人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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【人】 宵闇 ヴェレス

[ 宿の候補はすんなりと決まり、こういった時、大抵彼は自分の要望を優先してくれる。] 

 この国にいる間だけ使っておしまいもなんだし、どうせならずっと使えそうなのがいいかなって。

[ 彼は一刻も早く陽射しに弱い自分に日光を遮るものを与えたいようだが、店を流し見に歩いていると、場当たり的に選ぶには勿体ないとの思いが深まる。軒に並ぶショールにはひとつとして同じ意匠はなく、細やかな刺繍は名産品としても名を馳せるそうだ。陽が暮れてからゆっくり見たいのだと続ける。

 一番に勧められた宿はゆるやかな坂を長く登った先にあり、顰めっ面>>49に敬意を表して荷を任せるのに甘えてしまった。]

 着いたら何か冷たいものを飲もう。

[ 甘い酒は好きではないと知っている。まだ陽は高いから酒でなくても、薄荷水か、炭酸で割った果実水か。
 何らかの理由で手放された小規模な城は、今は宿にと姿を変えている。だらだらと坂を登っただけあって、ロビーからも既に街を見下ろす見晴らしの良さだ。

 予算も手の届く範囲なら、此処にしようとのダンテの言葉に否もなく頷く。
 生憎陽が登る様が見えるという一番展望の東の部屋には予算が追いつかなかったが、どの道朝日をまともに見ることなど望まないのだから構わない。少なくとも自分は。

 石造りの重厚な建造物は、強い陽射しを完全に遮り、足元にひんやりと底冷えさえ感じさせる。

 寝室と応接室は一続きだが充分に広く、湯船のついたバスルームが併設されている。窓は市街を見下ろすように大きく開かれ、市の向こうには大河が見える。一際目立つ豪奢な宮殿は、あれが王宮だろうか。高台だけあって風がよく通る。]

 天幕がある。

[ 荷物と下ろし落ち着くと長椅子に足を乗せ腰掛け、寝台の方を改めてみればシンプルな覆いだがいかにも城である、という印象でダンテに指し示しながら笑ってしまった。元々は王族の誰かの別宅だったのかもしれない。笑いながらひとつ欠伸を噛み潰す。元より寝入る時間もそうだが、昼の光にあてられた身体はいささか火照り気怠い。]**
(63) 2021/04/15(Thu) 14:26:43

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 叶うはずはないと思っていた思いをヴィが受け入れてくれた事がある。口汚く言うなら、自分の初恋を餌にして。

 あの唇が触れた時の、時間が止まるような高揚が夢だったのではと、未だに実感が伴わないままだ。
 
 あの後も何度か会う機会はあったが長居できるほどの時間はなくて、相変わらず10代の思春期のような思いをかかえている。*]
(-36) 2021/04/15(Thu) 17:00:38

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 日差しが天敵のような彼を自分は太陽だと例えたことがある。一方的な思いだが、自分が悪い方に変化しなければ彼は変わらず同じ場所に居てくれるように思えていたから。

 一箇所に落ち着かない生活をしている自分にとって、数年離れた場所に戻ってみれば大きく変わっていることなんてざらだった。
 親しくしていた人の人生の変化や、喪失。

 そんな自分にとって、尋ねていけば、いつでもそこに変わらず居てくれる可能性を思えば焦がれない訳がない。その上彼の己を顧みず他人に尽くすようなところが酷くもどかしく心配で、やめて欲しいと考えたのが独占欲なんだろう。*]
(-37) 2021/04/15(Thu) 17:01:26

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

[ 馴れ馴れしいなどとは思いもしてない。
 その距離を心地いいと思い許しているのは他でもない自分だからだ。

 自分を大事にしろだとか、相手に判断を委ねる献身をするなであるとか、そういった忠言を彼から何度か受けた気もするが、自分にそのような覚えは一切なく、それどころか、この国に来てからの有様を見ただけでも、彼の言葉を信じる者がどれほどいるだろうか。

 陽の圧に弱い自分に陰を心配りし、重いだろうと荷を請け負い、片時も此方から目を離さずにいるのではと錯覚するほど心を砕き懇ろに扱う。
 100年程度の人の命の、既に彼の齢の3倍近くも生きているのだから大抵のことはひとりでできる。彼もそれを知っているだろうのに、出会って数日から今までその振る舞いが変わることはない。
 そして子どもではないから、恥ずかしいから、などと言葉ばかりで羞恥を示しながら甘んじているのは自分だ。
 献身と呼ぶなら、その限られた生命の時間を自分に費やしてくれている彼の方だろう。
 彼を前にして、強欲なのはいつだって自分の方だ。]
(-47) 2021/04/15(Thu) 21:12:26

