情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 ルビーの花 アルレシャ>>50 ゲイザー 少しだけ目をぱちくりと瞬かせて、それから吹き出すように笑った。馬鹿にしているわけではなく、女にとっては突拍子が無かったのだ。 まるで母が娘を見るようにきゅうと目を細めて、はにかむ少女を見守っている。 「私は大したことなんてしていないわ。駆けつけたはいいけど慌てふためいただけだもの。 少しの失敗はあったかもしれないけれど、皆無事だもの。前を向いていればいつか報われるわ」 安楽椅子が揺れるように頷きながら、なんだか見上げるような称賛を聞いている。 少しばかり大げさだと思っているようではあったが、わざわざそれを言葉で制して謙遜したりはしなかった。 そう思っているのなら、それでいいのだ。ひとつの憧れに無為に傷をつけるようなことはしない。 「ふふ、なんだか照れてしまうわね。よく、人を見ているのね、まるで占い師のあの子のよう。 ……ねえ、よかったらあなたもパイくじを引いてみない? よい結果が出るかもしれないわよ」 (57) 2021/07/06(Tue) 18:53:36 |
【赤】 ルビーの花 アルレシャ「わからぬならわからぬもの。無理に理解しなくていいさ、そう――何もわからなくたっていいの。 貴方達と来たら、我々の領域に入ったにも関わらず無作法にしているじゃあない? 反抗的であればあるほど賓客達は盛り上げるけど、でも、ごめんなさいね。 そればっかりじゃ、見世物はつまらないのよ」 もうそろそろ、口調を取り繕わなくたっていいだろう。『グラトニー』は普段どおりに話し始める。 それは、この船の情勢が傾き始めていることの顕れだ。全く以て、事はうまくいっている。 『グラトニー』は『エンヴィー』と『スロウス』の言葉を拾いながら補足する。 「カウス、あの子の"研修"についてはまたじっくりと考えましょう。 もう二人に関しては、貴方をよく知るものから大変に熱い要望が届いているのでね……。 バーナード、貴方の"研修"はダビーがいたします。けれどそれだけでは意味がない。 心より屈服し、自らの意志で"従業員"としての勤めを果たすための研修でなければ。 ダビー、『スロウス』からの資料に目を通すように。貴方には過去の追体験を手伝ってもらうわ。 簡単に壊してはいけません。けれど温い時間稼ぎなど必要ありません。 もしも貴方が手を抜いていることがわかったなら、バーナードには肉体的苦痛を与えましょうか。 どのようにしようかしら。一回ごとに爪を剥いだって私は構わないわ。 やわらかな指さえ残っていれば、いくらでも奉仕はできるものね、ねえ、ダビー?」 はだかの王は長い笞の先で双方を突いた。声音は明るく、心から楽しんでいるようだった。 その笑みには少女のような無邪気さに加えて、魔女のような残忍な興奮を乗せている。 互いの運命は互いに握られている。 ショウが成功しなければ、どんな末路になろうと構わない、そう思っていることが伝わるだろう。 (*38) 2021/07/06(Tue) 19:49:48 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* 御機嫌ようお嬢様! お嬢様です。 ・ナフにテンガンを無事暗殺させたい →ラサルハグ投票 こちらについては運営・ラサルハグ・ナフ・テンガンあたりと話が通っていれば私は大丈夫ですの! アルレシャ噛みについても問題はありません。 けれど私は敗北主義者お嬢様ではないのでタダで噛まれるつもりはないですわ! しかして凶狼としての権利を拒否してまるきり剥奪するのもわたくしの主義には合いません! 未来をつかみ取りたいと願うのならばわたくしと勝負し負かせることを条件とします! 明日の朝日を拝むのは手前ェであると主張するなら尋常な勝負を希望しますわ!!!!!!! (-179) 2021/07/06(Tue) 19:54:16 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「はい!」 返事とともに白い両腕が伸びて、サダルを部屋の中へと引きずり込んだ。 ぱたん、と控えめな装飾の施された扉が閉まる音が背中に。 そして視界には、前面の大きく開いた赤いベビードールを着たアルレシャが。 