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![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[バッキンガムの裸の胸に指を添わせる。 立てた指先で、心の臓が収まる左胸をつっと撫で下ろす。 観客席からは、丁度真横からその様が見えるだろう。] 陛下の嘆きは、 私の嘆きだ……── [嘯きながら男の身体にゆっくりと乗り上げる。 下半身は、毛布に隠れて見えない。 腰に回させたバッキンガムの腕が、二人の肌の境目を隠す。] (0) 2026/08/17(Mon) 0:07:04 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛父上の哀しみは、俺の──………… [睫毛がしとりと臥せられるのと同時、 声が細く掠れて消える。 リチャードの手は、バッキンガムの腰に添うている。 白い背がしなる。長い髪が波打つ。 本番を迎えれば、寝台が軋む音も聞こえるだろう。*] (1) 2026/08/17(Mon) 0:16:50 |
![]() | 【人】 七川 惺[始めはリチャードの隣から 次には肩を抱いてほぼ背面から手を回していたのだが リチャードがくるりと姿勢を変えて、向き合う形となる。 そうすれば、攻守逆転だ。 ひんやりとしたナイフのような指で 左胸を撫でおろされる。] ……ッ。 [声を上げそうになったが、唇を引き結んで堪えた。 本番では、俺は下半身に肌色のホーズを付けている。 今は黒い厚手のタイツで代用しているが リチャードに導かれて腰に回した腕のせいで 毛布の下に隠れた肌も、 上半身と地続きの素肌でいるように見えるだろう。] (2) 2026/08/17(Mon) 0:28:06 |
![]() | 【人】 七川 惺[毛布で隠れている分 観客の想像力を掻き立てるのではないか。] あんたの嘆きを、 あんたの、哀しみを、 俺で埋めることが、できる、の、なら。 [声が途切れ途切れになるのも、演技のうち の、はず。 万一タイツが見えないように、観客側の手は固定し 観客から見えない側の手で、 悠凛≒リチャードの脇腹から腰、 太腿まで撫でおろした。*] (3) 2026/08/17(Mon) 0:42:09 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[俺で埋めることができるのなら、と 切れ切れに訴えるバッキンガムに、 リチャードは満足げに口端を撓めてみせる。] ふ、 お前にしか、出来ないこと、だ…… [凛とよく通る声が、今は揺れている。 枝垂れるようにその胸に身体を預けて、 リチャードはバッキンガムの耳元に唇を寄せる。 実兄を亡き者にするための猛毒を、 その耳に甘く流し込むかのように。] (4) 2026/08/17(Mon) 1:02:57 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[このシーンは途中から観ていた。 だから今日が上半身裸になって熱演するのは 私の知らないことだったんだが。 ……息子が額から脂汗流してるようだったからね。 小ホールのロッカーから、 ボクサーが羽織るような長衣を二対取り出した。] 今日はそこまででいいよ。 ……はい、お疲れ様。 [やれやれ、だな。明日から薬飲んで来いよ。**] (5) 2026/08/17(Mon) 1:03:17 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[耳元で惺を煽って、ふわりと微笑む。 ……ああ、愉しいな。 ぎりぎりの綱渡りの高揚感。 じきに本番の舞台の上での掛け合いを、惺と演れる。 返ってきた答えは、今日の謝罪と明日の約束。 惺の耳にだけ届くよう、ち、と微かに舌を鳴らして、 リチャードとして鷹揚な笑みを浮かべてみせる。 いいよ、今日は許す。 代わりに頬に片手を添えて、誓約の口付けを深く重ねる。] (7) 2026/08/17(Mon) 16:44:51 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[途中から七川先生が観ていたのには気づいていた。 今日はそこまでと声がかかったから、 惺の唇を解放してやって、未だ濡れた唇で はい、と返事をする。 最前列に招んだ親や姉の目前で演るようなことも、 顔見知りと演ることにも慣れているから、お父さんの前で 大事な一人息子にあれこれした後でもあまり羞恥はない。 プライベートで目撃された訳じゃないからね。 だから、「特に悠凛君の最後の演技、よかったよ」と お義父さんに濡れ場に言及されても、 「でした?」と普段通りの調子で答える。] お疲れ様、惺。 [惺は俺に乗っかられてるから、先生から二人分のガウンを 受け取って、惺の肩に先に着せてやる。 相手女の子じゃないけどつい癖で。] (8) 2026/08/17(Mon) 17:33:33 |
![]() | 【人】 七川 惺[周りをよく見渡せる余裕なんか全然なかったけど 何となく空気っていうのは伝わって 最前で観てたスタッフさん二〜三名、 男性スタッフでまだ良かった 迫真すぎるのでは?っていう雰囲気があった。 そこへ親父がやってきて、さっきの台詞。>>6 それを悠凛が「でした?」って普通に返したので 張り詰めた空気が和んだ。] 「……あ、ああ。すごい熱演でしたね?」 「手に汗握っちゃいました……良かったです。」 「俺は冗談抜きで額に汗が滲んでたみたいだ。 …親父も若い頃一寸役者をやってたらしいし、 勿論演出の経験は長いから場数も踏んでいて、 ステージ慣れした悠凛とのやりとりは、 期せずして息の合ったパフォーマンスだったといえる。] (9) 2026/08/17(Mon) 21:12:36 |
