【人】 住職 チグサ──回想:病院にてノーヴァと── [その時もやはり、診断は「年ですね」でした。>>0:93 そういえば、母も晩年は腰の痛みを訴えておりました。 なにもこのようなところまで母に似なくても良いものを、血の因果とは面白いですね。] そうですか。 こうも何もかも年のせいとなると、いちいち診ていただくのが申し訳なくなりますねぇ。 [私の言葉をたしなめるかのように、助手のお方が優しいお言葉をかけてくださいました。 こちらの若いお嬢さんは、以前は環境が変わることに悩まれていたご様子ですが、近頃は表情がすっかり明るくなられました。] ありがとうございます。 ……仏教には、抜苦与楽という言葉があります。 この世に生きるすべてのものの苦しみを取り除き、安楽を与える。つまり慈悲心を表した言葉です。 正しく抜苦与楽された方に、弱音で返してはいけませんね。 [私は自らの口の行いを恥じました。 第一、心より申し訳ないと思うのならば病院になどかからなければ良いのです。 痛みに耐えかねて、身体を惜しんだのは、私自身なのですから。 倒れたあの日はともかく。] (21) 2022/11/07(Mon) 21:12:07 |
【秘】 住職 チグサ → 医者 ノーヴァ(……さぁ。邪魔な婆さんと思われているお方も多いですよ。 必要以上に私のことを大切に思ってしまうのは、私自身です。) [聞こえた言葉に、返事をする元気まではありませんでした。>>0:95 誰もが、「我」という存在をこの世界で最も尊いと信じている。 誰もがその病から逃れることはできない。 私もまた。 私が捨てきれないもの。大切に思っているものは何でしょうか。 慈厳寺 の歴史や威厳が、私を大きく見せてくれる 。お弟子さん達 を育てたという傲慢な自負 。ご本尊様 を私の代で途絶えさせる羞恥 。老いの果てに、私自身の智慧が喪われ、耄碌してしまうこと。 私には、御大層に抱え込んだものが多すぎる。 ほうげじゃく 放下着。そんな下らぬ自我は全て、放り捨ててしまえ。 全ての執着を捨て去ることが、私の最期の修行なのでしょう。] (-6) 2022/11/07(Mon) 21:14:47 |
【人】 住職 チグサ年寄りの習性のようなものでして、有難いと感じると、体が自然と動いてしまうのです。 居心地が悪いでしょうが、どうぞお諦めください。 [お医者様が見回りに来られた頃>>0:96には、冗談を返せる程度に回復していました。] ええ、とんだご心配をおかけしました。 よりによってワクチンで死んでしまいでもしたら、怖がって打つのをやめてしまう方もありましょうから。 [明かりはすぐに遠くへ追いやられ、お医者様のお顔はあまり見えません。 そうでなくても、ここのところ視界は白く濁り、表情の判別もつかない有様です。 たとえ昼日中でも、お医者様の赤らんだ顔や、深く刻まれたクマ(本当にご苦労をおかけいたしました)にも気づけなかったやもしれません。 老人特有の青い環の浮いた瞳を、皺に埋もれるほど細めて、お医者様に微笑みかけます。 碌に見えぬ瞳には、相手に恥をかかせないという善き点もありましょう。]** (23) 2022/11/07(Mon) 21:15:44 |
住職 チグサは、メモを貼った。 (a6) 2022/11/07(Mon) 21:18:56 |
【秘】 住職 チグサ → 略奪者 ラシード/* 申し訳ありません、秘話やったの私です……見落としておりました。念のため、転記します。 ノーヴァ様宛、>>22>>23の間に下記の秘話を挟みました。 (なお、質問ではなくご報告のため反応不要です) /* (……さぁ。邪魔な婆さんと思われているお方も多いですよ。 必要以上に私のことを大切に思ってしまうのは、私自身です。) [聞こえた言葉に、返事をする元気まではありませんでした。>>0:95 誰もが、「我」という存在をこの世界で最も尊いと信じている。 誰もがその病から逃れることはできない。 私もまた。 私が捨てきれないもの。大切に思っているものは何でしょうか。 慈厳寺 の歴史や威厳が、私を大きく見せてくれる 。お弟子さん達 を育てたという傲慢な自負 。ご本尊様 を私の代で途絶えさせる羞恥 。老いの果てに、私自身の智慧が喪われ、耄碌してしまうこと。 私には、御大層に抱え込んだものが多すぎる。 ほうげじゃく 放下着。そんな下らぬ自我は全て、放り捨ててしまえ。 全ての執着を捨て去ることが、私の最期の修行なのでしょう。] (-15) 2022/11/08(Tue) 4:30:52 |