裸足にピンヒールを履いた上背はやはり貴方よりも高く、解いた髪がふわりと降りかかる。 上から伸ばされた手は、貴方を包み込もうとするようにくるりと背中に回った。 「来てくれて嬉しいわ、サダル!」 (-180) 2021/07/06(Tue) 19:59:02 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* ブラックジャックですわよ ブラックジャックですわよブラックジャックですわよ ……別に喧嘩で決めてもいいですけれど。え? いや顔意外はバキバキにしていいんですか? へえ……どうしよっかな……ブラックジャックやめようかな…… (-183) 2021/07/06(Tue) 20:09:30 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* 暴力で勝負はフェアじゃないですわよ……PLとしてのブラックジャックとしましょうか。 秘匿会話で何をしようとしていたかにはよりますが、そっちは強く当たって流れで……。 いえゴネで勝負してもいいのですがわたくし意地張ってしまいそうなので! なんかそういうのは……よくないかなって! とはいえダメ元くらいでサブプラン用意してたなら、そっちに時間割いてもらったほうが、 ゆっくりやりたいロールが出来るのかもなあという懸念もあり……。 答えとしては「噛まれてもいいけどバクチ次第にしましょ」ということになってしまうので、 決着つけるのに時間がかかると困るな〜って場合も含めて色々考えてもらって大丈夫です。 (-195) 2021/07/06(Tue) 21:40:36 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* フフどうしよ引き止めてよかった。 診察した患者の名簿を賓客に売って、女達を引き渡す代わりに調理した肉をいただいてる設定ですの。 つまり食人は賓客達公認で、質のいい脳や子宮、卵巣を優先的に引き取るために敢えてこの地位に居るんですわよね……どうやって売り渡されるのかわたくしもちゃんと考えないといけなくなりましたわね……。 そしてこの設定後で運営に怒られたらどうしようかと今思いましたわね…… 問題なければめくっていきましょうか。一本勝負でよろしいかしら? (-199) 2021/07/06(Tue) 22:00:27 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「これくらい、お安い御用というところよ。此度は私もさほど出番もないようだし。 貴方が遊びに来てくれて、私も嬉しいわ。 さ。早速する? それとも、お茶でもしてひといきつきましょうか?」 貴方が来るのをよほど楽しみに待っていたのだろう。 ほとんど裸といって等しい、下着らしい下着もつけていない姿のままぎゅうと腕に力を込めた。 部屋の中はカーテンが引かれて薄暗く、薄っすらと香の匂いに満ちている。 ひょっとすると部屋を訪れた用事というのを、勘違いしているのかも知れない。 (-212) 2021/07/06(Tue) 23:08:11 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → 悪い子 ナフ/* そうなんだ(そうなんだ)まだ固め途中なのか通達は来ていないですわね! ロールについては大歓迎ですわよ! フフなんだろう。拷問の話かな。 ちなみにテンガンのご飯にナフの体を混ぜようカナ!? とか思いついていました。 (-214) 2021/07/06(Tue) 23:10:27 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → 悪い子 ナフ/* わ〜い。とりあえず置きレス気味ながら受け付けておりますのでね、 なんか出来そうな時にうまいことやっていただければと思いますわ。対よろ対よろ対よろ! (-238) 2021/07/07(Wed) 7:40:32 |
