[遠い親戚である古川千夏が同級生達と集まりたいという話を聞きつけ、うちのペンションに遊びに来ないか？と声を掛けた。
古川がそれに賛同して、何人か連れてくる様だ。

つい昨日お客さんを送り出したばかりの部屋の清掃を終え、若者達へ出すお茶やお菓子等の用意を始めた。

そうして彼女らが到着した時、この豪華で美しいペンションに似つかわしくない体育会系のノリで「よく来たな！」なんて笑って出迎えるだろう]

[―――壮絶で、酷く非日常的なあの事件の後。
みんなにそうメッセージを送った春。

私は時には大学を休む事もあったけれど、お医者さんもびっくりするくらいのスピードで回復し続け、
なんとみんなでペンションにお泊まりする計画を立ててしまった。

来年くらいにまた同窓会ができれば……って思ってたけど、
ペンションのオーナーである親戚が「今年なら予約が空いてる」「格安で泊めてあげよう」と言ってくれたので、
私はすぐにみんなに予定を聞いて回った]

[都合がつかなかった人もいて、
それは残念だったけれど……
でもその一人である鴨嶋すず香が
「また絶対同窓会しようね。今度はわたしも幹事をやらせてね]
って言ってくれたので、私はそれだけで嬉しかった]

[季節は冬。
帰ったらもうすぐクリスマスという時期の朝。

私はオーナーが手配してくれた貸し切りバスの前で待ち、
よく知る顔が見えれば嬉しそうに手を振って、バスの中へ促す。
着込んで寒空の下で待つのは、
みんなに会えるのが待ち遠しかったから。

ペンション行きのバスの乗車時間は一時間を超えるから、
酔いやすい人は前の方に、とか、好きな席に座ってね。**]

　ん、と……この辺じゃね？　あ、いた


[グループチャットで共有されていた場所に向かうと、
一台のバスが停まっていて、その前に元級友の女性がいた。
>>3彼女は古川千夏。
今回の（今回も！）企画の主催者だ。

隣に居るを振り返って頷くと、
一緒に並ぶように歩いてバスへと近づく]

　

　はよーっす
　古川久しぶり。元気そーじゃん


[SNSでのやり取りで古川が元気なのは知ってたけど、
実際に会うのは以来、実に数か月ぶりだ]


　本当に送迎バス来てら。すげーな。
　あ、うん
　ボードとウェアは事前にペンションに送ってあるよ
　親戚の人がやってるんだっけ。
　
　あ、お世話になりまーす


[バスの運転士は親戚じゃないか。
でも、どのみち世話になるから挨拶だけは先に]

　

　俺たち一番乗り？
　へー、まあちょっと早めに着く予定だったよな。


[迷いたくないから、とに念をおされる形で
早め行動をする事になったんじゃなかったっけ]


　どうする？先に乗っとく？寒いし
　それか、古川と一緒に他の奴らが来るの待ってみる？


[一緒に待つというなら、荷物だけ先に預かって
後部座席辺りに運んでしまおうか。
差し出した手に荷物を受け取ると、バスに乗り込んで
奥の方へと進んでいった。
荷物を置いたらまたすぐに降りるつもり。**]

[伝えられた集合時間よりいくらか早く到着してみれば、すでに手配してくれていたバスの脇には幹事の古川がいて。

んであと、律と、衣代と。
あと他に来てる奴、いたかな。]

　久しぶり！
　んでいきなり荷物増やして悪いけどこれ貰って！

[１人１枚ずつにと配り始めたのは、12月1日に無事リリースされた。dawning blueのデビューアルバム。
フルアルバムじゃなく６曲入りのEPだけどな。

気恥ずかしいくらいに気取ったポスターがそこここに貼られていたのは（いや、まだ貼られてるな……）のはほんのここ数ヶ月ほどのことだ。]

[例の一件デスゲーム事件絡みの２曲(＋アレンジVer）と、新曲３曲。DVD同梱版は３月のあのファーストライブ──律が記憶を取り戻した、あのライブ──が入ってる。

無事デビューできたことは、SNSグループで既に伝えてはいて、「買ったよ」「ダウンロードしたよ」なんて声も届いていたけどさ、あの廃校舎の空気を知ってる"仲間"には、直接手渡したいなと思ってたんだ。]

　律はボードだっけ。衣代も？
　俺……どうしよ。まだ決めてねー……。

[俺、雪山初めてなんだよな。なんなら初心者教室みたいなのにぶち込んでくれてもいいけど、"なんとかなるだろ"の精神で、やってみようとは思っていて。

だったら、ボードかスキーか、人数多い奴に合わせた方が助けて貰えるのか？────なんて、な？]

[ウェアも道具もレンタルすることにして、"雪山装備"は傍らの秋月に手伝ってもらって、先週末に整えた。

"スキーウェアの下って、普段着でいいの？"なんて、防寒機能皆無のシャツを用意しようとして、秋月に呆れられ。

ふっつーの靴下出そうとしたらそういうんじゃないと頭抱えられて、スポーツグッズ扱う量販店に連れて行かれて。手袋なんかも持ってなかったし。

おかげさまで防寒具色々揃えられたけど、重ね着の一番上に着てるオーバーサイズなセーターは秋月のだ。]

　あ？……うん、今、こいつと"２人暮らし"してるから。

[犬猿の仲だった俺たちがユニット組んで、秋月は大学辞めてまで一緒に音楽やってるってのは知られてることでも、５月あたりから一緒に住んでるってのはわざわざ言って歩くことでもなかったから、驚く奴も居たりしたんだろうか。*]

[俺は今、dawning blueのライヴ打ち上げのカラオケ会にて歌った名曲演歌『男は黙って涙酒』の歌詞を噛みしめている。

あれはもう、九か月前ーー三月の事か。

とんでもない犯罪事件に巻き込まれた俺は、奇跡的な生還を果たした。
果たさなきゃその後にマイク握ってボエーと美声を響かせる事なんざ出来ないんだから当たり前なんだがな？

…事件について語るとえらい長くなる。
そこらはもう警察やら学校サイドやら、心配してくれた両親や同僚に散々説明したからもう繰り返したいとは思わない。
気になるなら週刊誌でも読んでくれたら下世話な憶測までいっぱい載ってるよ。

事件の間あった事はーー悪い思い出だけではないんだけどさ。

むしろあの事件がなかったら、それを乗り越えなかったら生まれなかった絆や、大切な思いが沢山あるのだけれどさ。]

[それでもさ、今俺が踏みしめているのは閉鎖された廃校の床じゃないんで。

俺が歩んでいるのはその未来なんでーー

まあ兎に角俺は今五体満足、ピンピンして(※腰痛・肩こり・視力低下等の老化はおいといて)再び、彼らと逢うのだ。

俺の生徒たちーー元3-1のメンバーに。]

[あれからは季節は夏と秋を経て移り変わった。

俺は五月に一歳年齢を重ねて37歳に。元副担任の荻野先生はお辞めになってしまわれたが、俺は神生学園の教師を相変わらず続けており、四月からは新しいクラスの担任になったりで忙しい日々を送っていた。

ソシャケに給料を散財したり酒をかっくらって裸で寝たりするのもまんまだがちゃんと働いているぞ！笑

同窓会の幹事も務めていた古川から連絡を貰ったのはいつだったかな？
責任感の強い彼女は必ずや有言実行、もう一度皆の再会の場を設けてくれるとは信じていたが、思ったよりもそれは早かった。

雪山ペンションでの宿泊の誘いは教員旅行なんかより俺の胸をわくわくと躍らせた。
なんたって、目に入れても痛くない(※痛いよ)あいつらにまた逢えるのだ！
一もにもなく参加の返事をし、こうして当日を迎えたわけである。]

[冬晴れの青空の下、停車している旅行用の貸し切りバスを眺めた俺は引率した修学旅行を思い出す。
あの時は飛行機で乗り物酔いの生徒が沢山出たりしたが、今回は大丈夫かな？
そんな心配が過る自分に肩を竦めて笑った。

俺の立場は今元教師であり、これは仕事ではない。プライベートだ。
生徒たちは卒業してもう大人になりつつあるのだから、そんな気を配らなくたっていいはずなのにな…。

そう思ってもさァ、ほら、やっぱり。
俺の第一声はこうだろうさ。決まってるんだ。]


　　よー、先生来たぞ。
　　みんなァ、元気でやってたか？
　　風邪引いたりしてないか？

　　俺は寒くて腰が痛いよ！*

──集合場所にて──

　おはよ、皆久しぶりー。

[バス乗り場に着くと、既に何人か見知った顔が何人かいた。

あの事件後にやったライブの打ち上げ以来って顔も多いけど、こうして集まってみると一気に高校の頃に戻ったみたいな気分になる。]

　古川ちゃん、企画ありがと。
　なんか修学旅行みたいだな。

[今回の企画幹事に、泊まるところまで手配してくれた古川ちゃんは、相変わらず委員長みたいなムーブが板についていた。>>3

彼女の他に、先に着いていたのは十河に衣代ちゃん……って、2人は一緒に来たんだろうか。
なんとなく前よりも距離が近い気がする。

あの事件の時、同室だった2人の間に何かしらあった──それは各々あるに違いないとして──気配は察していたけど、あれからその辺のことを聞く機会はあったっけ。

皆があの後は日常を取り戻すのに忙しかっただろうから、詳しいことは知らなかったと思う。]

　DVDの方はあの時のライブが入ってるから、
　皆には渡したいなと思って。

[今時CDの再生機器は持ってない人も多いかもだけど、ダウンロードのコードも入ってるから、と空閑がアルバムを配り始める傍ら、そんな説明を軽くしたかな。>>7]

　俺はボードのが慣れてる……けど、こいつがな。

[空閑がウィンタースポーツ系は全くやったことがないらしく。>>8

転んだりした時に手を痛められても困るしスキーのがいいんじゃないかと思いつつ、周りと同じ方がやりやすいのはそうだろうから。

別にこんなとこまで来て空閑のおもりをする必要もないんだけど、何しろ準備からして不安しかなかった。]

[空閑の準備した鞄は雪山舐めてるのかって装備しか最初は入ってなくて、聞いてきた普段着のレベルも防寒着の役割が果たせてないもので。

持ってる服もそんな感じだったからと最低限のものは揃えたものの、これでも現地じゃ寒いだろとセーターを押し付けることになった。

サイズ小さいよりは大きい方がマシだろうと思えば、空閑が小さくて助かったよと揶揄い混じりの皮肉で言うのは、あの頃と変わらないつもりでいたんだけど。

服を貸すのは日常的に慣れているから別にいいとして。
おかしくないよな、それくらいは。]

　……まあ、お互い金もないし、
　住むところ一緒のが何かと便利だから。

[打ち合わせとか練習とか、毎回ライブハウスの練習室を借りるのは大変だし。

防音のきく部屋ってなると高いから、その方が都合がよかったってだけだよ、とは誰に対する言い訳でもないけど。]

　あ、松っちゃんせんせー。
　おはようございます。

[やってきた元担任、松っちゃん先生は卒業したところでやっぱり先生には変わりなく。>>14

俺と空閑のユニット名をつけてくれた恩師でもある。

いつものあの気の抜けた様子も、変わってなさそうな様子に嬉しくなった。]

　今から腰痛くて大丈夫？
　スキーとかスノボやったら死んじゃわない？

[松っちゃんせんせーもやるのかな、とは無理しないで欲しいところだけど。

温泉とかもあるんだろうし、この旅行では引率気分じゃなく羽を伸ばして欲しいのはありつつ、ペンションにカラオケ機器がないことを祈りたい。]

[こうして皆と顔を合わせれば、当たり前のようにあの頃みたいに話せるものなんだなと思う。

だけど、

……わかんねー、皆の前での空閑との距離感ってどんな感じだったっけ。

嫌がらせのつもりの“まさみちゃん“の呼び名は使わなくなって久しすぎて、今は使うことはなくなっている。

一緒に行動はおろか、顔合わせれば険悪になってた頃とはどうしても違いは出るとして、あんまり急に“仲良くなりました“みたいに思われるのは元クラスメイトや担任の前では微妙に恥ずかしいものがあった。

いや、誰もそんなこと気にしてないのはわかってるんだけどな？]

　お前、車酔いは大丈夫だったよな。
　バスだとまた違うから心配なら前の方にしといた方がいいんじゃね？

[CDを配り終わった空閑に、荷物、と手を差し出す辺り、いろいろと感覚が麻痺してるかもしれない。*]

[男が性的対象ってわけじゃなく、しかも長く犬猿の仲だった俺と秋月。

音楽活動の相方かつプライベートでは恋人って関係にまで至ったのは、あの極限状況下での数日間があったからだ。

あれが無ければ、ここまで距離が詰まる切っ掛けは、そうそう訪れることはなかったと思う。

同様に、あの時同室だった──いや、同室にさせられた？──面々も、それぞれ浅くはない関係を続けていることは想像に難くなかった。

律と衣代も……うん、なんかそんな（どんな？）感じ、だよな？だよな？]

　…………やっぱあの２人って付き合ってんの？

[って、隙あらば秋月の服の袖をぐいぐい引いて聞いてたと思う。求む第三者委員会。]

[で、結局、誰が来るんだっけ？って古川に聞けば、とりま昴と荻センは来られない、と。

荻センの誕生日云々って事情は誰かが知ってたりしたんだろうか。

３月のカラオケボックスで、昴と荻センがうっすらなんとなくそんな風な空気を醸してたとか醸してなかったとかは、うっすらなんとなく察してはいたんだけど。

元気かな。会いたかったな。]

[やってきた松センは >>14 遠目から見ても相変わらずよれよれしてた。
松センがウィンタースポーツできるなら俺は余裕だろ、なんて思えるくらいには。

そこにただ在るだけで元教え子に自信と勇気と輝く未来を与えてくれる素晴らしい元担だ。教師の鏡だよマジで。]

　松センも雪遊びすんの？
　ボードとスキーどっちやんの？

[情報収集にぬかりない俺だったけど、秋月はなんでか決めて無いらしい。 >>16]

　好きなのやりゃいーだろ。
　……って、ああ、道具は実家なのか、お前……。

[お互い、実家から勘当されてるようなもんだから、"これを取りに行こう"みたいなの、すること出来ないんだよな。

それでも秋月はでかいタワマンで一人暮らししていた分、適当に身の回りのものだけ持って出奔に近い形で家を出た俺よりは遥かに物持ちで。

だから、"お前の物は俺の物"が常態化していて、それがもう、当たり前な感覚になっていた。]

　……なに、変な顔してんだよ。 >>19

[え、そんなに似合わない？このセーター？
そういうんじゃなく？

まさかこいつが、俺との距離感を図りかねてるとか知る由もない。]

　やっぱボードよりスキーのがマシな感じなのか？

[問うたら、両足を１つの板に固定するよりは、２足歩行ができるスキーの方が安定性あるとか、何気にスキーのストックの存在が、安心感パないとか。

一応、おすすめはスキーらしい。]

　え。もしかして、
　俺に合わせるつもりで決めてなかっ、た……？

[問うたら、問うたこっちの顔が赤くなった気がするし、続けて荷物寄越せだの席こっちが良いんじゃとか、ほんと、ほんと、言動がさあ！]

　………………っ。

[じわ、と顔がどんどん熱くなっていく。

"彼氏面"、てか、いや、彼氏ってやつかもだけど！
女扱いされてるとかじゃないのも、もうとっくに解ってっけど！！]

