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【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[どうして泣いていたのかなんて知らない。 喧嘩でもしたの?怒られちゃった? あれから変わりなく「リカちゃんパパ」をしてたんだから あたしたちの関係は、奥さんに知られてはいないんでしょう? それなのに何があったのか――ちゆは、知らなかった。] ……大丈夫、ちゆがいるよ。 [何が大丈夫かなんて知らない。 それでも、ちゆは側にいたんだよ。 今だってあなたの側にいるの、だから。 あやすように背を撫でる。 男の人の泣く姿を見るのは、初めてだった。 だけど知らないタイガさんの顔、また一つ知れたって ちょっぴり嬉しくなったことは内緒。] (45) 2021/07/15(Thu) 21:08:58 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[彼が落ち着くのを見ればベンチの隣に腰掛ける。 そうして語られた事実を知る。 ちゆの知らなかったこと、 いつもリカちゃんと二人だった理由。 奥さんの姿を一度も見たことがなかった理由。] 辛かった、ね [いつかの別れ際みたく視線は足の先に向けたまま 深刻な声で同情を口にした。 ――それもまた、半分くらいは演技だった。 なんだ、もうとっくに壊れてたんだ。 ] (46) 2021/07/15(Thu) 21:09:21 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[仲良くやってるんだと思ってた。 ちゆじゃない女の人のところへ戻って ちゆの知らない時間を過ごしてるんだと思ってた。 どうせ一番にはなれないんだ、って だから壊せなくて、諦めてたんだよ。 でも、奥さんがもういないんだったら あなたの最愛がこの世界にいないんだとしたら 今度こそちゆを選んでくれるのかなぁ、なんて 自分勝手な酷い考えは あなたが知ったら幻滅しちゃうのかな。] (47) 2021/07/15(Thu) 21:09:58 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里……なんにもできないけど、 話だったらちゆが聞くよ。 [頬に手をやるタイガさんを、 出会いがけのソファでそうしたみたいに覗き込む。 微笑んだのは優しさで、明るい声色は思いやり。 ――本当だよ?だってちゆ、「良い子」だもん。] えへへ、普通にしてたよ。 タイガさんのことずっと考えてたかな。 [はにかんで笑ってみせる。別に、嘘はついてない。 タイガさんのこと、ずっと見てただけ。] (48) 2021/07/15(Thu) 21:10:17 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[だけど三つ編みのやり方を聞かれたら つり上げた唇の端がふっと落ちてしまう。] できるけど、なんで? [覗き込む顔を正面に戻して尋ねた。 目的なんか聞かなくたってわかるけど。 そっか、結局「リカちゃんパパ」のままなんだ。 ……そうだよね、そりゃそうだ “普通”はお父さんかお母さんと一緒だもんね。] (49) 2021/07/15(Thu) 21:10:48 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[今度こそ彼を手に入れられると思った。 今度こそちゆのことだけ見てくれると思った。 今度こそ愛し続けてくれると思ったのに 今度はあの、小さな子どもがいるなんて。 なんでかな、もどかしいの。 愛しても愛しても愛しても愛しても いつまで経っても報われないの。 ちゆだって「良い子」にしてるのに、 欲しがっても掴んだ手からすり抜けてしまう。 それなのに、] (50) 2021/07/15(Thu) 21:11:21 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里……娘さん、いくつなの? タイガさんの子どもなら、 きっと可愛いんだろうなぁ。 [タイガさんの注いだ種で 知らない女の人のお腹から生まれたあの子が ひどく羨ましくて、恨めしくて。] ねぇ、ちゆも会ってみたいなぁ。 [――――狡いよ、リカちゃんは。*] (51) 2021/07/15(Thu) 21:11:41 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[一番じゃなくてもいいやって、一度は確かに思ったの。 だってちゆには届かないと思ったから 彼には奥さんがいて、リカちゃんがいて、 そこに入り込む隙間を見つけられなかったから。 ――――だけど今は違う。 目の前に彼がいて、彼の愛する奥さんはもういない。 タイガさんをちゆだけのものにして ちゆがタイガさんだけのものになって、 二人で「普通の」幸せな恋をするのに 邪魔なのは小さなあの子だけ。 期待しちゃうの、タイガさんのせいだよ。 そうやってちゆの目の前で泣いて 他の人に見せられないような弱いところを晒すから。 手が届くような気がして、欲しがってしまうんだ。] (63) 2021/07/16(Fri) 15:24:23 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里ふぅん、そうなんだ。 [タイガさんがリカちゃんの話を始めたら 鼻歌を歌うように暢気な声で相づちを打った。 今が夜で良かった。外が暗くて良かった。 