【人】 宵闇 ヴェレス

 そんなこと思ってもない。 

[ 迂闊な己の振る舞いに謝意を述べれば、逆に彼から詫びの言葉を述べられた>>74。否定の言葉が強く出るがそれ以上は続かず、ましてや彼の健康的な肌色が、わずかに赤らむのを認めれば自分に何が言えようか。
 賑やかな市の中、ふたりして口を噤み卓を挟んで奇妙な沈黙が落ちた。]

 陽が、高くなる前に行こう。

[ ようやく絞り出したのは極くつまらない言葉だったが、彼が由縁ではない邪推や嫌疑を受ける場からも離れたかった。

 だからと言って一刻も早く羽織るものをと彼が急くのを>>75、買い物は陽が暮れた後でとやんわり遮ったのは先を急ぐばかりではなく、正直な気持ちでもあった。
 彼自身も鷹揚として忙しい質ではなかったが、何かしらを急くという気持ちが自分には薄いのだと気付くことがあった。時間は幾らでもあるし、折角の旅行なのだから長く残る良いものを彼と一緒に選びたい。それは後々も思い出として残るだろう。]
(87) 2021/04/15(Thu) 21:17:26

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

[ もしかするなら、それは彼と過ごす時間よりもずっと長く。

 自分が急いて焦れたというなら、記憶にあるのは彼に触れたあの一度の時だ。]*
(-48) 2021/04/15(Thu) 21:18:07

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 宿に荷を下ろし、明るいが陽を遮る壁と天井のある部屋に落ち着くと、ようやく人心地がついた。]

 もしかして。

[ 広い窓からそよぐ風が心地良い。石造りの壁は確かに熱気を遮断はするが、それにしてもあまりに外気と室温が異なる。ダンテの言葉に>>77よたよたと長椅子を下り、怠惰に四つ足で室内を華やげる飾壷へ向かう。床を這う膝や手を厚い絨毯が柔らかく受け止める。陶磁器で出来た壺の手触りは冷たく、中を覗くとみっしりと一つ塊の氷が詰まっている。保冷庫代わりだろう。同じ様な壺が形や大きさは違えど部屋のあちらこちら邪魔にならぬ程度飾られている。それから頭上を見上げれば、5つ羽根の扇が窓から吹く風とは異なる動きで旋回し、ゆっくりと空気を撹拌している。指を指し。]

 多分これとこれのせいじゃないかな。氷をどうやって維持しているかとか、風を巡らせている仕組みはわからないけど。

[ アルファルドで石油と同等に有名なのが魔法の文化だ>>6。資源もあり、学術の水準も高いのであれば長い繁栄も頷ける。]
(97) 2021/04/15(Thu) 22:24:32

【人】 宵闇 ヴェレス

 なんでもない時に来れたら良かったのにね。

[ 此度の滞在は事故のようなものだが、敢えてこの国を旅の目的地とするなら、暑さと陽に弱い自分の体質をまずなんとかしなければならない。暑さに弱いのは同じ北方の出身であるダンテも同じ筈だが、そこは越えられない種族の差がある。

 冷えた白ワインをとの提案には一も二もなく頷き、ボトルで、と強請る。葡萄酒なぞ水のようなものだ。つい先刻、重ための朝食を済ませたばかりの彼がサンドイッチを注文している健啖ぶりに目を丸くするが、昼食の当てとは知らず、自分はそれに加えてチーズとクラッカー、それと干し葡萄を頼んだ。

 暫く壺の冷気を楽しみ、またよたよたと長椅子に戻りよじ登ろうとすれば見兼ねたのか寝台を指し示される。

 言葉に甘えシャツの襟元を緩め柔らかな掛け布に埋もれるように横たわる。]

 そんなに気を使ってくれなくても大丈夫だよ……。

[ のぼせたような自分の体に、濡れたタオルを用意しようかという彼は何処までも優しい。
 本格的に横になれば、泥のような眠気が身体を浸す。1日2日の徹夜なら、少し昼間を歩いたくらいならこんな様にはならない筈だが、未だ午前というのに熱帯の陽光はかなり身体に堪えたようだ。]