　や……、酔ったりはねーけど。
　…………窓際のがうれしい。

[ぼそぼそ告げて、赤くなった頬をぐいとセーターの袖で擦った。

皆の前での距離感が解らないのはお互い様なんだけどさ。

聞いてくださいこいつマジほんとベタベタに甘くてつか甘えてくる系じゃなく甘やかしてくる系で毎朝飯作って作ってから俺んこと起こすし俺の体調とか俺以上に心配してくるしやたら俺んこと宝物みたいな扱いしてくるしほんともうほんともう、さあ！

────なんてこと、口に出して叫べるはずもなく。]*

[怪しいロシア人のような風体だけど先生だよ！

俺はまず幹事である古川に近づくと労いの意味を込めて頭をぽん。背が低くて小さな彼女の頭は俺の手にすっぽり収まるサイズかな。]


　　古川、今日は手配色々ありがとうな。>>3
　　お蔭でみんなに逢えるのスゲエ嬉しいわ。
　　…感謝してるぞ。

　　
[なんて話しつつ運転席にいる大人の方に挨拶をしておく。お世話になります、今日は宜しくお願いします、と。

俺も運転は出来るから道中代わってお手伝いする事も可能だが、雪山への道って結構走りにくいんだよな。慣れてる人に任せるのが安心であろう。]

[運転をしてくれる方に挨拶をしているのは俺だけではない。
ちゃんと社会常識を身に着けている姿に安心する。
流石俺の教え子！

すらりとした背丈の彼は、相変わらずのイケメンオーラを前面に振りまいている。>>5
隣に可愛い彼女を伴なって。]


　　十河元気そうだな、身体はもう元通りか？
　　衣代も一緒か、うんうん。
　　…なんかほんと、お似合いだな。
　　

[寄り添うように立つ美男美女は十河律と衣代和かほだ。元剣道部コンビの二人が付き合っているのは俺も知っている。十河は同窓会の時は違う彼女がいたらしいが、そんな過程はどうだっていい。こうして教え子二人が仲睦まじくする様は俺の胸をほわと暖かくしてくれた。

ちなみに俺が十河の健康を心配したのは、彼が事件後に一時的に記憶障害を起こしていたからである。勿論、今元気ならそれで問題はない。]

[十河の肩にもぽんぽん、と軽く触れておこうか。
先生は触り魔です！イケメン菌もーろた(※無駄なあがき)

その際、俺は十河の手の中にあるCDに気が付いた。
dawning blue。これを配っている主は、勿論……。]

　　おーい、空閑！久しぶりだな。>>22
　　おっさん磨いてないぞ俺、お前も成長して随分大きく…
　　いや、なんでもない。

　　先生、そのCD買ったぞー。デビューおめでとう！
　　あ、でも良かったら一枚貰えるか？
　　サイン入れて欲しいから。


[空閑雅美。メッシュの混じるほわほわ頭とちんまいポメラニアン的な姿を見間違えるはずがない。
彼は元軽音部で相方の秋月時雨とバンドを組んで最近プロデビューした。
配っているのはそのCDだろう。

彼がいると周りの空気がぱっと暖かくなる。冬の寒さなんて忘れてしまいそうなほど。
相変わらずのムードメーカーだなあ、空閑は。]

[随分サイズの合わないでかいセーターを着ているな。
何故だろう何故かしら。>>9
ちんまさがより目立つんだけど言わない方がいいのか？
そこに惚気が潜んでいる事を鈍な俺は気付いていなかった。美味しいネタを拾えよ馬鹿！

そういえば、クラスを明るくするという意味で彼と二大巨頭とも言えるのが夏目昴だ。
微笑みの爆弾とあだ名をつけた彼が旅行に不参加と後で知ったなら、俺は熱い涙で雪山の雪を全て溶かすかもしれない…。]

　　雪と言ったらかまくら作りと
　　雪だるまはマストだろ。

　　ボードはやらんがスキーやるぞ！
　
　　ゲレンデを駆け巡る貴公子の姿に見惚れて倒れるな？

[ちなみにスキーの実力は49ぐらい。高ければきっと上手い。低ければ笑ってくれよベイベー。

空閑の隣にいる秋月も俺に声を掛けてくれる。
腰痛の呟きは拾われていたらしい。
優しい言葉に癒される。いや、死ぬのを期待されている？そんな🍌>>18]


　　心配無用、俺は不死身だ秋月。
　　三度は蘇る！
　
　　ビールとエイひれと温泉があれば
　　おじは無限に復活するんだよ！


[嫌な生き物だ。むしろG並みの生命力か？

ぐっと親指を立てる。道具はレンタル品を既に宿へ宅急便にて送ってあるので安心安心。きっとみんなに交じって年甲斐もなくはしゃいで遊ぶこと間違いなしだろう。]**

　何？トイレ？

[空閑に袖を引かれて、バスの出発までには済ませとけよ、と言いかけたけどそういう話じゃないらしい。

珍しく小声だなといくらか身を屈めれば、十河と衣代ちゃんの距離感が近いのは空閑も気づいていたみたいだ。>>20]

　や、はっきりとは知らないけど……多分？

[元剣道部仲間ってだけじゃなさそうなのは廃校舎の中にいる時は気づけなかった俺でもそう思うくらいには、雰囲気が変わった気がする。

あの時各々が閉じ込められた部屋で何があったかは知らない話だ。

だけど、いろいろと変化はあったんだろうなとは、救出された朝に皆の部屋を回った時の様子だとか、ライブ後のカラオケで感じてはいたから。]

　もしかして2人って付き合ってる？
　ペンションの部屋も一緒になる感じ？

[隠してる風でもなさそうだし、本人に聞くかと十河と衣代ちゃんに直接聞いてみたけど、どうだったろう。

宿泊先の部屋はペンションとなると、一部屋一部屋がそう大きな部屋ってわけじゃないだろうし、一人一部屋か、あるいは廃校舎の時と同じ部屋割りだったりするんだろうか。

その辺は到着してから決めることになるのかもしれない。]

　夏目と荻野先生は来られないのか、残念だな。

[荻野先生はもう先生じゃないんだっけ。

夏目は相変わらず荻野先生と仲良くしてるんだろうか。

夜景の見えるバーラウンジなんて大学生の身ではめちゃくちゃ緊張しそうな場所で誕生日祝いをしていると知ることがあったら、その辺含めての近況は気になるところではあったけど。>>@1

きっとまた、そのうち聞く機会もあるだろう。]

　松っちゃんせんせー、CD買ってくれたんだ？
　ありがとうございます。

　サイン？俺のは大して変わんないよ。

[音楽活動は“時雨“でやってるし、もう散々テストの答案だとかで直筆のやつを提出したことがある名前とほぼ同じだ。

空閑はKU-MAって活動用の名前があるからまた違うんだろうけど。

元々の知り合いにサイン書くのってどうにも照れくさい気はしつつ、そう言ってもらえるのは嬉しい。>>28

バスの中でかペンションに着いてからでも、腰を落ち着けてからCDのジャケットにでも書かせてもらうことにしよう。]

　ん？ああ、今家にあるもの以外は全部実家。

[日常生活に必要なものは一通り揃えてはいても、ボードやスキー板だとか、嵩張るものは持ち出してなかったから、今回はレンタルする気だった。>>22

それに、空閑がどっちにするかは決めかねていたみたいだから。]

　かまくらと雪だるまは作ったことないな……。
　作るなら手伝うよ。

　せんせースキー出来るんだ？
　かっこいいとこが見られるの楽しみにしとこう。

[気怠そうな姿を見慣れすぎていて、颯爽と雪山を滑るところは貴重に違いない。

普段とは違う環境で、見たことのない一面が見られたりするのかなと思うと楽しみだ。]

　せんせーが不死身なのは知ってるけどさ、
　あんまり無理しないでね。

　あ、俺も酒は付き合える年になったから。

[決して死ぬのを期待してるわけじゃないよ？なんて冗談で出てくる程度には、あの事件の嫌な記憶も薄れているってことで。>>30

夜に飲み会となるなら、前と違って松っちゃんせんせーも気兼ねなく飲めるんじゃないかな。

今まで気兼ねしていたかは知らないけど、やっぱり一人だけ飲むのは気が引けるところはありそうだし。]

　別にいつも通りだけど……？>>23

　松っちゃんせんせーがスキー得意みたいだし、
　空閑もそうしたら？

[ボードよりは手をつくことも少ないから、怪我もしづらいと思う。

せんせーに教えてもらえるなら俺の手間も省ける……と、空閑が選んだ方に合わせる気でいたのは、その方が説明もしやすいからもあった。]

　怪我とかされたら困る……面倒だから。

[一応教えるか様子みるかくらいはする気でいたけど？

この寒いのに何で赤くなってるんだ、もう風邪ひいたとか？と荷物を受け取ろうとした手を額に持っていこうとして。

これは普通か？いや微妙かもと思いとどまってやめた。]

　具合悪いわけじゃないならいいけど。
　窓側な、わかった。

[俺はこだわりがあるわけじゃないから、窓側は譲るとして。

隣に座るのは多分普通？
昔だったら絶対端から端くらいに離れて座ってたけど、今は逆にその方が不自然な気もするし……。

空閑は空閑で恥ずかしいことを考えてるのは知る由もない。>>24

飯は用意しないと食わないしなんなら作業してて寝ないし倒れられても困るから世話してるだけだから、別にそこまでベタベタも甘やかしてもない、多分。

荷物をバスに運び込むと、結局空閑の隣か近くの適当な席に着くことにはしたと思う。]*

[十河の隣を歩いて集合場所へ。>>4
公共のバスとは違った見慣れぬバスを見付け、
その傍に防寒していても見間違えない人影があれば、
あ、と口元が綻んだ。
十河と目が合ってお互いに頷いて、
彼女のもとへ歩み寄った]

[あの事件の後……
こんなに元気そうな彼女を見るのは初めてだったかも。
まるで高校時代に戻ったみたいだ。

私は嬉しかったけれど、
あんまり言葉や態度に出ない私の性質は変わっておらず、
彼女へ久し振り、と微笑んで声を掛けた。
彼女は私の三倍くらい大きなリアクションで
久し振り！と笑ってくれた。

それから彼に倣ってバスの運転の人へ挨拶をして……>>5]


　　えっと……少しだけ待ってみようか。


[バスに先に乗り込むか、という話になった>>6からそう返す。
少し歩いて来たから今は身体あったかいから、と思って
そこで古川さんと立ち話をしながらみんなを待とうかなって……]

[彼が荷物を持って行ってくれた後だろうか、
一際元気な声がこちらに投げ掛けられた。>>7
あの閉鎖空間の中でも元気をくれた歌声の主だという事はすぐにわかって、再会を喜ぼうかと思ったら何やら手渡された]


　　空閑くん、ひさしぶ……えっ


[それは彼らの音楽を詰めた円盤だった。
知ってる。彼らがデビューした事もだし、
買おうと思っていたからこのジャケットも何度も見た。
推薦で入った剣道部員であり（つまりバイトをする余裕がない）、今年一人暮らしを始めたばかりで親から援助してもらっている身なので、
今月仕送りを貰ったら買うつもりだったのに……]


　　いいの……？ありがとう。
　　……あのね……、デビューおめでとう。
　　いっぱい聴くね。


[きゅっとアルバムを胸に抱いて、
改めて彼ら二人のデビューを祝った。
秋月くんが隣にいた事も気付いていたけれど>>15、
嬉しいプレゼントに驚いて、
秋月くんに掛けた第一声は「ありがとう」になってしまった。
ライブ映像が入ってるって、楽しみだ。>>16]

[スノーボードをするのかという空閑くんの問い>>8には]


　　ボードはできそうなら……
　　私はソリで傾斜を滑りたいなって思ってる。


[なんて運動部らしからぬゆるい遊び方で雪山を満喫する気でいる事を返し……、何だかオーバーサイズにしては半端な感じの彼の服を「そういうファッションなのかな？」って見てたら、
秋月くんとふたりぐらししてるって教えてもらった。>>9]


　　え、そうなんだ……

　　素敵だね……　


[二人の事犬猿だなんてもう思ってないけど、
一緒に暮らしているという事には流石に驚いた。
だって同い年でそんな事している人まわりにいないから……。
でもそれ以上に、二人で同じ家で音楽を作っているという事が
すごく素敵な事に思えてならなくて、私は顔が綻んでしまった。
思わず羨望の声も漏れたが。*]

　おー。あんがと！

　あの事件がなかったらこれも出来てなかったと思うと
　感慨深いよな。

[相変わらず控えめな衣代が、小さな花が綻ぶように「おめでとう」と言ってくれたのに破顔して。>>40

アルバムに、『星降る空は見えないけれど』をアレンジ版とオリジナル版のと２バージョン入れたくらいには、ひときわ思い入れがある曲だ。何より大事な、dawning blueの出発点。

奏でれば、あの時の様々な光景と心情が何度でも胸の中に去来する。
全てが御機嫌な記憶ってわけじゃないにせよ、忘れたくはない大事な思い出で。]

　……あ”ー……"素敵"かどうかは……どうだろ。 >>41
　や、うん、でも楽しいよ。毎日。

[小さな小さな声で、衣代が「いいなあ」って。>>41

毎日飽きるほど音楽ができる。楽器奏でたり鼻歌歌ったりしてても「うるさい」なんて声はなく、気が向いたらセッションしたり、えんえん、部屋に気に入りの音楽流したり。]

　住むには向いてない物件なんだ。
　半地下で、元カラオケパブって物件だから。

[トイレはあってもバスルームはないから、後付けで組み立て式のシャワーブースをバックヤードにつけたりしてる。
ぶち抜きワンフロアだから、寝室区切る壁みたいなのはないし、床は派手派手な白黒のチェッカー柄だし。

アレは……"家"とか"巣"ってより"アジト"だよなと常々思ってる。dawning blueのアジト。]

[松センは本当だったら、ユニット名つけてくれた恩人でもあるんだ。

アルバムできたってとこで、三つ指ついて報告＆献上しに行っても良いくらいだったんだけど、発売前後はプロモーションだなんだと連れ回されて、まださして慣れてないサインを何百枚も描いたりした。

俺の"KU-MA"はそれなりかっこつけた──いや、"Ｍ"のとこを犬の顔みたいにしてるから、むしろ"かわいい"みたいに言われてる──サインにしてるけど、秋月は"時雨"って筆記体そのまんま、署名かよって感じのやつで。 >>34

画数少なくねーんだし、筆記体のうねうねしてるのに改めたら？と言ったこともあるけど、今更突然変えてもなって事になったらしい。

松センにも勿論CDは渡しつつ、サインは後でってことにしておいて。]

　…………俺には？

["自称触り魔"の松セン、流れるように古川と律に触ってたけど、俺にその手は来なかったから、半端に浮いた手があったとこに、そこに頭をぐりぐり押しつけておいた。くらえ俺のデカボイス菌。]

　んー、まあ、松センもスキーなら俺もスキーかな。>>30

[って俺が言えば、松セン云々関係なく秋月もスキーにするんだろ。

うじゃうじゃ言ってるけど、ここで「じゃあ俺はボードにする」とか言う奴じゃないのは、もう知ってることで。

なんか思い出したように突き放すな物言いになったりしてるけど、俺の荷物を受け取ろうと手を出してしっかり受け取ってるあたり、……なんていうか。なんていうか。]

　え、なに、バス乗る？

[荷物詰めがてら、秋月はそのままバスに乗り込む風だったから、俺もばたばた秋月を追うように踵を返す。

いや、窓際座らせて貰えんなら、俺が先に入るのが良くね？……って、ああ、別に隣に座る必要はねーのか。そのくらいの席数はありそう……で。]

