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【人】 新芽 テオドロ未来の事はいつか考えなくてはならないと知っていたが、 もう少し、泥のように眠っていたかった。 代わる代わる牢の前に現れる奴がいて、 ろくに襤褸に埋もれさせても貰えなかった気がする。 ああそう、だから己も腐らずに芽吹くべきなんだろう。 「───辞職願は保留、か」 事実とはそれでも各々の正義の前に曲解されるもので。 己の行動は、署長代理の所業を疑った勇気ある者のそれとして処理された。 後処理の為に駆り出す駒として、これ以上人員を減らしたくなかったというのが正直なところだろう。 漸く帰ってきた署長の目は。嫌になるほど正しい$Fをしていた。自分もまた、心の奥で嫌味を一つ二つ飛ばしながら酷く安堵したことを覚えている。 「くそったれのナルチーゾ。 しわがれた爺になって夜道に怯えてろボケ野郎」 その矛先は、渦中の元代理様に向かっていって。 結局のところ、俺は警察に向いていたんだろうか。 それを教えてくれる人はきっといない。 向き合って、優しい言葉をかけてくれる奴だけがいる。 (34) 2023/09/27(Wed) 5:57:05 |
テオドロは、事が片付いたら、それでもやはり警察を辞めるつもりでいる。 (a3) 2023/09/27(Wed) 5:57:22 |
テオドロは、でも、それでも今はまだ警察であることには違いない。 (a4) 2023/09/27(Wed) 5:57:58 |
テオドロは、だから─── (a5) 2023/09/27(Wed) 5:58:06 |
【人】 新芽 テオドロギプスと包帯にまみれた手指を引き摺るように。 それでも曲がることのない背筋が、 漫然と人混みをかき分けて歩いていた。 迎えに来るような人間に覚えはない。 人々の顔を一切見遣ることはなく、ただ足を進めていく。 当てもない、というのは少々正確ではなく。 心配をかけさせないために、この顔なんかを見たい奴らのために、暫し寄り道でもしてそれからどこに行くかを決めるつもりだった。順序が逆な気がするがまあいい。 そこまでなら、まあよかった。 ───パン、 その音に、警鐘であるはずの声に、つい顔を向けてしまった。 何の冗談だと思う。否、それが冗談でないということは、 きっと人一倍知っていることだった。誰よりも、なんてのは恐れ多くて思ったりできなかったが。 故にホワイダニットを一瞬で理解する。凄腕の探偵でさえここまで早く答えを出せることもそうそうないだろう。 「…………」 ただ、自分は警察だ。 だから、知らないことにした。 見なかったことにした、聞かなかったことにした。 全部は痛む身体と喧騒の中に紛れてしまったことにした。 #BlackAndWhiteMovie (35) 2023/09/27(Wed) 6:18:35 |
【人】 新芽 テオドロ法の下にある正義ではなく、 自分の中にある正義を迷いなく行使する。 分かっている。どれだけの理由を積んだとしても、 どれだけの感情を考慮したとしても、それが許されることではないのは。 いいことじゃないか、あいつを逮捕するチャンスがすぐに巡ってきたと囁くこの心の声は、自分を守るための棘で、決して本気じゃないもの。これもまた聞こえなかったふりをして、好きに言わせておいた。 「……まだ皿まで食ってないからな」 後悔しろ。俺をまだ飼い続けると決めた奴らめ。 いつか咲くだろう花はこんな一個人の横暴よりももっと根深く、奥底まで侵すのをその目で見ていろ。 警察には警察の規律があり、 マフィアにはマフィアの掟がある。 易々と破れば必ず身を滅ぼす、絶対不変の。 自分に残される最後の仕事は──その間を取り持つことだ。 もう二度と、全てを巻き込んだ諍いが起きないように。 それはきっと、 (36) 2023/09/27(Wed) 6:27:38 |
【置】 新芽 テオドロ──間違いなく、ひとつの毒だ。 ゆっくりと、弾みをつけて理を呑み込んでいくだろう。 (L0) 2023/09/27(Wed) 6:29:00 公開: 2023/09/27(Wed) 6:30:00 |
テオドロは、棘は人を無暗に傷つけるが、これならばあるいは。 (a6) 2023/09/27(Wed) 6:30:11 |
