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【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ「空狐の証、予刻三重、荼枳尼に払わん。 眼下の者共、此処な場所より彼方に届けよ」 裏切り者に群がる村人の少し後ろ、 低く怪しい声が、祠の中に響いた。 「離れろ、それは私の物だ━━」 一方的な簡易術式。 生きた三千年の果ての空狐の位、この先残した三百年の寿命。 人の身では払う事のできない途方も無い対価。 それを以て、相手の同意も地の利も全てを無視して、 “不都合”を余所に送還する。 「━━調子はどうかな、シラサワ。 君が喰うならいざ知らず、喰われるとなると不都合でね」 不都合などと言葉を濁すが、つまるところただの独占欲である。 (-4) 2021/07/28(Wed) 10:49:50 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ今年の祭りは大きな転換期となる。 遠見や予知夢でその事を理解していたからこそ、 リェンは祭りの最中、ひたすらに自制してきた。 全ては島のため、旧き約束への義理立て。 “本質”を伏せ、ただ渇きを呑み干し役割を成してきた。 半ばで過剰に力を使う事を禁じ、小細工だけで事を済ませてきた。 しかし、祭りはもう終わる。 為すべき事は為した。護るべき魂の無事も見届けた。 後のことは、それこそ役回りの者が為すであろう。 「━━随分、待たされた」 リェンは地面についた膝の上に咳き込むシラサワの頭を乗せ、 焦点の定まらない潤んだ瞳に顔を寄せると、 長く熱のこもった舌で溢れる涙を掬い取る。 「━━呼んでくれ、シラサワ。 他の誰でもない私の名を」 まるで、獣が獣を毛繕いするように。 柔く耳朶を噛み、壊さないように壊さないように下を這わす。 毛ほども効かぬ筈の神狼の毒さえわざと喰らい、 帯びた熱を溶かし合わす。 (-6) 2021/07/28(Wed) 16:41:04 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ触れた手が、指が頬から下に伸びていく。 首に、肩に、胸に。 そして触れる、肩から続く刀傷のような大きな傷痕。 「初めて君に触れたのも、ここだったね」 そしてあろうことか、傷口にゾブリと指を刺すように沈める。 痛みは無い。どころか血の一滴も溢れる事は無く、 肌に触れていた感覚と共に指が肌の内に溶けていく。 そして身の内側から“魂”の縁をなぞり上げる。 「人の終わりを、多く眺めてきた。 なのに飄々として、死ぬ時は死ぬとでも言いたげに 笑う君は、君だけが、 死に向かうにつれ、輝きを増す」 未だかつてシラサワが体の内を誰かに許した事があったとして、 リェンの愛撫は、そのどれとも違ったであろう。 空いたもう片方の手がシラサワの下腹部に伸ばされると、 シラサワのソレは自身が体験したことの無い程の膨張を見せている事に気づくだろう。 「さぁ、聴かせてくれシラサワ。 君の輝きは印“如き”に絆された今が一番まばゆい物なのかい?」 (-15) 2021/07/28(Wed) 22:32:46 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ「くふっ…… ははっ…… はははははは! 」暴れる鼓動が、求めるようにうねっている。 与えられる快楽は人の身と心で耐えられる代物ではない。 だというのに━━腕の中で暴れる男は生きている。 必死に、目の前の己の名を呼び求めている。 「あぁ、シラサワ! 君を喰わずに“生かしておいて”! 本当に良かった!」 泡のように溢れる涎を舐めとり、喘ぐシラサワを押し倒す。 激しく、されどシラサワを労るように手を這わせ、 剥き出しのその背に晒した胸を重ねるように覆いかぶさる。 「優しくはしよう。手荒にすると“私はすぐ壊す”。 ただただ、さざなみのような快楽を与えてあげよう。 ━━気をやる程度で、終わらせてくれないでおくれよ?」 無色のひんやりとした液体を臀部に塗りたくり、 リェンは熱く煮え滾るような怒張をシラサワの内へと挿し込んだ。 (-18) 2021/07/28(Wed) 23:47:21 |