　……………………。

[なんとなく。なんとなく、落ち着かねー……ってなりつつ、秋月とは真ん中の通路挟んで左と右って感じに座ることになったかな。 >>37

出発まではと、うっすらヘッドフォンから流しっぱなしにしてたSp〇tify。
やたらかっけーギターアレンジが耳に入ったところで秋月を指で呼び、]

　ちょ、ここ聞いてみ？
　クソかっこよくね？

[なんて話しがてら、ヘッドフォンの片方秋月の耳に押しつけて、そのまま２人並んで座り続けることになってしまったりは、あったかもしれない。]*

　　サインは二人のもんが揃わないと
　　意味がないだろう？>>34

[秋月時雨は、これまた死人が目覚めるほどのイケメンである。そして彼にはもう一つの特徴があった。

大人っぽくてカッコイイ。

落ち着きがあり、周囲に過不足ない配慮が得意で包容力がある(※放尿力の方は不明)。学生時からモテモテのモッテモテであった彼がプロのバンドマンというスポットライトを浴びる立場となって、今はもうテレビの向こうの芸能人みたいな存在である。

今も空閑の様子に細かく配慮し体調を心配したりしている。
皆と同学年のはずだが、彼だけ一歩年上な気がしてしまう、既に大人の域であると感じる。

冴えない中年教師とスターという垣根を超えて気さくに接してくれる彼に感謝を示しつつ、サインはペンがあるペンション(※ギャグではない)で頂くとしよう。

まずはCDだけを先に受け取った。そして薄給だと騒いでいる(※ちゃんと貰ってるけどソシャケに吸いつくされているだけ)ポメラニアンボーイに向き合…]

[巨大な毛玉みたいなものが浮いてた掌に押し付けられて俺は驚く。>>44

なんだ、動物か？野生の熊？

違う、空閑の頭だった。撫でようとしたところに潜り込むってどういう甘え？
怖い、こいつの天然の可愛さが！密猟者とかに狙われない？]


　　ははは、よしよし、どうどう。
　　…ったく変わんねえな。
　　
　　お前が元気で嬉しいよ空閑。
　　癒されるよ…あんがとな。


[くすぐったい想いを満喫した。保護者である秋月も見守っていてくれたら幸いだ。
そういえば衣代は撫でてないけど彼女は大人しいからビックリするかもって思ったんだよ。
それぐらいの気遣いはおじにだってあるんだ！

まあ、元気そうならそれで問題はない。]>>41

　　かまくらも雪だるまも作る作る！
　
　　手があかぎれで千切れようとも作るとも。
　　先生出身長野だから、雪国育ちだからな。>>35

[雪国育ちにとってかまくらは第二の住居みたいなもんだよ。え、違う？そんなはずは。]

　　任せとけ、空閑が得意でないってんなら
　　教えてやるからなー。
　　🐶が歓び庭駆けまわりって言うし、沢山遊ぶがいい。

　　おう、飲めるのか？空閑はまだだっけ？
　　じゃあ秋月、夜は晩酌頼んだぞ。

[スキーに関しては胸を張るほど上手くはない、平均ぐらいだ。しかし見た目からしたら斜面を雪だらけになりころがる姿しか思い浮かばないだろうし、驚かれてもしょうがないかも…。

秋月が酒に付き合える年齢になったのは嬉しい限りだ。にやにやしつつ剃り残しがある顎を撫でる。

一緒に飲むのは、この旅行にてまた逢えるなら荻野先生ともじっくりさしで飲みたいなあと想ってはいたが。

荻野先生、荻野司は元3-1の副担任だ。同窓会にも参加していたが事件後は退職されている。

今は作家として活躍されているようだ。バンドデビューした二人といい、華やかな世界に旅立ったスターが身近に多すぎて俺には眩しすぎる…。]

[バスに乗り込んでいくメンバーを見送り、俺はまだ来ていない生徒を待つことにしようかな。

…が来るまでは。
きゅるんの弾丸が勢いよく走ってくるの、待っててやりたいから。

あ、っていうのは恋人という意味ではないぞ、ないからな…！
文字がピンクになるぐらいのほんのりした気持ちは俺にはあれど。

彼女と俺は、そう、まだ。
多分、まだ。]

[という事で、貸し切りバスの傍らにおじはまだ立っている。

寒いので身を震わせながらも、その目は和やかに細められていた。]**

[あの事件がなかったら、これも出来てなかった……>>42
あの出来事を決して肯定する訳じゃないし、
巻き込まれていい面もあったなんて言うつもりはないけど、
確かに、あの事件がきっかけで、
あの事件に巻き込まれる事が
人生の分かれ道のひとつだったのかもしれない。


だから私よりもにっこり笑った空閑くんに、
「うん」と私ももう少し笑みを深めた。

でも二人暮らしを「素敵」って言ったら、
空閑くんは言葉を濁す。
音楽が生まれる家って素敵だと思ったけど、
住むには向いてない家なんだって。>>43
なるほど私が想像する生活とはちょっと違うのかな……カラオケパブっていうのはよくわからなかったけど……
でも毎日楽しいって空閑くんが言うから、
やっぱりよかったって思うし、いいなあって、思った]

[そんなやり取りがあった後だったか
またも元気な声が聞こえて来た。>>14
元担任の松本先生だ。
格好は防寒がしっかりしすぎて結構怪しい人って感じにも見えたが、先生だとわかるとぺこりと頭を下げる。

春の同窓会だけじゃなく、
ここにも参加してくれるのが嬉しかったけれど
寒いとか腰が痛いってバスに乗る前から言っているので
大丈夫かなあと心配になった。
でもその顔は元気そうに見えたし、
みんなとのやり取りは同年代の若人の様だった（褒めている）。

でも先生から「お似合い」>>26とか言われると、]


　　えっ、あ……


[十河が前は別の女性と付き合っていた事、
先生も知っているから、少し気まずい……
でもそれを通り越してそんな風に言われるのが何だかとっても恥ずかしくて……俯いて、何も言えずに一歩下がってしまった。

先生は悪くない。
寧ろ十河とお似合いなんて言ってもらえて私は嬉しかった……ただ、こういう会話に私が耐性がないだけだ]

　　……先にバス乗ってるね。


[だから私は十河に断って、
逃げる様に先にバスに乗り込んだかも。

こんなんだから秋月くんに付き合ってるのかと聞かれた時>>32も、私は小さく頷く事しかできなくて、
十河がきっとスマートにお返事してくれただろう。*]

　おす！！

［、着弾――何故か既にスキーウェアを着て登場。
結構遅めに着いちゃったかな？時間通りに来たはずだけど、皆来るのが早すぎる。
真っ先に目に着いたのは、鼻水が今にも凍りそうなおじさんだった。>>53］

　さむそーじゃん。
　めちゃ厚着なのに。

［からからと先生を指差して笑う。］

　他のみんなは？もう滑ってる？？？？

［状況の把握は、相変わらず苦手だ*］

[バスの後部座席に二人分の荷物を積んで戻ったら、
ちょうどデカい声が聞こえた>>7
早いってツッコミは分かるけど寒いって何だ。
寒くて当然だ。冬なんだもの。
で、久しぶりと再会を喜び合うのもままならないうちに、
名刺代わりのようにCDを配ってくる]


　うっす、久しぶり。
　ああ、これ持ってるよ。発売日に買った。


[俺はSNSで反応した「買ったよ」の中の一人だ。>>8
しかも渋〇タワレコ限定の予約特典付きで
ジャケットと同じデザインのB2ポスター持ってる。

元同級生の気恥ずかしい気取ったポーズ>>7を
どアップで直視する自信がないので、今んとこ筒状のまま、
俺の部屋の竹刀袋の隣に立てかけてある。
で、同じように買ったと言った松センには
薄給なのに>>44みたいに言ってたけど、俺にはどうだったか]


　ん、でもサンキュ
　こっちは布教用に使わせてもらう。あ、デビューおめでと。


[何なら今夜はデビュー祝いも兼ねての同窓会か。
がぜん盛り上がりそうになってまいりました]

[なお、和かほとは彼らのデビューに関する話は
してたんじゃないかな。
事前に会えていたら、特典映像を一緒に見る機会はあったかもしれないが、今月俺たちが会うのは、今日が初めてだった。
休み前の試験やら課題やらで、互いに忙しい学生生活だったからね。
予定を合わせれば、わずかに会う時間も作れたかもしれないが
今月は旅行の予定があったから、
むしろ今日まで会うのを保留にしていたともいう]


　和かほはまだ、買う前だった？
　良かったね。
　

[受け取ったばかりのCDを嬉しそうに胸に押し抱く姿>>40に
つられてこちらも顔を綻ばせた。]

[ゲレンデでの予定は未定だ。
手持ちのスノーボードがあるから、事前に送りはしたけど
何ならスキーにしてもいい。和かほは初心者だって聞いてたから、合わせようと思う。
何ならゲレンデ近くでレンタルしてもいい。

和かほがソリやる>>41っていうなら俺もやるって話は
来るとき電車の中でしたかな。
ソリだとリフト乗せてもらえないから、
斜面を登るのは足だけどね。
ソリなら二人乗りする気満々である。
和かほは小柄な俺のなので、絶対に楽しいに違いない。]


　……、空閑は秋月に教わるんだろ？>>16
　好きな方をやればいいんじゃね？　あ、秋月もオハヨ。


[空閑の横に居た秋月にも声をかける。
一年くらい前だと、こいつら犬猿の仲だったけどな。
まさかあの事件がきっかけで意気投合して
ユニット組んでデビューするなんてな。
しかも同居してるだと。>>9
人って変わるものだなぁ、と]

[彼らが二人暮らしをしてると聞いた時、
和かほの羨ましがる呟きを俺も聞いてしまった。>>41]


　……。


[まあ、同居というか同棲について、これまでに頭を過った事は一度や二度や三度ではない。
付き合い始めで気持ちが一番盛り上がってる時期も、
互いに住む場所は離れているし通う大学も違うので、
会うのは互いの予定が合う週末に限られていた。

彼女は独り暮らしだし、それなら二人でもう少し広い部屋を借りて……とも考えたけど、
通学圏内に実家がある学生の身としては、こちらの仕送りは期待できなかった。
こちらのバイトを増やせば叶わなくもないが、
両親の同意も得づらいし、越えないといけないハードルも多すぎたので、今はまだ、憧れは憧れのままに留めておいてる状況だ]


　


[聞こえなくてもいいやくらいの小声で返す。
ちなみに、週末デートで彼女の部屋に転がり込む時の食事担当は俺だ。彼女と付き合うようになってから、料理をする機会が増えたと思う。
借主以上にキッチンの間取りや戸棚の中身を把握していると
言っても過言ではない。
何なら勝手に増やしている調味料だってある。
何でも出せば、嬉しそうに美味しそうに食べてくれるので、
こちらも作り甲斐があるってもんだ。
彼女のために考案したレシピもあるけど、それはまた後程。*]

　楽器弾けて寝るとこあればよかったからな。

[芸人とか物書きとか？自由業の人間なら同業で集まって暮らしてるのも珍しい話じゃないし、合宿所みたいなものだよと空閑の説明に補足して。>>43

ワンフロアしかない部屋は申し訳程度に玄関から室内が見えないように棚を仕切りにしてるくらいで、プライベートとかないに等しいけど、と肩を竦めた。

“毎日楽しい“というのは否定する理由もないものの、普通に言うんだ？と微妙に気恥ずかしくなる。

そんなことを気にしてるのは俺だけなんだろうか。]

　まあ、空閑のサインだけだと価値が半分になりそうだし。

[サインとかちゃんと考えるのが面倒で、空閑の謎の生き物（犬？）も一緒に書いてあるあざといサインに比べると、ほんとに簡素なものなんだけど。>>44

どうにも照れくさいからとそんなことを言っていれば、二人のものが揃わないとってフォローも、やっぱ先生だなって思う。>>47

空閑は犬みたいな挙動で撫でられにいっているし、包容力は当たり前のように松っちゃんせんせーのがあるんじゃないだろうか。]

　せんせー雪国育ちだったんだ？
　じゃあホームみたいなものじゃん。

[かまくらは案外あったかかったりするのかもしれないけど、住むのはさすがに本当の死が見えそうかな……。

スキーでは空閑が転がっても助けて貰えそうだし、頼りしておこう。

そこでじゃあせんせー空閑のおもりはよろしく、俺は好きに滑っておくからとはさすがに言わないが。>>45]

　ああ、空閑はまだ未成年だから……

[飲んだことないわけじゃないんだけど弱いから、とは元担任の手前言うのはやめておいた。

何故か当人は酒が強いと思い込んでるらしいのもある。]

　晩酌は是非付き合わせてほしいな。
　せんせーが潰れたら介抱するし。

[松っちゃんせんせーはまだ来てないメンバーを待つようで、その胸中は知るところではないが、やっぱ先生だしな、と先にバスへと乗り込む。

そう待たないうちに、覚えのある元気な声が聞こえてきたんじゃないかな。>>57

で、どこに座るかなんてそう悩むようなことでもないんだけど。

いくら空閑が小柄って言っても男二人で並んで座るのも狭いかと、席に余裕もあるからと通路を挟んだ席に座った。]

　…………ん？

[出発するまでは暇だしとスマホを見ていれば空閑から呼ばれて。
このまま顔を寄せると後から乗ってくる人の邪魔になるしで隣に移動する。

何かと思えば聴いてた曲のギターがよかったらしく。
片側のヘッドホンを回して耳に当てた。

両側からじゃないと音全部拾えないのはあるけど、言われたところはちゃんと聴こえたから、まあいいかとしばらく耳を傾けて。]

　ああ、結構いいかも。

[そういえば次の曲さ、と話し始めたら反対側の席に戻るのは忘れていた。]

　皆変わってないなって思ったけど、
　結構変化もあったのかな。

[関係性とか？と衣代ちゃんに問いかけたことが正解だったことだとか、十河がスマートに答えていた（はず）のことを考えると。>>56

俺らの場合はあの頃に比べたら相当変わったとしても、その生活も半年以上続けていたらそう実感が湧くものでもなく。

*]

[続々集まってくる懐かしい面子に
ひさしぶり！とか元気？とか元気だよ！って
すっかり普通の生活を送れる様になった事を表す様に
元気よく笑顔を向けた。

空閑くんからCDを受け取ったが、]


　　えーもう持ってるよ！
　　発売日に買ったもんね！
　　でもじゃあ、これにはサインちょうだい。


[と言ってペンを探したが、
生憎ボールペンしか持ってなかったので、
ペンションで借りる事にした。
まさかそのすぐ後にやってきた松本先生が同じ事>>28を言うとは思いもよらず……]

[秋月くんがペンションの部屋割りについて触れた>>32後、]


　　ペンションの部屋は一人で使ってもいいし
　　二人とか三人でも使えるよ。
　　好きに選んでいいんだって。
　　最大四人まで一緒に入れる部屋があるけど……

　　一緒になりたい人は
　　みんなもういるみたいだね？


[少なくとも空閑くんや十河くんはそうっぽいなと踏んで、
い〜な〜みんな青春してるんだな〜って
微笑ましさや羨ましさが混じった笑みを向けた]

[先生も、忙しそうなのに来てくれて嬉しい。
しかし労いの頭ぽんをされた>>25ら、]


　　頭に勝手に触るのはセクハラですよ。


[と笑顔ながらに真面目に返した後、]