目だけは笑えない、可愛くない笑みを浮かべてしまうのも 本当はそんな話をすこしも楽しいと思えない本心も 全部暗がりが隠してくれるから。] おしゃべり好きなんだ、可愛いね 一人でお世話するのは大変だろうけど…… [遠くの景色を見つめたままで返事した。 顔を見ない割に、絡めた指だけはぎゅっと握って。] (64) 2021/07/16(Fri) 15:24:35 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[ごめんね、ちゆはやっぱり子どもが好きじゃないみたい。 彼が笑うのを聞けばつられて笑って、 「タイガさんの子どもだもんね」なんて零して。 知ってるよ。 目のかたちも鼻筋も、 笑い方もよく似てるって。 それであなたに似てないところは 奥さんの面影を残しているんでしょう? 彼がちゆの方を向けば、笑ってみせる。 あの日より静かな笑みを浮かべてみせる。] 覚えてくれてたんだね、嬉しい。 連絡先も交換してなかったから、 もう忘れちゃって会えないと思ってた…… [ちゆはこっそり知ってたんだけどね。 さっさと掛けちゃえば良かったな、電話。] (65) 2021/07/16(Fri) 15:26:19 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[そうして彼が一つ、また一つ語り出す。 後悔だとか嘆きだとか、それと少しの愛だとか。 繋いだ手はちゆより冷たくて震えてた。 それでも熱は溶け合って、同じ温度に染まる。 あの夜みたいに寂しさを分け合って――だけど、 彼が知らない本心を伝えるつもりはなかった。 「愛」の形なんて知らない。 リカちゃんがどんなに大切かなんて知りたくない。 あの子がどんなに可愛くて 無邪気でかけがえのない存在だとしても ちゆにとってはタイガさんと誰かの子どもで いらない存在でしかないの。 ひどい?ひどいよね、分かってるよ。 でも、だって、だってさ、] (66) 2021/07/16(Fri) 15:26:39 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙だったらさ、 ちゆはタイガさんにとって――なぁに? [お嫁さんにして、なんてワガママは言わないけど あの子の「ママ」になんかなりたくないし、 そんな関係、ただの宙ぶらりんに思えてならないの。 あの子のことなんか忘れて、恋人ごっこすればいいの? ――ちゆのお母さんがしてたみたいに。 側にいたいよ、一緒に居たいよ、大好きだもん。 だけどそんな曖昧さじゃあ、満たされない胸が痛くて 問い尋ねた口元は、まだちゃんと笑えてたかな。*] (-215) 2021/07/16(Fri) 15:28:37 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[「幸せ」と聞いて、噛みしめる。 そうしてタイガさんの聞かせてくれた本心も。] ……そっか。 [彼がくれると言ったのは「一番」。 だけどちゆが欲しいと願うのは、求めてしまうのは 彼の手、言葉、愛情、時間――… 彼の隣で笑うこと。彼の側にいること。 タイガさんの人生の、唯一の大切でいたいって どうしようもない自分勝手だ。 「パパ」の顔したタイガさんの隣で笑えるのかな。 辛いときだけなんて、ちゆは、足りないよ。] (99) 2021/07/17(Sat) 18:14:37 |
【独】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[きっと、本当はそんなに良い子じゃないの。 大人みたいなことをしたって、子どもで 小さな女の子のこと「いなければ良かったのに」なんて 彼の言葉を聞いたって、まだ考えてしまうの。 あぁ、もしかしたらちゆも誰かに、 ――お母さんにそんなこと思われてたのかな。 愛が欲しい、恋がしたい、そんな身勝手で、 リカちゃんはちゆの子どもじゃないけどさ。 距離が近づく。彼の吐息が肌をくすぐる。 こうして二人の世界がうっすら見えたら いっそタイガさんを奪い去りたくなってしまう。 でも、それはダメでしょう? わかってる。分かってるから、] (-262) 2021/07/17(Sat) 18:15:04 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙……ごめんね、 [ぽつりと音を発して、繋がれた手から抜け出した。 覗き込む視線から顔を背けた。 ちゆの可愛くないところも綺麗じゃないところも 全部受け止めるって、いつか言ってくれたっけ。 それでもさらけ出せずにいるのは 自分でも嫌になるような本心だったんだけど。] ちゆ、リカちゃんのこと好きになれないと思う。 [思いがけずあっさりと、言葉が滑って] (-263) 2021/07/17(Sat) 18:15:37 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙可愛いなんて言ったけど、嘘。 タイガさんがリカちゃんの話するの 聞いててもあんまり楽しくない。 [そうやって続けたら彼はどんな顔をしたか。 目をみることが出来なかったから、わからないまま。] ちゆは、ちゆのことだけ見ててほしいの。 「パパ」じゃないタイガさんの方が好き。 ……だから質問の答え、 今はたぶん、あの夜みたいに幸せだって思えない。 [みっともなくてワガママで、 気付いてしまうのは自分の気持ち悪いところで。] (-264) 2021/07/17(Sat) 18:16:11 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙[顔を見られたくないからベンチを離れた。 