テオドロは、「変じて薬となる───というのはどこの国の言葉だったか」と笑った。 (a7) 2023/09/27(Wed) 6:30:43 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ時間の合間を縫って、男は病院に辿り着く。 自分も診てもらうべき部分は多かったが、 今回に限っては友人の為に、珍しく進んで訪れていた。 「……エルヴィーノ」 自分たちの背中では、全てを背負うにはあまりにも小さい。 知っていたはずだ。託すこと、その代償、全部、全部。 毒吐く余裕もあったりはせず、 ただ静かに、その病室で静かに佇んでいる。 見放したわけではない。けど、夢も希望もない自分は、 みっともなく声を掛けることに意味を見出していないだけ。 (-7) 2023/09/27(Wed) 6:37:00 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-8 「──」 「全く、やってくれたな」 一先ず決まり文句だけ述べておく。 その前に挟まれた息を呑む為の沈黙は誤魔化せただろうか。 「牢で乱暴されてた俺よりも、 なんであんたの方が重体で寝こけているんですか」 そして当然のように文句をとってつける。 それは勿論、ただ苦言ばかりを呈しているわけではなく、 心からの心配が滲んでいるかのような声色だった。 「今までの睡眠の帳尻を返すのは結構ですが、 負債が多すぎて目覚められなかったらどうなることかと」 「……でも、あんたはやるべきをやった。 だから……無事なだけ、喜んでやりますよエルヴィーノ」 他でもなく、友達の掴み取った未来だから。 互いに命があるだけ及第点というものだろう。 (-9) 2023/09/27(Wed) 9:08:46 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-11 「避けられなかったなら仕方ありませんね。 少なくとも……今回の俺が咎められることではない」 視線に気づけば、見せびらかすように片手を胸の前に掲げる。 指先には残らず包帯が巻いてあり、骨が折れたものもあるのか固定具が付けられている指もいくつか見えるだろう。 「この忙しいのに人員の欠けや身体の不自由で、 普段に比べて著しく効率が落ちている。全く面倒です」 「全体の最適ばかりを気にしていた俺と、 他人の幸福ばかりを気にしていたあんた。 自分勝手な我々に与えられた罰……とすら思えてきますね」 己を疎かにすればいつか負債が返ってくる。 あまりにも当たり前のことを、忘れていたように思える。 文字面以上に深刻には受け止めておらず、浮かべる表情は気楽なものだったが。 「ま、それでもやっぱり、 命と取り返しのつかないほどでもない肉体があるだけマシで。 俺たちはまだ後戻りできる場所にいたともいえる」 「だからこれからは……俺はあんたと違って夢を見ませんが、 エルヴィーノの健康くらいは願ってやりましょう。 覚悟してください。その身体は何から何まで健全から程遠い」 願うなどと言っておきながら、 その実はやはり自分が世話を焼く気満々でいる。言葉だけでも相手を想うことが言えるだけ進歩はしているだろう。 (-65) 2023/09/28(Thu) 6:06:05 |
【秘】 新芽 テオドロ → 路地の花 フィオレ『いいですよ』 『なんでもいいです』 音声入力なんかしたことないし、かといえ細かいニュアンスを記せるほど自由な指はないから、突き放すというかもはやただただそっけない文面になってしまった。 『一度家に来ますか』 『開けています』 ベランダに飾っている花たちのことも考えなくてはならないし。 そんな気分で、軽い気持ちで家に招くのだった。 (-90) 2023/09/28(Thu) 14:11:43 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-67 「どっちもです」 どっちもらしい。酷い怪我をした理由じゃないにしろ、 ちょっと無茶をしたときもそれなりに痣が出来た。嘘はついていない。 何より、これをした人間の名を上げたところで、 良いことがおきるとはこれっぽちも思っちゃいない。 罪はともかく、何か俺に対して悪いことをしたか≠ニ問われればそうとは言い切れない。己にも非があり、そしてきっと彼にも彼なりの報いがある。それに任せようと思うのだ。 「罰をある程度受け終わったら、 その時はまた張り切ってやっていきましょう。 こうして休んでる間にも溜まっていきますからね、仕事って」 それよりも、今は目の前のあなたに、 もう少し誠実であれるところを探したい。 「……へえ。これまでは度々冗談を言っていましたが、 今度こそ本当に寝かしつけてやりましょうか? 手仕事が出来なくて暇な時間は本当に暇なんですよ、こちとら」 やはり願うだけは性に合わない。 自ら率先して、今度は自分を使いつつも削らない全体の利益を求める。ありていに言えば───ちょっと図々しく成ろう。そう決めたのだ。 (-92) 2023/09/28(Thu) 14:31:15 |
