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【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク「──、」 絶句する。 声さえ聞こえぬこの現状。逃げてくる者が出ている程のこの環境。 手を引くよりも、自らがくたばる可能性の方が大いにある。 「……お前は、俺に、死ねって言ってるのか……?」 地を這う低い声が溢れて進む。 掴んだ藁は、釣針は、それはそれは極めて不安定。 「──もういい。聞こうと思った俺が馬鹿だった」 そう吐き捨てて、今度こそ奇術師に背を向けて去るだろう。ふらふら、ふらふら、まるで逃げ出すかのように。 激流に呑まれ揉まれて溺れて沈む。 脳裏に響く奇術師の声に苛まれ、もう真っ直ぐ歩くのも困難だ。 かき乱された心を押さえつけるように空いた片手で胸を押さえながら男は進む。 とある日のことだった。蛙が流されるまで──あともう少し。 (-183) 2021/07/11(Sun) 15:52:49 |
【独】 商人 ミロクロクさん。 あなたなら、きっと死を選ぶとわかっていました。 だから、ミロクに、取引をさせました。あなたの幸せを。 だから、倫理に問いました。ミロクの生き方に問いました。 だから、わがままを言い切れませんでした。 ミロクという善と正しさの気質を持った生き方に後悔はしていません。 ですが、一つ惜しい事があるとするならば。 私という個人の生き方は未発達だったことでしょう。 もし成長していたのなら、運命は変わったかもしれません。 本当の私は、あなたの死を許すことなんて出来なかったでしょうから。 我を通して苦しめることが出来たら呪われてくれましたか。 それは祝福になりましたか。死んでから幸せなことなんてあるんですか。 あなたは何があっても、苦しくても、 どんな未来でも手に入れることが出来るというのに。 死者の私が何を言っても、想いは通じないのでしょう。 生きて隣にいれば、何かが変わったかもしれませんね。 ごめんなさい。 あなたを幸せにすることが出来なくて。 生きていて善かったと思わせることが出来なくて。 ごめんなさい、私は、あなたを 。 必要としてくれた人として、守りたかったんだと、思います。 (-184) 2021/07/11(Sun) 16:02:13 |
ロクは、とある日の事。ヒラヒラ手を振り見送った。サヨウナラ、お兄サン。 (a5) 2021/07/11(Sun) 16:03:18 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ「―――なんだ、おそろいでしたか」 この声は届きません。 「きっと良い取引が、出来たと思います」 この声はいつまでも届きません。 「私も子供たちを生かして死ぬことが、ミロクとして生きることです」 黒い猫の亡骸をやさしくひと撫でして目を伏せる。 まるであなたの心を見透かしたような言葉。 理由は違えど決意は似たような形で明かされるのだろう。 そして、瞬く間に暴風雨に言葉はかき消され、扉は閉じられた。 (-185) 2021/07/11(Sun) 16:18:50 |
タマオは、工具箱を片手に点検をして回っている。修理はもう要らないかもしれない。 (t11) 2021/07/11(Sun) 16:26:16 |
ミロクは、あの日、彼を黒猫を抱え見送った。『無事に帰ってきてくださいね』 (c5) 2021/07/11(Sun) 16:27:02 |
【人】 遊惰 ロク>>30 >>31 【手術室】 「まァ、そうそう信じられるモンでもないわなァ。 おれも正直、自分のアタマは信用ならねェ」 だから気の違えた男の戯言と思ってくれても構わない、 そんな風に前置いて。 「“友達”だってよ。責めないでやってくれ、だと」 少年に向かって語る合間、少女の方をチラリと見る。 知らせぬ儘、聞かせぬ儘でいた方がいいのかもしれない。 けれどもきっと、遅かれ早かれだ。 その時に、只の罪として背負うくらいならば―― 「……病気で先が長くねェこた分かってて、 どうせ死ぬならお前サンらが助かる方がいいってさ。 食ってやらねェ方が恨まれちまう勢いだったなァ」▼ (32) 2021/07/11(Sun) 16:29:13 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a6) 2021/07/11(Sun) 16:30:59 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a7) 2021/07/11(Sun) 16:31:17 |
