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【赤】 苧環のつぼみ 御旗栄悠「……まあ、適任でしょう。 なんといっても同室ですからね。 隙どころじゃない騒ぎなわけです。 若井が出なかったのはちょっと残念ですけど」 こら。 「頃合いを見て、話しかけることにしますか」 (*4) 2021/10/31(Sun) 21:22:15 |
【秘】 苧環のつぼみ 御旗栄悠 → 市川 夢助「明確な目標があるだけ俺よりは向かう場所が確かだけど、 その分、求められるものも遥か高く、深刻ってわけ」 そして異能も、『それ以上』という発展性がなくって。 漠然とした自分の様々な悩みとは違って、 明確に、大きな壁となって、眼前に打ち立つ。 「苦労してるな、お互い。 俺が一番を取りたい理由はな、 “地を這う俺を蔑ろにしてる、きらきらしてる奴ら”を、 まとめて鼻っ柱叩き折って見せつけてやりたいだけ。 誰も俺に文句言えなくなってからやっと、 自分のこのどうしようもない異能に胸を張りたいんだ」 「……遠いな。道のりは。 この体育祭も、果たしてどこまでやれたモンだか」 (-11) 2021/10/31(Sun) 21:27:31 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠「……」 昨日と同じく、いつもより早い時間で投稿してきて。 倒れている彼の姿を見かけて、頭を掻く。 「まったく、どうしてこう……」 ひとまずは遠巻きで。無闇に近づくことはなく。 朝練までどれくらい時間取ろうか、などと考えつつ……見守ることにした。 (8) 2021/10/31(Sun) 22:58:31 |
【秘】 苧環のつぼみ 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「健人先輩。少しだけお時間よろしいですか?」 不意に。朝や夜の寮の部屋、 あるいは放課後とか、その辺り。 自然に二人きりになれるときに、呼び止める。 忙しいのであれば後でいいです、なんて言い含めて。 (-34) 2021/10/31(Sun) 23:06:46 |
御旗栄悠は、きっと行動を起こさない姿は、人から見れば不自然だ。そうする理由はあるのだが。 (a5) 2021/10/31(Sun) 23:10:00 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠(雪……) 空を見上げ、ちらほらと舞う白いきらきらを視界に。 積もったら練習できないな。 でも、積もるんだろうな。 最近は、そういう理不尽が多いから。 (17) 2021/10/31(Sun) 23:21:56 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠「……いいなあ、ハイエナ」 普通に。『俺のよりかっこいいな』なんて思って。 その次の瞬間には、足は前に出ているか。 「また異能の暴走騒ぎですか? 荒事なら……やれるよ、俺は」 そう、言ってみる。そこに集まる人らに。 (25) 2021/10/31(Sun) 23:46:22 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠>>31 グラウンド 全 「危ないなら、尚更人手が必要でしょう。 それに、ちょっと気に食わなくって。 地を這う“御旗被り”の前できらきらされたら、 ちょっとどころじゃなく、眩しいです」 爪先をカツカツと地面にぶつけて。 (36) 2021/11/01(Mon) 0:02:44 |
御旗栄悠は、物理的な話じゃなくて(ついついツッコミ) (a15) 2021/11/01(Mon) 0:09:12 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠「まっくろな俺からしたらなんでも眩しいですよ。 ……でもま、特に何をする必要もないらしく……」 姿勢を落として、スターティングの体勢をとって。 「誰か襲われそうにでもなったら、 真っ先に俺が突っ込む。 ヒクイドリにだって臆さない覚悟、見せてやる〜」 (50) 2021/11/01(Mon) 0:37:04 |
御旗栄悠は、俺が一番眩しく見えるのは、注目を集めるハイエナそのものだ。 (a22) 2021/11/01(Mon) 0:40:46 |
【人】 苧環のつぼみ 御旗栄悠「パッと要点だけ伝えていいか? 抑え込むには力か道具が必要でしょう。 俺は腕の一本や二本持ってかれても平気ですし、 速さもまあ、異能陸上張れるくらいはある。 けれどパワーがあるわけじゃない。 筋力で言ったら多分一般人と同等なんで。 縄でも異能抑制アクセでも欲しいとこですね」 >>52 鏡沼 「似たようなこと言われた。 だから決めたんだよな。綺麗事はやめたって。 いちいちどっちが上か下かなんて格付けはいらない」 影を纏う。後に続くは、羽音。それも、虫のような。 「俺は俺の異能が嫌いです。 諦めの悪さと丈夫さが取り柄だというのに、 臆することを覚えてしまったら。 そしたらそこに俺の誇れるものは無くなる。それだけ」 (54) 2021/11/01(Mon) 0:50:29 |
