【独】 清掃員 カミクズどぼん、大きな飛沫が上がって。 ごぼごぼと、耳障りなあぶくの音。 ほんの一瞬、背に感じた温度と、水面の明かりが遠くなっていく。 ──入水自殺。 水死体は水に浮く。ありさまもひどいもの。 ああ、見苦しい姿を晒さないといいな、なんて思って。 それから。 (-90) 2022/03/06(Sun) 3:03:16 |
【独】 清掃員 カミクズ──寒いな、と思った。 多分、冷たい水が体温を奪っていく、せいで。 ああ、でも、これは。 多分、寂しいのだろうな、とも、思って。 ごぼり、また一つあぶくが水面へ昇っていく。 肺が必死に命を繋ごうとしても、流れ込むのは水ばかり。 (-91) 2022/03/06(Sun) 3:12:24 |
【独】 清掃員 カミクズ息ができない。 怖い。 でも、泣いている事を知られずに済むのは、 怖い。 死ぬのは、怖い。 でもこれは、自分が望んだ最期、でもあって、 嫌だ。 意識が暗く沈んでいく。 怖い、怖い怖い怖い!!! せめてここでの時間が、 どうかきみにとって決して辛いばかりのものでないように、 どうして、 (-92) 2022/03/06(Sun) 3:31:01 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズまだ。手を伸ばせたじゃないか。 まだ。生きようとできたじゃないか。 俺が殺さないと。 俺が終わらせてあげたいんだ。 (-96) 2022/03/06(Sun) 6:02:34 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ男はずっと黙っていた。 最期の言葉を、君が産まれたことを望んだ言葉にしないといけなかったから。 死 な 、運がな いで良 け れ ば 、ま だ 。ど う して抗 ってく れな い のか、嫌 だ、ま だ。嫌 だ、嫌 君の こと が、本 当に。葉見ず花見ず。 最期の赤を、君の赤が広がる前に手に握らせた。 見ていた、ずっと見ていた。 (-98) 2022/03/06(Sun) 6:21:25 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ/* 生殺与奪含め全ての解釈や描写、返答や行動の猶予等、こちらメロンパン入れとなっておりますさんの自由にしてください。 どんな結果も受け止めお返しいたします。 (-100) 2022/03/06(Sun) 7:47:05 |
カミクズは、落ちて、落ちて、落ちて… (c14) 2022/03/06(Sun) 9:23:49 |
カミクズは、手向けでなく、贈られた花と共に。 (c15) 2022/03/06(Sun) 9:23:56 |
カミクズは、ゆっくりと広がる赤に沈む。 (c16) 2022/03/06(Sun) 9:24:11 |
【秘】 清掃員 カミクズ → 不運 フカワ──運が良ければ、なんて事は無い。 これはきっと、多分、きみの 不運 なのだろう。投身自殺の成功率は低い、という話を知っているだろうか。 人体というものは脆いくせに柔軟で、 ちょっとやそっとの高さから落ちた程度では死にきれない。 大抵の場合、即死はできない。 もっとも、当たりどころが悪くなければ、の話。 ゆっくりと赤が広がっていく。 でも、まだ生きている。 不運かそれとも躊躇いか、慈悲の重みは狙いを外したようだった。 当たりどころは、良くも悪くもない。 放っておけば確実に死に至るだろうけれど、 この合議が終わるまでの間、命を繋ぐくらいなら。 まだ間に合うのではないかと思えるだけの。 もう一つだけの岐路、選択の余地が、そこにある。 静かに死を見守るも、生を拾い上げるも、今はきみの自由だ。 だって、上葛掃守という人間は。 いつだってきみの意思を、選択を責めはしなかったでしょう。 (-102) 2022/03/06(Sun) 9:25:54 |
カミクズは、きみが望むなら、それでよくて。 (c17) 2022/03/06(Sun) 9:46:41 |
