人狼物語 三日月国


325 リナリアの花に願いを込めて【身内R18】 RSS
(2026/07/31(Fri) 23:00:00 に更新。 延長2回まで。)

情報 プロローグ 1日目 / 最新


極夜の季。異形の刃が朱に染まれば、月の女神が蒼ざめる。
地上の民は怯え、惑い、鋭き刃に蹂躙される。
女神はただただ無力を嘆き、涙を零すのみ。

――三日月国の伝承

【人】 預言者 エッカ

「勇者と共に魔王を討ち倒す旅に出る者。
 その者たちの所在を預言しろと。
 そう申すのか──?」
(0) 2026/07/17(Fri) 23:18:11
女戦士 ツルギが参加しました。

【人】 女戦士 ツルギ

「そう、そうして私たちは勇者によって旅に誘われ
 魔王退治の旅に出たの。
 懐かしいわね。
 
 アンタの時は、どうだったっけ?」
(1) 2026/07/17(Fri) 23:23:13
村娘 セレスティアが参加しました。

【人】 村娘 セレスティア

 
──そう、私の時は。

私が勇者様の仲間に勧誘されたのは4年前、まだ13の時。
王都に近い、けれど小さな村の片隅で私は治癒師の見習いとして働き始めていた。
家族は皆、その村でずっと治癒師として生計を立てていたからそれを当たり前だと思っていたの。
大きな事故もなく、事件もなく。
薬草のことや治癒魔法のこと、それ以外の魔法のことを家族に教えてもらいながら早く一人前の治癒師になりたいと願っていたあの頃。

小さな恋の花が、いつかは実ると漠然と信じていた、そんな幼い日。


突然現れた、勇者と名乗る少年。
王様からの勅命書と預言者の言葉を携えて。
 
(2) 2026/07/17(Fri) 23:32:29

【人】 村娘 セレスティア

 
「……………わ、私が聖女の末裔?
 えっ、旅に? 魔王? な、何の話ですか……???」
 
 
意気揚々と旅に誘う勇者様に、困惑の色を宿したのが始まりだった。**
 
(3) 2026/07/17(Fri) 23:32:51
村娘 セレスティアは、メモを貼った。
(a0) 2026/07/17(Fri) 23:36:38

木工・錬金術師 マラクが参加しました。

【人】 木工・錬金術師 マラク

 ――あの日のことを忘れたことはない。

 鈍い音が身体の中から聞こえてきた。
固い地面に受け身も取れずに衝突し骨が砕けた音がした。
鼻からは熱き赤が垂れ流しとなり口の中には鉄の味が広がっている。
少し離れた場所で何かが地面に刺さる音と転がる音がしたようだ。
この手には先まで持っていた家の斧は無く、掴むのは砂利や砂、土ばかり。

 軋む首をあげ視線を起こす。
視界も半ば途絶えているのは瞼が腫れて閉じているからだろう。
そんな視界の中であの男の靴が見えた。
視線を上げればズボンが見え、更に上げれば肩に剣の腹を乗せてぽんぽんと叩いている姿。
男の表情は憎らしい程に余裕があり、その辺りに時折出没する盗賊が浮かべるものと何も変わらない笑みを浮かべていた。

 あの時、奴は言ったのだ。
『あの女はもう俺のものだ。二度と俺の女に近づくなよ、雑魚が。
平民は首を垂れて黙って言うことを聞いていろ、次は殺すぞ、カスが』――と。
その他にも平民にしておくには勿体ない美貌だとかセレスの母は乳が大きいから将来が楽しみだとか魔王を討伐した暁には愛妾にしてやるとか言っていたがその時は理解しきれていなかった。
(4) 2026/07/18(Sat) 4:11:23

【人】 木工・錬金術師 マラク

 自分にとって最初からあの男は勇者ではなく盗賊にすぎなかった。
例えこの国の第……いくつかは知らないが王子であり、勇者と称えられ、聞こえてくるは名声ばかりであったとしても。
そして、王命であったとしても奴は簒奪者に過ぎなかった。
>>2突然現れたかと思えば幼き頃より共に過ごし、同年代と言えば互いにしかいなかったので漠然と将来は夫婦になるのだと信じていたセレスティアを奪うという。
村長も、誰も、彼も、王の命令には逆らえないと言うばかり。

 >>3セレスティアがそのことを望んでいるようには見えなかった。
セレスティアにそんな表情も、家族と離れて寂しい想いをさせたり、悲しい顔をさせたくなかった。
困惑の色を宿す瞳を見て、自分は勇者を詐称する男に直訴に向かった。
その返答は『勝てば考えてやる』というものでありその他にも腹の立つことを種々様々言われ頭に血を昇らせ挑んだ結果、負けた。
完膚なきまでに惨敗した。
そもそも戦闘訓練を受けたこともない平民がそれらを受けてきた男に勝てる道理はなかったのだが、あの日の自分はその判断すらできなかった。

しかし、他に手はなかったのだ。
自分はまだ子どもであり、セレスティアもまた同じ。
彼女を連れて逃げたとしても王命である以上追われることは必至であり、逃げ切ることも生き延びることも不可能であったろうとは後に考えた結果である。
(5) 2026/07/18(Sat) 4:11:59

【人】 木工・錬金術師 マラク

 ――その結果、自分はセレスティアが旅立つ日に立ち会うことはできなかった。
あの野郎は自分が別れの挨拶に向かえば言葉の通りに自分を殺すことにしたであろう。
セレスティアを悲しませるわけにはいかず、また反逆者とされるわけにもいかなかったし、何よりも追った負傷で動くことができなかった。
家に運び込まれ、セレスティアの母親に治療される中で力を振り絞って生まれた時からずっと身に着けているマラカイトのお守りを渡した。

「待ってる、と、伝えて……」

 自分が言えたのはそれだけであった。
保っていた意識が闇へと落ち、目覚めた時にはセレスティアは旅立った後だ。
目覚めれば家族からは心配しながらも叱責もされ、セレスティアの家族からも諦めるように諭された。
村長もまた村のためであると語ったが――。

「僕は、必ず、取り戻してみせる……」

 セレスティアが勇者と共に魔王を打ち倒す旅に出た日。
後に魔王をもってして魔王のようであると言わせしめた男の闘いが始まった。**
(6) 2026/07/18(Sat) 4:12:09
木工・錬金術師 マラクは、メモを貼った。
(a1) 2026/07/18(Sat) 4:29:18

【人】 村娘 セレスティア

 
魔王を討伐? そんな恐ろしいことに出かけなくてはいけないの?
魔物なんて倒したことない。狩にさえ出かけたこともなければ、獣を捌いたこともなかった。
既に捌かれた肉を調理したことはあったけれど、捌くのは大人か、狩人や農家の家の子の仕事だったから。
血を見るのに忌避感は無い。けれどそれは人間の怪我のものであって、生き物を殺したりする時の血じゃない。
そんな私が、魔王討伐?
 
 
「……っ、マラク……。」
 
 
困惑の色を宿して>>3私は幼馴染の姿を探した。
だってどうしたら良いか分からない。急な話、しかもそれが王様の命令なら、ただの村娘に拒否権などない。
勇者様が王子様であることは大人たちから後から聞いたから、一層拒否することは出来ないと分かってしまった。
 
分かってしまったけれど嫌だった。
だってそれはあまりにも、今までの生き方とは違うこと。
マラクとは生まれた時から一緒だった。
大人たちが時折口にするように、私だって、村に同じ年頃の相手がマラクしかいないからと漠然といつか一緒になるんだと思っていた。
それだけじゃない。
私はいつの頃からかマラクを異性として意識していたし、普段通りのこともドキドキして上手く出来ないような、そんな淡い想いを抱いてもいた。
マラクがどうだったのかは分からない。
同じかもしれない。気づいてないかもしれない。妹扱いで意識されていないかも。
でも私にはマラクが頼りだった。
離れるのは嫌。もし旅に出るなら、マラクだって一緒が良い。
旅に出る準備をしなければと両親が準備してくれているその間、思いついた事にマラクの家に向かって飛び出していく。
 
(7) 2026/07/18(Sat) 13:23:36

【人】 村娘 セレスティア

 
でも。
マラクは家にいなかった。
どこに行ったのか尋ねても誰も教えてくれず、なら自分で探しに行こうとしても大人たちに捕まり一人で勇者様に着いていくように諭された。
反論したかった。でも。
 
 
『預言とは別の者を旅に連れて出た場合
 その者の命は保証されないのではないか?』
 
 
そんな言葉を聞いてしまったら。
 
(8) 2026/07/18(Sat) 13:24:53

【人】 村娘 セレスティア

 
離れたくなかった。一緒にいたかった。
でも、勇者様が……王子様が、王様の命令で。
自分の命さえ危ういかもしれないのに、巻き込めない。護れると、守ってみせると言えるほど当時の私は力はなくて。ただの治癒師見習いで。
一晩、泣いて、泣いて、泣き続けて。
その泣き腫らした目も母が治癒してくれるのだから報われない。
 
 
「……マラク。」
 
 
旅立ちのときにもマラクは居なかった。>>6
──せめてお別れの言葉を言いたかったのに。
視線で探して、ついその名前を口にした私の肩を勇者様が抱き寄せる。
 
 
『幼馴染が旅立つんだ。辛いんだろう。
 許してやってやれ。』
 
 
抱き寄せられたのは嫌で、つい眉を寄せてしまったけれど。
言われた事はそうなのかもしれない。
視線を伏せて、でもそれならとせめて笑顔を浮かべて村の人たちへ、両親へと別れの挨拶をして旅立った。
 
 
勇者様の手前、マラカイトの御守りとその言葉は>>6
両親の手で小さな荷物の中に封じられたまま。*
 
(9) 2026/07/18(Sat) 13:25:43

【人】 村娘 セレスティア

 
勇者様は優しかった。
裏でそんな事>>5してるなんて気付かせない程にわたしたちに優しく、紳士的に振る舞ってくれた。──最初のうちは。
 
勿論、王族として色々学んできたんだろう、マナーや言葉遣い、所作についてを教えてくれることはあった。
王族として、勇者として。そしてその仲間たちとして必要だからと。
ただその時の距離が、近い。
私の姿勢が悪いだけかもしれないけれど、背筋や首元、胸に近い場所やお尻のあたりに触れられるのは鳥肌が立ってどうにも落ち着かない。
早くマナーを、立ち振る舞いを覚えるしかなかった。
それに、街中ならともかく野営中はよく下品な話題を口にする。
戦士のツルギにも、魔法使いのコーラリアにも。男性経験の有無だったり、今まで出会った女性との話だったり、私たちの体型の話だったり。
ツルギは一緒になって笑って。
コーラリアは嫌そうに眉を寄せて。
私は、──困った顔をして愛想笑い。だって本当にわからない。何がそんなに楽しいのか。そして、いつしか内容を理解した時も矢張り笑いどころなんてわからず、でも、わからないって困り顔をしてたのは自分を守る為でもある。
 
(10) 2026/07/18(Sat) 13:28:13

【人】 村娘 セレスティア

 
『セレスティアは初心だなあ。
 そこが可愛い。』
 
 
そんなふうに満足そうに頭を撫でてくる勇者様にまた困り顔。
頭を撫でられるのは嫌。
けれど、……キスされそうになって驚いて避けた日以来、そんな“何も知らない初心な娘”で居る方が彼にとって都合が良く、私もまたまだ耐えられると思えたから。
 
そうして、仲間たちと共に。
私は聖都を目指す事になる。
 
──神聖魔法を覚える為。
そして、聖女の認定を受ける為。**
 
(11) 2026/07/18(Sat) 13:28:43

【人】 女戦士 ツルギ

 
──そういえば。>>5

勇者サマ、第二王子なんだって。
国は兄上に任せて、世界の平和の為に立ち上がったんだってさ。
預言者様の言うことがどこまで当たってるかなんて分かんないけど。

女には優しいよ、女にはね。
勇者サマ、女の子だーい好き♡だもんね。
まあアタシも男、嫌いじゃないけどさ。
 
コーラリアは素直になれよって思うけど。
セレスティアに手ぇ出そうとするのはなんか違うんじゃん?って思うかな。
アタシみたいに奔放系じゃないし、明らかに避けてんじゃん。
妹みたいな可愛がり方?
 
いやあ、あれは……。
明らかにヤバいよねえ。
できる限り、間に入ったげようとは思うけどさ。

権力出されると弱いよね〜!
まあ、あっちも女にゃ弱いんだけど!**
 
(12) 2026/07/18(Sat) 15:42:11

【人】 木工・錬金術師 マラク

 思い返せばあの日の自分はいつになく冷静ではなかった。
普段から短慮というほどではないが賢者の深慮遠謀とは程遠い、平民の少年としては相応程度の思考力を持っていたがどうしてか熱くなってしまった。
もしかすると精神操作系の魔法にかかっていたかもしれないが、その根幹にあるのはセレスティアへの想いであったことは確かだ。
>>7妹のようであると思ったことはなく、勇者の男が『俺の女』と口にするまでは異性として特別に認識したことはなかった。
精通も迎えていない男児にとって将来の伴侶になると漠然と考えてはいても具体的な思考はなく、どちらかと言えば友達という意識が強かったのだ。
それがあの一言で変わった。
セレスティアに対する恋心を意識するよりも先に己の大切な存在を奪われることを意識した。させられた。
少しずつ芽生えていくはずであった恋の過程をショートカットしてしまったが、自身がセレスティアを異性として好意を抱いていることに気付かされた。

 >>7もしも自制が効いていればセレスティアに願われ一緒に旅に出ることはあっただろうか。
仮に共に出立したとしても木工師の子である自身に出来ることは何もなく、あの勇者のことであるから道中で謀殺してきた可能性も考えられるが少なくともそこまではセレスティアを安心させることが出来ただろう。
然しながら自身はセレスティアに相談することもなく力での抵抗を選んでしまった。
>>8後にセレスティアが来ていたことを知り奥歯を噛みしめ堪えることになることだ。
(13) 2026/07/18(Sat) 20:43:53

【人】 木工・錬金術師 マラク

 >>9守る力もなく、護られるだけの存在だった。
大切であると認識した存在が涙を流し、心を殺して行きたくもない旅に出た中で自身は治療を受けたと言っても骨折という重傷であり寝床の上の住人だった。
両親から受け取ったペンダントは実際の重さよりも重たく感じ、何よりも悲しみに震えているようであった。
あの時の自身に出来ることは何もなく、ただ足手まといな存在でセレスティアを悲しませることしかできない。

 ――その様な男が、ただのうのうと村で帰りを待つだけの男が。

 ――セレスティアが戻ってきたときに、伴侶に相応しい男と言えるだろうか。

 戻ってきたとしても護られるだけの存在であることは嫌だった。
また、奪われるのは嫌だった。
そしてセレスティアは戻ってきてくれると信じて疑わなかったが王や貴族、何よりもあの勇者が素直に解放するとは思えなかった。
自身が何かをしなければならないと強く感じていた。
(14) 2026/07/18(Sat) 20:44:03

【人】 木工・錬金術師 マラク

 ――数か月後。
今度はちゃんと両親と話をして、旅に出た。
寝床の上で一か月、体力を取り戻すために一か月。
残りの期間で鍛えられるだけ身体を鍛えたが理解したのは現状では自分は木工師以外の何者にもなれないということだった。

 日々、セレスティアの無事を祈っていた。
祈ることしかできなかった。
>>10もしも勇者がセクハラをしかけたり>>11キスしようとしかけたりしたと知ればまた即座に挑み今度こそ死んだかもしれない程度の力しかなかった。
旅に出た理由は自身の力を高めるためだった。
冒険者として魔物と戦い死線を潜り抜けた――がそれは才能がない者としての範疇でしかなかった。

「セレス……」

 毎夜、セレスタイトのペンダントに語りかけていた。祈っていた。
変化があったのは、そのペンダントがふとした弾みで魔物に奪われた時だった。
取り戻すために必死に追いかけた先で未発見の遺跡に遭遇した。
魔物はその中へと入っていった。
冒険者の掟としては未発見の遺跡に単独で入るなど自殺行為であるとされ禁止行為であったがペンダントと己の生命であればペンダントの方が重たかった。

 追いかけていき、魔物を仕留めてペンダントを取り戻した。
その直後に床が崩れて奈落の底に落ちてしまった。
(15) 2026/07/18(Sat) 20:44:12

【人】 木工・錬金術師 マラク

 ――目覚めた時、そこは地下に成る樹の上だった。
そこの枝に引っ掛かり、クッションとなって一命を取り留めた。
逆さまになっていたので頭に血が昇ってはいたが死ぬよりはマシであったろう。
鼻から流れ出る血を止めながら地面の上に降り立ったそこは樹以外は小屋がある程度の空間であった。
その小屋の中へ足を踏み入れ――運命の分岐点と邂逅した。