【置】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「不幸自慢はもううんざりだ」 透明な奴。 劣化した色にしかなれない奴。 似たような黒色の奴。 ・・・・・・ どれが上かなんてどうでもいい。 それよりも、絶対に自分より上だと分かりきってる相手を、全霊でぶつかって、何度打ち倒されても挑戦して。 「どうせ無理だろう」なんて思ってる奴らの期待を裏切ってやっとの思いで掴み取る勝利が、一番気持ちいいのだから。 「そのためには……ずっと、泥に塗れて、地べたを這いずり回ってなきゃいけないのに。 みんなは、俺を認めて、肯定してくれるもんだからさ。 案外悪くもないかなって思えて、困っちゃうよ」 「この異能を誇れる日は、まだ遠そうだ」 (L0) 2021/11/01(Mon) 1:03:11 公開: 2021/11/01(Mon) 1:10:00 |
御旗栄悠は、羽音と影を霧消させた。ちょっと消化不良気味。 (a26) 2021/11/01(Mon) 1:03:41 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「で、危険がなくなったっぽいけど。 運ぶ?俺ともう一人いたら保健室に行けるでしょ」 シオンじゃ役不足(誤用)っぽいし。 (57) 2021/11/01(Mon) 1:06:11 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠>>56 鏡沼 「死に間際の蝋燭は強く輝くって言うじゃない? ……まあ冗談。でも、本当に長生きには自信あるよ。 交通事故に巻き込まれても、 ヒクイドリに暴れられても生きてる、 それが俺の、“御旗”の異能だからな。 不器用なりに、これからも生きてくだけ」 抑制剤を受け取って。 必要に応じて使うこともあるだろうな。 (60) 2021/11/01(Mon) 1:10:16 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「んー。シオンとの格ゲー勝負も結局五分五分だったし、 やっぱ体育祭関連しかないよなー。でも……」 いつの間にか、ふりしきる雪は、 グラウンドを真っ白に染め上げている最中で。 多分、朝練はやんない方がいい。 「フラストレーションが溜まるばかり。 寒いのも苦手だよ〜。とっとも暖房浴びよう……」 (63) 2021/11/01(Mon) 1:14:39 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「屁理屈だらけ」 くだらなさそうに呟く。 どうでもいいのだ、本当に。 「朝日運んだら雪遊びでもせん? あれだ。雪だるま作ったり雪合戦とかしたりで、 この消化不良の感じを消化していこう」 主にシオンに言った台詞だけど、みんなにも向けて。 (69) 2021/11/01(Mon) 1:28:41 |
【秘】 綴り手 柏倉陸玖 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「御旗君。」 今朝のグラウンドでの一件が収まった後。 あなた達が、きっと雪遊びを満喫した帰り。 「スポットライトは眩しかったですか?」 今は、品行方正な副会長の顔で。 通りすがりに、そんな答えのわかり切った問いを投げ掛けた。 "スポットライト"が当たっていたのは、他の誰か。 あなたは、人々の注目を集めるものを間近で見ていただけ。 だからこそ。 舞台上でさえない場所から、ただあなたの背を見ていた男は。 今、敢えてそう問うのだろう。 (-127) 2021/11/01(Mon) 4:56:50 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 綴り手 柏倉陸玖「……いつも通りでしたね」 それは暗に、問いを肯定する言葉。 「この一連の騒ぎに身を投じてから、 身につまされることが増えた気がします。 『どちらがより不幸か』なんて話を持ちかけられることが多くて、それはちょっとうんざりしましたけど。 みんな鬱屈とした気持ちを抱えてるんですよ。 お前はまだマシだ、なんてバカらしい。 それで楽になれるなら、それこそどれほど楽だったか」 「……結果的には。 何故薬に関わったかはまだ分かんないですけど。 関わることを選んだのは、 スポットライトの当たらない仕事を選んだのは。 何よりも俺らしい選択だなあ、と思いました」 (-145) 2021/11/01(Mon) 10:03:19 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「ああ、別に壊さなくてもいいのに」 泥団子に黙祷。 