【人】 住職 チグサ── 回想:いつの日かの本堂にて ── 我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身口意之所生 一切我今皆懺悔 さんげもん [懺悔文は、よく唱えられるお経の一つです。 それだけ重要だからではありますが、お経のままでは意味が分からないでしょう。 短いお経を三回繰り返した後に、私はお集まりいただいた皆様に向き直りました。] 仏教の開祖であるお釈迦様は、人の心の仕組みを解明されたお方です。 お釈迦様は、苦しみとは自身の煩悩──つまり心が生み出した妄想であり、煩悩を捨て去ることによって涅槃寂静、すなわち究極の安心を得るとされました。 さて、百八もあると言われる煩悩のうち、代表格となるのが貪、瞋、痴です。 とん 貪とは、むさぼり、必要以上に求める心。 じん 瞋とは、怒り、憎しみ、妬みの心。 ち 痴とは、おろかさ、愚痴、無知。 仏教では、これらを心の三毒としています。 毒です。この毒は己自身を蝕みます。 己を守るために、できるだけ早く捨ててしまいなさいと繰り返し説かれました。 (66) 2022/11/08(Tue) 6:06:17 |
【人】 住職 チグサ ですがどうでしょう。 これらの心を、本当に三毒だと思われますか。 欲しいものが手に入らなくて苦しみ、 理不尽な扱いへの怒りにのぼせ、 己の立場で物事を推し量っては悪口をおっしゃる。 これらの三毒に苦しみながらも、どこかで自分は正しい、間違っているのは相手であるのに何故分かってくれないのだと、そのように思ってはおられませんか。 そうであるからこそ、三毒を手放せずにおられるのではありませんか。 本当に三毒であると──己を殺しかねない危険な感情であると。認識しておられるならば、一刻も早く手放そうとするはず。 毒ではないと思っておられるから、後生大事に抱え込んでしまう。 (67) 2022/11/08(Tue) 6:07:59 |
【人】 住職 チグサ 三毒は炎のようなもの。燃え盛れば、あっというまに勢いを増して自らを包み込みます。 どうぞ、自身の三毒を、ありのままに見つめ、御仏に告白してください。 けれど三毒を評価してはいけません。こんなことを考えるから自分は駄目なんだとか、私の中に生まれたこんなに多くの苦しみはあいつのせいだとか、そのような評価をすれば、ますますご自身が苦しくなります。 だから何も言わず、ただ黙ってそこに居てくださる御仏の前で告白をするのです。 自分の中の欲の火種を見つめることで、炎は燃え広がることなく収められます。 そのようにして、苦しみは自ら制御せねば。 [かつて、そのように説いたこともありました。 けれど── 既に炎に呑まれてしまった方々に、説法とはなんと無力なことでしょうか。]* (68) 2022/11/08(Tue) 6:10:47 |
住職 チグサは、メモを貼った。 (a14) 2022/11/08(Tue) 6:13:01 |
【独】 住職 チグサ/* んーむ、欲望バーニングがテーマの村なので、そもそも欲望ってなんなのよ? を見つめるキャラがやりたかったのだけど これただの水差し興醒めマンになってねぇかい? 呪布とれちゃったり説法が届かず誰かに殺される方が盛り上がりそうやなーとは思う 神も仏もねぇんだよ!って絶望したいですね (-17) 2022/11/08(Tue) 6:34:55 |
【独】 住職 チグサ/* 速攻チグサを殺しそうなのは修行僧なのだけれど まだソロルで死ぬタイミングではない。 一旦境内や修行僧の様子を描写してから街に降りたいですね。 それ昨日から思ってたんだけどそこまで書けませんでしたね。 (-18) 2022/11/08(Tue) 6:37:22 |
【人】 住職 チグサ── 夕刻の鐘の後:境内にて ── [梵鐘の柱に、 印 を見つけました。私は、この島を売った賊ですから。 売国の罪は私の独断です。寺院は知らぬこと。 いえ、少々の協力者程度は居たでしょうか? ここもまた、結界の保護の対象とされておりました>>0:57。 賊に隠れ蓑を差し出す代わりに、慈厳寺は欲の炎や暴徒の襲撃から逃れられるのです。 そうして、暴動が終わった後、難を逃れたこの寺は、霊験あらたかな寺院としてますます大きく、地位を確立していくのでしょう。 御仏が、まがい物の神になってしまう。 私は路傍の石を拾うと、その柱の印を、削り壊しました。] ほうげじゃく ……放下着。 [全ての執着を、捨ててしまえ。] (76) 2022/11/08(Tue) 20:48:16 |
【人】 住職 チグサ[街から隔絶された寺院でありますから、日が落ちると、灯はごく最低限になります。 ぽつぽつと立ち並ぶ石灯籠が、夕闇の中に朧げな明かりを写していました。 一歩、一歩と歩きなれた道の歩みを進めるうちに、伽藍の影が見えて参りました。 僧達の住まう庫裏や、ご本尊様のおられる本堂。 それらも、あの印が守ってくださっております。 私は庫裏の後ろに回ると、印を打ち消すべく、石を握りしめました。 放下着、と呟きながら。 今は夜のお勤めの時間です。 本堂からは、誰かの読経が聞こえてきました。] 『 しょあくまくさ 諸悪莫作 しゅぜんぶぎょう 衆善奉行 じじょうごい 自浄其意 ぜしょぶっきょう 是諸仏教 もろもろの悪を作すこと莫く もろもろの善を行い 自ら其の意を浄くす 是がもろもろの仏の教えなり』 (77) 2022/11/08(Tue) 20:49:24 |
