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【恋】 高等部 ラピス学舎の外のお花畑。少し長めの休み時間。 園芸部が育てているのとは違う、自然にある場所。 年少の子達に混ざってシロツメクサの花冠を編んでいる。 手元を見せながら、ここはこう編むんだよと教えてあげる。 一人でできるかな。一人でできたね。 思い思いに作られたそれぞれの花冠に小さな拍手を送った。 そんな日常の1ページ。 (?1) 2022/05/01(Sun) 9:23:38 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 高等部 ラピス「こんなに綺麗な病気が存在するんですね……。 ここまで広範囲ですと手術で取り除ける部分を越えています。 治療法と再発防止を見つけることが先決でしょうか〜…… 私実習生になれたのに、まだ皆さんのこと 沢山聞かされているわけではなくて。 もどかしくて、少し情けないです。 治し方も、知っている先生はいるかもしれませんが…… 知っていれば行動に移しているはずですよね 」絶対の信頼を持っているのか、はたまた逆か。 一人の人間が思ったことが可能であれば、とっくに対処はとられているだろう。つまり、方法が見つかっていないか、あるいは態と放置をされているか。 あからさまな異変を持つ生徒たちを前にすると、嫌でも気付いてしまった。 「動かせる技術は学校の外でみたことがあります。 それはお金がかかって偽物の手をつけることになりますけど。 好きですよ〜、この色。 髪のメッシュも一緒で、私ともお揃いですね。 でも、君は嫌いだったりしますか……? この手のこと」 (-68) 2022/05/01(Sun) 13:29:26 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス晴れ晴れとした日の降り注ぐ庭が暖かな印象を受ける。 ぽかぽかと黒い衣服に陽光を受け続ければ服の下の空気もあったまって、 ちょっとだけ眠気さえ誘いそうな様相だ。 貴方に倣ってベンチに座ってから、問いかけがあるのを待つ。 黒板に刻まれていく文章が指す意味を少しだけ考えるような間があって。 「……それは」 「"どの"」「病気の話?」 「治したい」「けど、治るかわからないものもある」 「治ったなら、いいけれど」「治るとなにがいいのか、わからない」 哲学じみて受け取られそうな問答は、単に言葉を扱うのが不得手だからだ。 漠然としたものを掲げるような言い回しは、貴方の問いへの答えになっているだろうか。 困ったように下がった眉は、何に対して困っているのだろう。 (-69) 2022/05/01(Sun) 13:34:06 |
【赤】 高等部 ラピス『イシュカさんですか。 私も良いと思います』 うん、とひとつ頷いた。 交流があるのなら連れて行くのもやりやすいだろう。 今回連れて行く相手は決まりだ。 『それでは、今回はトットくんに任せましょう。 よろしくお願いしますね』 (*29) 2022/05/01(Sun) 13:42:23 |
【秘】 高等部 ラピス → 月鏡 アオツキ『好きでも嫌いでも、ないと思います』 硬質化した皮膚。 まるで鎧のように身体を包んで蝕んでいくような。 手を握って開く。 その度に少し軋むような感覚を訴えてくる。 今されている治療は、抑制効果のある薬を飲むだけ。 大人が言うには、それ以上のことは"研究中"らしい。 『ただ、手が動かしにくくなるのは困ります』 長い施設での生活で文字を書くことにも慣れてきた。 けれど、また進行して支障が出るのは困ってしまう。 病が進むとどうなるのかは自分でも確証が持てないが、今より不便になるのは間違いないだろう。 『治るかわからない子ばかりだから、治るかもしれない子を優先するのは仕方のないことなんでしょう。 私もそれが合理的だと考えています。 外の技術で治るかもしれないのなら、尚更です』 (-72) 2022/05/01(Sun) 14:22:06 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『どの病気についてもです』 病気がいくつかあるのなら、全部。 あなたが抱えているもの全てについて。 『治ったら、外で気兼ねなく暮らせると言う子がいました』 『それをみんなが望んでいるかはわからないけれど』 『バットくんは外に行きたくはないですか?』 この施設に来てからというもの、自分たちは外を知らない。 外が良いものなのか悪いものなのか。 それも、見てみないことにはわからない。 ただ、未知への興味は少なからず己にもあった。 何かに困っているような顔。 真昼の陽だまりの中で、それを夜空色の瞳が映している。 (-74) 2022/05/01(Sun) 14:28:20 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス少しだけ目を丸くして、それからまたやっぱり困ってしまった。 少なくともこの問答を経て、或いは普段の生活を経て。 貴方を傷つけたかったり苦しめたかったりするわけではないのだ。 「ラピスは……」 言葉を選ぶ。言葉少なな物言いはいつも誤解を生みがちだ。 なるべくそうならないように、自分の中で織り込んでいく。 外の世界に望むもの。 育ちきった自身のかたちに望むもの。 答えるには、きっと青年と貴方では見えているものが違うのだ。 ひどく遠回りに、その差異を埋めようと頭を回している。 「お父さんとお母さんのこと、好き?」 「大きくなったら、何になりたい?」 質問を質問で返したなら、しょうがないと思われてしまうかな。 けれども今は、貴方の言葉を聞いてから話がしたかった。 (-77) 2022/05/01(Sun) 14:49:34 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット両親は、病気を治してほしくて施設に自分を預けた。 そこには確かに愛情があって、だからそれに対する恩義がある。 できることなら、いつか元気な姿を見せたい。 『どちらかを選ぶなら、好きです』 『大きくなったら、先生になりたいです』 先生になって、悩む子どもたちを助けてあげられたら。 先生になって、彼らの居場所になってあげられたら嬉しい。 あなたは違うの? あなたは何になりたいの? そんな新しい問いを浮かべて。 言葉少なで、それでも思慮深く、誰かを傷つけないように言葉を選ぼうとしているその姿を見守った。 お互いに見えている景色の差を埋めるために。 きっと遠回りにでも、私の問い掛けに答えようとしてくれていることだけは、ちゃんと伝わっているから。 (-78) 2022/05/01(Sun) 15:23:43 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス「ラピスは」「大人だね」 愛されて、艷やかで。白色のりんごみたいにほころんだ頬。 果実に挟まれた花びらみたいな唇が言葉を発さず、表情だけを作るのを見ている。 檸檬の枝のように細い指を今更、黒い指がきゅうと一本だけ絡めた。 「僕は帰っても」「居場所はない」 「僕は"病気のこども"らしい」「だからここにいる」 「でもみんなは」「病気だけど、"病気のこども"じゃない……」 誰かに言われた言葉をなぞるような言い回しには明らかに侮蔑が混じっていた。 青年が抱いたのではない、誰かが青年に向けたもののトレースだ。 溌剌とした子どもたちの様子は、青年の目にはどんなふうに映っているのだろう。 「治ったら」「僕はどこにいくんだろう」 「僕は僕の」「病気が治るとなにがいいのか、わからない」 「僕の病気が治ったら」「僕は"病気のこども"じゃなくなるのかな」 答えのない問いを重ねる行いは、貴方を傷つけてしまうだろうか。 ひどく迂遠に回り道をした堂々巡りの問いかけは、貴方への答えになっているだろうか。 貴方が青年だったなら、自分の病気を治したいと思うこと、 自分の病気を治すということがどういう結果へ繋がる行いなのかがきちんとわかるのだろうか。 (-86) 2022/05/01(Sun) 16:34:26 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット絡められた指に視線を落として、訥々と語られる内容を呑み込んで。 答えのない道を、共にぐるぐると回る。 居場所がない。 帰るところが無いなら、外へ行く理由も希望も無いのだろう。 『居場所があれば、』 『バットくんは』 『外へ行こうと思えますか』 もう18になる少女は、青年より先に施設からいなくなる。 18歳までしか、施設にはいられない。 だから青年もいつか外の世界に放り出されてしまう。 その時に帰る場所が無ければ、青年はどこで生きていけば良いのだろう。 "病気のこども"。 "病気の"こども。 穏やかな青年に似合わない侮蔑をなぞった色が夜色に溶けて。 歳よりも幼さを残した顔貌に寂しさを浮かべて。 『居場所がないのなら』 『私が居場所になっては駄目ですか』 友人が抱える荷を少しでも持ってあげられるだろうかと。 外に誰か一人でも、拠り所になる人がいれば。 あなたは、眩しさに瞼を閉じずにいられますか。 (-93) 2022/05/01(Sun) 17:09:55 |
【赤】 高等部 ラピス「………」 普段より少しぎこちない笑みを見留めて。 ほんの少し心配げに眉を下げたけれど、すぐ戻る。 今はトットに任せよう。 『それではまた、明日のこの時間に』 (*33) 2022/05/01(Sun) 17:30:12 |
