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【赤】 学生 涼風「ねえ、待ってモモ」 一人分の足音に、もう一つだけ加えられる。 私は貴方を一人にした。 貴方が心の内に何を秘めているかも知らないまま、招かれた者としての立場で夢を見てははしゃいでいた。 だから、貴方を追いかけて傍に行こうとするのは今更遅すぎることなのかもしれないけれど。 「ねえ、モモ。これから君はどうするの?」 (*1) 2021/08/18(Wed) 3:02:03 |
【赤】 学生 涼風「……編笠くん」 小さな影を追う前に、聞こえてきた声の方へと振り返る。 何もかもが遅いと言われても仕方がない。それでも、声をかけたくて。 「君は遠くから眺めていたことの方が多かったけれど。それでももし、許されるのならば。 ……どうか私に、君を応援させてほしいな」 勿論ここを出てからも君のことを手伝うつもりだ。 伝えることの大切さは、もう痛いほど理解したから。 貴方にも、後悔なんてして欲しくなくて。 だから、そっと声を風にのせる。 涼やかな風が、ふわりと流れていく。 「……頑張ってね」 (*2) 2021/08/18(Wed) 3:09:32 |
【秘】 学生 涼風 → 君ぞ来まさぬ 百千鳥 お祭りが終わった後、あとは帰るだけという暗がりの時間。 どうしてこの時間はいつもよりちょっと寂しさが増すのだろう。 静けさの中に落とされた貴方の声を拾い上げて凪いだ水面のような落ち着いた声を返す。 「今まで通り……そっか」 訃報で姉の呼子鳥が亡くなったことを知っている。でも、それが"今まで通り"になってしまった後の百千鳥の様子は分からないままだ。 それでも、10年前の姿、この夢の中で見ていた姿、そのどちらでもない事くらいは分かる。 「いくつかの……探しもの? 何を探しているの?それは私に手伝えるものかな?」 少し不思議そうに目をほんのちょっと丸くさせて尋ねた。 (-46) 2021/08/20(Fri) 23:55:22 |
【秘】 学生 涼風 → 夢のその先 百千鳥「……え。 …………ううん、ううんっ。 会いたいに決まっているじゃないか!」 初めこそ驚きに僅かに目を見開いたものの、少年は勢いよく返事をした。 「会いたいよ、モモ。こうしてまたお話がしたい。夢が覚めても、これからも、ずっと。 ……望んでもいいの?君にまた手を伸ばしていいの?」 言葉尻が萎んでしまって、どうにも格好がつかなかった。 怖かったのだ。姉の呼子鳥は既に亡くなっているのだと気付いた時から、貴方になんて言葉をかければいいものかずっと迷っていたのだから。 (-53) 2021/08/21(Sat) 14:37:24 |
【置】 涼風拝啓 ひぐらしの声を聞いて胸に寂寥感が芽生え始めて参りました。残暑厳しき折ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。 手紙を書き始め、次で十通目になります。 月日が経つのも早いものです。私の周りも、私の立場も、昔と比べると変わったものが随分増えました。 それでも変わることのないものがあります。どれだけ経っても、決して色褪せないものたちが。 (中略) 手紙は勿論書きますが、来年はようやく時間が取れそうですからきちんと貴方にお会いして挨拶をしようかと思います。 それに、見せたいものもありますから。ようやく夢が形になったんです。 (中略) 略儀ながら、書中をもちましてお見舞い申し上げます。 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L9) 2021/08/21(Sat) 14:40:39 公開: 2021/08/21(Sat) 14:45:00 |
【置】 涼風 家か、或いは関係者に渡したのか。 手触りのいい和紙の便箋がとある人宛に送られた。 『優くん元気?私だよ。涼風です。 こうして手紙を君に送るなんて、昔を思い出してしまうね。 久しぶりに話がしたいな。アイスでも食べてさ。ところで、おすすめのアイスとか知らない?折角だし一緒に買おうよ。お墓参りが終わった後にでも。 追伸 なんとなく昔を思い出したからお墓参りも自転車で行きたくなっちゃった。まだ自転車はある?』 ほっそりとした字で、ありとあらゆる無茶振りが書かれている。 そんなマイペース極めた手紙を貴方が読み終えた頃── (L10) 2021/08/21(Sat) 14:44:09 公開: 2021/08/21(Sat) 14:45:00 |
【神】 涼風>>変わらない君 某所、某日。 「すーぐーるーくん! あーそびーましょー! ……ふふ、なんてね」 呼び鈴を鳴らしつつ、声を上げる人影が一人分。昔よりも髪は更に伸びたものの、楽しげに揺らす姿はあの頃となんら変わりない。 (G19) 2021/08/21(Sat) 14:45:38 |
【神】 涼風>>G26 年齢も性別もバラバラな自分達が集まったあの不思議な夢。あれはいったい誰が根本的な原因なのかとずっと思っていた。 自分や百千鳥、編笠など夢に引き留めたい者たち──自分は夢の終わる直前になるまでその役割を忘れてしまっていたが──は確かにいたけれど、夢を自分の手で作り上げたという自覚はない。だから、元凶とも呼べるだろう人物がいるのだと思っていた。 考えに考えて、一つの共通点にたどり着く。 全員"帰省して最初に挨拶をした人"が同じ人物であったと。 手にした結論をもとに手紙を書こうと決めたのだ。 どれだけ長い年月が経っても、我が子のように自分達を愛してくれた貴方。貴方にも寂しい思いなどしてほしくないと、自分達は変わらず元気であると……そう伝えたくて。 (G27) 2021/08/21(Sat) 16:50:28 |
【神】 夢の綴り手 涼風「……10年の節目。今年は手紙で終わらずきちんと貴方の元に来ること出来てよかったよ」 友人と交代して自転車を漕いで、ようやく訪れた場所。夢から覚めた後、連絡を取ることのできたとある記者から教えてもらったのだ。 掃除を済ませ、お供え物を並べて、線香をあげた後。 「手紙に書いた、報告したかった事というのはこれなんだ」 そう言って取り出したものは一つの紙の束。コピー用紙に文字を印刷したものを簡単に留めたものだから、本とすら言い難い拙い出来のもの。でも、それでもいいのだ。ファンだと言ってくれた双子に知らせて、表紙を描いてもらおうと決めているのだから。 それを自慢げに、誇らしげに取り出して墓前に掲げる。 (G28) 2021/08/21(Sat) 17:12:34 |
【神】 夢の綴り手 涼風>>G28 夕凪、夜凪と交わした約束。幼少期から秘め続けた宝物めいた夢。 大人になってからは時間がなかなか取れなくて、仕事で使う文字以外一切書けなかった時期もあったけれど。 夢を抱いてから10年。一度諦めて、夢の中でもう一度夢を叶えたいと決意して更に10年。 28歳でようやく、物語は形となった。 初めて生み出した作品は短編集。モデルは勿論、愛する故郷で出会った人たち。彼らがどこか夢を見ているような、ほんの少しだけ不思議な体験をする物語。 「万華郷」と書かれた表紙の夢を抱いて、青年はそっと微笑んだ。 眠る間に見る夢はいつしか覚めるもの。でも……いくつになっても、見ていいものだと気付いたから。 「慈姑おばあちゃん」 私が私である限り、これからも報告しにきます。 あの時夢を見せてくれた貴方に、今度は自分が夢を見せる番だから。 (G29) 2021/08/21(Sat) 17:13:11 |
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