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【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク図星をつかれ、足をぴたりと止める。 すり減った神経では道化の言葉を流すことも受け止めることもできる筈がなく。 「……知った口聞くなよ、餓鬼の分際で」 剥き出しの敵意が、剥き出しの殺意が。 獣の牙の如き鋭さが、周囲の空気を侵していく。 ▼ (-106) 2021/07/06(Tue) 16:53:36 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク食ってかかる哀れな蛙。 泳ぎたくても荒れ狂う濁流では自由などある筈もなく。溺れ喪がいて行き着く先で、見かけた一つの藁を掴む。 "誰にも罵られねェ、たったひとつのやり方" けれど、それは。 "──教えてやろうか" ──藁ではなく、釣り針のようにも見えた。 「…………」 深紫色の視線が、貴方を捉えている。 (-107) 2021/07/06(Tue) 16:54:04 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロクそこは病院の裏口に繋がる廊下。こっそり、裏から猫が遊びに来ていた記憶が甦る。 「…………ぁ?」 一瞬理解が遅れた。 あれだけ軽やかに動き回っていた記憶の中の猫。けれど、今目の前にいる見慣れたものはどれだけ視線を注いでもうんともすんとも言わなくて。 「……ぁ、あ?え、…………っと。な、に?なに? どうし、て」 どうして貴方がここにいる。 どうして猫がこんな事になっている。 何に対するどうしてなのか分からない。 五体満足だったならまだ眠っているだけと思い込むことができたかもしれない。日常の延長線なのだと。 けれど、見慣れた姿からかけ離れた姿がそうではないと突きつけてくる。 男は、日常の中にある自分の姿を取り繕えない。 狼狽えたまま貴方と猫を交互に見やる。 (-165) 2021/07/07(Wed) 11:11:58 |
【秘】 療育 クレイシ → 流転 タマオ子供を探せど探せど見つからない。 その苛立ちが募るように。廊下を闊歩する足音がかすかに激しさを増す。 だから、気づけなかった。 蹴ってしまったそれを。 「──ッ!?」 思わず飛び退る。今見たものはなんだ?人の眼球ではなかったか? 暴れる心臓をどうにか押さえつけながら呼吸を整える。瞬きしているうちに眼球はどこかへ行ってしまった。 ↓ (-166) 2021/07/07(Wed) 11:18:57 |
【秘】 療育 クレイシ → 流転 タマオ「なんだよ……なんだよこれ、何が起きているんだよ」 縋る先がない男は、手にしたパペットをぎゅうと掴む。 何か異変が起きている。明日は我が身かもしれない。 ……それなら、もう自分も責任という荷物を捨てていいんじゃないか。異変が起きているのに日常と同じ姿を保ち続けるなんてどだい無理な話だろう。 だから……だから。自分が子供を探せなかったとしても、無理ないんじゃないか? 仄暗い何かが沈澱していく。 男が足を滑らせ転落するまで……もう少し。 (-167) 2021/07/07(Wed) 11:19:17 |
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