【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロさて。 遂に男は何も答えなくなった。 それは貴方と会話を行うことを拒絶する態度であって、 やはり尋問官としてあるまじき態度だ。 それでも貴方が動かないのは好都合だった。 男の手は大きく、手元の箱は小さく。 故にきっと、そこで何をしているのかはよく見えない。 貴方はこれの様子を伺っていた。 正しく何かされると予期していた。 ならば注視したのは手元であったろう。 下を向いた貴方を、今度は男が見つめていた。 ▽ (-511) 2023/09/23(Sat) 2:16:29 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロかたん。 音。 貴方が顔を上げた時には遅い。 この男は机の向こうで立ち上がっていて。 その机に膝で乗り上げるように距離を詰めて。 そうして片方の腕は貴方の腕を掴んで引き寄せ、 もう片方の手を貴方の口元に押し当てた。 「何をする気だと思います?」 貴方が驚いて口を開いていたのならば、答えはすぐにわかるはずだ。 口腔内に小さな塊。先程までは当然なかったものが、そこにあって。 (-512) 2023/09/23(Sat) 2:16:48 |
【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ「……三人の事がどれだけヴィットーレにとって 覚悟がいる事で重い十字架だったのか、痛いほどわかる。 だからこそ、わたしに話してくれたのが本当に嬉しい」 この檻さえなければ、今すぐにでも貴方に抱き着いて、その涙を拭ってあげたかった。或いは、両手を取って優しく握り込んであげたかったのに。 「だからね、こちらこそ本当にありがとう。 絶対もう貴方を独りにはしないから」 それでも、貴方が私の前で泣いてくれた事に、心底安堵した自分もいて、それと少しだけ罪悪感も募る。 その感情の元手が何処かはわからないけど、少し浅しい気がするのは……どうしてなのかしら。 「……ごめんね、ヴィットーレ…… まだ、貴方に頑張ってとしか声をかける事ができないのが、今、本当に悔しいけれど……それを反骨精神にして、頑張るわ。少しでもこの状況を崩せる何かを探してくる」 だから、少しの間だけお別れ…… 言いかけて、あなたが顔を近づけるように呼ぶのがみえたから、何の覚悟も備えもなく、檻に近づいて。 頬に触れたぬくもりの正体に辿り着く頃には、あなたは離れていただろう。 きょとん顔が、時間が経つにつれ真っ赤に染まっていくのがよく見て取れたはずだ。 「ヴィッ、いま、わた 、わ、〜〜〜〜!!!」 羞恥に染まり切った顔では碌な言葉を発することができず、ついには何を発音してるのかわからないほどにずるずると檻伝いに沈んでいって。 ── ti amo. 共通語で言えば"愛してる"。 恋人に贈る言葉よ、なんて訂正を、今はする気にはなれなかった。 ばかばか。いじわる。わかっていてもわかってなくても……ずるいひと。 (-513) 2023/09/23(Sat) 2:24:29 |
【秘】 食虫花 フィオレ → 渡りに船 ロメオ引き寄せられて、あなたの顔を見上げる形になる。 首に腕を回すと。顔を寄せ、頬に口付けを落とした。 「ありがとう、ロメオ」 「私、何でもするわ。だから、教えてくれる?」 手段を選ぶ必要がないなら、今得意なものを使用してもいいし。 逆にもっと手に馴染む手段があるのなら、利用してもいいと思っている。 それも含めて、"殺しの手順"を学ぼうと言うのだ。 ソルジャーとアソシエーテ、直属でないにしろ。 マフィアとして正しい在り方、正しい行動だと思って。 「ファミリーに入るって決めた時から、私は」 「とっくに、正義も悪も捨ててしまっているわ」 そこにあるのは、ファミリーに仇なすかどうか。それだけで。 そのためなら尋問の末に殺すことは出来たのだ。 自分のためにそうすることが、なかっただけで。 だから、きっかけさえあれば。躊躇いもなく、このように。 「最期に、一番綺麗な花を見せてやるのは」 「癪に障るけどね」 それは、毒を吸って成長する食虫花。 かかった獲物は、全身に毒が回って死に至る。 獲物を取り込んで、それは美しく咲き誇るのだ。何よりも、どんな花よりも。 (-514) 2023/09/23(Sat) 2:25:36 |
フィオレは、毒の花を芽吹かせている。 (a20) 2023/09/23(Sat) 2:27:15 |
【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレだから、ようやく起き上がって来て少し拗ねて むくれた様子も隠さないまま、貴方の真似をするように とんとん、とジト目になりながら檻を叩く。 先ほどの顔を近づけるジェスチャーの真似事をしているのだ。 叶うならばそのまま、唇の位置に口づけを檻越しに落としてから、ゆっくり身を離して、貴方を見つめる。 その柔く細められた瞳からの眼差しは、 今まで貴方に見せた事のない、 どれもが大人の女が謳う感情を含んでいて。 「ti amo.……ヴィットーレ」 どこか大人びていて、 切なげで、愁いと熱を帯びた色。 言われたからには、言っていいって事だよね? 「──またね」 そうして、貴方の反応を窺う事もなく、 一度も振り返らないまま、その場を後にした事だろう。 (-516) 2023/09/23(Sat) 2:27:43 |
アリーチェは、牢屋を後にした後、手で顔を覆った。 (a21) 2023/09/23(Sat) 2:31:03 |
【教】 favorire アリーチェ「……家族、以外に欲しい愛情の形──? そ、それ、って、」 二本指のハートを見て、顔は真っ赤に染まって、 慌てて突き出した手に当たったスプリッツが転がるのを更に慌てた様子で直して(最もこの空間だからかすぐに元の場所に中身も戻った)、わ、わ。と言葉にならない声を上げながら、机にべちゃりと突っ伏した。 「……家族相手に、どうしよう」 「迷惑、になるんじゃないかな、嫌だったりして…… ……嫌だなあ、きらわれたくない…………」 思ったより自覚症状はあったのか、愛と言われて案外素直に肯定をする。その分疲弊具合も多くみられるが。 (/6) 2023/09/23(Sat) 2:32:11 |
【妖】 路地の花 フィオレただ一つの懸念は。 「解放された時、私のしたことを許してくれるかな」 大事な弟にも、大事なあなたにも。 自分がマフィアだってことはついぞ告げられないままだ。 嫌われないといいな。 そんな、都合のいい言葉を思って。 ($3) 2023/09/23(Sat) 2:37:14 |
カンターミネは、歌う、歌う、歌う。 (c23) 2023/09/23(Sat) 2:38:49 |
【秘】 コピーキャット ペネロペ → 渡りに船 ロメオ「流石に牢の中の事まではわかんねえな。 まあ金でも握らせない限りは流石に看守が止めるだろうが…… 暇な内にツラ拝みに行ってやりゃよかったな」 あの日はあの日で忙しく、今日は今日で忙しかったのだが。 暇があれば間違いなく面会に行っていただろう人物の一人だ。 あの手合は自分が正しいと思ってるんだよなあと思いながら。 「今世紀最大の馬鹿、ナルチーゾ・ノーノここに眠る…ってな おう、何処までも一緒に逃げてやるぜamore ついでにクラッカーも買って行って鳴らしてやろう パーティーハット被って自撮りしてSNSに上げてやってもいいな」 戯けた調子で一番スカッとしそうなもしもを挙げ連ねる。 この所ストレスは溜まる一方だったのだから、 これくらいは許されたい。 「ま、善処しなきゃ筋が通らねえしな。 ボスがあの七面倒臭え目の上のたんこぶさえ退かしてくれりゃ とっ捕まった奴らも出してもらえるだろ。 そしたら俺達も慰霊碑の前でパーティしなくて済むんだがなあ」 「また誰か持ってかれたら穴埋めは頼んだぞマジで。 人手不足で首が回らなくなればなるほど お前みたいな器用な奴が必要になる。 ルチアーノが持ってかれたらフィオレの面倒も見にゃあならん」 「ハア。俺もこれ飲み終わったらぼちぼち 掃除 しないとな」 (-517) 2023/09/23(Sat) 2:39:41 |
ペネロペは、缶ビールをもうひとつ開けた。 (a22) 2023/09/23(Sat) 2:40:01 |
【秘】 favorire アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「……本当?で、でも……」 視線が右往左往する。 その提案を飲むか、アリーチェの中で葛藤が発生する。 このまま、何も知らない振りをして見逃して貰えば、 自分がまだ逃れられるなら、あの人も子供達の事も助けられるかもしれない。 実際には不可能なそれを夢見て、 でも、ダニエラは? ずっとずっと、その言葉がリフレインする。 だけど、 「──わ、かった」 「あなたの要求を呑むわ。誰にも、話さない。 ……見逃してくれる?」 恐る恐る、お伺いを立てるような問いかけ。 最も昔からこの女の気弱さを考えると、そうおかしなものではないけれど。 それが"貴方に"向けられての事なら、随分と珍しい事だろう。 (-518) 2023/09/23(Sat) 2:41:31 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 渡りに船 ロメオ素直に腕を解かれるとものさみしげに貴方のことを見返したが、 触れられ促されるままに体制を変えればなんとなくその先を理解した。 「……あれ、されたことないんだよなあ」 「旦那に頼めばしてもらえるかね……面倒くさがりそうだ」 重力に逆らわず膝に落ちると声は少し控えめだが普段と変わらぬトーンに戻す。 ぐったりと体を預けて動く様子もない。抵抗も、文句もない。 何処か己の価値に対して無気力なところは似ていると思ったのに、本当に貴方は自分と何もかも違う。 丁寧に都合良く振る舞う貴方と更に違うところは、その献身の先に何を見据えているのかということだ。 どうして救おうとするのかわからない、自分に手を差し伸べて何が変わるのだろう。 「なんで来て……いや…………すまん」 これも俺が来させたようなものだったな。 自惚れて期待するには、貴方は都合が良すぎて困った。 (-519) 2023/09/23(Sat) 2:41:40 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノぐ、ぐ、と押し込むように奥へ、奥へ。 深く、貪欲に繋がろうとしてまた奥へ。 先程まで、男の手は貴方の身体中に触れていた。 指先ではなく手のひらで、温度や感触を検分するように触れていた。肉の厚みや凹凸を確認するように触れていた。 歯を立てるところを選ぶようにして触れていた。 腹を撫でた手が脇腹を通って肩へ、そこから首筋をなぞって頬へ。また食むようなキスをして味わうように舌を絡ませる。声まで食らうように唾液を啜る。 これはほとんど一方的な捕食だ。 そう見えるけれど、 貴方はこれに蹂躙される獲物だ。 あくまで合意の上。 求めている実感が強くある。 背に回った手に、求められている実感もまた感じた。 「ふ、はは」 「先輩」 それが堪らなく心地がいい。貴方の甘えすらこれは食らって。 「好いなあ……」 抱き寄せられた薄い胸にまた噛みついて痕を残す。一度腰を引けば、今度こそ長いストロークで奥までを穿った。 (-520) 2023/09/23(Sat) 2:44:50 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ「どうせお前が唆したんだろう。」 決めつけだ。 「お前たちの十八番。口八丁で無知な子どもを誑かす。」 偏見だ。 「二回で理解出来ないのはお前の方だろう。」 「俺が法を守らないんじゃない。法はマフィアを守らない。」 「────、」 激しい音を立てて男が椅子から立ち上がったのと、 取調室の扉が叩かれたのは同時だった。 立ち上がった男はびたりと動きを止め舌打ちをする。そうして長い息を吐いてから返事をすれば、一人の警官が入ってくるだろう。 彼は何かを手に持っていた。そうして貴方の方を伺いつつ手短に男と言葉を交わし、それを渡して、また出て行った。 さて。 再び室内には静寂が訪れる。しかし状況には変化があった。 男が手の中で弄ぶそのケース、或いは瓶を、貴方は見たことがあるはずだ。 (-521) 2023/09/23(Sat) 3:00:33 |
【念】 口に金貨を ルチアーノ灰色の猫はもう見えない。温もりも風と共に消えていった。 代わりにやってきたのは、秋の訪れに色鮮やかな葉を見せる花束だ。 『ええ、よく来ますよ! よかったらケーキも買っていって下さいね』 おまけしますから、と言って店員は笑顔で応対している。 二人の間の花は勿論静かで何も語らない。 (!9) 2023/09/23(Sat) 3:10:29 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 傷入りのネイル ダニエラあなたは今か、後ほどか。 花束の中にメッセージカードが入っていることがわかるかもしれない。 それは丁寧に書かれた読みやすい文字だ。 『もし俺が逮捕されることがあったなら。 一番最後に会っていた奴はリヴィオ・アリオストだ』 そこに含まれている全ての意味を知る事は難しいだろう。 ただ電子文で送られた最後という言葉にも、 このインクで綴られた最後という言葉にも、 誰かを信じて裏切られるつもりがない男の意思が籠もっていた。 男は今でも 貴方 を。自分の信じたいと思った者達 を信じている。 (-522) 2023/09/23(Sat) 3:14:48 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 幕の中で イレネオ「クハッ!ハハ、ハハハッ! 質問には答えません、相手の事はきちんと見ません、 自分と向き合う事も出来ません、 権力を振りかざす事しか出来ませんか! いいねえ、『パパ』そっくりになってきたな? あー笑える。ひとつ予言してやるよ、その内お前、 法にも署長代理にも見放されるぜ!」 見てみろよ、あいつの動き。 今ノックが聞こえる前、なにをしようとした? 所詮、法を守るとか言ってる正義面でもこの程度だ。 警察なんて肩書も、紙屑以下の嘘っぱちだ。 裏で嘘を吐き、人を嘲り、笑い、貶める。 そうとも、誰も彼も信じるに値しない。 「――その程度なんだよ、お前の正義も、法も。」 へらついた笑みを張り付かせたまま、口を開く。 ……正直言って、あまり見たくない物が見えているが。 それをわざわざ態度に出してやる程、 こいつに優しくする理由はない。 (-523) 2023/09/23(Sat) 3:15:53 |
【秘】 コピーキャット ペネロペ → マスター エリカ「はいっ。任せてください」 閉店後の掃除と、それから配膳。 それがバイトとして主にすべき事。 今はどちらの仕事もなく、カウンターに立ったまま。 視線を向けられれば、少しの気恥ずかしさを滲ませて。 それでも居辛さは感じさせず、ただはにかんだ。 猫を被っていなければ、何さ、とでも言ったのだろうが。 (-525) 2023/09/23(Sat) 3:20:24 |
コピーキャット ペネロペ(匿名)は、メモを貼った。 2023/09/23(Sat) 3:21:23 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ新しい玩具を手に入れた赤子のようだ。 まるで不思議そうな顔で手の中のものを見る顔はそういうものによく似ている。 それ以外への興味が抜け落ちたような、奇妙に冴えて一途な表情。 警官から何かを受け取った男はそういう顔をしていた。そういう顔をしているだけの、やはり苛烈な男だった。 へらりと笑う貴方が言葉を切る。 それとまた、ほとんど同時に。 ガシャン! 先程より大きな音が部屋に響いて、貴方はそのまま後ろに吹っ飛ばされることになるだろう。 顔面に強い衝撃。 椅子ごとひっくり返り、頭を強かに打ち、手錠で戒められた腕では身体を庇えもせず転がったはず。目の前の男がテーブルをひっくり返したのだと気づいたのはどのタイミングだろうか。どうあれきっと全身が痺れたように痛むはずだ。打ち付けた頭も方向感覚を失うだろう。それでも貴方は立ち上がろうとしたかもしれない。それくらいは出来たかもしれないが。 仕掛けた側の方が状況の理解は早いものだ。 貴方が起き上がる前に、この男は貴方の左肩を踏みつけている。 (-528) 2023/09/23(Sat) 3:41:34 |
【教】 コピーキャット ペネロペ「さあなあ。 確かなのは言わなきゃ白黒どっちともつかないって事だ」 机に突っ伏す様子を見て、にんまりと笑う。 自覚症状があるようで結構、とでも言わんばかり。 「迷惑かどうかも、嫌われるか、受け入れられるかも。 聞いてみなきゃわからない。 逆に言えば、聞かなければずっとどっちつかずのまま。」 「あんたはそれでいいのか? どっちつかずの寂しさや苦しさをずっと抱え続けるより、 嫌われたくない の方が大きいか?」違うと言いたくなるような、ずるい聞き方を敢えてする。 意地悪な猫被りは、シュレディンガーの箱を差し出している。 (/7) 2023/09/23(Sat) 3:48:45 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 幕の中で イレネオ……ああ、マズったな。処分が甘かったな。 そう考えた時には、ぐぶ、なんて湿った音が鼻奥から響く。 脳の天辺なのか、後ろか、ともかく痺れの波が 寄せては返し、きいんと耳鳴りが続く。 頭の奥では冷静に、やっぱりこうだよな、と笑う。 表情にもまた、笑みは張り付いたまま。 呂律が回らない事は口を開くまでもない、 いやそもそも口を無思慮に開けたら不味い。 せめてどれかひとつでも砕ければ、そんな考えの元 身体を起こ――せない。二度、三度と試して、 やっと左肩を踏まれている事に気付いた。 女の扱いも知らないのかよ。声もないまま、 赤く揺れる視界に映る、鬱陶しい顔に毒づいた。 (-529) 2023/09/23(Sat) 4:03:08 |
カンターミネは、歌うのをやめさせられた。 (c24) 2023/09/23(Sat) 4:05:35 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡「悪い夢……」 「 アリソン って人が、夢に出てきたの?」いつもだったら、そうなのね。なんて言って引いていたところだけれど。 こんな場所だから、こんな環境になってしまったからだろうか。 いつもより踏み込んで聞いてしまう。 「喧嘩なんかしないって言ってたのに」 「仕事に使わないけど、もう習慣付いてるからついやっちゃうって感じなの? 私にはトレーニングの良さは分かんないけど…」 力こぶに触れたらよかったのに。あなたの筋肉に触れるのは好きだったから。 鍛えてもらう分には、自分は得するのだけど。 喧嘩には使わないのに、というところはやっぱり引っかかったまま。 「私もそう思うわよ。 何であの子がって、ずっと考えてるわ。本当に保護ならいいんだけど……」 「そうじゃないなら、守ってあげられなかったことを悔やみそうだわ」 会いに行って元気になってくれるなら、とは思う。 「ええ、泥棒はいっちゃうわよ」 「食べ物とかダメになりそうなものがあれば持って帰っとくわ、他は……たまにコーヒーでも入れちゃおうかしら」 放り出すものが豪快すぎる。心配だ……… (-530) 2023/09/23(Sat) 4:09:52 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ乱視の視界に鮮やかに灯るライムグリーン。 女には 受け止める 意気地がなかった。…そんなあなたの様子や顔色をだ。 「…」 いつも通り、――ううん、ちょっと違う。 ただそれだけなのに胸が痛い。 そうっと手を持ち上げる格子に触れて。 指先には、ぞくりとするほどの冷たさだけが残った。 「…あはー。そおだよねえ。」 「ミネはちょおっと、盗聴とかそゆことしてただけでえ。」 …頬を緩めて、へにゃりと笑う。 この特技はきっと、こんな時にこそ役立てるべきものだった。 それにしても発言は身内贔屓が過ぎるが。 「……あたしは。」 「だいじょおぶ、元気だよお。」 えへへと笑って、左手を翳す。 少し傷が入ってしまっても剥がさずにいるこの小指のネイルは、あの日あなたに塗ってもらったものだ。 …だから、大丈夫。ダニエラ・エーコは、まだ頑張れる。 (-531) 2023/09/23(Sat) 4:45:17 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 傷入りのネイル ダニエラわかってる。だって『エリー』は優しいから。『エーコ』は聞き分けがいいように見せているから。 鼻血の跡、きちんと拭けてるよな。よだれ、垂れてないよな。 「そうそう、ちょっとだけってオーイ。しーてーまーせーん。 俺のテディに変な仕掛けがされてただけですぅー。」 ふざけるように笑いながらも、近づかない。 普段なら絶対に駆け寄って、その手を握るのに。 悪い。今はふらついて真っ直ぐ立てないからさ。 「そりゃあ、……元気ならよかった。おまわりさんも 日々激務だろうけどさ、ここからのんびり応援してるよ」 そう言って寝転がったまま、片手を上げる。 この仕事のない場所をそれなりに満喫しているらしい。 お前だけは同じ場所に入らないでくれよ。 そして、少しの沈黙があって。ふと、思い出したかのように。 「あそうだ。今度あいつ、あのーあれ。ほらあいつ、 花屋で『マリーゴールド』をよく買ってた奴。 あいつにもし会う事があったらさ」 あなたの指を見る。フレームの歪んだ眼鏡だと、 少し見え辛いけど、きっと約束の花はそこにあるから。 「……無理すんなって、伝えといてくれない? あいつ、すーぐなんでも我慢しちゃうだろ〜?」 へにゃりと、ブレてても見えるように大きく笑った。 (-532) 2023/09/23(Sat) 5:08:19 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオ「たとえだよ、たとえ。 ――だが漸く得心いった。それがお前の源流か。 ……ああすまん、手の怪我は適当に言った。 お前もしかして怪我をこじらせたな? ちゃんと今のうちに行けよ、病院」 ほの暗い過去を持ち隠す人間はごまんといる。 それの一つが、自分と同じような仮面を作る人間だ。 その点においては圧倒的にお前の方がエキスパートだったのだろう。 だが一体俺が何人の厄介な事情を抱えた女を見てきたと思っている。 お前のお墨付きだぞ、子猫ちゃんを見る目に関しては。 あと、まあ。俺は都合のいい仲良しがいるんでね。 ▼ (-533) 2023/09/23(Sat) 5:32:01 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオ「俺を捕まえる利点? そんなの簡単だ。 俺が捕まったらお前に 視線 が行くように仕組んである」「すると遠くない未来でお前達を狙っていた一人の女、 ダニエラ・エコーが動き出す」 正直者は漸く此処で初めて一人の女の名前を出した。 もう隠す必要もない、そしてあなた達は会う必要がある。そう判断して。 「これまでもニコロ、上手くいけばアリーチェ・チェステが連れて行かれる。 摘発チームは3人編成らしいなあ」 「あとひとり。後にリヴィオは何らかの罪状で検挙される。 これで執行は終わって、つかの間の平穏が訪れる。 お前と俺には罰が食らって大変な事になる」 「ついでにダニエラも連れて行かれちまえばいいんだ。頼めんか? 何人もムショにぶち込んでよお、休みたいだろあいつも。 お嬢さん一人でずっと戦ってたんだ、なにか自棄を起こす前に座らせてやりたい」 そうしたらこの町の執行役が全員いなくなれば、平和だと思わないか。 綺麗事のように掌にある情報を告げる男はそう笑った。 ▼ (-534) 2023/09/23(Sat) 5:32:44 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオ「……と、ここまではただの俺の想像で」 全て上手くいって欲しいだなんて思わない。 けれどもう俺が用意した舞台はほぼ整っている。 常に周りを疑ってばかりの男が信用した人間達の物語。 「そんなのがどうでも良いほど。 俺はお前が好きだからだよ、リヴィオ」 男はただの正直者で、貴方にとっては猫のエキスパートだ。 「 物好き らしいな。お揃い じゃないか。お好みの地獄に落としてやってもいいが、俺はタダでは落としてやらん。 それを管理するのも、好きに引っ張り出すのもこの俺だ。 まあー牢に居る期間はしらんけどな、此処が長いと次のデートが遠そうだ」 (-535) 2023/09/23(Sat) 5:41:57 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ音が響く、反響する。 聞こえすぎて気持ちが悪い。 どこから、何をされるのかまるで想像ができない。 汗と血が体から滴り落ちる。 「────うグッ!?」 ガン!硬い何かで、こめかみを殴り付けられる。 勢いを殺すことも出来ずまともに食らって、 思わずその場に倒れ伏して。 咄嗟に支えようとした手も傷だらけだから、 余計に痛みが走ってあぁぁ!と小さな叫びをあげる。 「はぁ……!はぁ……はー………」 痛みを和らげるための深呼吸。 もはや憎まれ口を叩く余裕すらなく。 見えない周囲を警戒して、残り少ない 神経をすり減らしている。 そうまでしても、何かを白状したりはしない。 (-536) 2023/09/23(Sat) 6:18:54 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「ふふ、もう絶対独りにしない、なんて。 熱烈な告白みたいね。モテ期かしら♡」 なんで少しからかうように告げるヴィットーレは、 やっぱり君の気持ちには気づいてはいないようで。 頑張るのはいいけど、無理はしないでね、と、 あなたに落とす口付けは、家族への親愛の証。 それ以外の感情なんて、持つべきじゃない。 そのまま真っ赤になってへたり込むあなたに、 あら、まだ刺激が強かったかしら、なんて 心配半分、面白半分に大丈夫?なんて声をかけたら。 むくれた様子の貴方がじとりと檻を叩くのを見て、 くすくす、仕返しかしら、とその通りに顔を近づける。 そうして施された仕返しは……… 予想した場所とは少しズレた場所を湿らせて。 (-537) 2023/09/23(Sat) 6:28:10 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「…そおですねえ」 こんな話題のお供でも、フォカッチャはすぐに減る。 ダニエラ・エーコという巡査の、1番正しい挙動をなぞる。 「来るといいなあ、そんな未来」 来てはいけない、そんな未来は。 普段と遜色なく女は笑う。 こうなる前の、普段と。 温かい日差しの中で、まどろむようだったあの日々と。 「あ、そおだ。リヴィオさん。」 フォカッチャもあと欠片と差し掛かったところ。 お口直しと水を1口、口の内を、潤して。 「…犬と猫」 「前、 最近は 猫が好きって、言ってましたけどお」「今は、どおです?」 「今も猫の方が、好きでしょおかあ?」 ことん。ボトルを置いて、小首を傾げる。 (-538) 2023/09/23(Sat) 6:29:12 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ「……ッ!?あ……アリーチェ!?」 思わず目を丸くして、パッと檻から体を離す。 指を自らの唇に当て、あなたの顔をまじまじと見て。 その顔は。 昔のようなあどけない子供の屈託のない笑顔とは違う。 熱が含まれて、欲や感情が混ぜられた。 ───切なげな、大人の笑み。 ……思わずどきりとして、顔に熱が昇った。 「じょ、冗談で言う言葉でもすることでも無いわ。 アリーチェったら聞いてる………あ!……も、もう……」 有無を言わさず去っていくあなたを檻越しに見つめて。 よた、よた、ベッドに戻り、うなだれる。 「……アタシも大人の男なんだから…… そんな意識させるようなこと、しちゃだめよ……」 小さなつぶやきだけが、牢の中に響くのだった。 (-539) 2023/09/23(Sat) 6:35:56 |
ヴィットーレは、牢屋の中のベッドに潜り込んだ。 (c25) 2023/09/23(Sat) 6:36:25 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ――へらり。 …やっぱりそれは、いつも通りの緩い笑みで。 「Certamente.」 「…ありがとおございますう、アリーチェさん。」 …ああ。信じちゃった。 本当に、純粋で――綺麗なひと。 ひらりと、離れた足そのまま手を振った。 「じゃーー」 「これまで通り、仲良くしましょおねえ。」 かつ、かつ。靴底を鳴らし、離れていく。 こうする度に、浮かぶ言葉が胸を刺すけれど。 その言葉だけは口にしてはいけないから、胸の中で何度も押し潰した。 (-540) 2023/09/23(Sat) 6:38:55 |
【念】 傷入りのネイル ダニエラへらりと緩い笑みで頷く。 「えー、それじゃあ」 「看板のティラミスを――」 ダニエラ巡査は、そう笑って。 この日ホテルに持ち帰ったのは、ブーゲンビリアの花束と、ティラミスがひとつ。 (!10) 2023/09/23(Sat) 6:42:33 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 口に金貨を ルチアーノそのケーキ屋で、女はすぐにそのカードに気付いた。 身に染み込んだ技術がそれを一切表沙汰にしなかった。 ほんの一瞥でそのメッセージを読んだ女は顔色ひとつ変えない。 まるで、最初から、そう。 そういう仕事をしていたみたい 。――このカードの送り主がこの場にいたのなら、そんな些細な様子にだって気付くことはあったのだろうが。 きっと、目の前の店員は気付けない。気付かない。 …ありがとお、お兄さん。 あたしもお兄さんを 信じて ますからねえ。 (-541) 2023/09/23(Sat) 6:47:13 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ守りたいものが、あった。ひとつ、ふたつ。…ふたつとも、こぼれ落ちて行く。 守ることができなかった、その想いだけで枷なのに。 そのふたつの現在を知ると今度こそ先に進めなくなってしまう。 「…ふふっ。」 何がおかしいのか、あなたの様子を見た女は笑う。 「…大丈夫だよお、ミネ」 「カメラとか、全部、弄ってきたからあ」 びっくりしたあ?なんて女は悪戯に笑った。 元から女は警察に忍び込む内通者。これくらいなら、易くあり。 …更に言えば、上層部が検挙されたこの署内を好きにするのは、日頃より少し、更に易かった。 「…あんまり長くは保たないけど、でも」 「話したいことが、あったのお。」 とはいえリスクは多分にある。 毎度面会でこんなことはしていられない。 …リスクをとる必要があったのだ。だから、今こうなっている。 「その、お兄さんのこと、なんだけどお。」 「…ううん、あんまし長く話す時間もないしい、要件だけ、言うねえ。」 指先が上がる。5本。時計を見ながら、1本減った。 時間の猶予は、それだけだ。 「ミネのモーテルに、まだ仕事道具が残ってるなら」 「場所と使い方、教えて欲しいんだあ」 (-542) 2023/09/23(Sat) 6:58:20 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ「碌でもないが理性があるんでね。 なんだ、俺が居なくなったら寂しいか? 手を握ってくれてもいいぞ」 誤魔化し方が上手いのは向こうだ。態とらしい程に。 警察の方がよっぽど猫をかぶってるなと、最近であった彼らをみてひとりごち。 「うーん、かわいらしいなあ。 馬鹿にしてないぞ、そこにある想いは感心するが……。 そんな心中を目論んでたカップルを見たことある」 片方が先に死んで結局物理的にバラバラになった。 「……何が何でも……。 何が、なんでも……頭が痛くなる単語だ。 執着なんてするもんじゃない。 はあぁあ〜〜……酒飲み仲間がみんな居なくなるんだが……」 どうしてなんだ、と項垂れ始めた男は少し酔っている。 特に後半は苦々しい表情と一緒に告げられ、そのあとガンと机に脚をぶつけた。 追加で酒を頼もうとしてぎりぎりで水を頼んだ。まだ理性があったらしい。 (-543) 2023/09/23(Sat) 8:21:21 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ反射的に、分かった。 こんな状況で口に押し込まれるものなんて 予想は容易いから。 自白剤…もしくはもっと拙い類の、薬。 口元に押し当てられた腕を引き剥そうと掴んで 体を捩って、なんとか飲み込むまいと 抵抗を見せるだろう。 薬に耐性なんてある訳がないんだから。 飲んでしまったら最後、貴方の思うつぼだ。 けれどきっと、抵抗空しく飲んでしまうんだろう。 程なくして、喉が動く気配がする。 (-544) 2023/09/23(Sat) 8:22:41 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ「手を握っても良いが、お前まで持つと重いからやだね。 つか、かわいらしい言うな。」 何が悲しくて貴方に言われなければならないのか、と 僅かに眉を寄せるのは、貴方にしか見せない表情だ。 「お前に言われると違和感すげえし。 あー、心中ねぇ。似たような事にはなるかもな。 別に死なねえけど。」 零しながら、此方はまだワイン。 水を頼んで唸る貴方を見て笑うだろう。 「悪いな、ルチアーノ。 でも俺ももう退けなくなっちまってるからさ。 こっちで死なせるような事はしねえ。 それは約束するよ。」 (-545) 2023/09/23(Sat) 8:34:12 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノその日、貴方が居たバーに男は来なかった。 いくら待てど姿を見せることはなく、 不在の日と変わらぬ時間がすぎていく。 ふと、頼んでもない酒とお皿が貴方の元に運ばれてくる。 それは一本のロゼワインとサーモンのカルパッチョ。 添えられたメッセージカードには 『これ食ったら早く帰って寝ろ』とだけ。 渡した店主は苦笑して、お代は頂きますと伝票に数行を追加した。 (-546) 2023/09/23(Sat) 8:45:10 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「旦那ならできるかもしれないすね。 オレじゃ腕の力が足りない」 「やってくれるかどうかは別か。ハハ」 自分の膝に貴方の頭がされるがままに落ちた。人の重み。 そのまま視線を下ろせば顔を合わせる形になる。 長い髪がカーテンみたいに揺れている。 しばし見つめて、そっと頭を撫でた。 ゆっくり、ゆっくり貴方の頭の上を滑る大きな手。 大事なものを扱うかのような、穏やかな手だった。 「心配だから来ました」 「部下の方から最近の様子を聞いて。……ああ、白猫は家に。 餌食べたらスヤスヤ寝ちまってね」 「甘やかしに来ました」 「来てよかったですよ。そのまま放っとけない……」 疲れましたね、とまた言葉を落とした。 (-547) 2023/09/23(Sat) 8:48:18 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ君に語ったのは、"今更"だったから。 本当は、君が提案せずとも"君だった"んだから。 理由?…そんなの決まってる。 "仲間"が名を挙げた一人。それが君だった。 俺は、誰でも良かったんだ、命令さえあれば。 誰でも良かったんだ。……だけど。 俺がそうする相手は知らない誰かじゃなくて、 こうして語れる君で安心したのは誰にも教えてやらない。 勿論、同時に苦しくなったこともね。 誰でも良かった、というのは少しの嘘。 それは自分を納得させるための、嘘だ。 誰でもいい訳がない。 でも、そうするしかなかったんだ。 もう後戻り出来ない先で、そうせざるを得なかった。 ただ、それだけの話だ。 だって断れば俺の可愛い後輩に声をかけるだなんてさ、 そんなこと、言われてしまったら俺は、 選ばざるを得ないだろう? その上で丁度いい機会だと考えたんだ。 仲間にも言わなかった、内緒の話。 ▼ (-548) 2023/09/23(Sat) 8:50:50 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ「…はは、生憎本当に仕事が忙しいんだ。 今穴を開けるのは難しい、せめて来週かな」 リヴィオ・アリオストは署内で可笑しな人間。 そんな評価を受けてはいるだろうが、 昇進の話が渡されるほど、真面目な一面もあった。 勿論、これ以上上になんてお断りだけどね。 「全く、上の人使いの荒さには困ったものだよ。 無敵ってのは完璧とは違うんだからね。 俺が何でも出来る訳がないだろう」 だけど、帰ってくる人間のためにも。 その可能性を残したい、 一人の人間 としても。すべきことを。 いや……出来ることを。 ──最後まで、成したかった。 ▼ (-549) 2023/09/23(Sat) 8:51:46 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノすっかり冷えきった 牛のステーキが挟み込まれたロゼッタを一瞥する。 ここ最近ずっと、腹が減らなかったせいか、 まともな食事を取っていなかったんだが、 やはり食べる気にはなれないな。 君に押し付けるように渡してから、 仲が良い友人のように、肩を組もうとする。 その体が異様に熱いのは多分、君にも伝わる。 右手にだけ嵌めた黒手袋は、傷を隠すためだった。 「……いいよ、分かった。君の提案に乗ってやる。 彼女、様子がおかしいから気になっていたんだ。 俺の目に狂いはないようで安心したよ」 「罰が欲しいって訳じゃあないが、 彼女が動かざるを得ない状況になる方が 話がしやすくて、良さそうだしね」 座らせてやりたいってのは同意だ。 あの小さな体に背負う物を、 俺はきっと理解しきれないんだろうが、それでも。 囁くように潜めた声で君に告げながら、 男は、翠眼を細めて笑い返した。 リヴィオ・アリオストは嘘吐きだが、 その言葉たちに本音がない訳じゃあなかった。 ▼ (-550) 2023/09/23(Sat) 8:52:30 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ「…あぁ、しかしニコロはともかく、 アリーチェ君の名前が出た理由が分からないがまぁいいか」 彼女にも何か隠されているのか。 暴くには、どうにも時間も体も足りなさそうだ。 それに、ニコが彼女を白だと言った以上、 手を出そうとは、思わない。 君が肩を組むことを受け入れて、 その身を寄せられていたのなら、そっと離れて。 「…はは、君も 物好き だったか。俺を好きなんて変わっているよ、本当にね」 好きだとか、嫌いだとか。愛だとか、恋だとか。 真っ当な愛情を受けられなかった男には理解し難いものだ。 だけど悪くないなって思うのは多分、 未来を惜しいと感じてしまったからなんだろうな。 俺にはもう、今更だというのに。 「……全部終わったら、酒が飲みたい気分だ」 そう口にする男の表情は、リヴィオ・アリオストではなく、 君と友人になりたかった "リヴィオ"としての柔らかな笑顔が浮かんでいた。 (-551) 2023/09/23(Sat) 8:53:52 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ文字通り、食べられている気がする。 狼にとっては、気まぐれな猫くらい美味しい餌のような存在だろう。 体中についた噛み跡は、服をしっかり着込んでも、首筋からきっと見えてしまうだろう。 けれども、茹だった思考はそれを不味いと思うことができない。 貪るようなキスも考えを、思考を溶かしていく。 もう女のように喘ぐことしか出来ずに、きゅうきゅうとあなた自身を無意識に締め付けていく。 「あ、あ―――っ、ん、っあ」 男に子宮なんてものはないけれど。 勢いよく奥まで穿たれれば、自分の中にある奥の壁にこつん、と当たった気がして。 しがみつく手に力を込めて、苦し紛れにお返しと、あなたの肩口に軽く歯を立てた。 好いの言葉が耳に届いてくすぐるけれど、それに対する反応は、ない。 もう何も考えることなんて出来ない。 ただ、高みに導かれていくだけだ。 (-552) 2023/09/23(Sat) 9:02:49 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ「お前が持つんじゃない。 縋ってきたのを俺が引きずってやるんだ、間違えるな」 助けを求めるのはお前だ、と言わんばかりに。 「なんだ……可愛がられ慣れてないのか? もっと褒めて欲しかったのならたくさん言い聞かせてやろう。 ん〜……」 「阿呆に見えて、可愛らしい、それでも真っすぐな色男。 限界を勝手に決めて抱え込んで、潰れちまう前によお。 こうやってまた俺を捕まえるか、連絡して来い。 大体助けてやる。 俺はお前らの敵じゃない。味方とも言えんが。 ――俺はなあ、ちゃあんとお前のことも好きだぞニコロ」 疑っている、信じてもいない、それでもそこに好意はある。 だから助けてやるし、ただでさえ託された仲だ。 お前から消そうとしても何処までも追いかけてやる、と。 此方も貴方とはまた違う感情で簡単に逃がさないつもりでいた。 (-553) 2023/09/23(Sat) 9:04:02 |
【秘】 徒花 テオドロ → favorire アリーチェ「それは」 「命令をした側を撃てばいいと思う」 迷いなく答える。 実際そうなった時、迷いなくそうするとでも言いたげに。 「それで自分が死ぬならそれまでです。 やりたくないことをしてまで生きてたくもないし。 ……他人を持ち上げるでなく、自分を落とす、か」 心当たりは勿論ある。なかなか認められる話じゃないが。 己は人一倍自己肯定の気力に欠けてる、 そんな部分の自覚くらいは持っている。 「そう生きてきたのだろう。俺も、あんたも。 多分ニコだって。だから向き合ったところで、 すぐなんとかなる問題ではないんだと思う」 「今は……その分だけじゃない方の二人≠ェ、 持ち上げてやればそれで事足りるんじゃないですか」 兄貴分の相談はないが、 きっと彼だって。持ち上げる所に反対はするわけもない。 (-554) 2023/09/23(Sat) 9:10:06 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ「はいはい、そりゃ失礼しましたよ、っと。」 両手を上げて降参のポーズ。 確かに求めたのは自分だ。だからそこは否定しない。 けれど、続く言葉に表情が強張るのだった。 「助けてくれるのは凄く助かるし 敵じゃないってのも、ありがたいんだけどさ。 お前にべた褒めされたり好きって言われるとなんか なんかビビるんだけど。」 いつも女性を口説いているイメージが強いせいで どうにも貴方の誉め言葉は素直に受け取りづらいようだ。 けれど、その厚意はありがたくて。 礼を零しながらも、割と失礼な事を言うのは気を許しているから。 (-555) 2023/09/23(Sat) 9:12:48 |
【秘】 黒眼鏡 → favorire アリーチェ「ハハ、存分に調子に乗ってくれ。 あんたのそれは、得難いモンだな。 俺みてえなのは、そういうのがなんとも羨ましい。 あんたはやっぱり善い女だ」 からからと笑うだけ笑って。 ──短い儀式のような時間は、唐突に終わる。 「無関係の人間に時間を割くっていうのは、 俺にとっちゃそうそうできることじゃなくてね。 人は怨も憎も、愛すらも、 自分にとってどうかで判断するモンだ。 ――だから、助かった」 普段は墓に参るようなまともな人間ではない。 だから彼にとっては、そういう機会もしばらくはこないだろう。 ……なんて、少し殊勝な顔をしていたのだが、 あなたの言葉に眉を吊り上げると。 「あァ〜? …頼りないかどうか見せてやりゃあいいんだろうがッ!」 煽られるとヒートアップするタイプのチンピラだ。 その手をガっと掴むと、それだけにとどまらずに背中に手を回して、ひっこぬくように持ち上げ、抱きかかえた。 (-556) 2023/09/23(Sat) 9:19:18 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ「来るといいね、そんな未来」 君と同じような言葉を繰り返す。 変わらない笑顔で君と笑い合う。 そこだけはまるで、法が発表される前のようで、 "いつも通り"の二人のようだった。 男の机に置かれたフォカッチャは、 やはり満腹なのか手を出さないまま。 君のそれが欠けていくのを少し眺めて。 「そうだね、今は……同じくらいかな」 最近見た子犬がとても可愛くてね。 あの可愛さには流石に無敵も眩みかけたよ。 笑いながらそう付け足して、 傾げられた首に合わせるように首を傾ける。 それから「君は?」と問いかけて、 反応とその答えを待った。 (-557) 2023/09/23(Sat) 9:20:58 |
【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード「俺の生活には何一つ恥じ入ることがないから… ほら、筋肉も現役時代そのママ」 力こぶなんか出している。保健体育の授業がこの国にもあれば、赤点必死の生活をしているのに。 トレーニングにだけは精を出しているらしき男は、 あなたの心配になんだか嬉しそうにからからと笑う。 そして安心させるように、壁をカンカンと拳で叩き。 「ま、首尾よくここを出られたらまた珈琲でも奢ってやるわ。 おー、頼むぞ。 ウチの鍵は開いてると思うが、あいてなかったら…」 えーどうしよう、と拳が一度とまり。 「まぁいいや。ぶっ壊せ。修理費請求したりしねえから。 いいか、緊急時には魔法の鍵こそが必要な時がある」 あなたに良くないことばかり教える男は、 ガレージにある作業用の鉄オノの位置とかも教えた。 (-558) 2023/09/23(Sat) 9:23:04 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ「……オレも面会したい人ばっかだったんすけどね。 そいつがヤなやつって事は覚えましたよ」 下っ端の自分でさえ行く暇を見つけられなかったのだ。 貴方であれば猶更面会に行く時間は無かったのだろう。 願わくば牢の中の再会にならない事を祈るばかりだが。 「不謹慎極まってて面白いな……ぜってー炎上する」 「ま、馬鹿が死ぬのはめでたい事ですからね。 多分国民の祝日に制定されるからセーフか」 もしかしたら自分達以外にも こんな事を話している人間がいるのかしら。 このまま検挙が続けば、案外笑い事には ならなくなるのかもしれないな、なんて思った。 「大抵の事はやらせてもらいますよ。 大抵の事やってきたんすから、穴埋めにはなれます。 身は一つですけど。マルチタスクならできますからね。 指示出しは流石に立場的には無理すけど」 「オレがいなくなったらそれはそれで。 上に響かなけりゃ一番いいです」 任せてくださいよ、と缶を置いた。 そのまままたフライドポテトを数本纏めて口に入れる。 「ちゃんと現状維持に努めます。 最後までここに残れるようにはするんで…… 持ち堪えられたら帰って来た後褒めてください」 (-559) 2023/09/23(Sat) 9:25:35 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡/* お疲れ様です。今すごく眠いです。 牢屋トークありがとうございました。 運営にも一応確認取りましたが、アリソンの正体についての公表はロールの中でやって構わないとのことでしたが、そちらはいかがでしょうか。 大丈夫であれば最終日(エルヴィーノはこの日ほぼほぼ生存です)に、ロールでやってもいいなぁ……と思っています。 金を使って団体を作って……みたいなのは流石に一日では準備出来ないかなと思ったので、SNSを使って情報の拡散と、世論の先導で代用してみるのもいいかな、と。 エピに入ると法律が撤回されて釈放の流れになりますから、その前にやったほうが面白いのでは? と思ったものなのですが、いかがでしょうか。 お返事お待ちしております。 (-560) 2023/09/23(Sat) 9:28:06 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ教えがいが出るなら何よりだなって。 嬉しいを素直に形にしてもらえたことに、こちらの胸にも嬉しさがまたひとつ。 「じゃあオレだって内緒するし〜」 何の張り合いだろう。 でも、貴方に言えないことがあるのならそれでいいとも思っている。 その裏にあるものがなんだって変わらない。 きれいじゃなくても、あなたがだいすき。 合わさる視線の先にはきっと己と似た表情が。 通じ合っているみたいでしあわせだった。 「……すっごくチョコミント。 でも、うん、おいしい」 これまでに口にしたカクテルのどれよりも。 甘くて、おいしくて、忘れられそうにない。 ……ううん、忘れたくないのだと思った、ずっと。 [1/2] (-561) 2023/09/23(Sat) 9:29:36 |