【人】 ルビーの花 アルレシャ>>62 ゲイザー 「貴方のパイがあったお陰で、朝の食堂を楽しみに思っていた人もあると思うわ。 だってふふ、ひとコーナー任せられる期待の新人だもの。いつか有名になるかもね」 激辛パイはひと騒ぎ起こしたかも知れないけれど、激甘パイにも人は来たし。 彼女は知らないかも知れないけれど――ざわめく騒動のなかでも、それは光になったのだろう。 現に女も、惹かれるように今日はここへ来た。それが、証左になっている。 「ふふ。運命は自分の目で見定めなさい、ということかしらね? ……もうこの船旅も折り返しになることだし、どう、何か身になるものはあったかしら?」 啓示が顕れないというのも、またひとつの啓示なのかもしれない。 (63) 2021/07/07(Wed) 7:46:54 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* 同値の場合はあいこということで再度やり直しでいいのじゃないかしら! ところで現在の状況、ラサルハグ噛みはいいとして、 ナフ→南瓜落としを待っている テンガン→暗殺を待っている のように見えるのですけれど、これどっちか不成立になりませんこと? なん……大丈夫? ひょっとしてここで噛み合いをしている場合ではなくなってる? 全部又聞き状態なのでわたくしピンと来てないのですけれど……。 (-240) 2021/07/07(Wed) 7:49:15 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* というのもナフから「明日また落とされると聞いて」って秘話が来たんですのよね。 輻輳作業が難題を引き起こしてるかもしれない……もちぱいお姉様の処理順とにらめっこしようかしら。 (-244) 2021/07/07(Wed) 8:38:38 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* テンガン的には流れまかせでいいよとのことですかやはり落としてあげたいのが母心ですわね。 運営コメントでもう1日伸ばすのは(人数比はおいといて)確定ですし、三人落としが可能そうならそうするのにわたくしも賛成いたします。 お話確認ありがとうございましてよ! (-250) 2021/07/07(Wed) 10:26:24 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル/* 把握致しましたわ! 現状の布陣だとワンチャン猟師カウンターが飛んでくることもなさそうですが一応わたくしもセットしておきますわね。 本当はもっと爆発して死ぬはずの村なんですわよね……謎に静かですわね…… (-262) 2021/07/07(Wed) 12:23:33 |
【人】 ルビーの花 アルレシャ>>64 ゲイザー 「まあ、そうだったの? でも、誰も止めに来たりするようではないし……黙認されてるのかしらね? だったらいいんじゃないかしら、船の人たちも意外と寛容……なの、ね」 無邪気に語る言葉はほんのりと語尾を凍りつかせながらも。ぱ、と懸念を笑顔で覆い隠す。 通りがかるスタッフ達も難色を示すような顔をしては居ないようだし。……噂を思えば、それは不気味なほどに優しいのかもしれないけれど。 「私? ふふ、貴方に声をかけた人は、きっとたくさんいるのじゃない、人気のパイ焼きお嬢さん? ……それとも何か、思うところでも、あった?」 からかい混じりに言いはするものの、貴方の表情の翳りに全く気づかないわけではないのだろう。 きっと同じことを思い浮かべているのかもしれない。ほんのりと声量を抑えて、周りに聞かれないようにする。 (65) 2021/07/07(Wed) 12:34:02 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「……あら? 違った? 私のことを知りたいと言うのだから、てっきりそういうことかと思ったのに。それともそうやって引いて見せるのもディーラーの駆け引きかしらね」 ぱちりと赤い目を見開いて、少し考えた末にするりと腕を背中から下ろした。なあんだ、と部屋の奥へと引っ込んでいく。 一人部屋とはいえ、格好はベビードール以外の着衣もなく胸も陰茎も平然と露出して、代わりのように足を白いレースが覆っている。 待ち構えていた興奮の残滓が雁首をほんのり持ち上げ、今にもそうした行為に及ぼうとするような服装だ。誰か別の人間に見られるかなんて考えもしないのだろうか。 