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【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ「困らせるぐらいで良いですよ」 もし、今。 そんな顔をしていると言われていたらとても驚いただろう。 男は、自分にそんな表情が出来るとも思っていないからだ。 不器用な笑い方は、誰かを怖がらせたりするらしい。 そして、自然にこぼれている笑みには気づいていない。 「いえ、まだ余っていますから大事に持っておきますね。 ……それでは。 ―――また縁があれば会いましょう」 自分から背を見せ、そして、歩き出す。 そうでないと、また目の前から消えてしまうかもしれない。 誰かのように。 それは―――少し悲しく、 違う存在であると思い知らされる。 だから、ここでは別れを告げよう。 次出会えるときは憂いが亡くなっていると信じて。 (-124) 2021/07/06(Tue) 23:45:31 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「贈りもの、ですか。 ……ありがとうございます」 ―――僅かに 唇を食む。 「ええ、だから。 彼らが生きてくれる未来を望みましょうか一緒に」 そのためになら、 。 になら、 って。 きっと 、私は のでしょう。 で から。 、今すぐに 。 「『人生には、二つの道しかない。 一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ』」 「ロクさん。 私は、後者でした。」 それでは御機嫌よう。と。 男は告げ背を向けて部屋を出て行った。 また次に話すとき、 男はあなたに一体どんなことを告げるのだろう。 それは男以外、誰にもわからないことだった。 (-129) 2021/07/07(Wed) 0:17:48 |
【独】 商人 ミロク「贈りもの、ですか。 ……ありがとうございます」 ―――僅かに声が震えて、何かをこらえるように唇を食む。 「ええ、だから。 ……彼らが生きてくれる未来を望みましょうか一緒に」 そのためになら、私はいくらでもこの手を汚します。 取引のためになら、なんだって。 きっと今、私は嬉しいのでしょう。 思いも寄らないところで欲しいものがもらえましたから。 それこそ、今すぐに死んだって良いぐらい。 「『人生には、二つの道しかない。 一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ』」 「私は、後者でしたよ」 「『人生は刺激に満ちた仕事ですが、 もっとも刺激的なのは、人のために生きるときです。』」 (-130) 2021/07/07(Wed) 0:19:29 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「お待たせしました、タマオさん」 どれぐらい時間がたっただろう。 病院内を駆け回っていた男は警備員にはなしかけた。 声をかけたと言うことは、もう準備が出来たのだろう。 「……はぁ。 流石に気が重いです、無駄なことだと思わないばかりに」 相当ぶりにはいたため息は随分と感情がこもっていた。 (-141) 2021/07/07(Wed) 5:36:03 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「……、眠ったまま別れをするのは寂しいですね。 かといって」 「ああ、ちょうど良いのがありましたね。 ……自分で使うとは思いもしませんでしたが。 タマオさんは [阿片] は流石にご存じですか?手元に、あるんです。 効果がどこまで及ぶかわかりませんが、―――直前までは気をおかしくなれそうだとおもいませんか?」 (-144) 2021/07/07(Wed) 6:09:08 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「ありますよ、あなたに価値は。 この先が長いことです。病を患っていないことです。 未来があることです。足があります。 どこにでも行くことが出来ます。良い子に、なれます。 明るくない、そう言うかも知れませんが、 ―――生きていなくてはわかりません」 「子供の立場を決めるのは今の社会では大人の役目でしょう。 不運であったと思います。 子供が"弱い"立場とあなたが言う理由は、 あなたの周りから知識を得られなかったからでしょう。 賢い子供は、時に脅威となり大人をも凌駕します。 あなたに賢くなって欲しくなかったのです。 手を離して、淘汰されたくない、それが人間の真理です」 「……自由が欲しいのですか? すぐには用意が出来ませんが、伝なら紹介は出来るでしょう。 あなたがどう、手を差し伸べて欲しいか。 私にはわかりません。 ただ、一つ聞きたいことがあります。 餓えをしのいで自由になれるとしたら。 あなたは、 生きていたいですか 、それと同時に」それは、他人を犠牲にしてでも、得たい命ですか? 「あなたは、生きる以上に必要なことがあると思いますか?」 (-146) 2021/07/07(Wed) 6:33:14 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「違法だと取り締まられているようですね。 表だって取引が出来ません。とても高く売れるのに」 残念そうに呟きながら、鞄のなかから一眼レフを取り出す。 高価なレンズの中にしまわれた紙の包みを引っこ抜いた。 続いて取り出したのは翡翠のパイプに………、 しけて使い物にならなくなったマッチ。 暫し眺めて捨てればライターを取り出した。 あまり商品を減らしたくなかったが仕方が無い。 「……副流煙は大丈夫ですか?」 パチン、と。オイルライターを鳴らし火を灯せば閉じた。 「ああそうだ、もう一つ頼み事が……。 ピアスを人につけたことはありますか。 もらい物をしまして、嬉しかったんで。 これだけは体につけておこうと思いまして。 痛くしても構いませんから、薬が効いてきた頃にでも針で穴を開けてくれますか」 (-148) 2021/07/07(Wed) 7:19:15 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ診察室に靴の音を鳴らしながら入った。 一切の警戒はしていない。 「気が滅入ったとは、面白いことを言いますね。 あなたが、殺したのでしょう。 咎めませんよ、都合が、よかったのでしょう」 淡々と、静かに告げる男の瞳には感情が伴っていない。 わかっていた、―――最も早く女子供が犠牲になっていくことぐらい。 一番弱くて、体力を使わず、陥れやすい存在だと。 そしてこの男は霊体というものを皆が見れると勘違いしている。 誰もそれを指摘してくれなかったものだから。 「 『約束…破ったら針千本だよ』 そう、ニエカワさんはおっしゃられていました。 どんなお約束をしたんですか?」 (-149) 2021/07/07(Wed) 7:30:25 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「そうですか」 夜中、その静かな空間で、火を点けた。 独特の香りが病室に漂い始める。 この香りで皆気づいてしまうだろうか。 自分が大声を出さなければ済む話だとも思った。 いくつか頼み事をして、確認をして。 取引をした相手を思い返していた。 「スー―――…… ぁ ー……」ふらり酩酊。なれない煙に噎せつつ。 壁にもたれかかり座り込む。 ピアスに輝く白の宝石を眺めて小さく笑っていた。 (-152) 2021/07/07(Wed) 8:22:32 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「? わたしのですよ、それ。 かえしてください、わたしがもらったものなんです」 だだをこねるように。 ぼんやりとあなたの目を見ずに手を伸ばしている。 ぺたり。すぐに力は抜けて床に寝転んでいた。 「……『 』」 何かを呟きたいが、思い浮かぶ言葉が無くて。 ただ、今、自分は。 誰かの為に死ぬことが出来ているのかだけを考えていて。 (-156) 2021/07/07(Wed) 9:50:14 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ「わたしのかちがしりたかったです おかねじゃないと わからないじゃないですか だれもがわかる かちなんて ないじゃないですか いいことをしたからいいひとでもなくて わるいことをしてもいいひとだなんて わからないじゃないですか だったら わたしのことばや わたしのいのちのうむに かちをみいだしてくれるひとがいたなら それはもう そのひとにとっては かちのあるにんげんになれたとおもって いいんじゃないんですか ここにこれてよかったです あなたにあえて それに―――」 (-157) 2021/07/07(Wed) 10:08:38 |
【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオなみだをながして ことばをこぼして そのやいばがふりおろされるときまで。 こはく は ひすい を ながめつづけました。 ふしぎなみりょくで まるでひきこまれるようだとおもいました。 わたしは あいされたかったのでしょう。 ちかよったらかわいがられるくろねこのように。 ときにはけられて てあしをもがれて しんでしまうけれど。 えさがもらったら すぐににげて じゆうに どこまでも。 きままないいきかたに あこがれました。 みろくは だれかのきおくに きろくされましたか。 それだけで きっと。 なんじゅうねんも なまえがなかったことなど きにならなくなるでしょう。 だから ちっとも は さみしくありませんでした。 (-158) 2021/07/07(Wed) 10:18:02 |