【秘】 新芽 テオドロ → 路地の花 フィオレ「本当は次に備えて、 もう少し整理とか準備などしてようと思ってたんですが」 「あまりにも予定のブッキングが多かったですね」 以前来た時とまるで変わらない、 どことなく寂しいシンプルの過ぎる部屋を背に出迎える。 これ以上どこを整理できる場所があるというのだろうか。 「さ、適当に置いて行ってください。 俺が手伝えることは殆どないでしょうので、あんたの勝手に。 勿論狼藉を働いたら蹴り出しますが」 出迎えも漫ろに背を向けて歩いていく。 手袋の嵌められた腕先の動きは少々ぎこちなく、室内でつけているのはまあいいとして、この季節にしては暑苦しそうに見えただろうか。 (-94) 2023/09/28(Thu) 14:44:50 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-96 「今はさらに周りに任せてしまいなさい。 俺たちはこれでも功労者として扱われているんです」 自分たちの踏み出した一歩は、 周りに確かに影響を及ぼしたものだから。 これ以上更に無理をする必要はないし、何かあったら本当に丸投げしてしまうつもりでいる。この身体の状態でどうしろと。 「俺以外にもものすごく叱る相手がいたんですね、あんたは」 いるだろうなあ。納得感は勿論ある。 罪作りな男だろうなと客観視していたから。 流石に叱責を丸投げしては名が廃るというものだが。 「じゃあ今回はその人に免じて、 寝しなにくどくど言うのは別の機会にしましょう。 あんたが叱られることに関して言えば、俺が止める理由も別にないんですからね」 悪戯な笑みで言ってのけた。 (-101) 2023/09/28(Thu) 18:47:24 |
【妖】 新芽 テオドロ>>-110 「いいじゃないですか」「俺がいるんだから」 それだけでこの部屋には価値ができる。 あんたが訪れる。誰かが遊びにくる。それを自覚した者の言葉。 この家には沢山の捨てられなかったものがある。 良いも悪いもない過去の思い出、漠然と受け取った賞状に、 頭にあるのに読み返してばかりいた書物たち。 これからの自分に必要ないものは多く、 きっと新しく増えるものもまた、多いのだろう。 「本調子じゃありませんし、 適切な仕事の割り振りが行われている為か、 案外忙殺されているという訳ではないな」 「俺がこうなる前に働き詰めでいた甲斐もあっただろう」 表情や視線に対しても全く悪びれずに言う。 ただ代償を支払っているだけのこと、罪悪感に苛まれるつもりは毛頭ない。 「失礼なのはお互い様でしょうが、全く。 暑くないとは言わないが、こっちの方がマシですね」 少なくとも、剥き身で見せるよりかは。 ($0) 2023/09/29(Fri) 10:27:14 |
【妖】 新芽 テオドロ手伝ってもらった方がいいか。 手袋に包まれたそこを見下ろしながら、助力を受け入れて。 「恨まれていそうですね。俺じゃなくてやらかした奴らが。 きっとゆくゆくは俺の机にもデスクワークが山積みになるんでしょう、今から少々気が重くなってきますね」 にしてはあまり憂鬱そうにしていないのは、 仕事そのものを苦にしていないからか。 何かしらの世話か、警察の仕事くらいしかしてない男である。 それ故食事の用意も任せっきりにしていて、 どことなく落ち着かない様子に見えるだろう。 「無理に見せろと言ったところで、 得られるものは何にもないでしょうから、賢明です」 「……できないことはないか、乾杯くらいは」 大人しく席については、自分の手をまた見遣る。 曲げられる指はどれとどれだったかな。 ($2) 2023/09/29(Fri) 19:57:49 |
【妖】 新芽 テオドロ「口さえ利けるならできる仕事は幾らでもありますから、 幸いにも税金泥棒になることはなさそうだ」 悪逆の限りを尽くしてくれたとはいえ親しかった、 因縁深い警部の話になれば、ほんの少し渋い顔をして。 余罪の追求に関する話を幾つか述べた後に、 彼を打った下手人の捜索が行われ始めていることも語る。 その方針について口利きできないわけでもないが、今はそこまで言う必要もあるまい。テオドロ・アストーリは兎も角、この警部補は何も知らないのだから。 「尊重を身に着けたのは良い傾向だな。 この調子で俺の不機嫌を悟ったときに、 いつでも離れられる心掛けをしていてほしいものだが」 少なくとも今は言うほど機嫌が悪く無さそう。 それよりも並べられた食事を見て、「これが怪我人の食事か……」と苦笑をしつつも賞味を楽しみにしている。 「俺の目の前で独り芝居をしないでほしい。 そっちに滑らせるくらいはできるから、 ちゃんとこっち宛に乾杯をしてくれ」 ここで無理を言っても仕方ないことは分かるから、譲歩案を提出する。暫くは強く出られなさそうだ。 ($4) 2023/09/30(Sat) 14:30:53 |
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