フジノは、きっと。肉の正体がわかっていても、口にしていただろう。 (a8) 2021/07/11(Sun) 16:32:25 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、問題は、まァ、ねェけども」 目を逸らし、歯切れ悪く答える。 好意とやらは肌慣れず、どうにもこうにも据わりが悪い。 「……そンなら暇つぶしの相手、してくれ。 もうちっと――助けがくるまでは生きねェとだろうし。 ……あの子らほっぽり出して死んじまうのは、さすがになァ 」ぼやく様に呟いてから、ヘラリと笑いかける。 肩の荷を下ろした、年相応の緩んだ笑顔。 「――そンじゃ、なにから話すかねェ」 暫くは傍に居るらしい彼と、終わりの時まで。 好きなこと、嫌いなもの、他にも沢山。 互いのこれまでと、限りのあるこれからの事なんかも。 暇さえあれば、どこででも話しているのだろう。 (-186) 2021/07/11(Sun) 17:41:10 |
遊惰 ロクは、メモを貼った。 (a9) 2021/07/11(Sun) 18:01:59 |
遊惰 ロク(匿名)は、メモを貼った。 2021/07/11(Sun) 18:02:21 |
【見】 療育 クレイシ病院内にいた人間が知る由もない話。 静かに起きて、静かに終わった一人のお話。 嵐の中突き進む。 それは歩むというより、踊らされているようだった。 前をまともに向くこともできず、よろめいては足を止めて。 飛んでくる枝が突き刺さる光景を何度も想像しては何度も唇から呻き声が溢れて落ちる。それもまたビュウビュウと甲高く鳴く風によって跡形もなく攫われてしまうけれど。 「……ッ、チサ!チサ、いないのか!?」 叫べど叫べど返ってくるのは雨と風の声のみ。 自分よりも遥かに体格の小さな子供など分かりやしない。 ▼ (@3) 2021/07/11(Sun) 18:02:53 |
【見】 療育 クレイシどれほど歩いただろう。 かなりの距離を歩いたかもしれないし、まだ病院の目と鼻の先なのかもしれない。 お手製のパペットなどとうに捨てている。どこに転がっていったか分からない。 もう濡れていない箇所などなく、服が水を吸い上げて全身を縛る枷と化している。 『たとえ水底、土の下。 果てまでキッチリ探してやって―― 、、、、、、、、、、、、 、、、、 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』 「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」 煩い。 煩い煩い煩い! 余所者が好き勝手言いやがって! 台風で荒らされた周囲と同じか、或いはそれ以上か。 ぐちゃぐちゃになった心の中で蛇と猫の言葉が響き続ける。 帰れるものなら帰りたい。 逃げられるものなら逃げ出したい。 投げ出せたのなら、どんなによかったか。 お前らのせいだ。そうだ、お前らのせいなんだ! お前達が焚き付けたからり俺はこんな目にあっているんだ! だから、だから俺は悪くない! ▼ (@4) 2021/07/11(Sun) 18:03:49 |
【見】 療育 クレイシチサという小さな子供の看護は自分が担当していた。好奇心旺盛で、小さいながらに人を気遣える節のある子供だった。 嵐が本格的に酷くなり始めた頃、あの子は窓を見ながら泣いていた。 「自分の家は小さくて、こんな雨では流されてしまうかも」と。 「お母さんもびょういんに来てほしい」と。 「そうじゃないとお母さんが雨に流されてしまうかも」と。 何度も宥めた。何度も詭弁で押さえつけた。 それなのに、あの子供は。 唐突にいなくなってしまった。 ▼ (@5) 2021/07/11(Sun) 18:04:22 |
【見】 療育 クレイシ患者がいなくなってしまったら、真っ先に誰が問い詰められる? きっと自分だ。担当していた自分の責任になる。 これでもし何処かで子供の死体が発見されてみろ、自分の評判は一瞬にして地の底だ。 小さな村では人の噂など瞬く間に広がってしまう。 そうして落ちた自分に待っているのは冷めた目、声、態度だろう。村八分という名の処刑が待っているかもしれない。 どうして俺がこんな目に遭わなければならない? どうして俺かこんなに苦しまなければならない? 男は身勝手で傲慢な呪詛を吐きながら雨の中を進み続ける。 幼児への慈しみや心配など、とっくに風雨に奪いあげられてしまっていた。 ──いっそ、あの子供が死んでいたら楽だったのに! ▼ (@6) 2021/07/11(Sun) 18:04:48 |