カミクズは、でも、きみの望まない事はしたくないな、と思う。 (c18) 2022/03/06(Sun) 9:47:53 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ「……」 あなたの体のそばまで時間をかけて降りてくる。 想像通りうまくいかなかっただとか。 それでも、綺麗に見えただとか。 都合よく消えた魚たち、水槽の中の二人。 ねぇ、ロマンチックだと思いませんか。 最後の止めが必要になるこの状況が。 ――――俺、あの人と仲良かったんですよ。 ――――――楽しかったんですよ、なのに。 ――死んでどっかにいくっていったんです。 ―――――――嫌でした、すごく嫌でした。 (-112) 2022/03/06(Sun) 13:35:24 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ「掃守さん」 頭を潰してしまえば死んでしまう。 涙がこぼれて前が見えなくても、成功することがわかる。 誰にもこの命を奪わせたりなんてしない。 俺だけのものだ。 ―――――――俺のこれって怒りなんですよ。 ―――仲が良いと思っていたのは自分だけで、 ――あとから追い付いた感情は執着になって、 彼から得る感情がもっと知りたくなりました。 (-113) 2022/03/06(Sun) 13:41:11 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ『人なんて殺したことないし』 『気合いをいれないと』 『こっちが殺されるんですよ』 顔面を硬い石で叩き。 頭を完全に潰して、二度と戻らないように。 赤 が、黒のエプロンと白の服を染めて、これで。よく眠れそうだと思った。 (-114) 2022/03/06(Sun) 13:44:28 |
【秘】 不運 フカワ → 清掃員 カミクズ「一緒に寝ようか、 」 やっと理解できた。 君の死にたい気持ちが。 動かなくなった身体をずらして、一緒に横になる。 抱きしめながら、笑って、髪を撫でる。 大好きなシオンと鈴の花に包まれる。 ここでは不吉な花も海藻たちとなじみそうだなんて。 寒さを感じるが、大したことは無い。 君が暖かくないことも、かまわない。 君の目が俺を映ささないことだって。 君の口が俺への愛を囁かなくたって。 この気持ちは、君だけのもの。 俺の気持ちは、君からのもの。 だから少しだけ、この夜だけはずっと一緒に。 (-115) 2022/03/06(Sun) 13:52:19 |
【秘】 清掃員 カミクズ → 不運 フカワほんの一瞬だと思っていた浮遊感は、思っていたより長く続いて。 その後に訪れたものは、水の冷たさではなかった。 人体が地面に叩き付けられる、鈍い音。 自分が、今、どうなっているのかわからない。 視界がちかちかとして、上手に息ができなくて、手足が冷たくて。 全身を苛む激痛と、 じわりじわりと命が流れ出ていく感覚だけが鮮明だった。 ただそれだけが熱を持っていた。 それで。 今になって、迫る死を、これまでよりもずっと近くに感じて、 怖いな、と思って。 痛くて、 寒くて、 寂しくて、 怖くて、怖くて、怖くて、怖くて仕方なかった。 (-124) 2022/03/06(Sun) 15:17:52 |
【秘】 清掃員 カミクズ → 不運 フカワだから、そこに聞こえた足音と、それから。 この場所で、唯一自分を名前で呼ぶ人の声に。 ほんの少し、どころじゃなく安心した自分が居て。 ──曰く、死ぬ時に、最後まで残っているのは聴覚なのだと。 そんな話を、ふと思い出したりなんかして。 ああ、あれは案外本当なのかもしれないな、と思った。 けど、同時に。 泣いているの、ばれてしまったかな、とも思って。 何かが頬を濡らす感覚に、それもおあいこだといいな、と思った。 (-125) 2022/03/06(Sun) 15:18:21 |
カミクズは、手を伸ばしたくて、でも、届かなくて。 (c19) 2022/03/06(Sun) 15:18:37 |
カミクズは、その涙に触れられなかった。 (c20) 2022/03/06(Sun) 15:18:44 |
【秘】 きみだけの カミクズ → 不運 フカワそれから。 霞む視界の中、影が差したのを、感じて。 また一つ、鈍い音が響いて。 目の前が 真赤に染まって、 それきり、意識はまっくらな眠りに落ちていった。 ──ねえ、邦幸さん。笑わないで聞いてくださいね。 僕、あんなに記憶転移があって欲しいと思っていたのに。 今では少し、あったらいやだなと思うんです。 きみへのこの思いが、他の誰かのものになってしまうのは。 それは…あはは、やっぱり、少しどころじゃなくいやだ、な。 …ね、本当に、おかしな話ですよね…… (-126) 2022/03/06(Sun) 15:20:03 |
カミクズは、その夜、いっとう深い眠りに就いた。 (c21) 2022/03/06(Sun) 15:20:24 |
カミクズは、きみのくれた、誰かの死を悼む花と、 真っ赤な花 を抱いて。 (c22) 2022/03/06(Sun) 15:20:36 |
カミクズは、それに、大好きなきみが傍に居てくれたから。 (c23) 2022/03/06(Sun) 15:20:46 |
