を足で踏ませるわけにもいかない。 ぺんぎんは、きゅう、と大人しく腕にしがみ付いた。] 木箱ではない、と思う。 そう、恐らくは金属製。 [ 以前研究所で見た、それと思しき部品の形状を思い出す。 その後すぐに、解析できない状態に陥ってしまったそれが 本当に通信機だったかは――… 『使用している場面を見た』のだ、 ほぼ間違いはないだろう。] (317) 2020/05/20(Wed) 22:03:35 |
【人】 軍医 ルーク[ ――途切れてしまったはずの何かが、強く軋む。 けれど、不意に横合いから聞こえたうめき声に顔を上げ、 振り返った。>>298] どうした? [ 様子がおかしい。 まるで夢でも見ているかのように、ぼんやりと彷徨う視線。 此処ではない何処かを見ているような、 此処にはない何かを見ているような。 まず過ったのは、強かったと言っていた薬の後遺症。 あるいは、義手の。 それとも、まさか――… 先ほどの会話の中で感じたざわめきが、 強く湧き上がる。 途切れ途切れのノイズ、 身体の内側を剃刀で引っかかれているような、 ――“不安” それを振り払い、肩に手をかける。 もし倒れでもしたときに、自分の力でどうにかなるかは 分からないけれど、 何があってもすぐに対応できるようにと。] (319) 2020/05/20(Wed) 22:04:58 |
【人】 軍医 ルーク[ 息をつめて、じっと様子を見守る。 四角い金属――通信機を探しているようではあった。] “あの怪物の作りなら、きっと”…? [ その言い回しに引っ掛かりを覚える。 聞きようによっては、まるで、 『機獣の構造を知っている』ように聞こえてしまう言葉だ。 歩き出したその後を追ってゆく。 真っ直ぐに向かった先、瓦礫片の影。 そこには、まるで彼を待ち構えてでもいたかのように、 しっかりとした造りの金属製の箱が、瓦礫に埋もれていた。 作業員の回収の折には、此処まで調べていなかったのだろう。 少し距離があり、物陰になっている。 ――作業員が見逃しているような、そんな場所。 こちらを振り返った表情は、いつものあの笑顔。 いましがたの様子が、何かの錯覚であったかのように。] (320) 2020/05/20(Wed) 22:05:56 |
【人】 軍医 ルーク 具合は? 何か違和感があったり、 副作用の症状が強く出ていたりはしないか? [ 箱の事よりも先に、そのようなことが口をついて出た。 もし、何の事か分からないという様子だとしたら、 こう話しはするだろう。 さっき、頭痛があったように見えたから――と。 連れ出してよい状態だったのだろうかという迷い。 “知っていた”かのように箱を見つけたことへの疑問。 二つの思考は縺れて、ピアノ線はまた、おかしな音を立てる。] わたしが、持ってく。 帰ったら休むといい。 それ、貸して。 [ 箱に手を伸べて受け取ろうとして力を籠めれば、 自分の腕力では難儀しそうな重みにうっとなる。 フードの下、滅多にその存在を主張しない耳が ふるりと震える。 青白い顔を赤くして暫くの間頑張ろうとしたのだけれど、 物理的に無理だった。 なお、足場を確保して下に降りて、ぴょんぴょんはねて “おてつだい”しようとしているぺんぎんにも、 やっぱり物理的に無理だった。] (321) 2020/05/20(Wed) 22:07:57 |
【人】 軍医 ルーク[ その箱は、結局持ってもらうことになったか。 あるいは持ち帰るには重く、戻ったらすぐに回収班に 声をかけることになったかは、そのうさぎの腕力次第。 帰りの道すがら、ぽつり、口を開いた。] 今更の話を蒸し返して悪いけど。 ……言ってなかった。 医務室でのこととか、飴とか。 [ ゆっくりとした足取りで、瓦礫の中を歩く。 ぺんぎんを抱えたまま。 がらがらに崩れ去ってしまった、 けれど、嘗ての形を未だとどめている、そんな瓦礫たちが、 『月』と光る草木の下、ひっそりと物言わずそこにある。] ありがとう。 [ きっと、言いたいことはそれだけではない。 それだけじゃないはずなのに、分からない。 ざわめきがある、痛みがある。 それなのに、どうしてなのかが、 ――… わたしには、わからない。]* (322) 2020/05/20(Wed) 22:10:26 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a28) 2020/05/20(Wed) 22:13:44 |