 ルームサービスが来たら起こして……。

[ 呼び止めるに似た動きで手が宙を掻く。指先が近くの彼の袖に触れたならそのまま捕まえようとする。]*
(98) 2021/04/15(Thu) 22:25:56

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

 この国にいる間は、女性の姿でいようと思うんだけど。

[ 裾を引くと、眠たげな様子でそう言った。]*
(-57) 2021/04/15(Thu) 22:26:50

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ それから、自分では察せなかった彼の考え。
 自分は彼の生きる時間をずっとはそばにいることはできない。またたく間に歳を取り死んでしまう。

 命のない無機物の方が彼のそばに長くあるなんて、そんなことを聞いてしまったならきっと泣いてしまっている。*]
(-62) 2021/04/16(Fri) 0:44:28

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 女性の姿でいようと思うと、寝入りそうな様子で問われて、暫く自分は考え込んでしまった。]

 それだと外で君に遠慮なく構い倒せるね

[ それから、漸く出た言葉はそんなおどけたセリフだった。今の姿の彼と出会って、今の彼を自分は好いているから、出来るなら違う姿にはならないで欲しいと思うところが自分にはどこかしらある。

 最初に君が好むなら女性の姿をとっても良いなんて言われたから、他人の好みになんて合わせなくて良いと言ってしまった。
 それは、自分以外の誰かにも彼はそうするだろうとその時は考えたからだ。あの瞬間からきっと自分のよくわからない独占欲は始まっているのだろう。]
(-63) 2021/04/16(Fri) 0:49:00

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 自分は女性を好む嗜向があるからヴィの女性体は絶対に魅力的なのは分かっている。

 だけどもなんだか、彼のこれまでの未分化のままで生きてきた事を自分が否定するような気がして落ち着かない。

 それでも、女性の姿をとることを肯定したのは、命には勝ると考えたからだ。避けられる危険なら徹底的に避けたい。
 一定の距離を保って行動すれば疑いは向けられないのかもしれないが、男女に見えるならば何一つ気を使う事はなくなる。*]
(-64) 2021/04/16(Fri) 0:49:51

【人】 宵闇 ヴェレス

 どうだろう。
 でも君の場合、冷房器具より暖房器具の方が必要かもしれない。

[ 室内の空気を巡らせるファンを呆けて眺めていると、ダンテが自分たちにも扱えるような器具はあるだろうかと言う>>112

 土産物に、予め籠められた魔力を使用するものはあるかもしれないが、永続的に利用できるかと言えばどうだろう。
 それは別に空調器具に限ったことでもないかもしれないが、ちょうど部屋の設備に続けての話だったから、ちょっとした揶揄いとしてそう口にした。

 北の果ての生国を離れ、今は内陸の気候温暖な場所に暮らしている。冬に彼が自分の住処を訪れた際に、北方より南の国の冬の備えはなっていないと憤っていた。
 殆ど怒るというところを見た覚えのない温厚な彼が、しかもこれより厳しい北方の冬を知っている筈の彼がそうして憤慨していたのが珍しく印象に残っていた。

 アルファルドも冬はそれなりの寒さと言うが、今は夏であるし流石に暖房器具は売っていないだろう。だからこれは完全な揶揄だ。

 空調器具でなくとも、他に魔具のようなものを扱っているかもしれないから、後でそれも見てみよう、と締めくくって、寝台に沈んだ。]*
(119) 2021/04/16(Fri) 7:33:41

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

[ 暫く女性の姿でいるつもりだと提案すると、暫し彼は考え込むような素振りを見せた。
 自分が容姿を変えるのを、彼が好ましく思ってない事は感じている。
 まだ出会って日も浅い頃、君が望むなら女性の姿でいても構わないと伝えたことに良からぬ印象があるのだろう。
 男であっても女であっても自分であることは変わらないのだからどちらでもよいようなものだ。環境を整える程度、壁紙の柄を変えるような気安い提案のつもりであったが、そこに彼に喜んで欲しいとの気持ちが潜んでいることに気付かされた。

 旅人と宿の主との枠組みを越え、ただの友人としての時間を過ごすようになっても、どちらにも成り切らぬまま慣れた姿で過ごし、彼が望むからという理由で変化を申し出るのを躊躇う程、未分化の自分をそのままの在り方でとダンテは受け入れている。]
(-69) 2021/04/16(Fri) 7:34:50

