いらっしゃいませ。スタッフ一同、あなたのご来訪をお待ちしておりました。

本日は「Aqua Laguna」でのナイトパーティにご参加くださりありがとうございます。

当イベントは、会員様もしくは会員様のご紹介のあった方のみの参加となります。恐れ入りますが、貴重品はこちらにお預けいただくか、管理をお願いいたします。
また、録画機器、通信機器の類はいかなる事情があろうとも使用禁止となっております。こちらにお預けください。
お食事、お飲み物はご自由にお楽しみいただけます。
何かご要望がありましたらいつでもお申し付けください。

それではご自由にお楽しみください。
当館での夜が素敵なものとなりますように…

[見上げれば、少し前まで燦燦としていた日差しも随分傾いてきている。もうしばらくすれば夜だろうか。
泳げるようにはしてきているが、今はまだポロシャツに綿のショートパンツ、そのぐらいのラフな格好のまま、ビーチチェアに身を投げ出している]

若い時は時間があっても金がない、
年食ったら金がある時は時間がないって言うけどなー…

[せっかく使える時間ができても、使い方がうまくなきゃ意味がないんだな、と手持無沙汰のまま思う。
ふとポケットに手を伸ばして、そこに片時も離さないはずのものがない事を思い知る]

　あー、くそ。スマホ使えねえんだここ。

[となるともうしばらくは無為に過ごすしかないか。
せっかくのリゾート地だってのに、遊びって奴が上手くないんだろうな、俺は**]

[料理人と言えば聞こえはいいが、
三井彩子はまだまだ下働きに毛が生えたようなものだ。

毎日毎日朝早くから皿を洗い、仕込みの手伝いをし、店の掃除をし、夜遅く帰宅してそのまま寝る。
そんな生活の繰り返し。
最近は少し包丁を持たせて貰えるようになったけど
そんな日々を過ごして早三年。

大学時代から付き合っていた恋人とも
多忙故のすれ違いを理由に自然消滅してしまい、
浮いた話の一つも特になく。
そりゃ色んなものが溜まろうと言うもので。

「このままだと女として枯れていく気がする…
　日々に潤いが欲しい……」
という、飲み屋での切実な訴えに
お金持ちの友人が紹介してくれたのが
この「Aqua Laguna」でのイベントだった。

基本は紹介しか入れない会員制のクラブだから怖いこととかはないし、火遊びもたまにはいいんじゃない？なんて。]

うわ……こんな大きいプール初めて来るな………。

[そんな経緯で彩子は今ここにいるのだけれど。
若干場違いな気がしなくもなく、
ただただ圧倒されるばかりだ。**]

[俺が言うのもなんだが、同年代で俺と同じような感じに株だのデイトレードだので稼いでる奴ってのは、全員とは言わないが他人にマウント取りたがる奴が多いというのはつくづく理解している。
タワマン、外車、女…

そういう連中のパーティにも付き合いで呼ばれれば行ってたが、最近はお呼びがとんとかからなくなった。
まあ、面白くはないだろうな、俺は。

確かにこの年にしてはそこそこ稼いでるつもりだが、住んでるのは普通以下のアパートだわ、車も持ってないわ、女づきあいも正直あんまり経験ないときた。

ジム通いが唯一の趣味みたいなもんで、主食は大体プロテインとサラダチキンとブロッコリーとかだ。まあぶっちゃけ付き合って面白くはないわな。なので今も独り身だ。]

[見かねた友人に一つ皮でも剥けて来いと無理に勧められたのがこの「Aqua Laguna」でのイベントだった。

このホテルの会員権は、ここの株主優待を使えば比較的苦労せずに手に入るので一応持ってはいたが…いざ来てみると自分がやや浮いているような気もする。
見た目じゃなく、精神的な部分で。
結構なホテルだ、周りの連中も雰囲気とか、オーラからして随分違う。

とは言え、いくら息抜きとはいえ何もせずぼうっと暇だけ潰して帰るのは、さすがに馬鹿げてるわな。タイパも悪いし…と会場を見渡すなかで]

…あんな子も来てるんだな。

[こういう場に慣れていなさそうな…というか、失礼を承知で言うならこの場にあまり似つかわしくなさそうな雰囲気の女性>>4に視線を向けていたのは自然な事だった**]

プールの中心から外れ、シャンパンの入ったグラスを傾けながら、集まってきた客を眺めている。

このクラブに集まる者は様々だが、最終的な目的は一つだ。
その為には、相手が必要だ。
ある者は既に相手を漁り始めているし、ある者は多くの相手を求めて自分が如何に偉い存在かアピールしている。

「…くだらない。」

ぽつりと呟く。
こういった連中には飽き飽きだ。
もっと興味を引くような相手はいないかと目を泳がせて、見つけた。

ビーチチェアに身を投げ出した、一見この場所とは不釣り合いなラフな格好の男性>>2。
同じく、こんな場所とは一見無縁そうな女性>>4。

彼らのような相手の方が、ずっと面白い。
もう暫し様子を見て、彼らが手持無沙汰なら声を掛けてみようか。

――父にとって、僕は使い勝手のいい道具なのだ。
僕をこういった場に参加させて、誰かと関わりを持てば、そこから新しく商売を始める。
僕がどう思っているかなんて、関係ない。
そうして18の頃からこうした社交イベントに参加させられて、僕の顔を売ってきた。

