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【赤】 奔放 メイジ今度は、瞬きも忘れて数拍、動きが止まった。 「……あはは……」 気の抜けた笑いが出た。そりゃあ、バレるよね。 さすがお医者さん目指してる人だ、と零す。 「……たぶん、セナさんが考えてるとおりで 合ってると思うけど……」 視線を逸らし、あなたの首元。 手持無沙汰にくるくると自分のくせ毛をいじりながら 躊躇いがちに、ぽつり、ぽつりと話し始める。 ここまで言われてるなら、もういっか、と思った。 「………オレさ、」 「小さい頃から親父に暴力振るわれてたんだ」 「……情けないから、自分でつけた傷ってことにして…… ごまかしてたんだけど、むずかしいね」→ (*13) 2021/06/29(Tue) 18:21:12 |
【赤】 奔放 メイジ「親父、ずっと家に閉じこもってて、酒ばっか飲んでて なんかあるとすぐ怒鳴るし 何考えてるのかわかんない人だったなー……」 この小さな村だ、近所によくない噂は伝わっていた。 戦争から帰って来てからずっとそうだった、と。 「母さんはね、昔は優しい人だったって言ってたけど オレにはそうは思えなかったな。 そんな母さんは勝手にしんじゃったしさ オレにはなにも理解できない親父だったよ」 そして親父のことを過去の人間のように語った。 「セナさんはオレのこと心配してくれてるのかな。 それとも情けない男だと思ってるかな。 でも、きっと、オレのこと軽蔑しちゃうよ。 オレ、そんないい子じゃないからね」 そう、これは腕の傷と直接関係ある話ではなかった メイジは、まだ隠していることがある。 (*14) 2021/06/29(Tue) 18:23:27 |
【独】 奔放 メイジあんまり被虐待児キャラつくったことないんですけど この包帯ぐるぐるっぷり、リョナ向きでしょって思ってしまい でもずっと目が笑ってないところがすきです。 あと肩書ぜったい奔放じゃないだろ逆だろって思う (-158) 2021/06/29(Tue) 18:32:27 |
【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク大人は笑顔の下になにかを隠すのが上手だ。 あなたもそうなのだろうか。 だからメイジは、嘘に気づくはずもない。 「……うん。ロクさんが教えてくれるならね。 ここでしばらく過ごすことになるだろうし…… ちゃんと名前も覚えたからね〜」 仲良くすることに越したことはない。 この状況で争いを起こしたくはないからだ。 「……触るのはちょっとくらい、いいよ。 突然掴んでこなきゃ平気。ロクさんって面倒見がいいね〜 消毒液とか借りてこないとね。こっそり」 そこでようやく立ち上がる。 それがある場所を知っているらしい。 もしかしたら以前にも借りたことがあるのかもしれなかった。 (-165) 2021/06/29(Tue) 19:31:35 |
メイジは、ニエカワの病室にやってきた。二階って雨漏り大丈夫かな。 (a19) 2021/06/29(Tue) 19:33:17 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ「お邪魔しまーす。貸し切り?」 個室を珍し気にきょろりと見渡す。 メイジも怪我で入院したことが何度かある その時はいつも、誰かのいる病室だった。 「ベッド一個しかないけど…… 布団とか借りてきた方がいいかな」 手招きされるままにやってきて、ベッドに腰かけた。 リョウのいる部屋で寝ようとは、てっきり他にもベッドがある ことが前提で言っていたのだった。 (-166) 2021/06/29(Tue) 19:46:10 |
【独】 奔放 メイジランランラン♪みんなやさしいよ♪ オレにやさしくするなよ♪どうせ死ぬんだぞ♪♪♪ 狼も三日目までにどっちか死ぬんやぞ♪♪ なんてこったい♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ (-167) 2021/06/29(Tue) 19:52:24 |