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

 子どもじゃないんだから……

[ 眠気の波に揺られながら、彼が発する言葉を固唾を飲んで見守っていると、戯けたような口調で肯の意味合いの言葉が返ってきた。

 安堵と共に深く息を吐く。
 こめかみに鈍い痛みを覚える眠気の為に、彼の意にまで気を巡らせること叶わなかったが、取り除ける危惧なら全て取り除いておきたかった。男の姿も取れる自分なのだから、同性愛と図られるなら厳密には異なるが、この国で法がどのような運用を行われているかわからぬ以上、安全策を敷くに越したことはない。
 自分ひとりなら大抵のことはどうにかなるが(どうもこの辺りの信用は彼に得られていないようだが)、ダンテを無用な危局に晒したくない。

 安心すると、睡魔の波はあっという間に自分を拐ってしまった。]*
(-70) 2021/04/16(Fri) 7:38:09

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 眠りに就くまで、ひとつ、ふたつ言葉を交わすのがやっとだった。掴んだ裾をいつ手放したのかも覚えていない。

 次に目を覚ますと室内には既に夕闇が垂れ込んでいた。]

 起こしてって言ったのに。

[ 大方、眠り込んでいる自分を気遣いなどしたのだろう。旅の連れの姿は室内にあっただろうか>>115。窓際に設置された椅子と、卓の上には既に温くなった白ワインのボトルが半分以上残されている。喉の乾きを思い出したように覚え、未使用のグラスへ注ぐと一息に煽る。

 葡萄の果汁を玻璃に満ちた水面へ流した様な夕空はまだ明るいが、地では人々の営みが洋燈を赤赤と広げており、窓から見える景色は大層美しい。
 この宿を選んで正解だったと思う。

 簡単な着替えをまとめてバスルームへ足を運ぶと、使用された形跡はあっただろうか。真鍮の湯の栓を開いた。]**
(120) 2021/04/16(Fri) 7:40:26

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス


 知ってる、特別に思っているから

[ 眠れるという安堵かヴィは既に薄ぼんやりとしている。子どもじゃ無いんだからと言うからそう返した。

 彼を幼い子のように扱っていたのなんて、単に構いたいだけなんだろう自分は。ヴィは自分よりも長く生きてきただけの処世術がしっかりとある。

 理解しておきながら尚自分に甘えて欲しいというわがままだ。]

 …

[ もう殆ど眠ってしまったように見える、袖をつまんだ手指は自然と解けてしまって惜しいと思う。
 帽子をかぶっていたせいか額に張り付いていたヴィの白金の髪を指で撫で。*]
(-74) 2021/04/16(Fri) 15:26:20

【人】 宵闇 ヴェレス

 次の冬には君が満足する暖房設備を準備しておくよ。

[ 朗らかに>>128、けれどやはり北国以外の暖房設備が許し難いといった彼の様子に、寝台に横たわりながら噛み殺すに似た笑いは伝わったろうか。

 北国の冬は下手に空調に手を抜くと死につながる。
 自分も元は北方の出であるから、長い冬を宅内で快適に過ごそうとする文化は承知しており、彼の言いたいことはわかるのだが、それでも初めて出会ったのは春から初夏であったから、その冬に彼が訪れた時の、室内で暫く外套を手放さなかった理由には目を丸くした。
 自分が寒さに強いと言うより無頓着であったせいもあり、不自由をさせたのを恐縮したものだ。

 また来る、と 旅立つ時に彼は言った。その言葉通り、纏まった休みが取れると、そうでなくとも旅の所用で近くを通りすがる事があれば、彼は自分の元へ顔を出してくれた。

 また次に会う時、と約束に約束を繋ぐようなところがふたりにはあり、この旅行も以前の旅行の合間に約束したものだ。
 次の冬もダンテが訪れてくれる。それを言外に望みとして滲ませている。

 言葉はすぐに寝息に変わった。]*
(162) 2021/04/16(Fri) 22:43:42

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

[ どうして自分は眠ってしまわなければならないのだろう。
 慰撫するような彼の言葉の響きに痛切に思う。

 彼を自分の夜に伴いたいとは思わなくとも、彼が傍に居る時に、意識を手放し眠ってしまう事が惜しい。彼と共にいる限られた時間の全てが惜しい。

 裾を掴んだ手が、眠りの間も傍にいて、と、眠気の最中にむきつけになる欲のままに彼の手を探して自由にならず、そのまま寝台へと落ちる。]*
(-89) 2021/04/16(Fri) 22:45:01

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 寝穢い質である方は自覚している。寝入って間もなく、ルームサービスが訪れたことも、ダンテが浴室に湯を溜める音>>129にも眠りを妨げられることなく寝息を立てた。
 靴音を吸い取る柔らかな絨毯、厚い壁と、宿銭に見合う設備もあっただろう。

 ダンテは宿に着いた時よりも幾分小ざっぱりとした様子で、自分が起きた様子を認めると長椅子より身を起こし手にしていたメモ帳を閉じた。

 自分が寝入った後、外出した様子はない。窓際の卓に、空になったサンドウィッチの皿がそのままになっている。]

 それはいいんだけど。

[ 酸味のある白ワインは冷えておらずとも喉の乾きを癒すと共に爽やかに口を濯ぎ、すぐに空にしたグラスにまた半分ほど酒精を満たした。]

 退屈じゃなかった?