そんな父に反抗しなかったわけじゃない。
作ったコネで僕も商売を始めて、独り立ちできるぐらいにはなりつつある。
意外と自分に商才があった事に、つくづく血のつながりを感じさせられる。

けれど、この事がバレても父は独り立ちしようとしている僕を咎める事もしなかった。
「用済みだ」と、そういう事だろう。

「もう少し、もう少しの辛抱だ。
それまでは、せめて僕も楽しませてもらおう。」

独り立ちできるほどになれば、もう命じられて参加しなくて済む。
道具ではなくなる。

なら、せめて。
今はこの集まりを愉しませてもらおう。**

[彩子は学生時代に買ったビキニの水着
(あれから体型が変わって少し小さめになってしまっている)
の上に、白のラッシュガードを着て
現在プールサイドに立っている。

怪しいイベントじゃないから！
なんて言われて来てみたものの、
やっぱり何となく浮いている気がする。　
男も女もどことなくキラキラした感じの人ばかりだし…

はあ、と人知れずため息をつく。］

(…アリサのツテだけあって
やっぱりお金持ちばかりなんだなあ。
私みたいな芋っぽい女に声がかかるわけないかぁ…。)

[プール自体も豪華だけど、
つまりそういうオトナの…
性を楽しむ感じのイベントなんだとか。

久々に男の人に誘われて一夜のトキメキを…なんて
ちょっと期待していたけれど、
世の中はそうそう甘くない。

まあ、いいか。
こんな場所に泊まること自体そうそうないわけだし、
それだけでも日々の仕事の気分転換にはなる。
適当にプールで遊んで美味しいお酒飲んでご飯食べて帰ろ。

早々に諦めモードになりつつあった彩子だが、
ふいにどこかから視線を感じ。］

[プールサイドのビーチチェアで寛いでいる男性。>>2>>6
恐らくは自分と同じくらいの年頃だろう。
プールらしくラフな格好だが、
彼もどこぞの御曹司だったりするのだろうか。

（少し離れた場所に本当に御曹司がいて
様子を窺われているなどとは
今の彩子は知らないのだが>>7）

こちらに向けられる視線に
場違いだと言われているような気がして。
やや居た堪れない気持ちになり
じわっ…と背に変な汗が滲む。]

………こ、こんにちは〜…　いや、こんばんは…？

[とはいえ目が合ってしまったので、
無視するのも不自然な話だ。
ぺこり、と軽く会釈をしてぎこちない笑いを浮かべ。**]

先ほどの女性>>12は、男性>>6と話をするようだ。
であれば、こちらから邪魔することはしない。
まだ時間はある、あとで話しかけるとしよう。

それはそれとして、彼女の水着姿を眺める。
あどけない顔立ちの割に、しっかりと女性らしい身体つき。
この夜を共に過ごすには良い相手だ。

「ひとつ、楽しみが増えたね。」

彼女の甘く蕩ける姿が見たい、出来れば自身の手で。
ーーどれだけ嫌っても、この強欲さは父と変わらない。
だからこそ、嫌になるのだが。

とはいえ、まだ夜は始まっていない。
彼女と過ごすにしても、抜け駆けは良くない。

「僕も着替えてしまおう。
夜まではプールで時間を潰すさ。」

そう呟いて、自身の宿泊室へと戻る。
道中、今夜を過ごすにふさわしい相手はいないかと目を配りながら。

…っと。

[いつの間にか彼女>>12に視線を向け続けてしまっていたらしい。彼女の方から恐る恐るという感じで声をかけられて、その事に気づいた。身を起こし、会釈をする彼女に軽く笑いかける。]

ああ、ごめんごめん。失礼したね。
ついじっと見ちゃってた。…こんにちは。

[ラッシュガードを着用しているけれど、顔はどことなくあどけなさを残している…あるいは垢抜けきっていない印象を抱かせるものの、体つきはしっかり大人びている。

元がいいんだな。確かにこういう場には珍しいタイプなのだろうけれど、だからこそ目を引くものがある。]

恥ずかしながら、俺もこういうところは初めてでね。

なんで、あまり緊張しないで。
…あ、俺は十季って言います。
あなたは、今日は一人でここに？

[俺の方も取り繕う必要はない。せっかくの場だ、ありのまま楽しませてもらうだけ。
とは言え、彼女は俺の目には確かに魅力を感じられた。

どうしてだろうな、少なくともパーティでよく見る何某区女子、みたいな感じとは随分違っている。悪くない、むしろ魅力を感じる。
そう思っている男も他に>>14いるのだろうが…]

ここは広いでしょう。もう一通り見て回りました？

[話しながらも、この先の夜は結構楽しくなるかもしれないなと、そんな思いを内心抱かずにはいられなかった*]

「体の力を抜いて、ゆっくりと呼吸して。」

暗い部屋の中、対面の女性に向かって声を掛ける。
ーー昔から、人の心の機微には敏感だった。
家庭環境のせいか、持って生まれた性格か。
そんな特技を活かそうと、僕はを目指した。
日本ではあまりメジャーではないから、アメリカの大学に通った。
あちらには飛び級制度もあるし、手っ取り早く知識が欲しい僕には丁度いい。