　　うそです、あ、うそじゃないですけど。

　　感謝してるってのは嬉しいです。
　　こちらこそ、来てくれてありがとうございます。

　　先生もいっぱい羽伸ばして下さいね。


[にっこり笑って、
先生の日頃の疲れもとれるといいな、と思った]

[みんながバスに乗り込み始めたら、
私もそろそろ乗ろうかな。
先生>>53を邪魔しない様にそっとバスに乗る事で姿を消す。

歌田さんを迎えたのは、バスの中でだっただろう。
私は運転席のすぐ近くに座って、
ぐるりとみんなを見渡す]


　　これで全員だね。


[今回、ペンションに行くメンバーは揃った。
来られなかった荻野先生、夏目くん、立成くん、辻くん、そして鴨嶋さんがいないのは淋しいけれど、
彼らも交えての同窓会はまたいつか、ね]


　　じゃあ、しゅっぱーつ！


[そして私は運転手に軽く頭を下げて目配せした。
運転手はぽちっと何やらボタンを操作する。

私は運転手にCDを手渡していた。
さっき空閑くんから受け取ったものではなく、
自分で買った彼らのデビューアルバム。
それをかけてもらう為に]

[そして行進曲の様にdawning blueの曲が始まった！！]

[さて、みんなの反応はどうだったかな？


ともあれ一時間と少しのバスの旅だ。
酔ったりする人がいなければ問題なくペンションに辿り着いて、
オーナーの国生さんの体育会系な挨拶を聞けば各自荷物を置いて、リビングで昼食をとり、ついでにちょっとお茶やお菓子を摘まんだら、自由に行動する事になるだろう。

晩ご飯があるから、暗くなる前に帰って来てね。**]

　


[結局秋月はずっと俺の隣の席にいて。>>67

古川が軽やかに「しゅっぱーつ！」の声を上げた直後、流れ始めたのは『星降る空は見えないけれど』のアルバム版Winterバージョンの旋律だった。>>73]



[そんな嘆きをよそに、曲は淡々と流れ続ける。

オニ。アクマ。キュウケツキ。ジンロウ。オニチク。

いや、アルバム配ったよ？配ったけど、皆のいる前に自分たちの曲を流されるのは、また違った気恥ずかしさが、さあ！？！？]

　うううう…………。

[しかも今回のこのアルバム、これまでさんざ"お前の声も楽器扱いさせてもらう"と秋月を使ってきたツケというかあおりというかってやつで、なら俺の声も楽器にするべきだろ、って、俺もそこそこ歌ってたりして。

や、練習はしたよ？真面目にボイトレ教室に通ったりもしたし。

けど、自分の声って改めて聞くと「こんなだった?!」ってなるよねならない？なるだろ？]

　おあああぁぁぁ……。

[謎の呻きを発し続ける生命体にむやみやたらにしがみつかれて秋月は良い迷惑だったと思う。]*

[とまあ、話している間に集まってきて賑やかになってきたな。
同窓会というより修学旅行みたいだ、と思っていたら心の声が聞こえた。じゃなくて、秋月だった>>15
そこに（元）引率教師の姿があれば尚さら>>14]


　松センもオハヨ。ひさしぶり。
　その帽子あったかそうだね。ハラショーって感じな。


[ここに来るまでにもう腰を痛めたのかと不安気に見守ったけど、逆に松センの方からも俺は体調を気遣われた。>>26
こっちは当時、一時記憶喪失になったもんな]


　あ、うん。俺はもう元気だよ。
　えっ、　あ、そう？　まぁ、……ドウモ


[いきなりお似合いだと言われて面食らったけど、
三月のライブハウスで会った時だって、
俺たちが付き合ってるんだと思ってる風だったから、
訂正されずに今日まで来ちゃってるのかな。
当時はまだ付き合う「前」だったけど、
今はもう「後」だからいいやと、照れながらもそのまま受け流す事にした]

[でも隣で同じ言葉を浴びた和かほは、
この場に留まれないほど動揺したようだ。>>56]


　……ん？　ああ、わかった。


[彼女の心の機微まではわからなかった俺は、
急な態度の変化？にちょっと驚いたけど、後で隣に座ったら、
色々突いてちょっかい出しながら、聞き出そうと思う。]

[で、目の前の先生はというと、あの時・・・彼女を護ってやれと言ったもんな。

その一言で、俺の覚悟が決まったんだった。
で、あの時から彼女に対する気持ちも変わったと、
今でははっきり自覚している。

自分でも見えていなかった、俺の本心に気付かせてくれた一言だったと思って、今でも感謝してるんだよ、ホント。
面と向かって言わないけどね。ましてやこのような場所で。
とまあ、ゴニョゴニョっと気持ちをひた隠していたら、
肩をポンポンと軽くたたかれて、ちょっとドキっとした。


で、そんな風にしたりされたりしてたら、
空閑が松センの手に頭突きする図が見えた>>44
なんだそりゃ。デビュー後に頭突きってノリか。悪くないな]


　ぷっは、面白すぎるだろお前ら


[空閑が無邪気にはしゃぐのは、こっちはダチとして面白いけど、一緒にユニット組んで同居している秋月は、何かと大変な時もあったりするのかな。
そもそも犬猿だったのにな、とそちらを振り返れば、秋月は秋月で、何か俺たちに訊きたい事があるみたい]

[付き合ってる？>>32と訊かれて、うん、とすぐに頷いた。
別に隠してはいない]


　あれ？言ってなかったっけ。
　まあ、いっか。……うん、お前たちのライブに行った、あの後からだな。

　部屋は……ええ？
　古川が決めると思ってたけど。
　普通に男女で分けるんじゃねーの？


[修学旅行のノリならてっきりそうかと。
和かほと一緒なら、それはそれで嬉しいが、
俺たちは良くても、先生のところはまた一緒でもいいんか？
元教え子と教師？！
と動揺しかけたところで、古川の声が聞こえた>>70
部屋割りは自由に決めていいらしい]


　へぇ……、自由に決めていいのか。
　じゃあ、俺と和かほは同室かな、…って
　ちょっと言ってくる


[と、今しがた得た情報を引っ提げてバスに乗り込んだ。*]

　


　え、古川も買ってくれてたん？さんきゅさんきゅ。 >>69

[あ、ペン？ペンは一応油性のを持ち歩いてる……って出しかけたけど、秋月のサイン、立ったままちゃちゃっと書ける系じゃないしなと、後でまとめて"サイン会"（ってくっそ恥ずかしい響きだぞ、おい）をすることにして。

で、買ってくれてた勢には、当然、律も入ってた。 >>59

速攻「買ったよ」の反応くれた一人だ。把握してない筈がない。
いや、でも、]

　DVD同梱版買ったの？まじか、高かったろ。

[律はしれっとそういうことやる奴だから、今度はこっちがしれっとライブのチケットを送りつけようと思った。
畜生あんがとうれしいよ！]
　

　
[律は、なんつーか相変わらず律で。
情に篤くて、温厚。高校のノリから変わってねーなと思う。いい奴。

]

[その後、無事松センに撫でて貰えた野生の熊 >>49 もといポメラニアンは、ふんふんと機嫌良くバスに乗車して。]

　……ってそういや秋月、松センと晩酌すんの？

　つかもう俺らの代はほとんど成人してるんだよなー。

[12月となれば、同じ学年、3/4近くが成人してる計算なんだ。俺だけが未成年の可能性は充分すぎる。

いや、まあ"事故"で酒を口にするかもしんないし？でも俺、酒に強いし？
"思い込んでる"んじゃなく、実際強いし？強かったし？>>65

ぼやいているうちに、どやどやと派手な声と空気が >>58 バス内部のぬるい空気をかき混ぜたことに顔を上げた。]

　お。歌田来た。おっすー。

[言いながらすかさずDVD同梱版デビューアルバム >>7 を歌田に渡すことは忘れなかったけど。]*

　そうかなとは思ってたけど、
　打ち上げの時は聞く暇なかったからな。

[あの後からだったなら、彼女がいた件とかはどうなったかみたいなのもあるし聞きづらい話題でもあって。

十河に言葉にして伝えられれば、よかったなと笑って返した。>>80

それなら2人は部屋同じのがいいよねって話をしていれば、古川ちゃんが説明をしてくれて。]

　え、部屋好きに割り振っていいんだ？

[4人まで可ってなると、集まったメンツ的に男4、女子3で分けることも出来るわけだ。>>70

でも、十河と衣代ちゃんはいろいろ察するに2人部屋の方がいいだろう。

大学も違うっぽいから、会える時間も限られてそうだしな。>>63

そう思っていれば、十河はやっぱり衣代ちゃんと同室かなというのに異論はない。>>80

俺と空閑は、何もなければ自動的に同じ部屋にはなるんだと思う。

一緒に暮らしてるって話もしたし、1人部屋はさすがに気がひける。

その辺は着いたら流れで決まるものかなと思いつつ、結局バスも空閑の隣だったわけだけど。]

　っ、……、
　古川ちゃん、宣伝ありがとー。

[古川ちゃんが運転手の人に何か渡してるなとは思っていたら、出発と同時に聴き慣れた旋律が耳に届いたのには驚いた。>>73

でも、空閑の断末魔みたいな大声のおかげで冷静ではいられたかな。>>75

そもそも皆ライブには来てくれてたわけだし、すでに買ってくれてた人もちらほらいるわけで。]

　今更恥ずかしがるもんでもないだろ……

[お化け屋敷にでも入ったみたいにしがみついてくる空閑は、下手したら噛みついてくるんじゃないかという勢いだ。>>76

お化け屋敷に入ったことはないが、楽曲が気になるからで一緒にホラー映画見に行った時もビビり散らかしてたしそう間違えてないと思う。

さすがにあの時は映画館だからかしがみつかれはしなかったけど……、先月の俺の誕生日にピアスを開けた時はどういう我慢の仕方なのか噛み付かれたし、その時のことをぼんやり思い出していた。

俺への誕生日プレゼントってことでdawning blueのロゴと同じやつを作ってもらったのだけど、2つで一対の物だからせっかくだしと2人で分けている。

そういえばあれからひと月以上は経つから、空閑も好きに付け替えられるようにはなってるはずだけど、今日わざわざ替えていたかはどうだったろう。

しがみついてくるのを引き剥がすのも大変そうだし、癖のある金髪を掻き上げて確認してみた。

俺は一応、よそ行きの日ではあるからつけてはいるけど。]*

　おー
　まさみちゃんも秋月もおっすおっす〜

　来ないのかと思ってた。


［来ない、というか、来れない？
>>7>>16売れっ子2人を一瞥して、笑いかける。
何やら周りはCDを当然のように買っていたようである。かたやこちらは音源をサブスクで聴いただけ。妙にかっこいいジャケットを見てひとしきり笑った記憶がある。

そんな経緯があるので、やや気まずそうな顔を浮かべて……布教はした！布教したから！］


　曲めっちゃ良かったよ。


［でも、これは率直な感想だよ。*］

[おじのノンデリは業が深い。

流石に同僚の女性教師の尻を見て安産型っすねなんて褒め方はしないけど、可愛い生徒の頭はついぽんと撫でてしまうんだよ。許せ古川。

一歩引いて俺の魔の手から逃れた衣代は賢い。
や、先生に撫でられてもおじ菌とか感染しないのだけどね…。
までもさ、彼氏の隣にいる女の子に対する遠慮位はあったんだよ先生。もごもご。]
>>71>>55

[そういや空閑がまだ未成年で酒がダメって話しから、同窓会の時に十河が間違って酒を飲んでしまって酔って倒れた事を思い出した。
今はどうなんだろうな？酒強くなったんかな。

ハラショーにはスパシーバと返したよ！>>77

後でテトリスやりながらピロシキ食おうぜ十河(※ねーよ)。ほんと元気になってて良かった。

二人が付き合ってる付き合ってないに関しては、変装した衣代(ライヴの時)を元カノと勘違いした件からまあこの二人カップル！て認識だったのだよ明智君。]

兎も角みんなで酒飲めたら最高だな！　

倒れたら介抱してくれるっていう秋月の言葉に頼んだわ、と返す。>>66
ほんと、こいつは頼りになるわ…俺の82倍ぐらい。]

[空閑、秋月、十河たちは同居がどうのなんて話をしていたか。俺も十河と同じでバンド組の事はただの仲良しとしか思っていない。別に男同士の恋愛に偏見は全くないので聞かされたら普通に祝福するんだけどね。ただまあ、そうでない限り無粋な詮索やらはしないって感じだ。

俺は相変わらず寮生活を続けている。金が安いのと食事つきなので居心地は最高！
ただし友達などを泊まらせたりは出来ない。ま、遊びに来る者がいても俺の部屋に泊まる相手なんていないんだけど…。

何しろ汚い煎餅布団の万年床(※数年干してない)しかないからな！
ザッツおじ。]

［バスの中で曲が流れば、ニヤリと二人の方を振り向いて。］


『　』
『　』


［「あの時」より手の込んだ内輪をクルクルして見せた。あと(3)^1d6枚くらい持ってきてる。*］

『ここは俺に任せて、お前たちは先に行けッ…！！』

[何かの脅威が迫っているわけでもないが、俺はバスの外で残りメンバーを待つしんがりを引き受けた。バス内は古川と秋月に任せておけば大丈夫だろうしな。

後は誰が参加するんだろう。
間抜けな俺は事前にその質問をしていなかった。

同窓会の参加メンバーはもっと沢山いるが、事件に巻き込まれたという意味では後二人の生徒の顔が思い浮かぶ。

写真部の辻晴斗。>>@8

大人しくて控えめな彼にはいつも傍にいる存在がいて。立成桜輔はテニス部所属の陽キャで、陰と陽とも言える二人は仲が良かった。
立成には辻の保護者、なんてあだ名もあったとかないとか。

残念ながら二人は旅行に参加しないって俺が聞くのはもう少し後だが、もし辻が来てくれたのなら旅行の記念写真を沢山撮って貰っただろうし、立成がいるなら独特の冗談やらを聴かせて貰えて場は更に盛り上がった事だろう。]

[どんな防寒をもつんざく寒さに凍えながら、白い息を量産しながら物思いに耽る。

生徒たちの事を考えるのは至福の時だから俺は退屈なんてしなかったんたけど、それは嬉しい突撃に邪魔された。]

　
　　――あ、ああ。
　　あ？？？？


[夢か幻か。いや違う。走ってくるスキーウェアの女子を俺は見間違えたりしていない。なんたって彼女は…彼女は。

ただ、雪景色などまだ一切ないこの場にて早くも着替えを済ませているきゅるんに――歌田由佳里に俺はどくんと圧倒された。

心臓鷲掴み。
鼻水はつららになって足元に堕ちる(比喩です※)。

口をはくはくさせて息を逃しながら俺は上げかけた手で彼女を指さした。]>>57

　　お前のその恰好…
　　や、ああ、

　　いや、寒いよ寒いだろ？
　　十二月だしの寒気は老体には堪えるんだ。
　　どんな厚着をしても骨身に染みるよ。

　　って、まて、滑るってなあおいおま>>58

[まだ雪山に着いてないぞ？！気が早すぎるだろ？でも結構可愛いウェアだな？ツッコミが追いつかないのはいつもの事か。

早口に疑問を投げかけていたがぷっと噴き出してしまう。肩を揺らして笑った後、俺は彼女に近づいて、ゆるりと微笑む。

雪解けのように。]

[俺の延ばした手は、明るい太陽みたいな髪色の頭頂で止まる。

さっき古川から「セクハラは強制わいせつの刑罰（法定刑）で6月以上10年以下の懲役ですよ」(※そこまで言われてない)を思い出したから。

三月の事件後、俺は喫茶店にて彼女に……自分を一人の男として見てくれないか、と頼んだ。
その後秋月たちのライヴを経て、彼女の誕生月である四月に洒落たイタリアンレストランで食事をした。

俺はデートのつもりだったけど、彼女はどうだったかは定かではない。

彼女にあげた誕生日プレゼントは、星と月の飾りのついたシルバーチェーンのアンクレットだ。

気に入って貰えたらいいんだけどな。
背伸びして選んだ自覚はある。牛娘のガチャを我慢して貯めた金だが惜しいとは思わなかった。

彼女が喜んでくれるなら安いもんだよ。

その後、LINEで話したりライヴに行ったりぐらいはあったかな？
寮の部屋に呼んだら遊びに来てくれたりしたろうか。]

[元教え子と教師。
俺たちの関係がそれ以上に進んだかと言えば……。

こんな風に彼女の頭を撫でるのに戸惑うぐらいってとこから察してくれ。

歌田がここにはゲレンデはないという事実を飲み込んでくれたのなら、二人でバスに乗り込む事にしようかな。]*

[そういや、宿の部屋割りって、あの廃校舎の時みたいに勝手に謎のペア組まされるとかはなかろうと、ざっくり男部屋＆女部屋だと認識してた。

ペンションとかだと２人部屋のが多いんかな。

ならそれはそれで秋月と２人になるんだろうなと当たり前に想像してたし、それで異論も無かった。]

　お前は、自分の声慣れてるんだろうけどさ……っ。 >>86

[秋月自身は、"ボーカル役"ってだけで自分を求められるのは嫌だったらしいけど、実際、いい声してるし、dawning blueとしての活動ではほぼ声入りのばっかだし。なんならアカペラでも歌えるくらいのスキルがある。

別に、ビビってるわけでも恥ずかしがってるわけでもないけど、地団駄踏んでそこら中駆けずり回りたくなる気持ちはどうしようもなくて。しかもここバス車内で逃げ場もねーし!?!?]