![]() | 【人】 七川 惺[ふわっとガウンを着せ掛ける 優しげな手つきを見た周りの反応は、 俺からみた初見の感想とは全く違って見えたようで。] 「さっきまでの熱帯夜のような空気とは一転、 微笑ましいですね。」 「舞台経験の豊富な悠凛君が 舞台初体験の惺君を気遣ってるんでしょう。」 「高校、同じだったそうだし、同学年だし。 仲いいんですね。] [……何とか立て直して、ガウンの紐を自分で結ぶ。 もしかしたら、悠凛が手を差し伸べて 立ち上がるのを補助してくれたかな。 何にせよ、大人しくリードされた。 しょうがねーよな、誕生日は先に来たけど 経験値の差はデカい。] お疲れ様です。ありがとうございました。 [周りのスタッフさんに礼を言う……親父にも。] (10) 2026/08/17(Mon) 21:37:43 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[俺達の作った空気に少し飲まれたような スタッフさん達の反応に笑って、 「良かったです、どーも」と軽く返す。>>9 惺と俺との関係が、演技に迫真を持たせる方向に 働くってんならそれも好都合。 これからパンフの撮り直しや取材もあるし、 あの二人仲良過ぎない?って噂立つくらいで 前宣伝には丁度良い。 あんまりやり過ぎると、本気で疑われちゃう 可能性もあるけどね。 懸念も危険要素もあるのに、“楽しい”と今思っている。 何か追い込まれるような事があった時に、 リヒトに「何でお前ちょっと楽しそうなんだ?」と 何とも言えない顔で突っ込まれることがある。 逆境をつい愉しんでしまう図太さは、俺の性なんだろう。 そんなことを考えてるうちに、身体はもう治まっている。 うん、問題なし。 キスの後で逆に乾いた唇をぺろっと舐めて頷く。] (11) 2026/08/17(Mon) 22:17:44 |
![]() | 【人】 七川 惺[悠凛がキスの後で自分の唇をぺろっと舐める。 楽しそうにしている時の癖……なら、俺も嬉しいんだよ。 身体は治まってる。 行動や身体が先で、思考や心が後から追いついてくる。 ……まあ、いつものことではある。 雑談を続けた時間はそんなに長くなかったと思う。 さっき思い描いた姿とは逆に、 俺の方が悠凛に手を伸ばしたかな。 ふざけてるみたいな口調で。] お手をどうぞ、マイ・ロード。 [そうして、小ホールを後にした。 ──舞台稽古の日も近い。*] (12) 2026/08/17(Mon) 23:15:51 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[稽古上がりに、恋人に手を求められた。 付き合い始めた日の夜、 初めて惺に誘われた時みたいに。] ……ん。 [目を眇めて、お手するみたいにぽんと片手を乗せる。 お疲れ様でしたー!と改めて周りに声をかけて、 ぱっと手を離すと先に立って歩き出す。 控室で着替えて荷物を回収する時、 どうしても数時間前のことを思い出した。 ちらりと惺を見上げたけど、何も言わなかった。] (14) 2026/08/18(Tue) 0:02:12 |
![]() | 【人】 七川 惺お手かよーーー! つれない、マイ・ロード! [周り中が笑いさざめく中、 悠凛の後を追って控室に向かった。 パーテーションの陰から荷物を回収する時 中に入っているフェイスタオルのことを想い出す。 悠凛と目が合えば、じ、と一瞬見つめて。 さすがにこの後上がりのキャストも入って来るから 抱きしめたいのに抱きしめれないジレンマ。] (16) 2026/08/18(Tue) 0:30:21 |
![]() | 【人】 七川 幸臣──Refuse not, mighty lord, this proffer'd love.── 「この愛の捧げ物、どうか拒絶なさいませんよう。」 [ある訳者はそう訳した。 シェークスピア『リチャード三世』、バッキンガムの台詞だ。 この台詞はこのまま使わせて頂こう。 原典では以下の有名な場面で発せられる。 ロンドンのベイナーズ城のバルコニーに リチャードが宗教書を手に現れ、市民が王位就任の要請すれば リチャードは一度は辞退・拒絶する。 それに対し、バッキンガムが 「市民たちのこの愛(忠誠)の捧げ物を拒みなさいますな」 と促し、ケイツビーらがそれに同調する。 この台詞を、私の台本では 別のシーンでも使うことにしようと思う。] (17) 2026/08/18(Tue) 12:24:32 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[思い起こせば。 オープニングアクト以外でバッキンガムの初登場シーン。>>3:30 華岡君がバッキンガムの時には リチャードは摘み取った薔薇を手渡すだけの予定だった。 だが華岡君の怪我で惺が代役に決まり 惺が演じたバッキンガムは、より“少年”らしかった。 よく言えば初々しく、悪く言えば幼い。 その変化に合わせ、悠凛君がアドリブで リチャードの行動を変えたのは素晴らしかった。 