ラピスは、夕方頃、一人で中庭を散歩している。 (a17) 2022/05/01(Sun) 18:46:12 |
ラピスは、ベンチに腰掛けてひと休み。すとん。 (a18) 2022/05/01(Sun) 18:47:01 |
【赤】 高等部 ラピスがたがた、かたん。 椅子を一脚、教卓まで持ってきて黒板の前に置く。 背が足りない分の踏み台代わりだ。 いつも持ち運んでいる小さな黒板は、机の上でお留守番。 それに乗り上げて、チョークを握る。 普段使っている精々ノートくらいのサイズの黒板と比べたら、教室のこれは何倍も大きい。 目一杯使ったら、どれだけの量を書けるだろう。 それがちょっとわくわくして、口角が持ち上がる。 ここには仲間以外は誰も来ない。 大人だって。 誰にも何も言われず好きにできる。 (*40) 2022/05/01(Sun) 20:00:55 |
【赤】 高等部 ラピス「………」 かつ、かつ。 最初はゆっくり。書き味を確かめる。 軽やかに響く音を転がして。 「………」 かつかつかつ。 少しずつ速く。思考と筆記を同速に。 とうとうと文字が流れて。 ───────────。 段々と速く。文字が思考を追い越していく。 流れるままに動くままに書きたいままに吐き出すままに書いて重ねて引いて塗って叩いて。 Water (H2O) is a polar inorganic compound that is at room temperature a tasteless and odorless liquid, which is nearly colorless apart from an inherent hint of blue. It is by far the most studied chemical compound and is described as the "universal solvent"and the "solvent of life". It is the most abundant substance on the surface of Earth and the only common substance to exist as a solid, liquid, and gas on Earth's surface. It is also the third most abundant molecule in the universe (behind molecular hydrogen and carbon monoxide). Whisky or whiskey is a type of distilled alcoholic beverage made from fermented grain mash. Various grains (which may be malted) are used for different varieties, including barley, corn, rye, and wheat. Whisky is typically aged in wooden casks, which are often old sherry casks or may also be made of charred white oak. (*41) 2022/05/01(Sun) 20:03:34 |
【赤】 高等部 ラピス「………………」 吐き出しきった後に残ったのは、緑が殆ど見えなくなった板。 椅子に乗っても手の届かない部分だけ、綺麗な面が顔を覗かせている。 長く息を吐く。 こうすると、頭の中に空白ができる。 一種の思考整理だった。 随分と磨り減ったチョークは新しいものに替えておき。 黒板消しを上からかけていけば、書くのに要した時間よりずっと早く黒板は元の姿を取り戻した。 椅子も元の位置に戻せばおしまい。 何食わぬ顔で、小さな身体は教室を後にした。 (*42) 2022/05/01(Sun) 20:04:26 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピスふたつ布を挟んだ指の温度はほとんど感じられない。 けれどもその下にあるものが温かなものだと青年は知っている。 或いは、きっとそうだろうと思い込んでいるだけなのだろうか。 「ラピスが僕の居場所になるのは」 「……うれしい、けど……」 はにかむような柔らかい表情が顔貌に浮かんだのは一瞬だけ。 大きな体、強い力。それに全く見合わない頼りない筋肉の動きが、 ほんのちょっとだけ指先を曲げただけで、縋りつくのは終わってしまう。 沈黙。頭の中を整理する時間。青年は頭の回りが早い方ではない。 貴方に勉強を教えてもらっているときもいつもそうだ。 きっと教えてもらっている時間より、それを噛み砕こうと待たせている時間の方が長い。 「ラピスは先生になる」「僕は」「僕の病気は……」 「ひとつは、頭の病気だから」「一緒にいけないよ」 軽度の精神遅滞がある、と。 教師群は青年の病状について、結論付けていた。 (-116) 2022/05/01(Sun) 20:13:53 |