【秘】 黒眼鏡 → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ/* 実際エンディング道中で他の人がどう突っ込んでくるかどうか次第なんですが、もしフリーな死を得た場合は一緒に死にます! (あんまり助かるつもりはないけど他の人のロール的干渉を無にはしたくない手つき) アレッサンドロも今ちゃくちゃくと脱出の手筈を整えていますので、素で釈放はされないかもだけどちょっと遅れてでてくることになると思います。 そのあたりはおまかせ!!!!します!!! ので、何卒よろしくお願いします。 ほか、なにか相談必要なことあったりしたら引き続いてお願いいたしますね。 パンツ定期便は何?(今は警察から貸し出されたものを履いています) (-562) 2023/09/23(Sat) 9:30:23 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ──そうやってもう少しの間、お酒を飲んだのち。 貴方の隣に出来上がっていたのは、どっぷり酔ったらしい弟の姿だった。 「……あはは、ねむた〜い……」 普段からそうお酒を嗜むことがない身体に、度数の高いお酒を入れ続けていたらまあこうもなる。 触るのが苦手、とはいっていたが、元々そうでなければくっついているのが好きなのだろう。 ずっともたれかかったままだ。むにい。 「ねていい〜?」 赤らんだ頬に、浮かべる笑みはへにゃへにゃと蕩けたもの。 そんな状態で貴方を見上げ、首を傾げてたぶんだめそうなことを尋ねた。 [2/2] (-563) 2023/09/23(Sat) 9:30:31 |
【念】 口に金貨を ルチアーノ自分の予想は大体合っていて間違っていた。 それでも、 どちらでもいいだろう 、とした部分が結局丁度良くはまったので、都合よく利用させてもらった。 果たして 無実の人間 を牢に入れた事実を友人達は許してくれるだろうか。「――なるほどなあ。あの馬鹿が結局……。 やはり体が足りん……手回しも足りん。後で部下に書き直した送らんと」 誰かの背を追いながら男は一人ではない夜道を歩く。 「結局お嬢さんには会えんかったか」 「すまんな。本当の 裏切り者 はこの俺だ」 (!11) 2023/09/23(Sat) 9:30:57 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ「勝手なこと言って」 頼んでもないワインとカルパッチョを見て、深々と息をつく。 朝はともかく夜は食べようと思えば食べれないことはない。 カルパッチョくらいの量なら、まぁ、なんとか。 ただ、寝るために深酒をしているだけなものだから。 「……はぁ、今夜は薬を飲むしかないかな……」 薬はあんまり好きではない。 力ずくで強制的に意識が途切れてしまうから。 それでも明日にはやらねばならない仕事もあるなら、鋭気は確かに養っておくべきなのは本当で。 男は、眉を下げてぱくり、とカルパッチョを一枚口に放り込んだ。 その日はいつもよりも随分少なめに酒を終わらせて、静かに帰路についたことだろう。 (-564) 2023/09/23(Sat) 9:43:37 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレわざと音をたて、零れだす愛液を啜る。 太腿に爪をたてるよう、かりかりと刺激し、抓り、優しく摩る。 舌先で、肌で、音と感触。 すべてで情欲と快感を彩って、それでも無理矢理にではなく 体の奥底から誘うように押し上げる。 「………、……」 ──そうして、腕の中で痙攣し跳ねる肢体を、 かき抱くように抱きしめて。 「………はー、………」 あなたの体を、その曲線を確かめるようにゆるゆると撫でて。 …屹立した自分自身をばつが悪そうに、 どうしたもんかと首をかしげて。 「フィオ」 どうしてほしい、とは言外に。 脱力した体をくいと抱き寄せ、自分の腰やら膝に凭れかからせると。 あなたの眼前に、血液と昂奮でぱんぱんに張り詰めた性器を突きつけた。 (-565) 2023/09/23(Sat) 9:50:37 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ指先のエナメルを眺めた。 傷がまた、ひとつ増えている。 左手小指のエナメルは約束の証だ。 だからどれだけ傷がついても、女は剥がしたりしない。 「……今度こそ」 どっちつかずの蝙蝠が、どちらの居場所も認められるなんて間違ってる。 …犯した罪は消えやしないのだから、その分くらい、憎んでもらわないと。 /* お疲れ様です。おさとうかえでです。 重ねまして、情報屋ロッシありがとうございました! discordにて先にお伝えしておりましたが、本日の襲撃対象は アリーチェさん よろしくお願いします! (-566) 2023/09/23(Sat) 9:54:52 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ笑っている。 こわい。 愉しんでいる。 こわい。 声にはまだ優しさと暖かさが残っているようにも思えるから。 だからもっと、こわかった。 そうして、指先が。 「ほんとに、し、らな、」 「ん」 肯定の意は最後の一音まで紡がれずに。 ふれる、唇にやわらかな、 「……?、??」 まるでその刹那だけ痛みを忘れたみたいに。 大きな瞳を丸くさせて、呆けた表情で貴方を見つめ。 何をされたのか分からない、そんな目をして。 けれど。 すぐ、理解する。 ──くちづけ、だ。 [1/2] (-567) 2023/09/23(Sat) 10:01:08 |
ニーノは、家族以外に触れられることが、こわい。 (c26) 2023/09/23(Sat) 10:01:44 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ「…………ぁ、」 理解したと同時に、青褪めてゆく。 ちいさなころ、なんども、なんども。 身体があついのに奥底がつめたい。 いやだった、きもちわるかった。 「ゃ……だ、ゃ……っ」 声は幼子が駄々を捏ねるそれとおなじだ。 引き剥がすために動かそうと、意識した手には未だペン先が突き刺さったまま。 あつい痛みを脳が再度知覚し始めればまた涙が溢れる。 だって、こんなのなおさら、わけがわからない。 「な、ん……で…………?」 ──どうして今、 そんなこと ができる?わからない、貴方のことがなんにもわからない。 鼓動が煩いのが痛みのせいなのか、恐怖のせいなのか。 或いはそのどちらもか。 " たすけて "と、音も無く唇が動いた。[2/2] (-568) 2023/09/23(Sat) 10:04:26 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「えー。いいなあ。」 「あたし、犬の方はまだ会ってなくてえ。」 最後の欠片も、ぱくり。 咀嚼し飲み込むと、また水を1口、流し込む。 「でも猫は、触りましたあ。」 「…ぐーぜんですけどお。」 猫カフェも調べてたのになあ。 そうからころ笑って。 どっちが好きかは、犬も触ってから決めまあすなんて。 指先をナプキンで拭いて手を合わせる。 「ごちそうさまでしたあ。」 「ふふ。結局リヴィオさん、食べませんでしたねえ。」 (-569) 2023/09/23(Sat) 10:06:20 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ「まぁ、出てきたっちゃ出てきた」 ──夢について僅かなりと語るのは珍しい。 「喧嘩な……」 掌をぎゅう、と握って、離して。 「しなくちゃならない喧嘩ってのはある。それをいつでもできるように、ちゃんと鍛えるワケだ」 「それはそれとしてトレーニングは嫌いじゃない。 自分にとって信じられる体を維持するのは、俺にとっては人生みてえなもんだから」 ははは、と軽く笑う。――口許だけ。 その目はぐらぐらと、どこか遠くを見て。 はるか先を見通しながら、その炉に炭をくべ続けている。 牢屋の中で座り込んだまま、 アレッサンドロ=ルカーニオは、どこかへ向けて進み続けている。今も。 「まあ、そういう法だ。捕まっちまったもんはしょうがない。 出てきたあとと――……今のケアをちゃんとしてやれ。頼むぜほんと」 念を押すように頼んで、あなたが頷けば安心したように息を吐いて。 「頼むぜ、泥棒サン。あ、車は危ないから触んなよ〜」 「食べ物は…あ、パン。ホットドッグ用のパン、買ったバッカで放置してんだ。 なんとかしといてくれ、あれ。珈琲は好きにしろ、あんなん誰でも入れられるから。それとだな――……」 ちゃかちゃかとあれこれ、残した食材やらの指示をする。 …どうしてプレーンのパンだけを業務用みたいな規模で仕入れるのだろうか? (-570) 2023/09/23(Sat) 10:08:47 |
【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ「ハハハ、悪い悪い。 喧嘩の時は周りが見えなくなる性質でな」 結局改善されなかった悪癖を、未だに恥じるそぶりもない。 自分が"そう"なのだから致し方ないと、 アレッサンドロは悔やんでもしょうがないことは悔やまない。 むしろ、そのことを誇りに思っているフシすらあった。 「おめー、ヴィトとそんな仲良かったっけ?」 きょとんとした顔。 「マ、罪がどうだろうがあいつはもうダメだろうな。 部下には命令しといたが、サテ何人聞くことか。 ったく、仕事増やしやがって」 ──ぼやくようだけど、なんとも楽しそうな顔にしかそれは見えない。 罪の内容だとかに興味を示す様子が一切ないのは、 彼の中ではもう"どうするか"が決まっているからだろう。 (1/2) (-571) 2023/09/23(Sat) 10:20:24 |
【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ「いつも世話になるな」 溜息をつくあなたを見て。 こうして誰かに"頼る"時、 アレッサンドロは一番、嬉しそうに笑う。 「今回の喧嘩は、いっとう相手がデカいからな。 迷惑も文句も出るだろう。 なあルチアーノ」 今から忙しいぞ〜、なんて。 ──鼻歌すら歌いそうな調子で。 「楽しみだなあ」 ――ただそれは、昔ほどには楽しそうではない。 ──どこか、寂しそうな顔だった。 (2/2) (-572) 2023/09/23(Sat) 10:22:48 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ「おや、まだ会えていなかったか。 ……それじゃあ」 「それじゃあ、今度一緒に犬カフェに行こうか」 犬カフェ、君とならきっと楽しいから。 リヴィオ・アリオストは落ち着いたら行こうと、 未来の話を君にする。 それから、手を合わせる君に頷いて。 「はは、君との話に夢中になってつい、ね。 どうせまだまだ業務は残っているし、 きっとお腹も空くだろう。後で食べるよ」 元々君にと買ってきたものだが。 分け合うってのも素敵なものだ。 このままいただいていくとしよう。 (-573) 2023/09/23(Sat) 10:23:31 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレグイと引き寄せられた先、 頬に感じた感触に目を細めて「ハハ!」と笑った。 かわいい犬にじゃれつかれたみたいな気分になったからだ。 「いいよ。あんたが知りたい事、なんでも」 「オレが教えられるのにも限度があるけど…… あんた、どこでどうやって殺したい?」 希望があればそれを聞こう。 それに沿った事を教えるのがいい。 直属でなくともファミリーなのだから、 そのくらいの事は喜んで教えよう。 「いいね。そういう人間は好きだ。 正義だ悪だ言ってる奴は皆病気だからな」 機嫌が良さそうにそう言って、 残ったボンボローニを口に運ぶ。 どんな色の花が咲くのかが楽しみだ。 花は咲き続けるのか、それとも──咲かずに終わるのか。 「ま、まずは奴さんがムショから出てくれねえとな。 牢屋の中の人間をやるにゃ骨が折れる」 (-574) 2023/09/23(Sat) 10:27:07 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ「着ぐるみ作って?全世界チェーン展開……?」 いつぞや貴方に言ったように、今はまだそれを実行に移すことはない。 本当にしようとした時に挫折や苦しみを知ったとして、貴方が隣にいてくれるなら、怖いことなんて半分くらいに減るだろう。 男はそう思った。 「へへ、そんなに褒めても……何か出るかな…… うーん、なにもない……」 ごそごそとポケットを漁るが端末しか出てこなかった。チョコの一粒でも残っていればなあ、と残念そうな顔をする。 男はずっと、ある意味では祈り続けているのだろう。 仲間の眠りが安らかであり、食事がきちんと取れているか周りの人間から気にかけられ、心から愛されているように、ずっと。 貴方たちが幸せでありますように。 「やった。 じゃあ、ロメオさんも捕まったりとか…… どこかに行っちゃったりとか、ダメですからね」 祈りが天に届くだとか、そういったことは深く考えていないのだろう。 神様は助けてくれなかったから、祈り続けていればいつか人が動いて現実になる。 その『人』に自分がなれるなら一番いい。 (-575) 2023/09/23(Sat) 10:28:50 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ/* 牢屋トークありがとうございました、ポップコーンです! 修得した情報はエルヴィーノさんのリソースですので、ご自由にしていただいて構いません。 こちらがやること自体はあんまり変わらないので、その辺りのロールに応じて適度に合わせていきますね。 以上、何卒宜しくお願いします! (-576) 2023/09/23(Sat) 10:30:50 |
【念】 傷入りのネイル ダニエラひと回りほど小さくなったアジトのデスク。 7色の缶の紅茶アソート。 薄紅色のバスボム。 ライムグリーンのウィッグのテディベア。 ブーゲンビリアの花束。 そして冷蔵庫の中には、少しお高めのチョコレート。 部屋の片隅に、大きなボストンバッグとスーツケース。 鞄の中には、15mlの小瓶が複数と、脱脂綿にオイル。 この部屋にある、女の私物はそれだけだった。 女の自室とまた別の意味で、生活感のない部屋だった。 けれど変わらず、その部屋の明かりが消えることはない。 帰ってくる時女は、誰もいないその部屋に必ず、「ただいま」といった。 (!12) 2023/09/23(Sat) 10:33:23 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「なーにをナイショにすんだよ」 そんなもんあんのか、と肘で小突いた。 あったとしても責める気は無いし、聞き出す気も無いけど。 人に触れられたくない部分があるのは、 当たり前だと思っているから。 爽やかで、まったりとして、甘やかで。 たまにはこういう時間も悪くないと思った。 『幸せ』に後ろ指を指されている。 お前にそんな資格はないと。早く孤独を思い出せと。 今はその声を、無視することにした。 ▷ (-577) 2023/09/23(Sat) 10:36:08 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「よくないで〜〜す……」 どうしようかな、と思っていた。 自分は酒は飲むが、一定のラインを超えると逆に酔わない方だった。酔い方に波が無い。少しふわふわする程度に留まる。 「お前、そんな酔い方するんだ……」 「ここで寝ないよ。帰るか、フレッド」 てろてろな貴方をよっこいせと剥がせば、 きっと酒のせいでより体温が高くなっているのだろう。 子供か、なんて胸中独り言ち。 「立てる? なんならおぶるか?」 「家行けっかな……オレんちでいいか……」 お泊り会は案外早く来るかもしれない。 (-578) 2023/09/23(Sat) 10:36:36 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡「その『転んだ』傷が治るまでは禁止です、禁止! 筋肉にも泣いてもらいますからね」 いったい何を禁止されるのだろう。おそらく筋トレや負荷のかかる行為全般を指している。 先ほどまでの暗い顔をさっぱり忘れてお節介なお説教をする姿は怒っている風な顔を装っている。 「珈琲、楽しみにしてます。 ……開いてることを祈ってますよ」 それでも、もし緊急避難用の魔法の鍵を使うなら夜がいいだろうな。 電動バイクも借りっぱなしだから使わせてもらおう。 それから、ふと。 「そういえば、これも……ですか?」 途中で言葉を切り、人差し指をたてて口に当てる。 条件はジェラート屋の時と同じ。運ぶことだけを指すのか、誰にも言うな、というところまで同じなのか。念のための確認だ。 (-579) 2023/09/23(Sat) 10:42:56 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ名前が幾度も呼ばれている。 鉄格子越しに貴方の姿が見える気がする。 声が聞きたいと、姿が見たいと願うばかりに見ている夢か。 だとしてそれでもよかったから。 近づこうとした。そのために立ち上がろうとした。 熱が収まらないから足に力が入らなかった。ならば這い寄ろうとした。 手錠に繋がれた両手を地面について、そのまま。 ──ズキリ。 「ぃッ」 刹那走る痛みに声を詰まらせて身体を折る。 情けなく地に一度伏せ、それでもと求める場所へ寄ろうとする。 もう少し光の届く場所へ、その体躯が辿り着いたなら貴方にも見えるだろうか。 薄汚れてはいるが酷い外傷はあまりない──ひとつを除いて。 右手の甲が腫れ上がり、 ちいさな穴が開いている 。その腫れ方から骨が割れているのだと、人より傷を見たことがある貴方なら理解できるだろうか。 「……ねえ、さ、ん」 [1/2] (-580) 2023/09/23(Sat) 10:50:48 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ──会いたかった、会いたかったな。 貴方を見上げた。泣きじゃくり続け濡れた瞳で。 ──ずっと考えてたんだ、オレの悪いこと。 今のこの状況を、迎えるに相応しい己の悪事はなんだろうと。 熱に浮かされ朦朧とした頭で考え続けたらいくつか出てきた。 そのひとつをだから、貴方に会ったら、言おうとして。 「……ご、めんな、さい」 これが今までの罰だとするなら、ほら、帳尻が合うだろう。 「ごめん、なさい」 思い出す。 この世の掃き溜めの隅。 だれもいない場所で歩けなくなった日のこと。 目が覚めたら暖かなベッドの上にいたこと。 ──連れ出された新たな場所には、あなたがいなかったこと。 「オ、レだけ、ひろわれて、ごっ、めんなさ、ぃ……」 燻る罪悪感は今になってその重さに耐えきれなくなったように。 頭を垂れた、許しが欲しいんじゃなかった、ただどうしても謝りたかった。 壊れた涙腺がまたはたはたと涙を零したけれど、もうそれもよくわからなかった。 [2/2] (-581) 2023/09/23(Sat) 10:52:34 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード「名がデカくなるな……」 今はもしも話でいい。 逃げずに現状維持ができるのが一番なのだ。 今が一番いい。ロメオはそう思っているのだから。 けどまあ、慰安旅行くらいなら現実的かもな。 「良いよ出さなくて。ハハ……」 案外、ロメオは祈りに護られているのかもしれなかった。 穏やかな願いがヴェールになっているのかもしれなかった。 祈りのそれだけで、十分幸せに値する。 贅沢だ。 「……そんなつもり無いよ。必要がなけりゃね」 「オレは替わりが利くけれど、 それはオレが消えていい理由とイコールにはならない。 しっかりしがみついて、皆の言うこと聞いてるよ」 使い捨ての駒にされても構わないけれど、 そうされなければいいな、と思っている。 貴方も、自分も。 「捕まっても帰って来るよ」「オレはしぶといからね」 (-582) 2023/09/23(Sat) 10:54:08 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 渡りに船 ロメオ「……、っ……」 やけに、わざとらしいな。本当に"あいつ"みたいじゃないか。 幻のように付き纏う幻影をよりくっきりさせたような、否、違う熱で上書きするその手に背筋が震えた。 大人しく撫でられていた男は思わず貴方の腕をつかんで、そのまま動きを止める。 「……人を甘やかす天才だなあ、お前。 何が目的だ、俺を放っておけないのは俺が病人だからか。 さっさと食うものを食って、治ったらもう構わんな?」 流されそうになる、この体に染みついた"教え"がその手に媚びることを覚えている。 表に出すまいと隠し通していた失態をあんなふうに晒すとは思わなかった。 その上で何の反応も示さないどころか、願い通りに甘やかしてくるこいつはいったい何なんだ。 もっと、と次を求めるような乾きがのどまで出かかった。 まるで大事にされていると錯覚しそうになって。 どうせ置いていくくせにと、いつかの己が心の中で叫んでいた。 まったく女々しいったらありゃしない、そんな他人行儀と不信を隣人に抱え理性は保っている。 (-583) 2023/09/23(Sat) 10:59:07 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ「なんで……」 なんでではない。 剥がされると中々に不満そうだった。 勿論回るアルコールのせいで体温はさらに高くなってしまっている。 冬のカイロにちょうどいいぐらいだろう。 「たて、ぅ」 それでもできる?を尋ねられると、できる!を言いたくなるのが子どもというものだ。 立ち上がろうとして……当然のようによろめいて。 目の前で貴方が見てくれていたので、多分支えてもらったりしていたのかもしれない。 「……たててる……」 だめそう。 やっぱりお泊り会は案外早く来るかもしれない。 (-584) 2023/09/23(Sat) 11:05:57 |