望まぬ結婚式を翌日に控え 本音を垣間見せてしまう少年を窘め、 その服の胸にブートニアのように白薔薇を飾る。 “憧れそのもの”によって“望まぬもの”へと 送り出される少年バッキンガム。 “己の力のなさを呪った”のは>>3:46 早く大人になりたかったからだ──初恋を得て。 華岡君の演技はもっとクールだった。 解釈も違ったのだろう。 対して惺の演技は悠凛君の演技に引っ張り上げられて 少年の切なさ、もどかしさを表現するに至っていた。*] (18) 2026/08/18(Tue) 12:27:38 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[余談だが舞台では描かれていない話を少し。 史実ではバッキンガムが結婚させられたのは 11歳(12歳とも、9歳とも。歴史上では誤差の範囲内だな)。 妻となったキャサリン・ウッドヴィルはもっと幼い。 この政略結婚でバッキンガムは ウッドヴィル家を憎むようになり、 のちにエドワード4世の後継争いでリチャード側についた、 との記録もあるほどだ。 いずれにしてもお飾りのようにして始まった夫婦だった。 幼妻に罪はないと思うが、 物語上では夫婦仲は最初から冷え切っていた。 結婚して数年後に妻が初潮を迎えた後、 (リチャードと禁断の誓約を結ぶまでは) バッキンガムはリチャードを心に想い浮かべながら 妻を抱いていたのでは、というのは 後にSNSの舞台考察版がさざめいていた話題の一つだ。*] (19) 2026/08/18(Tue) 13:25:18 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[話を舞台のストーリーに戻そう。 女色にふける現王、長兄エドワード。>>4:15 父親ゆずりの金髪の美男、若くして戦場を駆けた武勇。 それまで誰もが王にふさわしいと 認めていたその太陽は、今は落日寸前の輝きを残すのみ。 その身を病が襲い、かの王が斃れる日も近い、 後継は誰かとの話題がポツリポツリと上る様になる。 次兄クレランス公が摂政となり エドワード5世(兄王の息子)を支えるのか。 それともクレランス公・次兄ジョージ自身が…… クレランス公自身は、野心家でもなく 王の器でもなかった。 ただ、おだてに乗りやすい性質と 誑かされやすい心の弱さがあった。 一度は舅であるウォリック伯の誘いに乗ったのが その証左である。 しかしその人の好さからか、母親に偏愛され 妻のイザベル・ネヴィル(アンの姉妹)からは 深く愛されていた。] (20) 2026/08/18(Tue) 14:28:14 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[ただでさえリチャードの王位継承権はジョージの次。 リチャードに王冠を被せるのには邪魔だった。 それに加えて、先の戦いでウォリック伯が戦死したため イザベルが爵位と財産を継承した。 夫が妻の財産・爵位を代行できたので ジョージもそれらを得、王に次ぐ力を持った。 しかしその後、 ランカスター家の王太子の寡婦であったアンが リチャードと結婚したため ウォリック伯の財産相続をめぐって ジョージとリチャードが対立する構図が出来上がる。 だがイザベルが男子を出産した後、死亡。 アンが二人の子供を引き取った。 ジョージは相続争いに敗れた。 元々酒豪だった彼は、度を越して酒に溺れた。 妻を亡くした喪失感からか、精神的に不安定にもなった。 と言う背景があっての、昨日の稽古の密談シーンだ。**] (21) 2026/08/18(Tue) 14:36:19 |
![]() | 【人】 七川 惺 ── 舞台稽古開始 ── [立稽古で、初めての濡れ場体験で色々と反省して。 悠凛のマンションに帰ってからもなんやかんやあって。 翌日から抑制剤を飲むのは勿論のこと、 バレエで使う前パッド入りのダンスベルトを着用して いくらか対策を立ててはみた。 半裸の番を前にしてどれだけ効果があるか知らないが 少なくとも精神安定剤代わりにはなるだろ? 後は舞台稽古になってエチュード用の衣装が 全部できてきたから、俺はだいたいは長衣で 時々甲冑だ。うん、万全。 まだゲネプロみたいな通し稽古じゃなくて リハーサルだから、途中でやめたりやり直しもきく。 今は、この間の密談の後のシーンから。] (22) 2026/08/18(Tue) 16:06:09 |
![]() | 【人】 七川 惺[暗転の後、半裸の上からバサッと長衣を羽織る。] ウォリック伯リチャード・ネヴィルは バーネットの戦いで俺が亡き者にし 王太子エドワードは テュークスベリーの戦いであんたが殺した。 戦闘中、情け容赦なく敵を打ち取るのは誉であり 後ろ指を指される謂れは何もない。 けれども今や蹄の音は鎮まり、 しかも相手は獅子身中の虫。 [肉親殺し…と、はっきり言葉にはしないが 観客にも通じるだろう。] まずは図り事を。 ……王になる者が自ら手を汚すことはない。 [バッキンガムは計画の概要をリチャードに耳打ちする。] (23) 2026/08/18(Tue) 16:41:40 |