「ちゃんと手洗えよ。 雪・泥遊びでこおり・じめんになってるぞ、手が」 (95) 2021/11/01(Mon) 17:28:07 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「俺を真似るならもっと工夫して、」 雪兎の耳の膨らみを泥で作る。 縁起も特に良くない白黒雪兎、 新生“御旗兎”の完成だ。 「やってくれたら喜べるんだけどな〜」 雪遊び、楽しいね。 (97) 2021/11/01(Mon) 17:35:49 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠夕も過ぎて、洗濯物や真っ黒くなった靴下を洗濯室に放り込んできたあと。 一日の疲れを綿に染み込ませるようにシーツの上にごろりと寝せていた、 洗いたての頭をゆっくりと起こした。 「いいよ。ちょっと休んでから勉強しようと思ってたところだし。 なんか気になるとことか、あったか?」 日中の騒動を通過してなお、努めて態度は平静に。 体育祭を待つ、選手でもない一人の生徒のあるべき姿だ。 (-156) 2021/11/01(Mon) 18:04:33 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「いえ、大したことじゃないんですけど」 いくら平静を保っていても、仕草から滲むものに、 身体の疲れも心労もピークだなあ、と、 気遣いながらもそのそばまで来て。 ・・・・・・・・・ 「───楽して強くなれる薬に、興味はありますか?」 はっきりと、その言葉を浴びせた。 僅かに申し訳なさが顔に浮かんで。 でも、譲る気のない、確固たる意志ものせて。 それが意味することとは、ただひとつだ。 (-159) 2021/11/01(Mon) 18:47:50 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「あんまでかいの作ると、 冬が過ぎたら悲しくなっちゃうよな。 異能でうまいこと保存できないものか」 そして談話室に飾りたい。欲望。 (104) 2021/11/01(Mon) 18:50:29 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠なんとなくその意味をまだ飲み込みきれてなかったのは、 それが後輩そのものに対するなんの根拠もない信頼のためだったのだろう。 意図を掴みきれていない。けれども真剣な話なのはわかっている。 のそりとマットレスからげっ歯類みたいに垂れてた腕を、そっと引っ込めた。 「……今までずっと、考えてたんだけどさ。 それってなんか、意味あるのか。なんにも意味は、ないんじゃないか」 質問からは少し的を外していた。はっきりとした回答になっていない。 その前口上のように、ぼんやりとした問いが投げかけられて天井に吸い込まれていった。 「たとえば、可愛くなりたいってやつが、どんな言語でも読める異能をもった。 たとえば、生まれつきの病気を持ったやつが、空を飛べる異能を持った。 たとえば、孤児院育ちの子供が、誰よりも早く走れる異能を持った。 それって、意味あんのかな」 (-161) 2021/11/01(Mon) 19:00:20 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「…………0ではないですね」 天井に完全に消えていく前に、 けど、たっぷり息を吸い込んで、そう答える。 無条件の信頼を寄せているのはこっちだって同じで。 だからこそ、迷いもいくつか生じてくるもので。 「海外のファッション雑誌を読んでかわいさを。 病気のなかでも空を飛ぶ利便性と楽しさを。 独りでも、ずっと走っていける力を。 ……能力を得るならば、 どんなに回り道でも目標への道はできる」 「そう思うんです。 そう思う、けれど」 (-162) 2021/11/01(Mon) 19:07:00 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「今行く道が合ってるかどうかなんて、 行けるところまで行ってみないと分かんないんですね」 嫌いな異能を手にして、陸上を選んだのも。 異能や人脈を生かして、薬騒ぎに関わったのも。 いつか何か、胸を張れる、 気持ちのいい『成功』を得られると信じただけ。 それだけ。 「だから、今の俺は、これしかできないんです。 今この瞬間は……役目を果たすことしか」 (-163) 2021/11/01(Mon) 19:09:21 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「鮭鮪はいいとして鯖鯵は地味だし、 穴子作っても魚の雪像作った感は出ないと思う。 いっそ雪で寿司握ったらいいんじゃない?」 