【人】 軍医 ルーク[ 自分が持ち上げられなかった箱を、 うさぎは軽々と持ち上げてみせる。 医務室で義手を巡って部下たちと話していた内容を思い出す。 恐らく、持って来た装備も、 自分が持てるような重さのものではないのだろう。 躊躇いはあったが、見たところいまは不調もなさそうだし、 不承不承頷き、手を離した。 代わりに、来るときには持ってもらっていたランタンを 受けとることにする。 道すがら、投げかけられた言葉に顔を上げた。] ……“心配”? [ 困惑しているような、理解できずにいるような、 その声はきっと、以前医務室で盛大に“怒りながら”、 “怒る”が分からずに問い返したときと同じもの。>>0:242 ] (397) 2020/05/21(Thu) 2:12:11 |
【人】 軍医 ルーク[ けれど、今はそのときとは違い、じっくりと思案を重ね、 ひとつ、ゆっくり瞬きをした。] ――ああ、それだったんだ。 そうか。 [ 外から言われて、初めて気づいたように。 途切れた糸を、不格好に一先ずは、結んでしまうように。 味の分からない飴を、甘い、と教えてもらうように―― そんな風に、呟いた。 きっと、それだけではない、心配だけではない。 けれど、“心配”していることに、間違いないのだろう。 義手を使うなと言っても、頷かない。 副作用は『いつものこと』と言う。 いつもの副作用なら、ずっと痛い―― 痛みに強い体質で、それでも強く感じるほどの痛み。] (398) 2020/05/21(Thu) 2:13:16 |
【人】 軍医 ルーク[ 先ほどの出来事を思い出す。 『通信機は攻撃されにくい場所、 背中の後ろから飛んだはず』>>348 それは、いかに間近で戦っていたとしても 知りようがない情報。 元よりどこかで知っていたとしか思えない知識だ。 あの時の様子は明らかに、普段の彼のものではなかった。 そもそもここに来るときの会話では、 通信機の話すら、初めて聞いた様子だったのに。 だとしたら――忘れていた、記憶? 機獣の知識なんて、どこで得たのか。 彼らの来襲が繰り返されるいま、自分と同じように、 機会は何処かにあるのかもしれない。 けれど、記憶が失われたのは最初の襲撃のとき。 戦闘中に、機獣から通信機が飛ぶのを見ていた? それもどこか、違和感があった。 ――ああ、まただ。 先ほど過りかけた“何か”が、 再びちりちりと思考を焙る。>>141 思考に沈みながら、ひどく難しい顔で、 ぐしゃりと自身の首元を、服ごと掴んだ。 呼吸の苦しさを、痛みで紛らわせるように。] (399) 2020/05/21(Thu) 2:15:10 |
【人】 軍医 ルーク[ “噂のようなひとじゃない” その言葉に、痛みが増した。 そうだ、噂自体は愚にもつかないカムフラージュ。 けれど、事実はそれよりも遥かに許し難い。 いまはない両脚が強く痛む。 どくどくと、血を流すように。 立ち止まらないように片方ずつ前へと踏み出す。] 噂、か。 あれはもう、話してる連中が どれだけ面白いことを言えるか ゲームみたいになってるんじゃないかな? けど、本当か嘘かは、さあどうだろう? 採点して医務室に張り出してやろうか。 [ いつものように、人の悪いことを言ってやろうと思っても、 どうしてか、それ以上は続かなかった。 “ルークの頼みなら”と、その言葉の意味が、 どうしたって、伝わってきてしまったから。] ――… うん。 頼みというなら、今はひとつだ。 帰ったら休むことと、 頭痛があったときは時間外でも医務室に来て。 (400) 2020/05/21(Thu) 2:16:50 |
【人】 軍医 ルーク[ 回収された箱は、研究棟へと持ち込むことにした。 勝手に探しに行く、とは言ったものの、 特に問題がある行動をしたわけでもない。 そこのところは、探索に付き合わせてしまった以上、 説明しておこう。] 勝手に探しに行くことにしたのは、 殆ど根拠もない憶測だったから。 上が取り合ってくれるか分からなかったし、 手続きがまどろっこしかったんだ。 でも、実物を見つけたなら、あとは引き渡せばいい。 小言の一つも食らうかもしれないけれど、 わたし、そういうの聞き流すの得意なんだ。 それに多分、今日担当してる連中は気にしない。 [ 後ろ暗いことをしているわけではないのだから、 持って行っても問題はない。 見つけるまでの手続きを簡略化しただけさ、と嘯く。] (401) 2020/05/21(Thu) 2:18:09 |