掛かった費用は全て自分で稼いだ金を使った。
僕も父に振り回されるだけじゃないって事だ。

「思い描いて、貴方がまだ小さかった頃を。」

再度、女性に話しかける。
催眠療法は、最も僕の手に馴染んだ治療法だ。
僕の事を知った相手は、度々僕に治療を頼むようになり、今では連日、患者を治療している。

もしかしたら、今回の場によく参加するような立場の人間なら、ぼくの噂ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。**

[おずおずと声をかければ
向こうも挨拶を返してくれる。>>16]

いえいえ。
…あ、そうなんですね？
良かったー。同じような人がいて。

あっ私完全に浮いてない？？って
思ってたところだったので。

[こういうところは初めて、
という言葉に少し力が抜け。
改めて初心者仲間…もとい、
十季と名乗る青年の方を見て
軽く頭を掻いて笑いかける。>>17]

改めて初めまして、十季さん。
私、三井彩子と申します。

そうなんです。
実はここへは友人の紹介で…
まあその友人は都合が悪くてここには来てないんですけど…
なのでぜーんぜんぼっちですぼっち。

[ちなみに友人…アリサは忙しいと言うのも本当だが
「友達が雌の顔してるとこあまり見たくないし。
一人で楽しんできて」とばっさり言われてしまった。
自分で勧めておいて。てかメスの顔て。
いやまあそれはいいんだけども。

この人も一人なのかな。まあそうか、
じゃなければ話しかけてこないだろう。
穏やかそうな人だな、という印象を抱く]

いえ、実はまだ着いたばかりで全然。

ホテルのプールって聞いてたから
どんなものかなと思ってましたけど、
すごく広いし…なんて言うか設備が豪華で驚きました。
ちょっとした遊園地みたい。

…十季さんの方は？

[素直な感想を述べ、水を向けてみる。>>18**]

　そうそう。仲間内では遊んだりも
　するんですけどね。こういうガチな感じの
　ところは初めて。まあ…せっかく会員に
　なってんのに使わないのも勿体ないよなって。

　三井彩子さん、ですか。
　あやこ、じゃなくてさいこ…ね。
　十季、一成です。
　友達の紹介で、一人で初めてだったら…
　はは。そりゃ、緊張するでしょ。
　けどそうだな。浮いてる気がしても
　最初のうちだけですよ。…ま、俺もそう
　思いたいってとこもあるんですけどね。

　けど…すぐに声かかりますよ。
　…現に、こんな感じで。

[普通は連れで来るもんなんかな、やっぱり。
恋人同士じゃなく、同性同士でって事だ。
男２人なんて、いかにもナンパ…いや、ヤリモクって感じだろうけど。
いや、相手も女子二人なら問題ないのか？わからん。
確かなのは、俺とこの彩子という子はどっちも１人だという事だ。
少なくとも今んとこは。

そして、多分この俺とそんなに年も違わないだろうこの子は、
この場所での自分の価値を、まだしっかりわかってない気がする。]

　そりゃもう、ここのプールは別格ですから。
　俺も驚きましたよ。本当にビルの上なのかって。
　プールっても一つのスパみたいっていうか。

　俺もさっき来たばかりで、まだどう過ごすか
　考えてたとこですよ。泳いでもないし…
　どうも、スマホが手にないと落ち着かなくてね。

[少し考えて]　

　彩子さん、まだだったらちょっとその辺
　散策しません？それか、喉乾いてるなら
　何か飲んでくとかでもいいですけど。
　
[奢りにならないのが残念ですけどね、とふっと笑った*]

―――20代で生まれた差を取り返すことは一生かけても難しい。
10代のうちにその言葉を知れたのは幸運だった。

上でもなければ下でもない。多少は恵まれていたとはいえ、平凡としか言いようのない家庭で育ったが、1年休学した間、修行のようにバイトして溜めた250万の金は人生を変えた。

せどり、FX、多少は水商売も…
いくつか手は出したが、一番肌に合ってたのは結局株だ。

自分でちまちま作ってた投資の運用プログラムが売れるとわかってからは金回りはさらに早くなった。
不動産をいくつか手持ちに加えてからはもうちょっと不労所得で稼げるようになった。

関係者がここに来ているような、どこかの>>8持ち株だの有価証券だの…全部ひっくるめれば、並の人間の一生かけて稼ぐくらいの資産は一応ある。

とはいえ、ここの常連みたいな連中にはまだまだ到底及ばないんだろうな。
資産といっても手持ちのキャッシュはその数分の1、遊んで暮らす額じゃない。
少なくとも20代のうちはただひたすら、稼いで、鍛えて、絞って…
友人と呼べそうな唯一の奴からは、そんなに節制してどうするんだって笑われたりもするが…
そうだな、使うべき時が来た時に使えばいい。
それまではひたすらに自分の内に蓄える。金も、身体も。

これが終わったら、またその生活に戻るんだろうな。
けどまあ、今だけは楽しんでも構わないだろう？**　

[十季は自分のように場自体に
慣れていないというわけではなく
単純にあまりこういった催しに来ない、
ということらしい。>>24

確かに自分のように緊張してる、
って感じの様子ではなく
どことなく余裕のようなものを窺わせる。

悪い言い方をすれば物珍しさ…
ポジティブに考えれば不安そうな自分を見かねて
声をかけてくれたのかもしれないな。
…などと考えていたのだが。]

