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【人】 碧き叡智 ヴェレス[傍らに立つ小柄な影は、その様子をじっと見詰めて。 遺体の症状と、要因の液体に心当たりがあるかのように、 何も言わずに佇んで、屈み込んで、それから────] [後少しの所で、交わったかも知れない運命は そのか細き糸を罪の色に染めたまま、縺れていく。] (13) 2022/11/15(Tue) 4:23:53 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス──── 宵;へレース聖堂 [信仰とはこの島における啓蒙の対義語であり、 研究者達が最も近寄らない場所こそが此処だった。 欲を解放した人々の、奥底にある背徳感もまた 神の御前から足を遠ざけさせるのである。] (14) 2022/11/15(Tue) 4:24:11 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[北側へ続く大通りをなるべく人目に触れぬよう抜け、 今や崩れ落ち、熾火が燻るだけとなった自宅を超え、 漸く辿り着いた静謐な場所。 此処は事件後から人の出入りが無かったようで、 外側から閂を外せば容易く侵入できる構造にも関わらず 誰にも荒らされない聖域として残っていた。 普段通っていた敬虔な信徒や聖職者に至るまで 心のどこかでは質素な暮らしを捨て、 好き勝手振舞ってみたかったのかも知れない。 少し考えてみれば当然のことでもあった。 神に縋る事が真の欲望である者など居ないだろう。 誰しも神に祈るその内容こそが、隠れた欲求なのだ。 そして────最期の仕上げをするには お誂え向き過ぎる場所でもある。] (15) 2022/11/15(Tue) 4:24:29 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[咎人は聖堂の壁に造られた、 記憶に新しすぎる神体を見上げる。 咎人にとって、 発祥も、その名も知らぬ聖女の像が 人々に何を齎したかなど重要ではない。 赦しも、救いも、最早求めるには遅く この場所でさえも一種の舞台装置に過ぎない。 理論としての説明が叶う、それ以上の意義はない。 唯、都合が良いというだけ。 初めから、親殺しの罪を背負ってまで 生き永らえるつもりも、後世に名を連ねるつもりも、 其処にはなかった。 唯一の、揺らぎと言うなれば────] (16) 2022/11/15(Tue) 4:24:44 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[安否の分からぬ友を思えど、既に遅く。 けれども、もしも罪過を抱え生き延びていたら? その後の事は、計り知れない。 表面上取り繕われていた差別感情が噴出するか、 治安の崩壊により今後も略奪が相次ぐようになるか、 問題は幾つでも思い浮かぶ。 学星院の権威と重要な収入源を折ったところで、 これからの人々はまともに生きていけるのだろうか。] (……その為に、フィルムを使い切ったんじゃないか。) (18) 2022/11/15(Tue) 4:25:19 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[咎人は、震える手で日記帳にペンで記し始める。 母を亡くした悲しみと、父が暴虐を働いていた苦しみを。 そして飽くまで自分が正気であるという証明を。 事実の切り取りのみが綴られた紙面にも、 残されたものが全て燃え尽きた火事現場にも、 入念に練られたその罪を裏付けるものはない。 前列のベンチ、今朝の葬儀の際に彼が座っていた席には 核心的な音声記録のみが残った魔道具と “彼がポケットにしまい込んだ”ものを除いた、 無数の凄惨な写真が入った鞄が置かれている。 祭壇の上でランタンを床へ手放し、 不確かな灯りの中、ふたつの凶器を見る。] (19) 2022/11/15(Tue) 4:25:40 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス [長年連れ添ってきた者達を殺めた凶刃を] [宿命と連鎖を断つ為持ち出したナイフを] [この魂を完全に滅ぼす為の何よりも確実な手段を] [あなたを加害者にして得るあなたからの安らぎを] (20) 2022/11/15(Tue) 4:26:16 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[じっとりと冷や汗に濡れ、固くなった呪布の結び目は 思いの外あっさりと外れた。 外れて、しまった。 筒型の試料ケースに移し替えた液体を、 神の御前で一息に飲み下す。 十数秒の空白の後、長らく忘れていた味覚を 喉に残る刺激によって思い出す。] ゔ、 ごほ ……ッ あ… …… ァ、 [腹の内側から灼かれる苦痛だけは味わった事がなく。 鈍くなっていた全ての感覚が呼び起こされると共に、 次第に視界の淵までもを紅に染めた。 目を開けていられない程の痛み。 聲は縮れ、呼吸は鉄の味を帯び、音は遠ざかる。 