適当アドバイス! (112) 2021/11/01(Mon) 19:20:27 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「……そうだな。きっと回り道でも、力をくれる。助けてくれる。 "特別な力"にはそういう希望があって、選択肢をくれるもんなんだと思う。 でも言葉は直接自分の容姿は劣ってると思うものに自信をつけてくれはしないし、 空を駆り続ければ生まれつきの心臓の病はより酷くなるかもしれないし、 走り続けても両親も居場所も、手にすることができるかどうかはわからない。 整形したほうが早いとか手の届く範囲のお洒落で良いって言うやつもいるだろうし、 異能に頼らなければもっと長く好きなことを続けられたかも知れないし、 自分の居場所を見つける手立ては、立ち止まったほうが見つかるかも知れない」 それは貴方の言葉に対する否定になるのだろうか。それでも止めなかった。 向ける目は鋭さなんてなかった。曖昧に、夢想し続ける。有ればよかった未来を。 たらればばかりの言葉は、きっと貴方の理想とする気持ちのいい成功とは程遠い。 マットレスの上に座り直した。長い足を床に投げ出して、いつもと少しだけ逆転した目線。 → (-164) 2021/11/01(Mon) 19:24:40 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「この異能(ちから)があってよかったって思うこともたくさんあったけど。 別に、これだけが人生の頼るものじゃない。寄り添ってくれるわけじゃない。 無作為に与えられた特別な異能(ちから)だけが、未来をくれるわけじゃない」 ぎち、と爪が手首の裏を擦り傷のように裂いた。指を触れる。傷はなくなった。 何の意味もないことを、何の意味もないパフォーマンスのように見せた。 確固たる拒絶ではない。けれども涎の垂れるような渇望でもない。 リノリウムの廊下に伸びる輝きの先に、報われるものがあるはずだと、 きっと誰もが、探している。 「御旗の将来の夢って、何?」 それは異能でなければ、叶わないこと? (-165) 2021/11/01(Mon) 19:25:21 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「俺は……」 敵わないな、なんて顔の隅々に書いてるみたく。 心に閉じ込めたもの、全部曝け出すにはもう、 頑張り過ぎたと言っても“過言”ではないと思う。 もういっか。呟いた言葉はその表れ。 「結局のところ、みんなに肯定されたとき、 それを素直に飲み込めるように、 自分のことを誇れるようになりたかったんですよ。 健人先輩が心配して、気を遣ってくれるのに、 自分が鬱屈としていたら……申し訳が立たないです」 後輩の憧れも。悪友の好意も。仲間の信頼も。 その全部を背負うには、この背中はあまりにも薄汚い。 ▼ (-167) 2021/11/01(Mon) 19:39:00 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人目指したのは、 地続きのリノリウムの世界の外なんかじゃない。 タータンを走る、あとわずか追い付かない、 眩いスポットライトを浴びる誰かのその先。 「俺の異能のこと……聞いて、くれますか?」 ヴェールの如く秘密を包んだ暗闇はきっと邪魔だ。 隠し通すという報われない努力は、もうやめにしよう。 (-169) 2021/11/01(Mon) 19:44:55 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「単純に、疑問だったんだ。騒ぎ起こしたり、引きこもったり。 力が強くなることで得たり残ったりするものもあったんだろうけど。 俺、そういう騒動の中にいたやつのこと知らなくて。何を、してみたかったんだろうなって」 窓の外に降り終わった雪の照り返しが少しだけ残っていた。 単純にやりたかった、やりたくなかった、望んだ力だった、そうじゃなかった。 そんな、言い切れる話じゃなくて。 弱い異能も強い異能も、知らない薬の手助けも、その人の全てじゃなかっただろう。 「この暴走に、関わってたんだなって思った。 でもさっき聞いた感じじゃ、何かいいものがあるはずだって言い方だったろ。 なんとなく、騙して言ってる感じじゃあないよなあ……って。不思議だったんだ」 例えば何か恐ろしい陰謀の為に生徒たちが普段と違う行動をした、とか。 そんな風に一面的に結論づけるにはどこか不都合で、だからこの数日、気にかかっていたのだろう。 自分のことより、周りのことの方がよく気にかかった。 この違和感は完全には消えないだろう。だって子供達はいつも惑っている。 だから。目を閉じて、開いて。言い切ってしまえない胸の内に、耳を傾けることにした。 「うん。俺も、答えを出すまでは。 ちゃんと黙って、聞いているから」 (-173) 2021/11/01(Mon) 20:15:40 |