 小屋の中は見たこともない機材があり、書物があり、そして異様な気配がする異本があった。
まるで本に呼ばれているかのように近づき、触れた。
その瞬間に頭に流れ込んできたのは知るはずもない知識の数々であった。
遥かなる異界の錬金術師の知識が強制的に流れ込んできて、弾かれた。
あまりにも異質であり、あまりにも自身に叡智を受けいれる素養がなかった。
それもそうだろう。
村で受けられる教育には限りがある。
流れ込んでくる知識を理解し自分のものにできなかった。

 どうしてか異本が困っているようであったので苦笑し、また本に触れる。
再び怒涛の勢いで知識が流れ込んでくるがまた弾かれる。
頭が沸騰するような感覚、動きが鈍磨し熱感を覚え思考が遅くなっていく。
それでも自身は手を伸ばし続けた。
止めたはずの血が鼻から流れ、目元からも血が流れ出し、口元からは泡が垂れていく。
それでも、やっと見つけた可能性を、希望を、手放すつもりはなかった。
(16) 2026/07/18(Sat) 20:44:27

【人】 木工・錬金術師 マラク

 セレスティアが導いてくれたように感じていた。
助けを求めていると信じた。
ならば、成し遂げるのが、あの日何もできなかった男がすることだろう。

 何度も意識を失い、何度も血反吐を吐き、それでも本に触れ知識を受け入れ続けていった。
それは異界にて錬金術を究めた者の記憶そのもの。
錬金術にのめり込み、人としての箍までも外し世界の理から外れた存在の技術の全てだった。
知識を得て理解を深めていけば当然のように人の道を外れる方法も知ってしまう。
その存在は錬金術を究めるために躊躇なくその境界を全力で駆け抜けたようであるが、自身はそこまで行くつもりはなかった。
村には家族がいる、セレスティアが戻ってきたときに自身がそこにいなければ――それはきっと彼女にとっては別れも言えず旅に出た日よりも辛いことだろう。

 自身は生きて帰らねばならぬのだ。
その上でセレスティアを害する者全てを排除し、全ての障害を排除し、
この手に取り戻さなくてはならない。

 手に握るペンダントが、血や汗に塗れたそれが光ったように感じた。
それが夢であったか幻であったかはわからないが――。
意識を覚醒させる。
どの程度の時間が経過したであろうも把握できないほどの長い間をかけて、自身は漸く望んでいた力を手に入れた。**
(17) 2026/07/18(Sat) 20:44:39

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
私は、マラクがそんなふうに危険な目に遭っていると知らなかった。
けれど、旅に出てすぐに見つけたマラカイトのお守りと、それに添えられていた母からのマラクのメッセージに気づいて、それを勇者様に見つからないようにお守り袋の中へと仕舞い込んだ。
そして、それを握りしめながら毎晩祈りを捧げる。
癒しの魔力を込めて、あなたに届きますように。何事もありませんようにと願いを込めて。
お守り袋越しにお守りがほんのり光る。
それが、旅の毎日に見られる光景の一つだった。
 
(18) 2026/07/18(Sat) 23:28:41

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
聖都では1ヶ月ほどの時間を過ごした。
勇者様たちとは別行動となったけれど、それにほっとしてしまった自分がいる。
神聖魔法は魔王を撃ち倒す前、瘴気を防ぐために必要らしい。
安全に野宿するための結界にもなり、他の用途にも使える為に習得した。
アンデッドに対してなら、私も十二分に戦えるようになった頃。
 
かつての聖女も行ったという儀式に参加した。
薄い布を纏い、神聖な泉に入り祈りを捧げるのだ。
私の他にも参加者がいたけれど──なるべく中央まで行くようにと伝えられていたのに、他の参加者は冷たいと口にして浅瀬で終わりを迎えていた。
それでは聖女の認定ができないと言われていたように、別に聖女の肩書はただ一人のものじゃないと知ったのは聖都で教えられてからだ。
神聖魔法に適正の高い者、治癒魔法に優れた者。そうした人物たちがある一定以上の基準をクリアした儀式を行う事で認められる称号の一つ。
聖女として認められたものは中央神殿や各地の神殿に配置され、祈りを捧げ魔を退け怪我や病を治癒する仕事を担うらしい。
現在の筆頭聖女様は、腰の辺りまで泉に浸かるほど深くまで進んだのだとか。
そんな逸話を思い出す。
 
(19) 2026/07/18(Sat) 23:29:54

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
最後に私の番が来た。
湖に足を浸す。けれど、不思議と冷たさは感じない。
むしろ居心地の良さを感じながら一歩、また一歩と歩みを進める。周囲の音が聞こえなくなるほどに集中し、濡れた事で纏った布が体に張り付くのも構わずに泉の中央へ、胸元まで水に浸かる位置まで辿り着いた。
そして祈りを捧げる。魔力を泉に溶かし、全てが癒されるようにと。
 
瞬間、泉全体が眩い光に包まれ光の柱が天に向かって立ち上り──そして、消えた。
唖然としながら、今のはなんだと慌てたのは私もそうだけれど周囲もそうだった。
聖女として認定はされる。
どうやら、私の適性はかなり高く──口さがなく言ってしまえば歴代の聖女様方を超えていたようで──神殿側が私に残り、聖女としとの責務をと言い出したのが問題だった。
勇者様がそれを難色を示すのは想像に難くない。
私も旅の目的を果たす為に必要な一つだったからこそ儀式を受けたけれど、村から遠いこの神殿に留まるつもりもなかった。
旅は、嫌だったけれど。それでも終わりがあるから耐えられる。
 
(20) 2026/07/18(Sat) 23:30:23

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
「私は、──聖女として働くなら旅を終えてからを考えています。
 それに、故郷の村に近い神殿しか考えられません。」
 
 
そんなふうに断り、なんとか聖都を飛び出したけれど。
それなら王都の神殿だ、と勇者様に言われてまた私は困り顔でやり過ごした。
 
ああ、早く、旅を終わらせて帰りたい──。*
 
(21) 2026/07/18(Sat) 23:30:46

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
でも、その頃からだろうか。
顔の整った異性に言い寄られることが多くなった。
スライムや触手型のモンスターが私を狙うようになってきた。
人型のモンスターは、私を攫おうとする動きがあった。
 
ヒーラーが狙われやすいとはよく聞くから、魔物たちの動きは理解できる。
異性に言い寄られるのは何なのだろう?
それが魔族側が送りつけたハニートラップの一つだったらしい事を、私が知ることはあっただろうか。
更にそこには、一つの誤解があった事を。
 
(22) 2026/07/18(Sat) 23:31:20

【人】 聖女の末裔 セレスティア

 
『そう言えば、聖女って結婚すると引退なんだね。
 どうしてなんだろう?』
 
『結婚を禁じていないのは
 優秀な神聖魔法の使い手を増やす為?』
 
『処女性が大事なんじゃない?』
 
 
そんな会話が仲間達の中でされていた。
男性でも神聖魔法の使い手はいるけれど、何故だか未婚の女性にその使い手が多いからこその誤解。
別に、結婚しても魔法の効果が落ちるわけじゃない。
ただ、膨大な魔力を使うものが多いから、子育てのため生活のために聖女を引退する慣習が生まれただけで。
 
(23) 2026/07/18(Sat) 23:31:51

【人】 聖女の末裔 セレスティア


その事実は、ごく一部の人間しか知らない。
トップの人たちが私にそれを伝えたのは──あの勇者様との旅路に備えて、それで力が失われるわけではないからと念のために伝えてくれていたのだ。
あの、勇者様の為人を知っていたから。
 
それを知った時にも私は閉口して、苦笑い。
心から笑えたのはいつだろう。
でも。
 
もうすぐ魔王と対峙するのだ。
旅の終わりが見えてくる。
いつもの祈りを捧げながら、私は畏れと高揚と憧憬を抱えていた。
 
 
あれから数年。
故郷は、マラクは、──何か変わったのかしら?**
 
(24) 2026/07/18(Sat) 23:32:25

【人】 木工・錬金術師 マラク

 ――陽光を浴びたのは実に1年ぶりであったらしい。
近くの村まで辿り着き『今日は何日か』と尋ねたところ季節が一巡りしていた。
何故それほどまでの長い間を奈落の底で過ごし無事であったのかはわからないが、>>18セレスティアが起こしてくれた奇跡であると信じた。
自身が祈っているようにセレスティアもまた自身のために祈ってくれている、と。
村についた夜は久方ぶりに長い時間祈りを捧げた。
セレスティアが恐ろしい思いをしていなければ良い、>>22そう願うばかりである。

 翌朝からセレスティアの軌跡を辿りはじめた。
幸いなことに勇者一行の動きは何もしなくとも耳に入り、努めて情報収集を行えばそれなりに伝わってきた。
その多くは勇者の英雄譚であるがコーラリアやツルギの話、そしてセレスティアの聖女の話も手に入った。
>>19村を出てそう時間もない間に聖女として認定される儀式に挑み>>20無事に聖女として認められたこと。
>>21そして魔王討伐後は神殿にて聖女として活動するという話や>>22王都の神殿に帰属するなどと言った話であった。
(25) 2026/07/19(Sun) 5:01:04

【人】 木工・錬金術師 マラク

 その話を聞いた途端にまた頭が熱くなる思いであったが、無事に制御できたのは異本から齎された知識のお陰であろう。
大体セレスティアがその様なことを望むわけがないのだ。
必ず村に戻ってくる、そう信じている。
然しながら残念なことにそれを拒む者がいることも事実のようであった。
これは懸念、いや、妄想していたことが当たってしまったのだが、
幸いなことはあの日の自身が力を求めたことで現在の自身には解決する手段があるということだ。

 錬金術とは術理を理解していれば誰にでも使えるものだ。
その術理が恐ろしく難解であるのだが、理の全ては異本が直接記憶に植え付けてくれた。
平民としては力はある方だが戦士としては下の下。
魔法が使えるわけでもなく神聖魔法が使えることもない。
では、錬金術で何を行うべきか。
思案の結果導き出したのは土くれから生み出した人造人間の運用であった。
ゴーレムと呼ばれることもあり、また異本の術理に従うならばそれは死霊術にも触れたホムンクルスと言えるものでもあった。
(26) 2026/07/19(Sun) 5:01:12

【人】 木工・錬金術師 マラク

 求められるのは術理と素材のみ。
そして素材は大部分は足元にあり、そして術者の血と、胤を使う。
恥ずかしながらも精通は夢に出てきたセレスティアを相手の夢精であり、それを胤として使い手足となる人造人間を生み出した。
見た目は土や砂、石で出来た人型の模型のようである。
最初の頃は一日に作り出せたのは10体ばかり。
毎日数を増やしていけば次第に一日に作り出せる数も増えていった。
特性としては不死であるということだ。
破壊されても素材がある限りは無限に新たな個体が加わる。
そして人造人間が得た戦闘経験は全人造人間に共有され反映されていく。

 不死隊と名付けたその集団が100を超えたあたりでまずは魔物ではなく盗賊の討伐を開始した。
資金を得ると同時に裏世界の情報を集めるためだ。
悪と悪は通じているものであると異本の妙な知識にもあった通り、町から街、州都や王都に至るまでの名立たる盗賊団を排除して回った。
情報を得ることは容易く、自白剤を打ち込めばそれで事足りた。
そして得た情報を元に更に活動を続けていく。
(27) 2026/07/19(Sun) 5:01:21

【人】 木工・錬金術師 マラク

 情報の中からセレスティアに関するもののみに対処をしていく。
彼女を狙う者に鉄槌を下し続けて回った。
金持ちや名士、貴族に神殿関係者であろうが関係はなかった。
ただ、二人の安寧を脅かそうとする者全てを排除する。
そのためだけに動いていた。

 不死隊の数が万に届いた段階でそれ以上は制御できないと判断し数による暴力を止めた。
獲得した潤沢な資金により不死隊はフルプレートアーマーの軍団となっており、どこにでも出現する脅威となっていた。
一人、一人と頭領とされる者の手足を捥ぎ取り、二度とセレスティアに関わることがないようにと誓約を結ばせた。
破れば魂が死んだほうがマシと想えるほどの苦痛を味わうことになる類のものである。

 幸いであったのは>>12権力者の全てが敵ではなかったということだ。
話の分かる御仁もいたため此方が組織の汚点を潰して後は任せることにした。
組織とは清廉潔白な者だけが集まるのではなくそれだけでは成り立たないらしいが――『必要悪』や『万人のため』という建前のどこにセレスティアと自身の幸せが関わってくるのだろうか。
その様なことを宣う者に対して絶対悪として圧倒的な力で従わせていたが此方の道理を理解してくれるのは手間が省けて助かるというものだった。

 最終的には王に迫り、セレスティアに対する全ての願望を破却させ誓約させるに至った。
あの男は魔王を倒すためには必要な駒であるため直接的に手を下すことは今はしないが周囲全ての堀を埋めておいた。
その結果>>23聖女に手を出さないよう噂に乗じて>>24阻止させることになっていた。
(28) 2026/07/19(Sun) 5:01:32

【人】 木工・錬金術師 マラク

 人間世界の始末が終われば次は魔王の領域である。
スライムや触手型、人型の魔物であれば勇者や仲間がいれば遅れを取ることはないだろうが、知恵の回る魔物は厄介なものだ。
策謀を駆使してセレスティアをかどわかすかもしれない。
勇者一行の旅路に追いつき、追い越し、先んじて魔王の領土に踏み込み盗賊を狩るのと同じようにセレスティアを狙う派閥を見つけては滅し続けていった。

 万の不死の軍勢は飲み食いも睡眠も必要とせず、倒しても倒してもキリがなく、更に動きに対応してくるのだから生者にとっては悪夢も良いところであろう。
そうして進撃をしているとある時魔王が現れた。
その瘴気は此方を犯そうとしてくるがセレスティアのペンダントが守ってくれているかのようにそれを阻んでくれた。
魔王は自身をスカウトにきたと語り、領土とセレスティアとの安寧の時を約束してきたが――。

「彼女が望むのは、それじゃない」

 村での平穏で何事もない生活を望んでくれるだろう。
故に――。
(29) 2026/07/19(Sun) 5:01:55

【人】 木工・錬金術師 マラク

「交渉は決裂だ」

 そうして魔王との戦いが始まった。
無限の不死隊と勇者にしか倒されぬという魔王。
恐ろしく不毛な戦いは創世神話にあるように七日七晩続き。
八日目の朝、どちらかと言うこともなく互いに手を引いた。
最後に何故戦うのかと問われたが――

「セレスを守るためだが?」

 そのためだけに多くの血を流し、組織を破壊して回った。
他者から見ての道理は何もなく、ただ暴虐なる覇道の軌跡が残るばかり。
魔王をして『我よりも余程に魔王ではないか』と別れ際に吐かれたが――。

「力は全てを解決するのだろう?」

 それは勇者が教えてくれた真理だ。
あの日、勇者がそうしたから自身もまた同じことを続けてきた。
セレスティアを守るために、奪われぬために、心穏やかに安寧に過ごせるように。

 此方も、魔王も、共に随分と消耗した。
勇者一行が対峙する時、本来の力を発揮できはしないであろう。
最早セレスティアを狙う者はいなくなった。
(30) 2026/07/19(Sun) 5:02:08

【人】 聖女 セレスティア

 
私たちの旅は厳しいものだった。
特にまだ熟練度が低い頃である旅の初めは、小さな魔物ですらなかなか倒すことはできなかったし、魔法しか効かない相手に魔力を使い過ぎて危機に陥ったりとかなり危険な場面があった。
けれど、それでも力を合わせて四人でさまざまな問題を解決し、魔王へと近づいていく中で不思議だったことがある。
 
聖女として認定された頃、睡眠薬を盛られたことがあった。幸い、軽いものなら無効化できるようになっていた為難を逃れたけれど、あれは聖女としての弱みを握ろうとするものだった。弱みを握り、魔王討伐後に自領の良いように動いてもらおうとするとある貴族の。
それは聖女である私だけではなくて王族である勇者様にも向けられたものだったけれど、そうした小さな出来事は何回かあって、けれどいつの間にかそれはなくなっていた。
それは、私たちが勇者とその仲間たちとしてしっかり認められたからだろうか。
それとも、他の何かの力が?>>28
分からないけれど、悪い夢を見なくなったのもその頃だ。
マラクが傷つけられ、それを救う為に身を差し出せというようなものや、直接体に悍ましい何かが這いずり回るような夢。
それらは私の記憶を利用して夢魔が見せたものであったらしいけれど、それもいつしか見なくなった。
そうした夢を見ると気持ちが沈んでしまうから良かった。何かしら、私の抵抗力が上がっていたのかもしれない。
私の知らないところで何か変化があったのかも。
そんな私は知らないでいた。
 