【独】 高等部 ラピス「………………」 夕暮れの傾いた日差し。 オレンジ色に染まった中庭で、ぼんやり風に当たっている。 遠くには森があって、緑が段々と黄昏の色を宿していく。 あの奥に行ってしまえば、暫く戻ってこれなくなる。 "神隠し"が、起こる。 その正体が何なのかよく知っている。 今日連れて行かれるのは──、 「………」 幼い彼らの顔だとか。 気難しい表情を浮かべる実習生の顔だとか。 困ったような表情をした後輩の顔だとか。 いろんなものがまた頭に浮かんでしまって、よくない。 どうにも落ち着かなくて、黒板の隅から隅までチョークを擦り付けて塗りつぶす。 短くない時間、ただそれを続けていた。 (-117) 2022/05/01(Sun) 20:18:17 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バットあなたが考える間、ずっと手は重ねられていた。 その下にある温度を直接は感じられないままで。 二人で参考書とノートを囲んで、小さな授業を開いているときを思い出す空気。 噛み砕いているのを待つのは嫌いじゃない。 きっと青年が動物と戯れているときに感じる安らぎと同じだと信じている。 交わす言葉の中で、青年の心の一端に触れた。 ほんの少しだけ絡んだ指先。 そこにあるのは期待なのではないかと思った。 思いたかった。 上からもう一度大きな手を掴まえる。 大きさが違いすぎて、此方が縋るみたいに見えてしまったけれど。 ぐっと、下から真っ直ぐに深い色の眼差しが見上げる。 『一緒に行けないと思っているから』 『外には行けないと思っているから』 『神隠しが起こる森に、近づいているんですか』 (-123) 2022/05/01(Sun) 21:01:01 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 高等部 ラピス「ラピスさんはそんなことまで気にしているんですね〜。 私や先生達がが言わなくとも、きっと君は我慢してしまうのでしょう」 僅かに声が小さくなる。図星だった。 大人は合理的な事を望み、そして都合が悪いものを後回しにして。 時には、不幸だって利用する。 「謝れなくて、ごめんなさい。 君につきっきりになれず、治療に専念出来ないことを 私の立場から心を込めて謝罪することが出来なくて。 全員に手を伸ばして救えるほど出来た大人達じゃ無いんです。 隠れて意地悪する悪い人もいました、今もいるかもしれません。 それでも治療法が見つかってその手が治ることを 少なくとも"私たち"は望んでいます。それだけは確かです。 病気で居続けて欲しいなんて思っていません」 そっと傷つけないように深い青に手を伸ばした。 美しいのに、その輝きが彼女の心をむしばみ続けてしまう。 「……応援させてくれますか? 助けになると言いながら、何にも出来ないままの先生ですが〜。 傍で見続けて、声をかけることは出来ると思うんです」 (-124) 2022/05/01(Sun) 21:43:08 |
【秘】 高等部 ラピス → 月鏡 アオツキ「………」 緩く首を振る。 謝るべきはあなたではないと思ったから。 優先されるものが何かわからないほど、子どもでもなかったから。 鉱石特有の滑らかな感触が指先に伝わるだろう。 ことり。 机と触れ合った部分から、作りものみたいな硬い音がする。 指先が触れた部分から、慮る気持ちが沁み込む。 目を閉じてその言葉を反芻した。 『ありがとうございます、先生』 『誰か一人でも自分の味方がいると知っていれば』 『きっと私はまだ頑張れます』 治ることを望んでくれる人がいるのなら。 見守っていてくれる人がいるのなら。 『病気を治して外に行こうって、指切りをした子もいるんです』 『だから、大丈夫です』 (-137) 2022/05/01(Sun) 23:58:49 |
【人】 高等部 ラピスすんすん、匂いにつられて小動物が現れた。 といっても偶然鉢合わせてしまっただけなのだけれど。 お菓子作りの道具が横に並んでいるのを目に留めたが、深く尋ねることもない気がしたのでお辞儀で挨拶するに留まった。 寮の厨房は何人かで使えるから、空いたスペースで手鍋に牛乳を注いで火にかける。 「♪」 マグカップとスプーン、蜂蜜の瓶を用意してあとは待つだけ。 小さな身体はこういうときに他人の邪魔にならなくて便利だ。 他には、たまに野いちごの入った小瓶や、お菓子を作る手つきを目で追ったりしたくらい。 ホットミルクを作るだけなので、実習生より早く厨房からはいなくなるだろう。 (41) 2022/05/02(Mon) 2:30:45 |