【置】 商人 ミロク朝方、2階の病室から奇妙な匂いがするのにあなた達は気づいただろうか。 一歩、また一歩進む度に違和感が増していく。 扉を開くと。 鮮やかな赤 と、噎せ返るような鉄錆の匂い があなたたちの視界に叩きつけられる。同時に嗅いだことのない、 妙な ――酢酸の臭さと植物を燻った煙のような―― 香りが空気に混ざっていた。男-ミロク-は、病室のベッドの上で 死 んでいた。病室の床とベッドのシーツは赤く染まっている。 首を重い刃物で一刀両断。即死だ。 断面は縫合され、人形のようにくっつけられている。 男の服は病院に訪れたときと同じスーツ姿。 衣類の乱れもなく、苦しそうな表情もしていない。 そんな奇妙な死体は、誰かに殺されているように見えるにもかかわらず、 どこか穏やかに笑っているようにもみえた。 気のせいかも、知れないが。 首以外の外傷はないが、左耳の耳朶から血が一筋流れている。 そこには白いピアスが点けられ、光を反射し輝いていただろう。 (L0) 2021/07/07(Wed) 10:46:46 公開: 2021/07/07(Wed) 10:50:00 |
ミロクは、その夜、命を落としました。 (a8) 2021/07/07(Wed) 10:50:00 |
【人】 商人 ミロク>>32 フジノ 「畑仕事、やったことがないんですよね。 都会では、靴磨きが駅前で盛んです。 まず見た目の善し悪しが気にされないので。 強いて言えば首に何か巻いていると良いでしょう」 「いい先生に、と。そういっていただけて幸いです。 大人相手ばかりだと、疲れてしまいまして。 きっと、あなたたちのような "子供"に慕って欲しかったのかもしれません。 "大人"は醜くて、狡猾で、汚い部分がよく見えますから」 明日には会えなくなっているかもしれない。 そんな思いを抱いて、男は話した。 誰かが一人、また一人。 ―――異常ではない異常の世界で暮らしている。 「"お嫁さん"としての将来を私が受け持つことはしませんが、 あなたがお嫁さんになれる場所は、提供したいですね。 できるだけ、手を回してみましょう。大丈夫ですよ。 あなたは、心優しい、誰かを想える人ですから」 そうしていくつかやりとりをして男は去って行く。 最後に、別れを告げて。 (37) 2021/07/07(Wed) 11:03:14 |
【秘】 商人 ミロク → 焦爛 フジノ「明日の朝、私の病室に来てください」 二階の、とある番号を告げる。 「そのとき辛いものをみせてしまうかもしれませんが、 私は善意ですべてやっていますから、ご了承ください。 あなたたちを害したいわけではないのです。 その病室の引き出しに追加で缶詰を入れておきます。 その食料は――――あと数日。もう少しだけ。 体力が限界になるまで、明かさないでいてください。 あなたが食料を持っていることが狙われてしまいますから。 私は"食べられない"んですよ。 だからあなたにおわけします。 それでは、御機嫌よう」 (-164) 2021/07/07(Wed) 11:11:03 |
商人 ミロクは、メモを貼った。 (a10) 2021/07/07(Wed) 12:05:23 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「笑って、いましたか? 不器用なんですよ、表情を作るのは。 今、悲しんで良いのか怒って良いのか。 許して良いのかわかりません。 でもあなたの立場だったら私は、 ――きっと彼を殺していました、文句が言えません」 男は高熱の少年と縁が深いわけでも無い。 ただ、少し話しただけの浅い関係だ。 だからこそ、あなたに何も怒りの感情を向けられない。 ただそこにあるのは興味と、少年への憐れみだ。 「私は知りたいだけです、あなたの目的と、 ニエカワさんの行方を。 彼と取引をしたんです。 商品が手元に無いのは可哀想ではありませんか? 一緒においてあげたいんです。 彼がなけなしのお金で掴もうとした夢ですよ。 それに答えたいと思うのは当然じゃ無いですか」 (-173) 2021/07/07(Wed) 12:15:53 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「……もっと後悔していないと思っていました。 口減らしなんて、いくらでも」 手術室にやってくる、すぐにはピンとこず、 少年を連れ込んだ場所だろうかと扉が開く様子を見ていた。 「そうだ、セナハラさん。私、…… 明日死にます。 理由は死ぬように望まれたからです。 だから、食事もいりません私以外の皆さんに配ってあげてください。あなたも、随分我慢をさせているでしょうから……衣類だけでも必要であれば寄越しましょうか? お古で良ければ、ですが。」 (-179) 2021/07/07(Wed) 14:29:39 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「はい、はじめはそうでした。 ここにいる皆さんを殺してでも生き残ろうかと。 ですが取引をしてしまいましたから。 まさか私の命が欲しい人が現れると思うでしょうか? ―――嫌な誘いではありませんでしたので、乗りました」 どこか満足そうな表情をしている男は、 目の前に広がる光景に一瞬だけ眉をしかめて目を細めた。 「後悔をしているのならば、 生きようとしている彼らに譲りませんか。 