私の今後について、さまざまなやりとりが行われていたこと。>>28
それは王や神殿関係者、各地の力がある者たちまで及び、ましてや魔王まで関わる事態になっていた事を。>>29>>30
 
(31) 2026/07/19(Sun) 23:04:23

【人】 聖女 セレスティア

 
魔王との戦いは激しいものだった。
ツルギは懸命に武器を振るい、コラーリアはあらゆる魔法を使って攻撃をしたり皆の補助を行う。
私は、皆を瘴気から守りながら怪我や状態異常を回復させ、激しい魔王の攻撃を緩和する魔法を唱える。
そして勇者様。
そう、勇者様とは女神の加護を受けた者を指すらしい。女神の加護を受け、それにより魔王を討つ。そうする事で世界の均衡を保っているのだ──とは旅の途中で知った事だけれど。
そんな勇者様は女神の加護を受けた聖剣を魔王に突き立て、致命傷を与えた。
倒れる魔王。──まさか、あれだけ強かった魔王がマラクによって力を削ぎ落とされた状態だなんて、私たちは知らないまま。
 
 
勝利の雄叫びを上げる勇者様。
歓喜の笑みを浮かべるツルギ。
終わったのだと涙を浮かべるコーラリア。
私は瘴気が消えて行くのを感じるとへなへなとその場に座り込んでいた。
ああ、終わったんだ。
旅が終わった。村に帰れる。
マラクに、会える。
そんな事を思って油断していた時。
まだ消滅してはいなかった魔王が、黒い塵に消えゆく中で言葉を発していた。
 
(32) 2026/07/19(Sun) 23:18:52

【人】 聖女 セレスティア

 
『嗚呼、貴様が──聖女セレス。』
 
 
は、と顔を上げた。
目を見開き倒れ伏す魔王の方を見ると、魔力の塊がこちらに向かって一直線に放たれる。
いけない! 油断して、魔力も空に近くて、私は攻撃を和らげる魔法を消してしまっていて。
 
 
「きゃあっ!? ………???」
 
 
思わず叫んで両手で衝撃を受け止めようとするよう、腕をクロスさせて身構える。
けれど、思うような衝撃は訪れなかった。
魔王の魔力を受け止めたのは、握りしめていたお守り袋──その中のマラクのお守り。
毎日祈りと魔力を込めていたそれが、魔王の一撃を受けとめ、そして霧散させた。
どうして、魔王は最後に私の名を呼び狙ったのだろう?
ただ、魔王はその様子を見て最期、笑っていた。
まるで、敵わないと言うような、仕方がないと言うような。
 
(33) 2026/07/19(Sun) 23:19:19

【人】 聖女 セレスティア

 
その笑顔の意味はわからない。
ただ、驚き激昂した勇者様が消えゆく儚い命を断ち切ってしまったから、問いかけることもできなかった。
 
どちらにしろ、私たちは勝利したのだ。
私たちはコーラリアの魔法により、王都へと帰還することになる。*
 
(34) 2026/07/19(Sun) 23:19:41

【人】 女戦士 ツルギ

 
──魔王に勝った。
その後は文字通りお祭り騒ぎ。色々こっちでもあったみたいだけど、ひとまずの危機が去ったってことでお祭り騒ぎの大盛り上がり。
アタシたちは正装して、王都の大通りを凱旋パレードしたりしてね。
勇者サマは第二王子で、次期王太子?なんて噂もあったけど………………ウン。
本人のやる気はともかく、それは無さそう。
 
だってさ。
 
勇者サマ、いきなり打ち込んだんだよ。
王様と王妃サマに第一王子様に上流貴族が勢揃いの王との謁見の間でさ。
 
 
『俺は聖女セレスティアを妻に迎える!』
 
 
とか、セレスの腰を抱き寄せながら。
 
(35) 2026/07/19(Sun) 23:34:21

【人】 女戦士 ツルギ


いや〜、なんつーか、阿鼻叫喚よ?
免疫のないセレスは真っ青になってオロオロしてたし。
あんな男でもコーラリアは初心だからさ、あの子なりに心を寄せてたのに選ばれなくて真っ赤になったり真っ青になったり。なまじ、セレスがそんな事を望むわけないって分かってるから、コーラリアも怒るに怒れず、感情の行き場を無くしてた。
アタシ? まあ、勇者サマとは相性良かったけどさ。アタシの場合は本当にそれだけ。
一族的に"強い男の種を仕込む"って価値観だから、子種さえ貰えれば別に良いかな?だけど。
 
でも、何より大慌てだったのは王様たちだった。特に王様。
息子の勇者サマは自信満々だし、でもそれならそうなのか……?とセレスに「聖女もそれを望むのか」と尋ねたらセレスは勿論泣きそうな顔で(いや、実際半泣きだった)首を横に。
そんなセレスを見て「照れてる」だの「愛やつ」だのやってるから、あっちゃーって感じで。
 
最終的にはセレスが切れた。
 
(36) 2026/07/19(Sun) 23:34:45

【人】 聖女 セレスティア

 
「ゆ、勇者様はツルギと男女の仲でしょう!?
 コーラリアともキス以上の事をしていたのを知っています!
 私はそんな不誠実な方との婚姻なんて考えられません!」
 
(37) 2026/07/19(Sun) 23:35:23

【人】 女戦士 ツルギ

 
──ってね。まあそりゃそうだよね。
セレスにバレてないと思った?それとも妬かせる為?気をひくため?
『嫉妬しているのか、可愛いy』とか言い始めたから流石に間に入って仲裁した。
そして、王様は改めて私たちに魔王退治の褒章に何を願うのかを聞いてくれたんだ。*
 
(38) 2026/07/19(Sun) 23:35:44

【人】 聖女 セレスティア

 
「村に帰り、静かに暮らしたいと思います。
 神殿がなくても、祈りを捧げることはできます。
 村で治癒師として暮らして行きたいのです。
 
 ──できる限り。」
 
 
そんな願いを口にして、私は王様に深々と頭を下げた。
勇者様は何か言おうとしていたけれど、王様には逆らうことなく、私はその願いを叶えるべく馬車に揺られて帰路についている。
 
このまま静かに暮らしていけるかはわからない。
皆に存在も顔も知られてしまったから、村が私のせいで騒がしくなるかもしれない。
勇者様──第二王子様の横槍が何か入るかも。
色々なことが既に対処されてるとは知らない私は、ガタゴト、馬車に揺られて。
 
(39) 2026/07/19(Sun) 23:44:46

【人】 聖女 セレスティア

 
馬車が止まったのはどこだろう。
馬車から顔を覗かせた時、私が見たものは。**
 
(40) 2026/07/19(Sun) 23:45:29

【人】 準魔王 マラク

 ――旅の途中、思案した。
『この力をもってセレスティアに同行すれば良いのではないか』、と。
それに対して浮かび上がる問題は多種多様あり、最も大きなものとしてはあの勇者は決してそれを是とすることはないであろうということだ。
これは確信に近しい考えであり恐らく事実そうなったであろう。
不死隊は強いが術者である自身の戦闘能力は然程に向上してはいないのだから狙い撃ちされればそこまで。
戦闘中であっても常に後背を意識しなければならなくなる。

 もう一つは勇者は魔王への特攻兵器であるが力量に差があればそれも無為である可能性があった。
>>31勇者一行も成長しなければならずその機会を奪ってはならなかった。
『勇者だけが魔王を倒せるのでなければ』と何度忌々しく思ったことか。
魔王は勇者にとっての免罪符であり、お守りであることは自身から見れば明白だった。

 故に――自身に出来たことは無限に思える魔王の魔力を削いでおくことと、セレスティアを執拗に狙う四天王の一柱を撃破することくらいであった。
>>32魔王を倒したのはセレスティアたちの旅の成果であろう。
それでも十二分に強いあたりは流石魔王であるのだが――>>33『愛の力』という陳腐な、英雄譚でしか耳にせず自身の口で発すれば恥ずかしい想いをしそうな言葉を思い浮かべることができたのは唯一魔王だけであったのだろう。

 もしもその話を聞く機会があるのならば、魔王だけは唯一の理解者であったのだと悟るのだろうか。
(41) 2026/07/20(Mon) 6:35:00

【人】 準魔王 マラク

 ――木工師の帰還。
誰にも知られることもなく、誰にも称えられることもなく。
自身が為すべきことを為したことで村に戻った。
数年ぶりの村は変わらぬ様子であり精悍な青年となった自身の帰還を両親は喜んでくれた。
対外的には『木工師としての修行のために旅に出ていた』ことになっているらしい。
残念ながら外法の錬金術は覚えたが木工師の腕前は一切上がっていなかったので一から父に教えてもらうことになった。
錬金術の教えが活きたのは理を解することができるようになったことだ。
物事を覚えることが早くなり文字通り好青年となった。

 セレスティアが戻るまでには暫しの時間があった。
魔王の城から王都まで戻る時間、>>35凱旋パレートに祝勝祭は連日続いたことだろう。
それが終わるまでは戻ることは流石にできまいが、>>36阿鼻叫喚な場面は民草に伝わることはなかったのは幸いであったろう。
吟遊詩人が謳う英雄譚が途端に陳腐になってしまい、王家の威光も何もかもが地の底に落ちてしまうであろうし何よりも――その様なことがあれば第二の魔王が確実にこの国を、神殿を、滅ぼしにかかるであろう。
(42) 2026/07/20(Mon) 6:35:16

【人】 準魔王 マラク

 >>37勇者がセレスティアを手籠めにしなかったのは僥倖であったろう。
やつにとっての守護神、いや守護魔王はやつ自身の手により葬られた。
つまり最早勇者を守る存在は何もなく、第二の魔王に対しては勇者は特攻能力を有さない。
逆に減ることもなく不眠不休で飲食不要の万の兵は人間にとっては最悪の敵なのだ。
>>39横やりを入れぬように王は必死になるであろう。
勇者が魔王を生み出したなど洒落にもならない話は物語だけで十分だろう。

 ――セレスティアの帰還。
村長の元にセレスティアが帰還するという報が届いたのは祝勝祭などの催しが終わってからだろう。
神殿でも儀式があったであろうしそれらから解放された後の話か。
(43) 2026/07/20(Mon) 6:35:24

【人】 準魔王 マラク

 >>40セレスティアを乗せた馬車が村の入り口に止まった。
馬車から顔をのぞかせ見えたのは村人総出での歓迎であった。
一番前には形式的に村長が、そのすぐ後ろにセレスティアの家族が居り――。

 あの日、別れ際に会えなかった少年が成長したであろう精悍な青年はそのすぐ横で、セレスティアを見ると心の底から安堵したように柔らかく微笑み手を振る姿が見えただろう。

 馬車から降りれば形式的に村長が迎えの言葉を述べるだろう。
それが終われば家族が声をかけていき、その次に自身が歩み寄り――。

「おかえり、セレス」

 そう伝えて人前も憚らずにその身を抱きしめた。
(44) 2026/07/20(Mon) 6:35:35

【人】 準魔王 マラク

 そうして村人全員の前で抱きしめたのは問題はあったろうか。
いや生まれた時より知るのだから周囲はあらあら、まあまあという風であったか。
周囲は勝手に婚姻はいつにするかなど囃し立て別の意味の祝賀モードに入ろうとしていたが――自身がセレスを離すことはなかった。

「あとで、二人きりで話をしよう」

とどうにもならぬ程になればようやく囁いたが**
(45) 2026/07/20(Mon) 6:36:53

【人】 大聖女 セレスティア

 
王都でのパレードに一週間。
王都の神殿で祈りを捧げ、魔力を込める。
本当はまっすぐに村に帰りたかったけれど、その前にできる限りのことは、と少し遠回りをして各地の神殿で祈りを捧げ魔力を込める。
瘴気の残る土地は浄化し、怪我や病に苦しむ人たちを癒やし、そうしてまた次の土地へ。
それは神殿側の願いであり、王からの願いであり、けれど私自身の願いでもあった。
本神殿や聖都に留まることはしたくない。
もしそうするならば、せめてマラクと再会してから。マラクが一緒に来てくれるか、この想いが報われない時。
でも一番は、以前の通りに平凡な娘として暮らして行くこと。
そうできないことは薄ぼんやり分かっていたから、せめて村に戻るまでにできる限りのことはしてあげたかった。
だから、私が村にたどり着いたのは1ヶ月半ほどかかってからだった。
 
ドキドキと心臓が煩くなる。
村長や家族たちが私を出迎えてくれ、歓迎の言葉をくれたり頭撫でたりしてくれた。
思わず顔が綻ぶ。
背はほとんど変わらない。けれど娘らしい体つきになったのは、抱きしめられなければ多分分からないことだけど。
『大きくなったわね』『立派になったわ』
そんな風に受け止めてくれる家族の言葉が、とても嬉しい。
 
そして、マラク。>>44
背が伸びて、精悍な顔つきになっていた。
けれど彼を見間違うことなんてない。
夢で出てきた彼は私の記憶を利用したものだから今より細く背も低かったけれど、……男の子ってこんなに背が高くなるもの?
驚きに一瞬目を見開いて。
でも、嬉しさに顔を綻ばせて。
 
(46) 2026/07/20(Mon) 11:24:24

【人】 大聖女 セレスティア

 
「ただいま、マラク。──やっと、帰れたの。」
 
 
抱きしめてくれるマラクに合わせて。
私も腕を伸ばしてしがみついたから、周りから歓声が上がる。
あらあら、まあまあ、といった反応と一緒に冷やかすような声。>>45
でも、だって、ずっと会いたかったんだもの。
だからこれは、私へのご褒美。
 
(47) 2026/07/20(Mon) 11:24:50

【人】 大聖女 セレスティア

 
婚姻だのなんだの、周囲は勝手に盛り上がる。
それに私は頬を赤くして、でも否定はしない。その代わりにチラリとマラクの様子を伺った。
妹扱いされていないだろうか。
彼ばかりが成長して好青年となり、対して私はあまり成長した、とは思えなかった。
胸ばかりが大きくなり、背丈には反映されなかったもの。ツルギやコーラリアと較べても幼なげな顔つきで、だからこそ勇者様も手を出さなかったように思う。
──それでも妻にと言うのは、手を出し損ねたからなのか、それとも成長を見込んでのことなのか。今となっては知りたくもないけど。
今の私に重要なのは、マラクがそれを迷惑に思っていないか。
マラクのことを好きになる女の子はきっとたくさんいる。
なのに、私は変に有名になってしまって。
断りにくくさせていないか。
ただの幼馴染なだけではないか。
そんな不安が頭をもたげたけれど。
 
(48) 2026/07/20(Mon) 11:25:42

【人】 大聖女 セレスティア

 
「……! うん、後で……ね?」
 
 
マラクの囁きに>>45私は目を丸くして息を飲み、次いでふにゃりと頬を染めたまま目元を緩める。
いろいろ話したい。ううん、話さなくても良い。隣にいて、マラクと手を繋いで空を見上げられたら。
 
(49) 2026/07/20(Mon) 11:26:10

【人】 大聖女 セレスティア

 
けれど、二人きりになるのはなかなか難しい。
村では私の期間に合わせて祝賀会が開かれていたし、近くの村や町からも人が来てしまって。
色んな人が挨拶しに来てくれるのを、私は聖女の姿で出迎えて挨拶を返す。
出来ればマラクに隣にいて貰って、人が途切れるとやっと飲み物を口にしたり、懐かしい村の料理に舌鼓を打ったりして賑やかな雰囲気を楽しんで。
 
夜が更けても終わらないそれを、疲れを理由に切り上げた。
本当に少し眠い。お酒を飲んだら本当に寝てしまいそう。
 
(50) 2026/07/20(Mon) 11:26:33

【人】 大聖女 セレスティア

 
「マラク、……お話、どうする?」
 
 
今夜のうちにするなら、どこなら二人きりになれる?
それとも明日の方が良いかしら。
まだ遠くに大人たちの賑やかな声を聞きながら、私はマラクの顔を覗き込んだ。**
 
(51) 2026/07/20(Mon) 11:26:50

【人】 準魔王 マラク

 >>46もしもセレスティアが共にと願ったならば自身は迷うことない。
今度こそ最初から共に旅に出よう。
如何なる苦節も喜びも分かち合い、可能な限り笑顔であれるようにしよう。
勇者から解放され信じていた通りに村に、いや、自分の元に戻ってきてくれたのだ。
何をおいても彼女の想いは叶えてあげたい。

 それにしても――と。
>>48あの日別れた頃とあまり変わらぬ背丈の身を抱きしめて思案する。
あの日勇者が語った言葉には一つ真実があった。
妙なところに力をもっているものだと感心してしまうのだが、なるほど胸が大きくなっている。
確かにセレスティアの母も胸が大きいのだが見事にそれを受け継いでおり、抱きしめたことでそれを理解してしまう。