【秘】 綴り手 柏倉陸玖 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「はは。その人の苦悩は、その人だけのものですのにね。 決して他の誰かのものとは比べるべくもない。」 なんて、そうは言うけれど。 俯瞰して見た時に、その相対性を考えてしまう事はある。 それもまた、誰だってそう。 「光が強いほどに、陰は濃くなる。 引き立て役は、何も俺達だけではない。 ええ、君も知っての通り。」 そうして脚光を浴びるものの存在さえ。 日陰者が誰もを見返してやる、その優越感の一助とできるなら。 「なら、最大限利用し合ってやるとしましょう その方がきっと、ずっと建設的というものです。」 確かに、物事には相対性というものが存在して。 それを廃してしまうのもまた、きっと違う。 とはいえ、"だから何だ"と開き直る事も時には大切な事。 「後の事は、走り切ったその後に考えればよろしい。 結果や理由なんて、後から付いて来るものですよ。」 そんな、副会長としては随分無責任な言葉を投げ掛けて。 その後は、片手を軽く振って通り過ぎて行こうとする。 (-175) 2021/11/01(Mon) 20:43:12 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「交通事故に遭って数日寮に戻らなかった日、あったじゃないですか」 血相を変えた先輩にいろいろ聞かれて、それでも押し黙ることしかできなかった情けない自分までの、今でも鮮明に覚えてる一連の思い出。 「ある女友達と遊びに出かけてて。 よくある、踏み間違えによる急加速で、車が一台猛然とこっちに突っ込んできたんです。 無我夢中でその子を突き飛ばして、自分はそのまま壁との間に」 ぺち、と手を叩く。 噛み締めるように深呼吸を挟んで。 「目が覚めたときには病室のベッドの上で、医者には、異能のおかげで特に後遺症はないなんて言われて。 酷い目にあったし、つくづく世を呪ったけど。 好きな子を守れたし、ついでに生きてるし、この異能も捨てたもんじゃないなって思ったんですよ」 眩しそうに窓の外を見やる。 大したことのない光が、少し足を動かせば届くそれが、とてつもなく遠くにでもあるように、目を細めて。 「それでさ。 お見舞いに来た彼女の一言目が、」 (-177) 2021/11/01(Mon) 20:53:56 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「勿論無茶苦茶な語弊があったと思いますよ。ピンピンしてるのが信じられないほどの有り様だったんでしょうね。 そう、そこからです。ただでさえ好きじゃなかった異能に、絶望的な負の感情を抱き始めたのは」 ひたすら、暗い笑みを浮かべている。 でも今は、信頼が勝るから。言葉を紡ぐのを止めたりなんかはしない。 「俺の異能(ちから)は。 “御旗”の名が示す通り。 『某不快害虫の身体能力を得る』もの。 うざったいほど足が速くて、高く跳べて、気持ち悪いくらい生命力に満ち溢れている、最高なほど───最低な異能」 故に。常に自信が足りず。 故に。人の目に努力を晒すことがなく。 故に。スポットライトを浴びる誰かが、とてつもなく羨ましくて、仕方がなかった。 自分は、どうあっても、地を這う暗がりの嫌われ者の烙印からは逃れられないというのに。 ▼ (-179) 2021/11/01(Mon) 20:55:26 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「薬の実験に関わったのは、本当に何となくです。 持ち掛けられて、断る理由もなくて、 とんとん拍子で、加担することになって」 「まあ多分。変えたかったんですよ。今の自分を。 今もずっと陸上を続けてるのだってそうです。 薬をあの手この手で人に与えるのも、そう。 最大限、ちからを活かせる場で、 俺は凄いんだぞってことを見せつけたかった。 暗がりから眩い人たちを捻じ伏せて、 そうしてやっと、 自分は多少は異能を、自分を誇れる気がしたから」 でも、と続けて。 「結局、健人先輩。あなたには異能を使わず、正面から話してみたくなっちゃいました。 迷わず走り切れって助言してくれた人が、いたのに」 (-181) 2021/11/01(Mon) 21:03:13 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「元気そうな声が聞こえたかと思えば消えた……」 寒いのは得意ではないので、手袋にマフラーと防寒しっかり。真冬みたいな様相。 (127) 2021/11/01(Mon) 21:18:24 |
御旗栄悠は、ちょっとだけ頭が思春期になった。 (a49) 2021/11/01(Mon) 21:50:53 |
御旗栄悠は、いつも思春期だったかも。 (a50) 2021/11/01(Mon) 21:55:48 |
御旗栄悠は、シオン・グレイヴズの頬をもちゃもちゃにした。 (a52) 2021/11/01(Mon) 22:05:52 |