え、あ、っと。
……ありがとうございます。

[こんな感じ。というのは…。
つまり…意味合いで
声をかけてくれている、ということだろうか。
その考えに至り、じわりと顔を赤らめた。

彼の方から正しく価値を認識していない…なんて
思われているとは知らず。

こんな煌びやかな場の中で
わざわざ自分に興味を持つような人
いないだろうなァ…と思っていたので単純に嬉しい。]

あ、やっぱり別格なんだ。…ですよね！？
えっセレブな世界ではこれが普通！？
って圧倒されちゃいましたもん。
良かったー。って言うのも変か。

[気さくな十季青年にけらりと笑い。]

それは勿論。私で良ければぜひ。

[感じ良さそうな人だし、断る理由などない。
続いたお誘いには有難く首を縦に振る。>>25**]

―　回想・傷心のある日　―

……メンタルセラピスト？

[数年付き合っていた恋人と別れたのは一年前。

とは言え仲が冷えていたのはもっと前からだ。
一時はあんなに仲睦まじかったはずなのに、
日に日に彼からの関心が薄れているのを感じていた。

デートの回数が減り、営みが減り、
碌にLINEすらもしなくなって。
そんなある日街中で他の女性と
腕を組んで歩いているのを見てしまい
彩子は落ちに落ちていた。

酔ってぐずぐずと泣き言を垂れ流す
自分を見かねたアリサの口から
いつだったかそんな話を聞いたことがある。]

「噂だけどね。
パパのお得意先…の息子さんか何かだったっけかな？
そんなことやってる子がいるって。>>19>>20
興味あるなら繋いであげるけど」

ふーーん……？
要するにカウンセリングみたいなもの…？

「かな？専門家に話聞いてもらうだけでも楽になるかもよ。」

[カウンセリングって確か予約取るのすら難しいって聞く。
こんな…言っちゃなんだけれど、どこにでもあるような色恋沙汰で頼って良い物なのだろうか。

それになんだかちょっと怖い気もしたけど。
好奇心半分、これで楽になれるならと縋る気持ち半分で、教えられた連絡先に電話してみたことがあったけれど…**]

[確かにタワマンに住んでる知り合いに呼ばれてパーティなら何度か行ったわな。行くたびに参加する女の顔ぶれがなぜか変わるんだ。不思議だ。
けど、そんなのもここに比べればイキった子供の遊びに見えてしまうのは否めない。

…まあ、楽しみ方をきちんとわかってないって意味では俺もこの子>>29とそんなに変わらんか。という内心は胸にしまい込む。男がわたわたしてちゃ格好つかんだろ。
ありがとう、と>>30少し頬が染まったような彼女にひらっと手を振った。

少なくとも、ここがどういう場所かはその友達から聞いているって事か。
わかってて一人で来てるなら…否応にも期待できそうじゃないか。なあ。]

　それはそう…いや、俺もセレブには程遠いし、
　そんなに遊びまくってるわけじゃないけどね。
　俺にとっては、別格。彩子さんもそうでしょ？
　
[なんて、つられてふふっと笑う。しばらくはこのぐらいのあたりの方がいいだろうか。]

　んじゃまあ…ちょっとお付き合い
　よろしくお願いしましょうか。どうすっかな……
　
[完全に立ち上がり、プールサイドを見渡す。]

　一通りどんな感じか見て回ります？
　あ、泳ぐんでもいいけども。
　
[ラッシュガードの感じからして、しっかり泳ぐ格好にもなってそうだし。ここはひとつ、尋ねてみた*]

　
[このパーティに誘われたのは特に理由はなかったと思う。
私はこのパーティについて知らなかったし、私をこのパーティに誘ったあの子の思惑も知らないままで。
だけど、先に入っててと連絡が来て。
私は一人で先に会場入りする事になった。

ナイトプールだなんて初めて。
そわそわして落ち着かない。早くあの子と合流したいのに、あらゆる通信機器・録画機器が持ち込み禁止だから>>n0連絡すら取れなくて。]
　
　
ううん……どうしよう……。


[手持ち無沙汰の私は、そわそわ、辺りを見渡していた。**]
　

――どうも、気分が晴れない。
今日も父の代わりで金持ちの見栄っ張りたちのイベントに参加してこい、との事だった。
メンタルセラピストが自分の気分もコントロールできないとは如何なるものかと言われそうではあるが、こればかりは許してほしい。

スマホに着信があったのは、そんな折>>33だった。
丁度いい、これを理由に父のお願いはキャンセルしてしまおう。
僕としても患者の治療ができて一石二鳥というものだ。

「はい、もしもし。
セラピストの累と申します。」

電話の向こうへ名乗ったけれど、相手の反応はどうだろう。*

プールを離れて>>15から暫く、白のサーフパンツとパーカーに着替えて戻る道すがら。
どうも戸惑っているらしき女性>>36を見かけた。

「どうかしましたか？」

なんとなしに声を掛けてみたけれど、相手の反応はどうだろう。**

まあ、そうですね。
でも「そこまででも」って言い方するあたり、
それなりには遊んでるんだ。

普段からこうやって女の子
誑かしてるんですか？ふふふ。

[謙遜してるものの、自分のような庶民から見れば
普通にお金持ちの部類なんじゃないかな、とは思う。
上を見たらきりがないものだし。>>35

誑かす、なんて誂うような言い方をしたけれど、
自分としてもそういうつもりで訪れているわけで。
くすりと笑って立ち上がる様子を見上げ。]