カミクズは、眠りに就くのは少し怖かったけれど。 (c24) 2022/03/06(Sun) 15:20:51 |
カミクズは、その夜も、ちっとも寂しくはなかった。 (c25) 2022/03/06(Sun) 15:20:57 |
カミクズは、普川邦幸の傍に居る。これからもずっと。 (c26) 2022/03/06(Sun) 15:21:08 |
の名残 カミクズは、メモを貼った。 (c29) 2022/03/06(Sun) 19:25:43 |
カミクズは、もう下手くそな笑顔を見せる事は無い。 (c30) 2022/03/06(Sun) 19:26:04 |
カミクズは、その顔は傷付けられて、見る影もないけれど。 (c31) 2022/03/06(Sun) 19:26:13 |
カミクズは、目も口もただ閉じられて、笑みの形でこそ、ないけれど。 (c32) 2022/03/06(Sun) 19:26:22 |
カミクズは、きっと、だからこそ表情は穏やかなものだった。 (c33) 2022/03/06(Sun) 19:26:28 |
【秘】 ユス → の名残 カミクズ『カミクズさん。気になって連絡しました』 合議が終わった後のこと。裁判場を出て、すぐに貴方に連絡を入れる。 『座る場所が傍聴席であろうと欠かさず来ていた貴方が今日来ていなかったので、気になって連絡しました。 掃除、やはり無理させたでしょうか』 青年はよく無責任な発言をする事が多かった。己の手で責任を取れるものなど限られているから。 ただ、この間の掃除については自分も関わっている為かどうにも気になって連絡を入れたようだ。 貴方が一人の男と水族館へ行き、そのままいっとう深い眠りについたことなんて、全く知らない。 (-194) 2022/03/06(Sun) 23:26:27 |
【秘】 の名残 カミクズ → ユス『ああ、ユスさん』 『大丈夫ですよ。 ちょっと外せない用事があって、行けなくて。 今日の話し合い、皆さんどうしてましたか?』 なんて。 今も端末の向こうに清掃員が居たら、 きっとそんなふうに返したんだろうな。 でも、そこに清掃員はもう、居ないから。 確かにそこにあった、暖かかった時間の、優しかった時間の その名残を残すばかりのものになってしまったから。 その連絡に、返事が返ってくる事はなかった。 たとえ責任が取れずとも気にはする男の、珍しい無責任だった。 そして多分、端末で調べても、現在地はわからないんだろうな。 清掃員の行方を知っているのは、ただ一人だけ。 あなたに思い当たる節があるかは、なんとも言えないな。 (-199) 2022/03/06(Sun) 23:52:48 |
【秘】 規律 ユス → の名残 カミクズ 貴方と話した時間は決して多くはないが、それでも大まかに反応を予想する程度には知っている。 きっと穏やかな口調で大丈夫なんて返すだろうと予想していた。 ……するだけで、Wその先が無かったW。 合議終了後、何においても優先すべき用事ができたから、きっとそれ以降のこと。 いくら待てども手帳は真っ白。人柄的に、無視をするなんてことはしない筈なのだが。 「……」 疑問に思って、端末の別の機能を使う。人数を確認する。 …………マップに表示される人の数が合わない。 それが意味するものとは、つまり。 「……あり得ることではあるな」 手帳を閉じる。 貴方に再度連絡が送られることは、なかった。 (-207) 2022/03/07(Mon) 0:39:08 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ太陽が昇っている頃、あなたの遺体を持って広場に作った温室へとやってくる。 VRが故に遺体はそのままだろうか、形だけの処理だけを男は考えている。 穴を掘りながら視線を向けずに、独り言をつぶやいて。 「花屋はしているんですが、ガーデニングはあまりしてこなかったんです。 ハナサキさんは土いじりを趣味にしていると聞いたんですが、俺は経験談は少ないんですよね……花言葉や花束の作り方を心得て居るぐらいなんです」 「カミクズさんは多分、接客が合いますね。 センスがいいのなら、リボンや……包装も頼めたら楽でしょうか。あ……」 「火葬した方が、いいのか。 埋めるだなんて……サスペンスの見過ぎですね」 (-220) 2022/03/07(Mon) 2:30:43 |
