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【人】 火澄 七瀬の日記××月〇〇日 『 対価が必要らしいです。 天秤を釣り合わせるために求められたのは、 大切な肉親二人分と、大切な他人一人分。 そう言ったんですよ、神様が。 』 (0) 2023/05/03(Wed) 21:18:17 |
【人】 【NPC】ヒトデ姫 スピカ「 こんなにいい家なのに 誰も住んでないってどういう事なの!??? あ、もしかしてもう人類滅んじゃった? 」 私は、ヒトデ姫スピカ。 本当の名前はηΨ☆λяλ☆Ψηだけど、 おそらく人間に発音は無理ね。諦めなさい。 人間ってば、陸地は自分達のモノだって言わんばかりに 住みやすそうな家をガンガン建てちゃって! ちょー!ちょームカつくから!! 手頃な家を乗っ取ってやろうと侵入したんだけど!!! なんか、空き家っていうの?誰も住んでないみたい。 (2) 2023/05/03(Wed) 21:41:37 |
【人】 【NPC】ヒトデ姫 スピカ「 ま、誰もいないなら使ってあげるわ 人間、感謝なさい!! 」 前回住もうと思った場所は、ダムで沈んじゃったし。 沈んだトコ見た訳じゃないから知らないけどね。 それからはやりたい放題。家の中を海水で満たして ☆の姿でぴちゃぴちゃはしゃいだり 人間には理解できない歌声を響かせたり。 いつしか周囲に噂され、 話題のスポットになってる事なんか 当然、ヒトデの姫たる私は知る由もない。>>0:31 ** (3) 2023/05/03(Wed) 21:41:41 |
【人】 火澄 七瀬「 その、掃除は定期的に行っているので。 埃っぽくもないです。 ベッドのシーツもちゃんと洗っています。 」 これは、身体の弱い禎光に向けて。 気管支などに影響を与える場所ではないし、 彼が体調を崩しても、 休める場所はあるというアピールです。 しかしながら興味を誘うために口にしただけで。 噂になっているのは確かですが、 ヒトデ云々に関しては眉唾物です。 そんな存在がいるとは到底思えません。 (8) 2023/05/03(Wed) 22:15:15 |
【人】 火澄 瀬名「 ヒトデが出る廃屋なんて、 ますます意味分かんないんだけど。 ……海の中にある廃屋じゃないよね? 」 それが流行のスポットになるなんて、 世も末というものではないでしょうか。 だけど ……… (14) 2023/05/04(Thu) 0:16:35 |
【人】 火澄 七瀬「 ありがとう。 そうですね。傘を持って行った方が よいかもしれません。 …… 今日は雨が降りそうですから。 」 今朝の天気予報を思い出すと、空を仰ぎました。 …… 春の冷たい雨に晒されてしまえば、 まだ淡い色で目を楽しませてくれる桜達も、 くすんだ色で、コンクリートに散るのでしょう。 (18) 2023/05/04(Thu) 10:16:24 |
【人】 火澄 七瀬…… かつて私は貴女で、貴女は私でした。 いつも一緒にいて、顔も声も同じ。 そうですね。親が同じ服を好んで着せてしまえば、 私達を見分けるのは難しかったでしょう。 それはきっと、私達自身にも当てはまることで。 確立しない自己を前にすれば、 瀬名は七瀬で、七瀬は瀬名でした。 いつからでしょう。 貴女と私が、別の人間なのだと知ったのは (21) 2023/05/04(Thu) 10:18:14 |
【人】 火澄 七瀬言葉遣いを敬語へと改めたのも、 私と瀬名がべつべつ≠セと知ったからでした。 どうしたって、私と瀬名を間違える人は 存在しましたから。 服装や髪形などで違いを出すこともできたでしょうが。 私にとっては言葉遣いが、 どんな状況でも、何を用いずとも使える、 私達を区別するための装飾品だったのです。 (24) 2023/05/04(Thu) 10:19:01 |
【人】 火澄 七瀬当然です、という顔をして。 彼の耳元へと、そっと内緒の話を寄せたのは 目的地に向かって歩き始めて、 少し経った頃合いだったでしょうか。 丁度1ヶ月前にあったバレンタインデー。 私はそうですね。 禎光へと友チョコを渡していたと思います。 此方へのお返しへの頓着はしていませんが、 大事な妹へのお返しを蔑ろにされてしまうのは …… そうですね。駄目ですね。 彼が大切な幼馴染と言えど、許してはいけないことです。 (26) 2023/05/04(Thu) 10:28:16 |