 空を見上げる。
嗚呼、と感嘆の声が出そうだ。
悲しいかな、男児から青年へと成長したことで覚えてしまった肉欲をセレスティアに抱いてしまう。
恋心は既に恋い焦がれるほどに想いつめていたが抱きしめれば良い香りがし、再会で愛おしさが溢れる中でも欲を抱いてしまう自身を気持ち悪がられはしないだろうかと不安になる。

 確かに村に戻れば幼かった女子が色目を使ってきたりしていたが此方はセレスティアを想うあまりに勇者に挑み、魔王と戦った身である。
一切色欲を覚えておらず袖にしていたのだが――。

「ああ、後でね」

 >>49セレスティアが快く受けてくれたならそれでも頬を綻ばせて笑みを浮かべられるのだから不思議なものだった。
(52) 2026/07/20(Mon) 15:01:20

【人】 準魔王 マラク

 後でと約束をしたものの>>50セレスティアはあまりにも人気であった。
いや、セレスティアではなく『聖女』の方であったか。
望まれるままに隣に座りにこやかに座すが不埒にも粉をかけようとする男が近寄れば生かして帰さないという勢いで威圧をする姿があったが隣に座るセレスティアには見えないようにしておいた。

 用意した飲み物は昔は特別な日しか飲めなかったものだ。
森で採れた果実を搾ったものだが旅路の間にはもっと美味しい飲み物も多々あっただろう。
懐かしの料理はセレスティアの母やマラクの母が共に作ったもので年明けに用意されるものであったり、誕生日にだけ用意されるものが揃っていた。

 ふと横を見ればうとうととしそうなセレスティアの姿。
>>51覗き込まれ問われれば微笑みながら頷いて村長に席を離れることを伝えよう。
セレスティアが疲れているようであるからと断りを入れて、それでも村では珍しい宴は夜通し続いていくだろう。
(53) 2026/07/20(Mon) 15:01:32

【人】 準魔王 マラク

 祝賀会から離れ二人で夜道を歩く。
セレスティアと手を繋いでのんびりと。
空を見上げれば王都などとは異なり灯りの乏しいこの村では星がよく見える。

「昔は、一緒に星を見上げていたよね」

 収穫祭の夜など、夜も出歩ける日はそうしていたと想い出を語る。
話をしながら辿り着いたのは村で一番大きな樹の下だった。
其処の原っぱに寝ころび空を見上げていたのは昔のことだが――。

「セレス」

 樹の下で立ち止まり、名を呼ぶと向き合って立つ。
月明りに照らされたセレスティアは確かに聖女にしか見えないのだろうが、
自身にとっては幼馴染であり、想い人であり――。
(54) 2026/07/20(Mon) 15:02:00

【人】 準魔王 マラク

「僕はね、セレスのことが好きだった。んだと思ってる」

 あの日、勇者により強制的に気づかされた想いだ。
本来ならば二人で時間をかけて紡いでいくはずの想いは片思いのままに膨れ上がり続けた。

「セレスと別れている間も、毎日ペンダントに祈ってた」

 無事であるように、辛い想いをしないようにと願っていた。
手を取ったまま膝をつき、逆転した視線の高さの分セレスティアを見上げる。

「今も、変わらずに好きなままだ。
いいや、大好きで、何よりも愛している」

 懐から取り出すのは短い期間であるが必死になり習得した木工の業で作った木の指輪だった。
もっと豪奢な指輪は数多あるだろう。
しかし、セレスを想い、セレスのためだけに作られた世界で唯一無二の品である。
指輪に描かれているのは月桂樹の模様。

「僕の花嫁となってほしい」

 もう、誰にも奪われたくはないと強く想う。
漠然としていた想いは明確に。言葉にして伝えよう。

 ――ただ、指輪に使われている木が魔王の城付近にあった大樹のもので魔力が宿っていたりするのだが気づかれれば入手経路を怪しまれたりはしそうではある。**
(55) 2026/07/20(Mon) 15:02:52

【置】 大聖女 セレスティア

 
人にある、肉欲は理解している。
けれどそこに微かな嫌悪感があるのは、勇者様との旅のせいだ。
肉欲がなければ生命の営みにつながらない。けれど、肉欲に溺れて秩序も愛も契約も何もないままなら獣と同じだ。
勿論、職業としてのあり方はわかる。それはお金の為、生きるために必要なことなのだと理解できる。
ツルギの一族の『強い男の子種を得る』と言う一面も理解はできる。彼女の一族は女子供だけで暮らす一族で外部から新たな血を取り入れるから。
だから、ツルギが勇者様と──は、理解ができた。私とは違う常識なのだと言うことも。それにしても、聞こえてしまう場所、見えてしまう場所ではしないで欲しかったけれど。
でも、コーラリアが勇者様と唇を重ねていたのは──、嗚呼、これがW惚れた弱みWなのだと、旅の中で理解できた。
恋情と肉欲は似ているようで違う。
恋しているから許してしまう。
恋しているから許せない。
その間で揺れ動くコーラリアの話をよく聞いていた。
泣いている彼女の涙を拭ったのは一度や二度じゃない。
 
 
『セレスティアは、恋をしたことがある?』
 
 
涙を拭いた彼女にそう聞かれたことがある。
私は、少し驚いた顔をして。
 
(L0) 2026/07/20(Mon) 20:45:01
公開: 2026/07/20(Mon) 20:50:00

【置】 大聖女 セレスティア

 
「──早く、会いたい。
 早く、村に帰りたい。
 
 ……待ってるって、言葉を、信じてる。」
 
 
涙を滲ませた私を、コーラリアが抱きしめてくれた。
涙を拭う側になった彼女は、とても優しい女性だった。
あの頃、私は不安だった。
 
人に肉欲があるのは理解している。
それに、私が生きて帰れるかも分からない中、マラクは本当に待っていてくれる?
妹みたいに思われていたなら。あれは恋心ではなかったかもしれない。
村で待っていてくれても、他の誰かと結ばれているかも。子供もいるかもしれない。
肉欲の果て、一夜の過ち──そんな事、する人ではないとは思っていたけれど。
でも、人はいつ過ちを犯すか分からない。
自分たちはある程度の自衛ができるようになった。けれど、マラクはただの木工職人。もし、マラクのことがどうしても好きになった子が、薬を使ったら?お酒の勢いもあるかもしれない。
 
私にもあまり自覚はなくても肉欲はあるんだろう。
成長したマラクにもきっと。
 
(L1) 2026/07/20(Mon) 20:46:02
公開: 2026/07/20(Mon) 20:50:00

【置】 大聖女 セレスティア

 
──それが少し、怖かった。
マラクが私の全然知らないマラクになってしまっているんじゃないかって。
他の誰かと結ばれて、家庭を作ったりしてるんじゃないかって。
だから、私はコーラリアの腕の中で少し、泣いた。
 
遠くにいるマラクには、祈りを捧げることしかできなかったから。*
 
(L2) 2026/07/20(Mon) 20:46:34
公開: 2026/07/20(Mon) 20:50:00

【人】 大聖女 セレスティア


旅の最中では美味しいものも豪華なものも、不思議なものもたくさんあった。
けれど、私はやっぱりこの村が一番好き。
この村のものが一番落ち着く。
だから、前なら年明けや誕生日の時くらいしか口にできなかった料理や飲み物>>53に私の頬は緩みっぱなしだった。
それでも見知らぬ人が来れば背筋を正し、穏やかな顔を作る。聖女として教えられた立ち振る舞いは、今後誰かに目をつけられないようにするためにも必要だろう。
主に貴族だとか、商人相手には尚更だ。
時々私の隣を見て青ざめる姿があったけれど──振り返ってマラクを見ても特に何もなさそうだったから、何だろう?
酔って幻覚でも見えたのかしら?
 
 
そんな宴から離れて、昔みたいに手を繋いで歩く。>>54
手の大きさにドキドキしてるのは私だけかしら。昔と変わらない道なのに、確かに流れてしまった年月を感じる。
 
(56) 2026/07/20(Mon) 21:13:08

【人】 大聖女 セレスティア

  
「うん。流れ星が見えると願い事をしたりね。
 あの頃は美味しいものが食べたいとか
 子羊が元気に生まれますようにとか
 そんな事をお願いしてた気がする。」
 
 
村の中のことしか知らなかったから、村の中の平和を願った。
そんな私が、魔王退治の仲間に選ばれそれを果たした。
でも、私は変わらない。変わってない、つもり。
大聖女と呼ばれるようになっても、村を離れて数年経っても。
私の本質は変わってない。
ただ、マラクに恋する女の子だ。
 
──そんな私に、何を話してくれるんだろう。
期待と不安が入り混じる。
村一番の大きな樹。月明かりが二人を照らしている。
向かい合うマラクはとても素敵で──。
 
 
「……っ。」
 
 
マラクの告白>>55に息を呑む。
頬がみるみるうちに赤く染まり、本当に?と疑うのではなく、純粋に驚きで信じられなくて言葉を失っていた。
私の前に膝をつくマラクを見下ろして口元を抑える。
差し出された指輪は木製のもの。木工職人の彼らしい作品と、求婚の言葉。
私の目に涙が浮かぶ。
 
(57) 2026/07/20(Mon) 21:13:53

【人】 大聖女 セレスティア

 
「私も、毎日マラクの御守りにお祈りしてた……。
 最後の戦いで私を守ってくれたのは
 マラクのお守りだったのよ。
 私も、村を離れる前からずっと
 マラクのことが……大好きだった。」
 
 
声が震える。
両手を伸ばしてマラクに近づき、彼の頭をそっと抱きしめた。
そして、額にそっと唇を触れさせる。
大好き。愛しい。嬉しい。──でも。
 
 
「……謹んで、お受け致します。
 でもね。
 マラク、無理はしないで。

 ──その指輪の素材。どうやって?」
 
 
その素材に込められた魔力に見覚えがあった。
コーネリアが、この木で杖を作ったら魔力がよく練れそうだとぼやいていたから。
魔力の込められた素材は高価になる。
だから、入手経路が不安だった。
 
まさか、自分で手に入れたなんて知らないから。
ぎゅ、と頭を抱き寄せれば胸を押し付けてしまうけれど。
 
(58) 2026/07/20(Mon) 21:14:36

【人】 大聖女 セレスティア

 
「無理してなければ、嬉しいの。」
 
 
無理してないかだけが、心配。**
 
(59) 2026/07/20(Mon) 21:14:51

【人】 準魔王 マラク

 >>56自身には複数の顔がある。
一つはセレスティアに向けるもので、もう片方はセレスティアを害する者に向けるものだ。
それで言うならば家族やセレスティアを大切にする者に向ける顔やどちらでもない相手に向ける顔もあるので既に四つの顔があるらしい。

 貴族であれば殊更に商人であれば耳ざとい者であれば自身のことは知っていよう。
片や聖女を謀る者を問答無用で下していった者として、片や数多の盗賊団を壊滅させた者として異なる顔を見ていただろう。
共通するのは『何故こいつがここに』と感じるくらいだろうか。

 尤も、それらはセレスティアには生涯見せることがない顔もあることは確かだ。


「懐かしいな……」

数年離れてしまっていた。
子どもから大人への移行期は多感であり実際の刻の流れよりも遥かに長い時間別れていた気がしてならない。
懐かしむようになった記憶を『過去』と人は定義するであろう。
(60) 2026/07/21(Tue) 6:55:16

【人】 準魔王 マラク

 >>57そのことを無常に感じれば、嗚呼、とまた吐息を零してしまう。
あの日勇者に勝てなかったと出来もしなかったことを悔やむことは愚かなことであろうが、それでも思わざるを得ないのだ。
掛け替えのない時間。
その時間をただ想うことしかできなかった。

 そして、その想いを今、伝えた。
女性経験のない身であり、今は灯が少ない時間。
頬が染まるのは微かにしかわからぬし応えのない時間は全身が凍てついた感じがしていた。
目に涙まで浮かべば困惑したように眉根を下げてしまうが、>>58その言葉を聞ければ先ほどとは別の意味で、嗚呼、と感嘆の声を零した。

「ごめん……それを聞けて、とても嬉しく想ってしまうんだ。
最後の戦いのことはよくわからないけれど……。
僕のお守りがセレスを護ってくれたなら、本当に……」

 男らしくもないと言われるかもしれないが、どうしてか勝手に涙が零れてしまう。
自身はセレスと共に歩むことはできなかったが、確かに自身はセレスと共に在れたのだと感じれた。
報われた、と言っても良い。
(61) 2026/07/21(Tue) 6:55:28

【人】 準魔王 マラク

「……セレス?」

 頭を抱きしめられると額に優しく柔らかな感触が残る。
瞼を瞬くがどうしてか、強く抱きしめられれば衣装に隠された場所を意識させられる。

「嬉しいよ、ありがとう……」

 求婚は受け入れてもらえたのだが指輪の素材の方を気にしているらしい。
そっとセレスの腰へと手を回し今度はこちらからも抱きしめる。
胸に顔を埋める形だが顔をあげて瞳を見つめる。

「無理は、していないよ」

 ――嘘である。
セレスを追いかけ、影から護るために生命を賭した。
勇者でもない身で魔王と死闘を繰り広げるという暴挙も行った。

 それでも、――目を細めて微笑みかける。

「それはね、修行中に貰ったものなんだ。
親切な人が、持っていけって」

 いつかこの嘘を見破られる日が来るだろうか。
嘘であると知った時、セレスはどう想うだろうか。
しかし、しかしだ。
心身ともに疲れているであろう現在を穏やかに過ごしてほしいと、願う。

 ぽん、ぽん、と背中を優しく叩く。
(62) 2026/07/21(Tue) 6:55:43

【人】 準魔王 マラク

「あの……さ」

 セレスティアは心の底から心配してくれている。
そのことが嬉しくもあり、心苦しくもある。
だから――。

「セレス、僕も、男だからさ……。
あんまりされると、抑えれなくなる、かな」

 今しがた求婚をし、受け入れてもらったばかりである。
そこで恐らく勇者によりデリケートな部分になっていそうな肉欲のところに触れたくはないが――、しかし確かに欲情してしまうのだと、知ってはいてほしくもある**
(63) 2026/07/21(Tue) 6:55:52

【人】 大聖女 セレスティア

 
片思いから、幾つもの段階を飛び越えての突然のプロポーズ。
きっと村にいたのなら、様々な出来事があったんだろう。
 
私の方から告白していたかもしれない。
祭りの最中にこっそり抜け出して、空を見上げるだけできっと幸せで。
背が高くなっていくマラクに置いて行かれたような気になったり。
下の子達にからかわれたり、大人達に見守られたり。
胸が膨らんでくる事も、もう少し喜べた筈。旅の間は邪魔だったし、勇者様の視線が少し嫌で隠したかったから。
それとも、村でも恥ずかしくて仕方がない?
でも何かあれば母さんに相談して。
他の子に優しくするマラクにヤキモキしたり?
そんな事を想像しないわけじゃない。
マラクがそばにいたら。村に戻れたら。
そんな気持ちは旅の間に常にあって、私はそのために旅を続けていた。
 
でも、旅を乗り越えたからこその今があって、プロポーズされて。
私はマラクの涙を拭う。>>61
待っていてくれた。お互いにあの頃とは変わっているけれど、待っていてくれた。私への気持ちと共に。私の気持ちを、待っていてくれた。
きっとそれだけで十分なんだ。
 
(64) 2026/07/21(Tue) 8:30:18

【人】 大聖女 セレスティア

 
腰を抱きしめられる。>>62
胸元から顔を上げられ至近距離で視線が重なった。
親切な人とは誰だろう?
でも、それを否定する要素なんてない。
説明してくれなければ。魔力などの力が漏れ出ていなければ。
私から見たマラクは、ただの村に住む純朴な好青年で、ずっと私を待っていてくれた幼馴染で、大切な指輪を作ってくれた木工職人なのだから。
 
(65) 2026/07/21(Tue) 8:30:53

【人】 大聖女 セレスティア

 
「それなら、よかった。
 その木には魔力が宿っているから
 素材を買うにしろ高額だったんじゃないかって。
 なら、指輪……嵌めてもらっても良い?」
 
 
そんな事を、ホッと息を吐いてから微笑んでお願いした、その後だったと思う。
抑えられなくなる。>>63
その言葉にパチリと目を瞬かせた。
そして、……自分の胸に顔を埋めさせてしまっている事にはたと気づいて、パッと両手を離す。
一歩離れて、ふいっと顔を背けて……もちろん顔は真っ赤なのだけど。
 
 
「……………。」
 
 
チラ、とマラクを見る。
こうして距離を取るのは、そう、何を?と言えないくらい、抑えられなくなるソレが何かを察してしまうくらいの知識は有しているという何よりの証なのだけど。
 
少しだけ、近づく。
もう少しだけ近づいて。
マラクの指先をキュッと握りしめる。
 
ふい、とまた目を逸らした。
 
(66) 2026/07/21(Tue) 8:31:20

【人】 大聖女 セレスティア

 
声が、掠れる。
一度マラクに向き直ったけれど、視線が彷徨った。
足元を見て、顔を見て、また下を向いて。
でも。
 
 
「……キス、は、してほしい……
大丈夫?