反射的に吐瀉した内容物に赤い石は混ざっておらず、 毒性により凝り固まった鮮血でしかなかった。 ああ、今ならきっと命まで届く。] (21) 2022/11/15(Tue) 4:26:35 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[ぼたぼたと眼窩から、咥内から、 滴り落ちるそれだけが 己が未だ人間である事を肯定する。 記憶の水底から掬い出される、 “まだ”生き甲斐を感じていた頃の光景。 無尽蔵に産み出される「価値」に、 彼らが慣れ切っていなかった頃の噺。 かつて、何度千切っても再生する手指に使用人は慄いた。 次第に、より多く傷付けるほどに己の取り分が増えると 気付いてからは、良心も理性も見て呉れだけに変わった。 期待されたのは、甚振られていた瞬間だけ。 目の色を変えた奴らに貪られる、その時だけ。 それなのに。 こんなにも、久方振りの痛みが愛おしいなど。] (22) 2022/11/15(Tue) 4:26:54 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[内臓を破壊し血流から全身に蔓延っていく甘美な毒が、 元来持つ治癒力を容易に上回る。 手の中で握り締めた刃は、 破裂した血管腫から零れる血液にべっとり濡れていた。 滑らぬように、確実に。 服の袖を介して固く力を込め直す。 死と云う現象の先には何も無い。 遺される人々を想う義務も権利も無い。 誰かへ向けて残す言葉さえも、無い筈だった。 逆手に握ったナイフの切っ先を、 目を瞑ったまま、左胸目掛けて。] (23) 2022/11/15(Tue) 4:27:14 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[祭壇から身廊へ続く流れに 罪を雪ぐ役割はなく。 ただただ、自害を選んだ一つの遺体が 静かに横たわっているのみである。 末端は潰瘍によって壊死し、 本来青白い静脈は肌の下で炎症と破裂を繰り返した。 渇き果てた血の涙がその凄惨さを物語る。 それでいて、呪いに狂わされた者に比べれば 幾分かは名誉の保たれた死に様だった。 学者達が見向きもしない神聖な其の場所で、 身を焼く苦しみに耐え忍び絶命した小さな命を 人々は、何とするだろう。 或いは、“計画通りに”担ぎ上げるのやも。] (26) 2022/11/15(Tue) 4:28:29 |
【独】 碧き叡智 ヴェレス/* おはようございました。 ちゃんと休みを取っていれば、うるせ〜しらね〜𝐹𝐼𝑁𝐴𝐿 𝐹𝐴𝑁𝑇𝐴𝑆𝑌形式で全員に突撃(なお時間軸を考慮しないものとする)出来たんですが… 大人しくポケモンやろうと思います… (-60) 2022/11/16(Wed) 8:25:53 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス──── 終幕;叡智の代償、そして継承 [悪夢の様な一夜は過ぎ去り、 夜明けの翼によって平穏が齎される。 喪われたもの、残ったものは……] (64) 2022/11/17(Thu) 21:05:42 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[清らかな雨が陽の光と共に降り注ぐ時。 初めにその場所へ赴いたのは、付近の商店で 素朴な生計を立てている未亡人だった。 夫に先立たれた彼女は聖堂で行われる祭儀を楽しみに 足繁くこの場所に通っていたが、 混沌の晩には自ら卸した商品を独り占めにし 自室で暴食暴飲の限りを尽くしていたのだという。 小さな店故に誰の目に止まることもなく、 交流も僅かだった為に悪意に曝されずに済んだ。 そんな、“幸運な”女が正気を取り戻したいの一番に 向かったのが神の御前だったという訳だ。] (65) 2022/11/17(Thu) 21:05:58 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[惨状を目の当たりにした女は迷わず保安局に駆け込んだ。 彼等までもが被害者だったとは露知らずに。 その保安官は外部から来た医療部隊の拠点になっていた。 当然彼女はそこで何が起きていたのかを聞いた。 行動を開始した組織の分隊が聖堂へ突入した。 その場で死亡が確認された一体の亡骸と、 現場に残されていた成分を含む押収品が運び出された。 学星院の学者達が、行動し始めるより早く。 彼らが消耗し切った“抽出源”を確保するよりも早く。 計画通り、必要な品は在るべき人の手に渡ったのである。 この時回収された鞄と文書、及び複数の写真は 部隊が“お上”へ持ち寄るのを検討する程度には 深刻な事実を含んでいた。] (66) 2022/11/17(Thu) 21:06:11 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[画像データ。 欲望に駆られた人々の暴動の数々。 画角から所謂隠し撮りである事が分かる。 かなりの枚数があり、非常にショッキングな場面を 写し取っている為、箱に入れて保存された。 音声データ。 どの一般市民の供述からも一切出てこなかった 指導者ブランドンと首謀者の関わりについて 言及された複数人の会話。 