【赤】 奔放 メイジ「…………そう……」 見開かれたままの片目が、色のわからない細い目を見下ろす。 説得するような声色からは、あなたの今までの経験を 物語っているように思えた。 「そっか、生きる為、か」 生きる為なら何をしてもいいんだろうか。 脳裏を過った言葉は声にはならなかった。 「本当の戦場のことなんて表面上でしか知らないけど…… 親父みたいにだけはなりたくないって思ってるんだ」 ──父親のようには絶対なりたくない。 それは何かの呪いのように、ずっと己の影につき纏っている。 「……心配してくれてありがとう、セナさん。 こんな話、はじめて人にしちゃったな〜……あはは……」 表情は相変わらず薄笑いを浮かべている。 まだすこし濡れたままの髪から、水滴が落ちた。 (*17) 2021/06/29(Tue) 22:42:22 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ本当に大変だな、一体どんな病気なのだろう。 思いを巡らせるだけで、深く尋ねはしない。 「……オレが寝たら余計に暑いと思うけど」 それにあなたは病人だ。頭を掻いてへらりと笑いつつも。 仕方ないなあと言わんばかりにベッドに横になる。 「やっぱ狭いね」 少し楽し気に笑った。 こんな状況なのに、友達の家にお泊りにきたみたいな気分だ。 もっとも、そんな経験なんてはじめてだけれど。 (-175) 2021/06/29(Tue) 23:04:06 |
メイジは、病院の一室からこっそり救急箱を拝借した。 (a20) 2021/06/29(Tue) 23:28:50 |
【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク「……アユミセンセーも忙しそうだしバレてないよね。 わりとかすり傷だし、赤チンで治らないかな?」 赤い色をした消毒薬のことである。 病院名が書かれた木箱を、ついてきたあなたに渡してから 「よろしくおねがいしまーす」 手当が始まれば、素直に傷のある右腕を差し出す。 急に触れられなければ平気だと言いつつも そこには少し緊張を孕んでいるようには感じるだろう。 (-177) 2021/06/29(Tue) 23:30:06 |
【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク「……オレ、誤魔化す気満々だった。 動けるくらいはさ、全然かすり傷じゃない?」 そう言うが、木の枝が刺さったと言っていた 血が滲んだ傷は、爪で抉ったようなひっかき傷を 上書きするように数か所、痛々しく残っている。 メイジはぴくりとも動かず 黙って、あなたの様子を見つめている。 (-182) 2021/06/30(Wed) 0:49:44 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ「……そういうものなんだ……寂しい? オレ……こうやって誰かと一緒に布団寝るの初めてだ」 仰向けになって、手を頭の後ろで組んだ。 人との接触に恐怖を感じるゆえ、若干の緊張を孕んではいた。 「トーキョーって高い建物いっぱいあるんだよね。 その中でもトーキョータワーっていう すごい高い建物があってさ…… 日本一ってきいたけどほんとかな」 「あと村で見たことないのは……喫茶店とか……? あいすくりんとかぱふぇとか、つめたくて甘くて 美味しい食べ物があるんだってさ」 職場とかで耳にした話。 口振りから、食べたことはないようだった。 「給料はほとんど実家に仕送りしてたし 遊びに行ったわけじゃないから オレもまだまだ知らないことだらけだけど──」 面白いと感じたことや、楽しいものを話していくと 悪いことだけではないのだと気づかされた。 (-198) 2021/06/30(Wed) 12:59:41 |
【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク「…………!!!」 嗅ぎ慣れた消毒液の匂い。 電流が走ったように腕から伝わる痛み。 声にならない悲鳴をあげた。 若干腕に力が入るものの、じっと耐えている。 「あー……いたたた……」 傷が拭われている間にあげていたのんきな声は 投げかけられた問いでおとなしくなる。 なにを聞かれたのかは理解していた。 若干俯き気味になり、しばらく沈黙したのち ……小さく首を縦に振った。 「ロクさん結構手慣れてるね」 そしてあからさまに話題を逸らそうとしている。 (-204) 2021/06/30(Wed) 14:02:41 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ「……そっか。話し相手くらいなら いつでもなってあげる」 この最悪な天候に、状況に、少ない食糧 避難してきた人数。贅沢はできないと聞いた。 助けはいつくるのか、不安の種が芽吹いているなか なんでもない話をするのが、メイジにとっても慰めになっている。 「日本一高い……天国にも届きそうなくらい、かな」 天井に手を伸ばしてみる。 この傷だらけの短い手では到底に届きそうもない。 「家、貧乏だから、オレががんばるしかなくてさ」 この村の住人ならば噂を聞いたことはあるかもしれない。 メイジの母親は数年前に『自殺』で亡くなったこと。 父親といえば定職にもつかず、いい噂を聞かないことも。 「リョウはさ、家族に大事にされてるんだろうね。 じゃなきゃ入院なんてさせてくれないだろうし。 君は病気を治すのが仕事だよ」 (-205) 2021/06/30(Wed) 14:47:37 |