そのままの格好で、部屋に備え付けられた道具でお茶の準備をする。 「何がいいかしらね、紅茶、それともお酒? 従業員になにか持ってこさせようかしら」 (-264) 2021/07/07(Wed) 12:42:41 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「なんだか不思議な言い回しに聞こえるわ。私の話なんて、特別に面白いものなんてないと思うわよ、サダル。 もしくは貴方自身に、他者の話を聞いてみたい要因があるのかもしれないですけれど」 暫しのやりとりで、相手が特別に自分を見上げているわけではないというのは分かっていた。特別に蹴落としたいかもしれないが。 十把一絡げの人間にどんな話を望むのかというのを、アルレシャは到底理解しきれないようだった。 不思議そうに首を傾げながら、部屋の隅の内線電話の方に歩いていく。その間、好きにテーブルについていても問題はないだろう。 「なんでもいいなら、そうね、折角だし。 ……もしもし。ええ、例のもの、どうかしら? そう、よかった……それなら部屋に持ってきてちょうだい。 そうね、合わせるなら白のリースリングはどう? うんうん……そうよね、お願いするわ」 電話をかけている先はどうやらある程度話のできる人間のようだ。てきぱきと応対は進められる。流れ的にはロビーだろうか? 電話を終えるとアルレシャは丸っこい乾燥した花をガラスのポットで淹れ始めた。ふわんと香るのは、ジャスミンだろうか? (-271) 2021/07/07(Wed) 14:45:25 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → 悪い子 ナフそれはどこへ逃げた時だったろうか。もはや灯篭の火に囚われた後だっただろうか。 体に張り付くようなドレスを着た女は、まるで保健所の犬でも見るような目で貴方を迎え入れた。 待っていたのだろうか、探していたのだろうか。それとも、最初から動向を眺めていたのだろうか、すぐに帰ってくると思って? 「残念でしたと言うべきなのかしら。でも、私としては喜んで迎えてあげたいわ。 なにせ貴方を気に入ってくれた賓客はたくさんいるの、本当よ。よく頑張りましたね、素晴らしいショウだったわ」 それは今でなければもっと快い言葉だったろうか。 今でなければ誇らしい言葉だっただろうか。 『グラトニー』は微笑んで、貴方に手を伸ばした。 (-275) 2021/07/07(Wed) 16:10:53 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「ふふ、そうね。誰にでも秘事はあるもの。けれどもそれをうまく扱えない者ばかりではないのよ。貴方は隠すのに苦労ばかりしてきたのでしょうね。 己の秘するべき事に、後ろめたく思うところがあるのかしら。激情のように叩きつけたのはそれが初めて? 余程に自らのペルソナと剥離していると、それを迫害してきたのでしょう。だからこそ人の秘事も暴きたいと思うのね」 嫉妬、と。最初に名乗りに擬えたのは彼女だっただろうか。 悠々と、厚かましい程高座から言葉を囁きかけながら。 自分は少しも己の悪癖に恥じることはない、とでも言いたげだった。 花の香りをうつろわせる薄琥珀色のお茶が、白い磁器に注がれる。その横には蜂蜜の香るクッキーも。 まるで優雅なお茶会でもしているような並びであったが、それを取り囲む全てがそれにそぐわなかった。異質だ。そのくせ平然と纏っている。 「貴方は自身の本性とやらに、余程思うところがあるのね」 (-281) 2021/07/07(Wed) 18:24:38 |
【赤】 ルビーの花 アルレシャ/* 吊り時間が迫っているにも関わらず思いっきり様々を詰められていませんわ…… こんなにバタバタしたの初めてだから ごひ どうすればいい? ゼロは俺に何も教えてくれない (*45) 2021/07/07(Wed) 18:47:17 |