【人】 軍医 ルーク[ 果たして、未回収の部品が運び込まれた研究班の夜組は、 金属の箱を囲んで色めき立った。 自分が前にいた研究所で、 通信機ではないかと推定されていた部品に似ている。 今回の襲撃でこの部品が回収されなかったことが 気になって探しに行った。 特に隠すこともない成り行きをそのままに話せば、 経緯に疑念を抱くものもいなかったようだ。 ――話さなかったことがあるとすれば、 同行を頼んだ第一攻撃部隊の部隊長が、 あまりにも的確に、その部品を見つけた出したということ。 技術班の連中は案の定、細かいことにはこだわらなかった。 抑々、研究の事ばかり考えている連中で、 特にこの班は各方面の才能ある人材を集めてきた 研究畑の遊撃班という色合いが濃く、 その手の連中がまともであったためしがない。 まともに世渡りできるなら研究者なんてやってねえよ、と 記憶の中の父が笑った。 普段交流があるわけではないが、 非正規の手順で回収した箱を持ち込むならこの班だな―― という目算くらいはあった。] (402) 2020/05/21(Thu) 2:19:31 |
【人】 軍医 ルーク[ ――というか、] 『えーと、キミ誰だっけ、ルート? じゃあこの部品は責任もって 我々技術班が預からせてもらおう! 機獣がどこかと通信していたとして、 その記録が残されているなら、重要な手がかりだ。 というか、正直手掛かりとかそういうのより、さ! おまえらー!! 新しいパーツが! 来た!!! 今夜は徹夜だ!! 栄養剤持ってこい!!! ふわあああ!! 謎の怪獣の未知の通信機を解析できる機会! とか!! ひゃっほう!! あ、そこの兎君もありがとね、 そういえばキミだれ? まあいいか! 今日は祭りだ―!!!』 [ 細かいところに拘るどころの話ではなかった。] (403) 2020/05/21(Thu) 2:21:13 |
【人】 軍医 ルーク[ 技術班長のジルベールは、 ぎょろりとした目を益々大きく見開き、 箱を持ってきてくれたうさぎの両手を無理矢理とって ぶんぶんと振り回すように握手した。 そうして、机の上の箱に抱き着かんばかりの勢いで、 矯めつ眇めつ観察している。 基地内の噂話だの人間関係だの、何なら戦況に至るまで、 聞いても頭をすり抜けて、 日がな一日研究に明け暮れているような女性である。 自分のことを忌避しない珍しい人物ともいえるが、 単に頭の中に数式と螺子が詰まっているだけだ。 何なら総司令の名前すら覚えていないかもしれない。] 『あ、ルーディには話を聞かせてもらいたいかも。 別に今でなくてもいいけどさ。 いや、これは建前で、 出来れば今がいいなあ、今すぐがいいなあ。 キミが前いた研究所って爆発した所だろ? それなら、似たパーツの現物は 取り寄せられないだろうけど、 キミが見てたなら、見解を聞きたい』 [ そもそも、まともに識別されてすらいない。 適当に、おー、と頷き、 直ぐに戻ると言って部屋の出口へと。 技術班の連中は、此方には見向きもせずに箱を取り囲んで、 何やら議論を始めていた。] (404) 2020/05/21(Thu) 2:25:11 |
【人】 軍医 ルーク[ 立ち去り際の兎が、飴の包み紙を取り出す。 自分が貰った分の包み紙は、ポケットに入れてある。 くしゃりと丸めてしまうことはせずに、そのまま。] 確認したいこと? それなら今でも―― いや、無理だねこの調子じゃ。 [ 今ではだめだろうか、と思ったのだけれど。 背後で盛り上がる議論が否が応でも耳に飛び込んできて、 この後暫く捕獲されることは間違いないか、と諦めた。 抑々自分も、機獣の謎に迫るために此処に来た。 そう考えるに至った動機は、ひとつ、ふたつではないけれど。 通信機の内容が気になるのは、事実だった。 “お返し”の方は―― うん、そうだな、このうさぎの表情を見ていると、 既に何かの直感で、 甘いものの気配を嗅ぎついているような気がする。] (405) 2020/05/21(Thu) 2:26:42 |
【人】 軍医 ルーク――じゃあ、待ってる。 わたしがいるとき、か。 医務室から悲鳴上げて飛び出してくる新兵がいたら、 そのときの担当はわたしだろうな。 [ にやりと笑って脅すような顔をしてみせたけれど。 自分の部屋へと帰っていったうさぎの後姿は、 実に機嫌が良さそうだった。 ぺんぎんもその後姿に、跳ねながら手を振っている。 後ろを向くと尻尾が見えるなあ、と、 さっきと同じようなことを、どこか違う感覚で考えながら。 その後姿が角を曲がって消えるのを見届けて、扉を閉めた。 待っている、 そんな風に言葉にしたときに感じた感覚は、 飴を貰ったときの不思議なそれと、どこか、似たもの。]** (406) 2020/05/21(Thu) 2:30:48 |
(a30) 2020/05/21(Thu) 2:36:54 |
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