【人】 住職 チグサ[──何かが落ちる音がしました。 きっと、手のひらから石が滑り落ちた音だったのでしょう。 しばらくの間、呆けたように夜風に老躯を曝していました。 自分が立っているのかさえ、よくわかりませんでした。] 『どなたかおられるのですか?』 [ふと、庫裏の障子に小さな影が映っていました。影から伸びる手は障子戸にかけられ、今にも開かれそうです。] 出てきてはなりません! [思わずぴしゃりと𠮟りつけました。] 『……お師匠様?』 [まだ幼い声に、精一杯毅然とした声で答えました。] 街で騒ぎが起きているようです。 自らの身を守ることに徹し、決して出てきてはなりません。 ですが、お寺を頼って来られた方があれば、必ずお助けしてさしあげなさい。 [ああ──と。 自分自身に深く落胆しながら、私は踵を返しました。 放下着。全ての執着を捨て去ってしまえ。 けれど私には、この寺院を捨てることができなかった。 他人の死であれば、予測はできても手を貸せた。 にもかかわらず、身内となると、この手で死の因を作ることができなかった。 なんと浅ましい利己心でしょう。] (78) 2022/11/08(Tue) 20:50:57 |
【人】 住職 チグサ[捨てられぬのならば、自我を抱えたまま立ち去るしかありません。 白い尼頭巾を外し、赤い呪布を巻き付けると、私は街へと歩みを進めました。 甘く腐った匂い。その中に、きな臭い嫌な臭いさえ混じっています。 歩みを進めるにつれて、私は突き付けられるのでしょう。己がしでかした事の大きさを。]** (79) 2022/11/08(Tue) 20:51:37 |
住職 チグサは、メモを貼った。 (a15) 2022/11/08(Tue) 20:58:26 |
【人】 住職 チグサ── 街へ ── [街が近づくにつれて、筆舌に尽くしがたい惨状が露になりました。 街は、夜の底に沈んでおりました。 もはや街の基盤を維持する方も狂っておられるのでしょう。 街灯は、その多くが灯を失い、ただ卒塔婆のように突っ立っているばかり。 けれど人工的な灯を失えば、夜空が息を吹き返します。 月は昼をも欺く明るさで、影さえも作るほど。満天の星々と共に、じっと人の欲を見下ろしておられました。 街は、銀月に照らされてなお、赤黒い。 灯も灯らぬくせ、人々は騒がしく。 暴力と殺戮に溢れているくせ、辺りに響くは笑い声。 私はただ街並みの中を歩き続け、老いた眼に惨状を焼き付けて回りました。] (91) 2022/11/09(Wed) 6:47:42 |
【人】 住職 チグサ[路傍には若い女性の御遺体が。顔は原型が分からぬほどに腫れあがり、明らかに性暴力の痕があります。 その腕に抱かれた赤子は、母が既に死んでいることに気づかず、乳房に吸い付いておられます。乳が出ないことにいら立っているのか、強く噛みすぎて乳首からは血が滲んでいました。 欲に狂った人々の中に、時折私と同じように呪布を巻いた方がおられます。 彼らは何をお考えなのでしょうか。私にも街並みにも目をくれず、自らの目的に応じて去っていきました。 また、放火もあったのでしょう>>1:62。 島の北側の空は赤く、夜空をも焦がさんと伸びあがっていました。 火の光は迷い風に吹かれては千切れ、扇を広げたかのよう。飛び火も時間の問題でしょうか。 近づいてみれば、きっと火が雨となって降り注いでいることでしょう。 もくもくと立ち上る煙が、雲に加わっていきます。煙たさにむせび泣きながら、火の粉の残る灰が降る中を歩き回りました。] (92) 2022/11/09(Wed) 6:48:53 |
【人】 住職 チグサ一心頂礼 万徳円満 釈迦如来 真身舎利 本地法身 法界塔婆 我等礼敬 為我現身 入我我入 仏加持故 我証菩提 以仏神力 利益衆生 発菩提心 修菩薩行 同入円寂 平等大智 今将頂礼 一心に礼拝いたします。 多くの徳を十分に備えた仏様のお体とお骨に対して、 また、その尊い仏様の、 お骨を納めた供養塔に対して礼拝いたします。 このように私たちが礼拝いたしますと、 仏様は私たちのために姿を現し、 私たちの心に寄り添い、 仏様と私たちは一つになったように感じるのです。 こうして仏様が守ってくれるように感じるからこそ、 私たちは大切なものを得ることができ、 仏様の見えない力によって私たちは救われるのです。 道を求めようと心を起こし、道を求めて行動すれば、 よりどころができて、 皆心やすらかとなることでしょう。 このように、人々を平等に導く仏様の智慧に対して、 いま、まさに礼拝いたします。 [──裏切り者の証を身にまといながら、深々と頭を下げる姿は、見る者からすればさぞかし滑稽だったことでしょう。]** (94) 2022/11/09(Wed) 6:51:32 |
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