御旗栄悠は、「だってお前女として受け取るには変なんだもん……」 (a54) 2021/11/01(Mon) 22:11:15 |
御旗栄悠は、身体を地面に沈めればクラーケンぽいと思った。 (a66) 2021/11/01(Mon) 22:49:58 |
御旗栄悠は、フリーハグの列に並んだ。 (a72) 2021/11/01(Mon) 23:10:06 |
御旗栄悠は、シオン・グレイヴズに、腕を広げてみせた。 (a74) 2021/11/01(Mon) 23:25:27 |
御旗栄悠は、シオン・グレイヴズの頬をもちゃくちゃにした。 (a77) 2021/11/01(Mon) 23:44:49 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「……なんでそんなこと、言ってしまったんだろう」 見も知らぬ誰かの心中なんてわかるわけはない。声は小さかった。聞こえなくてもいいように。 きっとはずみで出た言葉に、字面以上の驚きなんてのはないのだろう。 誰かに好かれる人であるなら、どこかに希望を持って想像したいところだけれど。 それ以上に、目の前の彼が負っただろう心の傷の深さの方が、ありありと想像できてしまった。受け入れ難い言葉だろう。 「それは何かを変えてみたいと、思うかもな……俺だって、きっとそう思う。 誰かに懐疑的に思われた異能を自分だけは愛して抱きしめるなんて、できない。大人になれば違うかも知んないけど」 モラトリアムの中に揺蕩う自我に強固な自信を持って、胸を張るのは難しい。一人で立つのはとても厳しい。 臆面もなく自分ならどうしただろうなんて考えてみて、同じような帰結に辿り着いたんじゃないかと、納得した。 立ち上がって改めて目の前の少年の姿を見て、けれどもその姿が立派な誰かではなく少し背で勝った後輩であることに、頷いた。 「機会があったからって掴めたかどうか、俺にはわからない。御旗はすごいよ。 まあだからって見方が変わるわけじゃないんだろうな、って思った。そんな簡単な話じゃないだろうから。 ……俺も、自分の異能をなんだこの、って思ったこともあったから、もっと衒いもなく受け入れられたらってのは、わかる」 → (-239) 2021/11/02(Tue) 9:12:27 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠なんとなく自分の頭の上に手を置いて、それから同じ高さのままで御旗の頭の上に手をかざしてみた。 5センチメートルの差異があって、それは成長期の変化を伴っても大きな差はない。仕草そのものは、ともすれば不遜だっただっただろう。 けれども目の前の少年が急成長した誰某かではなくて同室の御旗栄悠であることを認めて、ふっと息を吐いた。 「どんな結果になるかわかんねえけど、薬の話受けるよ。 ただ、必ずしもその結果は教えられないかもって事だけ、約束してもらっていいか。 たぶん俺のなりたい姿には届かなくて、情けない姿を見せると思うから」 (-240) 2021/11/02(Tue) 9:16:35 |
【赤】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「俺も……薬は渡してきました。 あとは天命を待つのみといったころです」 淡々と仕事ぶりだけを言っていく。 どことなく気遣うような面持ちではあるが。 「え、油絵?……見られてたんだなあ。 各方面の尽力で大騒ぎにならなくてよかったですよ」 (*8) 2021/11/02(Tue) 14:56:32 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「……だから、そうやって」 また、たっぷりと息を吸い込む。 震えた声をどうにか抑え込むように。 僅かに顔の角度を上げて、振り絞る。 「そうやって俺に寄り添わないでくださいよ。俺の頑張りはまだ成就してなくて。だからまだ肯定されてはいけないんです。 なのに、それなのに。そんな言葉をかけられてしまったら……そしたら」 抱いた感情にふさわしい相応しい言葉を知らなくて、思わず拒絶をしてしまうようなその態度は。 紛れもなく、あなたの良く知る後輩のもの。 「でも結局……優しい言葉を望んでいたのかも知れません。 だって、もっと問答無用な手段をとれた。話し合う必要だってなかった。 心の奥底では、独りで走り切る覚悟が足りなかった」 (-263) 2021/11/02(Tue) 15:48:29 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「……薬、受け取ってください。 俺が踏み出せなかった道は、あなたへ」 一粒の、袋に入った錠剤を、 手元に軽く放り投げる。 「俺は、俺の道を行きます。 その結果、どんな姿になろうとも……俺はきっとまた、ここに戻ってきます。 何があろうとも、ここは俺の居場所で、無理して走る必要のない場所ってことが分かったから。 その代わりに健人先輩は、 なんなりと好きにしてくれたらいい」 重ねて約束です、と告げた。 (-264) 2021/11/02(Tue) 15:49:46 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「雪積もりに積もると、明日からも練習できなくなるからどうにかなんないかな……」 雪を堪能したけど、結局冷静になって。 「最悪雪かきするかあ。何人か連れて」 (174) 2021/11/02(Tue) 19:14:35 |