【墓】 黒眼鏡アレッサンドロ・ルカーニオ。 裏社会での通称を"黒眼鏡"という男が率いるのは、 ノッテ・ファミリーの活動において、主に物流を取り仕切る部門である。 彼らは密輸や禁制品の販売、人、物──場所を動かすだけで金が発生するもの。 そのほぼ全てに関わり、あるいは自らで全てを賄い動かしていた。 特にアレッサンドロの支配力が強いのは、多くの港湾設備を擁する三日月島周辺。 当然ながら海運業が強く発達したヴェスペッラにおいて、 彼らはいつしか──少なくとも、先代のカポ・レジームの時代には既に――"港"と呼ばれるようになっていた。 元ソルジャーらしさ、というのか。 規律と不正にひどくうるさいアレッサンドロの剛柔組み合わせた監視の下で、 "港"は強く統制されファミリーの地盤を固めるための一角を担っていた。 アレッサンドロ曰く、 「あって当たり前の仕事でミスるとリスクがデカい」 「需要が常にある以上、こちらからリスクを取るより顧客を依存させたほうが稼げる」。 商品がなんであれば、物流とはまるで生物の血管のごとく、 常に物を動かし続けることこそ最大の利益を生む。 そういった理念の下、"港"はそれが非合法的性格を多分に含むことを除けば ごくまっとうで理想的なビジネスのように運用されていた。 (+4) 2023/09/23(Sat) 11:06:02 |
【墓】 黒眼鏡だがそれはあくまで、アレッサンドロ・ルカーニオの影響だ。 従わないもの、自らの運営方針にそぐわないものに 直接的な脅迫、あるいは暴力をためらいなく行使し、 従うものにはポケット・マネーからの恩賞を躊躇わない。 それが正しいかはともかく、部下にとって「従うことにメリットがあり、従わないことにデメリットがある」ことのみを徹底的に叩き込んだ彼の下であるからこそ、そのシステムは正常に機能していた。 それゆえ、アレッサンドロ・ルカーニオが逮捕されてからの"港"の人員たちの反応は、大きく別れた。 一つは、システムを維持する者たち。 全体の六割を占めるこのメンバーは、思惑はどうあれ数日前と同じことを行い、数日先も同じことを行った。 これが長期化するならばともかく、多少のトラブルで今までうまく行っていたやり方を変える必要はない、と思ったのだ。 勿論中にはアレッサンドロのシステムこそが心地よいと感じるものもいたし、 あるいは「気を抜いた途端に黒眼鏡が戻ってくるのではないか」とバグベアに向けるような怖がり方をした者もいるが、 とにかく当面の間大きな動きをすることもないし、する必要もない者たちだ。 それは実に合理的な判断に思えたし、それこそが自然であると信じる者も多かった。 (+5) 2023/09/23(Sat) 11:08:08 |
【墓】 黒眼鏡一つは、これを機であると動き出す者たち。 アレッサンドロは部下たちに十分な利益還元を行っていたが、 十分なんてものはない。 逮捕の報をきいて早速自らの利益を拡大しようと、種々様々な活動が行われた。 そしてそれがうまくいくかどうかは置いておいて、アレッサンドロは"港"が自分の指揮下から外れた際、こういった活動を咎めるような仕組みまでは構築していなかった。 彼のことをよく知る部下曰く、「好きにやるならそれはそれでいいと思っていたのでは」──などというが、果たしてどうだろうか。 元々がマフィアという、法とは利益をどうやって味わうかのドレッシングに過ぎないと思っているような連中だ。 これらの数もそれなりに多く、後にファミリーが調べたところによれば全体の三割がこういった"独立"にいそしんでいたという。 そして残った、全体の一割程。 彼らは一見普段通りに業務を進めていたが、ときたま妙な振る舞いをしていた。 普段入らない場所に入り、普段しないことをする。 それはほんの少しだけ、ちょっとだけ足を延ばす程度のことで、 けれどそれをする意味も必要もないことだった。 それを見とがめられるものもいたが、「アレッサンドロからの指示で」と言えば大抵の場合は見逃される。 そしてそれは、別段長く続くものではない――ほんの少し、たとえば荷物を運ぶだけ。 そのことに気が付くものが、はたしてどれほどいただろうか? いたとして、それが何を意味するのか、組み立てられるものはいるだろうか。 多くの者は、「アレッサンドロが釈放されれば分かるだろう」と気に留めることもなかったが。 (+6) 2023/09/23(Sat) 11:08:33 |
【墓】 黒眼鏡──とにかく。 総合すれば、"港"は七割が普段通り。つまりはビジネスにおいて影響は無視できない程度ではあるものの、これまで通りに営業を続けていた。 ヴェスペッラの海には今日も、静かに白と青が揺蕩い踊っている。 三日月島の朝焼けはあの日も今日も、変わらずに美しい。 (+7) 2023/09/23(Sat) 11:09:23 |
【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィードエー、なんて不満の声が格子の向こうからっ越えてくる。 「こんなん直ぐ治るって〜」 …実際に負傷や外傷には強いタイプの男ではあるが、どうだろうか。 たのむよ〜、なんてわめく姿は、年を食っただけの子供のようだ。 筋肉くんも泣いている。 「おう、とっておきのブレンドを作ったんだ。 …しょーじきどう違うのか俺にもよくわからんが、 楽しみにしてろよな」 開いてる開いてる、と語るその言葉は無責任。 無責任かつ信頼感溢れる放り投げをしつつも、 人差し指を一本立てて。 「サプライズだ。 頼むぜ」 に、と笑った。 「そうだ、あのジェラート屋開いてるときに行ったか? イチゴがオススメ。美味いぞ」 …ジェラートが似合うようで似合わない男は、能天気に言ってくる。 仕事の話は終わりということだろうか。 (-585) 2023/09/23(Sat) 11:14:43 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「ええー。いいんですかあ?」 間延びした口調のまま、そのトーンだけが微かに持ち上がる。 嬉しそうに女はへらりと笑った。 この笑顔は決して嘘ではなかった。 「んー。そおですかあ?」 「お疲れ様ですねえ…。あ」 思い出した、とでもさも言いたげに立ち上がる。 懐には2つの小物。 犬の小さなヘアクリップと、銀色の大人びたヘアピン。 犬のヘアクリップはごく普通の購入品。 だがヘアピンの方には仕込みがされている。 「リヴィオさあん。」 「ちょおっと、じっとしててくださいねえ」 あなたに近寄り、手を伸ばす。 女にはあなたを調べねばならない理由が2つあった。 だから、迷う必要なんてどこにもない。 そうして、ふたつの中からひとつ。 女はその手の中に、選び取る。 (-586) 2023/09/23(Sat) 11:16:02 |
ダニエラは、ふたつの中から、犬を選んだ。 (a23) 2023/09/23(Sat) 11:16:18 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ…そうしてそれを、あなたの前髪に。丁寧に。 「ふふー。お手伝い、でえす。」 「…本当に、お忙しそうですからあ。」 満足げに、微笑みかける。 そしてあなたから離れる刹那、衣服のポケットへ銀のヘアピンを滑り落とした。 それまでの人生、受け取ってばかりだった女は、 あなたが贈り物のヘアピンを大事にしてくれるのが本当に嬉しかった。 …だからこそ、この銀のヘアピンをあなたへの贈り物にはしたくなかった。 今までの贈り物と、同列にしたくなかったのだ。 (-587) 2023/09/23(Sat) 11:17:03 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 暗雲の陰に ニーノほら、寄ってきてくれる。 いつもみたいに、明るい笑顔で。 笑顔、で。 ────何が起きているのか、すぐには理解できなかった。 涙に濡れた顔が痛みに歪んだことも。 熱に浮かされたような表情も。 腫れ上がった右手も。 なんで、と。ただ声がこぼれ落ちた。 「何、言ってるの」 謝らないでよ、と声が上擦った。 あなたが暖かい場所で拾われたこと、スラムで過ごしていた時よりもずっと肉付きもよくなって。安定した生活が送れていたこと。 全て、自分のことのように嬉しかったのだ。 自分が拾われなかったことを、恨んだことなんて一度もない。だから。 「謝らないでよ…っ、フレッドに謝ってもらうことなんて一つもない…!」 笑って安心させてあげなきゃいけないのに、涙があふれて床を濡らしていく。 (-588) 2023/09/23(Sat) 11:17:27 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 路地の花 フィオレ/* 突然、PL連絡にて失礼いたします。 四日目時空にてロールを送りたいのですが、三日目の秘話はあちらで〆になってよろしいでしょうか? 返し忘れかはたまた終わりかを見極められず連絡させていただきました。お忙しい所すみません! (-589) 2023/09/23(Sat) 11:19:46 |
【秘】 徒花 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ「あんたは謝罪をくれておいて、 こちらからのは受け取らないつもりですか?」 言葉面はどれだけ普段の嫌味ったらしい言い方でも、 表情は、仕草はやはり穏やかなもののまま。 「でも、……実際、他人ができたことって少ないんでしょうね。今の周りのことについても、俺と、あんたの自分の事についても。 だから俺が謝ることがあるとしたら、エルヴィーノの身が心がどうとかではなく」 「いくら本当に無理なく背負えるからって、 他人を頼らず踏み込まず、一人で歩きすぎたことです」 理由や因縁、辿ってきた道は違うのだろうけど。 そうして至った他者を救う、自分を守るための考えはどうしても似たような歪みばかりがあって、それだけは正されるべきだった。 「俺は……こんな皮肉屋な自分を、 今更消し去るようなことはもうできないでしょう。 あんただって、生活がすぐ治ったりするわけじゃない」 「だから、それでも歩み寄らなきゃいけない。 ……一つの側面だけで物事を判断してはならないために」 それが出来なかった結果が、今の外の惨状だ。 「すみません」 「やはり、もっと早く気付くべきだった」 (-590) 2023/09/23(Sat) 11:20:40 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ「、ん?」 腕を止められた。抗議の意か。やはり気に食わなかったろうか。 貴方の心中を察する術はない。 それでも表情は変えずに、あなたを見下ろしている。 「あんたを放っておけないのは……なんででしょうね。 あんたにどっか行ってほしくないからかな……」 「食うもん食って元気になるならそれがいいです。 体調もきっと悪いでしょう。回復してくれないと」 貴方に抱いている仲間としての深い情。 「オレの目的はオレに無いですから。 あんたの望みがオレの目的。 オレはあんたのいいようにしたい」 それから、道具としての本能。 「ここにはオレとあんたしかいませんよ」 「別に、見栄張らないでいいんです」 ゆっくりと、緩慢に首を傾げた。 「ね」 だから求められれば求められるだけ与える。 こちらに際限は元より無い。度外視されている。 掴まれた腕も従順に、そのまま動きを止めたまま。 (-591) 2023/09/23(Sat) 11:30:58 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 口に金貨を ルチアーノ/*あ!すみませんご連絡ありがとうございます…! 返したつもりでおりましたが確認したら返せていなかったので、後ほど〆の秘話送らせていただきます!申し訳ないです…! 夜まであまり動けないのですが、並行で4日目時空送っていただいて大丈夫です。 お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします…! (-592) 2023/09/23(Sat) 11:31:19 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 傷入りのネイル ダニエラ「……。あーもうほんとびっくりした。 俺のお姫様はおてんばな事で…… いっそ王子様って呼んだ方がいいかもしれん……」 いや、その座は譲る気ないけど、とも思うが。 ともかく、軽口を叩くほどの時間はなさそうだから。 『お兄さん』の事も気になりはするけれど。 「……おいおい、あそこに踏み込まれたんだぜ?危ない……」 そこまで言って、かぶりを振る。この子は、子供じゃない。 隣に立つ相手。唯一、信を置くその人だから。息を吸い込む。 (-593) 2023/09/23(Sat) 11:38:38 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 無敵の リヴィオ「先輩」 その日の夕暮れ時。 そろそろ日勤の者たちの職務時間が終わりを告げるころ。 署内のどこかであなたの姿をみつけて声をかけた。 「……少し、協力してほしいことがあるんですが」 警察内でも誰が信用できるのかわからない今、相談できるのはあなたくらいしかいない。 (-594) 2023/09/23(Sat) 11:38:57 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「おっと」「いや……立ててないですケド……」 よろめいた所を咄嗟に支えて、 やれやれとため息まじりに笑った。 マスターに退店を伝えて会計を済ませる。 その最中も貴方を支えていた。 「……ほら。おんぶ」 まるで子供にするみたいに、 貴方を立たせてから貴方に背を向けて少し屈む。 腕を伸ばしてくれるなら、そのままおぶり上げるだろう。 「帰ろ。帰りは寝てていいから」 呼ぶならタクシーも呼べるのにそうしないのは、 自分もやってみたかったからだ。 今なら人通りも少ないし、見られることもないだろう。 (-595) 2023/09/23(Sat) 11:39:30 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 傷入りのネイル ダニエラ「……連中も色々探ったろうが無茶は出来ないと思う手間のかかる大型の備品は運び出してないはずだベッドまだ買い替えてなくてよかったよ『あのベッド』のマットレスを外してスプリングの中から緑色の部品を全部抜いてくれそしたら頭側にある収納に幾らか道具が落ちるからそれを組み立てて使ってくれ番号のシールが貼ってある」 一息に伝える。それが、あなたに渡せる唯一の仕事道具。 誰も信用していないカンターミネが、 万が一、億が一に備えて用意した最後の"武器"だ。 「フェイクの部品も入ってるから、番号を間違えるなよ。 正しい組み合わせはフィボナッチ数列の順だからな。 起動すれば後は5番の部品を捻って、 チャンネルを合わせればいい。 34番と、55番がそれぞれ送信機と受信機。 13番が録音機だ。全部本体のスイッチ一つで起動する」 なるべく簡素に、必要な情報は確実に渡す。 後は、あなたに全てを任せて、女は息を吐く。 「……もし、万一……本当に万一、エリーが捕まったら。 全部俺が指示したって言ってくれ。俺に脅されてたって。 昔馴染なのを利用して、無理矢理やらされたって」 実際、それに近しい事をするんだから。 自分の道具を渡して危険な橋を渡らせるんだから。 これくらいのリスクは、せめて背負わせてほしかった。 (-596) 2023/09/23(Sat) 11:39:55 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡/* 了解しました。では最終日になりましたら、その時間軸に白で広めようと思います、よろしくお願いします! あまりこういう事を魅せるロールは上手くはないので……乗っていただけたら嬉しいです。 (-597) 2023/09/23(Sat) 11:41:02 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → マスター エリカこれは、泡沫の夢。 僕はまた、ここでいつかの情報屋と出会う。 残る質問は、2つ。 すべてを上手く運ぶなら、何を聞くべきだろうか。 「やぁ、また会ったね」 「うん、勿論質問があってここに来たんだけど……」 「僕の先輩リヴィオと、幼馴染ルチアーノ。 彼らがやっていることをね、知りたいんだ」 勿論、僕は彼らのことを信じてるんだけれども。 絶対に成功させなきゃいけないことがあるからと、そう静かに告げた。 (-598) 2023/09/23(Sat) 12:07:37 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ「有名になりすぎてバレちゃうかも……」 そうしたらまた逃げる。皆で。 ……そんな夢のような御伽噺が現実になることはない。 皆でこの場所を守るのだと、少なくとも今この二人は信じているから。 おせっかいの心配性、寂しがりやの男はきっと、何かできることがないかと思案を巡らせている。 そんな想いがまた積み重なり、貴方を守る祈りになればいい。 「役割としての代用はきいても、 ロメオさんの代わりはいないってことですよ。 ここめちゃくちゃ大事ですから、分かってくださいね」 念のため、念のため。 弟さんが泣くかもしれない。俺だって泣く。 「俺はその分、頑張って捕まらないように逃げますから。 ……約束、ですよ」 きゅ、と目尻を下げて笑った。 (-599) 2023/09/23(Sat) 12:10:31 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ「やあだ、王子様はあ、ミネだもん ん 」そう口を尖らせたのも一瞬のこと。 すぐに和やかににこりと笑った。 ありがとう。信じてくれて。 その言葉だって本当は嬉しいんだ。 でもただ守られるだけのお姫様では、やっぱりいたくなんてなかった。 立てた指が曲がる。1本、2本。 その間あなたの言葉を1字1句忘れることなく聞いた女は、密やかな吐息をまたひとつ落とした。 「…うん。ありがとお、ミネ。」 「でもお、あたしは優秀だからあ。そんなことにはならないよお。」 「…ふふ。見ててよねえ。」 そう嘯いたのだって、もしかしたら強がりかもしれない。 それだってあなたにはわかるはず。だって女は、笑っていたわけだし。 「『マリーゴールド』の子にも、伝えときまあす。」 けれどからかうように、あなたのお転婆姫はいう。 茶化して笑って、ゆるりと変わらないあのモーテルでのことみたいに。 指が、あと1本。 反対の指先を冷たい格子に滑らせて、その向こうに薄い微笑みを向ける。 …本当に、あっという間なのだ。最後の指も、次第に折られるだろう。 (-600) 2023/09/23(Sat) 12:12:36 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 徒花 テオドロ「そういうつもりじゃなかったけど……」 小さい、苦笑。 「そうだね。 僕らはお互い、踏み込まない事を良しとして付き合ってきたから……。 仲良くなれば、キミ達になにかあって、何処かに居なくなってしまうと思ってたのかも」 認めたくなかった。 大事な友人だと認めれば、こうやって不幸が訪れて、どこか、手の届かないところに行かれてしまうと思っていたから。 初恋の少女や、幼馴染みたいに。 最後は住む世界が別れてしまうと。 状況が尚も悪くなれば、二度と会うことが出来ないのではないかと、そう思って。 「皮肉を言い合うのは楽しかったけど。 まぁでも……視野を広くするのは良いことだ。悪いことだって避けていけるしね」 紡がれた謝罪を、今度は素直に受け入れる。 胸の内を明かしたことで、自分たちの関係は一歩、進んで、これはその証になるはずだ。 「ありがとう。でも……」 「僕が自分から言えたことが、最大の進歩だから」 どうか受け取っていて欲しい。 (-601) 2023/09/23(Sat) 12:20:05 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡「だめです。 珈琲は禁止にしませんから、それで我慢してください」 ぷいとそっぽを向く姿は拗ねた子どものようだ。 何とも言えない絵面である。 「……じゃあ名前を付けないとですね。 試飲のお役目、承りました」 それでも貴方の言葉にはきちんと答える。 普通の子どもが拗ねた時にどういうポーズをとればいいのか、自身でも図りあぐねているところがあるのだろう。 条件の確認が済んだところで、ふと思いついたような顔をして。 「まだ行ってません。 ……次のおつかいが終わったら、アレさんと行きたいです」 ご褒美として、お駄賃として? 形や呼び名は何でもいいし、ほんの30分ほどあればいい。 一緒にお出かけして、ジェラートを食べて、帰る。 それがほしい、とねだった。 (-602) 2023/09/23(Sat) 12:22:22 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ長身が室内の光源を遮った。 逆光のせいで男の表情はよく見えないかもしれない。 概ね無表情のようなそれと、やはりにやけ面の女が向かい合っている。 貴方は解っているだろう。男がこれから何をしたいか。 男もまた解っている。貴方が解っているということを。 ここからは根比べだ。けれどそれも、貴方に分が悪い。 人は痛みに耐えられる。 痛みになら耐えられる。 大抵は、絶叫を対価に。 薄暗い顔の中で金色の瞳だけが光っていた。 裸足ならまだしも、靴を履いた状態で人体を────しかも腹や胸ならともかく肩を踏みつけるというのは難しい。肉の薄い部位では骨と関節で作られた凹凸が目立つし、靴底の形はそれに添うものではないからだ。 ぐ。 ぐい。ぐり。 だから自然、強く力を込める必要が生じる。 硬いラバーが肌に食込むだろう。骨と皮膚の間で押しつぶされる神経が悲鳴をあげるだろうか。 (-603) 2023/09/23(Sat) 12:36:07 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 傷入りのネイル ダニエラ説明が終わって、お願いも終わって。 指折り、時間の流れを見ながら、 ため息とともに笑みがこぼれる。 「見てるさ。一番近くでな。 しっかり伝えといてくれよ」 きっと、そう遠くない内に朝が来る。 真っ暗な内はライムグリーンの方が目立つけど、 明るさを交えた頃にはミントブルーが輝き出す。 「……なあ、残りの時間の間、目ぇ瞑ってくれる?」 言って、立ち上がる。ふらつきながら。 一度、二度とたたらを踏み、二度目には壁にぶつかりながら、 あなたの方へ。最後の1本が折られてしまう前に。 「後は頼んだ、エリー。いってらっしゃい」 あの夜と同じように、送り出す。 今はネイルを塗り直す事は出来ないから。 ふらつく姿は見せたくないから、 片膝をついて、少し背伸びして。 格子にかかる指先に、ほんの一瞬のくちづけを。 あとは、指が折れるだろうから、また床に転がった。 (-604) 2023/09/23(Sat) 12:36:34 |
【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード「へえい。 まったく、お前は頼りになるなあ」 だるだると返答しながら、慰めているのか機嫌をとっているのか言葉をかけつつ。 「かっけえ名前で頼むわ。 いいカップも欲しかったが、さてどこにしまったかな…」 店の倉庫も彼の部屋も、雑多なものが積み上がっている。 やはり本人も、そこに何が積み上がっているのか サッパリ把握はしていないようだ。 「ん」 そして、あなたの"おねだり"にはしょうがねえな、と声を弾ませて。 「しゃあねえ、俺の身が空いたらな。 マ気長に待ってろよ」 なんとも信頼感のない返答だ…。 (-605) 2023/09/23(Sat) 12:40:18 |
