【人】 豊里― 職人街 ―[職人街の方へと移動してきた。 確かに休業と思われる所もあったが、全てではない。 火花が散る音、金属同士がぶつかる音、 職人たちの話声が聞こえる。 懐かしい。活気のある様子が窺えて、思わず笑みが零れた。] ふふっ。やっぱりこういう空気も良いなぁ。 [今でこそ独り身であるけれど、 嘗ては真希奈もこんな喧騒の中で仕事をしていた。 自分で進む道を決めたから、後悔はないけれど。 もう戻れないと思うと、どうしても感傷的になってしまう。] (30) 2022/04/09(Sat) 22:28:21 |
【人】 豊里[のんびりと、思い出に浸りながら散策をする。 途中で大きな櫻の木を見つけたので、木の下に腰を下ろした。 麗らかな春の陽気。 傍には僅かに菜の花も咲いていて、色彩鮮やかだった。] 「おばさん、他所から来た人?」 [はしゃいだ様子で走ってきた少年に、声を掛けられる。 "おばさん"には一瞬顔を顰めてしまったけれど、 すぐに気を取り直して、笑顔を作る。 幼子から見たら、真希奈は十分"おばさん"なのだろう。 こういう時に、 むきになって"お姉さん"へと 訂正を求めるのは、 大人げないと思った。] (31) 2022/04/09(Sat) 22:33:41 |
【人】 豊里ああ、そうだよ。 ん?其の手に持っている物は? [少年が手にしているのは、玩具の鉄砲だろうか。 と云っても、ガラクタを繋ぎ合わせただけの代物だった。 「一寸貸してごらん」と云うと、 最初は渋られたが、少年は玩具の銃を渡してくれた。] (32) 2022/04/09(Sat) 22:34:16 |
【人】 豊里[トランクを開けて、 中に入っている工具を取り出す。 まぁ、気まぐれでやることだから、 そこまで手間暇も資材も使わないが、 一寸手直しをしただけで、 随分と銃らしい見た目に変わった。] 「噓!?おばさん、すげー」 ふふ、私の手にかかればこんなものさ。 [自慢げに云って、少年に玩具を返す。 少年が暫し、矯めつ眇めつして 喜んでいるのを見守っていると、 少年の妹らしい、少女もやってきた。] (33) 2022/04/09(Sat) 22:36:46 |
【人】 豊里「ごちそうさまでした。おねえちゃん、ありがとう」 [団子を食べ終えた妹の方が、ぺこりと頭を下げる。 どうやら妹の方が、礼儀正しく育ったようだ。 「美味しかったかい?」と云って、柔く頭を撫でる。] 君たち、この職人街で 人形を扱っている所を知らないかな? 私は人形技師なんだ。 もしあるなら、見学したいと思っていてね。 [その様に聞けば、兄の方に心当たりがあったらしく、 詳しく場所を教えてくれた。 「おねえちゃん、おにんぎょうさん、つくるんだ」と、 妹の方は興味津々の様子であった為、 トランクから、設計図を取り出していくつか見せた。 設計図と云っても意匠の案を絵にしたもので、 「きれい!ほんものを、みたかった」と云ってくれた。] (39) 2022/04/10(Sun) 13:43:34 |
【人】 豊里[兄妹と別れて、兄が教えてくれた工房へと向かう。 程なくして辿り着いた其処は、こじんまりとしていた。] こんにちは。何方かいらっしゃいますか? 少し見学させて頂きたく、参りました。 [やはり祭で休業なのか、人の気配はあまりせず、 暫し立ち尽くしていると、奥から男性が一人やってきた。] 突然お邪魔してすみません。豊里真希奈と申します。 人形技師をしておりますが、是非此方の工房を拝見したく。 ……宜しいでしょうか? [同業者の見学など、煙たがられる可能性も高いので、 きちんと素性を明かして許可を求める。 「別に、好きに見てくれていいよ。でも、触るのは駄目だ」 と、案外あっさりとお許しが出た。] (40) 2022/04/10(Sun) 13:46:14 |