一秒でも長いその人生を 有意義に暮らしてもらえるように手伝いませんか? 気乗りしなければ結構です。 私の生きるより必要なことが、そうなっただけでした」 (-189) 2021/07/07(Wed) 16:06:41 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラバケツの中身を見た。驚きこそすれど、察しはついてしまい。 喉の奥にせり上がる酸を吐き出す前に言葉が出てきた。 まだ、耐えられる。あり得ない話では無かっただろう。 あの技師もいるのだろうか――そう心のどこかで思いながら。 「私の死体があがったら肉には……流石に出来ませんか。 知らせる必要があるので、隠れて死ぬつもりは無いんです。 ニエカワさんの一部は貰っていってもよろしいでしょうか。 そうですね――歯か骨でも。 お墓を作ってあげたいんです。こんなところ狭いでしょう?」 あなたを責める言葉は少なく、だが誘う言葉はまるで悪魔のように心の隙間に入り込んでくる。 男は、客を見る目を養ってきた、今まで、ずっと、ずっとだ。 目的がある人間と無い人間を見極めるのが酷く得意だった。 (-190) 2021/07/07(Wed) 16:09:18 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「あなたのしたことは 許されない でしょう。それは罪となりいつまでも人生に刻みつけられます」 「ですが、その罪はあなただけのものじゃありません。 ここにいる全員が、共犯者です。 無自覚に、誰も知ること無く、抱えることになります。 あなただけが背負っていい話では無いんです。 だからもう無理をしないでください。 必要以上に、手をかけるのをやめましょう」 夢のような問いかけ。 だが現実は人が減らなければこの飢えを凌ぐことは出来ない。 だから、男は少しでも前を向ける道を用意しようと思っていた。 「私は、あなたに生きていて欲しいんです」 ▼ (-191) 2021/07/07(Wed) 16:13:02 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「―――、一つだけお願い事があります。 あなたは、あなたが憎んだ父親のようにならないでください。 子供を大切にしないような、 弱い者たちをこれ以上虐げるような、 そんな人間にならないでください」 「私のことは殺さなくて構いません。 ここからいなくなりますから、手を汚さなくて平気です。 だけど、どうしても一人だけ生かして欲しい人がいます。 フジノさんだけは、あなたが手を出さないでください。 彼女が死を選ぼうとしたら止めてあげてください。 私は、そうしないと信じていますが。 彼女は、生きる理由があります。 どれほど私があなたに生きていて欲しくても。 あなたがそれを脅かすことは私は許しません。 二人であれば十分ではないでしょうが、きっと間に合います」 二人。そう言っている時点でこの病院の限界が見えているのだとわかる。憶測では無く、嫌な、予想だった。 精神的にも、肉体的にもきっと多くは持たないのだ。 ▼ (-193) 2021/07/07(Wed) 16:21:13 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「セナハラさんは、今度お話でもしましょう。 納得してくれるか、わかりませんが」 あの医療従事者は、何処まで生きたいのだろうか。 何処まで、彼らを生かしたいと思っているだろうか。 「生きる理由は皆持っています。 大きくても小さくても、一つ一つが尊重されるべきです。 ―――ロクさんについては私が取引をいたしましたから。 いざとなれば口減らしの対象にしましょう。 これに彼が同意しないわけがありません。 ええ、私は、知っています」 うっそりと笑う男に、悪意はひとつもない。 まるで当たり前のように、そして間違ったことでもないように告げていた。 (-194) 2021/07/07(Wed) 16:22:37 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「私、気が狂っていました?」 はじめて言われました、と言わんばかりの。 思い当たることはあるが、もしかしたらこれは元からの気質だ。 「もしくは、倫理観が欠如していたのでしょう」 ・・・・・ ・・・ ・ 「取引の内容は―――秘密です。 こればっかりは、信用問題に関わりますから。 彼がトウキョウに行くための、手段でした。 使われることは、なく、大切にしまわれていました。 "場所を教えて貰いました"から。 その商品と一緒に埋めに行きます。 ふふ、何処にしましょうか。 ああ、確か、小さな壺が商品に残っていました。 さーびすぐらいいいでしょう、そこに詰めて ――どこにやりましょうかね」 まるでご褒美を貰えたかのように嬉しそうに手を赤で染めれば、 用が終わったと言わんばかりに立ち去ろうとする。 男にはまだやることがある。いや、本当はこれ以上、 ここにいられなかっただけかもしれなかった。 (-207) 2021/07/07(Wed) 18:37:13 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ私は聞こえた声に顔を上げました。 琥珀の瞳があなたを映します。 動転している様子に、もしかしたらという気持ちと。 申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。 「あなたの飼い猫でしたか? 私が、――私が 殺して しまいました」 (-212) 2021/07/07(Wed) 19:49:58 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ私は死者を見ることができるようです。 ですが、知っている人間しかみえないようで。 何度か自分の知人と生きていると間違えてしまうことがありました。 生者と区別が出来ないのはいくつか理由があります。 ですが一番を占めるのは、私にとって、彼らが生きているか死んでいるかなど些細だったからでしょう。 黒猫のことは何度か見かけたことがありました。 患者から、医者から、食料を貰ってかわいがられている姿は愛嬌があって。 なんとも贅沢な暮らしだなと羨ましく思ったものです。 だから―――私が殺したといったことは間違いではありませんでした。 やけにずっと猫の声が聞こえると思い、おかしいと思いました。 外に出れば、猫は待っていたと誘うように歩きだしました。 ついて行くと、病院の近くの道ばたに倒れている猫の姿がありました。 まだ少しだけ柔らかい、直に固くなるだろう猫のからだがありました。 土砂崩れに巻き込まれたのか、おかしいほど曲がった引きずった後のある足。 重傷であることも、ここまで歩くのにも相当必死だっただろうとうかがえました。 そして思ってしまったのです。ようやく、と。 弱い命がこのご時世に長く生き続けることなど不可能だと証明されたと、そんな感想を抱きました。 (-213) 2021/07/07(Wed) 19:50:30 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」 私は黒猫を拾い上げました。 そのまま何を言われようと踵を返し病院へと向かうつもりです。 これ以上は、さむいですから。 誰かを探しているようなあなたに無駄だと声をかけるのは、 それこそ余計な一言だとおもい黙っていることに決めました。 (-214) 2021/07/07(Wed) 19:53:01 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「これぐらい、がんばって覚えてください。 ……? 怖くないか、ですか」 「怖いですよ。 私は、死にたくなんてありません」 「 それこそあなた達を殺してでも生きたかった。 」▼ (-215) 2021/07/07(Wed) 20:03:04 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「だけど、望まれてしまいまして。 そちらの方が嬉しかったんです。 私が生きることを望む人はいませんでしたが。 私に死んで欲しいと望む人もいませんでした」 なんと歪んだ感情か。 そこまで男は乾ききって飢えていたのか。 『死を望まれたことに価値をみいだす。』 この言葉は心から告げているように思われ、 この言葉は心から嬉しそうに聞こえただろう。 「ついでに、あなたたちを生かす価値になれるのならば、 死ぬことも悪くないと思いました」 「上手くいくかはわかりませんが……ここにいた大人達は。 私を含めて、あなたたちにとって、 いいひとになれたのなら、よかったですね。 嫌な人で、記憶され続けるのも嫌ですから」 薬に関しては、詳しいことが説明された。 よく使われる摂取方法は煙草のように火を点けて吸うのだが、 経口摂取でもその分量で有れば問題ないこと。 なにかあれば、とある病室の引き出しを漁って欲しいこと。 そこに翡翠のパイプとライターを置いておくらしい。 その薬を使うときにでも使って、使わなければ、持ち帰って路銀にするといいと言われるだろう。 ▼ (-216) 2021/07/07(Wed) 20:10:57 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ「『人生最大の幸福は、愛されているという確信である。 自分のために愛されている、否、もっと正確には、 こんな自分なのに愛されているという確信である。』」 始終男に暗い表情はなかった。 「どういたしまして、メイジさん。 また機会があればどうぞ取引をしてください。 それでは御機嫌よう」 鞄をもち、背を向けるように踵を返す。 あなたとまた何度かは出会うだろう。 そのときの表情も変わらない、この男は何も後悔をしておらず、 ただあなたたちを思って何かをしようとしていた。 ただそれだけの男だったのだ。 (-217) 2021/07/07(Wed) 20:17:39 |
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