![]() | 【人】 七川 惺[その後、ジョージを陥れる計画が着々と進められ、 謀反の嫌疑をかけ、 兄王エドワードに「ジョージを処刑せよ」と 言わせるように誘導する。 計画は成った…かのように見えたが、 裁判もなくジョージをロンドン塔に送った後に 母親に懇願され、エドワードが兄弟の情にほだされ後悔し、 内内に撤回命令を出す。 撤回命令が届く前に、処刑は執行されなければならないと バッキンガム、リチャード、ケイツビー、 それに途中から計画に加わったティレルが 二手に分かれて動く。 差し入れと称して巨大なワインの酒樽を ジョージに届けたのは 顔をまだあまり知られていないティレル、と その影からフードを目深に被ったバッキンガム。 ……実行犯は、ティレルの役目だった。 バッキンガムは見届け役のはず、だった。] (24) 2026/08/18(Tue) 17:08:03 |
![]() | 【人】 七川 惺[ふとしたことから、 ジョージとティレルがもみ合いになる。 影から飛び出すバッキンガム。 横合いから、護身用のナイフとおぼしき得物で ジョージの脇腹を刺した。 小さく叫び声をあげようとするジョージの口を ティレルの手が塞ぐ。] 最初の、計画通りに。 [ジョージは上蓋を割られたワインに首をつっこまれ やがて動かなくなる。 ちゃんとした裁判も受けられず ちゃんとした処刑も行われず ……溺死である。 記録には、処刑、と残された。] (25) 2026/08/18(Tue) 17:19:21 |
![]() | 【人】 七川 惺[その後、リチャードの下に戻り まだ血を拭きとっていないナイフを布の上に乗せ 恭しくリチャードの前に差し出す。] ……俺が、クレランス公を最初に刺した。 ──この忠誠の捧げ物、どうか拒絶なさいませんよう。 (26) 2026/08/18(Tue) 17:40:41 |
![]() | 【人】 七川 惺[それから暫くして、観客の方に向いて独白。] 咄嗟に身体が動いてしまった。 ケイツビーは見返りを求めない献身を捧げ。 アンは遺産で権力を支えている。 俺はリチャードの肉親殺しの実行犯となることで 彼らとは違う形でリチャードの魂深く近づきたかった。 今後万一ことが露見した場合は、 俺の目立つ長身が罪の証左となるかもしれない。 その時は、俺 が ……反逆の罪を担おう。 (27) 2026/08/18(Tue) 17:43:41 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[バッキンガムに直接手を下させる気はなかった。 戦場で敵兵を討ち取るのとは訳が違う。 血塗られたナイフを見つめ、 やがてバッキンガムの顔へと視線を持ち上げる。] よくやった、が── 刺したのはおまえではない。 次は、その手を血で汚すな。 [もしもの際は身代わりを立てるよう示唆すると共に、 バッキンガムが実行犯になる必要はないと戒める。 それは、傍近くに置くバッキンガム本人に 嫌疑がかかり、自分に累が及ばぬようにともとれる。 ──或いは。] (29) 2026/08/18(Tue) 21:04:08 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛後始末は抜かりなくな。 [血で汚れたナイフを見遣り、念を押す。 バッキンガムがここに居るということは、 もう片がついたのだろうが。 護身用に見えるナイフに、手を伸ばすことはない。] その後で、今宵はお前を労おう。 ……何が欲しい? [書斎の椅子から立ち上がって歩み寄り、 その輪郭を指先で辿りながら尋ねる。 答えは分かっているというように、微笑を浮かべて。*] (30) 2026/08/18(Tue) 21:20:23 |
![]() | 【人】 七川 惺証拠はない。でも反証もない。 疑わしきは罰する。 そうできる布石を敷いておきましょう。 [リヴァースを謀反人に仕立て上げ 現王妃エリザベスと、その二人の王子を幽閉する布石に。] あんたの害になるものは、 すべからく王宮から遠ざけよう。 [敬語と、気安い言葉が入り混じる。 布にくるんだナイフを、元の箱の中に戻して机に置く。 “何が欲しい”かと問われて 何とも言えない、苦しそうな顔を、一瞬だけ浮かべる。 あんたの愛だ、とは言えない。 身体だけでなく、心も欲しい。 いつからだろう、そう思うようになったのは。 ──悪魔に、心はいらないのに。 ──悪魔から、心をもらえるはずはないのに。 そんな心の葛藤を表現できているだろうか、俺に。 ] (32) 2026/08/18(Tue) 21:45:52 |
![]() | 【人】 七川 惺[けれども、一瞬浮かべた複雑な表情はすぐかき消して。] 今宵も、あんたの隣で、束の間の夢を。 [そうして、リチャードの瞳を見つめたまま 背中を少し折り曲げ、片方の手を持ち上げ。 手の甲に唇を落とす。渇望は隠して恭しく。*] (33) 2026/08/18(Tue) 21:55:22 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[貴人に礼をとる恭しさで、バッキンガムが手の甲に口づける。 人前でもそれを許される、卑しからぬ身分を持つ男だ。 微かにリチャードの口端が上がる。 バッキンガムを見下ろす目は、いつになく柔らかい。] … 叶えよう。 [戯れにその手を掬い上げ、 手と手を合わせるようにしてから指を折る。 バッキンガムの指股に差し込まれる指。 何でもなかったようにその手を下ろして、 先に立って寝台へと向かう。 寝台の天蓋の陰へと、二人の姿が半ば消える。*] (35) 2026/08/18(Tue) 22:20:24 |