【秘】 の名残 カミクズ → 美術 エノその日の話し合いの裏、落ちていく意識の中。 ──ああ、死ぬのだろうな、と思って。 それから、きみに言われた言葉を思い出して。 やっぱり悲しませてしまうかな、なんて罪悪感が蘇って。 それでも、きみには生きて欲しいな、と思った。 その未来をこの目で見る事は叶わないけれど。 それは、ある種の呪いになってしまうとわかっているけれど。 重荷を背負って生きる事は、苦痛を伴うと知っているけれど。 話し合いの様子を、知っていたわけではないけど。 『絵乃さん』 『僕はずっと、きみに生きていて欲しいと思っていたんですよ』 『だから』 『きみが生きていたいと願うなら、 僕は、きみの友人は、それが叶う事を願っています』 でも、それでも、そう願う事は。 友達の無事を、幸せを願うのは、それこそ普通の事でしょう? そんな、ちょっとずるいメッセージは、確かに送信された。 だから、どうか、どうか。 これ以上、大嫌いなこの制度に、 僕が生きて欲しいと思った人が、奪われてしまいませんように。 (-221) 2022/03/07(Mon) 3:10:55 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ死者は、何も語らない。 息絶えた時そのままの姿で、ただそこにある。 温室を初めて訪れても感嘆の声を上げる事は無いし、 穴を掘るきみの背に、 手伝いましょうか、なんて声を掛ける事も無いし 虚しく響く独り言に、相槌を打つ事も無い。 ただ、確かな死の気配を纏って横たわっている、だけ。 それがあるべき姿だった。 (-222) 2022/03/07(Mon) 4:16:12 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワそんな中、不意に。 「 ん っ い」 乾いた唇が、ほんの少しだけ動いて、それから。 「 ── ─ぜんぜ んわ かって ない! !!」あるべき形に抗って、 死者は今一度重たい目蓋を上げて、泥濘の眠りを振り払った。 夥しい血に塗れた人間がゆっくりと身を起こす光景は、 きっとホラー映画も斯くやの凄絶なありさまだったんだろうな。 それが誰にとってのホラーかなんて、わかりやしないけど。 (-223) 2022/03/07(Mon) 4:21:14 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ「僕は」 「 一人は いやだ って、いったの に」「 埋めるだ とか、火葬だと か」そんな言葉の勢いも徐々に弱まって、 最後には項垂れて、もう何も濡らす事の無い涙を零した。 「おいていかないでよ……」 取り巻くもの全てがどうしようもない寂しさを掻き立てる。 これじゃあまるで、自分はもうここに居ないみたいじゃないか。 もう、きみの傍に、居られないみたいじゃないか。 (-224) 2022/03/07(Mon) 4:21:54 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「……何言ってるんですか? 死体なのに、一人になるとかならないとか関係ないですよ」 「現に一人にしてないじゃないですか、向こうに俺の造った温室があります。見ていなければ綺麗な花をそろえてるので見ていってください」 勢いのある声を背にあえてそちらをみずに穴を掘り進める。 君の涙にも気付かず、ただひたすらに。 「寂しさなんてわかりませんよ。 一緒に死にたい気持ちも、まだ……きっと永遠にわからないです」 「それに、置いていったのはあなたですよ、掃守さん」 (-225) 2022/03/07(Mon) 4:37:50 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ涙を拭って、顔を上げて。 一つ深く息をすれば、耳障りな音がした。 息をするだけで億劫だ。骨が折れて、肺を傷付けているから。 「手放したのはきみだ」 それでも、確かな声で事実を突き付けた。 ああでも勘違いしないで欲しいのは、 きみの言う事も事実の一つだと、そう思っている事。 「確かに僕はきみを置いていく事を選びましたね。 きみが誰かを失う事の痛みを知る事ができるように。 そんなどこまでも独善的な理由で。 …ああ、でも、結局寂しさも何もわからなかったんですね。 そうだとしたら悲しいな……でも」 悲鳴を上げる身体を引き摺って。 背を向けたままのきみに歩み寄って、その表情を覗き込んだ。 「 本当にそう思ってる? 」もし仮に、本当に何も感じていないのだとしたら。 この死者と向き合う事から逃げる必要なんて無いでしょう。 (-226) 2022/03/07(Mon) 5:28:57 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「……どうしたの」 「勘違いしないで」 覗き込んだ顔は涙を流して、君と視線があった瞬間に近づき、触れずに二人の距離は0になった。 男は残酷なほど君を死者として向き合っているつもりだ。 そうでなければ、 埋めることも燃やすことも考えたりしない からだ。そして涙をこぼしながら穴など掘ってもいない。 「……君の寂しさがわからないといったんです。 わかりたくも、無いです味わいたくもないです」 「死んだあとなんて、続かないと思っていたのに。 こんな辛い思いをさせるなら終わらせなかったのに」 「殺されたことも、置いていかれたこともない」 「だからわからないと言ったんですよ」 「死人扱い、されたくないんですか? そんな、君の事を考えずにつれ歩けませんよ」 (-236) 2022/03/07(Mon) 11:40:18 |