 
 
眉を下げながら彼をまっすぐに見上げる。
尋ねた後、少し唇を引き結んだ。
彼を見上げた姿勢で、そっと瞼を下ろして。**
 
(67) 2026/07/21(Tue) 8:33:36

【人】 準魔王 マラク

 セレスティアが戻るまでの間、思案を続けていた。
>>65しかしいくら考えても普通に暮らすには得た知識は『無かった』ことにする方が好ましかった。
知られてしまえば語らなかったことに対して心を痛めてしまうかもしれないが幸いなことに外法の錬金術は魔法のようでありながら魔力や神聖力の類ではない。
最も真実に近づき知っていた者は勇者に倒された。
自身さえ胸の内に秘めていれば望む限りの間は普通の村人として暮らすことができるのだ。

 その選択肢を選ばないことなどありえないだろう。


「そうなんだ?
持っていた素材の中で一番良さそうに思えたんだ。
高いなんて知らなかったよ」

 事実である。
魔物を倒したことで他にも大量に素材はあるが素材の価値に興味はなかったので死蔵してある中からセレスティアに贈る指輪に一番良さそうなものを選んだだけであった。
(68) 2026/07/21(Tue) 11:59:37

【人】 準魔王 マラク

「勿論、手を……」

>>66自身の望みを望んでくれる。
その通りにしようと手を取ろうとしたところで口は災いというべきか。
するりと離れてしまったセレスティアを唖然とした表情で見つめてしまう。
やはり気づいていなかったのだろう。
チラと見られると困ったように苦笑を浮かべると同時に安堵をしていた。
勇者は手を出さなかったのだ、とその反応で理解することができた。

 離れたことで立ち上がれば恐る恐るという感じで近づき直してくれる。
自身は動かずに手を差し伸べるだけだ。
指先を握られれば優しく手招きするように手のひらの上に手を招き、手のひらの上に乗せた手に上から反対の手を重ねる。

 気まずさはある。
全ての過程をすっ飛ばしてしまったことと、恐らく勇者によるセクハラの数々での忌避を覚えていることを想像することは容易すぎることだ。
(69) 2026/07/21(Tue) 11:59:46

【人】 準魔王 マラク

 >>67視線の動きを追う。
逡巡しているのだろう、悩んでいるのだろう。
その動きを追い続け、まっすぐに見つめてくれれば柔らかく微笑み返す。

「ええと……、うん、大丈夫。
ごめんな、女の子に慣れてないんだ」

 一心不乱に過ごしてきた。
女性の気配など皆無の血と汗の道を歩んできた。

「僕も、ちゃんと結婚してからって思ってる。
ただ、僕にとってセレスは、その、……」

 唇を引き結び、瞼を閉じてくれる。
委ねてくれている。

「……大丈夫」

 そう囁いて膝を折り、腰を落とす。
丁度良い高さまでくれば少しずつ顔を近づけていく。
次第に呼吸の音が聞こえてくる。
震える瞼が見え、麗しい唇が今にも触れそうな距離に近づく。
(70) 2026/07/21(Tue) 12:00:12

【人】 準魔王 マラク

 少し、鼻先が擦れてしまったので小首を僅か傾げて鼻筋をずらし――。
そっと、唇同士を触れ合わせた。
作法も何も知らない。
如何ほどの長さ触れ合って良いのかもわからない。
ただ、伝わってくる温もりと柔らかさは離れがたくこちらから離れることはできそうになかった。

 唇が離れるのはセレスティアが合図をするか離れた頃だろう。
吐息を零し、止められなかったことに気まずそうに視線を彷徨わせる。

「そう、その、すごかった。
いくらでもキスしたい、と想ってしまうくらい。

嗚呼、ダメだな。
大丈夫と言ったのにな……。

セレス、手を……」

 そうして、改めて左手を取る。
そうして薬指に指輪を嵌めよう。
将来の、恐らく遠くない先だが結婚を約束することを誓おう**
(71) 2026/07/21(Tue) 12:01:07

【人】 大聖女 セレスティア

 
マラクは戸惑う私の動きを待っていてくれた。>>69
手が包み込まれる。暖かくて、嬉しくて、でもとても緊張もしてしまう。
でも、女の子に慣れてない>>70と言われて少し嬉しくなってしまった。
ホッとした、と言う方が近いかもしれない。
だって、──慣れてたら、哀しくなるもの。
置いていってしまったのに、置いて行かれる気持ちになる。
あの男勇者様の姿がチラついてしまうかもしれないから。

我儘かもしれないけれど、マラクには私と一緒に進んでほしいと思ったの。
今まで離れていたけれど、これからはずっと。
 
それにしても、僕にとってセレスは?
……聞きたいけれど、キスを求めてしまったから。
その答えはいつか聞くことができるかしら?
 
 
瞼を下ろしている分、マラクがどう動いているのかわからない。
でも少しずつ、吐息が聞こえるようになる。
私の呼吸も聞こえてしまう?と、息を潜めて。
鼻先に感触。ぴくりと体が震えたけど、次の瞬間には唇同士が重なった。
柔らかで、熱くて、喜びが胸の裡に溢れてくる。
伸ばした指先は自然とマラクの胸元に添えられて、睫毛の先が少しだけ震えた。
 
(72) 2026/07/21(Tue) 21:56:59

【人】 大聖女 セレスティア

 
「ん、………っ。」
 
 
──なるべく呼吸をしないようにしていたのは、鼻息を聞かれたら恥ずかしいから。
でも、ドキドキと心臓が高鳴る中、最低限の呼吸ではだんだん苦しくなってくる。
それに、長いような気がする。人のキスシーンを長々と見たことはないけれど、婚姻の誓いのキスは一瞬だった。それは確かにそうだった。村でも婚姻の宴はあるし。
 
 
「ふ、………っ、…………ん………。」
 
 
とうとう、呼吸が苦しくなって。
胸元に添えた手でテシテシと軽く叩くと、やっと唇が離れた。
息を大きく吸いながら、マラクの胸元に縋り付く。
 
(73) 2026/07/21(Tue) 21:57:28

【人】 大聖女 セレスティア

 
「はあ……っ、ふ、……だめじゃ、ないけど……。
 私もキス、嬉しかったもの。
 でも、その、……ごめんね?
 息継ぎが難しくて、終わらせちゃって。
 今度はもっと上手くしたいな……。」
 
 
呼吸を整えて、姿勢も正す。
そうすれば今度こそ、未来への誓いが私の指先に宿った。
左薬指の感覚に目を細め、頬が緩む。
マラクの指先に自分の指を互い違いに絡めて繋いで。
 
(74) 2026/07/21(Tue) 21:58:17

【人】 大聖女 セレスティア

 
「頑張って、花嫁衣装作るから。マラクのマントも。
 今度は隣で待っててね、マラク。
 
 ──たくさん待っててくれたから
 何よりも優先して、作るから。」
 
 
村では花嫁の衣装は母と娘とで作るのが普通だった。王都や貴族はまた別だけれど。
また、花婿の纏う衣装の中、マントは花嫁が刺繍を施すのだ。
祈りや願いを込めた模様を丁寧に、けれどできるだけ早く作り上げたい。
そんな決意を口にして微笑んだ。
そして、彼の手を少しだけ引いて。
 
(75) 2026/07/21(Tue) 21:58:44

【人】 大聖女 セレスティア

 
「……おやすみ、マラク。」
 
 
そう囁いて、手を離す。
そのまま背を向け実家のある方向へと歩き出す。
──頬の熱も胸の動悸もおさまらないまま。**
 
(76) 2026/07/21(Tue) 21:59:15

【人】 準魔王 マラク

 本当に、セレスティアの一挙手一投足が愛おしい。
>>72息を潜めてしまうところや身体が震えるところ。
嗚呼、あの勇者に染められていなかったことがこれほどに嬉しいとは。
>>73長らく続く口づけの合間に聞こえてきたくぐもった声。
胸元に縋りつかれればその分抱き寄せよう。

「嬉しかったんだ……嬉しいな」

 触れ合わせていただけの口づけでそう言ってくれる。
照れくさそうに微笑んでしまう、喜びを隠せそうもない。

「ううん、良いんだ。
また、今度も、できるんだから」

>>74次もまたと望んでくれる。
指を絡めあえば優しく握り、繋がる。
本当に、嬉しいことしかなくてにっこりと微笑むばかりしかできない。
頬が攣ってくるようで、熱くなっていく。

「それなら、僕は沢山料理を用意するよ。
それと木製だけれど装飾品もね」

 村では夫となる者は婚姻の儀で食べる食事と装飾品を用意する。
村の男衆と協力するもよし、自力でもよし。
用意する食事は花嫁を一生豊かに食べさせるという意味であり、装飾品は誰よりも大切にするという想いを込める。
多ければ多い程良く、豪奢であればある程良いとされ漢気を試される場面でもあった。
(77) 2026/07/22(Wed) 3:17:19

【人】 準魔王 マラク

「うん、待ってる――」

 あの時とは異なる意味で、同じ言葉を伝える。
あんな悲しい想い出が残らぬようにと上書きするように。

 手を引かれれば素直に従い――。
(78) 2026/07/22(Wed) 3:17:37

【人】 準魔王 マラク

「おやすみだけど、セレス。家まで送るよ」

 >>76手を離すものだからと後ろから抱きしめ直す。
セレスが大変なことになっていようとは気づかぬままに、手を繋ぎ直し。
僅かでも離れようとしても離さないと伝えるように、そして誰にも奪われぬようにと家まで送り届けるのだった。
(79) 2026/07/22(Wed) 3:18:06

【人】 準魔王 マラク

 婚姻準備はすることが多い。
セレスは衣装の準備があり、対して此方は伝えた通り食事と装飾品を用意するのだが――。

「昨日は舞い上がりすぎてて……。
もう一つ、あったの、忘れてて……。
家に帰って両親に伝えたら怒られた」

 翌日セレスティアに会うと情けなさそうにそう伝えた。
祝賀会に参加した面々が潰れている中比較的元気に動いている。

「新居を作るんだけれど、場所とか、間取りとか。
どういう感じが良いかなって」

 衣食住の内、食だけではなく住も夫が用意するものである。
――のだがそこで主に家事をするのは花嫁の方である。
鳥が立派な巣を作り番に気に入ってもらうよう努めるように、
人もまた住処を作るは男であるが内装や間取りなどは花嫁の意向が重要である。

「セレスはどんな家に住みたい?」

 今日もまた、手を繋いで村を歩こうか。
どんな場所が良いか、どんな間取りが良いか。
村的にはそんな風に年頃の男女が歩いているのは『ああ、婚姻されるのですね』と宣言しているもので非常に温かな眼差しを向けられるわけであるがして**
(80) 2026/07/22(Wed) 3:19:11

【人】 大聖女 セレスティア

 
「ひゃっ!?

 あの、ま、ママママママまらく?????」
 
 
離れて帰ろうとしたら後ろから抱きしめられた>>79から変な声出た!!!
もう、村の中だし一人で帰れるのに!
真っ赤になるしドキドキするしやり返されるしで心臓は大忙し。でもね。
繋いだその手が離れないの、少しだけ申し訳なくなった。
だから私からもキュ、と繋ぎ直す。
 
こんな時間が失われたんだもの。
わたしだってもっと傍に居たかったもの。
本当は15の歳に思いを打ち明けて。
16の歳までに宴の準備ができたらって。
でも、今の私たちはもう17。
その間の期間、ただただ互いを思う日々だった。少なくともわたしはそう。だから。
 
(81) 2026/07/22(Wed) 7:59:13

【人】 大聖女 セレスティア

 
「早く、一緒に暮らしたいね。」

 
 
別れ際にそんな風にそっと、囁いたの。
家には早めに帰ったはずの私を迎えようと先に帰っていた母さんが居たものだから、マラクと二人きりでいるところはバッチリ確認されたしニコニコされてしまったのだけれど……。
 
気恥ずかしいけれど、説明の手間も省けたし良いかしら?
マラクの手を離すのを、今度は惜しむように最後まで指先を繋いで。
やっとふつりと離して、家の中へ。*
 
(82) 2026/07/22(Wed) 7:59:33

【人】 大聖女 セレスティア


 
「……新居。マラクの家に住むのではなくて?」
 
 
申し訳なさそうに翌朝迎えに来たマラクに言われて>>80きょとん、と目を瞬かせた。
お嫁入りの形になると思っていたので、新居のことはすっかり頭から抜けていたのだ。
確かに新たな家を作り、そこへ移り住んで新たな家族として……と言う形もある。ただ、私が前者だと思っていただけで。
 
 
「私は、治癒師として働くにしても両親の続けてきた診療所に通う形になるし……。
 マラクの木工のお仕事があるでしょ?
 家でお仕事するなら、作業場所は要るかしら?
 
 あっ、ちょっと待ってね?」
 
 
昨日までは旅から帰ったばかりなのもあって旅の途中で着ていた立派な装備だったけど、今日は比較的シンプルなローブと髪飾り姿。
首飾りは念の為につけて、バスケットを持ってから家を出る。
もう当たり前に手を繋いで村を歩けば、周囲から暖かな眼差しが向けられるのは…多分気のせいじゃない。
昨日の抱擁もあるし、宴から帰るためとは言え抜け出した二人を酒の席の皆が見逃すわけもなく……よ、よく考えたら恥ずかしくなるからやめておこう!
 
(83) 2026/07/22(Wed) 8:00:09

【人】 大聖女 セレスティア

 
「祈りの場所も、別に特別な場所が必要じゃないの。
 慣習では結婚すると聖女の仕事は引退──だけど、
 神殿に入らなくても、できる限り
 聖女の務めは果たしたいと思っているの。
 半分は治癒師の仕事と同じだし、
 浄化する土地ももうそんなに無いはず……だけど。

 ……遠出になる時は、一緒に来てくれる?
 それとも、聖女としてのお仕事は
 慣習通り、やめた方が良いかしら?」
 
 
神殿に入らない、その代わり。
世界に祈りを捧げ、神聖力を捧げ、土地の浄化や魔力を満たすことに使う。そうした土地は、祈りを捧げられない他の土地よりも豊かになるそうだ。
事実、長年祈りを捧げられていない土地は他の土地に比べて不作に見える。
村には来たことがなくても、この近くの神殿で祈りを捧げた聖女もいたから、間接的にも私たちの村も影響はあったはずなのだ。
 
でも、時にはその祈りを直接……、とお願いされるかもしれない。
そんな時に簡単なのは、聖女を辞めているから、と断る事。
でも、これから一緒になるのだからマラクの意見が一番。マラクが嫌なら、聖女の仕事をきっぱり辞めて治癒師に専念しよう。
必要なら聖女の仕事の説明もする。
祈りを捧げ、土地を魔力で満たし、穢された土地を浄化し、不死者を天に還す。
傷付いたものを癒し、呪われた品の呪いを解く。または封じる。
多くの聖女たちは神殿で行なっているけれど、別に神殿でなくても構わない。と言うより、旅先では神殿でない場所で私がしてきた事だから、神聖力が高く勇者様のお供だったのもあって「大聖女」なんて大それた名前で呼ばれてしまっているけれど。
 
(84) 2026/07/22(Wed) 8:00:50

【人】 大聖女 セレスティア

 
「聖女の仕事を続けても、続けなくても。
 村外れの方が良いかもしれないわ。
 ……色んな来訪者で村を騒がせたくないの。」
 
 
その名前に縋ってくる人や、あの男がまた来るかもしれない。
ツルギやコーラリアなら歓迎するけれど、彼女たちだって今は有名人なのだから。
想像して少しだけ困り顔になってしまったけれど。
 
(85) 2026/07/22(Wed) 8:01:33

【人】 大聖女 セレスティア

 
「……マラクが一緒なら。
 私はそれが一番、だけどね。」
 
 
赤い顔のままそう言って。
バスケットの中身はお茶と、朝に焼き上げたマフィンだから。
どこかに座って食べる?とお誘いしよう。**
 
(86) 2026/07/22(Wed) 8:02:53

【人】 準魔王 マラク

 ――夜。
>>81本来であれば村の中ならばある程度は安全と言えただろう。
しかし今日は祝賀会で近隣の者や商人、貴族まで来ている。
その中に悪意がある者がいないとは言い切れないのだ。
それらは自身がセレスティアに見ている魅力的なところとは異なる魅力を見出している者たちに他ならない。