![]() | 【人】 七川 惺[ジョージ暗殺から、まだあまり時を置いていない。 絶命して暫くしてから抜いたナイフに血糊はついていたが、 返り血を浴びてマントを汚すということはなかった。 溺死させるのは主にティレルがやったので ワインの汚れや匂いが着くこともなかった。 目深なフードが着いたマントを脱ぎ ロンドン塔の庭土を踏みしめた靴も脱げば 光を反射する装飾一つない黒一色の長衣だった。 それ以上は着替えずにリチャードの部屋に来た。 意識したつもりはなかったが、あえて、だったのだろう。 人一人殺した後の興奮と、これからの決意を 伝えるためというのは大げさだが。 水浴びもせず、一刻も早くリチャードに会いたかった。 周囲に怪しまれないよう最低限度の時間をあけて、 ここに来たのだ。 天蓋つきの寝台、半ば開いたカーテンの後ろ側から 黒い長衣が揺れて、解かれてゆくのが見えるだろう。 リチャードの服は、今日もチュニックだったか どうだったか。*] (36) 2026/08/18(Tue) 22:46:43 |
![]() | 【人】 七川 惺[このシーンは観客側からは主に、 シルエットだけが見える演出になっている。 天蓋カーテンの向こう側から ゆらめく蒼い炎の灯でシルエットを透かしている。 僅かに開いたカーテンの隙間から、 腕や脚は見えるかもしれない。] ……似てないな、あんたと。 あんたの所の幼子は、 ランカスターの王太子、前夫の胤じゃないか、 一部の奴らがそう噂してる。 [声は、響く。*] (37) 2026/08/18(Tue) 23:04:38 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[タッセルでゆったりと纏められたカーテンの向こうで、 黒一色の長衣を纏った身体が傾ぐ。 横たわったリチャードの身体はあまり見えないが、 チュニックの緩い裾が捲れ上がり、 すんなり突き出た白い腕が黒衣へと伸びる。 前を解かれ、剥かれていくバッキンガムの裸体。 その手がリチャードの服にかかる前に、 白い手に包まれ、引き寄せられた。 リチャードへと覆い被さる一瞬、 バッキンガムの横顔を、観客は盗み見ることになる。 徐々に暗転してゆく寝室。 リチャードの、どこか無邪気な忍び笑いが漏れ聞こえる。] (38) 2026/08/18(Tue) 23:12:02 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[やがて、カーテンの内側だけが明るく灯る。 今は閉ざされたカーテンに、青い炎が ゆらゆらと照らし出す二つのシルエット。] ……そう見たい者の目には、 そう見えるだろうな。 実際の所は、誰にも分からない。 私にも、アンにも。 [エドワード王太子が亡くなってからさして間を置かず、 リチャードはアンを娶っている。] おまえの目にも、そう見えるか? [リチャードはそう問い返す。*] (39) 2026/08/18(Tue) 23:19:54 |
![]() | 【人】 七川 惺[暗転したあと、どちらともつかない 甘い息遣いが聞こえる。 やがて、苦悩があろうとなかろうと、 満足してしまう身体が、悦に打ち震える、 そんな男の声が漏れ聞こえるだろうか。 そうして青い炎が灯る。 二人のシルエットは、寝台の上に半身を起こしていたか。 もしかしたら、長身の男がもう一人の男を 後ろから抱きしめている、そんなシルエットだ。] 俺には、まだわからない。 お前も外見は父に似ておらず 似たような噂が流れていたが。 お前はお前の父と等しく凛々しい魂を持っていた。 俺は、信じている。 (40) 2026/08/18(Tue) 23:41:03 |
![]() | 【人】 七川 惺だから…… [それから暫く台詞に間が開く。] そいつらを黙らせる方法があるぞ。 第二子をもうけることだ。 アンとの仲が揺るぎないものだと、思わせることだ。 万が一……廃嫡するとしたら、その後でいい。* (41) 2026/08/18(Tue) 23:42:53 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[リチャードの声が持つ凛とした響きは、 今はなりを潜めている。 気だるげな、どこか甘い声。 声は二人分聞こえるが、 人影は緩く重なり、離れない。] “信じている”…か。 いかにも無責任な響きだ。 そう思っているのはおまえくらいだろうな。 [くすりと笑み交じりに揶揄する声。 高潔だった父を悪魔と等しく凛々しいなどと。 血を分けたかは定かでないが、共に育った兄を謀殺した リチャードは、今や悪名を体現している。] (42) 2026/08/19(Wed) 0:02:49 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[バッキンガムの勧めにリチャードが言葉を継ぐまでの間は、 バッキンガムのそれより短かった。] …そうだな。 俺もそれは考えていた。 いずれその時が来れば、 彼女には確実に私の“世継ぎ”を 産んでもらわねばならない。 [即位すれば、それは王と王妃の務めだ。 最近はアンへの訪いが間遠になっているが、 元より二人の婚姻は白い結婚ではない。*] (43) 2026/08/19(Wed) 0:09:26 |