【人】 火澄 七瀬………… ひょっとしたら、 瀬名は禎光へとバレンタインの贈り物を していない可能性もありますが。 その、別に貰えていなくたって、 お返ししてもいいじゃないですか! ホワイトデー。** (27) 2023/05/04(Thu) 10:28:29 |
【人】 火澄 瀬名かつて私は七瀬で、七瀬は私でした。 生まれた時から……いいえ、生まれる前から 一緒にいるのが当たり前で。 周りにそっくりね∞仲良しね≠ニ言われても、 私がもう一人いるのだから当たり前だとしか思えなくて。 双子ちゃん≠フように呼ばれれば尚、 それは七瀬でも瀬名でも関係のないことでした。 いつからでしょう、 私と貴方が、解離していくことを止められなくなったのは (28) 2023/05/05(Fri) 10:48:21 |
【人】 火澄 瀬名「 禎光!どっちがどっちでしょうか! 」 服装も髪型も揃えて遊びに出掛けた私たちを、 彼は見分けられることができたでしょうか? それは七瀬が敬語を使い始めるまでの間だけ だったかもしれませんけれど。 ***** (30) 2023/05/05(Fri) 10:48:34 |
【人】 火澄 瀬名いつもと違ったのは、 七瀬が用意したものよりも少し良いものだったこと。 友チョコ≠ニは言わずに渡したこと。 それだけです。それだけでした。 (32) 2023/05/05(Fri) 10:50:08 |
【人】 水面 禎光知らない人の家 ≠ニいうワードに 瀬名も、僕と同じく驚きの声をあげた。>>12 けれど ─── 瀬名が想定していたスポットとして 賭博場 ≠竍 怪しげな店 ≠出してくるあたり やっぱり双子なんだな、とふたりの顔を見やった。 ヒトデが出るのは理解した。 >>7 いや、理解できなかったけど話が進まないので頷いた。 どうやら埃っぽくない場所らしいのは有難い、けど。 僕が少し首を傾げたのは、 掃除は定期的に行っている ≠ニいう部分で。 >>8 誰が掃除しているか主語は抜けていたが 瀬名も引っ掛かりを覚えたようで。 >>15 けれど、追及するでもなく賛成するのなら ほらもう 多数派の出来上がりだ。 思い出作りを真っ先に賛成した僕にも反対する理由が無い。 (36) 2023/05/05(Fri) 19:58:24 |
【人】 水面 禎光「 え……? なに言ってるの瀬名 」 だけど、そんな遊びをぶつけるほど 僕らはもう友達だったのなら。 僕に初めて出来た" 友達 "だったのなら ─── 扱いを同じにしていただけで きっともう 間違える事なんて無かったんだよ。 違う名前、姉と妹。繋いだ手は右手と左手。 まばたきのタイミングだって同じじゃない。 やがて、七瀬が敬語を使いだしたりすれば猶更。 彼女達と 共に過ごせば過ごすほど ──── 僕の中で、個々へ抱く感情もまた違いを見せていった。 ***** (39) 2023/05/05(Fri) 19:58:36 |
【人】 水面 禎光もう高校生にもなろうとしているのに 男女3人で寄り添えている僕ら。 それがどうしてかなんて ── 僕は深く考えたコトも無かったんだ。 僕らのささやかな対立はいつだって **敗れたあとも 多数派に混ざる事を許されていたから (41) 2023/05/05(Fri) 19:58:48 |
【人】 火澄 七瀬「 ここにいたのですね、瀬名。 もうすぐバレンタインデーですよね。 今日は一緒に禎光へのチョコを作りませんか? ああ、…… そうなのですね ──── 」 (42) 2023/05/05(Fri) 20:56:24 |
【人】 火澄 七瀬お菓子作りを趣味にしているわけではありません。 私は例年通り、初心者でも失敗しないレシピで、 友チョコの名に恥じない味を贈ったでしょう。 …… 私にとっては、 普段と変わらないバレンタインデー。 エプロンを付けて、湯煎をする私の隣に。 揃いのエプロンを纏う瀬名がいないことを除いては。 (44) 2023/05/05(Fri) 20:57:18 |
【人】 火澄 七瀬「 …… 雨、降ってきましたね。 」 きっとそれは、小雨も小雨で。 地面を1,2滴の粒が叩いた程度。 ヒトデには物足りなかったでしょう。 なのに私は、幸いとばかりに持っていた傘を広げて 曇天の下に、薄紅色の花を咲かせました。 (47) 2023/05/05(Fri) 20:58:58 |