【見】 療育 クレイシ「……ッチサ!どこだ!返事をしろ、チサ!」 川の近くまで来てしまった。土砂崩れが起きていたところも見てしまった。 ここまで来ても見つからないのなら、もう子供は手遅れじゃないか? 弱い心が言い訳をし始める。 大人だから子供は絶対に守らなければならないのか?じゃあ大人は誰が守ってくれるんだ? 大人が子供を守る為に死んでしまったら、いったい誰が責任を取ってくれるんだ? 死んだところで貰えるものなんて仏壇の前で吐き捨てられる「頑張ったね」なんて生温い言葉くらいだろう。 俺はそんなもの欲しくない、俺は自分の身を守りたいだけなのに! 「……ぁ、う?」 瞼もまともに開けられない嵐の中で、ようやく草木や土以外のものを目の当たりにする。 ──黒い塊。赤い何か。 「……ぁ、ね、猫?チサの靴?」 男はひゅっと息を呑み後退りしようとし──足を滑らせた。 ▼ (@7) 2021/07/11(Sun) 18:05:33 |
【見】 療育 クレイシ男が見たもの、それは正確には黒い上着と赤い靴だった。 後に、三途病院連続殺人事件と呼ばれる凄惨な出来事について調べに来た人間の手によってチサと呼ばれる少女のものだと分かる日が来るかもしれない。 死んだ猫と死んでほしいと願ってしまった少女。 もはや冷静な判断がつかなくなっていた。小さな命達が自分を迎えにやってきたと狼狽し、逃げようとして転落する。 「──ぁ」 頭から真っ逆さま。 天と地が揺れる感覚も一瞬のこと。叩きつけられるような衝撃と共に目も開けられない激流に飲み込まれる。 「……ッ、ぁ、ぅぶっ……た、たすっ、助け……ッ!」 必死に手を伸ばす。必死に足をばたつかせる。 けれど誰一人として助けてくれる者はいない。水をたらふく飲まされた服が水の底へと引っ張ってくる。ぐちゃぐちゃに心を掻き乱してくる言葉や幻が死の淵へと引き摺り込んでくる。 「……ッ!…………、…………………………」 走馬灯を見ることさえも許されない。 肺の中に水が満ちて、重しとなってその身は底へ。 嵐に、言葉に、虚弱な心に。 踊らされ続けた男の末路は実に呆気ないものだった。 男の遺体が発見されるのは、きっとずっとずっと後の事になるだろう。 (@8) 2021/07/11(Sun) 18:06:46 |
【人】 被虐 メイジ>>32 【手術室】 「……、……そう」 ぽつり。消え入りそうな声が零れた。 ロクの話を戯言と思うこともできた。 だけれど、どうしてもそう口にする 友達が容易に想像できてしまうのも事実だった。 「……バカじゃないの」 だから、八つ当たりのような言葉を吐く。 言い表せない感情を拳に込めて握る。 「どこまでイイコぶってるんだ、あいつ」 「じゃあなんだよ……素直に"オレのために食料になれ" って言えばよかってことかよ……」 皮肉なものだ。 自分は最後まで"すごくて、いい友達だった"という 夢を見させたまま、彼を殺そうと決めたのに。 メイジは自分勝手な人間だった。 (34) 2021/07/11(Sun) 18:48:20 |
【神】 遊惰 ロク「――……だよなァ」 「アハ、そいつは……」 「……お前サン、……――」 いつかの時間。 視線を上向けて、 商人 と話をしている。死人の姿が見えない者からすれば、 虚空へ向かって一人で相槌を打ったり、 語り掛けたりしている様にしか見えない。 (G0) 2021/07/11(Sun) 18:52:03 |
ミロクは、ロクと話をしている。結構、かなり、ながく、ずっと。 (c6) 2021/07/11(Sun) 19:12:43 |
【赤】 被虐 メイジ「頭から焼きついて離れないんだ」 バラバラになっていく手足や、開かれる胸、鮮血 赤黒い内臓、砕かれる骨──頭だけになった、人間の姿が。 人を刺して、肉を切る、感触が── この手で、脈打っていた鼓動を止める瞬間が。 忘れろ、と言われたことは覚えている。 忘れられる日なんて、来るだろうかと今は思う。 胸が痛い、頭が痛い、とうの昔に治ったはずの傷が疼く メイジは、よく怪我をする少年だった。 (*14) 2021/07/11(Sun) 19:23:13 |
