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【人】 篝屋に来た カジヤマ「ぎっ……ぐァッ……! いっでェ……!! マジきっっつい…」 焼けただれている背中と、傷ついた身体を起こす。 目を開けて、声を聞いた。ああ、本当に聞きたかった声達だ。 二日程眠っていた身体は不思議と大きな傷口だけを閉ざす形で再生した。 想像よりはひどくない、明らかに緩和している症状と怪我。 あり得ない治癒力と、まだ鈍く身体に残る痛みに思わず笑ってしまった。 これが、はじめての"治りかけている"という感覚だった。 「―― あは」 部屋で心配をされながら、笑って受け答えて内面を隠す。 今は叫んでいる暇はない。 また生き残ってしまった。 まだみていないからだ、あの日焦がれた炎を。 死んでもみたかった、この傷を与えたあの美しい光景を見ていないからだ。 これは、生きていたかったからじゃない。 醜い執着のせいだと、いつか、ぶちまけようかとは思っている。 「めっっちゃ、遅くなった。皆ただいま〜」 (14) 2022/06/17(Fri) 20:44:27 |
【独】 篝屋に来た カジヤマ『可哀想ね、一人になってしまって』 いらない。 『とても痛々しいわ、大丈夫?』 いらない。 『これからどうするつもりなの?』 一番知りたいのは、この俺だ。 思い出させる者全て燃えてしまえば良いのに。 自分の身体さえも、記憶さえも、全て消えてしまえば良いのに。 全部思い出させる、嫌なほどこの火傷が 一番美しかった景色[輝かしい豪炎] と一番嫌だった景色[大切な家族を喪ったこと] を思い出させる。生まれつきの変異した細胞と、虚弱体質。 病気が治らない、誰もかれもが匙を投げた。 現状維持と当たり障りの言い言葉をかける。 無能だ。 お前達は、自分の身体は、無能でしかない。 だから唯一俺は、俺だけを見捨ててはいけない。 ――誰も俺を助けなんかしない。 ――誰も俺を助けられなんかしない。 ――ああ、生きて居るのに死んでいる気分だ。 (-39) 2022/06/17(Fri) 20:47:36 |
【独】 篝屋に来た カジヤマ火事で身内を見失ってから、全てが壊れた。 迷子になっている。家族は許してくれないだろうか、 俺が、そちら側に行くのを許してくれないだろうか。 問いている時点で、答えなどできっていた。 『なー』 『俺ちゃん、寂しい系』 『――――――』 『……けっこー元気。 もうちょっとで就職、できそう』 『食事は、怒られてばっか』 『……自炊は、微妙。鍋とたこ焼きなら出来る』 『誰かと集まる時間があったら、パーティーしてえよ』 『また、あの日みたいに……』 『できんのかなァ』 立ち直れるなんてこと、できるのか。 「聞こえない、ってことは」 「もう天国にいったってことでいいんかな!」 馬鹿みたいに前向きに考えるの、好きな人達だった。 俺ちゃんもそんな馬鹿みたいな考え、いつだって好きだ。 病は気からなんて、何れだけ勉強してもわかんねえのにさ。 (-40) 2022/06/17(Fri) 20:53:01 |
【人】 篝屋に来た カジヤマ「さとみん、あんがと。」 付き添ってくれた後輩にお礼を言う。 まったく、無理矢理付き合わせてしまった。 歯医者に生きたくない子供のように。 「今皆の現状は……どうなってる系?」 冷や汗をかきながら、状況を確かめた。 特効薬……? が見つかったらしい。 そして、それぞれに手配されたと。 ――この薬を研究したい、まっさきに思いついたのはそれだ。 これさえ大量に作ることが出来れば、 己の怪我も誰かの怪我も簡単に治すことに繋がる。 病は気からというが、全く本当にどうして。 こんな曖昧な定義だからこそ、人は救われるのだ。 できるだけ頼み、薬を斡旋して貰う。 少なくとも自分の分と誰かに与える分は用意できた。 残り、ここで命を落としてしまったのは――…… (15) 2022/06/17(Fri) 20:54:43 |
【秘】 篝屋に来た カジヤマ → 氷肌玉骨を手に ナオアキ『――あきちゃん』 能力が消える前、吐き気を我慢してあなたに問うた。 この声は届かないのかも知れない。 『俺ちゃん、あきちゃんに生きて欲しい系』 要約して薬が見つかったことを告げた。 あなたの身体も己の身体もどこにあるかわかるのは初めてだ。 眠っていないのにこの能力を使っていると言うことは、 目を開けながら寝ているのと同じ気分で、相当気分が変だ。 『……なあ、もう化け物として生きるのは難しくなったよ。 戻ってきてくれねぇの? 普通に。 励ましてくれたとき楽しかったよ。 話そうって言ったのに、おねーさんのことまだ聞いてないし。 女装の話もまだじゃん。 …… 怪我治るんだって、 俺ちゃんもこうやって喋れるぐらいには、なってんの。 あんたの頭も治んねえ……? ……殴りかかられたくねえよ それより、もっと。もう話せないのが嫌なんだ』 『せめて身内に手を出すのやめちくりー……』 ただ、届くかわからない言葉をその場で呟いて。座り込んでいた。 報復が嫌なわけでも、怖いわけでもない。 命を喪う瞬間が好きじゃないだけだった。 (-41) 2022/06/17(Fri) 20:58:46 |
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