【秘】 マスター エリカ → コピーキャット ペネロペそれはまるで、我が子にでも向けるような。 あなたは見た目には実年齢よりも若い。 二十を超えていくらかの乙女の親として、 彼女の年齢はそう不自然なものではなかった。 もし、その視線の意味を拾って彼女の子について聞いたなら、 「相手がいなければな」、なんて返ってきただろう。 きっとどこかにいるのだろうな。 彼女がこうした返答をするのは、つまりはそういうことだと言えた。 想像を巡らせるのなら、一夜の過ちというやつがあって…といった ところだろうか。全く話さないあたり、おそらく父子ともに現在縁はない。 己の手からすり抜けていってしまったものを想う際のさみしさを見せて、 不必要なやりきれなさや胸の苦しみを人に感じさせたくない。 彼女はそういう理由で黙る人だ。 本当は、誰かを重ねるのにだって 罪悪感を持っていたのだが。 ──開き直ったか無意識か。 兎角彼女は、ひとつの愛をあなたに向けている。 そんな事実が、そこにあった。 外では冷たい風が吹き通る中、この地下では、 どこかあたたかい夜が過ぎていく──。 (-606) 2023/09/23(Sat) 12:50:11 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレばたんと倒れ伏す姿は人形のようで滑稽だった。 どたんと立てた音は物の音のようで愉快だった。 貴方の悲鳴を聞いてこの男は楽しそうに笑った。 「あはは!」 かつり。かつり。 かつり。 早くなる足音が追うように近づく。まるで狂犬のそれだった。 「混ざってきたんじゃないか?」 「そろそろ溢してくれればいいんだが」 きっと立ち上がれない貴方の、その余裕すらないだろう貴方の周囲をぐるぐると回る。獣が獲物を追い詰める時の動き。 判断力を低下させて間違った答えを選ばせるための動き。 この犬は、貴方から答えを狩り取ろうとしている。 本当に? それだけだろうか。 男の声には、喜悦が滲む。 ────だからこそ責め苦は続くのだ。 貴方が気を失うか、男が満足するか、時間が来るまで。 貴方が床に右手を着いているなら、次に狙うはそこ。 剥き出しの指先を、押し潰すように叩くつもり。 (-607) 2023/09/23(Sat) 12:54:09 |
【秘】 情報屋 エリカ → 花浅葱 エルヴィーノ夢に行き着いたあなたは、再びかの情報屋と相見える。 コバルトブルーを顎に当て、 開かれた口から出た言葉は──……。 /* Ciao! 運営です。残り二回の質問受け付けました。 両PLさんに確認が取れ次第またお返ししますね。 (-608) 2023/09/23(Sat) 13:03:50 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ体力だけはある方だ。 執念だけは強い方だ。 突き止めると決めた物事を突き止めるまでとことんやる。 そういう男の性格は貴方も知ったところだろう。そして、 その性質は今この場においては、貴方に都合の悪いもの。 既に口には入っているのだ。 飲み込まないなら、溶けるまでこのまま待つだけのこと。 しかしそうはならなかった。素直に貴方が飲み込む気配で、男はぶらりと手を離す。 そうして身体の位置を戻すだろう。しかし席にはつかないまま、再びの無表情で貴方を見つめている。 実のところ、男自身もこれが何の薬なのかは知らない。 これは今朝、あるマフィアから押収されたものの一部。 内容物としては興奮剤、精力剤、自白剤、睡眠剤らしいが、 それを見分ける術を男は持たない。 だから効果を知るのは貴方が先。 盛られたのは、睡眠剤だった。 ▽ (-610) 2023/09/23(Sat) 13:12:49 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ程なくして。 貴方を、強い眠気が襲うだろう。ぐらりと視界が歪み、身体も傾ぐはず。 しかしそれに追従することを男の手が許さない。 彼は貴方の肩を掴んだ。起こす仕草で椅子の背に強かに打ち付けさせた。 「外れか。」 「まあいい。」 眠らせない拷問というものもこの世にはある。 自白剤を盛るつもりだったが、違うなら違うで手を変えるだけのこと。 (-611) 2023/09/23(Sat) 13:15:40 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ味わいなんて分からない。 ただ、飲み込んだものを吐き出そうと咽せるのが先で。 何を飲ませたのか。 そう聞く前に意識が揺らいだ。 睡眠剤……尋問には明らかに不向きな薬。 訝しむ暇も無く暗闇に意識が持って行かれる。 かと思えば、肩に走る鈍い痛み。 起こされ叩き付けられたのだと理解するには まだ飲まされた睡眠剤は抜けない。 「い゛っ……おまえ、何を……」 ぐらぐらする意識の中 椅子の背もたれに押さえ付けられて。 ただ、貴方の動きを追うのでやっとだ。 (-612) 2023/09/23(Sat) 13:29:36 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ笑んで頷き。 続いた言葉に、一瞬だけきょとん。 あなた相手に身構える必要はないけれど、多分このときの女は他の人に同じことを言われると警戒の色を見せていた。 「…いいよお。なあにい?」 そうして目を瞑ってのしばしの時間。 ゆっくりとあなたが近付く気配がして、…少しして、指先に湿ったやわらかな感触。 それだけでぎゅうと胸が潰されるくらい痛くって、手が届く距離にいるはずのあなたに今すぐ触れたいってそんな我儘が過ぎっていく。 だけど、女はそうはせずしっかりと目を閉じたまま。 指を折るまでの時間は心の中で正確に数えた。 最後の指まで折り曲げた後、目を開いた女は恥じらうようにはにかみ笑っていた。 「…ミネ」 「早くこんなとこ、出られるといいねえ。」 「ミネはなあんにも、悪いことしてないんだからあ」 カメラに載せられるぎりぎりの本音に虚言を添えて。 …ただでさえ小細工もした今日はあんまり長居ができないから、それを別れの挨拶みたいにこつこつ靴音を立てて立ち去っていくんだろう。 (-613) 2023/09/23(Sat) 13:34:53 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ独占欲。支配欲。執着。マーキング。 どうとでも形容することは出来る。重なり連なったそれはほとんど首輪のよう。 それでも男にそんな意識はなかった。少なくとも意識の上にはなかった。思考より先、目的より先、食らいたいという欲求があるだけ。 貴方をまるごと腹に収めてしまいたいという強い衝動があるだけ。貴方の全てを貪欲に強欲に欲しているだけ。 「は、……」 荒い息を注げば細い髪が揺れるだろうか。赤い頬が美味そうで、また舌で触れていた。 貴方の胎の中にこれを必要とする臓器などない。それでも繰り返して穿つ。楔を打つように、熱と形ごと刻むように幾度もそうする。そうする。繰り返し。 求められることが心地いい。 与えられる刺激が心地いい。 貴方の何もかもが心地いい。 抽挿が激しく強くなる。 貴方は喉を、背を反らして喘ぐだろうか。 ならばそのまま追うように。身体をぴったりと合わせ喉元に噛み付いて、貴方の内側に膨れた欲を放とうと。 (-614) 2023/09/23(Sat) 13:36:15 |
【秘】 情報屋 エリカ → 花浅葱 エルヴィーノ/* 以下の条件でOKをいただきました。 不十分・難しいと感じる場合は撤回しても構いません。如何でしょう? ルチアーノ:役職自体の開示はなし。ルチアーノの行動の事実の概要のみOK。 リヴィオ:現行の秘話以降の時間軸に情報開示が適用されるなら役職の開示OK。 (-615) 2023/09/23(Sat) 13:40:50 |
【秘】 いつもあなたの傍に居るから カンターミネ → 傷入りのネイル ダニエラ「ふふん」 「なーに、きっとすぐ出られるさ」 「なんせ今日の俺は運が良いからな、 わざわざ面会に来てくれる奴がいるくらいだから」 いつものように、笑い、歌う。そして手を振る。 くた、と脱力しながら、心中で笑う。 何言ってんだか。俺はもうとっくに出てるよ、お姫様。 だって――。 そうして、また、眠りに落ちる。 床の冷たさが、心地良かった。 (-616) 2023/09/23(Sat) 13:40:57 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ聞こえる声が涙で滲んでいる。 ゆっくりと上げた顔、移る視界に貴方の涙が雨のように降っていた。 なかないで、とおもった。 いつもそうしてくれるみたいに、だきしめたかった。 望みはなにひとつ、この場で叶うものではないのだけれど。 「……ね、ぇさん」 「ごめんなさ、い」 出来るのは案じてそう呼ぶことだけ。 己の謝罪で泣かせてしまったことを……また謝ることだけだった。 そうしてその頃になってようやく──夢ではないのだな、と理解する。 ああ、ならば。 「……ぁ、……にげて」 アレッサンドロ・ルカーニオはノッテ・ファミリーの幹部。 既にそれを知っている男は、もうひとつの予想もとうに付いていた。 きっとあなたも。 「つかまっちゃう」 「オレ、だいじょうぶだから」 あんな拷問を受ける姿を想像したら、ぞっとしたから。 「ねえさん、ここ、早く出て……」 (-617) 2023/09/23(Sat) 13:41:23 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード「解ってる、解ってるよ。 こんなオレでも、オンリーワンではあるらしい」 不思議な話だよな、なんて皮肉ったらしく笑った。 自分に何かあれば、確かにあいつは泣くかもしれない。 貴方も泣くかもしれない事は、 ロメオはまだピンと来ていないけど。 「おう。約束」 「……悪いな。愚痴っぽくなって。お前も愚痴とかないの?」 目を細めて、穏やかに笑んで。 それからお詫びに聞きますよ、と貴方に問いかける。 (-618) 2023/09/23(Sat) 13:47:32 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ奇妙な可笑しさがこれの喉を転がる。 それは空気を揺らして笑いになった。 貴方の顔がさっと青褪める。 大きな双眸から涙が落ちる。 唇が開いて音もなく震えた。 男はペンから手を離した。 両手で包むように貴方の頬に触れる。大きな厚い手のひらだ。貴方とこの男では一回りも二回りも体格が違う。伴って当然、男の手は貴方の頭に比して大きい。 貴方の手は自由になった。 今なら抵抗することは出来る。 しないのであれば、再びの口づけが寄越されることは明白だ。 貴方にとっては目的も分からない、ただ恐怖を想起するだけの口づけが。 (-619) 2023/09/23(Sat) 13:53:25 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ立ててない指摘には、たててる……とまた主張していたものの。 一人ではろくに歩けそうにない男は貴方に支えられたままだ。 そうして目の前に向けられた背を見つめると、ゆっくりと瞬きを一度、二度。 「…………おんぶ」 してもらうの、いつぶりだっけ。 わからないけれど両腕を伸ばすことに抵抗は無かった。 そうして貴方がおぶり上げれば思ったよりも軽いと感じるかもしれない。女子よりは当然重いのだが、男子にしては発育が良いわけではないので。 「あはは、おんぶ」 笑いながらぎゅぅと腕に力を込めたのは、落ちないようにというよりはうれしくて。 緩む頬に癖のあるひだまりの髪が触れて、くすぐったくて、しあわせだった。 「かえる、かえろー、ろめおにい」 呼んで、その内に貴方が歩き出してくれることだろうか。 規則正しいリズムに揺られるのは揺り籠にも似ていた。 少しの間はふにゃふにゃと起きていて、言っていることは「ろめにい」「ろーにい……」となにやら改めての呼び方の模索だったが。 じきに穏やかに寝息を立て始める、安堵し切った子供と同じ。 (-620) 2023/09/23(Sat) 13:55:03 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 幕の中で イレネオ「ぎ」 真っ先に出た音は、それだった。 或いは、揺さぶられた脳と、やられるままでたまるかという、 微かな意地が見せた歯を食いしばる抵抗の音だった。 ことここに至って、女の口元は未だ形だけは笑んでいた。 それでも、例えこの女がマフィアであったとしても、 手足のように扱う機械ではないから。 鼻の奥から流れ込む血が喉に落ちていき、 踏み躙られる肩からの悲鳴はそのまま口から出ようとする。 女は拷問も担当していたから、今何をされたら不味いか、 手に取るようにわかっていた。だから、靴底から "緩急"が与えられた瞬間があったなら、 「あ、終わった」と。そう思う事だろう。 それでも、ほんの僅か。 「ぐ、あ、ぎぃ、ああ……」 その程度で済ませたのは、きっと意地と張り合いのおかげで。 しかし同時に"その程度"こそが、分の悪い根競べの敗北を、 即ち、天秤の傾きを意味していた。 (-621) 2023/09/23(Sat) 13:58:38 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ「『何を』。」 ふん、と男は鼻を鳴らした。 歪む視界の真ん中で笑ったようだった。 「皆そう聞くな。やっぱり脳みそが足りないのか?」 「何も何故もない。法に則り、裁くための手続きだよ。」 「お前たちも従ってきたはずだ。どうしてわからない?」 ぐらり。ぐらり。眠気で頭が揺れる度。 男の声が反響する。判断力を失わせる。 瞼が重たく帳を降ろそうとする。 貴方が耐えられず首を振らすなら、 今度はその頬に男の拳が飛ぶ。 (-622) 2023/09/23(Sat) 14:03:10 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡「ええ、ええ。 頼りにしてくだされば幸いです」 「早く帰ってこないと、勝手に掃除しちゃいますからね」 見られて困る物、というよりは処分していい物かどうか判別をする人間がいなければ、さっぱりきれいにされてしまうことは想像に難くない。 仕事道具もあるであろう場所に勝手に触れたことはないので恐らく冗談だが。 「はい。待ってます。 ……出たら、忙しくなるでしょうから、待ちますよ」 本格的に寒くなってからのジェラートというのも、それはそれで悪くないかもしれない。 体を冷やしてからあたたかい珈琲でも飲めたら最高だ。 いつかの約束に思いを馳せて、男は穏やかな声でそう言った。 (-623) 2023/09/23(Sat) 14:05:17 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ揺れる、揺れる、ゆらゆらと。 飲まされたばかりの睡眠剤は意識を奪おうと誘って。 貴方の言葉すらも上手く聞けない。 「っ、う……こんな事、する訳ないだろ…」 頬を殴り飛ばされ、意識が戻される。 これは尋問と言うより、拷問。 許されるものではない、と。 貴方を、睨みつけようとする。 (-624) 2023/09/23(Sat) 14:08:02 |
【影】 傷入りのネイル ダニエラ常日頃、閑古鳥と同棲するそのモーテルは、つい数日前の騒ぎから一転、ここ数日でさらに静かになっていた。 ある雨の日に立ち寄ったのと同じように女はそこを訪れる。 人目を気にして足早に入口へと近付くと、するりとその中へ入っていった。 入口傍のカウンター。 カフェインの香りを撒き散らしながら店番をする経営者の姿はそこにない。 超えて奥にある扉を潜ると、そこはそんな経営者の私室だった。 部屋の大半をキングサイズのベッドが占め、本当に寝るためにしか存在していないんじゃなかろうかと密かに思っていたことは誰にも言っていない。 さらに言えば彼女は徹夜の常習犯でもあったのだから、想像する更に数倍この部屋に価値はないんじゃなかろうかと思っていた。 …実際には、そんなことはなかったと知ったのはつい数時間前のことである。 ペンライトを口に銜えて両手が使えるようにした女は、それからそこで暫く作業を行った。 たった1度しか聞かなかった手順だが忘れようもない。 大切で大好きな、昔馴染みの言葉なのだから。 (&6) 2023/09/23(Sat) 14:09:14 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 情報屋 エリカ/* 取り急ぎ、確認ありがとうございます。 はい、それで勿論構いません。 一応の確認程度で聞いてるので、その後の行動には何ら変更はありませんし、そのようにいたします。 (-625) 2023/09/23(Sat) 14:26:26 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ引き絞れるような声が耳に届けば、男は口の端を軽く歪めた。 やはり不快そうだった。不愉快そうだった。 つまらなそうだった。 とはいえ、これは仕事だ。 快不快で判断して辞めていいものではない。 貴方の口が僅かも開いたなら。 男はその隙を見逃さなかった。 錠剤をひとつ。 手のひらで覆うようにして放り込む。こうすれば貴方はもう逃げられない。 口の中に入りさえすればこっちのものなのだ。飲み込まずとも溶け切るまでこのまま待つだけのこと。傾いた天秤は一層男に利する。 どうあれ長い根比べが始まるのは明白だった。 男は、貴方の口に入った薬の効果を知らない。 途中で一緒くたにされてしまった錠剤の見分けを知らない。 ただ、先程の警官の言葉によれば。 この場にあるのは 興奮剤 と自白剤 の二種類で、貴方が感じた効果によると────それは興奮剤の方だ。 (-626) 2023/09/23(Sat) 14:29:10 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ「勿論、実は俺も気になってたんだ」 今まで一度も足を運んだことがない動物カフェ。 一度どんなものなのかをこの目で見てみたかった。 それに、君が笑顔になれたらいいなと考えたんだ。 流石にそれは内緒のままだが。 立ち上がり、手を伸ばす君を眺める。 何かを口にすることもなく、 君が施してくれる様子をただ黙って見ていた。 ▼ (-627) 2023/09/23(Sat) 14:34:21 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラもしも、君が少しでも男の額や頬に触れたのなら、 異様に熱を持っていると感じられるかもしれない。 勿論、普段触れることがなければ、 男の体温が高いだけの可能性はあるだろうが。 ──だって男は、"いつも通り"だ。 きっと、気のせいだった。 ▼ (-628) 2023/09/23(Sat) 14:34:45 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ満足げに微笑みながら離れる君を確認した後、 飾られた犬のヘアクリップを見るために、 机上の鏡へと手を伸ばす。 「……今日も素敵だね。 本当に、いつもありがとう」 そうしてそれを目にした途端、緩やかな笑みを浮かべ、 噛み締めるように君に、改めての感謝を告げる。 こんな時だからこそより丁寧に、 その日常への思いを伝えたかったからこそ。 いつだって、君からの贈り物は嬉しいものだった。 (-629) 2023/09/23(Sat) 14:35:18 |
【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ貴方が頷いて、安心を得てからにようやく男はデニッシュにかぶりついた。 複雑でしかしすっきりとした甘さが舌の上に沁みる。 五十年前、マフィアの勢いの強かったいつかと比べれば街の様子は変わった。 どちらが豊かであるかを示すものではない。ただ、変わった。 その片鱗の一つが、法案の形としていま表れているだけ、なのかもしれない。 「正直な話、私も彼らは好きではない。非合法の手段を取っているのには変わりない。 いずれ衰退して街の産業や活気の中へ落ち延びていってほしいものだ。 ……人としてそこにある人々を排斥して済まそうとは思わない。 正しく、歩み寄れる隣人となれるように、徐々に解体されてほしいところだ」 マフィアなんていなくなってしまえばいい、端的にはそういう話だ。 けれどもそれは、彼らの死や破滅を望むのとは違う形だった。 「フレッドが自分の道や、自分の目の前にあるものを見ることができたならいい。 君が目を塞いでしまわざるをえないことが、私は一番悲しいよ」 服の袖に掛かる僅かな重みを払い除けたりはしなかった。 そこにあるものを、そこにあるように。 されるがままの腕が、貴方へと預けられた。 「革新的に変えるのは難しい話だ、私でもそうだ。 けれども其れ以外のことをしてはいけないわけではないし、そうだな。 街の見回りでもして、店の人達やおじいさんおばあさんたちとたくさん話をしなさい。 彼らにとって、安心できるお巡りさんであるようにね」 (-630) 2023/09/23(Sat) 14:35:27 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロその通り。するわけがない。 貴方に対する男の行いは、平静なら一発で逮捕だ。 つまり、男だってそう。尋問の経験はあれど拷問の経験は浅い。 「……。」 顔を歪める貴方を見、男は思案するように顎に手をやった。 貴方を実験材料にして、男は学習している。 「さすがに向きませんね。」 「もっと時間があればいいんですが。」 首を右に、左に倒し。呟いた男は、再び錠剤を手に取った。そうして貴方の方へ手を伸ばす。眠気から緩慢になった動作は好都合だ。きっと難なく捕まえることが出来る。 そうして男の思うようになったなら、 これは貴方の鼻を摘んだ。 そこは人体が空気を取り込む場所の一。 もう片方を開かせたいのなら、ほかの入口を塞ぐのが近道だ。 (-631) 2023/09/23(Sat) 14:46:15 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ夕暮れ時、それまで忙しなく働き続けていた男は、 壁に飾られた時計を確認して席を立つ。 そんな男の姿を見つけるのは部署内か、あるいは廊下か。 どちらだとしても、 君の姿を確認すれば手を振って軽い挨拶。 ただ、君の意中の人物が自身だとは考えなかったのか。 呼び止められれば目を丸くして、首を傾げる。 「…ふむ、何か大切な用かな。 勿論、俺で良ければ力になろう」 君の思いを伝えてごらん。 力になれることなら、力になろう。 (-632) 2023/09/23(Sat) 14:48:28 |
【神】 路地の花 フィオレいつかの時間。 アジトの会議室に、山ほどのホットドッグ用パンを置きにきた。 具材はない。パンだけだ。 『ご自由にどうぞ』 (G22) 2023/09/23(Sat) 14:57:10 |