【秘】 流転 タマオ → 技師 アユミ クレイシを見なくなって暫く、生者が三人になるよりも前。ふと、彼のことを思い浮かべた。彼はきっとチサチャンを探しに行ったのだろうと己は思う。彼は、こんな時でもいなくなった(と思っている)子どもの行方を捜すことを優先するような、思いやりのある人間だ。 彼がチサチャンを見つけて、避難も出来ていれば良いと思う。この天候では大よそ起こり得ないが。そんなことがあるのなら、ここに避難した人間が全員助かるだなんて奇跡も起こって良かったのではなかろうか。 きっとまた人が減る。痛ましいとは思うが、それ程ではない。些末であるとさえ言える。 「人は死ぬものだ。生きているのだから」 (-192) 2021/07/11(Sun) 19:32:37 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「当人達がどう思ってるか、なんて決まってるでしょ。 飢えてりゃ皆心が狭くなります。 親だって子供が煩わしくなる。 自分さえ助かりゃ良くなるんですよ。 それに。 遺族にとっては、終わった話じゃあない」 眉を顰めた後。 決め付けるような物言いと、 吐き捨てるような抑揚で言うのだった。 その時その場所における真実が、今もそうであるかのように話す。 男の刻は止まったまま、死に絶えたのだ。 「解決は、……しないまま終わりましたね。 縁もあったらこんな事にはなってないですよ」 人を信じない男は、 自身を求める少年の言葉も未だ嘘だと思っている。 それは戦争の後遺症であるが、気付けぬまま。 (-193) 2021/07/11(Sun) 19:49:38 |
【秘】 流転叶はず タマオ → 技師 アユミ いつか『×× 博』の生をきちんと思い出しても、『玉青 博』の在り方 -生き方- は然程変わらない。彼は生まれる前から輪廻の輪から外れてしまっていた。彼は元々、純粋な人間ではない。それを知る者はもうこの世のどこにもいなかった。彼自身も、永劫思い出さない。それでも青い目玉のちょっぴり強い幽霊は、無意識に感じている。知っている。死んだら -消えたら- 己には、次の生がないことを。 (-194) 2021/07/11(Sun) 19:51:57 |
タマオは、己は死んでいるが、生きていると言えると考えている。 (t12) 2021/07/11(Sun) 19:53:03 |
タマオは、死にたくない。 (t13) 2021/07/11(Sun) 19:55:45 |
【独】 被虐 メイジやっぱ大人みんな死んじまうんかい…… 死んじまうんかい……投票どうしようこれ…… 自殺票でいいですか? 自決したいんじゃなくて 誰も殺さないっていう意思表示です。 (-195) 2021/07/11(Sun) 20:00:35 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「そうですか、それは。 とても、残念です」 取引を持ちかけたら、何を求めたのだろう。 すぐには思いつかなかった。 「私、もう少しだけここにいられるようです。 誰かを死の世界に誘える能力があるみたいで。 この力と人の魂の重さを考えながら過ごしていくと思います。 だから、少しでも、です。 あなたの人生を許した人間がここにいることを、 覚えていてもらえたらと思います。 お話、楽しかったです、また聞きたいです。 たとえ……もし、成仏をして会えなくなったとしても。 あなたが生まれたことを空に祝うことぐらいはできます。 どんな季節に、あなたは生まれましたか?」 男はこの病院で誕生日を祝うことを覚えました。 それは、とても尊く、心が暖かくなることだと思いました。 死んでもなお、想われることは嬉しいのだと、そう感じたのです。 それを、あなたにも感じてほしいと思いました。 (-196) 2021/07/11(Sun) 20:32:45 |
ニエカワは、幸せだ。 (c7) 2021/07/11(Sun) 20:45:07 |
療育 クレイシは、メモを貼った。 (t14) 2021/07/11(Sun) 20:46:32 |
セナハラは、幸せが何よりも恐ろしい。 (c8) 2021/07/11(Sun) 20:52:02 |
【赤】 被虐 メイジ「……嫌いだよ。みんな、みんな」 「生きてって言い残して勝手に死んでくのも オレの心に付け込んで殺させるのも オレを許してくれるやつも」 「どうにもできないオレ自身も」 誰のせいではない。誰のせいにもできない。 だってそうしなければ生きられなかったのだから。 でも行き場のないこの感情は、何にむければいいのか。 「……でも……ありがとう」 (*15) 2021/07/11(Sun) 20:59:34 |
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