【人】 豊里[中に入ると、球体関節の素体が幾つか並んでいる。 一体、殆ど出来上がっている人形があり、 その化粧の美しさに目を見張った。 目尻には朱が引かれることが多いが、 この人形は 煌 び や か な 玉 虫 色 。 これは何で色を付けているか、 この人形は何をするものなのか……など、 つい質問攻めするように、熱く語りかけてしまった。 真希奈も別の工房で修業はしたものの、 工房ごとに特に人形の意匠に関しては、 かなり違ってくる。 だからこのように、自分にとって未知の物を見るのは、 とても有難いことに思えるのだ。 工房の男性も気の良い人で、 真希奈の質問には、きちんと答えてくれたし、 細かな所など褒めれば、 少し照れた様子で自身の拘りについて話してくれた。] (41) 2022/04/10(Sun) 13:55:15 |
【人】 豊里[話が弾んで、お互い自分の描いた設計図などを持ち出して、 意見を交換するまでに至った。 夢中になって話し込んでいれば、時間の事など忘却の彼方。 硝子窓から差し込む光が、すっかり茜に変わった頃に漸く、 そろそろお暇しなければと話を切り上げた。] ご親切に色々教えて頂き、勉強になりました。 本当に有難う御座います。 私は祭の間、榛名に滞在する予定ですが、 明日は祭を楽しもうかなと思っています。 [丁寧に謝辞を述べると、祭を楽しむならと、 櫻の木の下で奉納されるという舞を薦めてくれた。>>28 真希奈は榛名へは今回初めて訪れた。 土地勘もないし、祭の順序もよく分かっていないので、 上手く予定が嚙み合わないかもしれないが、 折角お薦めされたのだ。 出来れば舞を拝みたいなと思いつつ、旅籠へと向かった。**] (42) 2022/04/10(Sun) 14:04:18 |
【独】 豊里/* 皆様、描写が丁寧で、読んでいて絵が浮かぶようです。 それでいて無駄がなく、素敵ですね! 私以外の全人類文豪説の信憑性がより高まる文豪村であった。 東天さんの舞、見られると良いなぁ。 (-11) 2022/04/10(Sun) 14:36:33 |
【人】 豊里― 旅籠 ―[職人街を見て回った後、満足して旅籠へ。 先に入浴を済ませ、今は浴衣姿だ。 それでもゴーグルは其の儘つけており、 著しく浮いているが、気にしない。 流石に入浴時や睡眠中は外すのだが、 其れ以外では滅多に外されることはない。] いやー、此処の料理は美味しいねぇ。 [そして現在、部屋で食事を堪能している。 春野菜や山菜を使った天麩羅、 綺麗に並べられたお刺身。 日頃は自主的に酒は飲まないが、 たまの旅行だしと日本酒を頂いている。] (49) 2022/04/10(Sun) 21:08:30 |
【人】 豊里[真希奈は一人で暮らすようになってからは、 自炊をしている。 完璧な食材の組み合わせに、完璧な調理法。 然し其れはあくまで、栄養学的な意味での完璧だ。 其れが何故か、食べてみると美味しくない。 不味い訳ではないのだが、美味しくはない。 別の工房へ修行に出ていた間も、 女性であるし、真希奈本人が料理は得意だと云うので、 工房の人間の昼食作りなどを任されたこともあった。 然し数日任された後に、あっさり解任された。 誰も不味いとは云わないだけに、 真希奈には其れが不思議だった。 真希奈自身は正常な味覚を持ち合わせてはいるので、 美味しくないことは分かっているのだが、 自分の調理は完璧だと信じて疑わないので、 不承不承、調理係を別人間に委ねたのだった。] (50) 2022/04/10(Sun) 21:10:29 |
【人】 豊里[食事を終えると、榛名の地図を見ながら、 明日行きたい場所などを思案する。 そして、敷いて貰った布団に横になると、 思いの外疲れていたのか、すぐに眠りに落ちた。 今日はとても充実した一日だった。 きっと明日も良い日になる。**] (51) 2022/04/10(Sun) 21:14:29 |
【独】 豊里/* なんか私のロル、 小学生の遠足の作文みたいになってるけど大丈夫かな??? 明日の朝に1d入りですね!楽しみ。 こゆきちゃんに甘々な澤邑さん可愛い。 東天さんの「まっている」が気になる気になる。 (-16) 2022/04/10(Sun) 21:30:43 |
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