【人】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠>>176 「ああ、手伝ってくれるなら是非。 といっても水泳部だけなら室内プールで余裕そうだけど」 体育祭の競技はそれだけじゃないし、 まあ、手伝っても損することもあるまい。 「シオンは筋肉痛になろうと雪かきの場に引きずり出すからな。覚悟してくれ」 (178) 2021/11/02(Tue) 19:39:31 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「かわいい後輩を突き放すのもやだよ。かといって、変に構ったりもしない。 今の話聞いて、お前はもう少しだけ自分の出来ることを試したいんだって判った。 だから、なんだろ。俺ももうちょっと待つよ。 全部終わるか、その前に何かがどうにかなっちまったなら、また話を聞くよ」 サッカー部の朝練は早い。そしてそれよりも、貴方が朝練に出かけるのは早い。 こうして話ができたのが今まで至ったのも、ちょっとの生活のズレがあったからだろう。 けれどいま起きていることが、手遅れになることなんていうのはない。 御旗が駆けて、トラックを周って戻ってきたなら。きっと、互いのゴールを見つけられるだろう。 「わかった。俺は俺なりに、やってみる。 ……きっとこれに頼っても、早道にはならないって俺はわかってる。 少なくとも俺にとっては。けれど、託された希望の先を、ちょっと覗くだけならいいよな」 手のひらは大きい。その真ん中に握られた薬は頼りないくらい小さかった。 いっそ外国のサプリメントくらい大きかったら、逆に笑えていたかも知れない。 小さな冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開ける。 「これさ、どれくらいで効果出る感じ?」 (-300) 2021/11/02(Tue) 19:57:29 |
【秘】 紫の苧環は咲く 御旗栄悠 → 遅れて来た 世良健人「俺が見た範囲だと……放課後だかに飲んで、翌日に効果が出て休んだり騒ぎになったりといった感じなので。 即効性はないと思いますよ。個人差もあると思いますが」 緊張の糸が切れたように、肩の力を抜いて、 自分のベッドに勢いよく突っ伏しに行く。 「……もっと夢のあるモンだと思ってたけど、 聞く限りじゃ、やっぱり強くなりすぎて不便になってる、てのばっかり。 俺の意地とは別に、ここで起きたことがもう少しまともな薬の開発に繋がればいいなあ」 唇に布団が触れているのか、もぞもぞと微妙にまとまらない発音でそんなことを言って。 「明日はちょっと遅めに学校に行こうと思います。雪溶けてなきゃ練習も雪かきもできないし。 ので、まあ。できるだけ深く寝入れるようにしときますよ」 (-305) 2021/11/02(Tue) 20:14:54 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠シオン・グレイヴスはたびたび御旗に電話するし、「遊ぼうぜ〜」と誘う。ゲーセンとか。映画とか。 (-309) 2021/11/02(Tue) 20:38:13 |
【秘】 遅れて来た 世良健人 → 紫の苧環は咲く 御旗栄悠「そっか。じゃあ、今のうちに飲んでおいたほうがいいんだな。 ……自分の持ってる力が変質したら、やっぱりビビると思う。 今戸惑ってるやつらも、そのうち小さい頃みたいに何かつかめるんじゃないかな」 "それ"に気づいたときからすぐに使いこなせたわけでは、誰だってないだろう。 今だって持て余しているのだから、いつかは自分自身のように馴染むはずだ。 口の中に錠剤が放り込まれて、追って水を二口三口飲み下した。 キンキンに冷えた水が冷えた体にちょっと染みて、足をバタバタさせてみる。 「おやすみ、俺はもうちょっと勉強してから寝るから。 この期間、公式全部吹っ飛びそうであやういんだよな」 なるべく音をたてないように、光が漏れないように机に向かう。 スマホの明かりを使えばほとんど部屋に響かないくらいの光を得ることができた。 「……門限申請はもう出せないよな。 じゃあ、朝早い内に……そしたら……」 独り言はノートの白に吸い込まれていった。 微睡みの中へは通り抜けていかないだろう。 (-311) 2021/11/02(Tue) 20:43:05 |
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