はい、じゃあこちらこそ。
どうぞよろしくお願いしますってことで。

そうですね…。
せっかくのプールですし
ちょっとは楽しんで行きません？
ナイトプールなんて普段来る機会ないですもん。

[ま、そんなにガチの泳ぎするつもりはないけど。
せっかく水着に着替えてきたわけだし
泳がずに帰るのも勿体ない。
ライトアップされるのはこれからだろうしね。]

あ、一成さん。
あっちで浮き輪とかフロートとか借りられるみたいですよ。

[彼が下の名前で呼ぶなら自分も倣わせてもらおう。
行ってみません？と軽くそちらを指さし。**]

―　回想・メンタルセラピー　―

[わ、本当に繋がった。>>37
累、と名乗る電話の向こうの声は
若い男性のように聞こえる。
息子って言ってたし、そりゃそうか。

自分の赤裸々な話とかするの何だかちょっと恥ずかしい気がしてしまう。今更だけど……
でもかけちゃったんだし考えても仕方ない。ままよ。]

も、もしもし。初めまして。
私、三井と申します。
ええとっ…、その。
実は最近…恋人と別れたのがきっかけで
不眠不調に悩んでおりまして…。

一度専門家に話を聞いて貰ったらどうかということで
こちら友人から紹介を受けてお電話させて頂いたんですけれども……。

[などと、ややどぎまぎしながら説明をする。**]

相談内容はよくある話、男女関係のトラブル。
ある程度の経緯は想像がつく。
その上で、彼女の様子から考えるにーー

「恋人と別れたのは一年ほど前。
けれど関係が悪化していたのは、もっと前からでしょう。
そして、いつまでも引きずっている様子を見かねた友人に、僕を紹介された。
違いますか？」

本人も気づかないほど、僅かに掠れた声。
おそらく酒と、泣きながら誰かと話していたせい。
そして、どぎまぎとした様子。
僕の事をあまり知らない、誰かから伝え聞いたのだろう。
ここまで推測できれば、あとは組み立てるだけだ。

「診療は今日、これからで如何でしょうか？
診療代はいりませんので。」

金には困ってないし、日本では未だ無免許ーー日本での活動年数が足りず、資格が取得できないせいだ。
何より、父との約束をぶっちできるなら、なんでもしよう。**

―　回想・メンタルセラピー　―

えっ！？！？
そ、その通りです………けど
すごい、なんでそんなことまで分かるんですか！？

[さすがに驚きの声を上げる。>>42
まだ精々名前と触りくらいしか言っていない。
アリサが事前に事情を話した…ってわけでもないと思うし、
そこまで正確に言い中てられるとは思っていなかったからだ。

既に占い師か探偵を相手にしているような気分だが
相手は診察代すら要らないと言う。
勿論無免だから、なんてことも彩子は知らないわけで。]

い、いいんですか！？
それはもちろん、私としては願ったり叶ったりですけれど…。

[もう少しこの人に話を聞いてほしい。
そんな気持ちが湧き上がり、二つ返事で頷いていた。**]

ん？まあ…そこは想像にお任せしますってことで。
ああ、でも普段からってのは少し違うかな。
仕事は真面目にしっかりやって、たまのオフは思いっきり羽を伸ばして。メリハリって大事じゃないですか。ねえ？

[遊んでいないと言えば嘘にはなる。俺の見た目で言っても実際嘘くさいだけだろうし。そして普段からこんな遊び方をしているわけでないのも本当だ。

まだ大して話もしていないが、この彼女は多分しっかり仕事やってるような印象はあるわけで。
まあ…とはいえ火遊びが嫌ならここには来ないか。誑かすと言っても悪い意味では言ってないんだろう。それならありがたい。]

お、いいね。その言葉、待ってました。

[確かにせっかくのプールだし、時間的にもまだまだ水中の方が心地よいだろう。何もジムみたいにガチで泳ぐわけでもない。指さされた方に二人して足を運んでみよう。確かに浮き輪にフロート、色々とある]

浮き輪か…いや、どうせだしソファみたいにでっかい浮いてるやつもあるのか。

[とはいえそういうでっかいのは大抵余裕で二人乗りできるやつだ。浮き輪も、こういう場所のは夜になると光ったりするんだろう。]

んじゃあ…水に浸かるなら浮き輪の方がいいかな。
彩子さんはどうします？

[着ているポロシャツは、泳ぐならさすがに一度脱がないといけないか。預けてくるまでにはそんなに時間はかからないだろうから、彼女が選んでいるうちになんとでもなる、はずだ*]

あ、はぐらかされた。

まあ確かにメリハリは大事ですね。
私の場合最近は全然メリがなくて、
ハリの方ばっかりって感じですけど…。

そう言えばお仕事何されてるんですか？

[そんな雑談をしつつ。>>45
快く同意を得られたため、
プールの貸し出しコーナーの方へ。>>46
大き目の浮き輪やボートっぽいフロートなど
色んな種類のものが置かれている。

ソファやマットタイプの大きなフロートは、
恐らく二人で乗る想定のものだろう、が…。]