　歌田ぁ……っ、あ、あんがと……。

[俺らより前に座った歌田が、超のつくイイ笑顔でウチワを振ってくる。 >>91

なんでそんなん持ってるの？それ新しく作ったんだよな？いつ振るんの？って今振ってんのかありがとう！]

　あ？ピアス……は、うん、鞄の中……。

[秋月の誕生日は、ちょうど１ヶ月ほど前のこと。

俺の誕生日は1stライブの直前に過ぎてて、なんで黙ってたんだ早く言えとなんでか不機嫌になった秋月は、仕切り直し誕生日祝いでバングルをくれた。
奴がつけてるのと揃いみたいで揃いでもないみたいな、そんなやつ。

だから、まあ……俺も形あるものを送ろうってんで、dawning blueのロゴのピアスをオーダーメイドで作って、秋月に贈って。

２つあるピアス、俺もつけられるようにって、秋月の誕生日の翌日に俺もピアス穴、開けた──秋月に開けてもらった──んだけどさ。



だって肉に穴開いてんだぞ？そこに金属通してるんだぞ？怖くない？？

ピアス童貞だった俺は、ちまちま日々の消毒繰り返して、時々ぐにぐに触ったりしてはいたものの、未だファーストピアスを外せずにいたのだった。]*

[バスに乗り込むと、最後部座席へ向かう。
一番後ろに荷物積んだと伝えてたから、和かほもそこに居ただろう。
バスの一番隅っこ、窓際に座る彼女の隣に腰を下ろすと、
ちょうど歌田も到着したようで、バスはすぐに出発した。

古川がもらったばかりのCD（ではなくて元から持っていた方）でドブルの曲を車内に流せば>>72>>73、バスの前方で当人の悲鳴が上がる>>75
その声は最後部座席にも届いた]


　……タワレコに行った時、
　店内でも流れていたけどな
　あいつ、そこに居たら店内でも絶叫するのかな


[それはそれで面白いが。隣の和かほと見合って軽く笑う。
メジャーデビューしたくせに、多くの人に聞いてもらうための曲なのに。
自分で聞くと恥ずかしいと悶えてしまうものなのか。
でも、急に有名になって変に偉ぶって、遠くの存在になったのではなくてよかった。
ちゃんと高校の頃から知ってる元クラスメイトだ]


　あいつら人気出て来たから最近はチケットも取りづらくてさ


[という事情があるものだから、しれっとチケットが送り付けられたら>>81
もちろん飛び上がるほど嬉しい。ペアだともっと嬉しい（）
DVD同梱版を買ったのは、ライブ映像が忘れもしないあの時のだから、端から買わない選択肢はなかったんだけどね]

[で、空閑の悲鳴で忘れてた。本題]


　ペンションの部屋割り、自分たちで決めていいんだって。
　どうする？
　女の子たちだけで同じ部屋使う？

　それとも、


[ここに来るまでの電車の中では、部屋は男女別かなって話はしたっけ。それはそれで修学旅行みたいなノリで楽しそうだと思ったけど、]　


　俺たち、まだ一緒に旅行したことなかったよね
　今月会うのも初めてだし？
　今日が来るのをすごく、　……楽しみにしていたよ


[と、間近で微笑みかけた。
楽しみだと言ってるのは紛れもない本心だよ。*]

　あはは、せんせ真っ白。

[>>94息なのか興奮？の表れなのかわからないけど。雪と見紛う程真っ白な吐息に真っ赤な顔がおかしくて笑う。]

[頭頂部に触ることなく止まった手に首を傾げた。別に今更変な意味だとは思わないくらい、この10ヶ月を過ごしてきた……と思う。
　オシャレなミサンガくらいに思ってたアンクレット。左足に着けることの意味をうっかり知ってしまったから、気持ちに反してなんだか着けられずにいる。]


[あれだけはっきり言われた後だから、そりゃあ普通の教師と先生の関係って言えるわけもないし、そうしておくのが不義理だってのもさすがの私にもわかる。]


[とはいえ、そんな一足飛びに、じゃーん年上彼ピでーすいえーい、とはできんでしょ？]

[他のメンバーとは九か月ぶりの再会であったが、俺と歌田はそんな流れで顔を合わせてはいた。ので、久しぶりって訳でもないから感慨に耽るってわけでもなくバスに乗り込んだであろう。

俺が夏目、荻野先生、立成、辻の不参加を知ってがっくりしたのはこのタイミングかな。

寂しいよ先生！
でもまあ、四人がそれぞれ大切な人と素敵な時を過ごしてくれるのならそれで満足さ。

古川が全員を見渡して出発を告げるとバスはガタゴト動き出した。

dawning blueの曲を流すというナイス配慮には拍手したい。
古川、お前は本当に友達思いの天才幹事だよ！]
>>73

　へや？

[え？部屋も何も男女比ちょうど良くない？
　古川の方を見て、その後周りを見て、なんか微妙にな空気な気がする。
　え？そういう感じ？

　なんとなく換気が必要な気がして（寒いのに）バスに乗り込んで早々窓を開けた*]

　ああ、松っちゃんせんせーは飲むだろうし。
　荻野先生もいないから
　一緒に飲める奴いた方がいいだろ。

[他にも成人してる人は多いと思うから、空閑が1人だけ飲めないだとちょっとかわいそうな気もしつつ、全員が飲むとは限らないしな。>>83

そんな会話をしていたのは、バスに歌田ちゃんが乗り込んでくる前だったか。]

　歌田ちゃんも元気そうで何よりだよ。
　スキーウェアもう着てるの気合入ってるね。

[空閑の雪山への認識の甘さとは逆方向に既に雪山気分の彼女は変わらない華やかな明るさで声をかけてきてくれて。

デビューしたてで何かとやることも多くても、売れっ子って言えるほどの仕事はまだないよと向けられた笑顔に返す。>>87

こうして音楽続けられてるのはあの時皆が聴いてくれたから報告もしたかったし、忙しくても何とかして来ていたとは思う。]

　あ、曲聴いてくれたんだ？ありがとう。

[友達に褒められるとやっぱ照れるなというのはあって。

バスの出発と共に流れ始めた曲にも少なからずの動揺はあったものの、空閑が大騒ぎをしたおかげで気恥ずかしさも紛れた気がする。]

　はは、うちわ前より豪華になってない？

[すごいな、わざわざ作ってくれたんだと歌田ちゃんの力作が目に入れば、あの時のことを思い出して照れくさいのはどっかにいってたな。

バーンはウインク付きで送ってみたものの、空閑がしがみついてる状態だとカッコはつかなかったかもしれない。>>91]

　まだつけ替えてないんだ？

[いや、別にロゴのやつをつけろってわけじゃないが。

空閑のピアスは最初に開けた時のままの以外は付けてるところを今のところ見ていない。

安定しないってわけでもないよな、と確認してみても普通にピアス穴は固まっていたし。>>99]

　お前、もしかして……、つけ方わかんないとか？

[それなら教えるけど、と開ける時の大騒ぎは覚えていても、まさか怖くて外せないという事態は想定してなかった。

せっかく窓側なんだし外の景色も見とけよと言いつつ、そのうち山に入って外が白くなって来る頃にはさすがに落ち着いていただろうか。]*

[惚れた女子の登場だからって息を荒くするおじが居るならバスで轢き殺されても文句は言えない。>>102

正義の鉄槌が下されなかったのは、俺がまだ僅かに残る先生としての自我を保っていたからだろう。そう思いたい。

……プレゼントは、すぐ着けてくれなくたっていいんだよ。そんなことァ気にしない。
だって指輪でなくアンクレットにしたのはそういう重たい意味を避ける為だったんだから。
アンクレットでもそんな意味があったって知らなかった俺の抜けっぷりをどうか笑って頂きたい。
気遣ったつもりでその努力が水泡に帰した事を俺はまだ知らない…

あとまあ、彼女が学生時代にサッカーをやっていて、サッカー選手が勝利を願い足にミサンガをつけるのにちなんだってのもあったんだけどな。

俺達の関係は、そう。
別に急ぐ必要なんて何もないんだ。

眩しい笑顔が見れて、朗らかな声が耳をくすぐるだけで俺は。

…十分なのさ。]

[ってことでバス内だよ。

窓を全開にする元気女子に慄く。どうやら彼女はどうしても俺を動く雪像にしたいらしい。ロシア帽を目深に被った。>>104

それがピンクな空気のせいだってのは読めなかったんだ、おじは。だってそれ十河と衣代だけだって思ってたからな？

ああ、席は歌田と通路を挟んで隣にしたよ。
二人で並ぶのはそのなあ、俺が恥ずかしいから、うん…。

微妙に照れ方がずれてる俺達である。
通常運行。]

[空閑が悲鳴をあげてる理由が俺にはわからなかった。>>75
騒ぎたい年頃か？またさそれが自分たちの曲が流れたせいだとは。

メインボーカルは相変わらず秋月なんだろうけど空閑も歌ってるのはCD聴いた時から知ってたしな。普通に上手いし可愛いし。

しかし歌田がうちわを荷物から取り出した時には先生も驚いたよ？！>>91

懐かしいと表現していいのか？あの時の団扇は確か表に「しぐれ♡こっち見て」、裏面に「まさみ♡かわいい」と書かれていたような。

今回もまた二人の羞恥を煽る出来になっている。
秋月は普通に喜んでいたけど。大人の余裕がまたここにある…>>106

歌田Sなの？愛あるいじめなら俺に欲しいところ。
先生もいたぶって。いやそんな変態を晒したら本気で二人の未来とか絶たれるからこれは冗談だけど。

団扇は数枚あるみたいだから俺も借りて一緒にふりふりしようかな。サイリウムみたいに。]


　　いいぞー、盛り上がってきたなァ
　　先生も歌うかな？


[貸し切りバスで集団昏睡という事件にならなかったのは誰が止めてくれたからかも。

そんな風に楽しい道中、バスがペンションに着くまで俺は全く考えてなかったよ、部屋割りの事なんて。]**

[古川から誘いがあったのはいつだったかな。
まだアルバムの発売日が確定してないタイミングだったんだよ。

レコード会社の話では、年末だと大箱での大物歌手コンサートが目白押しだし、誰も彼も気ぜわしいタイミングだということもあって、いっそ年明けの発売でも良いんじゃないかって当初の提案だったんだ。

でも、どうせだったら、皆に「デビューしたぜ！」って報告したいってのもあって、半ば無理矢理12月頭……キリ良いから１日が良いって、ねじ込むことにして。

だからアルバム発売記念の連動コンサートなんかは企画できないまま、そういうのはそれこそ落ち着いた年明けにって事にしつつ、とにかくアルバムリリースを先にして貰ったんだった。

────だから、この合宿に行かないって選択肢は、始めから無かったんだよな。]

[それはそれとして、皆が聞いている中で自分の歌声が、自分の声帯じゃなくスピーカーから流れてくるのはどうにもいたたまれない。]

　…………は？

[なんか俺の頭の上で、"バーン"なんて、ファンサで良くやる風な含み笑い気味の秋月の声が聞こえてきて、何やってんのお前と顔を眇め。

"ゲーノージン"は必要がある時にはそれなりがんばるけど、今はがんばる時じゃねーのでやらねーですとばかり、俺は始終ぐだぐだとしていた。

持ってきたは良いけど未だつけられてはいない、ユニット名のロゴピアスと共に。]

　
　……つけ方は知ってっけど……っ。

　なんつーの、こう……。



[ぽしょもしょと言いつつ、秋月の腕にしがみついてたのが秋月の膝上に丸まるみたいになってても、どうせ周囲からは見えねーだろうし、見えたところで、まさみちゃんが溶けてますくらいのもんだろうから。]

　…………つけて。



["当日になってやっぱなしって言っても開けるからな"とか言いながら、案の定ビクついてた俺の両耳、ばっちばっち穴開けてくれた秋月なんだから、これもケアの一環だろとばかりピアスの箱を突き出したら、まあ、そのくらいはやってくれたんだろ。

やってくれなかったら、俺は窓外の美しき雪景色も目にしないまま、秋月の足に齧り付き続けてたんだろうと思うから。]*

[勿論かつての同級生のデビューについて、
十河と一緒に喜んだし、CDが出るまでは動画サイトなんかで
無料で視聴できる分については聴いたりしていた。

でもCDが出てからは十河と逢えていなかったし、
DVDを一緒に見ようとしてくれるなんて
私は考えもしなかった。
実際には彼の厚意をありがたく思っても
自分で買う！って意固地になったりしていたかも。

でも空閑くんがプレゼントしてくれたおかげで、
仕送りを待たずして十河とCDやDVDの話ができそうで、]


　　うん。


[それも嬉しくて、私は十河に微笑み返した。>>60]

[十河はスノーボードを持っているくらい
そのあたりの遊びに詳しいらしい。
私はスキーも未経験だったから、
ソリなら怪我しなさそうだし難しくなさそうだなあと
安易に考えてソリ、と口にした。
そんなに急な斜面を長く滑らなくていいとすら思っていて、
何なら雪だるま作るだけでもいいなって十河には話した。
でも十河は好きに滑ってほしいと思う。
だってきっと……かっこいいから。

勿論、一緒にソリで滑るというならそれもしたい。
]

[空閑くんと秋月くんが同棲……もとい、
二人暮らしをしていると聞いてつい漏らした言葉に、
十河が小さな声で返してくれた。>>63]