 それに本来であればもっと早くに両想いとなり婚姻をしていたであろうことはほぼ疑いようがない。
毎夜、想うだけの日々があった分想いは強くはなったがやはり寂しさもあった。
>>82セレスティアの言葉に静かに頷いて返す。
今もほら、想いは同じなのだ。

 別れ際に手を離すのも惜しいほど。
セレスティアの母に見られていなければ未だ抱きしめていたかもしれない。
一礼、未来の義母に頭を下げると手を振り家の中に姿を消すセレスティアを見送った。

 帰り道は気分上々で浮かれてしまってはいたが父の拳骨により気を引き締め直した次第。
(87) 2026/07/22(Wed) 10:42:58

【人】 準魔王 マラク

 ――翌朝。

「それだと……いや、うん。
僕がセレスと一緒に、二人切りで住みたいんだ」

 >>82一瞬言わんとしていたことを止めて別の本心を伝える。
言わんとしていたことは言わずともセレスも思ってくれることであろうから言うだけ蛇足であろう、と。

「手作業用の木工用の作業場は用意するよ。
あとは、セレスが通うなら僕も実家に通う感じ」

 確かに村に診療所は二つも必要ないだろうし、大工場も一つで十分だろう。
本当に住むところだけ別れていれば良い感じだ。
待っていてと言われれば素直に待ちながら周囲の様子を眺めるが近所のおばさま方の温かい眼差しやばあさま方の嬉しそうな様子がすぐ理解できる。
こちらも隠してはいないが少し落ち着いて欲しい次第である。

「……嗚呼、セレスは今日も、とても可愛いな」

 やりにくいと感じながら戻ってきた姿を改めて見て感慨深くそう口にする。
良い、良いと何度も頷いてしまうのはローブ姿であるからか。
シンプルであってもとても目を引かれる。
これはあの日にはなかったことだ。

「とても素敵で、魅力的だ」

 そして左手の薬指には指輪があるのだから笑みしかでない。
だらしのない顔になっていなければ良いのだが――。
(88) 2026/07/22(Wed) 10:43:13

【人】 準魔王 マラク

「それなら家の近くに簡易の祈祷場を作ろうか?」

 神殿程に儀式的でもなく格式に従わずとも良いならば作れはするだろう。
神殿が何をしているのか、神聖力が何なのかなど深くは知らないが――。

「セレスは続けたいんだろう?」

 それが全てではないだろうか。
自身の意見を語るならばセレスティアがしたいならばそれを止めることはない。
ただの村娘であったならば見なかったものを見てきたのだ。
助けたい者、救いたい者。
手を伸ばさぬことで心痛めるてしまうこともあろう。

「だから、遠出の時は僕も一緒に行くよ。
当たり前じゃないか。
もう待っているだけは、嫌だよ」

 実のところ一切待ってはいなかったのだが会えなかったという意味では待っていたことに違いはない。

「僕はセレスと一緒ならそれで良いよ」

 話をしながら村はずれの方まで辿り着く。
家々が少なくなり境界線としている柵や石壁がある辺りだ。

「この辺りかな?
日当たりも良いし間取りも広めに取れる」

 長めの枝を持ちむき出しの地面に線を描いていく。
入口から通路、リビングにキッチンと、セレスティアと相談しながら未来の我が家を話をしていく。
(89) 2026/07/22(Wed) 10:43:45

【人】 準魔王 マラク

「来訪者が来るなら客室とか応接室も必要かな?」

 そうすると、とまた線を描き直していこうか。
恐らく王や次期王、周囲の貴族が全力で止めるので勇者がこの村に訪れることはできないであろうが確か旅の仲間が女性であったなら来ることもあろう。
だからそんなに申し訳なさそうな、悲しそうな顔をしないでほしい。
それを重荷に感じないで欲しいのだ。
(90) 2026/07/22(Wed) 10:43:49

【人】 準魔王 マラク

「僕はずっと一緒にいるよ」

 セレスティアもそれが一番であるならばそれ以上に望むことはないもない

「でもね、身重になった時は、
そんなに遠出はいけないよ?」

 せめて向かえるのは馬車で日帰りできる程度の距離か。
そこだけは譲れないがそれ以外はないのだ。

「うん? マフィンなんだ。
そう言えばセレスが作ってくれたのを食べるの初めて、だな??」

 間取りを地面に描くのを止めて座れそうな場所を探す。
丁度良さそうなのは石垣の上か。
村はずれに椅子やベンチといった気の利いたものがあるわけもなく、農作業をしている人たちも休憩の時は大体石垣の上か草むらか岩の上に座っている。
そこへ向かいタオルを敷いてセレスティアにはその上に座ってもらおう。

「楽しみだな、手作りだもんな」

 ふふ、と笑う。
もしも旅の間にあの男が先にセレスティアの手料理を食べていたとすれば――。
村にきたら無事に帰れない理由がまた一つ増えてしまったな。

 そう笑みを浮かべながらバスケットからセレスティアがマフィンを取り出してくれるのをわくわくとしながら待つのであった**
(91) 2026/07/22(Wed) 10:44:21

【人】 大聖女 セレスティア

  
「……うん。そうだよね。」
 
現実を見るとそう。お互いに仕事が別なら、別々に行動する。
その事にすら一抹の寂しさを覚えてしまうのだから、この数年の空白は恐ろしいものね。
けれど、純粋な治癒師としての知識はまだまだ良心には及ばない。だから、治癒師としての仕事を主にするならやっぱり診療所に通うのが一番だ。
それにしても──。
 
 
「もう、そんなに褒められても何もないわよ?
 でもありがとう。マラクもいつも素敵だわ。
 ──村の子たちも、騒いでたじゃない?」
 
 
そう。密かに気づいている。
私を抱きしめたあの時に、祝福の声以外にも驚きの声があったことを。今だって、チラチラと遠巻きにマラクを見る女性の姿がある事を。
私にチクチク向けられるのは、帰ってきた聖女と言うこともあり、文句は言えないけれど……と言うところかしら?
貴族の方や商人の方もいたから>>87他にもさまざまな視線があっただろうけれど。
 
(92) 2026/07/22(Wed) 21:19:42

【人】 大聖女 セレスティア


 
「それは素敵ね。ああ、でも、家の中でも良いのかも。
 小さな祭壇があれば便利くらいだから
 寝室に用意してしまっても良いものね。
 でも、家族みんなで祈るかもしれないなら
 別に部屋を作ったり、食卓にあっても良いかもね。」
 
 
本当に祈りの場は場所を選ばない、が、私の信条だ。
祈れる場所は神聖な場所だけではないもの。むしろ、祈るからこそその場に神聖な空気が満たされるの。
続けたい事を続けて良いとマラクが言ってくれるから、私はそれを日常に溶け込ませたい。
それで救える誰かがいるなら。
だから彼の提案に微笑んで、そっと身を寄せた。
 
 
村外れの柵の辺りで、マラクが家の範囲を考え始める。
応接室と聞いて>>90確かにと頷いて。
その方が便利かもしれない。作って、無駄になるなら物置になるだけ。その分広い敷地が必要になるけれど、魔王討伐の報奨だって沢山ある。無駄遣いするんじゃなくて、これは先行投資だものね?
 
(93) 2026/07/22(Wed) 21:20:06

【人】 大聖女 セレスティア

 
「みおも……。」
 
 
身重>>91なんて急に口にするから、ドキンと心臓が跳ねた。
え、だって、これから夫婦になって。家族を作って。それは想像に難くない事だけど。
そんな自分を想像してこなかったから、なんとなく片手でお腹を抑えた。
ほんのり、頬が赤く染まる。
 
 
「うん。そうなったら、ちゃんと家にいるわ。
 マラクとの赤ちゃんが一番大事だもの。」
 
 
マラクも大事だけど、マラクとの赤ちゃんだって大事になる。それは絶対、絶対にそう。
そんな幸せな未来を思い描きながら、マラクのしいてくれたタオルの上に座り>>91マラクは?と首を傾げる。
一緒のタオルの上に座れたかしら?
座れてないなら、私も彼のためにハンカチを広げるのだけど。
 
(94) 2026/07/22(Wed) 21:20:27

【人】 大聖女 セレスティア


 
「そ、そんなに期待されると困るわ?
 ベリーを混ぜ込んだ甘いものと
 紅茶の葉を混ぜた甘さ控えめのがあるの。
 マラクはどっち食べたい?」
 
 
勿論、両方食べても良いように幾つか作っている。旅の途中では料理は交代制(私とコーラリアの、だ。勇者様とツルギは魔物を捌いてくれていたから、食材の調理はこちらと言う分担だった)。それに、今日は母さんの指示があったからその頃よりもきっと上手にできているはず。
マラクの望んでくれた方を渡せば、まだほんのりと温かさが残っているはず。
 
(95) 2026/07/22(Wed) 21:20:57

【人】 大聖女 セレスティア

 
「はい、どうぞ。
 ──お口に合えば、嬉しいな。」
 
 
渡したところで、マラクの感想が聞けるまで緊張して食べることのないままじっと彼を見つめてしまう。
美味しいかな?
甘すぎたりしない?
もっと、ご飯みたいな方が良かったかな?
 
そんな心配事を、彼の顔色を伺いながら。
 
 
でも、彼の感想が聞けた辺りだったかしら?
遠くから人が走ってくるのが見えた。ぱち、と目を瞬かせてマラクを見てから、彼と手を繋ぐ。
再びその人へと視線を向ければ伝令の人らしくて──私は一通の手紙を受け取った。
緊急の手紙かと、私はマラクに寄り添いながらその封を開け、
 
(96) 2026/07/22(Wed) 21:21:19

【人】 大聖女 セレスティア

 
……眉を寄せる。
それは結婚式の招待状だった。
 
コーラリアと、勇者様の。
どちらが出したのかは、私には判別できなかった。**
 
(97) 2026/07/22(Wed) 21:21:36

【人】 準魔王 マラク

「……それは気づかなかったな」

>>92村の子たち――女の子たちであろうが、はて、と首を傾げる。
自身が騒がれていた自覚はなく、セレスティアが対象であると考えていたことが一つ。
また、自身はセレスティアしか見ていないので気づいてすらいなかった。
そもそも数年村にいなかった自身であるから恋愛の対象とするには理由が薄かろう?

「家の中でも良いなら……こうかな。
食卓から入口側にして、別に入口を用意して……。
これならお祈りに来た人も入れるよ」

 家の中にあり、外からも入れるよう入口側に。
折角なので村の礼拝堂の機能も兼ねてもらうとしよう。
然程広くはない一部屋程度の大きさで反対側に応接室も設けるとすれば良いだろう。
村外れの方ならば間取りの取り方も自由が利く。
必要なものは作れば良いので費用もそうかかるまい。
魔王討伐の褒賞はもっとセレスティアの使いたいところに残しておいてほしい。
(98) 2026/07/23(Thu) 0:24:41

【人】 準魔王 マラク

「あ、ああ、うん、そう。身重に……」

 >>94咄嗟に口にしてしまったので頬が染まるのを見て、嗚呼、と声を漏らす。
昨日の今日で意識させすぎてしまっているだろうか。
しかし、だ。
同年代はいないとは言え村では15歳で婚姻を約束し16歳で儀式、そして17歳で子持ちとなる場合が多い。
場合によりそれより早くなりどつきまわされる男もいるが――。

「うん、そうしてくれると嬉しい。
僕はセレスとセレスの子が大事だから……」

 セレスも自身との子を望んでくれている。
それが分かっただけで十分だ。

 タオルはそう大きくはないので一緒に座るならぴたりとくっつくことになろう。
尻と尻、太ももと太ももを触れ合わせセレスティアの体温を感じながらバスケットの中を覗き込む。

「え……それは、悩むな……。
どちらも食べたいんだけれど……」

 一人で二つは多いだろうかと眉根を下げるが、>>95両方食べても良いと分かれば一転して喜々とした表情になる。
それならばと甘さ控えめの方からもらうことにした。
(99) 2026/07/23(Thu) 0:24:56

【人】 準魔王 マラク

「おお、これは……んぐ、んぐ」

 よく噛んで、味わい、飲み込む。

「不思議だ、本当に仄かに甘くて紅茶の風味がする。
茶葉を混ぜたらカサカサしているかと想えばそうでもないし……」

 また一口食べて、三口目も食べて、頷く。

「美味い、うん、美味しいよ。
ベリーの方も良いかい?」

 ベリーの方も貰えばそちらも食べていく。
ベリーの甘さと酸味、味わいが噛めば噛む程に口の中に広がる。

「こっちも美味しいな。
セレスは料理上手だね」

 自身はと言えばできるのは肉と野菜を焼くか煮込むくらいか。
それと比べればマフィンはとても家庭的な料理だ。
これまでも定期的に作ってきたことがわかる、そんな味わいだった。

「毎日食べたいくらいだ。
これからは、僕のために作ってくれるんだ」

 それだけで頬が綻んでしまう。
セレスティアはこちらの顔色を窺っているが心配することなんて何もない。
本当に美味しく、心を喜ばせてくれる味だった。
(100) 2026/07/23(Thu) 0:25:06

【人】 準魔王 マラク

 そうして談笑しながら食事をしていると伝令の姿が見え、セレスティアが手を繋いでくれば握り返す。
何用であろうかとセレスティアが受けとった手紙へと視線を向ける。

 しかし、書いている文字はなんとなくしか理解できない。
異本はこちらの世界の文字を教えてくれることはなかったので文字の読み書きは割と村の少年レベルでしかない。

「セレス、どうかした?
嫌なことなら僕に教えて」

 招待状であると聞けば今度は此方が眉を寄せる番になろう。
先の今日の高速結婚式である。
一体何があったのかはわからないが――。
セレスティアが出たいというならば、国王に真意を尋ねに行かねばならないわけだが**
(101) 2026/07/23(Thu) 0:25:11

【人】 大聖女 セレスティア

 
マラクはそう言うところ、疎いと思う。>>98
確かに私たちの前後の年頃の子供たちがいなくて少し歳が離れていたから、私たちは昔から幼馴染なのもあって二人揃って大きくなってきたんだけど。
年上の子達からは可愛がられていたと思うし、年下の子達からだって好意的な視線はあったはず。
それに一目惚れだって、世の中にはあるんだから。何より、私がマラクのこと好きなんだから、他の子だって好きになるかもしれないのよ?
でも、マラクは私のことをまっすぐに見つめてくれるから。
私も、マラクのことをまっすぐに見つめ返して、安心できるの。大好き、って。
 
そんなことを考えているうちにも、家の作りを考えてくれているし。
 
 
「確かに、お祈りの場で他の人たちも
 お祈りできるのは良いかも知れないわ。
 ふふ、色々考えるのは楽しいね!
 それなら祭壇がこのくらいだから……。
 うん、ちょうど良いかも!」
 
 
私も、それならと祈りの場へ線を引いて。
にぱ、と笑顔で振り返る。
マラクが作業する場所とか、キッチンの高さとか。私に合わせて大丈夫? と首を傾げて覗き込んだりね。
マラクにお願いする時があったら、絶対低くなってしまうもの。
踏み台があれば良いのだし、マラクも使いやすい中間の高さでも良いかしら?
それとも、やっぱり私が主体で料理したいから私の高さ?なんて。
二人で話すのが楽しくて、やっぱり笑顔が溢れてしまう。
二人で二人の未来の話をするのは、とても気持ちが弾むことだった。
 
(102) 2026/07/23(Thu) 8:41:29

【人】 大聖女 セレスティア

 
二人で寄り添いながら、バスケットの蓋を開ける。マラクの硬い腿の感覚が少し伝わって緊張したけど、両方食べて大丈夫と伝えたらとても嬉しそうで>>99嬉しい反面、尚更緊張した。
失敗してたらどうしよう?そうじゃなくても好きな味じゃなかったら?
でも、それは杞憂だったみたい。
美味しい、とコメント付きでどんどん食べてくれるから>>100私はホッとしてお茶を注ぐ。
 
 
「お口にあって良かった!
 うん、毎日作る。……お弁当、届ける?
 その、まだ一緒に住んでないから……。
 ……お昼も一緒に食べる?」
 
 
村で仕事を始めたら、一緒に昼食は取れるかしら?
お弁当を渡すと言うことも考えてみる。
私も、もっとお料理が上手になりたいもの。母さんたちにも料理をしっかり教わりたいし、マラクのお母さんにもマラクの好きな料理を教えてもらいたい。
だからこそこそ、そんな提案。
お茶は少しスッとするハーブティ。
甘いマフィンと一緒だから、とこれにしてみたの。私は好きなんだ、これ。
 