[ 眠っていたとは知らずそう問う。寝台には自分以外が横たわった形跡がないからだ。本を読んだり、書き付けをしたり、街に出回ったり、太陽の高い時刻自分が寝入っている間も彼がひとりで時間を使えるのは知っている。

 けれど折角の旅先であるというのにだ。]
(166) 2021/04/16(Fri) 23:29:32

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 平均的な人種の寿命を持つ彼を、長命の自分につきあわせる事に負い目がないと言えば嘘になる。昼夜が逆転している自分の生活時間に彼を添わせることに素直に肯えないのもそのひとつだ>>77

 けれど旅先では同じい時間に活動しようとなると、どうしても夕から夜に彼をつきあわせてしまう事が多い。
 自分に合わせ夜更しをする、と意気込む彼が、夜半に寝入ってしまうのを眺めて深夜に本を片手に過ごす時間も悪くないが、自分が眠りに過ごしてしまうのは酷く勿体無く感じる。

 浴室を先に使ったと詫びる彼に気にしなくていいと手を振ると、眠気覚ましと身支度を整える為に浴室に入る。

 金属の鈍い光を放つ湯側の栓を開くと、待つことなく温かい水が手を濡らした。ダンテも充分に足を伸ばせるだろう広さの猫脚の浴槽へ湯を溜める事に魅力を感じなくもなかったが、うかうかしているとすっかり遅い時間になってしまう。髪だけ洗い、シャワーで済ますことにした。]

 ……そういえば、これは予定していなかった。

[ 水気は拭ったがまだ髪に湿り気を残したまま、着替えたシャツの袖を捲くりながら浴室を出る。
 筋張りを見せていた身体の線は幾らか柔らかく、頬も少し丸みを帯びている ふたまわりほどサイズの大きな衣類に辟易しながら、見せた姿は女性のもの。]**
(167) 2021/04/16(Fri) 23:31:40

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス


  はあ、別の心配が増えるよ

[ 絶対に街中では離れないでねと添えた。*]
 
(-94) 2021/04/17(Sat) 0:18:57

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 昼前、ヴィの手が自然と外れて、そのあとも少し探すような仕草をしていて。手放したものを探す様に見えて、あの時指先に一瞬触れた。

 抱きとめて抱えて眠ってしまえればどれだけ幸せなのだろう。今もまだ何か触れがたいものに触れるような躊躇いが自分にはある。

 初恋を餌にと、あの胸が痛むような彼への触れが、ありふれたものとは思えなくて。いつだって許しが欲しいと思ってしまう。*]
(-95) 2021/04/17(Sat) 0:57:02

【独】 宵闇 ヴェレス

/*
赤!!!!!!!!!!!!!!!!
(-96) 2021/04/17(Sat) 1:16:05

【人】 宵闇 ヴェレス

 ベッドで寝ればよかったのに。

[ 自分が休んでいる間、ダンテも少し眠っていた>>168と聞いて眉を寄せる。
 広い寝台はふたり四肢を伸ばしても眠れるくらいの余裕がある。
 ひとりで街に出ることに懸念していたから>>45、眠っていたと聞けば寧ろ安堵したが、表情を曇らせたのは別の理由だ。

 書き付けをしていたと言うから、暇を持て余していたのではないだろうことはよかった。旅先の情景を詩文にして彼はよく見せてくれた。そのうち一冊の本に纏めるのだと言う。出向いた先では仕事柄陰鬱な成り行きも多いだろうのに、彼の筆先は翳りよりも光彩を輪郭に描き出しているようで、それも彼の人柄故かと思う。時偶求められれば簡単な校閲を行うこともあったが、詩文は自分の執筆する分野とは異なるからたいそれたものではない。単純に彼が書くものが好きだった。

 彼の昔の初恋の詩篇を目にして、その煌めきが自分にはもう決して手に入らない事に愛惜を覚える程。]