　　……、


[聞き間違えたのかと思うくらいの声の大きさと内容だったから、私は不自然じゃない様に、こくんと小さく頷いた。

全く逢えない訳じゃないのに、
互いの生活を、学生の本分を大切にしていたら
逢える時間は限られて。
もっと長く居られたらいいのにと思う事が多くて、
でも一緒に暮らすのってやっぱり簡単にはいかなくて。
だから二人の事羨ましいって思ってしまったのだけれど、
今は、一緒に居られる事や、
たまに彼が泊まっていってくれる時間を、大切にすべきなんだ。

彼が作ってくれる料理は、とっても美味しいしね。
一人暮らしを初めてから今が一番体調がいいのは、
彼の手料理のおかげもあるだろう]

[賑わいを離れて、逃げる様にバスに乗り込んだ。
ふう、と熱くなった頬に手を当て、ダウンを脱ぐ。

しばらくして十河やみんなも乗り込んできて、
あ、歌田さんだ……すごい格好だ？！と思いながらも手を振り、これで全員だと言う古川さんの合図でバスが走り出す。
空閑くんと秋月くんの曲をBGMにして。

聴きながらバスに乗れるなんて嬉しい、と
思ったのも束の間、空閑くんの絶叫が聞こえて来た。>>75
ええ、いいじゃん、と思ったけど、
私だって試合の様子をここでモニターに映されたら恥ずかしい、かな。
そんな空閑くんの気持ちにも寄り添いつつ、
十河が笑うから>>100、私もふふ、と笑った。]


　　そうなんだ。
　　私も、試合がない日だったら行きたいな。


[何せうちは強豪校なので公式試合の他、
練習試合や遠征も結構詰まっている。
そこにもお金がかかるからやりくりが結構大変なのだけど、
最悪親に泣きつけるお金より、時間を確保するのが難しい。
今回みたいな長期休みシーズンの開催だと嬉しいなと願いつつ、
十河と行ける日はきっと来るだろう]

[音楽に耳を傾けて聴き惚れていた時、
十河が部屋割りについて問い掛けてきた。>>101
え？って驚いて十河の方に顔ごと向けた]


　　おなじ……部屋……


[部屋割りは男女別だと思っていた。電車の中でも話した。
それか一人部屋かなって思っていた。
だから急に降って来た「十河と同じ部屋」という選択肢に、
私は簡単に胸をどきりと鳴らす。

それに楽しみにしてたって、
そんな風に笑うのも、……ずるい]

[拉致されたあの廃校では
私なんかと同じ部屋でごめんねって、彼に謝った。
あの時十河には彼女がいたから。
でもそういう事情やあの時のルールなんかを抜いても、
同じ部屋が私で何となく申し訳ない気持ちだった。

でも、今は……]


　　同じ部屋が、いいな……。


[彼の腕のあたりの服をそっと摘まんで、見上げる。
私だって楽しみにしてた。
同じ部屋で一緒に過ごせたら……すごく嬉しい。*]

[その後はdawning blueのアルバムがエンドレスで流れたかな？
それとも途中で別のCDやはたまたカラオケ大会になっただろうか。

何はともあれ、空閑くんと秋月くんの曲が聴けて嬉しかった。
帰ったらヘッドホンで大音量で聴いちゃおう、と
帰ってからの楽しみが既に生まれつつ、
バスを降りる時は空閑くんと秋月くんの二人に「すごいいい曲だった」って珍しくきらきらした瞳で伝えただろう。

古川さんに案内されてペンションに辿り着くが、
その大きさが想像以上だったからびっくりしてしまう。
そして何やらそのペンションに若干不釣り合いな体育会系のオーナーさんに歓迎されて、
十河と一緒に二階の客室（いっぱいあった）で適当な部屋を選ぶ。

荷物を置いて、お昼ご飯やお茶やお菓子なんかを頂いたら
早速雪景色に繰り出すって話になるかな。

十河のスノボー姿も見たいし、
ソリで滑りたいし、雪だるまも……
全部する時間あるかな？**]

[バス内の空気がピンクな理由があるとしたら、そこに俺らは加算されてないと思っている。

物理的な距離は一番近い状態かもしれないが、全く色気のあるものでもなかったし。

歌田ちゃんと松っちゃんせんせーが同じ部屋になるかはどうなんだろう。

前の席に通路を挟んで隣に座る2人は通常運転すぎて、様子の変化みたいなのはまるで気付かなかった。

廃校舎の時と同じく同室になったとして、もう卒業していて歌田ちゃんも成人してるともなれば特に問題ないだろと思うだろうけど。

元教師と教え子って関係は、そう単純な話でもないのかもしれない。]

　辻と立成も来られないんだっけ。

[あの2人がいたら何の疑問もなく同室なんだろうな。

一緒に暮らし始めたとまでは知らない話だったにしても、高校の頃は2人セットの認識だったから。>>@8

ただの親友ってわけじゃないのかなとは、あの事件の時に思うところはあったが、これも2人のどちらかから直接聞いたわけではない以上、定かではない。]

[俺としては同級生だからこそ3割増しくらいでふざけてファンサの真似事も出来るのだけど、空閑はそういうのが相変わらず下手らしい。>>112

そんな空閑は腕にしがみついたままだったが、ピアスの話になるとまた急に元気がなくなった。]

　怖いってなんで……っ、て、おい……

[ピアスの穴はもう痛いわけじゃないんだから、何が怖いんだというのが今ひとつ理解はできなかったものの、抜き差しする時に痛そうとか思ってるんだろうか。

自分達の曲が流れてることよりも、斜め下くらいにあった空閑の頭がずるずると膝の上の方に降りてきたことの方に慌てる。>>113

なんか……絵面が、こう、よくない気がするだろ、いろいろと。]

　っ、…………わかったから、
　つけてやるから顔上げろ。

[随分と素直にしおらしく頼まれたことに面くらいはしたけど、開けた時にケアもしてやるとは言ってたし断る理由もない。

献上品？みたいな姿勢のまま差し出された箱を受け取って。]

　右と左どっちのがいい？

[俺は元々開けてる位置の都合上、右につけているから、対のピアスだし左のがバランスいいかなと顔を上げて貰えば耳元に手を伸ばした。

人にやってもらう方が怖くないかとは思いつつ、耳の後ろ側のキャッチを摘むと、空閑のインナーカラーと同じ色の石を手前に引き出す。

耳朶を引っ張ったりはしないように気をつけたし、痛かったりはないと思うのだけど。

なくさないようにポストにキャッチを戻してから、箱の中にしまった。

ロゴの方を差し込むと、耳に沿わせるように軽く位置調整をしてから耳裏からキャッチをつけるのにそう時間はかからなかったはずだ。]

　ほら、別に痛くなかっただろ。

[日常使いの物でもないから、つけ外しが難しいならまた寝る前にでも必要なら手伝うけど。

とりあえず、これでバスの道中に空閑が景色を見られない事態は回避できただろう。]

[流してもらっていたのはミニアルバムだし、6曲通したところで30分かからないから。

曲は変えてくれて全然構わないし、ループはしない方が空閑の精神衛生上もいいのかもしれない。

カラオケなんかもバスだと定番だよなとは思ってたよ。

でも、歌田ちゃんから借りたうちわを振っていた松っちゃんせんせーの“歌おうかな“に、びくりと肩を揺らした。>>110

あの時のカラオケは俺は途中から記憶がないのだが。]

　えっと、それは……
　夜に飲んだ時にでも余興で歌って貰った方が……
　
[盛り上がるんじゃないかなあ、と控えめに言ってみたけど、無事にバスはペンションへと辿り着いたのだから、リサイタルとなっても運転手さんが昏睡することはなかったはずだ。]

　おお、ほんとに雪だ。

[窓の外に雪景色が見えてくれば、急に寒くなった気がして、ダウン着とけよとバス内に入ってからは脱いでいた上着は空閑に押し付けておく。

そうして、運転手さんに頭を下げつつバスを降りれば冷えた空気が広がっていた。]

　ありがとう、最初の方騒がしくてごめんね？

[感想を言う衣代ちゃんの表情がいつもより明るく見えたことに嬉しくなったりもして。>>120

古川ちゃんが案内してくれたペンションはすごく豪華なものだった。]

　お世話になります。

[快活な笑顔に出迎えられれば、オーナーさんに挨拶をする。>>0

客室は本当にたくさんあって、こんないいところ使わせて貰っていいのかなと思いながら、荷物を置きに向かった。

部屋決めはあまり時間をかけてもな、外で遊べる時間も減るしと適当な2人部屋を選んだのだけど。]

　下でちょっと休憩したらゲレンデの方行くか。
　スキー道具も借りたいし。

[かまくらって作るのにどれくらいかかるんだろう、とか話しながら外出の準備だけ整えて。

空閑と旅行ってそういえば初めてだな？とは、今更思った。]**

[ピアスつよつよ族はそんな感覚抱かないのかもしれないけど、そもそもピアスを怖がってたのは、"身体に穴開けてそこに金属ぐにぐにと刺し通す"って行為自体なんだから。

わーい穴開いたぞーとばかり、すぐに抵抗なく装着できると思わないでいただきたい。

もし耳の穴ん中で穴が二股に分かれてて？間違った突き当たりの方向に通すみたいなことになったらとか？
ほら、そっから白い糸が出てくるとかって都市伝説もあったりさあ！

そんな無駄に旺盛な想像力が邪魔をして、普段使いピアスに付け替えることさえできないまま、今日に至っていたっていう次第。]

　あー、うん、左にする。

[されてる分には、自分でするよりかマシだから。

秋月が素直に応じてくれたから >>123 ようよう顔を上げ、どうにか左耳に秋月と揃いのロゴが輝くことになった。

あまり変質しない素材とは聞いてたけど、宿の風呂が温泉だったりしたらその時は外した方が良いんだろうな。

夜寝てる時にグネッて曲がったりしても困るし。]

　だーから、痛い以前に怖えんだって……。

[なんだか久しぶりに背もたれに背をつければ、そういや俺らのファーストアルバムの曲はもう終わってて。

流れてた曲はいかにも松センが好みそうな昭和演歌になってた。

窓外の路面は段々に雪が積もる面積が増えつつあって、いかにも雪山突入って風な傾斜つきの山道に入っていけば、一気に視界は雪景色に変わっていく。]

　うお、マジで雪山だ…………！

[すげー！テンションあがるー！ってなってるうちに、バスはゆるっとペンション前に到着した。]

　ありがとうございましたー！

[運転手さんに頭を下げつつ、別の口調で"ありがとう"を告げたのは、はにかむみたいな、冬の花みたいな笑顔で「すごいいい曲だった」と褒めてくれた衣代に。 >>120

オーナーの国生さん>>0はめっちゃいい人で、なんか、いかにも合宿！って感じのノリだったから、「お世話になります！」って挨拶するこっちも、学生気分に戻った感覚が加速する気がした。

部屋は別に、寝られれば良いのと、窓が無いよりはあった方が嬉しいくらいの感じで、適当に階段近くあたりのツインベッドの部屋にすることにして。

昼食にお茶にお菓子にと用意されてた色々を食べたら、いよいよ雪山だ。

ちなみに昼食はカツ丼と具沢山味噌汁ってメニューでさ、雪山経験勢に言わせると、ゲレ食みたいでテンション上がるって内容だったらしい。]

　"ゲレ食"って、何？

[と雪山初体験の俺は秋月に問うたりしつつ、それでもがつがつと平らげたよ。大盛を。]*

[ペンションでの部屋割りについて、
大事な事なのですぐに伝えたら、最初は驚いていたものの>>118
少し間をおいて答えが返って来た>>119
良かった。気持ちは一緒だ]


　うん、　じゃあ同じ部屋にしてもらおう


[腕にそっと触れて来た彼女の手に、上から俺の手を重ねる。
小さな手をしっかりと包むように握り込んで、
見上げてくる視線を受け止めて]


　……、


[彼女の前にある座席シートに隠れるようにして、
一瞬だけ触れるだけのキスをした。
すぐに離れたし、周囲には気づかれまい。
最後部座席だしな。
]

　

　なんか、……暑いな


[急に汗かいて、体温が上がって来た。
ふわふわとした感覚の中で、車内に流れる曲が耳に届く。
いい歌だね、なんて改まって感想を言い合ったりして、
俺たちは並んでシートに座り直した。
重ねた手はまだ、しばらくの間はこうしていよう]

[市街地を抜け、山間道を縫うように進んでいったバスはやがて、ゲレンデ近くのペンションに到着する]


　えっ、……結構デカいな


[バスから降りて案内された建物は大きくて立派。
一見ホテルにも見えたぞ。
隣で見上げている和かほも驚いた顔をしていたから>>120
きっと同じ感想を抱いているのだろう。
迎えてくれたペンションのオーナーは古川の親戚か。
学生の頃はラグビーか柔道をやっていたのか？って連想させられる、ガタイのいい人。
今は山間に入って薪を集めたり割ったりするんだろうか。
そんな姿が似合いそうだ]

[ともあれ、ペンションの中に入ると、
各々が適当に部屋を選ぶ事になる]


　この部屋でいいか


[扉を一つ一つ開けて、ベッドが二台ある部屋を選んだ。
別の二人部屋は秋月たちが使う事にしたらしい>>127]


　……、


[残りの三人がどうするのかちょっとだけ気になったけど、
まあいいや。
もうすぐ昼になろうとする時間。
すぐに食事をして、着替えて、ゲレンデに向かって。
案外日中の時間はないかもしれない。
ナイターもやってるゲレンデなら夜も遊べるけど、
体力がどこまで続くかだ]

[荷物を置いて食堂に向かえば、既に昼食が用意されていた。
カツ丼に具沢山味噌汁。>>130
これぞまごう事なきゲレ食。スキーに来たって感じ。
ゲレ食って何だと問う空閑に、
秋月が答えているであろう話を聞きながら
すぐに平らげて部屋に戻れば、着替えてゲレンデに向かう準備だ。
俺のウェアはボードタイプで自前だけど、
和かほのはどうしたんだっけ。
あらかじめレンタルしたやつ？それともネットで買ったのかな。
店頭で一通りそろえようとすると何万もするから、
きっとそのあたりだろうと思うけど]


　どうする？
　ボードかスキーをやるなら、
　初心者教室に参加した方がいいのかな

　この後一緒にレンタルに行こうか
　ソリも借りよう

　雪だるま？　うん、作ろ


[ただし作れるのはキッズスペースに限られる。
ゲレンデのどこでも固形物オブジェを作っていい訳ではないので。
ボード滑ってこいと言われたら、
一緒に居たいのに別々になるのはつまらんと返したかもだけど、
滑ってる姿が見たいと言われたら、得意がって披露するかも。
まあ、順番にこなしていこう。**]

[皮膚の強い弱いはあるかもしれないが、空閑は別に肌が弱いとか金属アレルギーがあるわけでもなさそうだし、都市伝説レベルの不安をいまだに抱えていたとは知らなかった。>>128

風呂入る時は温泉成分がピアスには良くないかもだから外すことになるとして、とりあえず付け替えは滞りなく済んで。]

　ん、悪くないんじゃない？

[左耳に添えられた金色のロゴを緩くなぞると、鏡代わりにスマホのカメラを自撮り用に変えて空閑に見せた。

自分からは見えないから付けるのはまだ1人じゃ難しいのかもな。

手探りでピアスの穴探してそこに差し込むのは鏡を見ながらでも不安がありそうなのはなんとなく理解できるものの、外すのも同様だと言われたら、それくらいは手伝う気はある。

バス内のBGMが松っちゃんせんせー好みのものに変わっていたことには肝を冷やしたが、歌声が披露されたら到着まで意識は少し飛んだかもしれない。 >>129

賑やかなバスに揺られて雪山へと到着すれば、雪山にテンションが上がるのは皆同様だったんじゃないだろうか。

空閑も犬の如く駆け回りはしなくても、すっかり元気は取り戻していたようだし。]