【独】 呪術師 リェン人は勝手に生きるだけ。 生かせど死ぬ。放れど死なぬ。 今よりずっと位の低い疱瘡喰らいの化け狐と呼ばれた時分より、 人とはそういう物だ。 狐の疱瘡喰いとは、命を奪う病魔を喰らってやり、 対価として千年の寿命を払い受ける物と言われる。 善意で喰らい、命を散らす。訳など本人とて知らぬ。 そういう物だ。そういう、怪異だ。 しかし幾千と生きれば人の側にも妙なものは生まれる。 死にゆくような戦火の最中、陣の奥で一人震え戦慄き、 それでも頭と祀り上げられた男が居た。 気丈に振る舞い、人を鼓舞し、多くの人中にて、孤独だった。 死ねぬ、死ねぬ、まだ死ねぬ。 その言葉がことわりを打ち破っていく姿は、輝きを纏い 床に臥せって息を失うまで、それは増すばかりであった。 その者の魂は ━━それはそれはたいそう、美味だった。 (-21) 2021/07/29(Thu) 1:11:43 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ「啼け、啼け、人の子」 リェンは言葉通り、優しく動いた。 否、動きもせずに、ただそのはち切れんばかりの剛直を 突き入れたまま左腿の傷口を指でなぞり、 肩口のものを舐めシラサワどの境界を溶かす。 霊体としてのそれではなく、リェンのソレをシラサワの肉が求めるように、あやすようにゆるゆると小突く、 滝のように溢れる獣の白濁を口に含み、肩を優しく引っ張り向かせたシラサワの口と混ぜ合わせる。 離した唇から伸びるそれを啜るように飲み込むとリェンは言った。 「━━果てる時は」 ソレは呪詛か、約束か。 この伽の中精魂果てるまで。 あるいは“その命果てる時まで”。 シラサワの中の、ひた隠しにした思いが潰えぬ限り、 リェンはシラサワを生かすだろう。 「私の名を━━」 呼んでくれ。 言うか否かのその刹那、リェンは一度だけ大きく腰を引き、 蕩け切ったシラサワに打ち付けた。 (-22) 2021/07/29(Thu) 1:30:11 |
【独】 呪術師 リェン島の者、島外の者。 君は確かに縁を築いた。 君の道行きの最果てに、 看取る者は多かろう。 どうか、どうかその輝きの終の刻、 あなたの顔の、晴れやかな物であらんことを。 (-23) 2021/07/29(Thu) 1:42:15 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ肩口を掴まれた手に、己が指を絡める。 叫ぶ魂に応えてやる。 見た目以上に力強いその腕で、腹の上に跨らせるように シラサワを抱く。 「……良い顔だよシラサワ。情欲に踊る蕩けた目だ」 悲鳴のような嗚咽、獣の鳴き声のようなそれが、 リェンの陰茎を苛立たせる。 顔が、目線が引かれ合う。 「あぁ、すまない。 こうなるとっ、優しくはっ、してやれそうに無い!」 合図も無く抱き寄せると、相手の唇を貪る。 重ねた口元をそのままに、リェンは大きく突き上げるように腰を動かした。 そのスピードは徐々に加速していく。 珍しくも余裕の無さそうな声を出すリェンに、 シラサワは絶頂の予感を得るだろう。 (-25) 2021/07/29(Thu) 8:22:21 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ「っく……出すよシラサワ。零してくれるなッ!」 情欲の奔流の高まりを、相手の身に吐き出す。 ドクリと、溢れんばかりの白濁に乗せて、 自身の生命の一欠片を、シラサワに埋め込んでいく。 「おっと、これ以上はマズイかな」 名残惜しそうにしながら、ズルリと自分の物を引き抜く。 これ以上はシラサワが“ヒト”ではなくなってしまう。 それは、望むものでは無い。 人間であるからこそ、シラサワの儚さに命の輝きを見たのだ。 こちら側に来られては元も子もない。 「――そろそろ、神狼と村の子の因縁に決着がつく頃か。 まだ可愛がってもやっても良いが、 他にも君を求める子らもいよう」 未だ肩で息をしながら震える海の瞳を見つめ、 リェンは諭すようにシラサワの髪を撫でた。 (-29) 2021/07/30(Fri) 0:55:03 |
【秘】 呪術師 リェン → よろず屋 シラサワ「お嬢さん、そろそろ目覚める時間だ」 求めに応じて口付けを落とす。 触れる唇は湿りを帯び、絡める舌は熱く。 されど送り込まれるのは冷気の類。 既に刻まれた狼の印を凍りつかせるような霊気。 熱に燃えるシラサワの身体を、急速に冷やしていく。 「行くところがあるのなら、こんな物は邪魔だろう?」 長く伸びた小指の爪で自分の人差し指を傷つけると、 小さく文字を印に重ねて書いてみせる。 傷つけるでも無く、撫でるように書かれたそれは“糸” 「身の危険を感じたなら、これで私を呼ぶといい。 一度だけ魑魅魍魎や多少の神魔も還してあげよう」 既に縁は結ばれた。 シラサワの身に、魂にリェンの名前は刻まれた。 例えどこにいても、何が阻もうと、求めに応じて この狐はその身を守るだろう。 (-31) 2021/07/30(Fri) 13:59:30 |
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