(103) 2026/07/23(Thu) 8:41:59

【人】 大聖女 セレスティア

 
でも、そんな暖かい時間から一転。
眉を寄せていると伝令の人に返事を求められて、ビクッと肩を震わせた。
 
 
「村に昨日帰ったばかりです。
 返事を考える時間をくださいませんか?
 村に滞在するなら村長に話をすれば
 滞在できる場所や食事を用意してくださる筈です。」
 
 
それでも胸を張り、聖女の微笑みでそう答える。簡単に村長の家の場所を伝え、伝令の方が離れたところでやっと肩の力を抜いた。
マラクに支えになってもらうようにして頭をこてんと預ける。
 
(104) 2026/07/23(Thu) 8:42:23

【人】 大聖女 セレスティア

 
「コーラリア……、旅の仲間の魔法使いと
 勇者様の結婚式に招待されたの。
 コーラリアの事は祝福したい、けど……。」
 
 
コーラリアのことは心配だ。
元々彼女は勇者様のことが好きだったし、でも、あんな……裏切りがあった後。
マラクが何をしていたのかを知らない私は、勇者様を抑えるべく王様がコーラリアに土下座せんばかりに頼み込んでの結婚、だったとは知らずに。

けれど、マラクに王都で勇者に「俺の妻にする」宣言されていたとは言いたくない。
ううん、と小さく唸って。
 
 
「勇者様は、……マラクと引き離した人に思えるから。
 それに、その、……変なこと言う、から……苦手で。
 こんなこと言うの、不敬、かもしれないけど、
 ……………………行くとしても、マラクも一緒。」
 
 
祝福したい。会いたくない。
相反する気持ちで悩んでしまって、でも一つの確定事項にマラクの手をそっと握りしめる。
でも握りしめるだけじゃ足りなくて。
マラクに向き直って、ぽすんと彼の胸元に頭を委ねた。ぎゅ、とそのまましがみつく。
 
 
「──コーラリアにだけ会えるなら良いのだけど。
 マラクは、行きたい?
 私は、……手紙だけでも良いと思ってる。」
 
 
(105) 2026/07/23(Thu) 8:42:57

【人】 大聖女 セレスティア

 
もっと、お互いに落ち着いてから会って、その時に祝福したって良い。
その時には勇者様も変わっているかも。
なんなら、第一子を授かった時にお子様に祝福を、と言う形なら私も安心できる。
 
まあ、つまりは行きたくない、が答えだった。
……答えに窮していたのは、旅の仲間だから。曲がりなりにも王族だから。祝福したい気持ちも、あるから。
 
 
「……結婚した後なら、もう少し前向きに
 検討できたかも知れないけど。」
 
 
結婚という結びつきがあれば。
流石に引き離されたりしないだろうと思うのは軽率?
でも、やっぱりあの日のことは私も悲しい記憶として残ってるから。
預言だからと言って連れて行かれた日。
 
結婚でもしていなければ、次に何を言われたものかと。**
 
(106) 2026/07/23(Thu) 8:43:27

【人】 準魔王 マラク

>>102女性の視線については説明をされれば初めて理解できようが、セレスティアが伝えない限りは気づくことはないだろう。
確かに少年時代は上からも下からも慕われていた気もするがほぼほぼ隣にはセレスティアが居り視線はそちらにしか向いていなかった。
一目惚れなどの話も物語の中でだけ識っている。
何れにせよ婚姻を申し込み、受け入れてもらった身には最早縁のなかった話であろう。

 逆にセレスティアに近寄る男が居た時は――今思い返せば普通に威嚇していた気もする。

「ふむ、ふむ……祭壇はそれくらいなんだな。
祭壇の形は、少しうろ覚えだな」

 旅の間に他の町街で見た気もするが記憶にない。
観光などする時間はなかったのだから当然ではあるがこういう時に困ることになるのだなと感心してしまう。

 その陰鬱な気もセレスティアの笑みで一瞬で霧散するのだから想い人の笑顔というものは実に心に効く。
家の間取りの話にしても一人で考えるよりも余程に捗るし何よりセレスティアの意志が反映されていくのはとても良い。
よくうちの母があそこはああが良かったなど言ったり木工師の仕事としてもそういう配置換えと言うか細かな変更はよくあったのだから、思ったのと違うということにならないようにしたい。
キッチンの高さはセレスティアに合わせようとするしトイレの位置や風呂の位置もそうだ。
低い分には座りながらでも料理できるだろうし高いところに手が届かなくて一々踏み台を使わせる方が苦である。
決まったところは線を引いた地面に石を置き、木を突き立てていくとしよう。
(107) 2026/07/23(Thu) 13:26:45

【人】 準魔王 マラク

「毎日、そうだな……毎日が良いな。
お昼を一緒に食べて、休憩して……。
そうここの間取りもまだ全部決まってないからね」

 暫くは互いの家に通い合えば良いだろうか。
家は近しく行き来も苦ではないし何よりも一緒にいる時間は増やしたい。

 自身が好むのは何だろうか。
割と好き嫌いはないが、逆に好きなものと言えば改めて考えれば首を傾げる。
無いわけではないが大体はフラットブレッドに肉や魚、野菜を包んでのものなのでしっかりとした味のものが好みなのかもしれない。

 お茶を戴き、ほう、と吐息を零す。
白湯ではない味のついた風味ある飲み物というものは自分ではあまり口にしないものだ。
セレスティアが好きならばなおさらに。
少しずつ、互いのことを知っていくという過程を楽しんでいく。
子どもの頃ではなく大人の男女としてのそれはどこかくすぐったい感覚があった。
(108) 2026/07/23(Thu) 13:26:52

【人】 準魔王 マラク

 >>104伝令が来てからというものセレスティアから笑顔が消えてしまった。
流石に末端の伝令にまでは自身のことは伝わってはいまい。
任務に忠実なのは良いが我が花嫁を急かすなと睨みを利かせれば多少強度のある威圧になったろうか。
伝令が去っていけば>>105しがみつくように抱き着いてくるセレスティアの背に手を回し優しく抱擁した。

「……そう、セレスの大事な人なんだね」

 折角戻ってきたのに祝福したい程に大事に想っている旅の仲間であるとよく伝わってくる。
頭に手を添え、ぽんぽんと優しく撫でる。
子をあやすように優しく、落ち着くまではずっと。

「そうだね、行くなら今度は僕も共に行くよ?」

 セレスティアが行きたいならば共にと約束したのだから当然だ。
それに――、あの男はセレスティアのことをまるで自分のものであるかのようであった。
旅に出た後何があったかなど知る由もないが話を聞くだけでも見られぬ位置で奥歯を嚙みしめる。
やはりあの男は生かしておくべきではないかもしれない。
顔を合わせれば確実に葬ってしまうだろう程度には怒りが溜まる。

 ふるりと首を横に振るい、セレスティアの旋毛に唇を触れる。
(109) 2026/07/23(Thu) 13:27:01

【人】 準魔王 マラク

「でもね、僕は行かないで欲しい。
手紙で済むならば手紙で済ませよう?」

 何よりも伝令が伝えた言葉がヤツだけの意志なのか、王の意志も含まれているのかを確かめなければなるまい。
ヤツだけの意志であれば講じる必要はないのだ。
もう一つ、コーラリアの願いである場合もあるがその時はまた別途手段を考えるとして――。

「別にその場で祝福する必要はないのだろう?
王都にはちゃんと上位の司祭がいるだろうし、
王族の結婚ならば神殿の最上位の者も派遣されるだろう?」

 態々と聖女が表立って祝福する必要は特にはないだろう、と。

「そうだな……。
例えば、僕たちの新婚旅行で王都に行くとか。
僕もちゃんとした祭壇を見ておきたいし、
その時にコーラリアとだけ会えるようにしたらどうかな」

 少なくとも現状で赴くことは否定的である。
>>106ヤツが暴走して引き離しにかかればそれこそ王国には滅亡してもらわなければならなくなるし、そうなるとセレスティアとの蜜月が過ごせなくなってしまう。
ヤツのためだけにそれは避けたい事項である。
(110) 2026/07/23(Thu) 13:27:10

【人】 準魔王 マラク

「もしも結婚のお祝いに祝福をというなら、
セレスのアイデアで僕が何かを作るからそれに祝福をして届けるとか。
それなら祝いたい気持ちは伝わると思うよ」

 折衷案としては、それくらいであろうか。
――いずれにせよ、その日の夜わっしょーいわっしょーいと村周囲に埋めていた不死隊が10体ほど這い出てきてはえっちらおっちら王都に向けて王に意を問う木簡を届けに向かうのである**
(111) 2026/07/23(Thu) 13:28:39

【人】 大聖女 セレスティア


これからの毎日を想像して、未来を夢見てはしゃいでいた気持ちが萎んでしまった。
それが悲しいし、そう思ってしまうこともコーラリアに申し訳ない。
だから、しがみつく腕の力が少し強くなる。でも、優しく抱きしめられて>>109少しだけど肩の荷が降りた気がした。
そう、仲間は大切。特にコーラリアは、私の気持ちを知っている。私の想いを。
勇者様に惹かれてしまったのだけは理解できないけれど、結婚まで考えているならその覚悟を私も受け止めたい。なのに。
 
 
「うん……そうする。手紙だけにするわ。
 コーラリアは絶対理解してくれるもの。
 祝福も、それこそどこだって届けられる。
 
 ──迷うこと、無かったね。」
 
 
マラクがそう言ってくれるから。>>110
私はあっさり、それで良いと考えを改めることになった。
腕の力を抜いて、けれど身を寄せて預けたまま離れない。
手紙を送ろう。式の日時がわかっているのだから、この地から祝福の祈りを捧げよう。
それだけできっと良い筈。
うん、と頷いたあと。
顔を上げて、私はパァッと顔を綻ばせた。
 
(112) 2026/07/23(Thu) 20:45:53

【人】 大聖女 セレスティア

 
「うん! 新婚旅行で行くのは良いかも。
 神殿なら聖都の方が良いかも知れないけど
 王都の神殿も立派だものね。
 その時にコーラリアとツルギを紹介したいわ。
 二人は本当に親切にしてくれたから……。」
 
 
女性の仲間だけで集まって、その時に祝福の言葉を渡しても良い。
懐かしくなって目を細める。
ツルギはまだ王都に居るのかしら?
勇者様とまだ関係している可能性はゼロじゃない人だけど、人の気持ちを裏切る人でもない。
 
(113) 2026/07/23(Thu) 20:46:19

【人】 大聖女 セレスティア

 
「うん、それなら……
 祈りの魔法陣を刻んで滑らかに磨いた
 ペンダントトップみたいなの、かな?
 聖女じゃなくても祈りは捧げられるし
 祈りの力を強くできるし
 ──それに銀の鎖を通したり?」
 
 
マラクの素敵なアイデア>>111に私もアイデアを重ねる。
魔法陣なら私が分かるし、繊細な模様にも見えるだろう。手のひらで握り込める程度の雫型にすれば、祈りの時に使える筈。
何ヶ所かに石を嵌め込める場所を作ってもらって、コーラリアの守護石を嵌めても良い。
そんな贈り物が思い浮かんで、私はマラクに向けて少し気の抜けた笑顔。
 
(114) 2026/07/23(Thu) 20:46:47

【人】 大聖女 セレスティア

 
「──一人じゃなくて良かった。
 マラクが一緒だから、すぐに安心できる。

 大好き。大好きよ、マラク。」
 
 
両腕を彼の頬に伸ばして、触れて。
満面の笑みで触れるだけのキスをしたなら感謝は伝わるかしら?
 
その後、一晩置いてから伝令の方へはお断りの返事を認めた手紙を渡した。
王様宛と、コーラリア宛の二通に託して。*
 
(115) 2026/07/23(Thu) 20:47:05

【人】 女戦士 ツルギ


──後日談。
 
>>111王に対して木簡が届けられた、その直後。
それが深夜だろうか早朝だろうが、勇者サマは顔面蒼白の王に呼び出されて叱りつけられることとなった。
 
ただ、勇者サマも知らぬ存ぜぬ。
曰く「俺を振った女に興味はない。」
婚約者となったコーラリアも出した覚えのない招待状。
誰が出したのかと、結婚式の準備中に一悶着があった。
 
 
調べてみれば王都の神殿関係者が"気を利かせて"出したものらしい。
勇者の婚姻に、その仲間であった大聖女が来ないのはおかしい。
そもそも大聖女が神殿に滞在しないのも可笑しい……と、事情を知らない下っ端が気を利かせて、と。
 
(116) 2026/07/23(Thu) 21:02:02

【人】 女戦士 ツルギ

 
──本当に気を利かせただけなのかは、怪しいもんだけどね。
上役に色々吹き込まれて、切って捨てられるレベルの子が出世を夢見て欲出したのかも?
それとも、トカゲの尻尾切りを想定した上でそうするように仕向けられた?
下っ端なら切って構わないと、ダメ元?
さて、真実はどこかな?
まあ、セレスも可哀想だよね。
王様や貴族たちと、神殿関係者はまた別の面倒臭さがあるのに、どちらからも価値がある状態なんだもんね。
 
(117) 2026/07/23(Thu) 21:02:22

【人】 剣聖 ツルギ

 
でも、誰だっけ。
そんなセレスに手が出せないように手を回してる誰かさん。
 
あまり詳しくは聞けてないけど。
その人がセレスの絶対的味方なら、なんとかなるかな?*
 
(118) 2026/07/23(Thu) 21:03:13

【人】 準魔王 マラク

 >>112セレスティアにこの様な表情をさせるとは。
あの男の評価は既に万死に値するのだが人に対する評価がここまで下がるものであるとは自身でも驚きだった。

 全ての害意、悪意から護り抜こう。
我が身を大樹とし枝に止まり疲れた翼を休めてくれればそれ以上望むこともない。
想いの狭間で苦しむ時が少しでも減ればそれで良い。

「いいや、迷う程に大切な相手なんだよ。
それはね、セレスのとても素敵なところだから」

 手紙を送るだけ、それだけで伝わる気持ちもあるだろう。
ただ、互いに寂しい想いをするかもしれないが再会するならば心晴れやかな時の方が良いだろう。
そのためにも時間は置くとして――。

「はは、聖都の神殿を模すと大変そうだ。
僕たちの家が大聖堂にでもなってしまうよ」

 王都の神殿でも十二分であろうが聖都となると神殿関係者が多そうである。
ただの想像であるがきっと神殿印の菓子や土産物があるのだろう。

「ああ、でも入ったことはないから行ってみるのは良いかもしれないね。
一度行っておけば催促もしにくくなるだろうし。
王都にはその帰りに?
うん、楽しみにしているよ」

 セレスが仲間として受け入れ自身にも合わせたいと言ってくれるのだから良い者たちなのだろう。
(119) 2026/07/23(Thu) 21:47:37

【人】 準魔王 マラク

「だから、そうだね。
まずは作るためにコーラリアの話を聞かせてほしいな。
好きな花とか、物とかね。
そういう装飾もあったほうが良いだろう?」

 素材は――そう例の魔木が良いだろう。
あれならば耐久性も十分だし魔力も宿っている。
魔法陣はペンダントの内側に内蔵するようにすれば外側の模様は自然なものにできるし内側の陣から延長もできよう。
石も嵌めこむならば大きさはそれなりになるが――。

「銀……銀か。銀は細工師に頼まないとな。
近くの街に行かないとね――っと」

 >>115先ほどまでの緊張した悲愴な表情は和らいだか。
笑みが浮かぶと柔らかく微笑み返す。

「僕も大好きだよ、セレス。
例え魔王が世界の半分を差し出すと言っても、
僕は迷うことなくセレスを選ぶくらいにね」

 実際にセレスを選んだのでそこは断言できるところだ。
頬に触れる手の感触がくすぐったい。
くすりと笑っていれば柔らかな感触を唇に感じれば、最早暫しの間離してあげることはないだろう。
腕の中に抱いたままに陽光を浴び、風に吹かれて目を細める。
村の周囲は田畑になっており田園風景が続いていく。
非常にゆったりとした時間の中でお返しにとセレスの頬に口づけたりしながら一時を過ごした。
(120) 2026/07/23(Thu) 21:47:44

【人】 準魔王 マラク

 ――その後、国王には『何しとんじゃワレ』という内容の木簡が届いたとか。
きっとセレスの手紙にも誠実に返事を書いてくれることだろう。
(121) 2026/07/23(Thu) 21:47:53

【人】 準魔王 マラク

 ――日々を重ね。
木簡と手紙の返答を待つ間にすることは新居の作成とコーラリア用のペンダントトップの用意だ。
自身の仕事が主にそれになるのでセレスティアが診療所の休憩時間、お昼にもなれば共に過ごしにいきながら話をして新居は基礎を、贈り物は三面図を描きをそれを見せて確認してもらいながら作成していく。
ペンダントトップの方は早めに仕上がることだろう。
こちらはまだ手慣れた方である。

