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【人】 被虐 メイジ──曇り空に晴れ間が差し込んだ。 まだ道は塞がれたまま。助けがくるかもわからぬまま。 メイジの心も晴れぬままだった。 自分が騙した死者にまで、生きてほしいと言われた。 ──もっとも、まだ半信半疑ではあるが。 それは希望を与えられているようで、呪いのようなものだった。 雨戸を開ける。病院内の淀んだ空気に まだすこし湿った風が吹き込んだ。 (2) 2021/07/12(Mon) 16:42:25 |
メイジは、ミロクの死体を引きずって、手術室に運んだ。食料になりえるものは無駄にはできない。 (a0) 2021/07/12(Mon) 16:44:19 |
【人】 被虐 メイジ「………重い……」 ずるずるとシーツに包まれたままのそれを引きずる。 ここに運んでくるまで、きっと誰かが 見ていてもおかしくはないだろうが、今更だ。 メイジはこれから"以前教わったように" 亡くなった彼や自分の手で殺した人を、食肉にする気だった。 (3) 2021/07/12(Mon) 16:53:33 |
【人】 被虐 メイジ>>8 ロク 瞬いた瞳が、あなたの様子を一瞥する。 その心中を察することもできない。 メイジは、あなたとこの男の関係を知らないからだ。 真っ赤に染まった手で、汚れるのも構わず顔の汗を拭う。 一度や二度で慣れるはずもない。 こみ上げてきそうになる胃酸を必死で我慢していた。 思い出す。友達をそうした時のことを。 バラバラにされた手足や骨や、内臓が、剥いだ皮膚が バケツの中に溜まっていく。 もう生前の見る影もなくなっていく目の前の男 彼が死を選ぶことを、メイジは知っていた。 「……ミロクさんは、」 ふと思い出したことを、呟く。 なにか話でもしないと気が変になりそうだったのかもしれない。→ (9) 2021/07/13(Tue) 1:38:02 |
【人】 被虐 メイジ >>9 ロク 「ミロクさんが生きることを望む人はいなかったけど 死んで欲しいって望む人もいなかったって だから、死ぬことを望まれて嬉しかったって言ってた。 ついでにオレたちを生かせるなら悪くないって……」 あまり色のよくない、汗の滲んだ面持ちで オレたちってついでなんだって、とわずかに口元をつりあげる。 誰が彼の死を望んでいたかなんて、メイジは知らない。 「愛されたかったのかなぁ」 ぽつりと手を止めて、俯いた。ただの主観だった。 "人生最大の幸福は、愛されているという確信である" 彼が零していた言葉だ。それが死を望まれることと 直結するなんて、歪んでいると思いながら メイジは否定ができなかった。 そうして、ひとりの男だった者は自分らの糧となる。 (10) 2021/07/13(Tue) 1:43:49 |
【人】 被虐 メイジ>>16 ロク 「……違うよ……オレが殺したんだ。 "人の殺し方"を教えてくれるっていうから。 オレは、今まで……生きることを教えてくれた セナさんのことを利用して……」 メスを握る手が、震えていた。 これは建前だ。本当はわかっている。 自分の身を使ってまでやることじゃない。 やがてメイジは目を伏せて、ため息を吐いた。 「──勝手に死なれるより、その方がよかった」 「……いいんだ。オレはそうしたいんだよ。 痛みを分け合いたかったんだ。背負いたいんだ。 ……この気持ちを、忘れないように……」 もう動かない抜け殻を、バラバラになっていく それを見つめながら呟いた。 (17) 2021/07/13(Tue) 22:00:04 |
【人】 被虐 メイジ>>18 >>19 ロク 「……もし死者にでも会えるんだったら 文句のひとつやふたつ言いたい気持ちはあるけどね」 首だけになった彼をぼんやりと眺めた。 ……文句なんてひとつも出ない。今はただ、つらくて、寂しい。 そっと壊れ物を扱う時のように布に包んで、しまう。 ふと、沈黙を破るあなたの様子に首を傾けながら ぱちりと一度瞳を瞬かせた。 「うん、ありがと…… ロクさん。やっぱりやさしいね」 それは以前に手当してくれた時にも、思ったことだった。 やさしい大人、というよりは少し年の近い兄のようだと思う。 家族に例えてしまうのはメイジの悪いクセだが。 ほんのちょっと、心強さを感じながら素直に頷いた。→ (20) 2021/07/14(Wed) 2:17:10 |
【人】 被虐 メイジばしゃりと泥が跳ねた。 靴が濡れるのも構わずぬかるんだ道をふらふらと歩く。 ──外に出ようと思ったのは、晴れたからではない。 無駄に動いて、体力を消耗することは避けている。 薄くなった雲間から差し込む、わずかな光に目を眇めた。 外は、こんなにも眩しいものだっただろうか。 バケツをひとつふたつ、みっつ、運んでいく。 アユミの、ニエカワの、セナハラの。 あのまま置いておくのは、忍びなかったから、全部。 ミロクのはロクにまかせておいた。 気だるげに顔を少し上げると、濁った水が流れていくのが見えた。──この位置からは、メイジの実家は見えない。 「…………」 ゆるく頭をふった。適当な場所にバケツを置き しゃがみ込んで顔を伏せ、長い溜息を吐いた。 (24) 2021/07/14(Wed) 13:08:31 |