【秘】 情報屋 エリカ → 花浅葱 エルヴィーノ「やっていること、ね」 挨拶もなく、あなたの言葉を繰り返す。 そんなもの確認せずとも……なんて考えたが、余計な事だ。 安心を渡すのも、この情報屋のひとつの仕事だった。 「幼馴染の方は……これと言ったこともない。 一人での町歩きや、美女や友人とのデートを楽しんでいる。 普段している事と、大きくは変わらないんじゃあないか?」 少なくとも、降ってわいた何かに 踊らされているわけではなさそうだ。 「先輩殿の方は……まぁ忙しくしている。 人手が減る一方の警察だから、というだけではない。 特別任務を受けている為だ」 「──【A.C.A】、と言えばもう分かるだろう?」 「そういう事だ。摘発に足る証拠があれば、 チームメンバーであろうと この法を適用していたことだろうな、彼は」 温度感の薄い、淡々とした音が返った。 (-633) 2023/09/23(Sat) 14:59:34 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ「うんうん、それが分かってるなら大丈夫です」 「……愚痴、かあ。 愚痴かどうかは、分からないんですけど」 しばらく考え込み、ぽつりぽつりと話し出す。 「俺、小さいころに色々あって。 アレさんとペネロペさんに拾ってもらって…… ずっとあの二人の役に立ちたいって、生きてきて」 でも、こんなことが起きて。 『俺の命は貴方達のものだ』って言ったら、怒られてしまった。 使い方を決めるのは俺で、ちゃんと手綱を握った上で二人のためを考えて行動しろって。 だから、俺がちゃんと考えられるようにならないといけない。 どうしたらいいんだろう。 そんな、愚痴というよりは相談事だった。 (-634) 2023/09/23(Sat) 15:01:40 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 幕の中で イレネオその表情に「煽り所」を見つけはしたものの。 口元を覆う手のひらが相手では、声もほとんど出せず。 どうせ一度開いたならもう変わらないから 喚きでもしてやろうかと思ったのに。 現状を考えれば。男が肩を踏み砕くような姿勢でなければ、 女に覆いかぶさって口を塞ぐ男という図式は、 強姦魔に等しいもので。或いはそこを突けば、多少なれど 男の動揺か、怒りか、その辺りを引き出せるかもしれないが。 今は煽りより、「何」を入れられたかだ。 普通は、薬は目で確認するのだから、色と形で薬を判断する。 だが手のひらに覆われた状態ではそれを判別は出来ず。 しかしケースに入っていたのだから、数種類までは絞れる。 処分しそこなったものなら、数世代前の物か。 味は知らん、飲んだことなど一度もないから。 どれにしろ、致死の薬はなかった。ならば――。 カンターミネは、考えをシフトした。 即ち、いずれ朽ちる『正義』と遊んでやる、と。だから、 ぴちゃり。 嫌がらせの念を多分に込めて、手のひらをぬるりと舐めた。 目元にまた、張り付かせる。痛みを越えて、にやついた顔。 目尻を下げて、掌の向こうで口角をあげる。 もごご、と口の中で僅かに溶けた錠剤と共になすりつける。 『雑魚が』。たった3文字、ただの笑み。 即効性のある薬なのか。痛みは少しずつ、和らぐ。 分泌されたアドレナリンが、恐れを削いで笑みを返した。 (-635) 2023/09/23(Sat) 15:14:51 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード「───ふうん。なるほど」 少しずつ語られる、貴方の相談事。 役に立ちたいという気持ちも、命を捧げようという気持ちも、 ロメオには心当たりがあり、共感できるものだった。 「……観察かなあ」 首を傾げながら、思考しつつ口を開く。 「別にオレは目標とかも無くて、生きんのに必死で 気が付いたらこんなスタイルの生き方になってたけど。 まずオレみたいな生き方をしたら殴られると思え」 「人の為に生きるなら、人が何を欲してるか知らなきゃ。 何が嫌で、何をしたら喜ばれ、何をしたら役に立つか。 人を観察して、そういうのを吸収する。 人間が正しく自発的な行動がとれるようになるのは、 経験と知識があってこそなんだよ。挑戦するのもいいが。 未熟者の挑戦は無謀と同義になる事もある。 この世界でそうなると、死ぬ事もあっから……」 目標があればいい、理想があればいい。 その真似をしてみるのもいい。勿論背丈に合った方法で。 そういう事を、ロメオは言った。 「何かある?そういうの」 「どうありたい……とかでもいいけど」 (-636) 2023/09/23(Sat) 15:25:54 |
【墓】 幕の中で イレネオがん。 がん。 がん。 それは憤りだった。 男の義憤が牢を打ち檻を揺らした。 食い締めた歯がぎりと鳴る。奪われ消された子どもたちのことを思ってまた心が逆立った。「────くそ野郎が」 呻きに似た響きが落ちる。 まったく男は正義の徒であった。 (+9) 2023/09/23(Sat) 15:32:26 |
イレネオは、真面目な警官だ。自他ともにそう認めるように。 (c27) 2023/09/23(Sat) 15:32:53 |
【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード「好きにしたい時は、好きにしていいからな。 俺はそっちのほうが嬉しいね。 めんどくさいオッサンだから」 自分勝手にすぎることを言いながら。 「それはそれで、片付けの手間がはぶけていいなあ」 …実際やっても、怒ることはないだろう。 見られて困るものなんてあるのだろうか。 「おう。 まー、ファミリーも無傷じゃすむまい。 そーなるとお前やペネロペが出世できる目もあるってもんだ。 お前さ。金か、女か? それとも立場?」 曖昧な質問。 (-637) 2023/09/23(Sat) 15:33:35 |
【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ「いいや。壊れないために、やっていることなんだろう。 でなければ明日、罪もない人を捕らえるのは自分かもしれない、なんて。 そんな状況には耐えられもしないさ」 法案を嘆くのは他人事だ。けれど、手を尽くすのは現場の彼らだ。 彼らは己の声も届かない高みからの命を受けて、曖昧な罪を裁きに己の足を運ぶのだ。 とても正気ではいられない。 哀れむように、スカイブルーは長い睫毛を伏せた。 「生きて罪を償うべきを望むなら――……それこそ此処がちょうどいいということになる。 調書には目を通したかな。なら、わかるだろう。 私が口の利ける状態で生きていることを望まない連中は大勢いる。 島内のマフィアの根絶は目指せても、島外よりの者となると不可能な話だ。 生きて、を望むならばそれこそ、此処から一歩とて出ることはできないんだよ」 貴方の目の前にいるのは上級警部ではなく罪人だ。 故に、一度咎を受けたならば二度と元のようにはならない。 貴方の目の前にあるのが現実であり、真実だ。 (-638) 2023/09/23(Sat) 15:38:28 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「ふふー。」 「今回も気に入ってもらえて、良かったですう。」 はにかみ笑んで、明るい声。 ありがとうなんて、本当はこっちが言いたかった。 それにしても。 そうして落ちた瞳であなたの額に触れた手の平を見つめる。 まあいいやと割り切れてしまえる女ならばよかったのだが。 「…リヴィオさん。」 また徐に手を伸ばす。 前髪揺れる額ではなく、目指したのはその頬だった。 別に無理にと言いはしないから、拒否をされれば触れることは叶わない。 それでももしまた触れることができたなら、その熱を確信して問うはずだ。 「熱いですよお。具合悪いんですかあ?」って。 (-639) 2023/09/23(Sat) 15:44:00 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ手のひらに濡れた感触。 それを感じた男は、反射的に貴方の頬をその手で打った。 まったく拷問官にあるまじき態度。口に物を入れさせておいて、あまつさえ吐き出させかねない真似をする。 男がこういった行為に慣れていないのは明白だ。そもそも感情的すぎる、筋道だってそう整えられていない。 そうしたとて貴方は笑っているのだろう。 優位を取ったと思っていた男は、再び鋭い舌打ちを。不機嫌そうに視線を一度逸らせば、唾液と共に吐き出された薬が目に入るだろうか。 (-640) 2023/09/23(Sat) 15:49:44 |
【秘】 コピーキャット ペネロペ → 渡りに船 ロメオ「いいねえ、祝日が増えたらそれは 署長代理殿最大の功績と言ってやっても良い」 実際、街ではひそひそとゴシップに興じる者も多い。 何か一つでも火種さえ落とされれば、 案外火の手は早く回ってしまうのではないだろうか。 「そのマルチタスクがその辺の奴はなかなかできねえんだよなあ。 便利な人手があって助かるわ。 指示出しはまあしゃあねえ、俺が居なくなったら 親父とその部下が引き継ぐはずだ」 「俺ァお前がとっ捕まっても悲しいがね。 あ、これオフレコな」 気軽に酒飲める奴減るし、と一瞬で発言を台無しにして。 もう一枚、ラスクを抓む。 「おうよ、俺は良く出来た犬は好きだからな。 ぜーんぶ片が付いたら嫌ってほど褒めてやるよ」 へらりと笑って、また酒を呷った。 (-641) 2023/09/23(Sat) 15:56:54 |
【神】 コピーキャット ペネロペ (G23) 2023/09/23(Sat) 16:04:34 |
【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ「なんだ」 拍子抜けしたような声がソファに落ちた。 僅かばかりの期待があったのかもしれない。わかりやすい終りのある事への。 組んだ手が腹の上に置かれ、虚脱したようにソファの背もたれに体を預ける。 とても貴方の期待に値する価値のあるような人間とは思えない。 貴方が男の顔を視たならば、貴方を見上げるスカイブルーには薄く冬の雲が掛かっている。 今、ではない。会ったときから。おそらくはずっと何年もそうなのだろう。 「お前にできることなど何もないさ。 失われたものを探し出すのは途方もない時間が掛かる。 ようやく見つけたところで、そこには手遅れって名前の裏切りが横たわっているだけだ」 淡々と物語を口にするように、切り捨てる言葉が向けられる。 貴方の"光"に照らし出されるものなどない。無いものは照らせない。 そしてその結果を告げる意図は、今しがたの会話による影響さえもない。 貴方のことをどう思っているか、どういう期待や勘定を向けているか、 それとは無関係にただそこには閉じられた扉があるだけだった。 扉は、壁は、ふと。流れた風で木の葉が動いたのをみるような気まぐれに口を開く。 「憂さ晴らしがしたいのなら手を貸してやろうか。 頼み事があるんだ、ルチアーノ」 (-642) 2023/09/23(Sat) 16:07:12 |
【秘】 歌い、歌わせた カンターミネ → 幕の中で イレネオプッ、とそれは男の平手と同じく反射だったに違いない。 吹き、転がった錠剤に首が向き、きっと眼鏡も飛んでいる。 しかして目だけは男に戻る。途端、破裂したように笑った。 「アッハッハッハッハッハ!!!クク、フ、フフッ、は、話にならない!平手!?抑えてた手でか!?そ、それで、薬を吐き出させた!?自分で!!?ばーーーーーーっかじゃねえの!?」 舌打ちに、視線の逸らしに。また笑い、歌う。 肩の痛みなんてもう気にならない。 だってこいつは「失敗」したから。 「尋問だのをする時に必須の事を教えてやるよ。相手の前でイラつかない事。ミスしない事。それでムキになって暴力を振るわない事。お前はひとつも出来てないな?ん?しかも使った薬は相手がご用意したって?そ、それを吐き出させ……ふっ、フフッ、一生笑えるぜ、『へたくそ』。その様子じゃおまわりさんとしても碌な仕事は出来てなさそうだな?錆びきった前時代の正義モドキを抱いて、まともに相手からの情報も引き出せない、パパの庇護がなけりゃ尋問のおぜん立ても出来ない、出来るのは乱暴な真似とイライラしぐさか?一生一人でシコシコやってろ、自分の牢屋ン中でな」 捲し立てる。もう怖くない。痛いだけ。 尋問相手に失敗した人間は、どうやったってもう、 道化か下っ端のチンピラ以外になれはしない。 朦朧としていたはずの瞳に強い光と、 歪んでいたはずの顔ににやけた笑みが帰ってきた以上、 きっとまともな方法ではもう何も出ないだろう。 諦めて捨てるか、或いは――ケースの中にあった、 他の薬を試すか?申し訳程度に、あなたの脳に そんな選択肢が示されるだろうか。 (-643) 2023/09/23(Sat) 16:08:19 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ君に礼を告げて、今日も「また明日」の約束をする。 きっと今日の終わりもそうなるのだろうと考えていたからか、 再び伸ばされる君の手にほんの少し驚いて。 でもだから払い除けるなんてことはない。 君の手を、払い除けるはずがなかった。 頬に触れる手に左手を重ね、緩く微笑む。 「…少し、働きすぎたのかもしれないね。 あぁ、しかし君のおかげで楽になったよ。 だから平気さ、心配ありがとう」 揺れる髪の下で滲む汗も気の所為だと感じられるほど、 いつも通りに笑う男は、問題ないと口にする。 その笑顔には確かに、不安がる要素なんて欠片もない。 男は、重ねた手を直ぐに外して、君の手を自由にする。 (-644) 2023/09/23(Sat) 16:10:57 |
【独】 無敵の リヴィオ/* 緩い既知と狼窓から様々が起きすぎて ずっとキレてるかイヤだよーーー!!してたな 4日目も怒涛の勢いでドラマしてた あとクロスカウンター襲撃になりそうなの こんな展開…あるんだなぁ……と思ってたら 運営チャンからの開示請求で何でぇ!?になるし エル、協力求めながら開示請求するなよ ルチはなんか…なんか提案してくるし なんか、なんか……なんなんだ? 覚悟を決めて墓下の牢屋に声掛けに行くけど もー…最後走りきるしかないな…… どの面で?になるのが本当にイヤ この面です (-647) 2023/09/23(Sat) 16:38:52 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ己のそれより大きな掌が両頬を包んだ、刹那。 ちかり、フラッシュバック。 底から這い上がる恐怖で息を呑む。 めのまえにいるの、だれだっけ、 すぐに動かない身体は自由を知らず固まったまま。 いきていくために、ひつよう で ? 気が付いたのは──"二度目"が触れてからだ。 「ッ〜〜〜……!」 「ぃ、ぅ」 指先を動かそうとする、ずきんと痛んだ右手に声が落ちる。 それでも腕を上げて、左手で貴方の手首を掴む。 わかりやすく震えていた、何かを取り繕う余裕もなかった。 「……っね、ぇ、せんぱ、い、も、やめて」 「わかんない、の、わかった、でしょ」 声は時折掠れて、詰まって、脳がぐらつく。 荒く繰り返す息は最早痛みよりも恐れによるものが勝っていた。 すぐに手折ることのできる力で、それでもと頬に添えられる片方を引き剝がそうとする。 「なんか、いって、」 「おねがい……」 問いかけへの解は無く、落ちた笑いが鼓膜を揺らしただけ。 その瞬間のぞっとした心地を思い出せば最後、乞うように願いさえもした。 (-648) 2023/09/23(Sat) 16:40:19 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネ踏みつけた肩。前のめりになる身体。それだけ近づく顔。 逆光だろうと薄暗かろうとよく見えるはずだ。男の表情が歪む。歪む。歪む。 それは怒りであって、それは憎しみであって、それは嫌悪であって、それは恨みであって、それは蔑みであって、それは侮りだった。 貴方が囀る。 歌う。歌う。歌う。 それが。 やっぱり男には、酷く不快だった。 聞くに堪えない。だから、 ▽ (-649) 2023/09/23(Sat) 16:45:17 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 歌い、歌わせた カンターミネぐぶ。 靴先が沈んだのはその腹だ。 不安定な肩から足を退け立ち上がった男は、見下ろす形で貴方の腹を蹴りつけた。 女の腹、肉の薄さは別にしてはらわたの柔らかさのある腹。特有の臓器を内包する身体の部位。 男の足は大きい。時々はみぞおちに衝撃が入ったかもしれない。一度。 二度。もう一度。 尋問でもなければ拷問ですらないただの暴力を貴方に加えている。 いくらアドレナリンが効いていたって衝撃をすべて緩和できるわけではない。貴方はうめき声をあげただろう。時々は小さく悲鳴をあげたかもしれない。胃の中のものが出たかもしれないし、呼吸が乱れたかもしれない。それとも、その全てをやりすごす術を知っているというなら話は別だけれど。 どうあれ貴方は、少しは大人しくなるはずで。 そうなれば再び、男はその身体に馬乗りになるのだ。 床に散った唾液に浮かぶ錠剤を拾い上げ、 貴方の舌に塗り込もうとする────無意味な嫌がらせ。 (-650) 2023/09/23(Sat) 16:46:01 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ貴方の話を、男は静かに聞いていた。 時折頷いて貴方の話を『吸収』していく。 どうありたいか、何を理想とするのか。 それを説明するには、生い立ちを少しだけ掘り下げる必要があるだろう。 男は少し俯いて、また口を開く。 「……小さいころの、俺みたいに。 汚い手を使わなければ助けられない子どもがいる。 警察なんかじゃ助けられない、ちびどもが」 「俺、親が死んでから、本当は叔父に一度引き取られて。 でも、そいつがどうしようもないクズで……」 今も体に消えない痕がたくさんあります。 そんな時にアレさんに助けてもらったんです。 叔父は死にました。俺は、それを心の底から喜びました。 「そういう助け方だって、あるんだって。 拾われの贔屓っ子じゃなくて、恥じない生き方を…… こう……あの……」 社会の暗部に助けられた、救われた人間であるからこそ。 贔屓されている末っ子のままではなく、闇夜を進むに相応の責任と覚悟を負った、二人に恥じない生き方を。 他人を踏み躙って今自分は生きているのだから。 ……そういったことをしっかりと口にするには、語彙がまだ足りていないようだった。 (-651) 2023/09/23(Sat) 16:50:17 |
【秘】 favorire アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「……うん、」 「でも、お礼を言われる事はひとつもないよ」 これまで通り。 貴方は気にしていないようにも見えるけれど、 女の中ではそれが酷く遠い言葉に見えた。 それでも今この瞬間、貴方を引き止める言葉を持ち合わせてはいないから、離れていく靴音を聞いて俯きながらこちらも踵を返す。 心の中で何度も声が聞こえる。 本当にこれでよかったの──?と。 一度足が止まる。振り返りそうになった衝動を、何とか拳を握りしめる事で耐えきって。その先へと歩いて行った。 (-652) 2023/09/23(Sat) 16:54:47 |
【秘】 笑う カンターミネ → 幕の中で イレネオ肩が軋む。笑う。歌う。男の顔が歪む。笑う。歌う。 男が靴を持ち上げる。笑う。歌う。靴先が叩きこまれる。流石に、笑いと歌は止まった。 「ご……はッあ、」 一度、喉に落ちて来ていた血が吐き出され床を汚す。 押し出される呼気と共に鼻に蟠っていた鼻血が噴き出た。 「ひゅ、がぶふッ」 二度、逃げた空気を取り戻す為に身体が反射的に息を吸う。 そこにもう一度突きこまれれば自然、内から外へと、 外から内への空気同士の衝突で胸が苦しくなった。 それでもまだ歌おうと、口を開きかけた所で、 「おま゛ェっ、げぽ、ぉぇ」 もう一度。女は身体を鍛えている訳でもない。むしろどちらかと言えば華奢な方だった。 故に、その単純な暴力は酷く突き刺さる。もっとも、精神を屈服させるには遅いのだが。 何度も咳き込む。その度、汗と涙と鼻水、それから唾液に、 胃液。覗き込まない限りはわからないが、少しの愛液も。 いくつもの体液が女から吐き出された。 馬乗りになった頃には、顔の付近に混ざり物の汚水池。 かひゅ、と薄い息を繰り返す女の舌に錠剤を押し付ければ、 それを見逃す訳もなく。すぼめた口から べッ、とあなたに向けて唾を吐く。顔に届くか?わからない。 意味があるか?ない。無意味な行動にはお似合いだろ? 女はまた、鏡のようにあなたの無様を映す。また、笑う。 (-653) 2023/09/23(Sat) 17:08:40 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「……。」 いつも通り。変わらない笑顔。 嘘みたいに笑う。自分の不調も、苦痛も。 女にはその姿に、覚えがあった。 いってきますと声がする。 さみしいな。もっといっしょにいたいのに。 だけど、それをいったら困るから、いい子のかおで、わらって。 「いってらっしゃい」…あたしさえがまんすれば、いいことだから。 「…リヴィオさん。」 そうして笑ったあとはいつだって孤独だった。 誰も自分の不調にも苦痛にも気付かない。 それで不調や苦痛が、なくなってしまうわけじゃないのに。 あなたもそうだとは、言いきれないけれど。 そんな自分とあなたを重ねずいるのは、どうしても女には難しそうだ。 (-654) 2023/09/23(Sat) 17:09:40 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「無理は、だめですよお。」 そのときばかりは、女の顔に、笑顔はなく。 心のままに、眉を下げた。 「ほらあ、倒れたら元も子もありませんしい。」 「リヴィオさんまで倒れたら、あたしもお仕事増えて困っちゃいますしい。」 そんなダニエラ・エーコらしい理由も交ぜて。 …どこまで言っていいのか、分からないけれど。 「今日は、早退にしましょうよお。」 「……なんてえ、だめ…ですかねえ…?」 首を傾げて、そこでようやくふにゃりと笑う。 本当に何でもなかったとき、その方がきっと、断りやすいから。 (-655) 2023/09/23(Sat) 17:10:20 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡「帰ってきたら一日、片付けの日でも作りますか? 荷運びバイトとして活躍しますよ」 先ほどの貴方のように力こぶを作る。 貴方のすることといったら首を縦と横に振るだけの簡単なお仕事だ。 「えらく直接的に聞きますね。 ……ううん。俺はまだ、未熟です。 女は正直、よくわかりません。 でも金はあればあるだけ嬉しいし、 立場があれば出来ることが増えます」 でも、相応しくないものを身に着けたいとは思わない。 貴方が選んでくれたものをただ纏うのではなく、相応しくあれるように覚悟を決めて選びたい。 「そういう意味では、立場……になりますか、ね?」 いつか貴方が手を差し伸べてくれた時のように。 (-656) 2023/09/23(Sat) 17:10:31 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノそれは、柔らかく。 引き攣った部分を食むように。 強く引き寄せて、触れ方だけは優しく齎された。 男は笑っている。 これ程の力差があって、その気なら無理矢理続けることも出来ただろうに。 貴方のあえかな抵抗に従って離れ、再びそのまま笑っていた。 男は貴方に欲情していない。 これ以上の行為を強いるつもりは毛頭ない。 だからこれは、ただ高揚からだけ来る行動。 弱り切った獲物を甚振って嗤う、肉食の獣。 「はは」 「震えてるな。可哀想に」 「────あいつと関係なんて持たなければ」 「こんな目に遭うこともなかったのに」 話す言葉ばかりは穏やかなのに、 ぎらついた瞳は貴方を離さない。 わざと優しく撫でる手のひらは、 嫌がらせをよっぽど含んでいた。 最早、尋問など意識の外なのだ。 目的のない責め苦に終点はない。 あるとすればそれは男の満足か、 熱のある貴方の身体が倒れた時。 (-657) 2023/09/23(Sat) 17:13:30 |