「こういう感じでどうだろう?」

 出来上がったものをセレスティアに見せて確認をしてもらおうか。
新居の方は木材の調達やら何やらで時間がかかるもので、それでも基礎が組み終わればなんとなく家の感じが見えるものだがこちらはちゃんと形として手の上に**
(122) 2026/07/23(Thu) 21:48:38

【人】 大聖女 セレスティア

 
う、確かに家が神殿と化しちゃうのはちょっと。>>119
聖都はほぼ全てが神殿関係者なようなものだから、もし行ったなら色々な面倒ごとは起こりそうな予感はある。
それでも神殿は素晴らしい。神殿は、だけどね。
性根逞しい商人の皆さんのお土産コーナーも確かにすごかったし、信徒の方々や聖女たちによる御守りやアクセサリーなんかも色々売っていた筈。
密かに村でも何かやってるらしいけど、マラクは知ってるのかしら?
一部では吟遊詩人が旅に出た聖女とその帰りを待つ青年の恋の歌──なんかを作っているようだけど。
ちなみに私は知らない。歌が世間に出てから知ることになるんだろう。

 
 
「コーラリアはね、とても優しいお姉さんなの。
 貴族の方だけど名前で呼ぶことをすぐ許してくれたし
 一緒にお料理をしたりもしたわ。
 好きな花は薔薇や百合……特に白百合ね。
 実家の庭で育てているのですって。」
 
 
コーラリアのことを話す時にはだいぶ気持ちは和らいでいた。
ツルギも大切だけれど、恋心を秘めていたことや同じ後衛だったこと、料理とかの役割で時間を共にすることが多かったから、より私の中では仲が良かったと思える人なの。
だからこそ、私もマラクのことを話していたのは内緒。恥ずかしいものね。
 
(123) 2026/07/24(Fri) 7:44:36

【人】 大聖女 セレスティア


 
それにしても……魔王ってそうだって、なんで知ってるのかしら?
魔王は勇者様にもそんなことを言って。>>120
一瞬勇者様が迷ったのを見てしまったから驚いたけど、マラクがそんなことを口にするのも驚いた。
でも、マラクは迷わない。きっと私が逆の立場でもそうよ。
抱きしめ返され、キスを返され。
どこまでも続くいつもの風景の中、爽やかな風が吹く。
ここが、私の帰る場所。帰りたかった場所。
あの頃は隣にいるだけだったマラクの腕の中がこんなに安らげる場所になるなんて。
彼の腕の中、また将来についての話をしよう。明日のご飯の話でも良いかも知れない。
心が軽く、明るくなる話がしたい。
 
(124) 2026/07/24(Fri) 7:45:21

【人】 大聖女 セレスティア

 
──そうして、私も毎日を続けていく。
花嫁衣装は白を基調にして、マラクの瞳の色の糸で裾に様々な刺繍を入れていく。
村特有の模様には花嫁の祈りだとか、子宝だとか、豊作とか、色んな意味の込められたものなのだそう。
確かによく見ると、そうした願いにつながる意匠があったから面白い。
花婿のマントの刺繍は私の瞳の色の糸で。
こちらにも色々な祈りの模様があったけれど、此方には幾つか守護の魔法陣を縫い込んだ。ひと針ひと針、祈りを込めて。魔力を込めて。
きっと何かあった時、マラクを守ることができるように。何か、はない方が良いのだけどね。
 
花嫁の衣装の形は、村のものだからシンプルなドレスとヴェールで構成されている。
アクセサリーは旅の間に手にしたものをいくつか使っても構わないかしら?
預かったままだったお守りの石を、胸元にあしらっても?
そんな細かなことを相談しながら、二人の衣装を作っていく。
 
(125) 2026/07/24(Fri) 7:45:54

【人】 大聖女 セレスティア


 
「うん、素敵! さすがマラクね。
 あとはここに石を嵌めて、祈りを込めて。
 鎖をつければ完璧じゃないかしら?」
 
 
マラクの作ってくれた贈り物>>122に破顔する。だって、二人で作る贈り物。コーラリアはぜったいに喜んでくれるわ!
家の方も少しずつ進んでいて──ああ、本当に結婚するんだって、ひしひしと感じ始めていたの。
一緒に過ごして、お昼はサンドイッチだったり、パイだったり。二人で話す時もあれば、お互いの家族が隣にいたりしたかも知れない。二人の方が私は好きだけどね。スープを温めて出してあげたい時は調理場を借りたりしてたから、たまに。たまによ?
診療所は実は少し忙しくて──これは多分私のせい。神殿がない近隣の村の人が、聖女がいる!と来ていたり、やっぱり商人や貴族の方が来てしまっていたり──と。村の人たちの診療だけではなかったから。
だから、村の人が気後れしないように、貴族の方は別室でお話を聞くことが多かった。勿論、二人きりになったりはしない。家族の誰かが隣にいる状態で話を聞いて治癒をしていた。実際、本当に治癒が必要な方もいたからね。家族に少し迷惑をかけてしまうけれど、緊張する〜と言いつつ楽しそうにしてくれているのが救いかしら。
(126) 2026/07/24(Fri) 7:46:30

【人】 大聖女 セレスティア

 
治癒が必要ではない人もたまにいる。
そういう方が一番困るけど……。
そういう方もそうじゃない方も、何故か家族や村の人たちが平民だというのにとても丁寧に接してくださるのは良いのだけどね。

 
(127) 2026/07/24(Fri) 7:46:50

【人】 大聖女 セレスティア

 
あとは、以前の私にない仕事は、というより日課は祈ること。
毎朝、世界の平和を祈って跪く。
祈る間、神聖力を、魔力を注ぐイメージを持てば私の体はほんのりと淡い光に包まれ、それが薄い波紋のようにして大地を巡っていく。
その光が見える時もあるらしい。
だから、夜にはやらないようにしてる。朝の方が太陽の日差しで眩しいから。
そうして自室で祈りを捧げているから、村やこの周辺の土地ではこれからは豊作になるかもね。
 
(128) 2026/07/24(Fri) 7:47:08

【人】 大聖女 セレスティア

 
「………。」
 
 
それにしても、と。
結婚式を間近にして思う。私は本当に、こんなに幸せで大丈夫かしら?と。
細々とした煩わしさはあるけれど、想像していたよりもずっとそれは平和で穏やかだ。
トラブルが少ない。むしろほぼ無い。煩わしい、で済む程度のことだもの。
それにマラクがその………………………、紳士で。
キスは毎日してる。会えば、どこかのタイミングで。できるだけ人のいない場所でと思うけれど、田舎の小さな村だもの。遠巻きに見られてしまう事は何度かあった。此方が気づいていない時もあったはず。
でも、そのキスも……その、触れ合うだけのものでしょ?すごい音がしたりしてないもの。
あの時聴いてしまったあの音、どうやって出してたのかしら?なんて今更気になっちゃうくらいのを聴いたことあるけど。

初めてのキスこそマラクは『抑えられなくなる』>>63と言っていたけれど、キスしたりされたり、抱きしめあったりしててもとても紳士なままだから。
 
(129) 2026/07/24(Fri) 7:47:47

【人】 大聖女 セレスティア

 
「……マラクって、カッコいいよね。
 紳士で、優しくて、……好きになったのがマラクでよかった。」
 
 
なんて。
お昼の時にしみじみ言って、ふにゃ、と笑ってしまった。
 
そんな人が、私の旦那様になるんだなあって。本当に、幸せすぎて怖いくらいなの。**
 
 
(130) 2026/07/24(Fri) 7:48:06
村の設定が変更されました。

【人】 準魔王 マラク

 >>123村長を始めとしてこの村を『聖女誕生の地』として観光スポットにしようとしているらしい。
然しながらこの長閑な田舎村の何を観光するというのだろうか。
精々が実家や育った村の環境を見るばかりで特産品もなく。
慌てて手工業で『聖女の帰りを待っていた青年が作ったお守り』であったり『聖女が青年に贈ったペンダント』を作っているくらいである。
それでいうならマラカイトやセレスタイトが子どもでも採れる川なり坑道跡が近くにあるくらいで――歌に関しては最早止めようがないものだ。
吟遊詩人の作る物語など一人一人が異なるものであるし、主旨が同じで場面が異なるという風に流行最前線は庶民の娯楽なのだから、どこかしこからそうした噂が流れれば話の種にと飛びつくのも無理はない。

 セレスティアがコーラリアのことを語る。
とても嬉しそうでいて穏やかな表情でだ。
本当に心を寄せている仲間なのだろう。
あの男だけではなくそうした仲間との想い出があることは良いことだろう。

「ああ、貴族なのか。
珍しいね、貴族で平民に優しい人なんて。
そうか……じゃあセレスがこれから作ってくれる料理は、
コーラリアと作ってきたものもあるんだね」

 なるほど、と頷く。
好きな花も貴族らしそうなものでそれならば贈るペンダントトップには大きな白百合の花を二つ刻むとしよう。
(131) 2026/07/24(Fri) 10:06:55

【人】 準魔王 マラク

 尚、>>124魔王についての話は『例えばだよ』と苦笑するがあまりにも実話に近しい。
もしもその時の勇者の反応を聞かされればやたらと深い笑みを浮かべてしまったかもしれないが。
話したいことなど山のようにある。
旅のこともだが生活のこと、身近なこと。
喪失していた時間を取り戻すように接する時間が増えていく。

 明日のご飯の話でも良いだろう。
噂に聞く吟遊詩人の話題もしただろう。
二人で話しているだけで幸せなのだ。
これはずっと一緒に過ごしてきたならば得られなかった幸せであることは確かだ。
当たり前のことなどはなく、当たり前のように話せることが幸せなのだ。

 さて――>>125婚姻の儀式に着る服は式の日までは男は見ることは叶わない。
穢れを払うなどという意味もあるが製作過程を見ることは良しとはされない。
ただ相談を受ければ旅の間に入手したアクセサリーを付けるのも良いし、胸元にというならば自身もまた同じようにセレスタイトを飾ろう。
反対に男の準備物は全て公開されるわけである。
新居など隠しようもなく、そもそも一人で建てるものでもないのでマラク一家総出での大仕事である。
寝室の壁が分厚いことを母に見られて『あらあら孫の顔は何に見れるのかしら』などと言われて赤面していたこともあったが。
(132) 2026/07/24(Fri) 10:07:02

【人】 準魔王 マラク

 >>126コーラリアへの贈り物もそうだがセレスティアが褒めてくれるだけで充実する。
男とは単純なもので褒められれば勝手に成長していくものだ。

「うん、それならすぐに取り付けるよ。待っていて」

 許可が下りれば石を嵌めて銀の鎖をつける。
重さもほどほどに収まったろうか。
それをセレスティアに渡せばあとは祈りを込めてもらうだけだ。

 一つ、一つ、準備が整っていく。
新居が完成し、小さな礼拝堂の箱が完成する。
礼拝堂の中の祭壇はまだ仮のものだが新婚旅行で本物を見た後で本格的に作りこむことになる。
箱が出来れば礼拝堂だけではなく家具も入れていく。
ベッドや収納、キッチン周囲や台所。
トイレと風呂は拘る場所であり、トイレは底に有機物を分解する魔改造した軟体生物を入れておいたりと都会式。
風呂に至っては村にはなかったものでこれも旅の間に覚えてしまったから用意した。
魔石に魔力をこめると湯が出たり、あとは蒸気部屋も用意した。
二人で入れると良いなと――邪な想いがなかったとは言えない。

 もう一つ驚くことは毎日セレスティアが作ってくれるご飯が異なることだった。
大体毎日シチュー、パン、チーズなどが普通なのだがサンドイッチであったりパイであったりと種類が豊富だ。
これもコーラリアとの料理の成果なのだろうか。
たまにとは言いながらも過ごす過程で我が家ではセレスティアは既に新妻のような扱いであり温かく迎えられただろう。
(133) 2026/07/24(Fri) 10:07:11

【人】 準魔王 マラク

 そうしながらもセレスティアは本当に忙しそうだ。
近隣の住人だけではなく商人に貴族までも。
いや、あやかりたいのかもしれないがお抱えの神官くらいいるだろうにと思わなくもない。
彼らが大人しいのは富裕層や貴族間で一層強く語られる魔王の話だ。
聖女を汚すと新たな魔王が誕生するのだとかなんだとか。
別の話ではあるが一万の不死の軍勢というものは数字上は一万であるが現実的に一万の兵力を維持するには50-100万の人口が必要となる。
即ちこの身は既に小国の王程度の暴力を有しており、噂として言われているのは『あの村は自治区だから王国と思って行動するな』ということであろう。
これは王の働きであろうが大体間違った対応ではないだろう。
(134) 2026/07/24(Fri) 10:07:20

【人】 準魔王 マラク

 本当に、本当に、幸せな日々だ。
まさか>>129思考の果てに>>130紳士だと言われると、ゴフッ、と噴出してしまうことになろうとは思わないほどに。

「う、うん……そう、かな?
僕は普通だと思うけれど……セレスの方が、可愛いよ?」

 うん、美しいというよりは可愛いの方だろう。
浮かべる笑みを見れば穏やかな気持ちになれる。
しかし、しかしだ――。

「紳士は……どうかな。
優しいのはセレスにだけだよ?」

 主にセレスティアとその周囲の環境に対しては優しいと言えるがその外側では過酷な一面も確かにある。
だから、くすりと笑い、身体を抱きしめると耳元で囁きかける。
(135) 2026/07/24(Fri) 10:07:30

【人】 準魔王 マラク

 まあずっと村で一緒に過ごしていたなら>>129人気の少なそうなところに行けばキスだけでは済まなかったであろう。
何せ田舎の村だ。
娯楽などほぼないのだからこう、男女が営みをするのはままあることで――その辺り、壁もそんな厚くない家でもありオープンな環境なのではなかろうか。**
(136) 2026/07/24(Fri) 10:10:51

【人】 大聖女 セレスティア

 
家がどんどん出来上がっていくのは、衣装と違ってみんなに見える物。
そんな中でマラクがそんなことを言われてた>>132なんて知ったら私も真っ赤になってしまっただろうけど、幸いにも此方を見てニコニコ微笑ましげに見つめられただけ。
強いて言えば、「頑張ってね」と腰をポンポンされたくらいだったから、頑張ります、と意味がよくわからないまま笑顔を返していたけど。
 
でも、トイレやお風呂、さらには蒸気部屋>>133の存在を、私は前もって知ることができたかしら?
多分、知ることができたらその時にマラクは旅に出ていたらしい話も聞くのかも知れない。
若しかしたら別の話をされるかも?
だって、都会式のトイレを村の人がどうやって知ったのか、興味あるもの。
お風呂はあって嬉しいけれどね。でも、お湯の中に入るのは初めての時はビックリしたわ。
今は、お湯を沸かして体を布で擦るくらい。
ウソ。
浄化魔法を使うことが多いの。旅の途中で覚えた、清潔を守る方法。でも、こっそり、内緒ね?
お風呂がないから仕方がないんだもん……。お風呂と浄化魔法は、旅で私が覚えてしまった贅沢の一つなの。

とにかく、お風呂を見たら私は驚きと共にものすごく喜ぶ自信がある。
お風呂。お風呂だけは、村になくて残念!と思ったものの一つなんだから!
 
(137) 2026/07/24(Fri) 22:05:42

【人】 大聖女 セレスティア

 
それにしても、聖女と魔王についての噂>>134は不思議と私の耳には届かない。
多分それも、王様の計らいなのだろう。
『魔王の存在を聖女に知られるのも良くない』
『彼の方は秘密裏に聖女をお守りしている』
そんな噂が、あったかも知れない。
況してや自治区のような扱いになっていたなんて、ね。
 
 
そんな日々の中。
(138) 2026/07/24(Fri) 22:06:04

【人】 大聖女 セレスティア

 
「えっ、大丈夫?
 う、うん、……あ、ありがとう?」
 
 
マラクが普通?>>135
噴き出したマラクの背をトントンと軽く叩きつつ、言われたことには首を傾げていた。
可愛さは女の私の方が、は理解できるけど。
やっぱりかっこいいと思うのは、惚れた欲目……?ううん、やっぱりカッコいいと思うの。
優しいのが私にだけ、も違う気がする。
特別に優しいのは、確かにそうかも知れないけど……それは私もマラクに対して、特別に甘い自覚はあるし。
ううん……と首を傾げたまま抱きしめられていたけれど。
 
(139) 2026/07/24(Fri) 22:09:20

【人】 大聖女 セレスティア

 
──人気がない所で、そんな音をたてる誰かがいた時は。>>136
私は赤面して、マラクに場所を変えようって手を引いて逃げ出していただろうけど。
 
そんな後には気まずくなって、でもだから、マラクは紳士なんて言葉が出てきたんだと思うの。**
 
(140) 2026/07/24(Fri) 22:11:05
 




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