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【人】 囚われ セト[ どさ、と硬い音を立てて倒れるように座り込む。 尻の下と背に無機質な床材の 無骨な冷たさを感じながら、 けれども熱を持った身体にその冷たさは 快かった。 小さな灯取りの窓さえない、 ここはいつだって空気が澱んで 靄がかかっているようでさえある。 小綺麗ではあるが質素な衣服。 肩から纏ったローブの胸元を掻き抱くように 合わせ、ずるずると身体を動かして 仰向けになった。 ] (19) 2021/04/14(Wed) 20:02:08 |
【人】 囚われ セト[ はぁ、と吐き出した息はのったりと 部屋の空気を揺らす。 続け様に込み上げた吐息を、 今度は口から溢さないよう、 目を閉じて飲み込んだ。 錆びた鉄の味が口腔内に満ちたあと、 鼻腔を抜けて、 また部屋の空気を震わせて混じり溶けた。 ] (20) 2021/04/14(Wed) 20:03:11 |
【人】 囚われ セト[ 王が死んで、後継が決まらず国は荒廃していく。 幾度となく繰り返される歴史は 斯くも馬鹿馬鹿しく。 当事者にとってみれば大真面目なことは、 巻き込まれた無関係な者には 甚だ迷惑な話である。 そう、王の不在につけ込み混乱に乗じて 領土を拡大しようと攻め入った 嘗て隣国だった我が国。 見事に返り討ちに合った挙句、 殺された者、捕虜として囚われたものが 一体どれだけ居たのか 今の己に知る術は最早無い。 戦争には否定的で、そもそもの戦闘にさえ 参加していない己は死なずに済んだ。 死んだほうがマシだったとは 言いたくはないが、なんでまぁ こんなことになっているのか、 とんだとばっちりだなと思えば口元が歪む。 今更愚痴を垂れ流しても 仕方がないのだけれど。 ] (21) 2021/04/14(Wed) 20:04:55 |
【人】 囚われ セト[ 簡単に言えば、とある貴族だか王族だかの 主の目に己が止まっただけの話。 紛れもなく男の其奴に、正真正銘男の己が。 陽の当たらぬ場所で、 否とされた欲望の吐口として、 飼われただけの、 つまらぬ話。 聞けばこの国で同性愛は死刑だと 言うのだから笑ってしまう。 己の身元を受けているこの屋敷の主も、 事が明らかになれば死刑なのだろう、 ───明るみに出れば。 ] (22) 2021/04/14(Wed) 20:06:33 |
【人】 囚われ セト[ 多少見目が良かった為に 己は生き延びたというのならば いつか必ずここから出る。 何を犠牲にしても復讐してやる。 奴隷の証、柔らかな腿の肉を彩る焼印に、 ギリギリと爪を立てた。 ]** (23) 2021/04/14(Wed) 20:07:58 |
囚われ セトは、メモを貼った。 (a2) 2021/04/14(Wed) 20:08:57 |
【人】 囚われ セト[ そんな国に対して、国交と和平を望む べきだと進言した己の意見など、 壮大なこの国の前ではただの平和惚けした 戯言と一笑に付されるものであっただろう。 まぁそもそもそれ以前に、 甘ちゃんな王子の綺麗事など、 利権に目が眩んだ父や幹部のものたちに 捻り潰され表に出なかったのだけれど。 ] (70) 2021/04/15(Thu) 16:32:11 |
【人】 囚われ セト[ そんな賑やかな街の喧騒とは 切り離されたようにここはしんと静か。 己の呼吸音が聞こえる。 地下室がある屋敷など珍しくもない。 ワインや食料の貯蔵に利用するだけに 飽き足らず、犬まで飼うのだから この屋敷の主は強欲なものだ。 一応血統書のついた雄犬、 媚びも諂いもしないが どうやらいたくお気に入りのよう。 物理的な暴力にも、 死刑になるような行為にも、慣れた。 いつか殺してやる変態豚野郎、と投げ付けて おまけに頬に唾を吐きかけてやった時の 主の顔といったら、 自尊心を保つには充分すぎるほど。 ] (71) 2021/04/15(Thu) 16:33:56 |
【人】 囚われ セト[ 忠犬に与えられた褒美は楽しそうな 折檻 。さっさと殺せば良いのに、 新たな犬を手に入れることもなかなか困難に なってきている昨今、好みの見目の者を 探しあてる手間を考えれば 生かさず殺さず飼い続けることを選ぶのは 合点がいく。 身体のあちこちから上がる痛みの訴えを 無視して目を閉じる。 外を歩く者達の足音でも聞こえれば良いのに、 と、静かすぎて鳴る耳に僅か眉を顰めて思う。] (72) 2021/04/15(Thu) 16:35:37 |
【人】 囚われ セト[ 四肢を投げ出して、伏せた瞼の裏は闇。 薄くなった肉の下、骨が床板にごつごつと 当たるが、体勢を変えるどころか 指を動かすことも億劫で、 ぐ、と奥歯を噛みこんで眠ろうとした。 想いを馳せるはずの祖国の風を、 もう己はすぐには思い出せない。 近しい人の顔も、愛しい者の笑む表情も。 ] (125) 2021/04/16(Fri) 15:15:50 |
【人】 囚われ セト……、 ? [ 張り詰めて剥き出しの神経が、 髪の一本ほどの違和感を捉える。 瞼を持ち上げるのにも苦労して、 くっついてしまったような睫毛を震わせた。 見上げるのは、変わらず無機質な天井。 窓がない、ここには昼も夜もない。 晴れも、雨も、ここには無い。 ─── けれどたしかに鼻腔の粘膜を擽る、 甘い匂い。 それは花のような、柔らかな空気。 ] (126) 2021/04/16(Fri) 15:17:27 |
囚われ セトは、メモを貼った。 (a21) 2021/04/16(Fri) 15:35:59 |
【人】 囚われ セトなにか、御用ですか。 あなたのような方がいらっしゃるところではない。 美しく揺れるドレスに、 醜悪な臭いが付く前に お戻りになられますよう。 [ 視線を外したまま、頭を下げて。 ]* (157) 2021/04/16(Fri) 20:38:06 |
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