メイジは、探してきたスコップで穴を掘っている。無心で。 (a5) 2021/07/14(Wed) 15:05:21 |
メイジは、ざく、ざく、ざく、ざく、ざく、ざく。 (a6) 2021/07/14(Wed) 15:07:29 |
メイジは、それほど不慣れではないようだ。土とスコップがぶつかる音だけがしばらく響いた。 (a7) 2021/07/14(Wed) 15:08:49 |
メイジは、夢中で作業していたので、しばらく音が多いことに気づかなかった。 (a8) 2021/07/14(Wed) 16:39:12 |
メイジは、ふと顔を上げた。なぜか掘った穴が増えていた。 (a9) 2021/07/14(Wed) 16:40:30 |
メイジは、「 ? 」 (a10) 2021/07/14(Wed) 16:40:45 |
【人】 被虐 メイジ長い時間をかけて掘り、地面に深めの穴ができた。 なぜか増えていた穴にしばし首を傾げたが 考えることを放棄した。助かったので見えない誰かに感謝した。 メイジはじんわりと汗が滲んだ額を拭う。 せっかく替えてもらった包帯がまた少し泥で汚れてしまった。 ……そおっと、バケツの中身をひとつひとつ、穴の底へ。 別れを惜しむように睫毛を伏せて、土をかぶせていく。 そうしてしばらく、その前に座り込んで、手を合わせた。 ──どうか安らかに、なんて祈る資格はないかもしれないけれど。 (25) 2021/07/14(Wed) 17:47:08 |
【赤】 被虐 メイジ──ある人が言っていたことを思い出した。 "もし何か悪い事をしたとしても、それは生きる為にした事" いい子のままでは生き残れない。そう、メイジに説得してくれた時の彼は まるで自分に言い聞かせているようだったのを、覚えている。 それと同時に "自分のやった行いは許されるものではない" と、また別の人の言葉も思い出してしまうけれど。 それでも"死にたくない"とメイジは選び、ここまできた。 誰かを犠牲にしてまでもそうする術を教わって。 "僕は、たとえ死んでもきみに賛同し続けます" 覚えている。背を押してくれた言葉を、頭を撫でてくれた温もりを。 死後の存在に確信のない少年には 今でもそうであることを信じて、祈るだけだった。 それは"尊敬"に近くて、すこし"同情"にも似た感情。 彼が医師を志した理由をきいてしまったからだろうか。 (*0) 2021/07/14(Wed) 18:11:11 |
【人】 被虐 メイジ>>29 フジノ 「……ありがと。 そういえばオレもフジノのハンカチまだ持ったままだ。 家に帰ってさ、洗ってから返したいって思ってたんだ」 魚の缶詰を開けて、動物の如くにおいを嗅いでいた。 なんだか"猿肉"以外を食べるのは、久々だった。 いただきますと手を合わせて、味わった。 「オレの住んでる場所はね、──」 あなたが自分の名を書いていた紙に、書き記す。 ミロクが言っていた場所と近いかと言えば どうだろう。メイジの住んでいる場所は 少し見上げれば、赤い塔がみえるところだった。 「フジノまで会いに来てくれたらすれ違っちゃわないかな」 メイジは、頬杖をつきながら笑った。 (30) 2021/07/14(Wed) 20:01:18 |
【秘】 被虐 メイジ → 遊惰 ロク「……え? あ、うん──」 メイジは不思議な面持ちで封筒を受け取る。 さっさと立ち去ったあなたを、唖然と見送って 封のされてないそれを見つめる。 そういえば、手紙を置いておいたと 彼が生前言っていたのを思い出した。 ──中身は見ないでください、とも。 (-90) 2021/07/14(Wed) 20:47:48 |
メイジは、どうみても読んでと言わんばかりのその手紙を、開いた。 (a11) 2021/07/14(Wed) 20:49:28 |
メイジは、思わずつぶやいた「馬鹿じゃないの……」 (a12) 2021/07/14(Wed) 20:51:36 |
メイジは、泣いていた。 (a13) 2021/07/14(Wed) 20:52:24 |
傷痕 メイジは、メモを貼った。 (a16) 2021/07/14(Wed) 20:54:50 |
メイジは、フジノと約束をした。また会えますように。 (a20) 2021/07/14(Wed) 20:58:47 |
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