（こういうのって…イチャイチャしながら
　二人で乗ったりするやつだよね…）

[普通に考えるとカップル専用のもので
初対面の異性と乗るものではあり得ないが
こういう場に限ってはありだったりするんだろうか。

若干どぎまぎしながら横目で一成氏の様子を窺ったけれど、健全に浮き輪タイプのものを選択していた。

いやまあさすがにね。初対面だしね。そりゃそうだ。
思考が不健全でお恥ずかしい限り。]

じゃあ私も浮き輪にしようかな。
はい、適当に選んでるんで預けて来ていいですよ。

[彼が一旦戻るならそれを促す。
自分のラッシュガードは
このまま水に浸かって問題ないだろう。

どれにしようかな、と
彼が戻ってくるまでの間に少し悩み
上に座れるタイプの夏らしい花柄の浮き輪を選ぼうか。**]

ふうん…ハリばっかりなんだ。
それならなおそら、今日は遊んでいかないとね。

…ああ、俺の仕事?色々とですよ。
マンション経営、株、個人でアプリ開発。
そんなところかな。
そういう彩子さんは？

[差し支えなければでいいけれどね、と前置きして尋ね返す。俺だって隠すような事は何もない。

いきなりフロートにしなかったのはまだ日もあるし、さすがに女の子一人相手に急に距離を詰めるのは警戒されそうだったからなのだけど]

(……へえ。)

[ちら、と流し見た横で視線を感じ>>48、目を細めた。
そこまで畏まらなくても良さそうってことか。
いいとも、覚えておこう。]

じゃ、ちょっと待っててくださいね。
すぐ戻るんでっ…！

[ポロシャツとショートパンツ。だちらも脱いで預け、手早く戻ってくる。インナーパンツの上に履いた、青緑のサーフパンツ型の水着。上は完全に裸だ。腹筋はシックスパックとはいかないまでも軽く割れて、見える範囲で贅肉はほとんどついていない。]

お待たせ。決まりました？へえ…いいじゃない。
すっごい、かわいいですよ。

[鮮やかな夏の花柄一言告げて。
プールサイドに足を浸し、一度肩まで飛び込もう。
肌を蒸す熱気が嘘のような、ひんやりと、けれど冷えるというほどでない、心地よい冷たさ]

　うわ、たまんねえ。
　…ほら、彩子さんも早く。

[プールの中から手を差し伸べて招いた*]

こちらをよく知らない相手には、まずは自分から名乗る事。
この場合は、僕にしっかりとメンタルセラピストとしての実力があると、彼女に示す事だ。
彼女の驚く声を聴くと、それはどうやら上手くいったらしい。

「いいんです、人の悩みを聴くのは半ば趣味のようなものですし。
それに、今回は僕も助けられた側ですからね。」

父の命令を断る口実として、彼女の電話は実にありがたい。
彼女の診療ぐらい、無料で受けても構わないぐらいには。

「今、そちらはどこですか？
一番近い診療所を使いますので。」

父が借りるだけ借りて使っていないタワマンの一室、父の経営する喫茶、場所ばどこでも構わないし、無断で使ったとしても、あとで使用料を払っておけば父も文句はないだろう。

彼女にとって最寄りの場所を指名して、僕も向かうとしよう。

どこぞの一等地、父の別荘の一つ。
僕の即席の診療所。
そこに彼女を呼び出した。

「さぁ、そこに座って。」

選んだ場所は、父の書斎。
広々とした空間に本棚が並び、アンティークな趣味の良い椅子やテーブルが並んでいる。
それらは、持ち主の趣味の良さを伺わせるだろう。
――…持ち主は家を買って満足してばかりで、部屋を一度も使用すらしていないのだが、僕の即席の診療所には丁度いい。

対面に置かれた安楽椅子、その一つを彼女に指し示す、僕はその反対側へ。
真ん中に置かれたテーブルには、湯気の立つコーヒーを置いて。

さて、彼女は促された通り座ってくれるだろうか。*

「咲沼泉」という女性と、このホテルの会員だという「あの子」は、どういった関係だろう。
そして、僕と、「あの子」の関係はどうだったろう。
「あの子」が僕の患者であれば、「咲沼泉」の事は話に聴くぐらいはあったかもしれない。
あるいは、「咲沼泉」を患者として治療した事があったか。
であれば、多少の面識があるはずだ。

「咲沼泉」のパーソナリティや、彼女の内面も知っているかもしれない。
逆に、僕の身の上や父との確執なども。
けれど、どこまで深く知り合っているかは、彼女が語るに任せよう。**

ーしばらく前ー

ふうん、友達？

[何だかんだとは言え、俺達みたいなのは多少金は持ってても成り上がりのうちのペーペーに過ぎない。そんな奴らが多少キラキラした「映える」パーティーをしても、来るのは、やっぱり多少キラキラした、男の金目当ての女が多いわけだが…中には例外もあるわけで。
社長令嬢の「彼女」はその少ない後者だった。

今度は友達も連れて来る的なことを言っていたと思うが…なんて名前だったかは頭からかなり抜けてしまった。

咲沼泉という名を聞いても、その友達の名前がそうだったのかは、少しばかり自信がない。

その友達が俺の名前を少しでも知っているのかも、また俺にはわからない事だ**]

[あの子。──私の働く旅行会社の社長令嬢であるアヤネは、入社時期が同じで仲良くさせてもらっている。
そう。私は仲良くしている。そう思っていた。
　
でも、彼女は本当はそうは思ってないらしい。それを、今の私は知ることはできないけれど。