【人】 火澄 七瀬「 ああ、駄目ですよ瀬名。 流行っているからと言って、 賭博場や怪しげな店に出入りをするのは。 貴女は昔から、少々危なっかしいんですから。 」 …… 次に傘を小さく揺らす頃には、 私はお姉ちゃん≠フ顔をして。 妹を見守る眼差しを浮かべていたでしょう。** (49) 2023/05/05(Fri) 20:59:20 |
【人】 火澄 瀬名「 すごいね、禎光。また正解! 今日は間違わせる自信があったのにな。 」 連続正解を止めたいなってお揃いに磨きをかけて 一方で本当は、見分けてほしかったのかもしれません。 だってこんな友達≠ヘ これまでにはいなかったのですから。 ***** (50) 2023/05/06(Sat) 1:11:25 |
【人】 火澄 瀬名小粒の雨が髪を濡らしました。 七瀬の広げた傘が花咲きます。 倣って広げた薄水色は、 曇天に馴染んむ私の心のようでした。 「 …… 別に、私がどこに出入りしたって、 七瀬には関係ないでしょ。 」 決して賭博所や怪しげな店に出入りしてるわけでは…… あーー、怪しげな店くらいはあるかもしれませんが。 それを言うとまた面倒なことになるので、 今は黙っておくことにしました。 (53) 2023/05/06(Sat) 1:12:47 |
【人】 火澄 瀬名兎にも角にも、七瀬の何かあるとすぐに お姉ちゃん≠フ顔をするところに、 私はいつだって納得いっていない顔を返すのでした。 一緒に生まれたのに。ずっと隣にいたのに。 ほんの数分の差が何だっていうのです。 私だってもう他にも、 自宅townや怪しげな店townくらい ひとりで行けるのですから。 ** (54) 2023/05/06(Sat) 1:14:39 |
【人】 水面 禎光彼女達が個々を認めて欲しいのか、同じでいたいのか。 それは 長年傍で見てきた僕にも分からない。 言葉の口調を変え、今だって咲かせた傘は違う色。 その一方でお姉ちゃん≠フ顔をすれば 妹≠ヘ不満を目いっぱい含めて反発する。 どう扱われたいのか、なんて聞いたところで無意味だろう。 数式や化学式のように整然とした解を 彼女達自身、持ち合わせていないと思うから。 (55) 2023/05/06(Sat) 5:26:22 |
【人】 水面 禎光「 ねえ、瀬名 ……傘貸してくれない? ほら …… 僕、病弱だからさ 」 ぽつ、ぽつと雨が地面を濡らし始めれば 僕が視線を向けたのは、傘に隠れた七瀬の表情ではなく いつの間にか空を覆っていた灰色の雲で。 彼女達が傘を持っていたから どこかで雨が降るんだろうとは思っていたけど、 天気予報を知らない僕は 当然傘の持ち合わせがない。 僕がどちらかの傘に潜り込んでもいいけど、 背の高い僕が1本借りて 同じ背丈の彼女達が相合傘をするのが一番濡れないだろう。 (56) 2023/05/06(Sat) 5:26:26 |
【人】 水面 禎光 ちなみに ─── 今の僕は、彼女達が思うほど病弱ってわけでもない。 引っ越してきた当時は まだ少し入院もしたけど 友達≠ニ外で過ごすようになってからは 少しづつ体力もついてきて、 中学では普通に体育の授業もこなしている。 "身体が丈夫じゃないから無理をさせないように"って 僕と遊ぶとき、彼女達の母親が何度も釘をさしていたから きっと今でもその印象が強いんだろうね。 自虐ネタとして冗談に使える程過ごせるようになったのは 紛れも無く、彼女達のおかげなんだよ。 (57) 2023/05/06(Sat) 5:26:29 |
【人】 水面 禎光僕は、半ば強引に瀬名から薄水色の傘を借り受けると 押し込むように瀬名を七瀬の傘の中に入れようと。 ふたりでひとつの傘 ─── ああ、そうだね。 同じがいいのか、個々がいいのか。 相合傘に押し込んだり、別々のお返しを用意したり 僕だって、答えなんか持ち合わせていなかった。** (58) 2023/05/06(Sat) 5:26:32 |
【人】 火澄 七瀬全身を濡らすには及ばない雨。 それでも互いに傘を開いた分、 私達の距離を開かせるのには十分で。 「 …… 禎光? ああ、それは。 仕方がないですね。 禎光は ─── 身体が弱いのですから。 」 だから、瀬名の手から傘が離れて、 唐突に彼女が私の隣へと飛び込んでくれば。 縮んだ距離に、思わず心臓を跳ねさせました。 (62) 2023/05/06(Sat) 10:41:42 |
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