[バス旅って良いよな。

仲良しが並んで座り、ふと流れる景色に視線を馳せる。
段々と都会を離れて山々や田んぼの増す風景に気持ちが緩み、そっと肩を寄せあう。

車体の振動すら旅の味付けと感じたりもする。
この箱が俺達を楽しい目的地に連れてってくれると想うのなら、そりゃね！

十河と衣代、秋月と空閑は各々何やら肩を寄せあって話したりしているようだ。
ピアスをつけるつけないなんていちゃらぶまで繰り広げられてるとは思わなかったが、もし目撃したらにんまりしてしまうだろう。

車内の曲が俺の大好きな昭和演歌に切り替わる。>>129

　　湯気に隠れる柔肌は
　　ほんのり染まって男をそそる
　
　　旅の慕情もあいまれば
　　男と女は濡れて一つに

好きな曲なんだけど歌詞ヤバいな…ここはむしろ俺が健全な演歌(※あるのか？)を歌って誤魔化すべき？

カラオケはバス旅の定番だし！と思ったのだが、秋月が

「先生の歌？やったー！是非ぜひ拝聴したいです！でも最大のお楽しみは夜に取っておきたいなっ(※脳内変換しました)」>>125
というようなことを言って甘える(※主観)ので、そっかーと言って提案は引っ込めた。

命拾いに彼が汗を拭ったかどうかはわからん。]

[ペンションに着いてからはさっさと荷物だけ置いて。

昼食はいかにもなゲレ食って感じのカツ丼と味噌汁で、これから身体を動かすのに申し分のないものだった。]

　ゲレ食はゲレンデのレストランで出される飯のことだよ。

[感覚的にはサービスエリアの飯みたいなものかな、と空閑の問いに答えて温かい味噌汁に口をつける。>>130

大昔は海の家の微妙な焼きそばに並んでスキー場は美味くもないカレーくらいしかなかったらしいけど、俺の知る限りでは地域の特色を活かした小洒落た料理が多い印象だ。

カツ丼のカツも良い感じの衣の着き具合に肉もしっかり美味いもので、この感じだとペンションの夕飯もきっと美味いんだろうなと楽しみが増えた。

お茶やお茶菓子も用意されていて、ありがたくいただいてからゲレンデに向かうことになって。

十河や衣代ちゃんも早速雪遊びにくり出すようで、松っちゃんせんせーもやる気満々だったし、既にスキーウェアだった歌田ちゃんも似たようなものだったろうか。

古川ちゃんは夕飯までに戻って来てねと皆に言っていたけど、彼女もちゃんと遊びには出るのだろう。出るよな？

一緒に向かえるなら行き先は同じだし、タイミングのあったメンバーはまとまって行くことになったのかな。]

　スキー板のつけ方わかる？
　外すときもちょっとコツがいるから……

[ちゃんと嵌めないと外れたら危ないし、レンタルした板の装着は空閑に教えることにして。

歩く時は横に歩かないと滑るから雪に刺す感じで等、あとなんだ、リフトの乗り方とか？初歩的なことは先に伝えておいた。

まあ、やってみたらわかるだろと最初は初心者でも滑れそうなコースで練習したらいいんじゃないだろうか。

空閑が転がっていくような事態になったら助けられるよう努力はするよ。]*

　おお……ついた……。
　てか、すげーなこのピアス。

[いや、秋月に贈ったの、俺だけどな？

自撮りモードにして見せてくれた秋月のスマホを眺めて、ふんふんと頷いた。>>136

ちゃんとdawning blueって読めるし、うん、すげーな。]

　────……さんきゅ。

[や、さすがにな？ピアスくらい自分でつけられるようになれよって話なのは解ってるよ？

今も別に全然痛くなくて、むしろくすぐったいなくらいのもんだったし。

この、"あー自分の身体に穴開きましたー北風通り抜けますー"みたいな感覚にさえ慣れれば。……うん。

いっそ秋月の耳で練習すれば良いのか？いやそれもな？

ともかくも、謎チョイスの演歌に松センがソワッてるのが見えてしまったり、それに秋月が身構えてたりと色々あったけど、運転手さん含む全員が意識を飛ばすこともなく、無事バスは雪山に到着したのだった。

ちなみに"いちゃらぶ"なるものをしていた自覚はミジンコも無ければ、ピンクな空気を醸してたのは、律かほ組だけだったよなと信じて疑っていない。]

　あー、"ゲレンデの食事"だから"ゲレショク"なのか。

[なるほど、と頷く俺は、これぞゲレ食といった表情でもふもふとカツ丼食ってる律を見やる。 >>135

やっぱ定番なのかな。カロリー蓄えて雪山に臨めとか、そんな感じなんかな。

で、律は衣代に合わせて色々やろうって話してるみたいで、ボードにソリに雪だるまと盛り沢山の予定らしい。]

　国生さん。あの、この菓子、
　いくつかポケット入れていっていいですか？

[個包装のチョコなんかもあったから、小腹減った時のためにといくつか貰って、事前レンタルしておいたスキーウェアのポケットに詰め込むことにして。

で、秋月と２人、一旦部屋に戻ってから雪山装備を調えた。

これ、なんつーの？タイツ？スパッツ？ももひき？そんなのを穿くのも初めてで、なんか全身タイツマン！みたいなことになったりしながら、このために買った分厚い靴下にも、もそもそ足、通して。]

　…………なんか、マシュマロマンになった気がする。

[身体中をもこもこさせて、あちい、となりながら早々外に出て、スキー板を借りる手続きをした。

────でさ。目の前には、山頂行きのゴンドラ乗り場もあったりしたわけだよ？]

　なあ。あれ、乗りたい。

[板の装着方法を教えてくれてた秋月に、あれ、と指させば、何をと言われるだろうか。
いや、だってさ。]

　俺、聞いたぞ。
　初心者はまずリフト乗るところで躓くって。

[乗るのがそも難しいし、降りるのも難しいし。

かといってリフトに乗らずに練習するには坂を自力で上らなきゃいけなくて、それも心砕けるって聞いたし。

なら、とっとと上に行くだけ行ったほうが、あと、降りるだけで楽なんじゃね？]

　ここ、"林間コース"って緑色に塗られてるから、
　初級者コースなんだろ？

[ゲレンデマップを見れば、山頂からこの麓まで、途中１カ所黄色の中級者マークついてるけど、基本、緑ルートで降りられるみたいだし。

いよいよなったら尻で滑るとか板外して歩いて降りるとかするから、とりま、上に行きたい。
せっかく雪山来たんだし！]

　滑りかたと曲がり方と止まり方教えてくれたら、
　まあ、なんとかなんじゃね？

[どこまでも楽天家思想なのは諦めてもらうとして、実際なんとかなると思ってるし、秋月も自分のペースで滑っていいぞと思ってる。]

[今日初めてスキー靴を履く人物が言う台詞じゃないけども。

一緒に行く奴いたら、とりあえず山頂で写真撮って留守番組に送りつけようぜ。]*

[バスの中、流れていた演歌は耳に入ってきてはいたけど。

昨今の歌詞は遠回しでも直球でも過激なものが普通に街中でも流れてたりするし、松っちゃんせんせーが大人的な気まずさを感じているのは気づかなかった。>>137

配慮のための健全な演歌（？）は、俺の控えめな懇願が通じたのか夜に延期となったようで。

先送りになったリサイタルは俺が意識があるうちは拝聴するから大丈夫だ。

夜ならそのままペンションの食堂でもロビーでも気絶したところでそんなに困らないだろう。

バスが安全運転で進めるならそれに越したことはない（と自分に言い聞かせた）。]

[何にしても夜集まって食事なり酒なりを皆で囲めるなら楽しみなことには変わりないし、日中の雪遊びが短く感じるのもやりたいことが多くあるからで。

雪だるまやかまくらはゲレンデ方面の場合は作っていい場所が限られているから、スキーの後でも自然と集まれることだろうと先に滑りに行くことにした。こっちのが多分体力も使うしな。

空閑が非常食らしきものを確保している割に寒さ対策はどうにも疎かになるみたいだ。>>141

全身（ではない）タイツマンでもマシュマロマンでも、とにかく防寒だけはしとけよと装備を整えて。

レンタルしたスキー板も無事に装着までは終えることができた。]

　あれって……ゴンドラ？
　高いとこまでいくやつだと思うけど大丈夫？

[リフトは確かに慣れていないと乗るのが難しいものではあるか。

基本誘導のスタッフがいるから乗るのに失敗もしないと思うけど、初心者には怖い乗り物かもしれない。

降りるときはどうあっても自力だしな、いきなりは不安があるのは理解はできる。

歩いて坂をのぼって滑るのは疲弊してしまうだろうし、それならとりあえず安全に上まで行けた方が楽なのか。]

　滑ってれば降りては来られるし、そうするか。

[体重をかけた逆方向に進むことや、スピードを緩めるのは足をハの字にしたらいいとか、止まるときは体ごと曲がるイメージでとかはその辺は滑りながら覚えられるだろう。

一緒に上まで来てくれる人がいたらその分空閑の助けも多くなるんだけど、とは本人も意図しているのかゴンドラで上まで行く人と大声で募っていた。>>143]

　じゃあ乗ろ。

[空閑と俺の他にも上までゴンドラに乗る人がいそうなら、集まった面々とそのまま山頂まで向かうことになっただろうか。

ゴンドラに乗るのもそれだけでレジャー感はあるし異論はない。

自分のペースで滑っていいよと言われたら、そうするとは頷いたけど。
見失うのに不安もあるから、様子は見ておこうとは思ってる。]

　あ、小動物の足跡。
　なんだろ、兎とか狐？

[昇っていくゴンドラからの景色は、人の入らない側に新雪が広がっていて、小さな足跡の穴が空いていたりするのを見るのも楽しい。

リフトだと下に手袋だとかストックが落ちていたりで、慣らされていない深い雪の中を取りに来るのも大変そうと思うと可哀想な気持ちになることもあるが、そういう心配がないのもゴンドラの利点だろう。

そうして山頂へと辿り着けば、あとは滑り降りるだけ、ではあるのだけど。]

　先どうぞ。
　こっち側から降りる方が多分いいのかな。

[なだらかな方のコースをストックで指して。

こっちが先に滑ると確認するのが大変だし、俺は後ろから滑ってくからと空閑が先に行くのを確認してから滑り出すことにした。

ものすごい勢いで下っていかれでもしなければ追いつけるだろう。きっと。]*

[和かほと一緒にゲレンデに来て、スキーかボードなりは借りたんだと思う。
スキーなら俺の分も。ブーツも違うからセットでかな。
初心者教室に参加するかどうかはともかく、
板の装着の仕方や、安全な転び方の説明ならできる。
視界の向こうで秋月が空閑に指南するところも見えたから、
秋月のやり方も見様見真似つつ]　


　……、


[和かほに手取り足取り伝授しつつ、
去年もこんな事したなぁ、などと不意に思い出す。
実は去年も来たんだ。仲間内で。無論今回とは違う面子で。
俺が手ほどきしたのは、別の女の子。
まだ付き合う前の元カノだ。
何の因果か、一年経って、まさか別の女の子に似たような事をするなんてな……あの時は想像もつかなかったよ、本当に]

[で、その元カノだが、今年の春に俺と別れてから間もなく、
別の男とのロマンスが始まって、順調にお付き合いが続いているらしい。
と、風の噂に聞いた。最後に聞いたのは夏休み前だけど、
今もきっと元気に過ごしてくれているに違いない。
そもそも彼女は俺より一学年上だった。
オケ部から離れてしまえば
彼女との接点はないので、同じキャンパスとはいえ広大だし、
顔を合わせる機会もほぼ失われた。
春の新歓ライブと、文化祭の発表には行かなかった。
今さらどの面下げてだし、あちらもこっちは二度と見たくないだろうから]

[過去回想はこのくらいにして、
和かほが緩い斜面ならゆっくり下りられるようになった頃か、
馴染みのクソデカボイスが聞こえてきたのは>>143]


　えっ、　ゴンドラ？


[一度に6人だか8人くらいで乗れるやつ。
板を外して乗るから、着地点で転ぶリスクもない。
それはいいけど、空閑の奴いきなり山頂とは声だけでなく度胸もデカいな。
まあ、すぐに山頂に行ってどうにか降りてこれれば、
自信がつくし上達への近道というのもわかるけど]


　どうする？　行ってみる？
　山頂からの景色とか、いいと思うけど


[幸い今日はいい天気だ（※この頃はまだ）
少しずつゴールを決めながらゆっくり滑っていけば、降りてこれるんじゃないか。
あいつらと一緒に行けば絶対楽しいし。
そう期待を込めつつ、和かほを誘う。
今までできている様子を見ると、
ゆっくりとなら降りてこられそうな気がするし]

[和かほの返事はどうだったかな。
とりあえずゴンドラには同乗しようと空閑たちの方へ近づいた]


　もう山頂だなんてチャレンジャーだな
　滑れんの？


[と、空閑と秋月を交互に見て首を傾げる。
何はともあれ、山頂にGOだ。**]

[一時間なんてあっという間だね。気が付くと辺りは一面の雪景色と化していた。
バスを降りると目の前にとても立派な木造のペンションが聳え立っている。
斜めの屋根の上には重そうな雪がこんもりと積もり、つららが下にのびている。
まるでパイプオルガンみたいだな。
大きな建物を見上げながら、客室はいくつあるのだろう？なんて俺はぼんやり考えた。

運転手さんにお礼を言い、みんなの荷物を車から運び出す手伝いなどをしてやったら入口をくぐろうか。

空閑の元気いい挨拶が空気を震わせる。ほんと、通る声してるよな。秋月に負けてない。>>130

室内に足を踏み入れると暖かな空気に俺たちは包まれた事だろう。
はー、あったかい。暖房最高！

なんて緩むもつかの間、俺は大人としての責務をまず果たすために背筋を伸ばした。]

　　お出迎え有難うございます。元担任の松本と申します。
　　今日は生徒…いや、元生徒たちと
　　一緒にお世話になりますね。
　　
　　もしかしたら色々ご迷惑をおかけすることに
　　なるかもしれませんが、
　　その時は自分が責任を持ちますので、
　　どうか宜しくお願いします。

[出迎えてくれたペンションオーナーは古川の親戚の方だそうで。がっしりした体格は山男の風味を醸し出している。俺の貧弱ボディとは大違いだ。力仕事得意そう。

こんな山の上のペンションを経営しているのなら、スキーなども上手いのかも。
イケメンおじと俺が比較されないことを願おう。

誰に？…それは、まあ。]

[そしてここで漸く俺は部屋割りという一大イベントに遭遇してしまうわけである。

十河と衣代、秋月と空閑は当然のように同室だ。どんどん二階に荷物を置きに上がっていく。

…残りの元生徒は古川と歌田。
うん、もう決まったよな？決まったよね？]


　　じゃあ俺はトイレ近くの部屋にするよ。
　　歌田、重たいだろ、荷物持ってやる。


[せめて荷物持ちぐらいはさせて欲しいの気持ち。二階の適当な部屋を選んで自身の鞄を置いたら着替えを済ませよう。

結局ここでスキーウェアに着替えるのだから、歌田の恰好は別にフライングではなかったのかもしれん、と一人笑みを零した。]

