【人】 酔いが醒め、宵が来て ミズガネ>>121 >>122 >>123 ユピテル 柔らかな感触が唇に齎される。心を締め上げていた寂しさや歯痒さが溶けだして、息苦しさがなくなった拍子には、と一つ小さな吐息がこぼれた。 弱々しげな視線を投げたまま貴方の言葉を拾い上げて、思案する。 これがもし逆の立場だったならどうだろう?嫌なことを我慢させてまで好きにさせたいと言われて嬉しいだろうか? …………そんな筈はない! 「…………ユピテル」 愛しい人の名前を呼ぶ。少しだけ声が震えたような気もするけれど、自分のことなど気にかけていられなかった。 ▽ (129) 2021/10/28(Thu) 17:08:38 |
【人】 酔いが醒め、宵が来て ミズガネ>>121 >>122 >>123 ユピテル 瞼をそっと下ろして頭を撫でてくれる貴方の手の感触をしっかり享受しながら、ぽつりぽつりとこぼしていく。 「………………好きな人が、愛するお前が、誰かと恋人のように戯れるなんて嫌だ。息が詰まりそうになる。胸が痛くなる。 きっとこれは嫉妬なのかもしれない。醜いかもしれないが、誤魔化しが利かないんだ」 かもしれない、とはっきりしないのは今まで特別な人を作ったことがないからだ。 今まで逃げる為に女の温もりを求めていただけの男は、ようやく嫉妬という感情を手にした。 ようやく男は瞼を持ち上げる。 手を伸ばして、貴方の左手を取る。 そのまま、唇を薬指へ。 宝物に触れるようにそっと口付けを落として、声を、想いを紡ぐ。 ▽ (130) 2021/10/28(Thu) 17:11:01 |
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