【赤】 奔放 メイジあなたのお願いに素直に頷けば、 「ねえ、セナさん」 その背を一度呼び止めた。 あなたがどう反応しようとも言葉を続ける。 「今度、セナさんの話も聞かせてね」 それはなんでもない身の上話かもしれないし 親父に教えてもらえなかった戦時中の話かもしれない そしてまた後でね。と笑った。 やがてメイジも言われた通り、一階の部屋へと向かう。 ……妙な胸騒ぎと違和感を覚えながら。 (*21) 2021/06/30(Wed) 16:21:40 |
【独】 奔放 メイジセナハラに、子供に""猿""を解体するの手伝わせる という罪負わせてしまったが、もう戦争は始まってるからな 生きる為ならしかたねえな!!! (-213) 2021/06/30(Wed) 16:29:00 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ「……うん、もちろん。 オレたち、もう友達……だよね」 伸ばされた手は、力なく降ろされた。 止まない雨はないはずだ。あなたのほうへ顔を向けて できるだけ不安にさせないようにと、片目を細めた。 「でも、きっとこれからもっと出世して 大人になって、なんでもできるようになるんだ」 日々進化し続ける文化みたいに、のし上がりたい。 「親父みたいにはなりたくない」 そう語る声には、冷ややかな温度が混ざっていた。 「定職にもつかないで、家に閉じこもって 酒しかのんでいないような、人間にはね」→ (-222) 2021/06/30(Wed) 18:12:36 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ「……もう寝よっか。起きててもはらぺこになるだけだし」 いやな話してごめんね、と付け足す。 病人をいつまでも起こしておくのも、よくないと思った。 できればあなたにはよくなってほしいからだ。 (-224) 2021/06/30(Wed) 18:21:25 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワあなたは気づいただろうか メイジの父親の訃報は、噂ですらひとつも流れていない。 けれど、もしかしたら台風で流されてしまったと メイジが勘違いしていたと思うこともできた。 「……うん……ありがとう。 オレ、これからも頑張るよ」 「おやすみ、リョウ」 聞こえてきた小さな願いに、微笑む。 重ねられた手に、安らぎを感じながら メイジはそっと目を閉じた。 (-229) 2021/06/30(Wed) 19:39:17 |
【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク「……そうなんだ。ロクさんも医者だったの? それとも、戦──」 頭に手を置かれる寸前、びくりと身を縮めた。 けれどあなたの手に粗暴さを感じなかったゆえか 蹲ったままじっと耐えるように目を閉じているだけだった。 「……あ」 「──りがと、手当てしてくれて……」 やがて眼をあけると、へらりと笑った。 (-230) 2021/06/30(Wed) 20:08:10 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ雨と風の音だけが響き渡る暗闇の中。 雨戸から吹く隙間風の音が誰かの悲鳴のように聞こえた。 がたがたと雨戸が揺れる音に、びくりと身を縮める。 メイジは目を開けた。閉じてからそんなに時間は経ってない。 ──あなたが、すっかり寝静まったのを確認すると メイジはこっそりと、ベッドを降りた。 掛け布団をかけなおしてやり、足音を立てないように 部屋を出て行った。 (-231) 2021/06/30(Wed) 20:27:21 |
【人】 被虐 メイジ風のうなる音、ガタガタと雨戸が震えている音にすら メイジは時々恐怖を覚えることがあった。 罵声、怒声、物を投げる音、壊れる音。 いろいろなことを思い出す。 「……オレ、帰れるかな」 ひとり呟いた言葉は雨音にかき消えた。 (76) 2021/06/30(Wed) 20:50:49 |
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