寂しさを埋めるだけだったら、辛さに寄り添うだけなら 彼にはもっと素敵な相手がいるような気がしてしまった。 それなのに――背を向けたまま歩き出せなかったのは。] だけど……離れるのは嫌。 ちゆは、タイガさんが好きだから。 [かっこよく離れられるほど強くなかったせい。 ちゆを愛して、想って、受け入れてくれた、 あの夜に見せてくれた夢を忘れられそうにはなくて どろどろの感情を引きずったまま。] (-265) 2021/07/17(Sat) 18:16:40 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙[どうしたらいいんだろうね。 考えて、自分に問いかけてみる。 だけど今はどうしようもないって答えに行き着く。 そうして、せめてもの心当てに行き着いたのは] ……ずっと隣に居て。 ずっと、ずうっと。 ちゆがいつかおばさんになっても、 ちゆより若くて可愛い子に出会っても ちゆを一番に選んで。 それで、あたしのことだけ考えられる日が来たら タイガさんの心、全部ちょうだい。 [彼を振り向いて告げたのは、 寄り添うだけの存在にしては重たい約束。 「良い子」じゃないちゆの欲しがりだった。*] (-266) 2021/07/17(Sat) 18:16:53 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙[振り向いた先、ちゆより高い位置に目線がある。 一度乾いた目元がまた濡れて、くしゃりと歪むのを見れば 思わず困ったように笑ってしまう。] ……ふふ、子どもみたい。 [愛おしげに目を細める。 好きな人が相手じゃなきゃそんな反応はしなかった。 狡いよね、それでも好きになっちゃったんだから仕方ない。 今日のあたしはあんまり良い子じゃなくて、 今日のタイガさんもあんまり大人っぽくなくて 初めて目にする表情は、 彼をまた一つ知れることはやっぱり嬉しいの。 結局離れるには好きすぎる、それだけのこと。] (-305) 2021/07/17(Sat) 22:52:00 |
【秘】 ぶろーくんはーと 真白 千由里 → リカちゃんパパ 敷島 虎牙言ったね? 本当に約束だよ、ちゆそういうの忘れないから。 [冗談めかして口にしたけれど、本気。 伸ばされた腕から逃げるはずはなくて、 重ねた唇はいつになくしょっぱい味がした。 それからあなたの目を見つめたら、 頬に手を沿わせて流れる涙は拭った。] ……あたしがおばあちゃんになっても、 大好きでいさせてね。 [そう笑えば、同じ顔をしてくれたかな。] (-306) 2021/07/17(Sat) 22:52:13 |
【人】 がーるふれんど 真白 千由里[――出会いは突然だった。 それが偶然か運命かは知らないけれど、 恋に落ちるには一瞬で、愛してしまえば消せはしなくて。 「お嫁さん」じゃない、「彼女」と呼んでいいのかどうか 一つだけ確かなのは「恋人」とかいう肩書きだったか、 そんな曖昧なものを背負って彼に会い続けた。 彼の家を訪れることは滅多になかった。 あの夜に宣言してしまった通り、 彼と血を分かつ小さな少女が受け入れ難かったから。 でも、それでもね 何度か遭遇する機会はあったかもしれない。 そんな折に彼はあたしをなんと呼んだか、 何でも良かった。幼い少女に物心が付く頃は 少しは大人になれていたと思うから。] (110) 2021/07/17(Sat) 22:53:38 |
【人】 がーるふれんど 真白 千由里[「ちゆりおばさん」なんて迷わず口にしたものだから 名前を覚えられた最初にはむっとしてしまったけれど 無垢で無邪気な子どもは躊躇いもなく笑う。 彼によく似た目元で、彼と同じ笑い方で。 あたしの胸の内なんて知らずに、笑ってみせるものだから。 お菓子を買った。女の子向けの玩具を買った。 タイガさんが悩んでいたのなら、 七五三や卒園式の衣装選びに付いていった。 「ママ」という呼び名だけは否定して 彼女が好きかと聞かれたら―― 「わからない」、と答えただろうけど いつかの感覚すら麻痺してしまったのか。 彼女の成長の様を見守るのはいつしか ]彼女が自立したその先への期待ばかりでもなくて。 (111) 2021/07/17(Sat) 22:55:57 |
【人】 がーるふれんど 真白 千由里[「普通の恋」がしたいと言った。 彼と過ごしたその時が普通だったかどうかは知らない。 ただ、ただあたしは彼を愛していて タイガさんの隣に居られることが幸せだった。 けれど一つだけ未練があるとすれば 空っぽの左手が目につく時がある。 形ばかりでもそこに証が欲しいと願うのは 困った欲張りさんになるかしら。 でも――――、] (112) 2021/07/17(Sat) 22:57:01 |
【鳴】 がーるふれんど 真白 千由里ねぇ、タイガさん。 ……お揃いの指輪、付けてみたいなぁ。 [「良い子」じゃなくてもいいと言ったのは彼だから、と いつかの言葉に託けて強請った――ある日のこと。**] (=26) 2021/07/17(Sat) 22:57:42 |
【独】 がーるふれんど 真白 千由里/* ご挨拶失礼します! Skyblueでそらです。村入ったり卓入ったりしてます。 シュレッダーさんお付き合い頂きありがとうございました! タイガさん大好きでした。 同村者の皆様も素敵な物語をありがとうございました。 また機会があればよろしくお願いします。 (-323) 2021/07/17(Sat) 23:56:29 |
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