 まとまったら見せて。

[ メモ止まりだと言うから、草案の形にもなっていないストックだろう。旅の合間に形になるかもしれない事を思うと楽しみだ。
 そう言い置いて浴室に向かう。]
(171) 2021/04/17(Sat) 1:42:46

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 浴室を出ると、見慣れないが故に戸惑ったのか、女性の形をした自分を認めダンテが口噤む様子で>>169、所在無げにその視線に身を晒す。]

 男性の方になる用がなくてよかったよ。

[ 暫くして、寸の合わない自分の衣服に、服を買わなければいつもの口調で彼が言う。それに合わせる形で自分も軽口を叩く。
 男性の姿であれば普段より、いやダンテの身長をもゆうに越す体格であるので、服を買いに行く為の服がない、などという事態になりかねなかった。

 袖は捲くっても下衣のベルトは一番に絞っても弛く、今までの靴は歩き難いだけであるので、海辺を歩く為に誂えたサンダルに替えた。]

 靴も買わなきゃ駄目かなあ。

[ だらだらと登った坂を今度はだらだらと下る。宿に帰るときにはもう一度登らなければいけないが、荷物がない分楽だろう。

 陽が暮れても外気は名残の熱気が未だ残っており>>131、冷えるとまで行かず風があればなお心地良い。]

 服を見てから食事でもいい? お腹すいてない?

[ 市へ近付くと、幾つか早仕舞いの露店もあったが、それと入れ替わるように酒や軽食の屋台が出ており昼とはまた別の活気がある。
 夜は何処かの酒場に入ろうと考えていたが、おそらく飲食の店は遅くまで開いても服飾の店はそれより閉じるのは早いのではないか。

 いつもどおりに話し掛けているつもりでも、何処か間合いがずれる。見上げる位置が違うからだとすぐに気付いた。]

 変な感じ。
(172) 2021/04/17(Sat) 1:44:32

【秘】 宵闇 ヴェレス → 祓魔師 ダンテ

[ 一度だけ彼の前に女性の姿で現れた事がある。
 特段種族の事を隠している訳ではなかったから、知人から男性の形でいた自分の話を耳に入れ困惑する彼に、見せた方が早い、と思って形を変えた様を見せたのだ。
 その時も彼は、同じ様な反応を返していたのだったか。驚き、という点ではまだ薄いか。]

 何が。荷物のこととか?

[ 女性であれば多少は筋力は劣るが、それでも人種ほど非力な訳でもない。それにこの形でいるのは当国に滞在している間だけのつもりであるから、その点は恐らく問題はない。
 離れないでね、と添えられるのにダンテもね、と返すが、この姿であるならダンテと連れ合ってもいらぬ邪推は受けないだろうが、治安における心配は変わらぬままだ。ゆるい坂を下る間、市街地に着く前、逸れないように隣を歩く人の指に自分でも頼りなく思える指を掛けた。]**
(-97) 2021/04/17(Sat) 1:48:23

【独】 宵闇 ヴェレス

/*
ほんとめちゃくちゃ……めちゃくちゃ書きやすいからねこちゃんに感謝しかない……ありがとう……ありがとう……
(-99) 2021/04/17(Sat) 1:51:28

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

 

 ふふ、もう、君は自分のことにほんとに無頓着だなあ
 
[ 自分のわざとらしいため息に、彼は荷物のことか的外れな言葉を返す。今のヴィは20代かそれよりも若いくらいに見えるし、何より可愛らしい。そのうえ、いかにも非力そうだ。
 
 未分化の時でもヴィと物理的な力比べをしたら自分の方が多分負けると思う。だから女性体の華奢な様子でも、見たままではないと思うから、何があってもヴィは対処できるからの無頓着さなのだろう。]

 僕が君のことが心配なだけ

[ ヴィはヴィで自分のことを非力なものとして心配しているかもしれないのだが、自分も危機察知と対処法くらいはそれなりに。
 こうして考えればお互い様なのかもしれない。*]
(-101) 2021/04/17(Sat) 3:47:52

【秘】 祓魔師 ダンテ → 宵闇 ヴェレス

[ 華奢な指が自分の差し出した手にかけられた。ひんやりと低い体温が自分の指に伝わる。指同士で繋がり、ヴィの歩くペースで夕暮れの道を歩く。

 その手を握りしめてしまいたいと考えるのは、まだ彼を逃すかもしれないという執着心の表れだったのだろうか。*]
(-102) 2021/04/17(Sat) 3:49:47
 




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Bokuyume. by 卜部
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