【秘】 美術 エノ → の名残 カミクズ青年は、その通知を。 どこか、海の見える場所で見た。 「……なんだよ、そんなの。」 「俺だって、ずっと思ってたよ。」 「君に生きてほしかったんだ。」 「俺だって。」 「……俺、だって……………」 ぽた、ぽたと、砂浜に涙が溢れていく。 ずるいよ、自分ばっかり。 俺は君の事、ちゃんと見送りだしたじゃん。 君もそうしてよ。 そうして、くれないと。 「……っぅぅ………く…………」 ───せっかくの脆い決意が、揺らいじゃうよ。馬鹿。 呪いみたいな優しさに、浸されていく。 友達って、ずるいよ。 (-240) 2022/03/07(Mon) 13:03:32 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ濡れた頬に触れようとして、でも。 確かに伸ばした手はそれをすり抜けてしまった。 いつもいつも、触れられなくなってから涙を見るなんて、 「ひどい話ですよ」 心底残酷な話だと、吐き出す息に乗せて呟いた。 下手くそな笑みの影も形もない顔で。 「…勘違い、しないで欲しいのは」 また一つ、肺を傷付けながら息をする。 本当は呼吸なんてしない方が楽だ。 声を出す為にしているだけで、もう必要の無いものだ。 それでもきみに伝えたいからそうするのだ。 「こうして終わりの先をまだ続けているのは、 僕の意思で、僕が望んでそうしたことです」 「きみのくれた終わりは、死の眠りは確かに心地良かった。 痛みも苦しみも全て遠い事のようで、何も考えなくてよかった。 でも、その中ではできない、得られないものがあった。 だからこうして這い出して来た、たったそれだけです」 「今のきみに何もしてあげられないことが、一番寂しい事だから。 きみが泣いている時に傍に居られないなら、 手の掛からない死人で居る事なんかやめてやる」 「埋める死体は、もうありませんよ」 (-245) 2022/03/07(Mon) 13:36:42 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「……聞いてくれますか」 「俺は、実は。 エノくんのことかなり 理解できてしまったんです」 突然告げるここに居ない誰かの話。 彼にはいっていない、彼には一生伝えない。 こんな場所で、彼の理解者にはなってあげない。 そう決めたから。 「……合議で人を殺したから票をいれてほしい。 自分は生きていたらいけない、だとか……そっくりで驚きました。他にも一人でも理解者がいて溺れられたらそれで幸せ。先をみなくても良い、未来に何を求めるのだとか、不安を過ごしたくない。いつ嫌われるかもわからないのだから、ここで終わりたい」 「本当にそんなことを思えそうでした」 「けれど、……違ったのは」 「どれぐらい好きな人をこの手で殺したかです」 (-258) 2022/03/07(Mon) 14:05:06 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「君と同じ場所にいきたいと思うために、 俺は、君を殺さなくちゃいけなかった」 「……一緒にいきたいと言えなかったことが」 「ずっと、辛いんです」 「ごめん、なさい。未来を信じられなくて。 奇跡なんて起きないと、諦めて。 それでも、まだ、生きていてすみません」 (-260) 2022/03/07(Mon) 14:07:06 |