![]() | 【人】 七川 惺[リチャードを王に伸し上げる。 そしてリチャードの王国を盤石にする。 そのためには……確固たる“世継ぎ”が必用だ。] ……ああ、お前の将来のために。 必要なことだ。 [そう言ってから、遠くない未来を予見した。 口火を切ったのは俺の方だ。 なのに、リチャードから同じ応えを聞けば 胸が苦しい。 独白ではないその気持ちを、 声の響き一つに乗せなければならない。 その辛さを埋めるように、リチャードを強く抱きしめる。 シルエットは、全き一つになっただろうか。 それとも、ならなかっただろうか。*] (44) 2026/08/19(Wed) 0:19:59 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[静かな声が応える。] ──…おまえの望む通りにしよう。 [それはバッキンガムの勧めたことか、 或いは続いた話のことか。] おまえが私に望んだ先が叶えば、 おまえの影を誰にも踏ませはしない。 茨に縛られ牙を研ぎ続けた日々に、 報いを与えよう。 [抱き締める腕にリチャードの身体は、 隙間なく囲われる。*] (45) 2026/08/19(Wed) 0:35:32 |
![]() | 【人】 七川 惺[それからまた、暫くして暗転。 再び灯りが灯った時には、服を着たバッキンガムが一人。 実際には、天蓋付きのベッドは片付けられておらず、 バッキンガムだけにスポットライトが当たっているのだ。 ここで独白。] ──“報い”とは。 愛をくれないのなら、死を与えてくれ。 その日から俺の心の奥に そんな想いが巣食い始めた──…。** (46) 2026/08/19(Wed) 0:50:22 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[TVドラマ撮影の時はそれほどでもなかったが 今回の惺の演技はまさに“劇場型”だ。 元々感情の起伏が激しいタイプで顔に出やすい。 日本人としては飛びぬけて背が高いのもあり 手足の長さも加わって演技がデカくなる。 路傍の石になるには存在感がありすぎるのだ。 通行人として舞台に上げてくれと頼まれた時 長身を活かせるモデルなっとけと言ったのは 先に“型”を学ばせたかったというのが大きい。 まずは指示通りに無駄なく美しく動けるように。 演技を制御できるように。 SHOUの仕事ではそれができるようになったようだが 悠凛君が相手だと、ともすればすぐ素が出るようだな。 ……だが、悪くない。>>4:37、>>4:38 二人のケミストリーを活かせる方向に 二人以外のキャストに支障を与えない範囲内で 演出を変えていこうと思う。 アドリブやインシデントにも対応できるよう スタッフにも言い含めておこう。] (48) 2026/08/19(Wed) 12:43:22 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[狂言回しは必ずしも主役でなくてよい。 原典の主役のリチャードは 狂言回しの役割を強くかねているが この舞台のリチャードは内心を語らずミステリアスである。 最初から主演として念頭にあった、 悠凛君の表現力を見込んでのことでもある。 狂言回しのもう一方の役割、narratorとしての機能は リチャードに最初から最後まで付き従う ケイツビーが担っている。 台詞が、出演キャストの中で一番多い。 惺の独白は、主に観客に感情移入してもらうためにある。 華岡君に渡していた脚本はもう少し独白が少なかった。 惺バッキンガムにあて書きして寄せたともいえるが 惺が開演までに演技のみで表現できるようになれば もう少しコンパクトに戻してもいいだろう。 閑話休題。] (49) 2026/08/19(Wed) 12:49:47 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[舞台セットのバルコニーの仕上がりが予定より遅れている。 ロンドンのベイナーズ城バルコニーでの演説シーンは 今日は飛ばして、ウェストミンスター寺院での、 リチャードの戴冠式から、リハーサルを続けてみよう。 バッキンガムが不審の種を撒いてから暫くして>>31、>>32 リチャードの兄、エドワード四世がついに身罷った。 エドワードの忘れ形見である当時12歳のエドワード5世を 擁立するにあたり、まず力を持つのは 前王の妻エリザベスの実家ウッドヴィル家。 弟のリヴァースが摂政になるのが最終力であった。 しかし彼はジョージ殺しの嫌疑で リチャードとバッキンガムに拘禁される。 ついにリチャードは エドワード5世を補佐するための護国卿(摂政)となった。 だがその期間は短かった。それからわずか数か月後。 前王エドワードはエリザベスと重婚していた、 だから結婚は無効、よってその息子に王たる資格なし。 僅かな証言を拾い集め、そんな計画の図面が描かれた。 ここに(今日は飛ばす)バルコニーのシーンが挟まれる。] (50) 2026/08/19(Wed) 13:09:17 |
![]() | 【人】 七川 幸臣[血生臭い権謀術数の裏側で アンはリチャードに献身的に尽くす。 リチャードとアンの絆は深まってゆく。 少なくともアンの側からはそう見える。 実際、王位簒奪の戦略的には必要なことだった。 そうして戴冠式のシーンだ──…。**] (51) 2026/08/19(Wed) 13:16:03 |
