【人】 控井[あちこち道草を食っては少しずつ前進し、 漸く目的の薄墨神社へと辿り着いた。 まずは拝殿でお参りをしていこう。 何度こうして、ここで祈願しただろうか。 手を合わせて、目を閉じる。] (どうか大切な人達が、 健康で幸せに暮らせますように) [社務所に寄ることも少し考えたが、 特に必要なものが思い浮かばず、 そのまま神楽を見に行こうと神楽殿へ。 距離が縮まるごとに、大きくなっていく音楽と期待。 もたもたしていたせいか、既に神楽舞は始まっていたけれど、 遠巻きにも舞台はよく見ることが出来た。] (37) 2022/10/04(Tue) 22:36:19 |
【人】 控井[毎年こうして足を運び、見てきた舞ではあるけれど、 やはりいつ見ても、何度見ても、迫力に圧倒される。>>2:n1 君や彼女は、姫櫻の神楽の方が好きだと言っていたね。 確かに可愛らしいし華があるけれど、 私はこちらも渋くて良いと思うけどな。 まぁ、彼女が舞姫に選ばれ、 無事大役を果たした年は格別だったけれど。 一頻り神楽を見れば、のんびり月を見ようと、 人熱れを避け静かな場所へと移る。 じゃっくを脇に侍らせ、 午前中に買っておいた月見団子に手を付ける。 もちもちとした弾力のある食感に、程よい甘さの餡子。 変わらない、いつもの美味しさ。] (38) 2022/10/04(Tue) 22:37:21 |
【人】 控井[観月祭に一人で来るのは初めてだけれど、存外悪くない。 でもそれは決して悲しみや、想いが薄れたからではない。 一人でもこうして歩いて、美味しいものを食べて、 露店の商品に目を輝かせたり、神楽を見たり。 そんな時に必ず、月光のように淡く優しく差し込む 光 。それは全て、幸福な思い出であった。 失った時の悲しみの強さと、想いの強さは比例する。 だから何れ失って悲しむくらいなら、 最初から持たなければ良かった。 そんな風に言えてしまうのではないかと、私は恐れていた。 確かに喪失から暫くの間は、酷く心が痛んだものだけれど、 それ程失いたくない大切なものが何もない人生の方が、 余程哀れではないだろうか。 それにまだ、温かい思い出を作る機会は いくらもあるのだろう。] (39) 2022/10/04(Tue) 22:38:55 |
【人】 控井[一人と一羽で見上げる 月 遥か彼方で君が見守ってくれていると、 そのように思わせる神秘を感じた。 夜は更けていく、名残惜しいけれどまた来年に。 死が世界と私を別つまで、約束は果たされるだろう。**] (40) 2022/10/04(Tue) 22:39:44 |
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