【秘】 ユス → の名残 カミクズ「無意味なものだから、言っても仕方のないものだから、此処で言うのですが」 だって、貴方は聞けないから。 だって、貴方は何も言えないから。 「本当に助かりました。ありがとうございます」 水族館を出る直前、青年は今此処にいない清掃員に向けてそう呟いた。 「貴方が人の死を片付ける仕事に就いていて本当によかった。だから学びたかったんですよ。その技術を。 俺にとっては必要なものだったから。 これから先 、ね」手向けにもならない言葉を置いて、青年は出入り口をくぐっていった。 (-264) 2022/03/07(Mon) 15:02:16 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ「馬鹿な人」 なんて言いはするけれど、詰るような響きではなくて。 ああ、そうだ。 以前きみの事を困った人だと言った時。 あの時のニュアンスに、よく似ているんだろうな。 少し困ったようで、でも可愛くて仕方ないような、そんな感じ。 「それって謝るような事ですか」 「それって、誰かに許されなきゃならないような事ですか」 「一歩を踏み出せなかった事は、」 「信じられなかったのはきみの責任ですか?」 「違う、違う、違う」 「 僕達は許されるような事なんてしていない 」無い罪を許される必要はない。 (-265) 2022/03/07(Mon) 15:10:55 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ「ここだけの話ですけどね、邦幸さん。 僕と絵乃さんは、最初からずっと同じ方を見てたんです」 ここには居ない誰か。 淡い望みを断ち切って、泣かせてしまった人。 理解者ではなく、友人として別れを告げた人。 「生きていて良かったと思えるような事は何もなかった。 ここで何かを得て、幸せなまま死ねるならそれがいい。 生きている内にその幸せを失わない保証は無いから。 僕達はそんな所ばかりが同じだった」 歩んできた人生はまったく違うけれど、 一人の寂しさと、生きる事の虚しさばかり似通っていた人。 思えば彼とは"選びたくない人"も同じだったな。 「覚えてますか?僕が投票先に立候補した時の事。 最後に楽しかったと思ってここで死ぬなら良いと思えたから、 確かそんな事を言った覚えがあります。」 「最初の日、きみと一緒に楽しい時間を過ごした後。 きみが楽しかったと言ってくれたあの時。 これが最期の思い出になるなら、いいかなって。 僕はもう、それ以上を望む事を諦めていたんですよ」 それも、皆が助けないでいてくれたから、こうして死ねただけ。 「なんて言ったら、きみは怒りますか。」 (-266) 2022/03/07(Mon) 15:12:12 |
【秘】 の名残 カミクズ → 規律 ユス清掃員は、手向けとも何ともつかない言葉を聞けない。 清掃員は、応える事ができない。 清掃員は、水槽の中に残されたものを見る事は無い。 それはそこに居らず、死んでいるからに他ならない。 もしも最後に残された言葉を聞いていたら、 きっと何とも言えない顔をして、曖昧に笑ったのだろうけど。 それも結局は想像の域を出ず、つまりは単なる感傷に過ぎない。 (-267) 2022/03/07(Mon) 15:37:08 |
カミクズは、残された言葉を聞く事は無い。 (c41) 2022/03/07(Mon) 15:38:13 |
【秘】 の名残 カミクズ → 美術 エノそれがずるい事だとわかっている。 誰だって死にゆく人には生きていて欲しいと言いたくて、 けれどそれ以上にその意思を尊重したいから口を噤むのだと。 でも、きみがもし、生きていたいと望むなら。 やっぱりそれも尊重したいなと、思うから。 きみは上葛を送り出して、上葛もきみを送り出した。 ただ、送り出す先が、抱く決意が違っているだけ。 なんてのは、屁理屈だろうか。 屁理屈でもいいから、願わくば。 なるだけきみが後からゆっくり来てくれたらいいな、と思う。 文句なら、向こうでいくらでも聞くから。 いつまでだって待てるから、そこは心配しないでほしいな。 (-271) 2022/03/07(Mon) 16:01:14 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「言葉が通じるから、言ってしまうんです。 許されたいわけじゃないのに、許しを請うのは。 一体どうしてなんでしょうね」 何も、罪を犯していない。 君がそう定めてしまったら、俺は。 「怒らない、ですよ。 諦めていたから叶えたつもりになったんです」 「……生きて欲しいって、言えなくて」 何だったのだろう、君にだけ感じていた殺したいという感情は。 「他の人には簡単に言えたのに」 言うだけで、人を変えることが出来なかった。 だから、行動で見せることにした。 それなら俺の君にした行動は。 「……」 何も出来なくて良かった、何もないを続けさせたくないから終わらせた。 「俺は、……君に」 誰かがいう、ハッピーエンドを、渡せなかった。 ああ、これもまたきれい事だ、他人事のように思って。 (-297) 2022/03/07(Mon) 18:51:25 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「綺麗事でまとめた幸せを、あげたくありませんでした」 「なんて言ったら、きみは怒りますか」 つまり、ただ、 一緒に死にたかった 。