【秘】 favorire アリーチェ → 徒花 テオドロ「……。 いまちょっとテオの事格好いいって思っちゃった。 言い切れるの、凄いな。でもいい考えかも。 速射だけは自信があるからそのつもりでいようかしら」 余りの迷いのなさが見て取れた答えに称賛を浴びせる。 でも、その信念の強さは確かに自分より余程マフィアになってもやっていけそうだな、と頷いている。 「やりたくないことをしてまで生きてたくもない…… ……昔はわたしもそう思ってたけど、おかしいな。 気付けば踏み止まる要因が増えている気がする。 ふふ。さっきからテオの事が羨ましいかも」 大切なものが増えれば増える程身動きがし辛くなる。 最も、それだけ抱えていてなお突然の衝動で動き出すのもこの女の特性だから、こんなしおらしい事を言っていても実際はどうだかいまいち定かではないが。 「……そうね、26年の筋金入りだものね。 "今"はそれで事足りる。それはそうだけど…… ……そろそろわたしたちも、ずっと居られるかと言うと バラバラになる日を考えないと、って思ってて」 今は、大丈夫だろう。だけどこの先、三人が別れる未来だっていつ来てもおかしくない。そんな年齢だ。 最も、普通は「仕方ない」で終わらせる話をわざわざ口に出す時点で甘えが全く抜けていないのだが。 (-658) 2023/09/23(Sat) 17:17:27 |
カンターミネは、『お前じゃ無理だ』と笑う。吐いて、汚れて、まだ笑う。 (c28) 2023/09/23(Sat) 17:18:04 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ――さてそれから、1日2日と経ったある日。 あなたのデスク、または荷物に1通のメッセージが忍ばされていた。 相談したいことがあります。 港の××番の倉庫の裏まで来てください。 P.S.恥ずかしいので、誰にも言わずにお願いします。 崩した筆跡でそう書かれたそれには、倉庫の場所の略図も添えられている。 こんな古典的な手法でも、振り込め詐欺にすら騙されそうなあなたなら簡単に騙されてくれると差出人は思ったらしい。 (-659) 2023/09/23(Sat) 17:20:44 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ/* ここまでお付き合いありがとうございます、おさとうかえでです! ということで、倉庫まで来ていただいたところをマフィアとの密会疑惑で確保させて頂きたいと思っております。 こんな古典的な方法に引っかかるアリーチェさんは可愛いと思うので…………………… 何か不都合ありましたらお教えいただければ軌道修正します! よろしくお願いします!おさとうかえででした。 (-660) 2023/09/23(Sat) 17:22:20 |
【秘】 favorire アリーチェ → 黒眼鏡「ふふ、そこから得られる縁も事柄も沢山ありますから。 無関係の人、と言う区分自体が私からすると 少し寂しく聞こえるくらいです。 今親しい人の大半も、元は無関係の人が 大半な事も多いでしょうから。 めぐって自分の為になってくれる事も多いですよ」 どうですか、隣人愛。みたいな軽さ。 なんて暢気に構えていれば、次の瞬間、突然の浮遊感。 「ひゃ、 ひゃあ!? 「す、すみませんすみませんっっ!! 調子に乗って酷い事を言いましたっ!」 「アレッサンドロさんは十分頼りになります!!!」 ここで更に煽ることができれば大物だったかもしれないが、 如何せん女はこういう時、勢いに押されるととても弱い気弱な人間だった。 ひんひん泣き事のようにあなたに謝罪、もとい拙い誉め言葉で何とかして貰おうとしている。 勿論、そのまま走られればそれはそれで小さな悲鳴が上がるくらいで、抵抗も何もしないだろう。むしろしがみ付いてくる。 (-661) 2023/09/23(Sat) 17:30:09 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 笑う カンターミネ大抵の場合、力を手に入れた者は傲慢になる。 それが公に認められた物なら尚更。是非を問うものもいるが、どうあれ新法は認められこの国で力を持った。 警察とマフィアの力関係を完全に傾かせる悪法だ。それでもそれは大々的に公布され施行された。 警察は力を手に入れた。賛成派はマフィアに裁定を下すガベルを手に入れた────お前は悪である。 力を手に入れた人間は、それを誇示するためにどんなことでもするものだ。 そして。 その優位性を脅かす背教者に対し、徹底的に冷酷に、残虐に接するものだ。 既に尋問を損じたことを、男も薄ら気づいている。 認められない頑固さが、新たな目的を作り出した。 この生き物 には罰が必要だ。それも、とびきりの。▽ (-662) 2023/09/23(Sat) 17:42:23 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 笑う カンターミネ吐きかけられた唾は男の顎から頬にかけて散っただろう。 それを男は甘んじて受け入れた。先程までの激昂から一転、酷く冴えた表情がそこにある。 貴方は笑っている。 覆い被さった男は、その笑みを更に広げさせるようにした。 笑っているということは、もちろん口は開いているんだろう。 口の両端に親指を差し込み閉じ切らないようにする。 貴方の舌が動かないように固定する。 そして、 それまでの間に何か手を打たなかったのであれば、 男の影が貴方に重なるようにして────ひとつ。 愛も情も好意もあるはずのない口づけを、貴方に。 (-663) 2023/09/23(Sat) 17:42:58 |
【秘】 favorire アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「え、」 デスクに忍ばされていたメッセージを読んで、 書かれた追記の文を見るとぱっと慌ててそれを隠して、 今度は周囲の人に見られないように注意を払いながら 時計を確認した後、「巡回に行ってきます!」と 唐突な振りをして、警察署を飛び出した。 ここで誰かに相談をしていればよかったのに。 或いは、誰かがその不審さに気づいてくれればよかったのに。 けれど今、それを一番気にしてくれていた幼馴染二人は牢の中。 女を止める人はもう職場に片手で数えられるほどしかおらず、 それら数人が付きっきりで見ている筈もないのだ。 そうなれば、振り込め詐欺にすら引っかかる女は安易にその誘いに乗る。 「──あ、あの……」 「そ、相談、は……」 指定された港の倉庫XX番裏手。 碌な荷物も持たず、常に身に着けているベレッタのみの状態で頼りなさげな様子の女は、倉庫に姿を現し、おどおどした様子で周囲を見渡していた。 そんな態度が余計に検挙する側からすると怪しく見えるのは皮肉でしかない。 (-664) 2023/09/23(Sat) 17:44:55 |
アリーチェは、止めてくれるはずの幼馴染二人は、傍にいない。 (a24) 2023/09/23(Sat) 17:45:13 |
【秘】 favorire アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ/* こんばんは、ラッシュ時改札失敗猫です。 確保の方法、了解しました! アリーチェは愚かな女で入村文ですらあの様子ですから、容易に引っかかって確保されると思います……ありがとうございます……愚かをプレイさせて下さって……嬉しい…… 特に不都合などありませんのでそのまま進めて頂けると助かります。よろしくお願いいたします! (-665) 2023/09/23(Sat) 17:49:12 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ貴方のように笑う人たちを知ってる。 自分は絶対に火の粉がかからない場所で、 弱者が蠢くのを見ては楽しみ、あるいはもっと動けといたぶって。 そうして野蛮な獣性を発散しては、表社会では さも理知的な人物であるかのように振る舞う。 ……… 児童を買って欲を満たす金持ちと同じ笑い方だ。 「………楽しそうね、アンタ…………」 「一生笑ってなさいよ。いつか自分が正義、っていう 思い込みから覚めた時、アンタがどうなるか見物ね。」 ヴィットーレは。 たとえここで貴方に腕をもがれ、目を潰され。 命まで奪われようとも、何も話すことはないだろう。 だから、きっと。 貴方が満足するまで、玩具は鳴り続けるのだ、ずっと。 (-666) 2023/09/23(Sat) 17:51:56 |
【教】 favorire アリーチェ「ち、違───!!」 「……違、わない、……かも、で、ええと……」 貴方の目論見通り、あと一歩で言い切りかけたのだが、 すんでの所でストップがかかり、踏み止まったらしい。 それでも差し出された猫箱は猫箱のまま、まだそこにある。 「……わからない、わからないけど……」 「せっかく掛けてくれた言葉を、その通りに…… ありのまま受け止められなくて、一人傷付くのは、 ……きっと、良くない事じゃないか、って思う」 片頬を机に着けながら、少し横向きの姿勢になり、 貴方の方を見つめる。 「……ペネロペだって博愛主義なんでしょ。 もし、身近な誰かにそんなこと言われたら、どうする?」 (/8) 2023/09/23(Sat) 17:57:22 |
【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード「オウ、いいな。 つうて一人じゃキツいだろ、ロメオ辺りも呼ぶか?」 どこまで片づけさせるつもりだろうか…。 格子の中ということを忘れるくらいに、 なんだか楽しそうに笑っている。 「そか。お前は真面目だねえ。 ……だが、俺も同感だ」 カポ・レジームにまで上り詰めた男は、掌を添えるようにして腕を組み溜息のような音を出す。 「立場のために生きてもしょうがねえが、 やることのために立場を求めるなら、意外とうまくいくもんだ。 頑張ってペネロペより偉くなって、あいつを顎で使ってやれ。便利だぞ」 そうしてこの、ろくでもない上司の誕生ということだろうか。 (-667) 2023/09/23(Sat) 17:59:43 |
【秘】 黒眼鏡 → favorire アリーチェ「コストが多そうな生き方で……いや、否定するつもりはねえ。 だが俺は人付き合いっつうとどうしたってメリット、デメリットで考えちまうな。 それを愛と呼ぶのは、俺的には不義理が過ぎて――」 ぼやぼやと話しながらも持ち上げて、太腿まで抱え上げて振り回す。 「はっはっは、それでいいそれで〜」 けらけらと笑いながら走りだし、 共同墓地を脱走した辺りで唐突にすとん、と地面に降ろす。 怪我しないようにしっかりと脚から――配慮する場所がそこそこ違うが。 「ほい到着。共犯ご苦労」 軽々と持ち上げたように見えるが、 腰に手をあててトントン、と叩いている。 重たいとか文句をいう様子ではなく、多分習慣的なものだろう。 「つうわけでな、もしよければまた付き合ってくれ。 今まで来れなかった分こねえとな」 ──そうして、に、と笑うものの。 男がもう一度、ここに姿を見せることはなかった。 (-668) 2023/09/23(Sat) 18:04:41 |
【秘】 笑う カンターミネ → 幕の中で イレネオそうして冷静さを取り戻した男の顔には、 この女はきっと狂気を読み取った。それは爆発。 何かしら、追い詰められたものが為す行動。 振り切ったゲージの針が止まった状態。 こうなってくると、目が覚めるまではおかしなことをし続ける。 そら、来た。指に噛みついて千切ってやろうか。 いや、きっとそれは難しい。歯の根を抑えるならまだしも、 口の端に指を差し込んだだけなら、精々皮が一枚程度。 舌を抑えられちゃ喋るのは困難極まる、 精々間抜けな音を上げるだけ。 そう考える間に、男の影がゆらりと重なってくる。 それはきっと、先に過った強姦魔のそれとよく似ていた。 途端、これは『先生』でも『マフィア』でも 『罰されるだけの生き物』でもなくなった。 ほんの僅かに頭を逸らすと、あなたの指で 口内が切れ傷つく事を厭わず、思い切り頭突きを振るった。 無論、大した威力ではないだろう。 だが人体で振るわれる、凡そ非常に硬い部位の直撃は、 互いの脳を揺らすはずだ。男の唇が重なったとしても、 この女はただでは済まさなかっただろう。 それはお前の物じゃねえよ、と内心に激昂を宿して。 (1/2) (-669) 2023/09/23(Sat) 18:05:37 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ笑顔が消えた君を見て、 同じように男の表情からもいつもの笑顔が消える。 代わりに浮かぶのは、 リヴィオ・アリオストという無敵で幸福な男とは違う、 どこか弱々しくも見える一人の男の笑顔だ。 しかしそれもほんの一瞬のこと。 きっと気のせいだと思えるくらいの間だった。 「……ありがとう、ダニエラ君。 君の仕事が増えてしまうのは困るから」 「………明日、明日の午後に休みを取らせてもらうよ」 動揺と混乱の続くこの署内で、 まともに仕事に手をつけている人間は少数で。 明日が来るとも分からない今、 今日に頑張る必要があった。 誰がその行いを誉める訳ではないと、知っていて尚。 「辛くなったらその時は早めに早退する。 だから、大丈夫だ。心配をかけてすまないね」 (-670) 2023/09/23(Sat) 18:13:48 |
リヴィオは、「これじゃあ無敵失格だね」といつも通りに笑う。 (a25) 2023/09/23(Sat) 18:15:07 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ「楽しいわけがないだろう」 本当に? 「嘆かわしいよ。こんなことに時間を取られて」 本当に? ひゅん。 がん。 男に最早自制も内省もない。 それらの声は聞こえない。けだものの息遣いが染めて聞こえない。 装甲のない先端に金属の平面が降った。 問いすらない。あるのは痛みだけ。 貴方が逃れようとしないのならば、 男もまた、逃れる選択を与えない。 (-671) 2023/09/23(Sat) 18:15:42 |
【秘】 笑わない カンターミネ → 幕の中で イレネオそして、それがあなたの鼻柱に叩きこまれたのだとすれば、 これは侮蔑を持って高らかに歌う。 「最初の一撃の意趣返しだ」と。 机の代わりに骨を叩きこむ。負傷する箇所まで、鏡のように。 あなたの選んだ手段はきっと、最も正しかった。 拷問において重要な事は、相手の大事な物をけがす、 その素振りを見せる事。だから、きっと最初からあなたが 『正義』ではなく、下卑た生物として提案していたのなら。 或いは、この拷問、いや尋問は、実に正しく、 そして素早く、機能していたかもしれない。 それくらい、カンターミネにとって"それ"は大事な物で、 簒奪者には決して屈しない、その為の柱であった。 反撃が齎したものがどの程度の抑止になったかはわからない。 ただ、この『野獣』になった女は、アドレナリンの力を借りて より、一筋縄ではいかない生き物と化した。 再び唾を吐く。今度はあなたではなく、汚水の中へ。 暗に「お前の居場所はそこだ」と言うように。 手近、いや足近な机を蹴飛ばし、可能なら椅子も、壁も。 暴れて事が大きくなれば、署員が駆けつける可能性もある。 同じ手段を続けるか、否か。 拷問官でないあなたは、正義の下に見極める必要がある。 尋問をこのまま続行するか。 (2/2) (-672) 2023/09/23(Sat) 18:15:56 |
【教】 コピーキャット ペネロペ「俺は俺でそいつはそいつだろ。 そもそも俺の周りは恋愛っ気のある奴いねえし……」 身近な誰か、と言われて思い浮かべるのは 誰も彼も、というよりそもそも自分が無縁な人間だ。 「その上で敢えて言うなら、考える余地は無いわけじゃない。 だからお前が踏み出さなきゃ前にも後にも進まねえんだ。」 「自分にも周りにも嘘吐いたまま生きてくよりは、 いっぺん素直に言っちまった方が誠実ってもんじゃねえの」 不誠実な生き方をする人間は、他人事だからこそそう言える。 (/9) 2023/09/23(Sat) 18:20:15 |
【神】 コピーキャット ペネロペ「ははあん。そいつの顔を拝んでみたいね。 クラッカーから厄介事まで 何でも寄越してくれそうなツラしてんだろうな」 誰かわかった上で言っている。 パンは一つ拝借して、 ピザソースとチーズとソーセージを挟んでピザサンドにした。 #アジト (G25) 2023/09/23(Sat) 18:31:30 |
【教】 favorire アリーチェ「う……わかってはいるのよ、皆全く違うって。 でも、今、こんな大変な状況なのにこんな事言えるのは、それこそ夢の中くらいしか思いつかなくて……」 アリーチェの中でもさすがにこんな悪法が飛び交い逮捕者が続出している時に、友人相手であっても話すのは憚られるものだった。 かと言って、ない事にできる程器用な女かと言うとまた違う。 そう言った意味で、普段の意識とは違うここで、友人の貴方に相談できることは幸いであった。なんせ、ただでさえ落ち着かない女が自己の感情を整理できてないとどうなるかなんて、火を見るより明らかである。 「……それは、そう、かもしれない。 嘘つくの一番苦手なのもあるし、つきたくない…… どれを選んでも、絶対痛みがあるなら、 わたし、誠実さを選びたい。ありがとうペネロペ。 いつか平穏が戻ってきたその時は、進んでみる」 (/10) 2023/09/23(Sat) 19:01:08 |
【教】 コピーキャット ペネロペ「おう、貸しはこれでチャラにしておいてやる」 そう言って、スプリッツのグラスを揺らす。 こちらも落ち着いて酒を飲める時間など限られているもので。 時間を気にせず酒に酔えるこの夢は大層都合の良いものだった。 「そんで……そうだな、 何か進展があったら教えてくれや。お友達のよしみでな」 仮に、いつかこの夢を見る事が無くなっても。 一度会った縁なのだから、またどこかで会う事もあるだろう。 そんな縁を途切れさせない為の、他愛無い約束だ。 (/11) 2023/09/23(Sat) 19:08:00 |
【秘】 favorire アリーチェ → 黒眼鏡「う、うぅ〜……やっぱりマフィアの方だぁ……」 今回に至っては性格の話でそう関係してはいないと思うが、 存分に振り回されて、突然降ろされて。 感情のジェットコースター状態のふらふらな思考は、この強引さをマフィア由来の物だと判断したらしい。偏見だ。 配慮して貰ったのでよたつくこともなく、 素直に地面に着地をし、一瞬腰に手を当てる動作に そんな太ったかとまた余計な困惑が増えそうになっていたり。 暫く観察して習慣的なものだと気づけば胸を撫でおろしたり。 「は、はぁい……おつかれさまでした。 どうぞ、いつでも来られてください。教会は誰にでも開かれていますし、共犯が必要なら私がまた出ますので」 喜怒哀楽の全てを散々に見せたあと、また来訪を考えてると言った言葉には、ぱぁと面を輝かせていた。 「お待ちしていますね」 そうして、後日。 例の悪法により捕まった人の中に貴方の名前を聞いて、 この教会への来訪がなくなるのを察したのは別の話。 (-673) 2023/09/23(Sat) 19:16:38 |
【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡「ああ、先輩がいてくれたら助かりますね。 重いものも二人で動かせるし……」 何やら本人の与り知らぬうちに重労働の予定が入ってしまった。 それを可哀想にと思う人間はこの場にいなかった、悲しいことに。 勿論本人の予定を聞いてから調整すればいいのだが。 「まさか、そんな。 いやでも、うーん、気持ち的には……?」 尊敬する人より上に行け、というのは発破にしても畏れ多い。 そのくらいの気持ちで食らいついて行け、というのならば理解はできる。 けれど、今はせいぜい背伸びをして肩を並べるのが想像の限界だった。 (-674) 2023/09/23(Sat) 19:17:11 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェあなたの大事な幼馴染たちはもういない。 そうでなくとも人員が減り多忙を期した警察署内で、あなたのその様子が見落とされたのは致し方ない。 …ともすれば、だからこそ女も、こんな簡単な方法を選んだのかもしれなかった。 「――こちら、ポイントX。」 「被疑者が現れました。」 「…これより、確保に移ります。」 足音より何よりも先。 聞こえたのはそんな声だった。 次いで、かつりと革靴の底が地面を叩く音。 振り返ったあなたの前にいるのは、眼鏡を外した女の姿だった。 手にした無線から何やら声が聞こえ、「Sì」と女は短く返す。 弧を描いた口元のまま、ゆらりとその瞳があなたを捉えていた。 「あれえ。」 「アリーチェさんじゃないですかあ」 わざとらしい声だ。 かつかつと、同じ音を立ててあなたへと近付いてくる。 (-675) 2023/09/23(Sat) 19:22:51 |