しかし声の主らは別所で焼死体になって発見された。 現場から検出された劇物。 学星院由来のものでないとだけ断定。 詳細不明につき以降は████による██████ ██████████████████████] (67) 2022/11/17(Thu) 21:06:25 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[やがて。 再び飛行船がキュラステル上空に現れた時──── それは銀鷹公との協定による権利行使を意味する。 法官らが機動部隊と共に学星院内部へ立ち入り、 上層部までをくまなく捜索した。 幾重にも証拠隠滅を図った痕跡こそあれど、 重要参考人ジェイク・アスターの証言に始まり ブランドンをその場で拘留可能になるまでの 情報が集まったのである。 一連の流れは人員と運営資金に大打撃を受けた 各新聞社でさえも挙ってスクープにする程だった。 その後、ジェイク立会の元行われた家宅捜索により 重要な証拠品が押収される。 それは奇しくも、偶然処分しそびれた “漁船借用費の領収証”だった────] (68) 2022/11/17(Thu) 21:06:40 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[結論から言えば、ブランドンは失脚した。 同時に、プロジェクトの大部分が明るみに出た。 人間の欲望からエネルギーを抽出する試みは 理性を失った人間を支配下に置いて成立するものであり 人道的観点からこの実験は永久に凍結された。 此度の学星院の行いから、組織的な縮小が決定され 新たな指導者ジェイクは専ら机仕事に追われている。] (69) 2022/11/17(Thu) 21:06:51 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[────そして、遠くない未来。 崩壊した家屋、喪われた資源、追悼の日々。 人々の営みは以前の勢いを欠いてこそいるが、 穏やかな日常が取り戻されつつあった。 しかしそれは表面上だけの話。 隣人に家族を殺された者、 忌み嫌っていた種族に財産を損なわれた者、 その他数多の問題が山積みになっている。 水面下での混沌が煮え立っている中、 辛うじてキュラステルの交流と経済を繋いでいるのが ある焼け跡に建てられた写真館だった。] (70) 2022/11/17(Thu) 21:07:04 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[若きリーダー、ジェイクの牽引により 限られた資金で初めに発表された発明が 誰でも扱える、大衆向けの写真機だった。 “プロトタイプ”の段階では度々発生していた 予期せぬ事象が写り込む『不具合』は解消され 人々は切り取ったままの風景を残す事が可能になった。 島民は勿論、外部からの旅行者や 復興に手を貸すボランティアまでもが訪れる 一種の観光地として成立している。 家族写真などの撮影は勿論、 ギャラリーとしての鑑賞も出来る施設の壁には 厄災の戒めとなる無数の写真が展示されている。] (71) 2022/11/17(Thu) 21:07:16 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[────その、片隅に。 災厄をきっかけに解体・移転した保存施設の 敷地内を写した数枚の写真がひっそりと飾られている。 緑の多い風景を撮ったものが殆どだったが、 唯一、人物が映り込んでいるその写真に 心当たりがある者はもう、殆ど居ない。 居た所で、彼がこの発明の祖であると 今更口に出せる人間も居ないのだろう。 ……いや、言える筈がないのだ。] (72) 2022/11/17(Thu) 21:07:30 |
【人】 碧き叡智 ヴェレス[その日限りの記憶を、永遠の一枚へ。 写真館を訪れる人々は今日も絶えず。 美しく手入れされた植木が立ち並ぶ庭園には、 事件の際に何処かの施設から逃げ出した青いカナリヤが いつの間にか住み着いているようだ。*] (73) 2022/11/17(Thu) 21:07:41 |
【独】 碧き叡智 ヴェレス/* (ここからここまで全部思いつき) あとジュードの職場を勝手に爆破してすまないさん。コレクションの数もだいぶ減ってしまっただろうし、保存施設も幾つか無くなったんじゃないかな〜とかいう思いつき。 学星院くんは実は割と杜撰だったかも知れねェ。 (-79) 2022/11/17(Thu) 21:13:52 |
【独】 碧き叡智 ヴェレス/* おはようございます クンストカンマーのログを読んで「また次回作とかがあったら良いのにな〜!」と呟いた元凶です たぶん。 この度は村建て同村ありがとうございました。 普段は星狩ガチに居ます。RP村はほぼ企画のみかもです。 またどこかで会いましたら宜しくお願いいたします。 (-95) 2022/11/17(Thu) 23:51:24 |
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