【赤】 ルビーの花 アルレシャ/* ひとまず襲撃先はよいとして、誰が迎えにいくかですわね……。 一応『スロウス』がやった手筈になっているのかしら。 それとも改めてどちらかがお迎えしたほうがいいのかしら。 わたくしが万一の保険でセットしてるのがよくないのかもしれん 外すか (*47) 2021/07/07(Wed) 19:24:50 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル「どうして? 醜いと感じるのは、人を羨んでいるから? 人が能く見えるのは、おかしいこと? では、誰の尊ぶところもよく見えず、根拠も無いのに見下しているのは美しいこと? 貴方のペルソナは人の能を見抜いている。無根拠に他を羨んでいるようには見えないのだけどね」 お茶をすする。あまり茶菓子には手を付けず、喉を潤す程度に留めている。 白いテーブルクロスを挟んだ向こうで、女は針のように鋭い紅玉で貴方を見ている。 今までそうして来たように、見初めた人間の中に何かを見ては、満足そうに微笑んだ。 「誇りなさいな。その情念を。貴方は誰よりもよく見える目を持っている。 そして自らの目的が為に研ぎ澄まされた美しい牙をね。 その体も、黒子に徹する仮面も。人の機微を見抜く感性も。醜悪なものなど一つもないわ」 ……コンコン。 扉の外からノッカーの鳴る音がする。従業員が何かを運んできたようだ。 (-286) 2021/07/07(Wed) 19:35:43 |
【赤】 ルビーの花 アルレシャ/* 有能〜〜〜〜〜ッ! 把握いたしました。それならば雰囲気より実行力優先でセットしたほうがよろしいですわね。 有難うさようなら、研修のことも考え……なんとかします。 墓下に行っても元気でね……。 (*49) 2021/07/07(Wed) 19:39:05 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → 悪い子 ナフ「まあ、こんなに怯えてしまって。外の世界で恐いことでもあったかしら? 自由の世界など貴方のような人間には、伽藍堂の暗黒に等しいでしょうに」 まるで己のいるところが暖かい光のようにでも言う。 それが可哀想な孤児かなにかにでも向けられる、類まれなる慈悲ででもあるかのように言う。 「貴方に似合いの仮面をあげましょう。似合いの罰を与えましょう。 ……貴方に捧げられた救いの手の主は怖かった? なら、彼にも等しく、喜びを手向けましょうね……」 女の手はそっと貴方をつかまえた。逃げることを許さない力をしていた。 アリスを誘う子兎のように、白い手は貴方を誘い込む。 もう、二度とは戻れない。貴方を救うものは居ない。だって彼は、貴方によって、――。 (-290) 2021/07/07(Wed) 19:51:21 |
【秘】 ルビーの花 アルレシャ → ディーラー サダル……部屋へ従業員が入ってくる。仮面をつけている。モレッタマスクは口を塞いでいる。 唇と歯で固定して真っ黒く顔を隠す貴婦人の仮面は、一切の自己主張を許さなかった。 裸同然の格好のままで、平然と従業員を迎える。顎でテーブルを指すと、すぐに食事は並べられた。 カトラリーと共にドライな風味の白ワインが並べられる。コクのある料理には丁度いいだろう。 無言のままに従業員は食事の準備をし、女はそれを目を細めて眺めていた。 いいえ、貴方の顔を、かもしれない。 銀色のクローシュがあけられる。ふわりと、レモングラスの爽やかな匂いが立ち上った。 皿の上に乗っているのは蒸し物のようだ。固くならないようレア気味に仕立てられている。 香草の匂いに包まれて、食材本来のかすかな香りが上品にまとめられていた。 桜のようなピンク色の蒸し物は、白子のようにも見えるが、それにしてはとても大きい。 ナイフによって右側と、左側に分けられる。その片方が、貴方の皿に乗せられた。 皺の寄った見た目とは裏腹に中身はみっちりと詰まり、ナイフを入れれば柔らかく切り取られる。 大皿の上には、プレートが乗せられていた。奇しくもそれは前日まで厨房に居た従業員の名前と同じ。 女は天使のようにささやかな喜色を表情に乗せて、貴方が食器を手に取るのを待っている。 「ちょうど調達が間に合ったところなの。これほど鮮度がいいものは外ではなかなか食べられないわ。 貴方が来ると聞いていたから、最高の料理人の腕に手を掛けて調理してもらったのよ。 食べなさいな。『エンヴィー』」 (-292) 2021/07/07(Wed) 19:59:12 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新