【教】 favorire アリーチェ「……いい報告ができるといいなぁ……」 「勿論、大切なお友達だもの!どんな結果になっても、 アドバイスしてくれたお礼の気持ちと一緒に ちゃんとお伝えしたいから、待っててね」 この見通しのつかない雁字搦めの時世が いつまで続くかわからないけれど、 自分がもし捕まろうとも、夢をみなくなろうとも、 切れない約束を交わした所で、この日の夢は覚める事だろう。 (/12) 2023/09/23(Sat) 19:23:29 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 路地の花 フィオレ多くを震撼させたニュースが出回った日。 姿が見えなくなった上司は貴方に連絡をしていた。 その登録されていないメッセージはやけに遅れて届いてしまっただろうか。 『明日日が昇ったら、何があってもこの俺に会いに来い』 『愛しの上司より』 姿をくらました彼への会い方は少し厄介かもしれない。 情報の少ないその電子文にまだ書かれていたのは一つの店だ、そこに行けば会えるのだろうか。 (-676) 2023/09/23(Sat) 19:33:25 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ女は人を、よく見る方だ。 いや、人をよく見なければならなかった。 だからきっと、その一瞬の変化だって。 「…よかったあ。」 そうして安心したように笑ったその顔が、一体何に所以したかなんてあなたに知れるはずもなく。 ただこの笑顔は本物だった。 偽物と本物の堺境なんて、意図して笑おうとした時でない限り女にとって曖昧になっていたが、それでも。 「絶対ですよお?」 「明日もこの時間にお仕事してたらあ、あたしが連れて帰りますからあ。」 しかしその言葉の根幹にあるのは、本当にただ心配な気持ちだけではなかったのかもしれない。 あなたがこんなに仕事をしなければならないのも、元を辿れば自分に大いに原因がある。 だから。 「んふふー。いいんですよお。」 「…そのぶん、早く体調、治してくださいねえ」 続いた言葉につい浮かんだのは、 「無敵になんて拘らなくてもいいのに」なんて言葉だったが。 今は、言わない。 これ以上、あなたの手を止めてしまうのも悪いと思うから。 (-677) 2023/09/23(Sat) 19:40:14 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 幕の中で イレネオ「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜!」 「───あァァあああ! 末端の、神経の敏感な、剥き出しの肉。 そこに来る衝撃に、出したくもない叫び声が出る。 痛みに対する防衛反応のひとつだ。 声を出すことで、痛みを誤魔化すという。 ………貴方からすればそれは、大の大人が痛みに喘いで 泣き叫んでいるようにしか見えないはずで。 「……Vai all'inferno……ッ」 口汚い言葉も、余裕のない証。 食いしばりすぎた歯がミシミシと音を立てて、 刺激に対する反射として出てきた涙が頬を濡らした。 (-678) 2023/09/23(Sat) 19:44:29 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ気持ちがいい、快楽の波の高いところにずっと押しやられて、死にそうだ。 「あ、あ、ちょ、んんっ、ふか、い」 深い。激しい。 もう自分が何を言ってるのか分からなかった。 悲鳴と嬌声に区別がつかないように、痛みなのか、恐怖なのか、快楽なのか、もう何もかもがわからない。 自分の胎の中にそれを必要とする臓器はないけれど、穿たれる度に中がいっぱいに満たされている気がする。 喉元を食われ、なんだか更に自分を穿つものが大きくなった気がする。 無理無理と首を横に振ったけれど、勿論止まるはずもない。 折り曲げた身体の上からぶすりと何度も突き刺さすように奥を突かれて、悟った。 もう、限界なんだと。 「あ、ぁ―――――ッッ」 幾度も激しく強く穿たれ限界を超えて、たまらず喉を沿って、きゅ、と花浅葱の双眸を閉ざす。 高みまで昇りきったら、あとは落ちるだけ。 中一杯に放たれた欲は熱くてどくどくと波打っている。 収めきれなかった欲が太ももを伝ってたらりと流れ出す感覚すら心地よくて、しがみついていた手を下ろしながらも、小さく身を震わせた。 (-679) 2023/09/23(Sat) 20:00:26 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 無敵の リヴィオ「先輩は……どう、思いますか? この法案と、今の現状」 「いくらなんでも、強引すぎる逮捕は治安の向上どころか、悪い影響ばかりがでてきている気がします」 今日は忙しかったみたいですね、と申し訳無さそうに眉を下げて。 ひそり、と語りだす。 あまり周りには、聞こえないように。 「あの。協力、してくれませんか」 失敗すれば、警察を辞めなければならないかも、しれない。 もしかすると自分も逮捕する候補に入れられるかもしれない。 それでも逮捕された無実の人を思うと、やってやれないことはないと思っている。 それくらいは、意志を固めていた。 「わかったんです。 どう調べても尻尾が掴めなかったアリソン・カンパネッロの、正体」 「それを白日の下に晒して、所長代理を告発しようと思います」 力の限り、叫んでやることを決めていた。 (-680) 2023/09/23(Sat) 20:15:50 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ「手遅れかどうか決めるのはこっちだ。 直接被害を被ってるのは他人だからな……!」 やけっぱちだった。 偽善の面もマフィアの面も保つのが難しくなってきてしまって。 貴方の前で見せられるのは、大人の真似ができてしまう少年だ。 口調や態度がもう崩れかけているのを自覚しつつ、自らを落ち着けるように深呼吸を繰り返す。 貴方への畏怖や敬意の念が薄れたわけではない、ただ近くで見続けた慣れ親しんだものに近く見えてしまったのだ。 どうしょうもなく救えない、救わせてくれようともしない敬愛しているあの背中に。 もしかして本当に貴方達は似た者同士で、遠い昔に全てを置いてきねしまっているような人間なのではないか。 結局は他人、ただでさえ初対面。それでもこれは。 貴方と昔から縁があればあるほど今この瞬間動けなかっただろう。 段々と現実が身に沁みてくるように冷たくなる身体に新しく吸った息を取り込んでまだ真っ直ぐ見続けている。 貴方は本当に一体どれほどの月日をその空っぽの心で過ごしていたのだろう。 事件以外、出生にも関わることだろうか。気になり始めたら何もかも知りたくなってしまう。 それ程にルチアーノの知識欲というものは強く、時にその頭脳と本質はその身を滅ぼしていた。 血は争えない、知るだけで毒である情報もなんでも読み込んで欲してしまう。 それでも、どんな現実がそこにあろうとも、真実を知って後悔をしたことなど一度もない。 → (-681) 2023/09/23(Sat) 20:20:23 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 情報屋 エリカ「そっか。 いや、ルチアはかなりの情報網だったから……何か危険なことをしてるんじゃないかと思ってね。 大丈夫なら、いいんだ」 ほっと胸をなでおろし。 明らかに安心の色を見せて、次の言葉を聞く。 【A.C.A】と聞けば、ぱっと思い浮かぶのは黒眼鏡の男だ。 そうか。先輩もまた、あのチームの中に居たのかと、小さく息をついた。 「先輩の心の内はわからないな。 そんなにあの法案は画期的だと信じていたんだろうか。 ……まぁ、それは君に言った所で意味はないけど」 その声色に、驚きの声はない。 ただ淡々と、それを受け止めていた。 (-682) 2023/09/23(Sat) 20:21:38 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ時に、たったこれだけの逢瀬でも分かってしまったこともある。 貴方を純粋に好いた人間が、必ず、確かに居たことだ。 そして彼らが今何を思っているかも痛いほど理解ができる。 「……気前が良いなあ、まだ仕込が残ってるのか。 聞かせてくれ……言ってくれよヴィンセンツィオ」 だから今貴方の言の葉に酷く引き寄せられた。 それがどんな内容でも、地獄のような場所にでも足は踏み入れると決めていたから。 (-683) 2023/09/23(Sat) 20:23:14 |
【秘】 favorire アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「……っ」 被疑者?確保? 何の話かまるでわからず、突如現れた眼鏡をかけていない 珍しい姿の貴方を、穴が開く程に凝視する。 「……ダニエラ? あなたなの?私をここに呼んだの……」 貴方の手に持つ無線につい視線が行ってしまう。 誰かと通信している?それはわかるが、 自分が個々に呼ばれた意図がわからない。 その発想を脳を拒否しているのかは、本人ですらわからない。 逃げる様子はない。かといって困惑しきりの様子で。 見えない何かに怯えるように、かつ、と靴音を慣らして一歩後ずさる。 「……こんな所に呼び出さなくても、わたし、話聞くよ? この前の件の事が気になったからこんな所に呼んだの?」 この状況での察しの悪さは一流ともいえるほどで、 それは貴方の裏切りを理解していないと言うことでもある。 だから自然、いつもの友達のように声をかけるだけで。 (-684) 2023/09/23(Sat) 20:27:57 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ「法に則った刑じゃないです、こんなの……」 正しく嫌悪感を抱く事が、難しい。 だってこれまで、ずっとこの人の下で働いてきたんだから。 最悪の上司だったならともかく、あなたは少なくとも、自分にとってはいい上司の部類だった。 でなければ、自分の身の上の話など、頼まれたってしない。 「あなたは確かに、法案が撤回されたとしてもここから出ることは出来ません。 それくらいの証拠が出ています……でも、まだ」 僕は困惑しています、と小さく呟く。 そう簡単に、イメージを変えることは、自分には出来なくて。 「どうして、警察でありながらそんな事を……していたんですか?」 教えてはくれませんかと、問う。 ぶつける怒りはない。 鬱憤も、欲もない。 ただ熱の乏しい花浅葱の双眸が、あなたをじっと見つめている。 (-685) 2023/09/23(Sat) 20:31:36 |
【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ「…あぁ、絶対だ。君に約束をしよう。 明日は必ず、午後からは帰らせてもらうよ」 君のその奥底までの感情を理解するには、 語り合うには今この場では時間が足りない。 男が気付いていたかさえも分からない。 ただ、君にいつものように笑いかけるだけだ。 「勿論、早く治して元気に働くとするよ。 半日休めば仕事の疲れもぱっと取れるさ」 「…よし、それじゃあ明日のためにも 仕事の続きに向き合おうかな。 話が出来て良かったよ。 犬カフェの件もまた後日話そう」 楽しみにしているよ。 そう付け足しながら端に避けた書類を元に戻し、 フォカッチャは空の紙袋へと仕舞って鞄の中に。 君が立ち去るようであれば手を振って、 その姿を見送り、業務の続きへと戻るのだろう。 (-686) 2023/09/23(Sat) 20:33:15 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「はいはい、おんぶですよ」 あんまりにもこどもみたいだから思わず笑ってしまった。 背中に感じる重みと体温は想像よりも軽くて、それでも別の重みを感じたのだ。背負って歩けないほどではない。 けれど大切な重みだった。 「はーい。オレんちに帰るからね」 マスターに礼を言って、店の外に出ればいい風が吹いた。 火照った体にしんと染みるような涼しい空気は、 確かに秋を連れてきているのだ。 家は近い。おぶって歩くにはやや遠いか。 それでもたまにはこんな帰り道もいいだろう。 背中に聞こえる模索に、少しの気恥ずかしさを感じて。 「……〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜♪」 「……───♪」 ふと、教会にいた頃にずっと聞いて歌っていた、 聖歌の一節をハミングする。 どうか子守歌の代わりにでもなればいいと思った。 どうかおやすみ、かわいい子。 月明り、夜道に二人の影がある。 兄弟の影だ。 ひとりといっぴきの影ではないのだと、 貴方と出会って初めて、ここで思えたのだ。 (-687) 2023/09/23(Sat) 20:38:29 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ貴方がデニッシュにかぶりつくのを見て、こちらも真似るようにパンドーロを一口。 クリスマスシーズンによく出回るものの年中置いてあるパン屋も多い。 ふんわりとした柔らかさに上品な甘さ、粉砂糖から香る微かなバニラの芳香に目を細めた。 そうしながらも話に耳を傾けていれば、貴方自身マフィアを良く思っているわけではない、が伝わってきて視線を上げる。 「……ヴィトーさんらしい、です」 いなくなればいい、そこまでの感情は同じだとして。 末に望むのが"隣人"であるということが、己が好む貴方の暖かさを示してくれているようだったから。 袖を掴んだ指先はそのまま、払い除けられないと知っていたように。 落とされた言葉はまるで祈りのようにも思えて、それが自身に向けられている事実を噛み締めてはたしかな喜びを抱く。 「へへ、悲しいにはなってほしくないなあ。 オレ、だからちゃんと前を見ていたいです。 迷っても、悩んでも……ほら、止まない雨はないっていうし。 ヴィトーさんもきっと、そうやって歩いてきたんですよね」 小さなころから男が見てきた貴方は、もう随分と大人で。 今でもまだ、あの頃の貴方と同じ齢を重ねることさえできていない。 だから今の自分のような姿は想像ができないけれど、なんとなく、そうなのかなと思ったから。 「……そっか。 それだけでも、いいんだ。 すぐに何かするのが難しくても……誰かの安心にはなれる」 「あはは、だめだな〜。 なんだか急いちゃってそういう、大事なこと抜けてました。 ヴィトーさんと話してるとオレ、まだまだ視野が狭いんだっていつも思います。 年の功?もあるんだろうけれどヴィトーさんぐらいになったとき、ちゃんとそういうこと言えるかまだ全然想像つかないや」 (-688) 2023/09/23(Sat) 20:39:03 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオさて昨日は美人か色男で選ばれたのは美人だったんだったか。 かなり前から知っていたんだぞ? 朝からそれを聞かされていた俺の気持ちを考えてみろ。 よくもまあマフィアの情報網を二人も抜こうとできたな。 なんて。俺はずっと気楽だ、何も気分が変わらん。 この程度、知ってしまったら嘘にも裏切りにもならないんだよ。 「だーから休ませてやるといってる。 警察の連中は好きだが、お前達の職場環境は今回の取締法で悪くなるばっかだろ」 そんな強引な罰などどんな物好きでもいらないだろうが。 「俺の幼馴染も寝不足でなあ……。 いやーあいつを牢屋にぶち込めばよかったか? そこまでお嬢さんにさせられんよなあ」 ▼ (-689) 2023/09/23(Sat) 20:40:04 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ「や、め……!」 殴り飛ばされ、意識は多少戻ったけれど。 薬に犯された体は言うことをまだ聞かない。 貴方の手が伸びた先。 新たな錠剤に、何をされるかなんて考えるまでもない。 脳が警鐘を鳴らすのに。 貴方の手は容易に男を捕らえて 男の体は生きる為に、息を取り込もうと口を開いた。 顔を逸らそうとするのが 精一杯の抵抗だ。 (-690) 2023/09/23(Sat) 20:42:05 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオ「アリーチェはニコロが変な言い方したんでな。 白だよなあ、やっぱり。まあいいか……。 任されたが俺が世話できるのは牢の中でになるんだし。 それにしてもやっぱあのボヤ野郎。 あいつ……俺が立ち寄った直後に店を燃やしてよ、証拠全部消してやがったんだ……建て直すのに無駄な金がかかる。 経費で落ちると思ってんのか?」 声に出すと色々聞けるもんだな、と何かを正してくれる貴方に苦笑いをした。 そのまま渡されたロゼッタを咥えてあっという間に飲み込んでいく。 自分も食欲があるかと問われれば別であったが、貴方に与えられた食事を食べないわけにはいかないから。 口についたソースをぬぐいながらだったが、肩を組まれるのを拒むはずもなかった。 さっと手早く携帯を操作する、さてそろそろこの新品ともお別れの時間か。 たった一日で使えなくなるとはこいつも思わなかっただろうな。 ▼ (-691) 2023/09/23(Sat) 20:43:22 |
ニーノは、十九年の人生で自分がした、悪いことを数えている。 (c29) 2023/09/23(Sat) 20:46:39 |
ニーノは、この現実がこれまでの罰であるなら、帳尻が合うはずだから。 (c30) 2023/09/23(Sat) 20:46:48 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 無敵の リヴィオ名残惜しいと感じているのは自分だけじゃないといい。 離れた熱を、その手を想いながら目を伏せた。 全て終わったらこの友達ごっこ一日ぐらいならやめてもいい。 その時の俺はお前より見るに耐えかねない自信がある。 牢屋に遊びに来てくれたら見せられるかもしれないが、 仕事は増やしてしまったから期待はしないで留守番をしよう。 「しばらく全貌は明かせなさそうだがー……まあ大方。 こうしてお前を引っ掛けられた時間が出来たと考えよう」 好きだとか嫌いだとか、愛だとか、恋だとか。 真っ当ではなくとも不器用で雑なものを受けてきてしまった分、妙にひねくれて理解をした。 それが永劫に続くことではないことを知っている。 自分も持てるわけではないことを知っている。 どんな感情もいつまで続くかなんて信じられない、いつだって信じられるのは己だけ。 「勿論一緒に行くぞ、三日月島に俺の好きな店がある」 だから何でもやりたいように好きなことをする。 不信も疑いも全て含め真実を知った上で、 信じていた時と振る舞いを変えないこの面が。 あなたの友人……になろうとしている、 ルチアーノ・ガッティ・マンチーニの本当の姿だ。 (-692) 2023/09/23(Sat) 20:53:17 |
【独】 コピーキャット ペネロペ次に、その次に捕まる人々を。 人々が捕まった理由を。 人々の抱えた秘密を。 客足の遠のいたこのバーに居ても、情報は入らない事を。 (-693) 2023/09/23(Sat) 20:57:52 |
ペネロペは、知っている。 (a26) 2023/09/23(Sat) 20:57:58 |
【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ/* このロールは個人的な演出の為のものであり、NPCの傾向を決定づけるものではありません。 全てのネームド、及びNPCに対する印象操作のためのものではなく、 極々一部の個人だけを指すものであるということをご理解ください。 夜は誰の気も知らぬように更けていく。 秋めいてきた空気を吸った冷たい壁は、留置所に少しの冷え込みを落としていた。 こうした施設は留置する人間を苦しめるためにあるわけではなく、福祉の面は配慮される。 とはいえ申し分ないほどにとはいかず、暖を取るには寝具にしがみつくほかなかった。 鍵の開く音でヴィトーは目を覚ます。誰かが入ってきたようだった。 気づいて目を覚まさぬほど男は場数を踏んでいないわけでもなかったが、敢えて知らぬふりをする。 聞けば、入ってきたのは数人ほどのようだった。 慎重に足音を消そうとしているにも関わらず、各々の号令を待つように囁き声が聞こえる。 真っ直ぐに足音は寝台の横に並んだ。こんな場所に盗みに入るはずもない。 根の愚直さが為なのだろうか。そのうちの一人がヴィトーの背に手を当てて揺り動かした。 起きてください、という声を聞けばさすがに寝た振りもできない。 今しがた起きたかのように振る舞って見上げると、すぐに一人が手を、一人が足をと取り押さえた。 業務では普段一切使うことのないだろう縄の類いが手首に掛けられる。 「何のつもりだ」ヴィトーは言った。見上げた先の顔が怯んだ気がした。 明かりもなく互いの人相もほとんどわからないのに、ヴィトーは声で相手が何者かに気づいた。 いくらか声を交わし、多少仕事も共にしただろう遠い立場の部下たちだった。 彼らの形相は怒りと悲哀が混じり、こうしたことに及んでまで未だ混乱を湛えていた。 腕を頭の後ろまで抑えこんで、一人が覆い被さる。何が行われるかは明白だった。 よくて暴力、過ぎれば暴行。ともすればここで誤って殺されることもないとはいえない。 そうした状況にありながらも、ヴィトーは普段のように少しの動揺もなく見上げていた。 仮にも昨日までは己の頭上にあった声を聞いて侵入者たちは僅かな怯みを覚えたようだったが、 同時にかつての面影をにじませることが、余計に苦しかったらしかった。一人の涙が、腹の上に落ちた。 どうしてあんなことをしたんですか。自分たちを騙していたんですか。そう声が言う。 (-694) 2023/09/23(Sat) 20:58:15 |
【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ今にも殴りかかりそうな雰囲気でありながら、彼は敬語を崩すことが出来なかったらしい。 「そうだ」逡巡も無く男は言葉を向ける。途端に、頬に鉄拳での一撃が飛んだ。 口の中に歯の刺さるような厭な感触を覚えながら、ヴィトーはゆっくり顔を戻した。 効いていないのだとわかると、更にもう一撃が飛んだ。それを予期していながら避けなかった。 どうして、と問い詰める人間が欲しいのは相手に訴えが伝わることだ。伝えたいのだ。 だから、取り付く島もないとわかれば苦しみが募る。仕方のないことだった。 拳の主は震える手で首根っこを掴み、ヴィトーに何度もいつかの栄華と失墜を聞かせた。 言葉にしてしまえば楽になる、などということばかりではない。 己の言葉に表してしまった声は耳から入り、彼ら自身を苛んだ。 理不尽に壊れそうな心を鎮める手段は、時間が無いほどに手段もなくなる。 侵入者はヴィトーの服に手を掛けて、薄い着衣を一気に剥いだ。その下には幾つか痣があった。 無抵抗の人間を殴りつけたのだろう痕を見て、侵入者は気が大きくなったらしかった。 自分たちばかりが指さしているのではないという、見えない誰かへの連帯感だ。 肩から足元まで肌が露わにされ、荒れた掌を這わされる。弾力のある生きた感覚に僅かに息を漏らした。 艶を帯びた吐息に、指の主が息を呑む。勢いがつえば止まらないように、胸板に手を乗せる。 「ん、」鼻を抜ける息が冷たい空気に混じった。鍛えた体は色めいたものとは異なっている。 過去の捜査で負ったのだろう傷もあれば、年を取って水気は失われつつあった。 働き者といったほうが近い体の上を幾つかの手が這い回る度に、肩に僅かに赤みがさす。 丁度明り取りから月光が差して、ヴィトーの体を照らした。引き締まった体に皮膚が張る体だ。 行き場のない感情をより集めたような高揚の息が、覆い被さる者から吹きかけられた。 着衣を緩め、両足を広げた間に入り込む。固くなり始めた幹を擦り、裸の膚に押し付けた。 体液の匂いと温度を、上昇する体温とは裏腹に無感動な目が睨めつける。 今起こっていることに対して、なんとも心の動きを持っていないかのようだった。 女に同じようにするにしたって乏しい体液が侵入者の掌に集められ、ぬるりと幹を支える。 (-695) 2023/09/23(Sat) 20:58:42 |
【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ同じ性別同士だから持ち得る性器同士をすり合わせて体を必死に動かすのを見上げて、 「それで気が済むのか」と嘆息するようにヴィトーが呟いたのを聞けば、空気が変わる。 侮蔑めいた態度を向けられたことは、漂う狂気に拍車をかけた。 もう一発、腹に拳が振り下ろされる。げうと息を吐いてのたうち回った。 やっとそれらしい動きのあることに安堵めいた声を侵入者は挙げた。彼は男を責める。 貴方は罪人で、肩書にふさわしくない人で、ずっと不満を持っていたのだと。 きっと彼らは自分のこれまでの恩を塗り替えてしまわないと耐えられないくらい、 ありふれた普通の、正義を信じる人間だったのだ。 その手が赤黒く腫れた肉の塊を包んで、ヴィトーの足の間に充てがわれる。 みちりと、膚の引き切れてしまいそうな音を立てて暴行が始められた。 初めはその手なりを全く知らないような杜撰な有様で、徐々に暴力に慣れはじめて。 数人分の精が体の中へ、外へと吐き出されて、それの何倍もの数の痣が膚に刻まれた。 何度も打たれた皮膚はところどころ擦り切れてしまって血の匂いを漂わせる。 殴られて腫れた頬の内側にできた傷を抉るように性器をねじ込まれて咳き込んで、 悲鳴どころが健康な呼吸の一つも出ないほどに腹を蹴り抉られ、内側から膨らすように犯された。 短くも長い強姦の最中、ただのひとつも、ヴィトーは彼らを責めなかった。 哀れんでさえいるような視線が投げかけられて、なすがままにされていた。 抵抗のないことが彼らの無力感を刺激し、弱い人間の心を苛むたびに暴行はエスカレートした。 それでも、誰ぞに露見するよりも前に彼らはやっと己の心の内の鬱憤を吐き出して、 どうにかこうにか留置所を後にすることが出来た。 足音が遠ざかってしまってからやっと、ヴィトーは体を起こして。 この部屋では何事もなかったのだというように、汚れた着衣を正した。 唯のそれだけのことでしかなかった。 (-696) 2023/09/23(Sat) 20:59:09 |
ルチアーノは、猫は別に好きじゃない。 (a27) 2023/09/23(Sat) 20:59:28 |
ヴィンセンツィオは、揺さぶられながらも己を責める声をただじっと聞いていた。 (c31) 2023/09/23(Sat) 20:59:53 |
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