曰く。

　
──そんな感じのことを、メンタルセラピー>>55や別の場所で愚痴っては、あんな女、と私のことを挙げていたらしい。
職場では普通の仲だと思うし、思っていたし、今でもそう思ってる。
　
でも、時にはスマホに収められた私の写真を見せて「こいつ〜！」と、自分の言ってる相手の姿を見せたりもしていたみたい。
酒の勢いで、「絶対この子枕してるから、あんたやっちゃってよ！」みたいにね。

幸い今のところ、そうした被害に遭った事はない。
でも、もしかしたら今日もまた何処かでそんな事を言ってるかもね。]
　

『この子のこと、楽しませてやってよ〜』


[……なんて、ね？]*
　

そうですね、せっかくなので。
楽しんじゃおうと思います。

[不健全ななんやかんやを抜きにしても、これは本当。>>50]

それって所謂個人事業主的な。
うわ、マンションの経営とか、なんか聞くだけですごいなー。
…多分年同じくらいですよね？私今25なんですけど。

私？ああ、一応……料理人なんですけど。
和食屋さんで働いてて。
って言っても暫く下働きやってて、
最近ようやく包丁持たせて貰えるようになった感じです。
まだまだ道は長いですけどねー。

[そんなやり取りをしつつ。]

[のんびり浮き輪を選んでいれば
すぐに一成氏は戻って来た。>>51

シャツを着ている時はあまり分からなかったが
しっかりと引き締まった体つきに　
おお…なんて思ったりし。

浮き輪を見て一言感想を零す彼に
くすりと笑って親指を立てる。]

あはは、でしょ。夏って感じで。
ん、本当？じゃあ。

[促されるまま、差し伸べられた手を取って。
少し勢いをつけて水の中に飛び込もうか。
結んでいる長い髪がゆらりと揺れる。]

はーー、気持ちいい！
ひっさしぶりかも、泳ぐのなんて。

[生ぬるい夏の夜に、
ひんやりとした水の温度が心地よい。

全身を浸からせてしまえば
濡れたラッシュガードが肌に張り付く。
浮き輪にしがみつく形で軽く足を浮かせながら
彼の方を見て笑う。**]

―　回想・メンタルセラピー

[人の悩みを聞くのが趣味とは。
すごいな、と思ったがそれくらいでないと
セラピストなんて務まらないのだろう。>>52]

あ、ええと、場所は…
〇〇駅って言えば分かります？

[現在はアリサと別れた後。
一人で駅のベンチに腰掛けて電話をしている所だ。

マンションの一室にせよ、喫茶店にせよ。
彼が近くの場所を指定してくれるなら
素直にそこに向かうことだろう。**]

―　回想・別荘にて　―

[そんなわけで住所を教えられるまま
辿り着いたのは一等地にあるとある邸だった。>>54
診療所、というには随分と広々とした家は
普通に住まいだと言われてもおかしくない。
中もパッと見ただけで質の良い調度品が並んでいるのが分かる。

……本当にここ？と一瞬疑ったけれど、
すんなり迎え入れてくれたあたり嘘ではないらしい。]

こんにちは。
先程お電話した三井です。

[出迎えてくれた彼が、電話口で累と名乗った青年だろう。
へえ、セラピストと言っても随分若いんだな。
年下…ともすれば大学生くらいに見える。
ともあれ軽く頭を下げ、促された通りに椅子に座る。**]

あー、まあね。俺は26だよ。

[どうやら俺の方が上か。なら多少喋りは砕いても構わないかな。]

ま…そんな大したもんでもないよ。
俺にはそういうのがたまたま向いてて、今んとこ上手くいき続けてるってだけ。偉くもない…卑下する気もないけど。
それより彩子さん、料理人なんだ。
へえーー！！…すごいな。板前的な…見習いでも。
有名なとこ？俺も知ってるとこかな。
……すげぇな。そういう仕事で食ってってるって。

[俺には絶対無理だもんな。なんて考えるのはこの場ではやめだ。]

[インナー以外は水着一枚の姿は、もちろん鍛えてるとこを見せたい故の見栄だけれど、感触は悪くなさそうだ。

その姿は程々に、水に飛び込んで誘えば、遅れて上がる水しぶき。顔にまで降りかかる。
浮き輪にしがみつきながらこちらに向く笑顔。ジムのプールでは絶対にお目にかかれない]

……ははっ。あー。こんだけでもすげー気持ちいいな、なんか…

[お目にかかれないと言えばもう一つ、ラッシュガードの下の水着姿の方もそうだけれど。ああ、でもいいなこの笑ってるとこ。]

…そらっ。

[なんとなく、水面で水鉄砲を一度、彼女の顔に向けて。ガキっぽい？…そうかもな。けど…]

向こうの端…あそこまで行けば、ずうっと下の方まで見られるんだってさ。プールの壁がガラス張りで、水中で下まで…
行ってみる?