![]() | 【人】 七川 惺[バーネットの戦いとテュークスベリーの戦いは>>23 同年の一月違い。 バッキンガム17歳、リチャード19歳の時だった。 戴冠式まで、史実では実に12年の月日が流れている。 舞台ではそこまで年表を忠実に再現していないとはいえ 少年の日の出会いから数えれば、もっと長い月日を。>>3:33 清らかな憧れと。 誓約してからは、忠誠と愛欲の日々とを。 想い出さずにはいられない。] 寝台を共にすることは、 この頃ではもうほとんどない。 ……それは王妃様のために、と遠慮した。 [それでもまだ、戴冠式までは……。 昇殿のための支度をしながら独り言ちる。 リチャードの即位を支える最大の腹心として。>>45 ベルベットのマントの引き裾を持つ役割がある。 ──王と王妃はTwin Thronesに並ぶ。*] (52) 2026/08/19(Wed) 16:44:29 |
![]() | 【人】 七川 惺[戴冠式当日。 リチャードの儀礼用のマントを外すのを手伝う。 その後、掬うように片手を取って、 その手の甲に一度キスを捧げる。] この__ の 捧げ物、どうか拒絶なさいませんよう。[俺はもうこれ以上聖域に踏み込めない。 臣下として留まる。 悪魔として止まる。 ]どうぞ、王妃様もご一緒に……。 [やがて、王と王妃に、冠が被せられるのを離れて見つめる。 ──ああ、輝くようだ。*] (53) 2026/08/19(Wed) 17:50:55 |
![]() | 【人】 七川 惺[寺院の傍の離宮で、即位の晩餐会が開かれた。 食事が終われば、小舞踏会に移行する。 Twin Thronesから立ち上がり、 踊り始めた二人を見届ければ、俺は席を立った。 そういえば結婚式の披露宴でも、 二人は楽し気に踊っていたっけ。] 踊りはあまり得意でないと、 よく言ったものだ。 [悪態ともつかぬ抑揚のない言葉を吐いて 入退室の扉を潜る。 暫く歩いてゆくと、物陰から潜めた声が聞こえる。 どうやら、アンの傍仕えの侍女達のようだ。] (54) 2026/08/19(Wed) 18:36:23 |
![]() | 【人】 七川 惺「……ご懐妊、かもしれないわ。」 「え、やっぱりそう?」 「良かった!お二人目がなかなかできないから 気をもんでいたのよ。」 「あ、これはバッキンガム公…、失礼を。」 [二人に見つかった俺は、唇の片側をやや釣り上げて 微苦笑をする。] いや。今日のこの日に、二重にめでたい話を聞いた。 [他言無用、とは言わない。密かに広めてもらうといい。 おしゃべりを咎められなくて良かっただの、 バッキンガム公は陛下の右腕だから大丈夫よ、だの。 背中でさざめく声を聞きながら、足早に歩く。] (55) 2026/08/19(Wed) 18:38:13 |
![]() | 【人】 七川 惺[客席に向かって。] ……そう。俺は王の隣に座る半身ではない。 せいぜいが、右腕。 ルシフェルは許されて神の代理人となり 俺達の野望は成った。 メフィストフェレスはもう、いらない。 いらないどころか、これからはもう、邪魔なだけだ。 [厩舎へと向かい、行先を厩の番人に告げる。 「ちょっと借りるぞ。近くの森で風に当たって 酔いを醒ましてくる」とだけ。 森には湖がある。 現代の地図上ではセント・ジェームズ・パークがモデルだが 後に出てくるディーンの森とそっくり同じセットだ。 夏だ── 頭を冷やす水浴びにちょうどいいかもしれない。**] (56) 2026/08/19(Wed) 18:49:09 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[──ここに来るまで長かった。>>52 手の届くはずのなかった玉座が、今そこにある。 王位までの道のりの難を排すべく尽力したのは、 リチャードの右腕と謳われるバッキンガムだ。 エドワード4世の即位とヘンリー6世の復位に 貢献したウォリック伯に続く、キングメイカー。 少年の日にバッキンガムがリチャードに 見出した望みは、今日叶う。 深紅の絹のシャツとサテンのホーズを身に着け、 毛皮の縁取りのついたベルベットのマントの裾を引いて、 ウェストミンスター寺院の身廊を一歩一歩歩む。 その長い裾を持つのは、戴冠式で大侍従を務める バッキンガムの役目だ。 リチャードのマントを外したバッキンガムが、 その手をとってキスを捧げる。 厳粛な雰囲気の中、二人の目線が一瞬絡む。 リチャードの口端が、微かに笑みの形に撓んだ。] (57) 2026/08/19(Wed) 21:10:54 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[その言葉をバッキンガムが最初に捧げた夜から、 数年が経った。>>53 ──拒絶するなら、とうにしている。 静かに退がり傍を離れていくバッキンガムを、 儀式の主役である新王が振り返ることはない。 宣誓の後、胸と肩に聖油を塗布され、 王杖が、指輪が、剣が捧げられ。 いよいよその時が来る。 参列した貴族達が息を殺して見守る中、 玉座の前で跪くリチャードの頭上に、 カンタベリー大司教の手で王冠が授けられた。 リチャード・プランタジネットが 正式な国王として宣言されるやいなや、 その空気は一変する。 教会の鐘が鳴り響き、「王に栄あれ!」と 歓呼の声がウェストミンスター寺院を満たす。 王妃と共にリチャードが玉座に座り、 一同に微笑みかければ、人々の興奮は最高潮に達した。] (58) 2026/08/19(Wed) 21:21:11 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[盛大な晩餐会の間、王冠を戴いた新王と王妃は、 隣り合って仲睦まじく食事を進める。 宴席の程近い場所に、バッキンガム公も配されている。 