ラピスは、『あの■■■野郎、ケーキにだけは素直ってか……』とは幸い考えていなかったようだ。 (a21) 2022/05/02(Mon) 3:07:28 |
ラピスは、部屋に戻るときに共用スペースのメモを見た。 (a22) 2022/05/02(Mon) 3:07:47 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 高等部 ラピス「あら〜指切りは、もしかして同室の…… あまり外の話は私はしていないんですよね。 そうですか……大丈夫……。 少し安心しました、そう言ってもらえて。 さあて、今日はこれで終わりにしましょう〜。 お時間ありがとうございました」 形だけの書類に書いたのは異常なしと、 治療の経過の報告申請あり。二つの文字列の最後にアオツキと一筆続けて。 「私たちは"生徒たち"の味方です。 卒業しても、ずっと」 「あ、でも声は病気で出せなくなったるんですか? それとも他の? 今度は悩み事じゃなくても、楽しいことがあったら知らせてくださいね」 (-172) 2022/05/02(Mon) 6:16:20 |
【秘】 高等部 ラピス → 月鏡 アオツキ同室者と交わした約束。 見守ってくれる大人たち。 それらがいるなら、大丈夫だと思えた。 『声も病気のひとつです』 『中等部に入った頃に。』 それまでは普通に発話ができていたことを記録で知っているかもしれないし、実際に見たことがあるかもしれない。 『またお話をしたいです』 『私もアオツキ先生のお話が気になりますから』 『先生のご病気は治ったのか、とか』 かつてこの施設に居たのなら、同じように何かを抱えていた筈だと。 ペンを走らせている間に自分も黒板にかつかつ、チョークを走らせる。 『今日はありがとうございました』 始めと同じようにお辞儀をして。 何もなければそのまま空き教室を後にする。 (-182) 2022/05/02(Mon) 11:51:20 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス小さな貴方を慈しむ時間は、優しい。 大きな貴方を仰ぐ時間は、心地よい。 それが何かと重なるのであれば、きっと―― 絡んだ指に返すように掬い上げて、力を掛け返す。 潰してしまわないように柔く包むだけ、黒い指が重なるだけ。 けれども決して貴方を拒絶したいわけではないのだと、 この距離感を大切にしていることは決して嘘偽りではないのだ。 「……それは」「違う理由」 「ラピスが心配すること」「じゃ、ないよ」 小さな貴方は青年よりもずっとしっかりしていた年上だ。 だから言葉でそうして遮ったところで無理からぬことなのだろう。 ごまかすように肩を寄せて、ほんのすこしだけ体重を預けた。 「病気を治すこと」「あんまり考えてなかったな」 「いつか、どうすればいいのかなんて」「なんにも思いつかなかった」 「……ラピスの疑問に」「うまく答えられた?」 (-210) 2022/05/02(Mon) 19:19:31 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット「………………」 こくり。 未だ話さなければならないことはきっとあるのだけれど。 青年にも考える時間が必要だとわかっていたから、今は頷いた。 ゆるく絡んだ指と肩に掛かる重みの分くらいは、青年を支えられていると思って。 いつだって自分を傷つけないように思い遣ってくれる青年が、報われる日が来てほしかった。 『これからたくさん考えましょう』 『一緒に、たくさん悩みましょう』 『バットくんが納得できる"いつか"を見つけましょう』 ゆっくり、あなたの歩む速度で構わないから。 あの森で起こることは、"神隠し"ではないことを少女は知っていた。 今日誰が居なくなるのかも、少女は知っている。 そういう役目を持っているから。 私はわかっているのに、それを止めてあげられない。 ▼ (-214) 2022/05/02(Mon) 19:56:38 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット離れがたい手をゆるりと解いて、立ち上がる。 座っているあなたとはこれで丁度目線が合うくらい。 いつもより困った顔を少しでも誤魔化したくて、日に背を向ける。 日差しが顔に影を落とした。 『森は危ないから気をつけてください』 『今日は、特に。』 胸のあたりに掲げた黒板。 それだけしか、文字にはできなかった。 (-215) 2022/05/02(Mon) 19:57:38 |
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