[浮き輪に掴まって泳いでもいいし、乗ったまま引っ張っていくというのもある。
そんなとこから誘ってみよう。
日が落ちるまでは、他愛も無いのも悪くない。

彩子さんの方が望むなら*]

[どうやら彼は一つ上らしく。>>65
それを受けてか少し気さくな喋り方になる。]

またまた〜謙遜しなくても。
自分に向いてることで稼げるって言うのが
そもそもすごいことですって。

そう、板前的な。
知ってるかなぁ…「日本料理　ほのか」ってお店なんですけど。
まー食ってるって言ってもまだまだ修行中の身なんですけどね。
でもそう言われると嬉しいです。へへ。

[板前は一人前になるまでに十年かかる…とか言われてる。
途中でやめてしまう人も多いし、やっぱり忙しいし。大変なことも多いけど…
素直な言葉に頑張りを認められたような気がして、軽く頭を掻き。]

あははは。分かります…って、わっ！？
やりましたね？えいっ。

[笑いかけた瞬間、ばしゃり、と顔に水しぶきがかかり。
一瞬驚いたけれど、すぐににやりと笑みを浮かべて。
お返しと言わんばかりに水を両手で掬って彼にかける。

あー、本当に久しぶりだ、こういう感じ。
色気はないけど、それこそ学生時代みたいで。
悪くないな。なんて。]

へえ〜そうなんだ。
ガラス張りのプール、どんな感じなんだろ。
はい、行ってみましょ！

[誘いには頷いて。
彼が引っ張ってくれるなら着いていくだろうし、そうでなければ自力で泳いでいくことになるだろう。**]

「こんにちわ、セラピストの累です。」

掛けられた挨拶には、こちらも応じる。
改めて、彼女の姿をまじまじと見る。

あどけない顔立ちながら、しっかりと女性らしい体つき。
もったいない事をした男がいるものだ。
――そんな下種な考えが浮かんだが、今は彼女に気付かれぬよう、理性の下に隠しておいた。

「今回は、初めてという事で軽い暗示療法から始めたいと思います。
セラーピーで元カレとの事を無かった事にはできませんが、次のパートナー探しを前向きに行えるように。
そのお手伝いは出来ます。」

慣れた手つきで仕事道具の中からランタンを取り出すと、灯をともしてテーブルの上に置く。
部屋の照明を消して、カーテンを閉める。
部屋の中は、ランタンが揺らめく炎だけ。

「眼を閉じて、ゆっくりと椅子に身を任せてください。」

暗示の第一歩。
相手の緊張を解いて、リラックスさせる。
彼女の緊張が解けるまで、じっくりと待つとしよう。*

彼女の顔には、見覚えがあった。
僕の患者であるアヤネという女性が、彼女の姿を見せてきたことがあったから>>58。
もっとも、僕は彼女へ正直に「貴方の問題はメンタルセラピーでは治せない、自分を見直した方がいいと思う。」と突き放しておいた。
無責任に捨てたわけでは無くて、自身の事を自覚させるのもセラピストの仕事の内だ。
それで素直に自覚できるかはおいておいて。

「貴方、イズミさんですよね。
アヤネさんのご友人の。
彼女は僕の患者…まぁ、彼女の知人です。」

共通の友人がいる事は、相手の警戒心を緩める効果がある。
心理学の応用だ。

「失礼ですが、このパーティの趣旨をご存じで？」

不躾に問いかけた、アヤネの言動を知る自分としては、彼女のやりそうな事に見当がついている。
――スマホ持ち込み禁止を知りながら、わざわざ彼女だけ先に会場入りさせている時点で、間違いないと思う。
恐らく、パーティの内容を碌に知らせないまま>>36、ここへ誘ったんだろう。
このまま見過ごすのは、気分が悪い。

そう思い、彼女へ問いかけた。**

[自分に向いてること、か。お互い様だな、それは。]

日本料理ほのか…　ああ、名前は聞いたことあるかな。
一度行ってみてもいいかも、と思ってた。
十分だよ。俺にはそういう場所で勤め続けるのはとてもできない。

[上下関係も厳しいだろうしな。
板前としてはまだまだ立てないんだろうが、普段の彼女の姿に少し興味を覚えた。
が、今はそれよりも…]

お、じゃあ行ってみよっか。こっちこっち。

[他愛もない水遊び。それから、彼女の浮き輪を引っ張って端の方まで連れて行く。浮き輪に乗ってくれててもいいな。
端の方はアクリルパネルらしく、外と中、水中と水の外の区別がつきかねるほど、怖いくらいそのままの透明なガラス張りといった感じだ。そのまま流れ落ちそうな気もするくらい。]

はー。すっげぇな。ねえ、彩子さん……

[無邪気にそう振り返り、ラッシュガード姿の彼女をもう一度目に収めて…ふっと少しだけ悪い顔になった。]

彩子さんがいいならさ。
暗くなってからもう一回、
改めて付き合ってくれないかな？

俺もそんなに経験あるわけじゃないけれどさ。
彩子さんの事もう少しやく知りたいし…
楽しめたらいいなって。

[端までくれば人の喧騒も少し静かになる。
耳打ちすれば、二人だけしか聞こえない話だ*8]

[突然の質問に、こて、と首を傾げながら応えた。
お酒に釣られたというよりは、お誘いを断りきれなくて来たのが正解。
だって、せっかくのお誘いを断るなんて、よほどの理由がないと難しいでしょう？
どうしてそんなことを聞かれたのかしら。と、ハッとして。]
　

あっ、ちゃんと受付で年齢確認は受けています！
アヤネちゃんの紹介と言うことも分かってますから、大丈夫ですよ？


[コンビニでされるあれだわ！と理解してパァッと笑顔になった。
大丈夫です。二十歳超えてますよ！]*