やがて、宮廷楽師がフィドルを奏で始めれば、 リチャードとアンが立ち上がる。] お手をどうぞ、我が君My lady。 [10年連れ添った王妃は、未だ若く美しい。 ほっそりとした手をとり、リチャードは唇を落とす。 華奢な背に腕を回し、一歩を踏み出した。 「我が奥方は、今宵はひときわ美しい」と賛美を交え、 軽やかに彼女を踊らせ── 一曲終える頃には、バッキンガムの姿が見えなくなっていた。 (59) 2026/08/19(Wed) 21:41:56 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[朝から続いた戴冠の祝祭。 舞踏会が終わるころには夜も更け、 王と王妃は退場し私室に引き上げることになった。] 今日は疲れただろう。 先に休んでいなさい、 明日も祝祭は続くのだから。 [リチャードの言葉に、アンが不審を抱く様子はない。 共に過ごすのが日常になっているからだろう。 近頃は、バッキンガムに共寝を請われることもなくなった。] (60) 2026/08/19(Wed) 21:51:22 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[戴冠式には、地方からも貴族や聖職者が 多数参集している。 明日は諸侯からの祝いの挨拶が続く。 アンに早寝を勧めたのはごく自然だ。 自分もそうしないということを除けば。 私室の前で、少し行先に迷う素振りを見せたリチャード。 人伝にバッキンガムの行方を知り、 目立たぬよう身をやつして、自分も馬を駆る。] ──… 何をしている? この栄えある佳き日に。 こんな所で。 [夜の森で人一人探し出すことは困難だ。 それでもじきに、彼を見つけた*] (61) 2026/08/19(Wed) 22:00:56 |
![]() | 【人】 七川 惺[某有名な映画のロケ地ともなったディーンの森。>>56 宮殿をも臨めるセント・ジェームズ・パークは 整備されていて勿論美しいが、 舞台のそこはディーンの森に寄せていて 野性的で、もっといえば幻想的だ。 ゲネプロと本番ではドライアイスも使い、 床を這うように広がる白い低層スモークを発生させる。 それはまだないが、美術さんの仕事がすごくて スモークがなくてもライトアップだけで 充分魅力的な舞台装置だ。 そこに、背後からリチャードの声がかかった。 森の木に仮に繋いである、馬の方を先に見つけたか。] ……水浴びだ。 [最初は少しぶっきらぼうに。 まあそれは、夜目に慣れてくればわかるだろうな。] いや……雑念を追い払う、禊だよ。 [次には、声を低くして、少し柔らかく。*] (62) 2026/08/19(Wed) 22:21:11 |
七川 惺は、メモを貼った。 (a0) 2026/08/19(Wed) 22:30:35 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[リチャードは目を凝らす。 ぼんやりと浮かび上がる背中に。 顔だけで振り返り、不愛想に答えた 目当ての男に。] 我らが大望果たした、今日という夜を選んでか。 [酔狂なことだ、と呟き歩み寄る。] ……宴席を中座していたな。 [湖の畔、少し手前で立ち止まる。 それ以上距離を詰めることはない。] (63) 2026/08/19(Wed) 22:31:17 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[リチャードの視線は、どこか遠い。 月と星の光の落ちる湖面ではなく、 昏い森の奥、その向こうへと。] 近頃、おまえの笑った顔を 見た記憶がない。 [儀礼として微笑む顔は、幾らも見ているが。] ───私が王では不満か? [つと振り向いて、自分を玉座へ押し上げた男に問う。*] (64) 2026/08/19(Wed) 22:37:49 |
七川 惺は、メモを貼った。 (a1) 2026/08/19(Wed) 22:44:01 |
飛鳥 悠凛は、メモを貼った。 (a2) 2026/08/19(Wed) 23:00:55 |
![]() | 【人】 七川 惺……今日、だからさ。 俺にできることは、あと、何があるのか。 考えていたら、雑念に囚われて 考えが纏まらないから。 [ざぶっと一度身体を沈めて、 それから、湖畔近くまで泳いでやってきた。 月明かりに照らされる上半身。 貌の輪郭と筋肉の隆起が、蒼く昏く影を作る。 髪にも、肩にも、胸にも、 流れ星のように雫が滴っている。] ──お前を王にしたい。 子供の頃からの夢が叶った。 不満があるとすれば…… お前の隣に座れないこと。 お前の半身になれないこと。 言ってもせんなきことだった。忘れてくれ。 [睫毛からも、星の雫が滴った。*] (65) 2026/08/19(Wed) 23:08:39 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[蒼黒い湖に逞しい裸体を潜めた男は、 王宮の中に居る時よりも、 春の庭に憩うよりも野性的だ。] お前にこの身を幾度も任せた。 私は王になった。 お前の力で。 いずれ、私の血を継いだ子も この王国の礎となるだろう。 ……おまえの望みは、叶えたつもりだった。 [リチャードは、目の前の男をもう見ていない。*] (67) 2026/08/19(Wed) 23:49:39 |
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