自分がそんな事を考えていたなんて、あり得るのだろうか。 (-298) 2022/03/07(Mon) 18:51:52 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワそこに罪は無くとも、 許されたいという願望が無くとも。 「罪悪感がそうさせるんでしょうね」 その感情を抱く事は、また別の問題だろうから。 だから人は許しを請うてしまうのだろうな。 「わかってたんですよ、言えないって。 ああまで言えば、きみ達は生きろなんて言えないって。 誇張も嘘偽りもない本心でした。でも打算もありました。 だからずるいのは僕で、きみ達は悪くない」 「生きる事の喜びよりも、生きる事の虚しさが勝る人間に。 死を選ぶ自由を与える事の何が悪いでしょう」 幸せの、ハッピーエンドの定義は人それぞれで。 誰かの語るそれが、上葛にとってもそうとは限らなくて。 そして、きみにとってもそうとは限らないんだろう。 だから二人の間では、これでよかったのかもしれなくて。 (-320) 2022/03/07(Mon) 20:07:58 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ「怒らないですよ」 「嫌いだから。」 「大嫌いです、無関係な人間の語る、薄っぺらな綺麗事。 『幸福な王子』の話が大嫌いです。 この制度に纏わる美談が大嫌いです。 でも多分、本当に嫌いなのは」 生きていく上では綺麗事も必要なのだと思っている。 王子とツバメは確かに不幸ではなかったのだと思う。 確かにこの制度に命を救われた人も居るのだと思う。 じゃあ、何がこんなに嫌なのかって。 「選ぶしかなかった僕達の最後が、見ず知らずの他人の手で 軽々しく『めでたしめでたし』で締め括られる事」 物語として、他人に消費されるのが嫌で仕方ないんだ。 「邦幸さん。」 「生きている事は苦痛ですか。罪悪感に耐えられませんか。 不確かな未来や奇跡に期待するのはもう疲れましたか。 もしそうなら──誰の手も届かない所で死にましょうよ。」 この合議場での事は、口伝を除き外には漏れないから。 「今度こそ、二人で。 そうしたらきっと、幸せでなくたって僕は満足です」 (-322) 2022/03/07(Mon) 20:08:46 |
カミクズは、今や名残ばかりの亡霊は、甘い誘いを投げ掛けて。 (c48) 2022/03/07(Mon) 20:12:08 |
カミクズは、触れられなくとも、手を伸ばそうとする。 (c49) 2022/03/07(Mon) 20:12:15 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「あはは、君もその話をするんですね。 俺にはツバメは居なかったんですよ」 そうだ、男には伝える人も共に朽ちる者もいなかった 「……熱烈ですね、わかりました」 「俺は、死ぬまでの暇つぶしに来たんです。 その間、俺が誰かにたぶらかされないか、 君が――どこまで良心に耐えられるか」 あの時同じ水槽に道連れにされなかった時点で この命の居所は君の手元にはない。 男は共にする事を確約しない、そんなひどい人間だ。 「どうか」 (-330) 2022/03/07(Mon) 20:42:11 |
【秘】 不運 フカワ → の名残 カミクズ「さいごのそのときまで、楽しみにしていてください」 君に触れられないとわかっているから。 その額に口づけをしながら、甘やかすように微笑みかけた。 (-331) 2022/03/07(Mon) 20:43:00 |
【秘】 の名残 カミクズ → 不運 フカワ「………あのですね。 熱烈って、人の足切ってまで捕まえようとした きみが言えた話じゃないと思うんですよ…?」 やや呆れ混じりにそう零した。 思うところがあるのは、その発言だけじゃないけど。 これじゃツバメじゃなくて青い鳥になりそうだ。 「誑かされたら、その時は。 死人らしく怨み言言いに行く事にしますから」 額か、頬か、目蓋か或いは口元か。 触れられない以上は何処を狙ったか定かじゃないけれど。 お返しとばかり触れられない口付け一つ落として、 「あーあ。 きみが早まって殺さなければ、ちゃんとお返しができたのに…」 ついでにそんな恨みがましい発言一つして、 多分、死に損ないは暫く死体のふりに戻ったんだろうな。 理由はなんてことない、ただちょっと疲れたからってだけ。 (-337) 2022/03/07(Mon) 20:58:57 |
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