[階下に戻るとお茶とお菓子が用意されている。40代の女性がニッコリ微笑みながらサーブしてくれる。彼女とオーナーの二人でこのペンションを切り盛りしているのだろう。

温かいお茶で冷え切った身体を溶かした後は昼食である。
食堂に移動して席に着き、みんなで頂きますをしただろう。

かつ丼と具だくさん味噌汁はボリューミーで満足度が高い。]>>130


　　ゲレ食っていうのかこういうの？
　　ゲレ〇レが食べるのか？


[それはドラクエのキ〇ーパンサーだよ！解説は秋月がしてくれた。>>138本当に頼りになる奴だ…先生は現国教師であるのを忘れてしまう。いや、流行言葉は管轄外ってことで許してちょんまげ。

非常食にしたいのか、お菓子をちょっとポケットに入れてく空閑の姿が視界の端に止まる。>>141
ああいうの、遭難した時に役立つんだよな。

…いかん、これはフラグか？

雪山で遭難した男女が山小屋に辿り着き、
濡れた衣服を焚火で乾かしつつ肌と肌を暖め……

俺がそれを自分と誰で想像したかは言わん、言わんぞ！

……こほん。]

[食事の後は皆でゲレンデに繰り出す事となった。俺は宅急便で送ってあった自前のスキー用具を担いで行く。ストックも忘れずに。

スキー靴でざっくざくと雪を踏みしめつつ進む。みんなワイワイ楽しそうだ。
真白な雪が太陽光を反射して眩しい。

さて何処で滑るかだが、初心者が何人かいるのでまずは高い所ではなく低く緩めのコースがいいだろうななどと考えていたら…。]


　　ん？リフトじゃなくて
　　ゴンドラで頂上に行くのか？


[騒いでいるのはポメラニアンボーイである。>>143
でもこの「騒ぐ」ってのは煩いという意味ではない。場を明るくする、盛り上げる、いい雰囲気にするって事だからな？

スキーを既に履いてる場合はリフトで登るしかないのだが、まだ皆担いでいる段階ならゴンドラで一気に上がってしまう方が確かに楽だろう。

しかしいきなり頂上か。

その無謀なる提案に面食らったがまあ、実はここの雪山はどのコースも比較的なだらかで有名なんだな。だから、多分初心者が行っても大丈夫だろう。

大人である俺がいるんだし。
これは引率ではないけれど、彼らが怪我せず安全に遊べるよう俺は見守る所存で来ている。]

　　おーし、乗るぞ、頂上だ！
　　先生も一緒にいくぞー。


[音頭を取ってくれている空閑に合わせておーっと声を上げる。十河と衣代も頂上組のようだし、みんなで逝けば怖くない。>>151
一蓮托生、死なばもろとも！！(※死ぬな)

歌田もついてきているだろう。
ぴょんぴょん娘があっちこっち興味深々どっかいかないようには(※遭難)見ているつもり。

そういえばある特撮ヒーローはゴンドラの上で敵と戦うシーンを撮影してたけどスタントなしだったらしいよ。よいこのみんなは真似しないでね！]*

[腹減るとヤバいってのは、実体験として知ってるけどさ。
寒くてヤバいっていうのは、どのくらいヤバいのか俺は知らないからな。

スキーはスポーツなんだし、上も下もスキーウェア着てたら、そんな寒くならないもんなんじゃねーの？
なんて、俺は薄手の寝間着の上にウェア着ればいけるだろくらいの、とんでもない雑な認識でいたのだった。

秋月の助言のおかげでヒートなんちゃらを重ね着して(ほぼ)全身タイツマンみたいになった後、タートルネックの分厚い上着まで重ね着したら、もう相当に暖かになって、もうこれなら雪山で野営できるんじゃねって慢心に至るまでになり。

頂上？全然余裕だろ衣服的には。
テクニック的にどうかは知らないけど。]

　おう。
　"頂上行き"って書いてあるの見えてるから言ってる。

[大丈夫？と問うてくる秋月 >>145 に答えつつ叫べば、律 >>151 と松セン >>157 が反応してくれて、そうなればもう全員で山頂ってことにはなった。]

　いや？まだ一歩も滑ってねーよ。

[衣代は律と早々、麓の斜面でゆっくり練習しているのが見て取れてたけど、俺はどうにかスキー板の付け方やら何やらを教わったばかり。

あ、両足で立つことはできたから。二足歩行はきっとできる多分できる。だから大丈夫。]

　理論上は、スキー板つけて斜面に立てば勝手に滑る、
　……んだろ。うん。

　たぶんいける。

[律の言葉 >>151 に真顔で頷き、松センが「いくぞー」と言ってくれれば >>157 山頂での記念撮影イベント決まりましたとばかり、雪山面子全員がゴンドラに乗り込むことになった。

男３人女３人、引率１人って、まんまどっかのスクールみたいな光景でちょっと笑う。]

　お。ほんとだ。
　…………あの足跡の歩幅、でかくね？

[秋月の言葉に斜面を見下ろせば、新雪の上にいかにもな獣の足跡。>>147

歩幅からして猫くらいのサイズかなという風なのもあれば、やけに幅広く感じる蹄っぽいのは鹿？
熊はもう、もっとこう、クマー！って感じなんだよな？知らんけど。

山頂に向かうにつれてゴンドラの窓からの冷気があからさま増し、葉が落ちてシルエットだけになった木の枝に雪が積もって固まった風になったのがきらきら光ってて。]

　ほら。頂上目指して良かったろ。

[この後に待ち受けているのが悲劇か喜劇か全く想像しないまま、頂上に着けば、青い空に白い雲に白い雪、氷の彫像のような木々という絶景が待っていた。]

　代わりに兄さんたちの、撮ってあげっから！

[俺ら同様、記念撮影したがってたっぽい同世代らしき男女の集団に声かけて、交代で写真撮って。

はふ、と吐いた息が真っ白になるし、ニット帽は被ってっけど剥き出しの頬なんかはちりちり痛いくらい冷えてくるし、雪山すげー！って、俺は大興奮だった。

昴や桜輔たちに写真送んのは、まあ、宿に帰ってからまとめてでいいか？とスマホをしっかりしまいこんで、スキーつけてストックの輪っかに手を通して、帽子、ゴーグル、ん、大丈夫。]

　あっち、な？

[うん、見えてる。コース名が緑で書かれている方目指せばいいのな？

ボーゲンのやり方は、ゴンドラ内で秋月に教わってた。>>146
困ったらとにかく足をハの字にするとか、いやでも"体重をかけた逆方向に進む"って、なんか全然、感覚理解できなくて。

まあなんとかなるなる、と緩い斜面に身体を押し出した。]

　……ぉ。お。お！！！！

　おおおおお

[なぜボーゲンの体勢のまま俺は直滑降になってんの？
俺は知らない。理屈は知らない。誰か教えてくれ。

ともかくもけっこうなスピードで滑り始めた俺は、謎の前のめり中腰姿勢を保ったまま一直線にゲレンデを滑り降りていき、そして曲がることはできなかった。]

　ひえ？……っひえ！

[や、でも、止まるのは、なんとか。
こう、内腿にくっそ力入れると、止まるらしいというのは理解した。

しかし曲がれないな、なんなんだスキー。難しくない？]

　は、はは……っ、
　でも滑れた、ぞ……！

[多分すこぶる見た目は悪い初スキーだったけど、ともあれ、"なんか滑れた"という成功体験を胸に、俺はぎゃあぎゃあ騒ぎながらも山を下り始めた。

なんか異様にスピードだけは出ていたらしいから、秋月たちを過剰に待たせることも無かったと思う。

けどこれ、曲がれないのっていずれ側道に突っ込むとか木にぶつかるとか誰かにぶつかるとか、そういう未来しか見えねーな!?]*

　ぉあ!?久しぶり！来るなら来るって連絡しろよ！

[俺がシフト入ってなかったらどうしてたんだよ……って、それならまた改めるつもりだったし、とか、なんとか。

若干酒の匂いを纏った、桜輔と律の２人が俺のバイト先の居酒屋に来たのは、割と最近のことだったと思う。>>@20

アルバム出るのが決まった話をしたから、少なくとも秋にはなっていたはずで。]

　店長ー！ピーク過ぎたら30分休憩貰っていいスかー!?

[友人来たんで、と話したらＯＫ貰えたんで、どうやら２軒目だか３軒目だかだったらしい奴らの注文取って、他のテーブル片付けて新しい客通してファーストドリンクのコールしてー、なんて慌ただしく仕事をこなして。

客の波が一段落したとこで、自分用のウーロン茶と店からのサービスの名物モツ煮を手に、奴らのテーブルに合流した。]

　あ？悪いな、俺まだ未成年。

[こっそり酒飲むことは多少あっても、まさか自分の職場で飲む訳にはいかねーよと、ストローさしたジョッキを、飲みかけの奴らのジョッキにごつりと当てて。

このテーブルの会話では、律が衣代と付き合い始めてるって話は、俺は聞けてなかったんだけど、でも大学でまた剣道やってるとかは聞けたかな。剣道、って響きでうっすら衣代の顔を思い出したりはして。

いや、つか、桜輔だよ桜輔。居酒屋バイト始めたって聞いたから、お互い通じる話も色々あったし、久しぶりだったから積もる話も色々あった。こっちからは、12月にアルバム出すことになったって報告もできたし。]

　へ？……一緒に暮らしてるんの……？
　晴斗と。

[ふーん、ほー、へー。

いよいよ行き着くとこまで行ったか、って、ある意味感慨深かった。だって、ずっとだろ高校時代から。

悪い表現すると"共依存"ってやつかもだけど、互いが互いを必要としてるみたいなところ、今はなんか、実感を伴って桜輔と晴斗の関係がすとんと理解できてしまった気がして。]

　…………えーと、つまり、
　晴斗は"恋人"って理解で、合ってる……？」

[控えめに聞いたら、桜輔は笑って頷いてくれたりしたんだろうか。

ふーん、ほー、へー。

お前らは？と聞かれたところで、いや、俺らは一緒には住んでるけど、そういうんじゃない……とかなんとか、律の手前もあって、もごもごと誤魔化した気はするけど、律はともかく桜輔には筒抜けてたような気しかしない。

そも、閉店まで居た奴らと一緒に俺も店を出たところで、プールバーの仕事を終えた秋月がうちの店まで迎えに来てたところで、色々と"お察し"されたような気もするし。

律にカミングアウトすんのは、なんでかどうにも気恥ずかしい気持ちがあるんだけどさ。

桜輔だけからひっそり聞かれる状況下だったりしたら、俺も秋月と恋人同士になってて、なんなら３日と空けない勢いでセックスしまくってますが何かぁ?!みたいな話は、勢い、零してしまっていたように思う。]*

[同じ部屋がいいって告げたら、
服を摘まんだ私の手に彼の手が重ねられた。>>131
それだけじゃなくて握られて、
何秒か視線が重なったままになって……]


　　！


[不意に彼の顔が近付いて、
リップ音もしないキスの後、彼の顔が遠ざかる。

人前でこんな事をする彼に顔が一気に熱くなって、
私はきょろきょろと前の座席の様子に目を向ける。
誰かに見られてないかな、って、
最後部の席だしみんな前向いてるし、
そんな事は無かったけれど……]

[ぺちっと彼の膝でも叩いてやろうかと思ったけど
彼が私の手を捕まえたままだったから
諦めて軽くじろっと睨むに留まる。

暑い、って>>132、
それは私のセリフなんだけど。
ぷ、と頬を膨らませたけれど、
私からも手を解く気はなかった]

[心地よい音楽に耳を委ねたり、
曲をバックに外の景色を見ていたら、
あっという間に目的地に到着した様に感じた。

アルバムが終わったら謎の演歌が始まったりして>>129、
これは古川さんの気遣いなのかな……と思ったりした。
アルバムをループしてゆっくり聴くのは、
帰ってからのお楽しみとなる。

二人に曲の感想を告げてから辿り着いたペンションは想像以上に大きくて、十河もびっくりしていたから>>133、これって普通の大きさじゃないんだと知る。
中もきれいで、
部屋を選ぶのも全部屋確認しながらだと
だいぶ時間がかかりそうだと思ったけど]


　　うん。


[ひとまずベッドがふたつあれば問題ないので、
十河が選んでくれた部屋>>134に頷いて荷物を運び入れる]

[一階に戻って用意してもらったのは、
結構しっかりとした料理……
ゲレ食って言うらしい。
お腹が空いていたからもくもくと平らげて、
部屋に戻って雪山で遊べる格好へ支度する。

私は姉が持っていたウェアを貸してもらったので、
一応ちゃんとした装備になってると思う。
青空よりも深い真っ青な上下になって、いざ雪山へ。
……しかし、学校行事でスキーに行った記憶がなんとなくあるけど、殆ど覚えていないので雪山はばりばりの素人だ。
一応少しは調べたつもりだけど……]


　　うん。あ、えっと……どうしよ、
　　最初は何がいいかな……

　　ボードで滑ってるとこ、見たいな。


[やりたい事が多くて全部できる気がしなくて、
何からしたらいいか悩んだけれど、
折角持って来たのだしスノーボードで滑ってるところが見たい。
お手本を見たいという気持ちもあり、
彼に先に見せてほしいとお願いすれば、技を披露してくれた。
剣道をしている彼とは違った美しさがあっただろう]

[欲張るのもよくないしと
とりあえずボードだけ持ってゲレンデに立っていただろう。
強く滑りたいと思ってた訳ではないけど、
彼が優しく教えてくれるから、滑ってみようかなと思った。
彼が教えるのに慣れてそうだなあなんて事には気付けない。
ましてや、以前誰かと一緒に来ただなんて想像もしない。

ただただ真剣に彼の説明を聞き、
言う通りにしてみるがなかなか難しかったり、
ちょっとでも滑れたら柄にもなくちょっとはしゃいで。

そんな風にしていたら、私の耳にも届いた。
「ゴンドラで頂上」、って。

いち早く反応する十河は本当に明るくて、楽しい事が好きだな、と思う。
でも私の意見も聞いてくれる気遣いと優しさがあって……>>150
私はそういうところが好きだな、と思う]


　　うん……行ってみようか。


[空に見えるケーブルがそうなんだろう。
私は頂上に行ったら帰りはどうするのかとかいう知識もなかったが、十河の言う景色はきれいだろうと、それだけで行ってみたいと思ったから]

[何もわからずついてったので、
十河の二人への問い掛け>>151ややり取り>>159には首を傾げながらも、私は少し緊張しながらゴンドラに乗った。
みんなと一緒だから、
動き出してしばらくしたらその緊張も解けていったけれど。

結局今回の合宿のメンバー全員が揃ったんだったかな。
ゴンドラからの景色も、とても美しかった。
一人で乗ったら見落としていただろう小さな景色>>147もあった。
大切な人たちと見る景色はこの世界で一層、輝いていた。

山頂で一緒に取ってもらった写真も。>>161]

[……で、ここから自力で降りるらしい？
え？こんな高い所から麓まで……どころか中腹までも行けるかな……と途端に不安になる。
先に滑り出した空閑くんがぐんぐんスピードを上げて、
すごい！と思っていたら遠くなる悲鳴みたいなのが聞こえてきて>>162……]


　　……私、ペンションに帰れるのかな……。


[と、遠くなる空閑くんと、きっとその後を追う秋月くんの背を見ながら不安そうに声を絞り出す。
十河はきっとボードでもなんでも上手く使いこなして滑るんだろうけど、
私はゆるい傾斜を短い距離でしか滑ってないから……]


　　置いていかないで、ね……


[またも彼の腕あたりを掴んで見上げる。
さっき>>119とは全然違う気持ちで。**]